説明

紙の製造法

本発明は、木質繊維および化学繊維を含む紙匹を製造する方法に関する。ポリマが木質繊維と化学繊維とを含む繊維懸濁液に対して、添加されて、紙匹形成を改善し、抄紙機のワイヤ部における水の抜けを鈍化させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、木質繊維および化学繊維を含む紙匹を製造する方法に関する。
【0002】
木質繊維から作られる紙匹の強度、および/または寸法安定性を向上するために、化学繊維、すなわち合成繊維または再生繊維と、木質繊維とを混合することが可能である。使用される木質繊維は、1.2mmの平均繊維長を有するが、使用される化学繊維の繊維長は、通常5mm程度である。繊維の製造において、異なる繊維長さ、また、さまざまなその他の繊維特性によって、問題が生じる。1つの問題は、ヘッドボックス中の繊維の凝集であり、紙匹の不充分な形成となる。長い繊維は互いに付着し、それらは長い繊維の繊維束において、短い繊維も捕らえる。
【0003】
凝集傾向は、パルプの濃度を下げることによって軽減できるが、その結果、製造パラメータは、従来の機械で製造が不可能なほどになり得る、および/または、機械の速度が下がるに違いないので、製造は採算が取れない。多層紙を製造しようとする試みも行われてきており、そこでは希釈されたパルプを相対的に高速で流すことができる。さらに、類似の紙質は、不織布用機械で、湿潤紙匹形成によって製造されるように移行した。要約すれば、抄紙機において化学繊維を含む紙匹を流すことは問題であり、この問題を解決しようとする試みが約30年間行われてきた。
【0004】
本発明に従う方法は、ポリマが木質繊維および化学繊維を含む繊維懸濁液に添加され、紙匹形成を改善し、抄紙機のワイヤ部において、水の抜けを鈍化させることを特徴とする。
【0005】
上述の問題は、パルプに混合されたポリマを用いて、紙匹形成を改善し、抄紙機のワイヤ部において水の抜けを鈍化させることによって、軽減または解消できる。パルプの濃度を下げる必要がなく、スライスの大きさがパルプをワイヤに投与するのに充分なので、紙匹は通常の抄紙機を用いて製造できる。一般的に、濃度は約1%で、通常の運転速度は800m/分である。
【0006】
紙匹形成における改善は、紙匹の滑らかさによって示される。ポリマが水の抜けを鈍化させるので、機械的手段は、紙匹において繊維の配置に影響を与えるように使用できる。ヘッドボックスの排出とワイヤとの間の速度差によって、繊維は低い流動抵抗およびせん断力を有する位置に移動する傾向があるので、機械的手段は、たとえば脱水中の紙匹形成の本質的な改善を含む。その他の可能な改善機構は、ワイヤの振動、および/またはパルプ層の表面の振動によって発生するせん断力を含む。さらに、機械的手段は、フォーミングワイヤの下のサクションボックスの効果を含む、あるいは、繊維束の形成を防止するために、フォーミングワイヤの上面のロールを使用することが可能である。
【0007】
本発明に従う方法で使用されるポリマは、高分子量を有し、相対的に分岐していない。ポリマは好ましくは陰イオンである。
【0008】
使用される適切なポリマは、たとえば、陰イオン性ポリアクリルアミド、CMC、グアーガム、またはそれらの混合物である。目的に適した陰イオン性ポリアクリルアミドは、少なくとも10,000,000g/molの分子量、および約30%の電荷密度を有し、繊維トン当たり0.2〜2kg投与される。CMCは少なくとも750,000g/molの分子量を有し、繊維トン当たり2〜8kg投与される。製造工程で、ポリマは繊維にほとんど付着せず、使用に戻されるので、ポリマの投与量を減らすことができる。
【0009】
該方法が機能するpH値は、中性またはアルカリ性である。繊維懸濁液のpHは、工程で作用するポリマのために、少なくとも6.5に調節される。一方、ポリマはpHが高すぎても作用しない。ポリマは機械スクリーンの前、または機械スクリーンの後の、パルプ混合タンクに添加される。
【0010】
本発明に従う方法は、主に壁紙の製造において用いられ、いわゆる壁に貼る壁紙(接着剤が、壁紙が貼られる壁に塗られ、乾燥壁紙が接着剤に置かれる)に関連する。壁紙において、5mmの一般的な繊維長さを有する化学繊維の含有量は、たいてい10重量%であるが、本発明に従う方法によって作られる壁紙において、含有量は15〜50重量%であってもよい。通常は、使用される化学繊維はポリエステルである。なぜなら、ポリエステルはパルプ繊維で製造するために適した密度を有するからである。壁紙の製造において、紙は従来の抄紙機概念に従って作ることができるので、該方法は経済的である。
【0011】
壁紙に加えて、本発明に従う方法は、湿潤紙匹形成技術によって現在作られている、濾紙、掃除機の集塵袋、湿潤強度タオル、シーツ、およびリンネル紙などの製品にも適用することができる。
【0012】
以下において、本発明が実施例および図を参照して、述べられるであろう。図はヘッドボックスにおける濃度の関数として形成(Ambertec形成)を説明している。
【0013】
実験は、形成へのポリアクリルアミドおよびCMCの影響を種々の濃度で見出すために行われた。参照は、形成を改善し、水の抜けを鈍化させるためにポリマが添加されない試料であった。
【0014】
陰イオン性ポリアクリルアミドの投与量は繊維トン当たり1〜2kgであった。CMCの投与量は繊維トン当たり5〜10kgであった。アクリルアミドに関する繊維懸濁液のpHは、7〜8であった。CMCに関する繊維懸濁液のpHは、7〜8であった。
【0015】
本発明は、上記の記載に限定されないが、請求項の範囲内で変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ヘッドボックスにおける濃度の関数として形成(Ambertec形成)を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質繊維と化学繊維とを含む紙匹の製造のための方法において、木質繊維と化学繊維とを含む繊維懸濁液に対して、ポリマが添加されて、紙匹形成を改善し、抄紙機のワイヤ部における水の抜けを鈍化させることを特徴とする方法。
【請求項2】
ポリマ、が少なくとも10,000,000g/molの分子量を有する陰イオン性ポリアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマが、少なくとも750,000g/molの分子量を有するカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマがグアーガムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリマは、機械スクリーンの前、または機械スクリーンの後の、パルプ混合タンクに添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
繊維懸濁液のpHが、少なくとも6.5に調節されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−532792(P2007−532792A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507808(P2007−507808)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050118
【国際公開番号】WO2005/100689
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(505302269)
【Fターム(参考)】