説明

紐通し具

【課題】ゴムや紐等を通す物を疵つけずに、紐、ゴム紐の太さや形状に対応して確実に通すことができ、さらに、組紐とゴム紐等異なる材質の紐を一緒に通すことができる紐通し具を提供する。
【解決手段】弾性材からなる線材を撚り合せて、複数のループを形成し、複数のループのそれぞれのループ長を、徐々に短くしたものである。また、弾性材からなる線材を撚り合せて、複数のループを形成し、複数のループのそれぞれの開口幅を徐々に狭めたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などに紐やゴム紐を通す為の通し具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紐通し具に関しては、金属線を折り曲げて強い撚りを作り、その後部に紐掛け部を設けた通し具が市販されている。また、狭持板に突刺体を取り付けて、ゴム紐を突き刺し拘止環で止め付ける通し具などがある。特許文献1については、丸棒状のステンレス、プラスチック等を2つ折りにして、末部を溶接にて止めたゴム紐通し具が記載されている。特許文献2については、ワイヤーの先端に案内部を設けると共に、後端部紐の先端を締着すべく、ループ状の紐取り付け部にスライド可能な締付体を設けてなる紐通し具が記載されている。特許文献3については、紐通し棒の後端部に設けられた紐通し穴の内部に針を設け、同針の先端は、紐通し棒の先端部に向けて設けたストッパー付き紐通し具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】 実開平2−61989号公報。
【特許文献2】 特開2001−131851号公報。
【特許文献3】 特開平11−61610号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の紐通し具は、紐通し棒の後部に紐掛け穴を設けた構造のため、紐を通している途中で紐が抜け落ちやすくなる。狭持板に突刺体を取り付けて、ゴム紐を突き刺拘止環で止め付ける通し具は、紐やゴム紐を傷つけやすい。紐が作業中に抜け落ちにくくしたことを目的とした特許文献1及び2,3がある。特許文献1については、撚りがないためゴム紐等に対してはさむ力が弱く、紐やゴム紐の太さ、形状に対応しきれない。特許文献2については、締付体、固着体が作業中に動いてゴムが伸びたとき、締めつけきれずに抜け落ちやすい。特許文献3については、ゴム紐を通す進行方向に針が向いているので、針が紐挿通孔に突き刺さりやすく疵つけやすく、ゴム、紐が緩んだとき抜け落ちやすい。また、いずれの従来例においても、紐又はゴム紐の太さに応じた抜け止めの対策がなされていない。さらに、1本の紐だけしか通せない。本発明の通し具は、このような従来の構成が有していた問題を解決するものであり、紐通し具により紐やゴム紐等がスカートやパンツ等通される物を疵つけずに、紐、ゴム紐の太さや形状に対応して、紐が抜け落ちることなく確実に通すことができ、さらに、複数の紐やゴム紐を同時に通すことができる紐通し具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明の通し具は、弾性材からなる線材を撚り合せて、複数のループを形成し、複数のループのそれぞれのループ長を、徐々に短くしたものである。
【0005】
請求項2に記載の本発明の紐通し具は、弾性材からなる線材を撚り合せて、複数のループを形成し、複数のループのそれぞれの開口幅を、徐々に狭めたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の請求項1に記載の紐通し具は、弾性材を撚り合されて形成される複数のループ長は、先端から他端に向かって徐々に短くなっているため、紐の太さ、形状によって紐が他端に向かうことにより、弾性材が紐により押し広げられ撚り戻されるので、弾性材がもとに戻る撚りの力が働き、紐通しの作業中に通し具から紐が抜け落ちない。また、連続している撚りがあるため、通し紐を締めつけるための強度が大きく生じて、紐の太さ形状によってループ長の異なる位置に紐が保持される。また、紐が通されるときは、紐は常に撚り合された短いループ長へと入って行くため押された状態を作りだすことにより、紐が通し具から抜け出せないという効果がある。すなわち、紐の太さ、形状によってループ長の撚りあわせの異なる位置に紐保持部を有するため、紐が通し具から落ちない効果がある。また従来の紐通し具は、1本の紐を通すことを目的としていたのに対し、本発明は同時に複数の組紐やゴム紐等、異なる材質の紐を通すことができるので作業効率がよい。
【0006】
請求項2記載の紐通し具は、撚りの長さは同じでも開口幅が先端から他端に向かって徐々に狭くなってているため紐の太さ、形状によって紐が他端に向かうことにより、弾性材が紐により押し広げられ撚り戻されるので、紐は常に撚り合された開口幅の狭い方へと入って行くため押された状態を作りだすことにより、作業中紐が通し具から抜け出ないという効果がある。すなわち、紐の太さ、形状によって開口幅の異なる位置に紐保持部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の第一の実施例である紐通し具を示す。
【図2】本発明の第二の実施例である紐通し具を示す。
【図3】本発明の第三の実施例である紐通し具を示す。
【図4】本発明の第四の実施例である紐通し具を示す。
【図5】本発明の第五の実施例である紐通し具を示す。
【実施例】
【0007】
本発明の実施例を図を参照して説明する。
図1は第一の実施例を示し、ステンレス等の弾性材からなる線材2を2つ折りにしてその両端をハンダや溶接3付け、又は、プラスチック等で止め付ける。又は、予め環状の線材2を使用し、先端のループ長L1から徐々に先端から他端のループ長L6に向かって徐々にループ長を短く撚り合せて、各ループ長の関係をL1>L2>L3>L4>L5>L6とする。この紐通し具1の紐5の通し方は、もっとも大きいループ長4から紐先端をくぐらせ、通し具に対し直角に紐5を他端に向けて強く引くと紐5の太さ、形状によってループ長の異なった位置で紐5が係止めされる。紐通しが終わり紐5を紐通し具1からはずすときは、紐5を先端に向かって引くことによりはずれる。
【0008】
図2は、第二の実施例を示し、紐通し具1のループ長を略同じくし、L1≒L2≒L3≒L4≒L5≒L6とする。紐通し具の長手方向に直交する方向の開口幅は徐々に先端から他端に向かって狭めてA1>A2>A3>A4>A5>A6とした紐通し具1を形成する。
【0009】
図3は、第三の実施例を示し、紐通し具1のもっとも大きいループ長4を中心にして、それぞれ左右に向かって徐々にループ長を小さくたL6>L5>L4>L3>L2>L1<L2<L3<L4<L5<L6とした紐通し具1を形成する。
【0010】
図4は、第四の実施例を示し、もっとも大きいループ長4A,4Bを両側にして徐々に中央に向かってループ長を小さくしたL1>L2>L3>L4>L5>L6<L5<L4<L3<L2<L1とした紐通し具1を形成する。紐通しの作業中次の動作に移るとき、左右同じ形状のため、進行方向の向きに気をつかうことなく作業能率が良い。
【0011】
図5は、第五の実施例を示し、最も大きいループ4A、4Bを両側にかつ、中心にループ4Cを形成する。両側のループ長から徐々に中央に向かってループ長を小さくし最少のループ長から徐々に中央に向かってループ長を大きくしたL1>L2>L3>L4>L5>L6<L5<L4<L3<L2<L1>L2>L3>L4>L5>L6<L5<L4<L3<L2<L1とした紐通し具1を形成する。この紐通し具1は、同時に複数の組紐5とゴム紐6等異なる材質の紐を通すことができる。本発明の紐通し具1は、ループ長や開口幅が大きい方から小さい方へと紐5が移動して行くため、紐5の太さ、形状によりループ長や開口幅の異なる位置に紐5が保持され、連続した撚りがある為、紐5が通し具1から抜け落ちない効果がある。従来の紐通し具1は、1本の紐5を通すことを目的としていたのにたいし、本発明は同時に複数の組紐5やゴム紐6等異なる材質の紐5を通すことができる。
【符号の説明】
【0008】
1 通し具
2 線材
3 溶接
4 もっとも大きいループ長
5 紐
6 ゴム紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材からなる線材を撚り合せて、複数のループを形成し、複数のループのそれぞれのループ長を、徐々に短くしたことを特徴とする紐通し具。
【請求項2】
弾性材からなる線材を撚り合せて、複数のループを形成し、複数のループのそれぞれの開口幅を徐々に狭めたことを特徴とする紐通し具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−102448(P2012−102448A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267607(P2010−267607)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(595138421)
【Fターム(参考)】