説明

紙、板紙又は板の特性のモデル化

紙、板紙又は板などの最終生成品の特性は、その最終生成品のユーザによって重要である。望ましい質の最終生成品の製造を可能にするために、その最終生成品の製造に対して使用されたどの種類の製紙用パルプが、その最終生成品の特定の種類の特性をもたらすかを知ることが重要である。実施形態は、モデルを生成するために方法及び装置を提供し、そのモデルは、最終生成品の少なくとも1つの特性を、製紙用パルプの少なくとも1つの特性に関連付ける。そのモデルに基づいて、製造プロセスも制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、板紙又は板などの最終生成物の特性のモデル化に関し、特に、その最終生成物の所定の紙技術特性のモデル化において、その最終生成物を製造するために使用される繊維‐水混濁などの原料の分別の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、製紙の目的は、顧客が望む質に対応する紙を製造することである。紙質は、その紙の引張強度、基本重量及び表面特性などの数個の異なるパラメータで表現されてよい。上記の紙の紙技術特性は、例えば、製紙に対して使用される製紙用パルプの質を含んだ数個の因子に依存する。製紙用パルプは、パルプを抄紙機のワイヤに供給することによって及びそのパルプを紙の中へ乾燥させることによって使用される。パルプは、また、新聞印刷用紙などの再生繊維で、再生繊維プロセスによって製造されてもよい。さらに、その紙質は、その紙を生成する抄紙機の異なる作動にかなりの程度依存することが明らかである。
【0003】
製紙用パルプは、従って、セルロース、ミネラル及び化学品などの繊維混濁を含む紙、板紙又は板の製造に使用される中間製品である。しかし、その製紙用パルプのほとんどは、繊維を分散させ、柔軟にする水である。
【0004】
製紙用パルプは、いくつかの異なる方法で生成されてよく、その製造に影響を与えるいくつかの異なるプロセスがあることから、異なる方法で生成された製紙用パルプは、かなり異なる特性を有することが明らかである。従って、最終生成物として生成された紙、板紙又は板の技術特性は、使用された製紙用パルプによってかなり変動するかもしれない。従って、その製紙用パルプの質が正確に決定できない場合、最終生成物の紙技術特性の値を評価することは極度に困難である。所定の質の紙、板紙又は板を得るために、この方法において製紙用パルプの質を一定に保つことによってこの問題を解決する試みがされている。
【0005】
上記の配置における問題は、製紙用パルプの特性を一定に保つことが困難であり、顧客が所定の質の紙、板紙又は板を持つことを望む場合にその望ましい質を提供する製紙用パルプの特性を検索することは、時間及び資源を必要とする作業である。従って、望ましいタイプ及び質の最終生成物を生成するためには、過度な資源の浪費をせずにこれが可能である手段によって解決策を提供することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従って、上記の問題を解決できるような方法を実施する方法及び装置を供給することである。本発明の目的は、独立請求項において記載される事項によって特徴付けられる方法及び配置で成し遂げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従って、独立請求項1、19及び37乃至39において開示される方法に関する。
【0008】
本発明は、従って、独立請求項10及び28において開示される装置に関する。
【0009】
本発明の望ましい実施形態は、従属項において開示される。
【0010】
その方法を本発明に従って実施する方法及び装置の利点は、例えば、リアルタイムで最終生成物を制御することを含む。
【0011】
本発明は、ここで、添付の図表に関して、望ましい実施形態に関連してより詳しく記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】抄紙機の一般的構造を示す図である。
【図2】モデルの生成の原理を示す図である。
【図3】分留装置の構造を示す図である。
【図4】制御の原理を示す図である。
【図5】モデルによって最終生成物の特性を決定する方法を示す図である。
【図6】モデルによって最終生成物の質を制御する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
図1は、抄紙機の原則に基づいた構造を示す。1つ又はそれ以上のパルプが、ワイヤ・ウェル(wire well)100によって抄紙機の中へ供給され、それは、通常、パルプ部分の混合タンク130及び機械タンク132によって始まる。機械パルプは、例えば、基本重量制御又は品質等級変更プログラムによって制御される短い循環にまとめられる。その混合タンク130及び機械タンク132は、個別の混合反応器(図1に表示されない)によって置き換えられ、機械パルプの計量は、弁又はもう1つの流れ制御部材128によって分離される各パルプ部分の供給によって制御される。ワイヤ・ウェル100において、その短い循環に対して望ましい整合性を得るために、水がその機械パルプの中へ混合される。製紙用パルプを希釈するために使用される水が形成器110から(形成器110からワイヤ・ウェル100への破線)得られるような方法で、水が抄紙機において循環させられてよい。浄水装置102は、砂(渦洗浄機)、空気(空気除去タンク)及び生成されたパルプからの他の粗い材料(圧力スクリーン)を除去するために使用されてよく、パルプは、ポンプ104によってヘッドボックス106の中へ投入される。そのヘッドボックス106の前に、例えば、カオリン(kaoline)、炭酸カルシウム、タルク、チョーク、酸化チタン及び滴中土などを含む充填剤TA、及び/又は、無機、天然有機又は合成水溶性有機ポリマーを含む保持剤RAが、必要な場合そのパルプに添加されてよい。充填剤は、形成、表面特性、不透過率、輝度及び印刷適性の改善及び製造費用の低減を可能にする。保持剤RAは、その代わりに、微粒子及び充填剤の保持率を増やし、同時に、そのような周知の方法で除水を加速する。充填剤及び保持剤の両方及び製紙用パルプ及びそれの化学は、ウェブ(web)及び紙の表面の形状に影響を与える。
【0014】
ヘッドボックス106は、抄紙機の開始部分の第1部分であり、製紙用パルプをワイヤ上に供給し、ウェブを形成するタスクを有する。そのヘッドボックス106は、ウェブを形成するために製紙用パルプを供給するとき、乱流を生成する傾向がある。乱流によって、その製紙用パルプの繊維は、そのワイヤの方向においてだけではなく、可能な限り均一にウェブへと形成される。その供給の前に、ヘッドボックス106におけるパルプは、繊維の束が崩壊するように激しくかき混ぜられる。その扇動及び乱流の生成は、整流器ロール(rectifier-roll)ヘッドボックスにおけるような、スクリーン・タイプのロールの高い回転速度によって、又は水力ヘッドボックスにおけるような弱まっている流れチャンネルによって起こってよい。そのヘッドボックス106に前に、通常、パルプが紙ボックスの中へ移動するようにそのパルプに影響を与える構成要素129がある。そのような構成要素は、例えば、精製機及び/又はスクリーン(図1に表示されない)であってもよく、パルプは、それによって処理されるヘッドボックス106の中へ移動する。精製機の目的は、繊維が、例えばその表面構造が、以前よりも強い接着を可能にするか又はそれらの機械的特性が望ましいラインに沿って変化するような方法で、その繊維を扱う。スクリーンによって、パルプは、望ましい特性を得るために個別に処理されてよい異なる割合に分割されてよい。
【0015】
ヘッドボックス106から、そのパルプは、そのヘッドボックスのスライス108を通して、長網抄紙機、ギャップ形成器、ハイブリッド形成器または円筒型形成器などであってよい形成器110へと供給される。形成器110において、水がウェブ10から除去され、さらに、灰、微粒子及び繊維が、短い循環へと除去される。形成器110において、そのパルプは、ウェブ10を形成するようにワイヤ上へと供給され、そのウェブ10は、圧搾機112において事前に乾燥され押される。その圧搾機において、製紙用パルプは、2つのフェルト間を移動し、その紙がそのフェルトを通り抜ける間、水が、その製紙用パルプからフェルトの中へと除去される。1つの圧搾部分において、2つよりも多くのフェルトがあってもよい。それらのフェルトは、フェルト循環において洗浄され、それによって、再び製紙用パルプから除水する用意ができる。ウェブ10は、乾燥装置14において実際に乾燥され、その装置は、異なるタイプであってよい。最も一般的なタイプは、ウェブが大きな加熱されたシリンダーの表面上を移動するシリンダー乾燥法である。そのシリンダーの表面は、暖かいことから、水は、ウェブから蒸発する。その生成される蒸気は、抄紙機の他の作動に使用されるようにそのシリンダーから集められる。他の乾燥の様式は、例えば、通風乾燥又は赤外乾燥を含む。
【0016】
本出願の内容では、紙、板紙及び板の製造機及びセルロース製造機に言及する抄紙機は、前カレンダ(pre-calender)138、コーティング部分140及び/又は後カレンダ(post-calender)142をさらに含んでよい。しかし、コーティング部分140は、必ずしも無くてよいことから、1つのカレンダ138、142より多くを有する必要は無い。コーティング部分140において、コーティング・スリップがその紙の表面上に塗られてよく、スリップは、カオリン(kaoline)、タルク又は炭酸、スターチ及び/又はラテックスを含んでよい。コーティング・スリップの使用は、通常、その紙の粗さを減らし、光沢度を増やす。
【0017】
コーティングされていない又はコーティングされた紙ウェブが、望ましい力で押すロール間を移動するカレンダ138、142において、その紙の粗さなどの表面形状が変わってもよい。カレンダ138、142は、また、その紙の厚さ及び/又は光沢度に影響を与えてもよい。カレンダ138、142において、その紙ウェブの特性は、そのウェブの湿潤、ロール間の温度及び挟み荷重(nip loading)によって、そのウェブに向けられる押し付けが大きいほどその紙がより滑らか且つ光沢を持つように、変えてもよい。湿潤及び温度の上昇は、さらに、粗さを低減し、光沢度を増やす。
【0018】
望まれるように処理されてきたことにより、その紙は、リール・アップ・ユニット(reel-up unit)において機械リールの中に巻かれてもよい。これに加えて、抄紙器の作動は、当業者に知られていることは明らかであることから、この内容においては、さらに詳しくは記載されない。
【0019】
図1は、また、抄紙器の制御配置も示す。質に関連する因子は、パルプ部分の数及びそれらの互いに関しての割合、充填剤の量、保持剤の量、機械速度、ワイヤ水の量及び乾燥効率を含む。コントローラ126は、弁128によってパルプ部分の計量を制御し、弁136によって充填剤TAの計量を制御し、弁134によって保持剤RAの計量を制御し、スライス108のサイズを制御し、機械速度を制御し、ワイヤ水の量及びブロック114における乾燥プロセスを制御する。そのコントローラ126は、また、測定装置116から120までを、制御測定、質及び/又は品質等級変更を監視するために使用する。少なくとも1つの測定部分116乃至124が、ウェブ10の表面形状を測定するために使用されてもよい。コントローラ126は、また、他の部分(例えば、制御測定がされた同じ地点)におけるウェブ10の特性を測定してもよい。
【0020】
コントローラ126は、抄紙器又はその一部分の自動的データ処理に基づいた制御配置として見なしてよい。そのコントローラ126は、デジタル信号を受信するか又はそれが受信したアナログ信号をデジタル信号に変換してもよい。コントローラ126は、マイクロプロセッサ及びメモリを含み、適切なコンピュータ・プログラムに従って信号処理を実行してもよい。コントローラ126の原理は、例えば、PID(比例・積分・微分)、MPC(モデル予測制御)又はGPC(一般予測制御)であってよい。
【0021】
図2は、本発明の1つの実施形態に従って、モデルの生成を実施する配置を示す。サンプル220が、ヘッドボックス220の中へと搬送されるべき又はその中へ前進している、最終生成物206を製造するために使用される液体繊維パルプから取られる。そのサンプル220が、分留装置202に取られてよく、その装置においてサンプル220は、例えば、粒子の流体力学的流動抵抗に従って配置される。少なくとも1つの特性は、一瞬の時間T1において少なくとも2つの粒子サイズでサンプル220から決定される。その実施形態によると、少なくとも1つの特性は、一瞬の時間T1よりも遅い一瞬の時間T2において、その最終生成物206から決定される。さらに、その最終生成物206の決定された少なくとも1つの特性に少なくとも基づいたモデル及びサンプル220の少なくとも1つの特性が生成される。そのモデルは、最終生成物206のモデル化に対して使用されてよく、又はその最終生成物206の製造プロセスを制御するために使用されてもよい。
【0022】
分留装置は、図3に示されるものに似ていてよく、その作動が次に記載される。液体繊維パルプ・サンプルが、弁302によって、そのサンプルを前方に押す水の圧力、流れ及び温度がレギュレータ300によって制御される管304の中へ供給されてよい。その分別を実行している管304は、任意の長さ及び厚さを有してよい。その管の長さは、数十又は数百メートルでさえあってよく、その管の直径は、数十センチメートルでさえあってよい。しかし、その管の直径は、可能な限り小さいことが望ましく、1ミリメートル未満でさえも望ましい。管304は、プラスチック、金属などのポリマーで製造されてよい。
【0023】
そのサンプルが管304に流れるとき、そのサンプルの固体物質の粒子は、最も大きい粒子がそのサンプルの前方部分において集められ、最も小さい粒子はそのサンプルの後方部分において集められるように、粒子サイズに従って配置される。大きい粒子は、従って、小さい粒子よりも速く流れる。そのサンプルの粒子は、粒子サイズに従って割合に分割して配置されてよく、割合の各々は、望ましい上限と望ましい下限との間の粒子を含む。この方法において、1つの実施形態に従って、サンプルの粒子は、粒子サイズに従って、すなわち粒子の流体力学的流動抵抗に従って配置される。そのサンプルにおける繊維の特性を表わすパラメータは、例えば、その繊維の長さ、その繊維の長さ分布、その繊維束の数、輝度、RI値(残留インク)又はカラーなどのその繊維の光学特性、その繊維の幅、その繊維の壁強度、線形密度、微粒子の量、その繊維のしわ、その繊維の外部細動、その繊維の導電性及び誘電率、及びその繊維の音速を含む。
【0024】
望まれる場合、そのサンプルはサンプル受け取り器314乃至320の中へ分割されてよく、N個のサンプル受け取り器があってよく、Nは、正の整数で、2に等しいかそれよりも大きい。そのサンプル受け取り器314乃至320における割合の各々は、ラボにおいて測定されるか、又は、それらの割合は、分留管304において流れるサンプルと同じく、1つ又はそれ以上の測定方法を使用して測定されてよい。
【0025】
従って、1つの実施形態に従って、サンプルの少なくとも1つの特性が、一瞬の時間T1において少なくとも2つの粒子サイズで決定される。1つの実施形態によると、少なくとも1つの特性は、サンプル受け取り器314乃至320から、少なくとも2つのサンプル受け取り器314乃至320から測定を実施することによって、測定してよい。1つの実施形態によると、少なくとも1つの特性は、分留管におけるサンプルから、その分留管の少なくとも2つの地点から測定を実施することによって測定してよい。その代わりに、少なくとも1つの特性は、2つの異なる瞬間の時間において、分留管の1つの地点から決定されてもよく、そうすることによって、後の瞬間に異なるサイズの粒子のグループが、その分留管の測定地点に移動する。その分留管の測定地点は、少なくとも1つの特性を見つけるために望まれる測定を実施することが出来るゲート状の測定地点である。その分留管は、例えば、透明であってよい。さらに、少なくとも1つの特性を決定する異なる方法が、例えば、1つの特性が分留管から直接測定され、もう1つの特性がサンプル受け取り器314乃至320から測定されるように組み合わせられてよい。分別は、管内流分留装置と呼ばれるもの又はフィールド・フロー分留装置と呼ばれるもののいずれか一方で実施されてよい。その分別を、サイクロン原理などの超音波又は動作フィールドを使用することによって、分別を実施することも可能である。
【0026】
通常、その分留装置によって分離され粒子サイズは、非常に小さい束に分割される。その結果として、その分留装置の出力で異なる粒子サイズを持つ非常に多数の割合が存在する。1つの実施形態に従って、少なくとも1つの特性が計算されている割合の数が減少する。言い換えれば、出力データの寸法が減少する。減少は、例えば、少なくとも1つの特性が、オリジナルの模範的な3000個の割合のうち30個の割合だけに対して計算されることである。他の如何なる減少比も可能である。
【0027】
そのサンプルの少なくとも1つの特性は、分留管の中を流れた液体繊維パルプの体積の関数として整合性情報を表わしてよい。さらに、そのサンプルの少なくとも1つの特性は、その液体繊維パルプにおいてどのくらい繊維又は充填剤があるかを表わしてよい。
【0028】
従って、分留装置は、そのパルプ・サンプルを、管内流分別の原理で連続的な割合に分割する装置である。これらの割合の濃度及び/又は光学特性は、電気化学、光学、電磁気学又は、Metso Automationによって製造されたkajaaniRM3TM送信器などの機械的送信器を使用して測定されてよい。kajaaniRM3送信器は、この場合、分留装置によって分離され、所定の粒子サイズを有するサンプルへ向けるなど、分析する物体へ向けて所定の波長の光を発信する。そのサンプルの灰分は、例えば、kajaaniRM3送信器によって表わすことができる。当然のことながら、他の光学的送信器もまた、kajaaniRM3送信器の代わりに使用されてもよい。さらに、1つの実施形態によると、数個の異なる送信器が同時にオンにされ、サンプルの少なくとも1つの特性を決定するために使用されてもよい。
【0029】
1つの実施形態によると、少なくとも1つの光学的特性は、少なくとも2つの異なる粒子サイズを持つサンプルから決定される。その光学的特性は、kajaaniRM3送信器などの光学的送信器を使用することによって見つけることが出来る。光学的送信器で、望ましい波長を持つ光学的信号が、分析するべき物体へ向けて送信されてよい。それらの信号によって、少なくとも1つの光学的特性を見つけることが出来、その特性は、1つの実施形態に従って:光の吸収、光の分散及び光の偏光解消、のうちのいずれか1つである。光の反射などの他の光学的特性もまた使用されてよい。光は、ここでは、可視光(400nmから700nmまでの波長)だけに関していなく、他の光学的放射であってもよい。従って、光は、50nmから5000nmまでの波長を持つ全ての光学的放射に関する。
【0030】
光の吸収は、分析されるべき物体に光を「浸すこと(soaking)」、すなわち、この場合、所定の粒子サイズを持つサンプルへの光の吸収を意味する。光の分散は、サンプルに到達するとき、光がいくつかの異なる方向に分散されることを意味する。分散は、液体繊維パルプ・サンプルにおける粒子及び液体の屈折率からもたらされる。光の偏光解消(複屈折)は、光の偏光面がどのくらい回転するかを表わす。この場合、偏光解消は、そのサンプル・パルプがどのくらい複屈折性であるかを表わす。言い換えれば、光の伝播方向に関する光の振動周波数が、例えば、垂直偏波などの他のタイプの偏光を好む場合、そのサンプル・パルプにおける分子は、このタイプの光がそのサンプル・パルプに当たるとき、その光の偏光面を回転してもよい。そのような分子が多いほど、その偏光面はより回転する。従って、光の偏光解消は、そのサンプル・パルプにおける繊維、結晶性セルロースなどの量を表わす。
【0031】
一般的な光学的特性など、これらの3つの光学的特性の各々は、使用される光学的信号の波長によって影響を受ける。従って、1つの実施形態に従って、少なくとも1つの光学的特性は、その光学的特性を決定するために使用された光の少なくとも2つの波長によって決定される。その使用された波長は、任意に選択されてよい。その使用された波長は、例えば、レーザー光の所定の波長及びLED光(LED=発光ダイオード)の所定の波長であってよい。
【0032】
そのサンプルの、少なくとも2つの異なる粒子サイズで測定される少なくとも1つの特性は、光学的特性の代わりに、例えば、そのサンプルの電気を伝導する能力であってよい。従って、その少なくとも1つの特性は、また、所定の粒子サイズを持つ液体繊維パルプ・サンプルの導電性も表わす。さらに、光学的特性及び導電性などの他の特性の両方がそのサンプルから測定されてもよく、これらの特性の両方が使用されてよい。
【0033】
図3をさらに詳しく分析されたい。少なくとも1つの光学的特性を決定するために、図3における配置は、光学的信号が、例えば、透明な分留管において流れるサンプルに遭遇するときにその信号における変化を分析することができる少なくとも1つのプロセッサを含む。光学的放射の源308は、所定の波長で光学的信号を生成するように配置されてもよく、プロセッサは、光の光学的特性のどのくらいが、その流れるサンプルに当たるときに変化するかを決定してよい。光学的信号は、本文献では、任意に選択されている波長を有する電磁放射線を意味する。
【0034】
そのプロセッサは、例えば、カメラ306であってよい。1つ又はそれ以上のカメラ306があってよい。カメラ306から、1つ又は複数の画像が、画像処理ユニット310へ転送され、そこでその画像は、ディスプレイ312に転送されてよい。その画像は、例えば、モノクロ階調又はカラー画像として表示されてよい。その画像処理ユニット310は、プロセッサ、メモリ、及びその画像処理を実行するために必要な1つ又はそれ以上のコンピュータ・プログラムを含む。1つ又は複数の画像もまた、カメラ306から、画像処理ユニット310で実行される処理をせずに直接ディスプレイ312へ転送されてもよい。各画像は、静止画像又はビデオ画像であってよい。各静止画像は、1つの割合を表してよく、あるいは、1つの割合を示す画像は、画像のグループから選択されてもよい。ビデオ画像は、その代わりに、そのサンプルの開始端から終了端までの場面を示す静止画像のシーケンスであってよい。次に、1つが第1画像(そのサンプルの開始端におけるより大きい粒子の画像)から画像毎に進んでいく場合、それらの粒子の平均サイズは減少する。さらに、割合の整合性は、光学的放射の減衰を使用することによって及び場合によっては偏光における変化も使用することによって、光学的に測定してよい。
【0035】
光パワー源308は、LED、フィラメント、ランプ、ガス放電ランプ、レーザーなどであってよく、その光パワー源308は、パルス化した方法で又は連続的にその物体を照射してよい。例えば、CCDカメラ(電荷結合素子)又はCMOSカメラ(相補型金属酸化膜半導体)であってよいカメラ306は、その管304における液体繊維パルプ・サンプルの1つ又は複数の画像を、その光パワー源308がある側又はその反対側の何れか一方において撮像する。
【0036】
その少なくとも1つの特性は、各割合によって反射した光学的放射のスペクトルに基づいて決定してよい。粒子の色、輝度、その他、及び測定されるべき望ましいパラメータは、そのスペクトルから決定することができる。
【0037】
その粒子特性の光学的測定は、従って、例えば分光的に又は画像解析によって実施してよく、それらの測定は、流れているサンプル又は割合に対するサンプル受け取り器に向けてもよい。その光学的測定は、1つの実施形態によると、光学的放射の偏光を使用してよい吸収、反射又は分散の測定であってよい。
【0038】
1つの実施形態に従って、そのサンプルの少なくとも1つの特性は、分留装置を使用しないで測定されてもよい。その原理は、少なくとも1つの特性は、液体繊維パルプの2つ又はそれ以上の割合から決定されることであり、その特性は、例えば、上記で説明したように、光学的特性又はサンプルの電気を伝導する能力であってよい。決定された少なくとも1つの特性は、次に、最終生成物のモデル化及びプロセスの制御に使用されてよい。その少なくとも2つの異なる割合で決定される少なくとも1つの特性は、分留装置の代わりに測定された信号から決定されてもよい。
【0039】
図2を再び分析されたい。上記に記載されたように、液体繊維パルプは、ヘッドボックスから、ワイヤ上などの抄紙機204の他の部分へと移動し、乾燥機構へと移動し、最後に最終生成物206として形成される。その最終生成物は、例えば、紙、板紙又は板であってよい。1つの実施形態に従って、少なくとも1つの特性は、製造プロセスに影響を与える時間定数を考慮した方法で、一瞬の時間T1よりも後の一瞬の時間T2において、その最終生成物206から決定される。
【0040】
その一瞬の時間T2は、一瞬の時間T1に依存し、それは、その一瞬の時間T2が、液体繊維パルプがサンプル220のサンプリング位置から、最終生成物として形成されるように抄紙機の中を移動している瞬間であるような方法で依存し、繊維パルプからサンプル220が取られ、そのサンプル220から少なくとも1つの特性が決定される。言い換えれば、一瞬の時間T2は、抄紙機の長さ及びその抄紙機がパルプを移動する速度によって影響される。1つの実施形態において、T2=T1+(その抄紙機の長さを材料の移動速度で割った値)である。
【0041】
その最終生成物206の少なくとも1つの特性は、引張強度、表面の粗さ、表面の光沢度、基本重量、湿潤、カラーなどの紙技術の特性であってよい。その特性は、紙リール、板紙又は板から、例えばラボ・ツール208又は他の測定を使用することによって、その最終生成物から決定してもよい。これは、例えば、PaperLab測定装置であってよい。
【0042】
その特性は、ウェブからなど、抄紙機204の一部分の最終生成物から、その抄紙機204の一部分の後に図1における測定装置116乃至120を使用することによって決定してもよい。
【0043】
その最終生成物の少なくとも1つの特性及びその最終生成物を製造するために使用された液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が既知であるとき、この情報は、現在の瞬間においてそのパルプの特定の紙技術を生成する特性が決定され得るモデルを構成するときに、使用してもよい。このようにして、1つの実施形態に従って、最終生成物206の決定された少なくとも1つの特性及び少なくとも2つの粒子サイズを持つサンプルの少なくとも1つの特性に基づいたモデルが生成される。言い換えれば、プロセッサ210は、最終生成物の決定された少なくとも1つの特性及びサンプル220の少なくとも1つの特性に基づいて、液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が既知である場合に、最終生成物の少なくとも1つの特性が決定されるモデルを生成してもよい。従って、そのモデルは、ソフト・センサー・モデル化に使用されてよい。ソフト・センサー・モデル化は、情報のいくらかが一緒に処理され、この共同処理によって計算的に新しい情報を産出することを意味する。
【0044】
この後に、1つの実施形態に従って、新しいサンプル220が、最終生成物260を製造するために使用された液体繊維パルプから摂取され、そのサンプル220の粒子は、粒子サイズに従って配置される。そうすることによって、そのサンプル220の少なくとも1つの特性を、少なくとも2つの異なる粒子サイズで、一瞬の時間T2よりも後の一瞬の時間T3において決定する。次に、最終生成物206の少なくとも1つの特性は、サンプル220の少なくとも1つの特性が、一瞬の時間T3よりも後の一瞬の時間T4において既知である場合、生成されたモデルに基づいて決定される。
【0045】
そのモデルは、数学的に集められたデータに基づいて構成されてよい。そのモデルは、その最終生成物及び製紙用パルプの特性に関する統計に基づいていてよい。代替として、そのモデルは、また、MLP(多層パーセプトロン)、ICA(独立成分分析)又は類似物などの周知の方法を使用することによって生成されてもよい。
【0046】
モデルMの編集は、収集された割合に特有の特性の分類及びそれらのモデルMの作成への使用に基づいている。例えば、所定の数の変数を所定の数の割合の各々に対して含んでよい変数グループの中で、モデルMは、製紙用パルプの特性及び最終生成物の特性を互いに関連付けるように構成することができる。変数の所定の数は、例えば、5であってよく、1つの波長の光の吸収A1、反射S1及び偏光解消D1を含み、もう1つの波長の光の吸収A2、反射S2を含む。変数が計算される割合の数が、例えば、30(可能な換算の後に)であり、モデルMを生成することにおける合計の変数の数は、この場合、30×5=150変数である。少なくとも1つの特性eが、この変数グループJに対応する最終生成物から決定される。
【0047】
所定の種類の波長を使用するとき、粒子サイズ(割合)の関数としての偏光解消における変化など、複数の値が、各変数に対して割合の関数として決定されてもよい。液体繊維状サンプルから決定されるべき特性(変数)は、例えば、変数から割合の関数として得られる値が可能な限り低いノイズを含むという条件を満たすような変数を見つけることが目的である方法で選択されてよい。その選択された変数は、また、上述のノイズの量の検査無しで事前に決定されてもよい。
【0048】
1つの実施形態によると、そのモデルは線形である。従って、線形モデルMは、変数グループで構成され、少なくとも1つの特性eに対して測定される。これは、例えば、変数e=M・Jであるように実行されてよく、・はモデル・ベクトルMと決定された変数ベクトルJとの間のドット積を示す。30割合及び割合毎に5個の変数がある以前の例によると、以下の数式を特性eに対して形成することができる:
【数1】

Miは、モデル・マトリクスのi番目の要素である。
【0049】
1つの実施形態に従って、そのモデルは、少なくとも1つの定数項がそれに加えられるような方法で生成される。その定数項cは、例えば、定数c、すなわちe=c+M・Jが、その最終生成物の少なくとも1つの特性eの数式に加えられるような方法でそのモデルに加えられてよい。定数項は、そのモデルが容易に較正されることを可能にする。例えば、ゼロ点の位置が、その定数項cによってそのモデルに対して見つけることができる。そのモデルは、例えば、引張強度又は引裂強度などのラボ・ツール208のしきい値に対して較正されてよい。
【0050】
1つの実施形態に従って、モデルは、この場合も、紙又は板紙の製造機械の設定パラメータ、又は、流れ、温度若しくは圧力、色、輝度またはパルプのフロック情報、整合性、濁度、導電性、化学的もしくは生物学的酸素消費量、酸性度又は類似物などの光学的パラメータなどの測定される変数など、少なくとも1つのさらなる情報に基づいて生成される。従って、分留装置によって供給される少なくとも1つの特性及び最終生成物から決定される少なくとも1つの特性に加えて、少なくとも1つの外部の情報がそのモデルに追加されてよい。この外部の情報は、例えば、工業データ・システム又は工業生産システムから発生してもよい。言い換えれば、そのモデルは、工業データ・システムから少なくとも1つの情報をさらに含んでもよい。従って、少なくとも1つのスカラー又はスペクトル変数が、そのモデルに追加されてよい。その情報は、例えば、ヘッドボックス200におけるノズルの位置、挟み圧力など抄紙機204における器具に関する情報、分留装置202に関する情報、ラボ・ツール208に関する情報、空気湿度に関する情報、蒸気の消費に関する情報などを表わしてよい。
【0051】
従って、そのモデルは、最終生成物が完成する前には予測できない特性を予測するために使用されてもよい。言い換えれば、そのモデルに基づいて、そのヘッドボックスにおける液体繊維パルプは、その最終生成物の望まれる特性が周知である場合、望まれる限り制御されてもよい。これは、図4によって説明される。
【0052】
顧客414は、最終生成物406のどのような種類の所定の特性をその顧客414が有することを望むかを知らせてよい。コントローラ412が、従って、その最終生成物の少なくとも1つの望ましい特性に関する情報を受け取るように配置されてよい。さらに、そのコントローラ412は、その最終生成物406の少なくとも1つの特性を、その最終生成物406の製造に使用された液体繊維パルプの少なくとも1つの特性に関連付けるモデルMに関する情報を取得するように配置されてよい。これに関して、そのモデルに関する情報の取得は、コントローラ412がそのモデルの生成を実行するプロセッサ210から、そのモデルに関数情報を得ることを意味するか、あるいは、そのコントローラ自体がモデルMを決定することを意味してよい。後者の場合、プロセッサ210は、個別には必要とされないが、コントローラ412に一体化されるか、又はコントローラ412自体がモデルMの生成を実施してよい。
【0053】
1つの実施形態に従って、コントローラ412は、液体繊維パルプの少なくとも1つの特性を、それがモデルMに基づいて最終生成物406の少なくとも1つの望ましい特性を産出するように制御してよい。そのモデルに基づいて、例えば、精製機のブレード・ギャップ(blade gap)、エネルギー又は供給整合性を制御することが出来る。スクリーンもまた、例えば供給整合性又は流れによって、望ましい方法で繊維パルプを検査するように制御することができる。これらの制御測定の目的は、原材料における変化を標準化すること又はその製紙用パルプを、その特性が望ましいタイプであるように制御することである。液体繊維パルプは、ヘッドボックス400に位置していてよい。コントローラ412は、次に、繊維パルプが望ましいタイプであるようにその繊維パルプを制御するために使用されてよい。例えば、ヘッドボックス・パルプの質量ポテンシャルが制御の対象であってよい。制御は、精製機、スクリーン及び/又はヘッドボックス400のアプローチ・ラインに供給されるべき化学品などのヘッドボックスの前の構成要素402が、ヘッドボックス400における液体繊維パルプが望ましいタイプであるように制御されることを意味してよい。この制御は、測定される変数(変数ベクトル)Jの既知の分布では、生産プロセスは安定しており、エネルギー効率が良い、あるいは、最終生成物の特性が望ましいタイプであるという事実に基づいてよい。制御は、また、事前に決定された機能的ウィンドウにおいてモデル予測を保持することを目的とするモデルに基づいた最適化に基づいてよい。制御は、精製、スクリーニング又は化学化などのプロセス段階で取られる調整測定に基づいており、その調整測定は、測定される変数Jの分布を変化させる。さらに、再生繊維プロセスなどのヘッドボックス・パルプの形成は、ヘッドボックス400における液体繊維パルプが望ましいタイプであるように制御されてよい。再生繊維プロセスの制御/管理は、そのプロセスにおいて化学品の量を制御すること、浮選セルの使用、エネルギーの分散又はそれに似たものに言及してよい。1つの実施形態によると、そのモデルMは:精製機の作動の管理、スクリーンの作動の管理及び再生繊維プロセスの管理、のうち少なくとも1つに対して使用される。
【0054】
さらに、図1の弁128、混合タンク130及び機械タンク132など、製紙用パルプの質に影響を与える抄紙機404の部品は、望ましいタイプの製紙用パルプを得るためにモデルに基づいて図4のコントローラ412で制御してよい。
【0055】
モデルMもまた、最終生成物を形成するためのプロセスがリアルタイムで制御されるオンライン・プロセスにおいて使用されてもよい。従って、少なくとも1つの特性が、そのヘッドボックスにおけるパルプから、分留装置によって繰り返される間隔で又は望まれるときに計算され、そのパルプにおける変化は、例えば上述の方法においてパルプが望ましいタイプであるようにそのパルプを制御することによって、そのパルプにおける変化がリアルタイムで応答される。
【0056】
図5は、最終生成物である紙、板紙、板の少なくとも1つの特性のモデル化の方法を示す。その方法は、ポイント500で開始する。ポイント502で、サンプルが、その最終生成物を製造するために使用される液体繊維パルプから取られる。ポイント504で、そのサンプルの粒子が、粒子サイズに従って配置される。ポイント506で、そのサンプルの少なくとも1つの特性が、一瞬の時間T1で少なくとも2つの異なる粒子サイズで決定される。ポイント508で、少なくとも1つの特性は、一瞬の時間T1の後の一瞬の時間T2でその最終生成物から決定される。ポイント510で、その最終生成物の少なくとも1つの特性及びサンプルの少なくとも1つの特性に基づいてモデルが生成される。一瞬の時間T2よりも後の一瞬の時間T3で、少なくとも1つの特性は、液体繊維パルプから取られた新しいサンプルから決定されてよい。その液体繊維パルプは、一瞬の時間T1で取られたサンプルの液体繊維パルプとは異なってよい。ポイント512で、最終生成物の少なくとも1つの特性が、一瞬の時間T3の後の一瞬の時間T4に、そのサンプルの少なくとも1つの特性が既知である場合に、生成されたモデルに基づいてモデル化される。その方法は、ポイント514で終了する。
【0057】
図6は、最終生成物である紙、板紙又は板の質を制御する方法を示す。その方法は、ポイント600で開始する。ポイント602で、その最終生成物の少なくとも1つの望ましい特性に関する情報が受信される。ポイント604において、その最終生成物の少なくとも1つの特性をその最終生成物を製造するのに使用された液体繊維パルプの少なくとも1つの特性に関連付けるモデルに関する情報が取得される。ポイント606において、その液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が、最終生成物の少なくとも1つの望ましい特性を産出するように、そのモデルに基づいて制御される。その方法は、ポイント608で終了する。
【0058】
本発明の基本的な概念は、複数の異なる方法において実施されて良いことは、技術が進歩するとともに、当業者に明らかになるであろう。本発明及びその実施形態は、従って、上記の実施形態に制限されないが、請求項内において変動してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終生成品である紙、板紙又は板の少なくとも1つの特性をモデル化する方法であり、
前記最終生成品の製造に対して使用された液体繊維パルプからサンプルを取るステップ;
該サンプルの粒子を該粒子のサイズに従って配置するステップ;
該サンプルの少なくとも1つの特性を、少なくとも2つの異なる粒子のサイズで一瞬の時間T1において決定するステップ;
前記最終生成品の少なくとも1つの特性を、前記一瞬の時間T1よりも後の一瞬の時間T2において決定するステップ;
前記の決定された最終生成品の少なくとも1つの特性及び前記サンプルの少なくとも1つの特性に基づいてモデルを生成するステップ;
前記最終生成品の製造に対して使用された前記液体繊維パルプからサンプルを取るステップ;
該サンプルの粒子を、該粒子のサイズに従って配置するステップ;
前記最終生成品の少なくとも1つの特性を、前記一瞬の時間T2よりも後の一瞬の時間T3において決定するステップ;及び
前記サンプルの少なくとも1つの特性が既知である場合に、前記一瞬の時間T3よりも後の一瞬の時間T4において、前記最終生成品の少なくとも1つの特性を前記の生成されたモデルに基づいてモデル化するステップ;
によって特徴付けられる方法。
【請求項2】
前記サンプルの少なくとも1つの光学的特性を、少なくとも2つの異なる粒子のサイズで決定するステップによって特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光学的特性は:光の吸収、光の分散及び光の偏光解消のうち少なくとも1つであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光学的特性を決定するステップに対して使用された光の少なくとも2つの波長で前記光学的特性を決定するステップによって特徴付けられる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなる情報に基づいて前記モデルを生成するステップによって特徴付けられる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
線形であるモデルによって特徴付けられる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性、精製機の作動、スクリーンの作動及び再生繊維プロセス、のうち少なくとも1つを制御するために前記モデルを使用するステップによって特徴付けられる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
異なる粒子のサイズの関数としての前記液体繊維の少なくとも1つの特性の分布を制御するように前記モデルを使用するステップによって特徴付けられる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの特性が計算されるサンプルの粒子のサイズの数を減らすステップによって特徴付けられる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
最終生成品である紙、板紙又は板の少なくとも1つの特性をモデル化するために装置であって、
一瞬の時間T1において、少なくとも2つの異なる粒子のサイズで、前記最終生成品の製造に対して使用される液体繊維パルプのサンプルの少なくとも1つの決定された特性に関する情報を受信し;
一瞬の時間T1よりも後の一瞬の時間T2において、前記最終生成品の少なくとも1つの決定された特性に関する情報を受信し;
前記の決定された前記最終生成品の少なくとも1つの特性及び前記サンプルの少なくとも1つの特性に基づいてモデルを生成し;
一瞬の時間T2よりも後の一瞬の時間T3において、少なくとも2つの異なる粒子のサイズで、前記最終生成品の製造に対して使用された前記液体繊維パルプのサンプルの少なくとも1つの決定された特性に関する情報を受信し;且つ
一瞬の時間T3よりも後の一瞬の時間T4において、前記サンプルの少なくとも1つの特性が既知である場合に、前記最終生成品の前記少なくとも1つの特性を、前記の生成されたモデルに基づいてモデル化する;
ように配置されたプロセッサを含むことを特徴とする、装置。
【請求項11】
前記サンプルから決定される前記の受信される特性は、光学的特性であることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記光学的特性は:光の吸収、光の分散及び光の偏光解消のうち少なくとも1つであることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記光学的特性は、該光学的特性を決定するために使用された光の少なくとも2つの波長で決定されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、少なくとも1つのさらなる情報に基づいて前記モデルを生成するように配置されていることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記モデルは線形であることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサは:前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性、前記精製機の作動、前記スクリーン及び再生繊維プロセスの作動、のうち少なくとも1つを制御するために前記モデルを使用するように配置されていることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、異なる粒子のサイズの関数としての液体繊維パルプの少なくとも1つの特性の分布を制御するために前記モデルを使用するように配置されていることを特徴とする、請求項10乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、少なくとも1つの特性が計算される前記サンプルの粒子のサイズの量を減らすように配置されていることを特徴とする、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
最終生成品である紙、板紙又は板の質を制御する方法であって;
該最終生成品の少なくとも1つの特性に関する情報を受信するステップ;及び
分留装置によって得られる、液体繊維パルプの少なくとも1つの特性、及び前記最終生成品から決定される少なくとも1つの特性に基づいて生成されており、該最終生成品から決定される少なくとも1つの特性を該最終生成品の製造において使用される前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性に関連付けるモデルに関する情報を取得するステップ;及び
前記モデルに基づいて、前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が、前記最終生成品の少なくとも1つの望ましい特性を産出するように、該液体繊維パルプの少なくとも1つの特性を制御するステップ;
によって特徴付けられる、方法。
【請求項20】
前記モデルによって液体繊維パルプの少なくとも1つの光学的特性を制御するステップによって特徴付けられる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光学的特性は:光の吸収、光の分散及び光の偏光解消のうち少なくとも1つであることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記光学的特性は、該光学的特性を決定するために使用された少なくとも2つの波長で表わされてよいことを特徴とする。請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記モデルが、少なくとも1つのさらなる情報をさらに含むことを特徴とする、請求項19乃至22にいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記モデルは線形であることを特徴とする、請求項19乃至23にいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記精製機の作動、前記スクリーン及び再生繊維プロセスの作動のうち少なくとも1つを制御するステップによって特徴付けられる、請求項19乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
異なる粒子のサイズの関数としての前記液体繊維の少なくとも1つの特性の分布を制御するステップによって特徴付けられる、請求項19乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性をリアルタイムで制御するステップによって特徴付けられる、請求項19乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
最終生成品である紙、板紙又は板の質を制御するための装置であって:
前記最終生成品の少なくとも1つの望ましい特性に関する情報を受信し;及び
分留装置によって得られた、液体繊維パルプの少なくとも1つの特性、及び前記最終生成品から決定される少なくとも1つの特性に基づいて生成され、該最終生成品の少なくとも1つの特性を、該最終生成品の製造に使用される前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性に関連付けるモデルに関する情報を取得し;且つ
前記モデルに基づいて、前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が、前記最終生成品の少なくとも1つの望ましい特性を産出するように、該液体繊維パルプの少なくとも1つの特性を制御する;
ように配置されたコントローラを含むことを特徴とする、装置。
【請求項29】
前記コントローラは、前記モデルによって、前記液体パルプの少なくとも1つの光学的特性を制御するように配置されていることを特徴とする、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記光学的特性は:光の吸収、光の分散及び光の偏光解消のうち少なくとも1つであることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記光学的特性は、該光学的特性を決定するために使用された少なくとも2つの波長で表わされてよいことを特徴とする。請求項29又は30に記載の装置。
【請求項32】
前記モデルが、少なくとも1つのさらなる情報をさらに含むことを特徴とする、請求項28乃至31にいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記モデルは線形であることを特徴とする、請求項28乃至32にいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記コントローラは:前記精製機の作動、前記スクリーン及び再生繊維プロセスの作動のうち少なくとも1つを制御するように配置されていることを特徴とする、請求項28乃至33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記コントローラは、異なる粒子のサイズの関数としての前記液体繊維の少なくとも1つの特性の分布を制御するように配置されていることを特徴とする、請求項28乃至34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記コントローラは、前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性をリアルタイムで制御するように配置されていることを特徴とする、請求項28乃至35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
最終生成品である紙、板紙又は板の少なくとも1つの特性をモデル化する方法であって:
該最終生成品の製造に対して使用された液体繊維パルプからサンプルを取るステップ;
該サンプルの少なくとも1つの特性を、一瞬の時間T1において決定するステップ;
前記最終生成品の少なくとも1つの特性を、前記一瞬の時間T1よりも後の一瞬の時間T2において決定するステップ;
該最終生成品の少なくとも1つの特性及び前記サンプルの少なくとも1つの特性に基づいて、モデルを生成するステップ;
該最終生成品の製造に対して使用された液体繊維パルプからサンプルを取るステップ;
前記一瞬の時間T2よりも後の一瞬の時間T3において、前記サンプルの少なくとも1つの特性を決定するステップ;
前記一瞬の時間T3よりも後の一瞬の時間T4において、前記サンプルの少なくとも1つの特性が既知である場合に、前記の生成されたモデルに基づいて、前記最終生成品の少なくとも1つの特性をモデル化するステップ;
によって特徴付けられる、方法。
【請求項38】
最終生成品である紙、板紙又は板の質を制御する方法であって:
液体繊維パルプの少なくとも1つの特性及び前記最終生成品から決定される少なくとも1つの特性に基づいて生成されており、前記最終生成品から決定される少なくとも1つの特性を該最終生成品の製造において使用される前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性に関連付けるモデルに関する情報を取得するステップ;及び
前記モデルに基づいて、前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が、前記最終生成品の少なくとも1つの望ましい特性を産出するように、該液体繊維パルプの少なくとも1つの特性を制御するステップ;
によって特徴付けられる、方法。
【請求項39】
最終生成品である紙、板紙又は板のモデル化の方法であって
該最終生成品の製造に対して使用された液体繊維パルプからサンプルを取るステップ;
前記サンプルの粒子を、分留装置における該粒子のサイズに従って配置するステップ;
該サンプルの少なくとも1つの特性を、少なくとも2つの異なる粒子のサイズで決定するステップ;及び
前記最終生成品の少なくとも1つの特性を決定するステップ;及び
決定された前記最終生成品の少なくとも1つの特性及び少なくとも2つの異なる粒子のサイズで決定された前記サンプルの少なくとも1つの特性に基づいて、該最終生成品の少なくとも1つの特性が、前記液体繊維パルプの少なくとも1つの特性が既知である場合に決定されるモデルを生成するステップ;
によって特徴付けられる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522910(P2012−522910A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504039(P2012−504039)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050254
【国際公開番号】WO2010/116030
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511242421)
【Fターム(参考)】