説明

純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜

【課題】純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜を提供する。
【解決手段】純金属のターゲット材料2を用い、反応性スパッタリング方法により作製された、高屈折率のフッ素ドープ酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜4であって、フッ素ドープ酸化金属薄膜は、ターゲット材料2からはじき飛ばされた金属原子が酸素ガスと結合することにより、金属酸化物が形成され、その金属酸化物が、フッ素を含むガスからはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子と反応して堆積して形成されものである。また、フッ化金属薄膜は、フッ素を含むガスを励起してはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子がターゲット材料に衝突し、金属原子がはじき飛ばされ、その金属原子と反応して堆積して形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜に属し、特に、純金属のターゲット材料を用いてスパッタ工程中に不活性ガス、酸素ガス及びフッ素を含むガスを導入することにより、成膜された高屈折率のフッ素をドープした酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、深紫外光メッキ膜は、ノテクノロジーにおいてもリソグラフィーにおいても重要な役割を担っている。また、フッ化物がより広いエネルギーバンドを有するため、紫外光を吸収することなく直接に通過するので、非常に重要な光学材料でもある。基本的には、熱蒸着法により成膜されるフッ素を含む薄膜ではより小さい光学吸収を有しており、しかし、蒸着堆積密度が低くなると、一般的に機械的性質が劣化していくので、環境に影響されやすい。例え、製造工程を伝統的なスパッタリング法に変更して行う場合では、堆積密度を増加して機械的性質を改善することができるが、深紫外光範囲での吸収に対しては大幅に増加してしまう傾向があって、製造工程にフッ素ガスを添加することでフッ素を含む薄膜の光学吸収を効果的に改善することができるが、危険性が高いから、お勧めするわけにはいかない。そのほかに、メッキ膜のターゲット材料については、高価格の高純度フッ化物を原料として使用されているので、コストを大幅に増大してしまう。さらに、ターゲット材料の成分が一定であることから、成膜された膜の品質の大部分においては、ターゲット材料の品質によって生成された薄膜の品質が左右され、即ち、ターゲット材料の品質が好ましくなければ、それによって生成されたフッ素をドープした酸化スズ薄膜の品質も相対的に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、純金属ターゲットを利用して、反応性スパッタリング方法を用いて高屈折率のフッ素をドープした酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜を作製して、その深紫外光メッキ膜を良好的な光学的性質と機械的性質を有させることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明に係る深紫外光メッキ膜は、スパッタ工程により作製された高屈折率のフッ素をドープした酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜からなるものである。しかも、そのフッ素をドープした酸化金属薄膜は、不活性ガスより励起されたプラズマから発生されたイオン化ガスを純金属ターゲット材料に衝突すると、ターゲット材料から金属原子がはじき飛ばされ、それを酸素ガスと結合することにより、金属酸化物が形成され、そしてその金属酸化物は、フッ素を含むガスを標準ガスが励起されたプラズマにより、フッ素を含むガスからはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子とを反応してから堆積して形成されものである。また、フッ化金属薄膜は、フッ素を含むガスを励起してはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子をターゲット材料に衝突すると、金属原子がはじき飛ばされ、それからその金属原子とを反応してから堆積して形成されものである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る深紫外光メッキ膜が比率が異なっているフッ素を含むガス及び酸素ガスによって作製されている場合において、それぞれの透過率の比較曲線図である。
【図3】本発明に係る深紫外光メッキ膜が作製直後のものと、空気中に2週間曝露されたものとの透過率の比較曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照し、この図に示されたものからわかるように、スパッタ設備1には、スパッタ反応チャンバー11が設置され、そのスパッタ反応チャンバー11はスパッタ電源12と接続され、そしてスパッタ反応チャンバー11内には、純金属之ターゲット材料2及び基板3が設置され、スパッタ設備1にて、スパッタ工程を行うとともに、不活性ガス、酸素ガス及びフッ素を含むガスをスパッタ反応チャンバー11内に導入することにより、基板3の表面に、高屈折率のフッ素をドープした酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜4を成膜させる。
【0007】
なお、該フッ素をドープした酸化金属薄膜は、不活性ガスをスパッタ設備1の前記スパッタ電源12によって励起して形成されたプラズマにより、イオン化ガスが発生され、そのイオン化ガスをターゲット材料2に衝突すると、ターゲット材料2から金属原子がはじき飛ばされ、この金属原子が酸素ガスと結合することにより、金属酸化物が形成され、続いてフッ素を含むガスを標準ガスが励起されたプラズマにより、フッ素を含むガスからフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子がはじき飛ばされるとともに、金属酸化物と反応してから、基板3の表面に堆積して形成されたフッ素をドープした酸化金属薄膜である。
【0008】
また、該フッ化金属薄膜は、フッ素を含むガスをスパッタ設備1のスパッタ電源12によって励起してはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子をターゲット材料2に衝突すると、ターゲット材料2から金属原子がはじき飛ばされ、フッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子は高活性を有することから、当該金属原子と反応してから、基板3の表面に堆積して形成された前記フッ化金属薄膜である。
【0009】
図1と図2を参照し、これらの図に示されたものからわかるように、本発明の深紫外光メッキ膜4が比率が異なっているフッ素を含むガス及び酸素ガスによって作製されるが、不活性ガス及び酸素ガスの流量が不変である。この実施例において、ターゲット材料2を高純度のアルミニウム(Al)とし、不活性ガスをアルゴンガス(Ar)とし、フッ素を含むガスを四フッ化炭素(CF)として実施する。そして四フッ化炭素(CF)と酸素ガスとの比率が0から0.243までに高くする時には、深紫外光範囲内の透過率が20%以上増加した。これによりわかるのは、フッ素を含むガスを増加した後、フッ素を含むガスをスパッタ設備1のスパッタ電源12によって励起してはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子をターゲット材料2に衝突することにより、反応して堆積されたフッ化金属薄膜によって紫外光メッキ膜4の透過率を増強させたことである。
【0010】
次に、図1と図3を参照し、これらの図に示されたものからわかるように、本発明の深紫外光メッキ膜4が作製直後の透過率は、空気中に2週間曝露された深紫外光メッキ膜4の透過率とほとんど変わらず、これは、構造が緻密であることから、深紫外光メッキ膜4に水や空気などが浸透してくるのを避けて、これにより、フッ素をドープした酸化金属薄膜が優れた機械的性質を有することも証明された。
【0011】
さらに、本発明のフッ素を含むガスとしては、四フッ化炭素(CF)の他に、六フッ化硫黄(SF)を使用することも可能で、且つフッ素を含むガスが四フッ化炭素(CF)を使用する場合に、酸素ガスによりフッ素を含むガスからはじき飛ばされるフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子の数量を増加することができる。また、該スパッタ電源12の出力としては、スマグネトロン直流、スマグネトロン無線周波数、パルススマグネトロン直流及び高出力パルススマグネトロン直流のいずれかに適してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
それ故に、本発明は従来技術の不十分と欠点を解消することができるとともに、その効果を増進することもできるようにし、そのキーポイントになる技術は続く詳細な説明に示される。
【0013】
(一)本発明は、純金属のターゲット材料2を利用して、スパッタ工程において、不活性ガス、酸素ガス及びフッ素を含むガスを導入することにより、成膜された高屈折率のフッ素をドープした酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜4が作製され、そのフッ化金属薄膜により深紫外光メッキ膜4の透過率を向上させ、しかもフッ素をドープした酸化金属薄膜により深紫外光メッキ膜4の機械的性質を向上させることを可能にした。
【0014】
(二)純金属をスパッタ工程中のターゲット材料2として用いるとともにスパッタ工程中に不活性ガス、酸素ガス及びフッ素を含むガスを導入することで、作製コストを低減するだけでなく、従来技術において、フッ素ガスを直接に導入することにより危険を引き起こしやすい問題を避けることもできた。
【符号の説明】
【0015】
1 スパッタ設備
11 スパッタ反応チャンバー
12 スパッタ電源
2 ターゲット材料
3 基板
4 深紫外光メッキ膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜であって、
スパッタ設備のスパッタ反応チャンバー内には、純金属のターゲット材料及び基板が設置され、且つ前記スパッタ反応チャンバーはスパッタ電源と接続されており、
前記スパッタ設備にて、スパッタ工程を行うとともに、不活性ガス、酸素ガス及びフッ素を含むガスを前記スパッタ反応チャンバー内に導入することにより、前記基板の表面に、高屈折率のフッ素をドープした酸化金属薄膜及び低屈折率のフッ化金属薄膜を備える深紫外光メッキ膜を成膜させることを特徴とする、純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜。
【請求項2】
前記フッ素をドープした酸化金属薄膜は、前記不活性ガスを前記スパッタ設備の前記スパッタ電源によって励起して形成されたプラズマにより、イオン化ガスが発生され、そのイオン化ガスを前記ターゲット材料に衝突すると、前記ターゲット材料から金属原子がはじき飛ばされ、当該金属原子が前記酸素ガスと結合することにより、金属酸化物を形成し、
続いて前記フッ素を含むガスを標準ガスが励起されたプラズマにより、フッ素を含むガスからフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子がはじき飛ばされるとともに、前記金属酸化物と反応してから、前記基板の表面に堆積して形成された前記フッ素をドープした酸化金属薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜。
【請求項3】
前記フッ化金属薄膜は、前記フッ素を含むガスを前記スパッタ設備の前記スパッタ電源によって励起してはじき飛ばされたフッ素(F)イオンとフッ素(F)励起態原子を前記ターゲット材料に衝突すると、前記ターゲット材料から金属原子がはじき飛ばされ、前記フッ素(F)イオンと前記フッ素(F)励起態原子は高活性を有することから、当該金属原子と反応してから、前記基板の表面に堆積して形成された前記フッ化金属薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の純金属ターゲットで反応性スパッタリング方法を用いて作製されたフッ化物及びフッ素をドープした酸化物薄膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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