説明

糸弛み取り装置及びこれを備える繊維機械

【課題】上流側へのテンション変動の影響を抑制するとともに、スムーズに糸を解舒できる糸弛み取り装置を提供する。
【解決手段】糸弛み取り装置はローラ部42を備え、このローラ部42において糸を巻き付ける巻付領域60が、糸の巻き付けが開始される上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されている。この巻付領域60は、第1テーパ部62と第2テーパ部63とで構成されており、テーパ角度は下流側に進むに従って第1テーパ部62と第2テーパ部63との2段階で緩やかになるように構成される。また、テーパ角度が大きい第1テーパ部62の面積が、テーパ角度の小さい第2テーパ部63の面積よりも小さくなるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糸弛み取り装置に関するものであり、詳細には、糸弛み取り装置が糸を貯留するために備えるローラ部の形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、紡績した糸を巻き取ってパッケージを形成する空気式紡績機等の高速紡績機にあっては、紡出された紡績糸をパッケージ側の糸と糸継ぎする糸継作業を行う場合等に、パッケージ側の巻取りを停止させるように制御している。しかしながら巻取停止中においても紡績装置側からは糸が次々に送られてくるため、糸の弛み及び滞留を防止する必要がある。
【0003】
この点に鑑み、特許文献1は、電動モータにより回転駆動される弛み取りローラと、この弛み取りローラに対して相対回転自在な糸掛け部材と、を備える糸弛み取り装置を開示する。前記糸継作業によって巻取作業が停止している間は、弛み取りローラに紡績装置側から次々に送られてくる糸を貯留させることで、糸の弛み及び滞留を防止している。また、この糸弛み取り装置は、糸掛け部材に対する相対回転トルクを磁気的手段により付加しており、糸のテンション変動への追従性に優れている。この構成の糸弛み取り装置は、糸張力の変動を抑える一種のテンション制御装置としても機能させることができる。
【特許文献1】特開2006−306588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような糸弛み取り装置が備える弛み取りローラ(ローラ部)は、糸を巻き付ける部分がテーパ状に形成されている。これにより、弛み取りローラに巻き付けられた糸は、後から巻き付けられる糸に下流側に押されるように移動し、糸は、巻付け部分の上流側に偏ることなく整列した状態で弛み取りローラに巻き付けられる。この結果、巻取装置側への糸の引出しをスムーズに行うことができる。
【0005】
また、糸弛み取り装置の下流側で生じるテンション変動の上流への伝播を防止するには、前記巻付け部分のテーパ角度を大きく構成することが有効である。即ち、テーパ角度を大きく構成することによって、糸弛み取り装置の下流側で大きなテンション変動が生じたとしても、テンション変動はテーパ角度の大きい巻付部分で吸収され、テンション変動の上流側への伝播を防止できる。しかし、弛み取りローラのテーパ角度が大きくなると、弛み取りローラに巻き付けられる糸のピッチが大きくなり、糸を効率的に貯留できないために弛み取りローラが大型化する原因となってしまう。また、テーパ角度が大きくなれば、弛み取りローラの上流側の径と下流側の径との差が大きくなり、弛み取りローラの下流側に巻き付けられている糸に弛みが生じる原因ともなる。また、弛みが大き過ぎると輪抜けが発生し、糸を解舒できなくなる。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上流側へのテンション変動の影響を抑制するとともに、スムーズに糸を解舒できる糸弛み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、糸を巻き付けるためのローラ部を備え、繊維機械に用いられる糸弛み取り装置において、以下の構成が提供される。即ち、糸弛み取り装置は、前記ローラ部の糸を巻き付ける巻付領域の少なくとも一部は、糸の巻き付けが開始される上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ巻付部を有している。また、前記テーパ巻付部のテーパ角度は、下流側に進むに従って段階的に緩やかになるように構成される。
【0009】
これにより、テーパ角度がきつい上流側の巻付領域によって、糸弛み取り装置より下流側で生じたテンション変動が糸弛み取り装置よりも上流側に伝播することを抑制できる。また、テーパ角度が段階的に緩やかになる構成なので、上流側のテーパ角度が大きい場合でも、下流側との径の差を小さくできる。これによって、巻付領域の上流側と下流側の径の差が大きくなることによって生じる糸の緩みを防止でき、輪抜けの発生を効果的に抑制できる。更に、ローラ部の巻付領域の構造がテーパ角度を段階的に変化させる構成なので、複雑な作業工程を経ることなく容易に製造できる。
【0010】
前記の糸弛み取り装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記テーパ巻付部は、上流側巻付領域と下流側巻付領域とを有する。前記下流側巻付領域のテーパ角度が前記上流側巻付領域のテーパ角度より小さく構成される。また、前記上流側巻付領域の面積は、前記下流側巻付領域の面積より小さくなるように構成される。
【0011】
これにより、テーパ角度が小さい下流側巻付領域での糸の貯留量を大きく確保しつつ、糸弛み取り装置よりも下流側で生じたテンション変動が糸弛み取り装置の上流側へ伝播することを防止できる。
【0012】
前記の糸弛み取り装置においては、前記上流側巻付領域のテーパ角度が1.5度以上3.5度以下であることが好ましい。
【0013】
これにより、糸をスムーズに貯留するとともに、糸弛み取り装置より上流側へのテンション変動の伝播を確実に遮断することができる。
【0014】
前記の糸弛み取り装置においては、前記ローラ部に貯留された糸量を検出するために、前記上流側巻付領域の近傍に配置される糸量検出部を備えることが好ましい。
【0015】
これにより、上流側巻付領域に一定以上の糸が貯留されるような制御を効率的に行うことができる。従って、テンション変動の吸収効果が高い上流側巻付領域を有効に利用して糸弛み取り装置より下流側で生じたテンション変動が上流側へ伝播することを防止することができる。
【0016】
本発明の第2の観点によれば、前記の糸弛み取り装置を備える繊維機械が提供される。
【0017】
これにより、糸弛み取り装置の下流側でテンション変動が生じた場合でも、糸弛み取り装置によってテンション変動が伝播することを防止でき、安定して各種の作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る紡績機(繊維機械)の様子を示した正面図である。図2は、本実施形態の紡績機の側面断面図である。なお、以下の説明において「上流」及び「下流」とは、紡績時の糸の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の紡績機1は、複数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、玉揚台車4と、ブロアボックス80と、原動機ボックス5と、フレーム6と、を備える。紡績ユニット2は、並列するようにフレーム6に配置されており、この紡績ユニット2ごとに所定長のパッケージ45が形成される。フレーム6には、紡績ユニット2が並べられる方向に沿って配置されるレール41及び走行路86が設けられており、前記糸継台車3は前記レール41に沿って走行可能に構成され、前記玉揚台車4は前記走行路86に沿って走行可能に構成されている。
【0020】
次に紡績ユニット2について説明する。図1に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸送り装置11と、糸弛み取り装置12と、巻取装置13と、を主要な構成として備えている。ドラフト装置7は紡績機1のフレーム6の上端近傍に設けられており、スライバ15を延伸して繊維束8とするためのものである。紡績装置9は、前記ドラフト装置7によって送られてきた繊維束8に撚りを与えて紡績するように構成している。紡績装置9から送出された紡績糸10は糸送り装置11で送られて、後述のヤーンクリアラ52を通過した後、糸弛み取り装置12を介して巻取装置13によって巻き取られ、これによりパッケージ45が形成される。
【0021】
ドラフト装置7は、図2に示すように、バックローラ16、サードローラ17、エプロンベルト18を装架したミドルローラ19、及びフロントローラ20の4つのローラを備えている。ドラフト装置7は、これらのドラフトローラによってスライバ15を延伸するとともに下流側の紡績装置9に送るように構成されている。
【0022】
紡績装置9は、旋回気流を利用して繊維束8から紡績糸10を生成する空気式のものを採用している。なお、紡績装置9は、繊維束8を紡績するものであれば任意の方式を採用することができ、空気式のものに限定されるわけではない。
【0023】
糸送り装置11は、紡績機1のフレーム6に支持されたデリベリローラ39と、デリベリローラ39に接触して設けられたニップローラ40と、を備える。紡績装置9から送出された紡績糸10は、デリベリローラ39とニップローラ40との間に挟まれた状態で、前記デリベリローラ39が図示しない電動モータで回転駆動されることにより、巻取装置13側へ送り出される。
【0024】
ヤーンクリアラ52は、紡績機1のフレーム6の前面側であって前記糸送り装置11よりも若干下流側に配置される。そして、紡績装置9で紡出された紡績糸10は、巻取装置13で巻き取られる前に前記ヤーンクリアラ52を通過するようになっている。ヤーンクリアラ52は走行する紡績糸10の太さを監視し、紡績糸10の糸欠点を検出した場合に、糸欠点検出信号を制御部73(図2において省略)へ送信するように構成されている。制御部73は、前記糸欠点検出信号を受信すると、直ちにカッタ57で紡績糸10を切断し、更にドラフト装置7や紡績装置9等を停止させる。また、制御部73は糸継台車3に制御信号を送り、当該紡績ユニット2の前まで走行させる。その後、紡績装置9等を再び駆動し、前記糸継台車3に糸継ぎを行わせて紡績及び巻取りを再開させるようになっている。ヤーンクリアラ52の更に下流には、糸弛み取り装置12が設けられており、ヤーンクリアラ52を通過した紡績糸10は、糸弛み取り装置12に送られる。
【0025】
糸弛み取り装置12は、ヤーンクリアラ52を通過してきた紡績糸10の弛み及び滞留を解消するとともに巻取張力を調整するためのものである。なお、この糸弛み取り装置12の詳細については後述する。糸弛み取り装置12によって張力が調整された紡績糸10は、下流側の巻取装置13に送られる。
【0026】
巻取装置13は、クレードルアーム71と、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備える。このクレードルアーム71は、一端が支軸70まわりに揺動可能に支持されており、他端には、紡績糸10を巻回するためのボビン48を回転可能に支持できるように構成されている。巻取ドラム72は、前記ボビン48やそれに紡績糸10を巻回して形成されるパッケージ45の外周面に接触して駆動できるように構成されている。トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。この構成で、トラバースガイド76を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつ巻き取るようになっている。
【0027】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、スプライサ(糸継装置)43と、糸継用サクションパイプ44と、サクションマウス46と、を備えている。糸継台車3は、紡績ユニット2で糸切れや糸切断が発生すると、前記レール41上を当該紡績ユニット2まで走行し、停止するように構成されている。前記糸継用サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、紡績装置9から送出される糸端を吸い込みつつ捕捉してスプライサ43へ案内するように構成されている。一方、サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、前記巻取装置13に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉してスプライサ43へ案内するように構成されている。スプライサ43は、糸継用サクションパイプ44及びサクションマウス46によって案内された糸端同士の糸継ぎを行うためのものである。
【0028】
玉揚台車4は、図1及び図2に示すように、玉揚装置92と、クレードル操作アーム90と、玉揚用サクションパイプ88と、バンチ巻アーム91と、を備えている。玉揚台車4は、紡績ユニット2でパッケージ45が満巻になると、前記走行路86上を当該紡績ユニット2まで走行し、停止するように構成されている。クレードル操作アーム90は、巻取装置13のクレードルアーム71を操作可能に構成されている。玉揚用サクションパイプ88は伸縮可能に構成されており、紡績装置9から送出される糸端を吸い込みながら補捉して、巻取装置13に装着されたボビン48へ案内できるように構成されている。バンチ巻アーム91は、ボビン48に糸を棒巻きすることによって、紡績糸10をボビン48に固定するためのものである。
【0029】
次に、図3を参照して糸弛み取り装置12の詳細について説明する。図3は、糸弛み取り装置12及び巻取装置13の制御の様子を示した模式断面図である。図3に示すように、糸弛み取り装置12は、弛み取りローラ21と、糸掛け部材22と、貯留センサ74と、電動モータ25と、を主要な構成として備えている。電動モータ25は弛み取りローラ21を回転駆動するためのものであり、弛み取りローラ21に接続されている。また、前記電動モータ25は、制御部73に電気的に接続されており、この制御部73によって弛み取りローラ21の回転が適宜制御されている。
【0030】
また、糸弛み取り装置12近傍には、糸弛み取り装置12の上流側に配置される上流側ガイド23と、糸弛み取り装置12の下流側に配置される下流側ガイド26と、が配置されており、これらのガイドによって紡績糸10は適宜の糸道に案内される。また、図3に示すように、上流側ガイド23はシリンダ24等で構成される駆動手段に接続されており、このシリンダ24の伸縮によって、進出位置及び退避位置との間で上流側ガイド23を移動させることができる。上流側ガイド23を移動させることで、紡績糸10の糸道を変更して、必要なときに糸掛け部材22を紡績糸10に係合させることができる。具体的には、シリンダ24によって上流側ガイド23を進出位置に移動させることで紡績糸10と糸掛け部材22とを係合させないでおくことができ、上流側ガイド23を退避位置に移動させることで糸掛け部材22を紡績糸10に係合させることができる。
【0031】
弛み取りローラ21は、電動モータ25のモータ軸27に固定されるローラ部42を備えている。このローラ部42の外周面には巻付領域60が形成されており、紡績装置9側から送られてきた紡績糸10は、この巻付領域60に巻き付けられる(貯留される)ことになる。糸掛け部材22は、弛み取りローラ21の紡績機1の正面側端部に配置されており、弛み取りローラ21に対し相対回転可能に支持されるフライヤー軸33と、その先端に固着されるフライヤー38と、を備える。このフライヤー軸33が条件に応じて当該弛み取りローラ21と一体的に又は独立して回転するように構成されている。フライヤー軸33又はローラ部42の何れか一方には永久磁石が取り付けられ、他方には磁気ヒステリシス材が取り付けられている。これらの磁気的手段により、糸掛け部材22が弛み取りローラ21に対し相対回転するのに抗するトルクが発生するように構成されている。
【0032】
フライヤー38は前記フライヤー軸33と一体的に回転するよう構成されている。また、前記フライヤー38は、前記ローラ部42の外周面(巻付領域60)に向かって適宜湾曲する形状に構成されている。これにより、フライヤー38は、紡績糸10と係合して(紡績糸10を引っ掛けて)、当該紡績糸10をローラ部42の巻付領域60へ案内することができる。
【0033】
貯留センサ74は、非接触型の光学式センサであり、制御部73に電気的に接続されている。貯留センサ74は、ローラ部42の巻付領域60に一定以上の糸量が巻き付けられているか否かを検出し、その検出信号を制御部73に送信する。この貯留センサ74は、その投光部及び受光部(検出部)が巻付領域60の上流側部分に対面するように配置されている。
【0034】
次に図4を参照してローラ部42の形状について説明する。図4は、ローラ部42の巻付領域60の様子を示した側面図である。なお、以下の説明において、「基端側」とは電動モータ25に接続される側を、「先端側」とはフライヤー38が配置されている装置正面側をそれぞれ意味するものとする。また、詳細は後述するが、糸弛み取り装置12において糸は先ずローラ部42の基端側に巻き付けられた後、徐々に先端側に移動してから解舒される。従って、ローラ部42の基端側が糸走行方向の上流側に、先端側が下流側に、それぞれ対応することになる。
【0035】
ローラ部42は、基端側(上流側)から先端側(下流側)に向かって順に、基端側フランジ部61と、巻付領域60と、先端側フランジ部64と、を備えている。これらの基端側フランジ部61、巻付領域60及び先端側フランジ部64は、適宜の金属で一体的に形成されている。巻付領域60は、上流側から下流側に進むに従って、糸を巻き付ける部分の径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ巻付部を有している。更に、このテーパ巻付部は、上流側の第1テーパ部(上流側巻付領域)62と、下流側の第2テーパ部(下流側巻付領域)63と、でテーパ角度が異なるように構成されている。以下、ローラ部42の各部について上流側から説明する。
【0036】
基端側フランジ部61は、端面側を大径側とし、第1テーパ部62との接続部分側を小径側とするテーパ状に構成されており、第1テーパ部62とは段差が生じることなく接続されている。基端側フランジ部61が第1テーパ部62に向かって径が狭まるテーパ状に形成されることによって、上流側から案内されてきた紡績糸10は、基端側フランジ部61と第1テーパ部62との接続部分近傍の巻付開始位置に案内されることになる。
【0037】
第1テーパ部62は、図4に示すように、上流側から下流側に向かって角度αで狭まる直線テーパ状に形成されており、下流側では僅かに折れ曲がるようにして第2テーパ部63に接続されている。この角度αは、1.5度以上3.5度以下であることが好ましく、本実施形態では、1.5度のテーパ角度となるように構成されている。また、前述した図3に示す前記貯留センサ74は、この第1テーパ部62に対面するように配置されており、紡績糸10の巻付けが開始される巻付開始位置近傍での糸量を監視している。
【0038】
第2テーパ部63は、第1テーパ部62に接続されるとともに、上流側から下流側に向かって角度βで狭まる直線テーパ状に形成されている。第2テーパ部63のテーパ角度βは、第1テーパ部62のテーパ角度αに対して小さくなるように構成されている(α>β)。なお、本明細書において「テーパ角度」とは、その外周面(糸の巻付面)がローラ部42の回転軸線に対して傾斜する角度をいう。本実施形態では、第2テーパ部63は1.0度のテーパ角度となるように構成されている。これにより、紡績糸10の巻付けをスムーズに行うとともに、下流側への紡績糸10の引出しを良好に行うことができる。
【0039】
また、第2テーパ部63は、第1テーパ部62に対してローラ部42の軸方向の長さが短くなるように構成されている。従って、第1テーパ部62において糸を巻付可能な領域の面積は、第2テーパ部63において糸を巻付可能な領域の面積よりも狭くなっている。そして、第2テーパ部63は下流側で先端側フランジ部64に段差が生じることなく接続されている。
【0040】
先端側フランジ部64は、端面側を大径側とし、第2テーパ部63の接続部分側を小径側とするテーパ状に形成されている。この先端側フランジ部64によって、紡績糸10を解舒する際に、巻き付いている紡績糸10が一度に抜けてしまう輪抜け現象を防止できる。
【0041】
この構成で、上流側から送られてきた紡績糸10は、所定の回転速度で回転しているローラ部42に糸掛け部材22を介して巻き付けられていく。ローラ部42に巻き取られた紡績糸10は、基端側フランジ部61のテーパ状に形成される周面を滑りながら第1テーパ部62の巻付開始位置に案内される。第1テーパ部62に巻き付けられた紡績糸10は、上流側から順次巻き付けられていく紡績糸10によって下流側(ローラ部42の先端側)に押される。第1テーパ部62がテーパ状に形成されているので、紡績糸10は、巻付開始位置(基端側フランジ部61と第1テーパ部62との接続部分)に偏ることなく整列した状態で巻付領域60に螺旋状に巻き付けられていくことになる。また、第1テーパ部62と第2テーパ部63との接続部分は滑らかに接続されているので、第1テーパ部62を越えて第2テーパ部63に紡績糸10が貯留される場合も、接続部分で紡績糸10が引っ掛かったりすることなく第2テーパ部63への巻付けが良好に行われる。また、巻付領域60が2段階でテーパ角度が小さくなるように構成されているので、巻付開始位置の巻付領域60の径と、先端側フランジ部64近傍の巻付領域60の径との差を小さくすることができる。これによって、径が小さくなっている下流側の巻付領域60で、周面から浮き上がった紡績糸10が幾重の輪をなした状態でローラ部42の先端側へ一度に抜け出てしまう現象(輪抜け)の発生を抑制できる。
【0042】
また、糸掛け部材22は弛み取りローラ21に対して独立に回転可能であり、この回転に抗する向きの抵抗トルクが磁気的手段によって加えられている。従って、フライヤー38に係合する紡績糸10に掛かるテンションが前記抵抗トルクに打ち勝つほどに強ければ、前記糸掛け部材22は弛み取りローラ21と独立に回転して、糸を前記弛み取りローラ21から解舒する。反対に、糸に掛かるテンションが弱ければ、糸掛け部材22は弛み取りローラ21と一体的に回転し、糸を前記弛み取りローラ21に巻き付ける。このように、糸弛み取り装置12は、糸のテンションが下がる(糸が弛みそうになる)と糸を巻き付け、糸のテンションが上がると糸を解舒するように動作することで、糸の弛みを解消して適切な張力を付与することができる。なお、紡績糸10は基端側(基端側フランジ部61と第1テーパ部62との接続部分)から巻き付けられる一方、紡績糸10の解舒時においては、ローラ部42の先端側から解舒されていく。
【0043】
また、前記紡績糸10に掛かるテンションは、基本的には、糸送り装置11の糸送り速度及び巻取装置13の巻取速度によって決定される。即ち、糸送り速度よりも巻取速度の方が速ければ糸に掛かるテンションは大きくなり、逆に糸送り速度よりも巻取速度の方が遅ければ糸にかかるテンションは小さくなる。糸送り装置11の糸送り速度(紡出速度)は通常一定であるので、紡績糸10に掛かるテンションは主に巻取装置13の巻取速度によって変化する。
【0044】
通常の巻取時には、紡績糸10に適切な巻取張力を付与するため、糸送り装置11の糸送り速度よりも巻取速度が若干速くなるように、巻取ドラム72の回転速度が設定されている。従って、弛み取りローラ21に巻き取られていた紡績糸10は徐々に解舒され、糸の貯留量が減少する。なお、通常の巻取時には、糸弛み取り装置12は第1テーパ部62の領域だけを使用して紡績糸10を貯留するように構成されている。ローラ部42において第2テーパ部63まで紡績糸10が巻き取られるのは、基本的には糸継作業時及び玉揚作業時である。
【0045】
次に、糸弛み取り装置12の貯留量の検出及び巻取速度の制御について説明する。前述したように、ローラ部42に一定以上の糸量が貯留されているか否かは、貯留センサ74によって検出される。本実施形態においては、紡績糸10がローラ部42でスリップすることを防止する観点から、巻付領域60に巻き付けられる数が少なくとも15周を常時超えるように糸の貯留量を監視する。具体的には、貯留センサ74は、ローラ部42に巻き付けられる糸がほぼ15周目となる箇所を検出するように構成されている。そして、貯留センサ74が当該検出箇所に糸がないことを検知すると、巻付領域60に貯留されている糸量が所定以下となったことを示す信号を制御部73に送信する。
【0046】
制御部73は、貯留センサ74によって糸量が所定以下となった信号を受信すると、図略のリフトシリンダを駆動してクレードルアーム71を図3の矢印方向(左側)に回動させるように制御し、パッケージ45を巻取ドラム72から離間させる。これにより、巻取ドラム72によるパッケージ45への駆動力の伝達が遮断される。駆動力を失ったパッケージ45は、慣性回転を継続するものの、その巻取速度は徐々に減少する。
【0047】
巻取速度が低下することによって、巻付領域60から巻取装置13側に単位時間当たりに引き出される糸量が少なくなり、やがて、上流側から巻付領域60に新たに巻き付けられる単位時間当たりの糸量を下回る。この結果、糸の貯留量が回復する。ローラ部42の巻付領域60に一定以上の糸量が巻き付けられたか否かは、クレードルアーム71によってパッケージ45を巻取ドラム72から離間した時間によって判断される。なお、巻取ドラム72からパッケージ45を離間させる時間は、パッケージ45の巻径やその他の条件等によって適宜設定される。例えば、パッケージ45の径が大きい場合は慣性が大きいために巻取速度の低下が緩やかになるので、巻取ドラム72から離間する時間を長く設定する等の制御を行う。
【0048】
パッケージ45を巻取ドラム72から離間させて所定時間が経過し、ローラ部42の巻付領域60に一定以上の糸量が巻き付けられると、制御部73は、クレードルアーム71を図3の右側へ回動させ、パッケージ45を巻取ドラム72に接触させる。このとき、それまで慣性回転していたパッケージ45に巻取ドラム72が接触することによって、急激なテンション変動が生じる。巻取ドラム72の接触によって生じたテンション変動は、糸弛み取り装置12を経由して上流側へ伝播しようとする。しかしながら、本発明の糸弛み取り装置12が備えるローラ部42は、下流側のテンション変動が上流側に伝播することを防止する伝播防止領域として、テーパ角度が1.5度の第1テーパ部62が形成されている。従って、巻取ドラム72がパッケージ45に接触することで生じる急激なテンション変動が生じた場合でも、第1テーパ部62によってテンション変動が糸弛み取り装置12より上流側に伝播することを抑制できる。
【0049】
以上に示したように、糸弛み取り装置12は、貯留センサ74によって第1テーパ部62に貯留される紡績糸10を監視し、クレードルアーム71をフィードバック制御することによって、巻取速度を調節してローラ部42の巻付領域60に貯留される糸量を調節する。これによって、一定量以上の紡績糸10が弛み取りローラ21に貯留されている状態を常に維持しつつ、巻取テンションを一定化することができる。また、本実施形態では、貯留センサ74が第1テーパ部62の糸量を監視するように配置されている。これによって、巻取装置13側でテンション変動が生じた場合でも、糸弛み取り装置12の上流側へ伝播しようとするテンション変動を第1テーパ部62で確実に吸収することができる。
【0050】
また、本実施形態の紡績機1は、糸継台車3による糸継作業時及び玉揚台車4による玉揚作業時は、巻取装置13による巻取作業が停止されるため、糸弛み取り装置12に紡績糸10を貯留させることで、紡績糸10の滞留を防止している。例えば、糸継作業においては、巻取作業が停止され、糸継台車3のスプライサ43で糸継作業が行われる。この間、糸弛み取り装置12では、紡績装置9側から供給されてくる紡績糸10を巻付領域60に貯留させておく。これにより、糸の滞留を防止し、スムーズな巻取作業への復帰を可能としている。また、玉揚作業においては、巻取作業が停止され、バンチ巻アーム91によりバンチ巻が行われ、糸端が空のボビン48に固定される玉揚作業が行われる。糸弛み取り装置12では、糸継作業と同様に玉揚作業においても紡績装置9側からの紡績糸10を巻付領域60に貯留させておくことで、糸の滞留を防止して巻取作業へスムーズに移行することができる。このような糸継作業及び玉揚作業では、通常の巻取時に比べて大量の糸が巻付領域60に貯留されることになり、第1テーパ部62を越えて第2テーパ部63にも紡績糸10が貯留される状態となる。
【0051】
第2テーパ部63は、第1テーパ部62に対してテーパ角度が緩やかになるように構成されているので、第2テーパ部63に巻き付けられる紡績糸10のピッチを小さくでき、紡績糸10を効率的に巻き付けることができる。また、前述したように第2テーパ部63は第1テーパ部62に対して広くなるように構成されているので、第2テーパ部63に大量の紡績糸10を巻き付けることができる。これによって、巻付領域60に巻き付けられた紡績糸10の上に更に紡績糸10が巻き付けられる状態(二重巻き)とならない範囲で、貯留可能な糸量の上限を大きくすることができる。従って、前記糸継作業又は前記玉揚作業のように、巻付領域60に大量の紡績糸10が貯留されるような場合であっても、本発明の糸弛み取り装置12は、紡績糸10を良好に巻き付けるための十分な巻付量を巻付領域60に確保できる。
【0052】
以上に示したように、本実施形態の糸弛み取り装置12は以下のように構成される。即ち、糸弛み取り装置12は、ローラ部42の糸を巻き付ける巻付領域60が、糸の巻き付けが開始される上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ巻付部を有している。また、前記テーパ巻付部(巻付領域60)のテーパ角度は下流側に進むに従って段階的に緩やかになるように構成される。
【0053】
これにより、テーパ角度がきつい上流側の巻付領域60によって、糸弛み取り装置12より下流側で生じたテンション変動が糸弛み取り装置12よりも上流側に伝播することを抑制できる。また、テーパ角度が段階的に緩やかになる構成なので、上流側のテーパ角度が大きい場合でも、下流側との径の差を小さくできる。これによって、巻付領域60の上流側と下流側の径の差が大きくなることによって生じる糸の緩みを防止でき、巻取装置13側への解舒作業もスムーズに行うことができる。また、上記のように糸の緩みを防止できるので、輪抜けの発生を効果的に抑制できる。更に、ローラ部42の巻付領域60の構造がテーパ角度を段階的に変化させる構成なので、複雑な作業工程を経ることなく容易に製造できる。
【0054】
また、本実施形態の糸弛み取り装置12において、ローラ部42の前記テーパ巻付部(巻付領域60)は、第1テーパ部(上流側巻付領域)62とテーパ角度が小さい第2テーパ部(下流側巻付領域)63とを有する。第2テーパ部63のテーパ角度が第1テーパ部62のテーパ角度より小さく構成される。また、第1テーパ部62の面積は、第2テーパ部63の面積より小さくなるように構成される。
【0055】
このようにテーパ角度が2段階で変化する構成とすることで、テーパ角度が小さい第2テーパ部63での紡績糸10の貯留量を大きく確保しつつ、糸弛み取り装置12よりも下流側で生じたテンション変動が糸弛み取り装置12の上流側へ伝播することを防止できる。
【0056】
また、本実施形態の糸弛み取り装置12においては、第1テーパ部62のテーパ角度が1.5度以上3.5度以下の範囲内である1.5度で構成されている。
【0057】
これにより、紡績糸10をスムーズに貯留するとともに、糸弛み取り装置12より上流側へのテンション変動の伝播を確実に遮断することができる。
【0058】
また、本実施形態の糸弛み取り装置12は、ローラ部42に貯留された糸量を検出するために、第1テーパ部62近傍に配置される貯留センサ74を備える。
【0059】
これにより、第1テーパ部62に一定以上の紡績糸10が貯留されるような制御を効率的に行うことができる。従って、テンション変動の吸収効果が高い第1テーパ部62を有効に利用して、糸弛み取り装置12より下流側で生じたテンション変動が上流側へ伝播することを防止することができる。また、本実施形態では、糸量が十分に貯留されたか否かは、パッケージ45を巻取ドラム72から離間させた時間で判定するように構成されている。従って、糸量をローラ部42に一定以上確保するために制御するのに必要な貯留センサ74は1つで足り、構成を簡素化できる。
【0060】
また、紡績機1は、前記糸弛み取り装置12を備える。
【0061】
これにより、糸弛み取り装置12の下流側でテンション変動が生じた場合でも、糸弛み取り装置12によってテンション変動が伝播することを防止でき、糸弛み取り装置12の上流側の糸速度を安定させることができる。また、糸弛み取り装置12の上流側にはヤーンクリアラ52が配置されているが、下流側のテンション変動の上流側への伝播を糸弛み取り装置12で防止することによって、ヤーンクリアラ52を通過する糸速度を安定させ、糸欠陥の検出精度を向上させることができる。このように、本発明の糸弛み取り装置12を紡績機1が備えることによって、紡績される糸の品質を効果的に向上させることができる。
【0062】
上記実施形態のローラ部42は2段階でテーパ角度が変化する構成であるが、ローラ部のテーパ角度が3段階以上の多段で変化する構成に変更することもできる。また、テーパ角度についても、事情に応じて適宜変更することができる。
【0063】
次に図5を参照して、ローラ部のテーパ角度が3段階で変化する変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例において、ローラ部142が3段階でテーパ角度が変化する以外の構成については上記実施形態と同様なので、図面に同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0064】
変形例のローラ部142は、上記実施形態と同様に、基端側(上流側)から先端側(下流側)に向かって順に、基端側フランジ部61と、巻付領域160と、先端側フランジ部64と、を備えている。巻付領域160は、上流側から下流側に進むに従って、糸を巻き付ける部分の径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ巻付部を有している。そして、このテーパ巻付部は、最も上流側の第1テーパ部162と、巻付領域160の中途部の第2テーパ部163と、最も下流側の第2テーパ部163と、でテーパ角度が異なるように構成されている。以下、巻付領域160のテーパ部について上流側から順に説明する。
【0065】
第1テーパ部162は、図5に示すように、上流側から下流側に向かって角度α2で狭まる直線テーパ状に形成されており、下流側では僅かに折れ曲がるようにして第2テーパ部163に接続されている。この角度α2は、変形例では、1.5度のテーパ角度となるように構成されている。
【0066】
第2テーパ部163は、上流側を第1テーパ部162に接続されるとともに、下流側を第3テーパ部164に接続されている。この第2テーパ部163は、上流側から下流側に向かって角度β2で狭まる直線テーパ状に形成されている。この角度β2は、変形例では、1.0度のテーパ角度となるように構成されている。
【0067】
第3テーパ部164は、上流側を第1テーパ部162に接続されるとともに、下流側を先端側フランジ部64に接続されている。この第3テーパ部164は、上流側から下流側に向かって角度γで狭まる直線テーパ状に形成されている。この角度γは、変形例では、0.3度のテーパ角度となるように構成されている。
【0068】
変形例のローラ部142は、上流側から下流側にかけてテーパ角度が3段階で小さくなるように構成されている。(α2>β2>γ)。この構成で、上流側から送られてきた紡績糸10は、所定の回転速度で回転しているローラ部142に糸掛け部材22を介して巻き付けられていく。
【0069】
このように、3段階でテーパ角度を小さくすることで、第1テーパ部162でテンション変動の上流側への伝播を効果的に防止する機能を確保しつつ、巻付領域160の巻付開始位置の径と、巻付領域160の先端側フランジ部64近傍の下流側の径との差を一層小さくすることができる。これによって、輪抜けの発生を効果的に抑制することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、巻付領域60の全部が上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されているが、この構成に限定されない。例えば、巻付領域の上流側の一部は、上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成し、巻付領域の下流側の一部は、上流側から下流側に向かうに従って径が大きくなるテーパ状に形成することもできる。
【0071】
次に図6を参照して、巻付領域260の下流側の一部が逆テーパ状に構成される変形例のローラ部242について説明する。なお、この変形例においても、上記実施形態と同様の構成については、図面に同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0072】
図6に示すように、巻付領域260の上流側は、上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ巻付部を有している。このテーパ巻付部は、テーパ角度が2段階で小さくなるように、角度αで狭まる第1テーパ部262と、角度βで狭まる第2テーパ部263とで構成されている(α>β)。そして、第2テーパ部263の下流側には、上流側から下流側に向かうに従って径が大きくなる逆テーパ部264が形成されている。巻付領域260に巻き付けられた紡績糸10が、第2テーパ部263で周面から浮き上がった状態となっていても、下流側に向かうに従って径が大きくなっていく逆テーパ部264に到達することによって、巻付領域260と紡績糸10との隙間を小さくすることができ、輪抜けの発生を効果的に防止できる。
【0073】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0074】
上記実施形態では、巻付領域60の糸量を監視するための貯留センサ74は1つ配置されるのみであるが、この構成に限定されるわけではない。例えば、巻付領域の上流側に配置される上流側貯留センサと、巻付領域の下流側に配置される下流側貯留センサと、によって糸量が巻付領域に一定以上貯留されるように制御する構成とすることもできる。
【0075】
糸掛け部材22と弛み取りローラ21との間の相対回転に抗する抵抗トルクを発生させる手段は、磁気的手段に代えて、例えば、電磁石による電磁的手段、摩擦力による機械的手段などに変更することができる。
【0076】
上記実施形態の紡績機1は、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸送り装置11と、糸弛み取り装置12と、巻取装置13と、を主要な構成として備える構成であるが、上記実施形態は適宜変更することができる。例えば、上記実施形態の構成の一部を省略した構成や、他の部材を追加した構成に変更することができる。また、紡績機に限らず自動ワインダ等の他の繊維機械にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る紡績機の様子を示した正面図。
【図2】本実施形態の紡績機の側面断面図。
【図3】糸弛み取り装置及び巻取装置の制御の様子を示した模式断面図。
【図4】ローラ部の巻付領域の様子を示した側面図。
【図5】3段階でテーパ角度が小さくなる変形例のローラ部の巻付領域の様子を示した側面図。
【図6】逆テーパ部を備える変形例のローラ部の巻付領域の様子を示した側面図。
【符号の説明】
【0078】
1 紡績機(繊維機械)
12 糸弛み取り装置
42 ローラ部
60 巻付領域
62 第1テーパ部(上流側巻付領域)
63 第2テーパ部(下流側巻付領域)
74 貯留センサ(糸量検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き付けるためのローラ部を備え、繊維機械に用いられる糸弛み取り装置において、
前記ローラ部の糸を巻き付ける巻付領域の少なくとも一部は、糸の巻付けが開始される上流側から下流側に向かうに従って径が小さくなるテーパ状に形成されたテーパ巻付部を有しており、
前記テーパ巻付部のテーパ角度は、下流側に進むに従って段階的に緩やかになるように構成されることを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の糸弛み取り装置であって、
前記テーパ巻付部は、上流側巻付領域と下流側巻付領域とを有し、
前記下流側巻付領域のテーパ角度が前記上流側巻付領域のテーパ角度より小さく、
前記上流側巻付領域の面積は、前記下流側巻付領域の面積より小さくなるように構成されることを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の糸弛み取り装置であって、
前記上流側巻付領域のテーパ角度が1.5度以上3.5度以下であることを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の糸弛み取り装置であって、
前記ローラ部に貯留された糸量を検出するために、前記上流側巻付領域の近傍に配置される糸量検出部を備えることを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の糸弛み取り装置を備えることを特徴とする繊維機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−89908(P2010−89908A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261853(P2008−261853)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】