説明

紙コーティング適用におけるリン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム及びメタリン酸アルミニウム粒子の使用

リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有する紙用コーティング組成物が、本明細書において提供される。この組成物を製造及び使用する方法が説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本明細書において、原紙の片少なくとも側上にコーティング組成物を含む嵩高のコーテッド紙を含む、コーテッド紙であって、ここで該コーティング組成物は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウムの粒子を含有する、コーテッド紙が提供される。これらのコーテッド紙及びコーティング組成物を製造及び使用する方法も、説明される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
コーテッド紙は、包装、板紙アート紙、パンフレット、雑誌、カタログ及びリーフレットを含む広い範囲の製品に使用される。そのようなコーテッド紙は、白色度、不透明度及びシート光沢度(sheet gloss)、更には印刷性能を含む、一連の特性を生じる必要がある。コーテッド紙及びコーティング組成物の例は、米国特許第7,425,246号;第7,407,700号;第7,160,419号;第7,435,483号及び第7,201,826号に開示されており、これらは全てそれら全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
コーティング組成物は一般に、結合剤及び他の任意の成分と一緒に、粒状顔料物質の水性懸濁液を形成することにより調製される。このコーティングは好都合なことに、コーテッド紙を調製するために使用される様々な塗工機により塗布されることができる。このコーティング組成物中で使用するための顔料は、二酸化チタン、ゼオライトなどを含む。しかし二酸化チタンは、製造費用がかかる顔料であることが知られている。
【0004】
改善された特性及び費用効果の良いコーティング組成物を伴うコーテッド紙が依然必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
(発明の概要)
原紙の少なくとも片側上にコーティング組成物を含むコーテッド紙であって、ここでこのコーティング組成物が、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウムの粒子を含むコーテッド紙が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、その他の顔料で作製された現存する非コーテッド紙及びコーテッド紙に優る改善された特徴を持つコーテッド紙を製造する紙の塗工に使用することができる。
【0006】
ある実施態様において、より嵩高なコーテッド紙が、本明細書において提供される。一態様において、同じ重量の従来式に製造されたコーテッド紙よりも、総紙厚(caliper)のより少ない部分を形成するコーティング、及び総紙厚のより高い割合を形成する紙ベースを伴う、嵩高のコーテッド紙を製造する方法が提供される。本プロセスは、機械パルプの、又は当該技術分野において公知の他の類似パルプの、高い割合で、言ってみれば50%を上回る、及び好ましくは55〜75%の範囲、目標は60〜65%で、完成紙料(furnish)を使用する工程、その完成紙料を、例えばギャップフォーマを備えるツーワイヤ又はツインワイヤ抄紙機に適用する工程、一実施態様においてコーティング顔料100部につき4部以上、若しくは7部以上の濃度でリン酸アルミニウム顔料を含有するコーティングにより、紙を塗工する工程、並びに従来型スーパーカレンダー荷重よりも少ない荷重でこのコーテッド紙をカレンダリングする工程を含む。一実施態様において、超軽量コーテッド紙などの軽量等級のコーテッド紙が、本明細書において提供される。
【0007】
ある実施態様において、本コーティング組成物は、溶媒、1種以上の添加剤、及び任意に粉砕(ground)炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)を含む炭酸カルシウム、焼成カオリン、含水カオリン、葉片化クレイ、カオリンクレイ、タルク、雲母、ドロマイト、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト、セッコウ、サチン白、チタニア、二酸化チタン、硫酸カルシウム、沈降硫酸バリウム(blanc fixe)又は硫酸バリウム、三水和アルミナ、プラスチック顔料、及びそれらの組合せなどの1種以上の追加の顔料を、更に含有する。好適な添加剤は、例えば、結合剤、滑剤、分散剤、均一化剤(eveners)、消泡剤、湿潤剤、蛍光増白剤、殺生物剤、架橋剤、保水助剤、粘度調整剤又は増粘剤、及びそれらの組合せから選択することができる。ある実施態様において、溶媒は水である。
【0008】
一般に、本明細書に説明されたコーティング組成物中に存在するリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の量は、最終コーテッド紙製品に望まれる特性に応じて大きく異なってよい。ある実施態様において、本明細書に提供されるリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料は、コーティング組成物中の総固体重量の約1%、3%、5%、7%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、40%又は50%よりも多い量で該組成物中で使用される。ある実施態様において、本明細書に説明されたコーティング組成物は、水性組成物である。
【0009】
本明細書に提供されたコーテッド紙は、Giclee印刷カラーコピー、ゼログラフィー、スクリーン印刷、グラビア、昇華型印刷(dye-sublimation)、フレキソ印刷、インクジェット印刷、写真、オフセット輪転印刷を含むオフセット印刷、電子写真印刷、熱転写記録のための画像記録紙、インクジェット記録、及び他の適用を含む、様々な印刷適用に適している。
【0010】
一態様において、リン酸アルミニウム組成物を含有するインクジェット用紙及びデジタル印刷用紙が、本明細書において提供される。
【0011】
別の態様において、リン酸アルミニウム組成物を含有する、スマッジングを防止しかつ画像忠実度を改善するためのダイレクトポストプリント(direct post print)フレキソ印刷のための塗工された段ボール用板紙が、本明細書において提供される。ある実施態様において、リン酸アルミニウム組成物は、当該技術分野において公知の他の顔料を含有する組成物と組合せて、本適用において使用される。
【0012】
別の態様において、超軽量の塗工された出版用紙が、本明細書において提供される。
【0013】
更に別の態様において、リン酸アルミニウム組成物を含有するグラビア印刷用紙が、本明細書において提供される。
【0014】
本明細書において提供されるコーテッド紙は、改善された光沢度、平滑度、不透明度及び/又は白色度を含む、改善された特性を有する。ある実施態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙は、TAPPI試験法T480om-92により75°で測定された約20%と等しいか又はより大きいコーティング光沢度を有する。ある実施態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙は、パーカープリントサーフに関するTAPPI試験法:T555om-99を用い測定された5.0、4.0、3.0、2.0又は1.0未満の平滑度を有する。ある実施態様において、本コーテッド紙は、TAPPI試験法T425om-91を用い測定された80%より大きい不透明度を有する。ある実施態様において、本コーテッド紙は、TAPPI試験法T452om 92を用い測定された約70%、73%、75%、77%、80%、85%又は90%GE白色度よりも大きい白色度を有する。
【0015】
一態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙において使用されるリン酸アルミニウム組成物は、シリカ及び/又は他の特別な顔料と比べ、改善されたレオロジーを有する。ある実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、コーター走行性を改善し、及び/又は乾燥時のエネルギー消費を改善する。別の実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、現存する組成物と比べ、より高い固体割合及び良好なずり減粘レオロジーを有する水スラリーの形状である。従って本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、現存する組成物よりもより高い固体割合のコーティングのために、より高速のオンマシン乾燥速度を生じ、これはより少ない乾燥の経費及び低下したプリントにじみ(print smear)を生じる。
【0016】
ある実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、増強されたオンマシンコーティング走行性を有し、その結果現存する組成物に優る増強された生産速度を有する。別の実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、低いEinlehner摩耗値を有し、これは処理装置に対する摩滅の減少を生じ、かつく紙上にわえ棒(gripper bar)による金属マークを残さない。
【0017】
一実施態様において、本明細書のリン酸アルミニウム組成物は、現存する組成物と比べ、より高度なソリッド組成(composition solids)を含む。別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、低い嵩密度を有する。
【0018】
別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、本質的にダスティング(dusting)を伴わずに紙を塗工し、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック(CMYK)の四色インクジェットプリントの改善された光学/反射密度を有し、微粉がほとんどない狭い粒度分布を有し、及び/又は現存する組成物と比べ、抄紙機試行における改善された初回通過リテンションを有する。
【0019】
更に別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、内部空隙容量のために、可能な限り軽いコート量をもたらす。
【0020】
ある実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、改善されたインクジェット印刷濃度、印刷用紙における改善されたインク受容性、及び/又は改善された不透明度を有する。
【0021】
一実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、適用時のベースシートのより少ない浸漬(soak-in)及び低下した粗さを有し、このことはより平滑な塗工されたシートを生じる。
【0022】
別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、より高い操作速度及びより高い生産速度を可能にする。更に別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、低速オフマシン塗工ラインにおいてのみではなく、むしろ高速抄紙機上で塗工する能力を有し、このことは廃棄物及び経費を削減する。
【0023】
一実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、新聞印刷用紙においてプリントスルーを防止するための填料として、並びにさび止め紙、ガス濾過紙、フィルター紙及び吸収紙などの、特別な工業用紙の填料として、作用することができる。
【0024】
別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、微粒子の歩留向上剤(retention aids)、浮遊洗浄システム(flotation-washing systems)と組み合わせた脱インク助剤、又はリサイクルされた段ボール用板紙における摩擦係数(COF)制御助剤として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
(図面の簡単な説明)
【図1】図1は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有するコーティング組成物に関する、100RPMでの低剪断粘度の比較を提供する。
【0026】
【図2】図2は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有するコーティング組成物に関する、100RPMでの高剪断粘度の比較を提供する。
【0027】
【図3】図3は、TiO2を、リン酸アルミニウム顔料と徐々に置き換えることにより得られるコーティング配合物に関する、100RPMでの低剪断粘度を提供する。
【0028】
【図4】図4は、TiO2を、リン酸アルミニウム顔料と徐々に置き換えることにより得られるコーティング配合物に関する、100RPMでの高剪断粘度を提供する。
【0029】
【図5】図5は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有するコーティング組成物に関する、保水性の比較を提供する。
【0030】
【図6】図6は、TiO2を、リン酸アルミニウムと置き換えることによるコーティング組成物の保水への影響を提供する。
【0031】
【図7】図7は、カレンダリング前に、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物により塗工された紙の不透明度の比較を提供する。
【0032】
【図8】図8は、カレンダリング後に、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物により塗工された紙の不透明度の比較を提供する。
【0033】
【図9】図9は、コーテッド紙の不透明度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。
【0034】
【図10】図10は、カレンダリング前後に、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物により塗工された紙の白色度の比較を提供する。
【0035】
【図11】図11は、コーテッド紙の白色度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。
【0036】
【図12】図12は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物により塗工された紙の光沢度の比較を提供する。
【0037】
【図13】図13は、コーテッド紙の光沢度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。
【0038】
【図14】図14は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物により塗工された紙の表面強度の比較を提供する。
【0039】
【図15】図15は、コーテッド紙の表面強度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。
【0040】
【図16】図16は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物に関する表面被覆率の比較を提供する。
【0041】
【図17】図17は、光沢度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0042】
【図18】図18は、平滑度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0043】
【図19】図19は、白色度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0044】
【図20】図20は、CD(横方向)光沢度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0045】
【図21】図21は、MD(縦方向)光沢度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0046】
【図22】図22は、カレンダリングされた白色度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0047】
【図23】図23は、カレンダリングされた平滑度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0048】
【図24】図24は、カレンダリングされた不透明度、対、コーティング条件のプロットを示す。
【0049】
【図25】図25は、対照コーティング(配合物番号1)のコーティング調製の概略を図示している。
【0050】
【図26】図26は、5部置換コーティング(配合物番号2)のコーティング調製の概略を図示している。
【0051】
【図27】図27は、10部置換コーティング(配合物番号3)のコーティング調製の概略を図示している。
【0052】
【図28】図28は、PVOHを添加しない、リン酸アルミニウム顔料の量に対する白色度のプロットを示す。
【0053】
【図29】図29は、PVOHを添加した、リン酸アルミニウム顔料の量に対する白色度のプロットを示す。
【0054】
【図30】図30は、PVOHを添加しない、リン酸アルミニウム顔料の量に対する蛍光強度(fluorescence number)のプロットを示す。
【0055】
【図31】図31は、PVOHを添加した、リン酸アルミニウム顔料の量に対する蛍光強度のプロットを示す。
【0056】
これらの図面及び実施例1-3において、リン酸アルミニウム顔料は、顔料X又は顔料PXとも称される。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(発明の実施態様の説明)
下記説明において、本明細書において明らかにされた全ての数字は、語句「約」又は「ほぼ」がその数字に結びつけて使用されるかどうかに係わらず、近似値である。これらは、1%、2%、5%、又は時には10〜20%変動することがある。下限RL及び上限RUを伴う数値範囲が明らかにされている場合は常に、この範囲に収まるいずれの数字も具体的に明らかにされる。特にこの範囲内の次の数字が、具体的に明らかにされる:R=RL+k*(RU−RL)、ここでkは1%から1%の増分で100%までの範囲の変数であり、すなわちkは、1%、2%、3%、4%、5%、...、50%、51%、52%、...、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。更に先の2つの数字Rにより規定された任意の数値範囲も、具体的に明らかにされる。
【0058】
原紙の少なくとも片側上にコーティング組成物を含むコーテッド紙であって、ここでこのコーティング組成物が、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウムの粒子又はそれらの組合せを含むコーテッド紙が、本明細書において提供される。ある実施態様において、本コーティング組成物は、溶媒、添加剤及び任意に1以上の追加の顔料を更に含有する。
【0059】
本明細書において使用される用語「リン酸アルミニウム」及び「リン酸アルミニウム組成物」は、リン酸アルミニウムに加え、ポリリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、及びそれらの混合物を含むことを意味する。
【0060】
本明細書において言及される用語「空隙」とは、一般に用語「中空粒子」と同義であり、かつ本明細書において「閉じた空隙」とも記載される。空隙(又は閉じた空隙若しくは中空粒子)は、リン酸アルミニウム混合物のコア及びシェル構造の一部である。これらの空隙は、透過型又は走査型のいずれかの電子顕微鏡(「TEM」又は「SEM」)を用い、観察及び/又は特徴付けることができる。TEM又はSEMの使用は、当業者に周知である。一般に光学顕微鏡は、光の波長により、百ナノメーター、通常数百ナノメーターの範囲の分解能に制約される。TEM及びSEMは、この制約を有さず、かつ数ナノメーターの範囲のかなりの高解像を達成することができる。光学顕微鏡は、光波を屈曲させることにより光波を集束するために、光学レンズを使用するのに対し、電子顕微鏡は、電子ビームを屈曲させることにより電子ビームを集束するために、電磁レンズを使用する。電子ビームは、倍率の制御及び作製することができる画像の鮮明度の両方において、光ビームに優る大きい利点を提供する。走査型電子顕微鏡は、試料の表面の三次元画像を得るための道具を提供する点で、透過型電子顕微鏡を補完している。
【0061】
非晶質(すなわち非結晶性)固形物は、同様の組成を持つそれらの結晶性相当物とは違いを示し、かつそのような違いは、有益な特性をもたらし得る。例えばそのような違いは、以下の1つ以上を挙げることができる:(i)非結晶性固形物は、はっきり規定された角度ではx線を回折しないが、代わりに幅の広い散乱ハローを生じる;(ii)非結晶性固形物は、十分に規定された化学量論を有さず、従ってこれらは広範な化学組成を対象とすることができる;(iii)化学組成の可変性は、アルミニウムイオン及びリン酸イオン以外のイオン成分の組込みの可能性がある;(iv)非晶質固形物は熱力学的に準安定であるので、これらは自発的形態学的、化学的及び構造的変化を受ける傾向を明らかにすることができる;並びに、(v)結晶性粒子表面の化学組成は、高度に均一であるが、非晶質粒子の表面の化学組成は、急激に又は次第にのいずれかで、大きい又は小さい差異を示すことがある。加えて、結晶性固形物の粒子は、周知のオストワルド熟成の機構により成長する傾向があるが、非結晶性粒子は、水の吸着及び脱離により、膨張又は膨潤し、かつ収縮(解膨潤)し、剪断力、圧縮力又は毛管力に曝された場合に、ゲル様又は可塑性材料を形成することがある。
【0062】
本コーティング組成物において使用されるリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及びポリリン酸アルミニウムの粒子は一般に、いくつかの異なる特徴により特徴付けられる。例えば、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及びポリリン酸アルミニウムの粒子が粉末形状で調製される場合、それらの粒子の一部は平均して1粒子につき少なくとも1つの空隙を有する粒子を含む。加えて、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム及び/又はメタリン酸アルミニウムが粉末形状である場合、示差走査熱量測定試験に供された試料は、ピークが一般に90℃〜250℃の間に生じる、2つの個別の吸熱ピークを明らかにするであろう。ある実施態様において、第一のピークは、ほぼ約96℃と116℃の温度間に現れ、かつ第二のピークは、ほぼ149℃と189℃の温度間に現れる。別の実施態様において、これら2つのピークは、ほぼ106℃とほぼ164℃に現れる。加えて、リン酸アルミニウムは典型的には、本明細書に説明されたような、優れた分散性を示す。
【0063】
ある実施態様において、本明細書において提供されるコーティング組成物で使用される非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、更にナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンなどのイオンを含む。一実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、ナトリウムを更に含む。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、みかけ密度(skeletal density)1.95〜2.50g/cm3により特徴付けられる。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、みかけ密度約1.95、2.00、2.10、2.20、2.30、2.40又は2.50g/cm3により特徴付けられる。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、リン対アルミニウムのモル比0.8〜1.3を有する。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、リン対アルミニウムのモル比0.9〜1.3を有する。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、リン対アルミニウムのモル比約0.8、0.9、1.0、1.1、1.2又は1.3を有する。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、ナトリウム対アルミニウムのモル比約0.6〜1.4を有する。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、ナトリウム対アルミニウムのモル比0.6、0.7、0.76、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2又は1.3を有する。
【0064】
一実施態様において、本明細書において提供されるコーティング組成物において使用されるリン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、粉末形状であり、かつ例えば、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム粉末の1粒子につき1〜4つの空隙を有する。これらの非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム粉末は、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム又は任意の他の粒子についてこれまで認められていない程度に、閉じた空隙又は中空粒子を形成する傾向を示す。一部の実施態様において、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム又はメタリン酸アルミニウムの粒子は、実質的に開いた細孔を含まないが、多くの閉じた細孔を含む。本製品の粉末形状は、10〜80又は20〜80nmの間の平均個別粒径サイズを含むことができる。一態様において、本製品の粉末形状は、平均個別粒径サイズ10〜70、10〜60、10〜50、10〜40、10〜30又は10〜20nmを含むことができる。一態様において、本製品の粉末形状は、平均個別粒径サイズ20〜70、20〜60、20〜50、20〜40、又は20〜30nmを含むことができる。
【0065】
ある実施態様において、リン酸アルミニウム粒子の粒度は、光散乱を最大にするように制御される。ある実施態様において、粒度決定は、Cilasモデル1064装置における静的光散乱により実行される。ある実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、約0.1〜約5μの粒度分布により特徴付けられる。一実施態様において、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウムは、約0.2〜約0.6μ、約0.6〜約1.0μ、約1.0〜約1.5μ、約1.0〜約3.0μ又は約1.60〜約3.82μの粒度分布により特徴付けられる。ある実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウムは、ハンマーミルで、粒度3μ(d10)及び19μ(d90)以内に超微粉砕される。一実施態様において、高度に希釈され音波処理された試料の粒度は、動的光散乱装置(Brookhaven ZetaPlus)において、0.1μである。
【0066】
一般に、本明細書に説明されたコーティング組成物中に存在するリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の量は、最終コーテッド紙製品の望ましい特性に応じて、大きく変動することができる。ある実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料は、本コーティング組成物中の総固体重量の約1%、3%、5%、7%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%又は50%より多い量で本組成物において使用される。ある実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料は、総固体重量の約1%〜約45%、3%〜約40%、5%〜30%、5%〜20%の量で本組成物において使用される。
【0067】
ある実施態様において、本明細書に説明されたコーティング組成物は、水性組成物である。本組成物は、望ましい流動性を持つ組成物を提供するのに十分な量の水を含む。すなわち本コーティング組成物は、それが紙基材に塗布され、かつ紙基材上に連続コーティングを形成することを可能にするのに十分に流動可能でなければならない。ある実施態様において、本組成物中の水は、組成物の総重量の約10%、20%、30%、40%、50%又は60%よりも多い量である。ある実施態様において、本組成物中に存在する水は、約10重量%〜70重量%、約20重量%〜約60重量%、約30重量%〜約60重量%の量である。
【0068】
特定の理論に結びつけられるものではないが、本明細書において提供されるコーテッド紙において使用される非晶質リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料は、変形可能であり、そのためこれは、本組成物中で使用されるラテックスなどの結合剤と共に流動し、かつ平滑面(光沢化)を生じる紙コーティングにおいて中空を充填するために必要とされる形状をとることが考えられる。更に本顔料は、表面のラテックスに対する強力な結合性質を示す熱曝露及びカレンダリング(加圧)時に放出される表面水を吸収すると考えられる。
【0069】
本明細書において提供されるコーテッド紙及び紙製品において使用されるリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料は、米国公開特許第2006/045831号及び第2006/0211798号並びに国際公開公報WO 2008/017135に開示された方法を含む、当業者に公知の方法により調製されることができ、これらは全てそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。例えば、米国公開特許第2006/045831号及び第2006/0211798号は、リン酸を硫酸アルミニウム及び水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属物質と混合することにより、非晶質リン酸アルミニウムを生成する方法を開示し、他方で国際公開公報WO 2008/017135は、様々なプロセスを用いることにより、非晶質リン酸アルミニウムを生成する方法;すなわち、アルミン酸ナトリウムの使用と組み合わせることを含む方法を開示している。一例としての実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは、リン酸及び水酸化アルミニウムを混ぜ合わせ、酸性リン酸アルミニウム溶液又は懸濁液を生じ、次にこの溶液又は懸濁液をアルミン酸ナトリウムの添加により中和することを含む、二工程プロセスを用いて調製される。別の例の実施態様において、非晶質リン酸アルミニウムは、一工程においてリン酸、水酸化アルミニウム及びアルミン酸ナトリウムを反応させることにより調製される。
【0070】
(原紙)
コーテッド紙を調製するのに適した原紙は、薄葉紙、クラフト紙、高品質紙、綿線維紙、バライタ紙、再生無漂白板紙、及び漂白板紙、並びにそれらから形成された天然のセルロース、再生又は合成線維パルプ又はシートを含む、ウェットエンド製紙用パルプ又はウェットエンド製紙用シートを含む。語句「ラミネート紙」は、2つ以上の紙層又は薄層を含む紙を意味する。
【0071】
本原紙は、例えば、クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプなどの化学パルプ、例えばストーン砕木パルプ(SGP)、リファイナ砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ及び漂白ケミサーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、例えば脱インクパルプなどの古紙パルプ、並びに例えばバガス、エスパルト、ケナフ、竹、麦わら、亜麻及びジュートパルプなどの非木材パルプなどの、当業者に公知の好適な成分から作製することができる。同じくパルプは、例えばポリアミド線維及びポリエステル線維などの合成有機線維、例えばポリノジック線維などの再生線維、並びに例えばガラスファイバー、セラミックファイバー及びカーボンファイバーなどの無機線維から選択される少なくとも1つのメンバーと組合せても使用することができる。ある実施態様において、例えばECF(無塩素)パルプ及びTCF(完全無塩素)パルプなどの塩素非含有パルプが、原紙形成のためのパルプとして利用される。
【0072】
(添加剤)
本明細書において提供されるコーテッド紙において使用されるリン酸アルミニウム組成物は、該組成物の性能を向上するために、1種以上の従来型添加剤を含有することができる。好適な添加剤は、例えば、結合剤、滑剤、分散剤、均一化剤、消泡剤、湿潤剤、蛍光増白剤、殺生物剤、架橋剤、保水助剤、粘度調整剤又は増粘剤、及びそれらの組合せから選択することができる。本組成物において使用される様々な成分は、Lehtinen, Esaの文献「顔料コーティング及び紙の表面サイジング(Pigment Coating and Surface Sizing of Paper)」、ヘルシンキ:Fapet Oy, 2000年に説明されている。この刊行物の全体の開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0073】
ある本明細書において提供されるコーティング組成物において、存在する添加剤は、「リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料100部当たりの部数」として該組成物中に含まれ;すなわち、結合剤及び様々な他の添加剤の量は、存在する顔料の量に対して言及される。ある実施態様において、100部当たりの部数の言及は、リン酸アルミニウム顔料を含むその配合物中の全ての顔料の合計量に対してである。本明細書に説明された組成物中に存在する結合剤の量は、最終紙製品における望ましい特性に応じて、大きく変動することができる。当業者は、当該技術分野において入手可能な知識及び本明細書の開示を基に、望ましい適用に好適な結合剤の量を決定することができる。
【0074】
(結合剤)
一実施態様において、本明細書において提供される組成物は、結合剤又は接着剤を更に含有する。この結合剤は、印刷プロセスが進行中に、塗工プロセス時及び塗工プロセス後の両方でコーテッド紙の特性を改善する。具体的には、塗工プロセス時に、この結合剤は、乾燥コーティング中の全てのコーティング成分の凝集、及びこのコーティングのペーパーウェブへの接着を提供する。更にこの結合剤は、水と共に、該顔料のための担体として働き、かつ塗工手順時の組成物の流動学的挙動及び保水に影響を及ぼす。ある実施態様において、結合剤は、約1部(顔料100部につき)〜約30部(顔料100部につき)の量で、別の実施態様においては、約5部(顔料100部につき)〜約25部(顔料100部につき)の量で存在する。
【0075】
本明細書において提供される組成物において使用するのに適した結合剤は、例えば、タンパク質、デンプン、ガム、樹脂、ラテックスなどのエマルションポリマー、カゼイン、ポリビニルアルコール、及びそれらの組合せを含む。本組成物における結合剤としての使用に適したタンパク質は、大豆タンパク質及びカゼインを含む。本組成物における結合剤としての使用に適したデンプンは、トウモロコシデンプン、タピオカ、白皮ジャガイモ、ソルガム、モチトウモロコシ(waxy corn)、ろう状ソルガム、サツマイモ、米、及びコムギのデンプンを含む。好適なラテックスエマルションポリマーは、スチレンブタジエンゴム、スチレンアクリレート、スチレンアクリロニトリル、アクリル酸ビニル、アクリル系誘導体(acrylic)、ポリ酢酸ビニル、及びそれらの組合せを含む。別の好適な結合剤は、米国特許第6,825,252号に開示されたようなデンプンから作製されたバイオポリマーナノ粒子ラテックスである。
【0076】
組成物のための樹脂は、塗工及び最終用途適用と適合性がある、モノマー又はポリマー又はそれらの組合せを含む。好適な樹脂は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル-エポキシ樹脂、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。好適なポリエステル樹脂は、例えば、多塩基性飽和酸(polybasic saturated acid)又はそれらの無水物とポリアルコールの間の重縮合反応により得ることができる。エポキシ樹脂の例は、ビスフェノール-A樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、環状エポキシ樹脂、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。ある実施態様において、アクリル系樹脂は、アクリル酸のような官能性モノマーと、例えばエチレン、プロピレン及びイソブチレンなどの不飽和オレフィン系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンなどの芳香族モノマー、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリルなどのアクリル酸及びメタクリル酸の炭素原子を1〜18個有するアルコールとのエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニル-2-エチルヘキシルアクリレートなどの炭素原子を2〜11個有するカルボン酸のビニルエステル、又は塩化ビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルなどのその他のコモノマーなどの様々な共重合可能なモノマーの共重合により得ることができる。ポリウレタン樹脂の例の一部は、イソシアナートの様々なポリオールとの重縮合により得られた、ブロックされたウレタンポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。
【0077】
一実施態様において、樹脂は、分子1個につき、少なくとも1個のヒドロキシル基及び1個のエポキシ基を有する、アクリル系樹脂を含む。そのようなアクリル系樹脂は、例えば、ヒドロキシル含有重合可能なモノマー、エポキシ含有重合可能なモノマー、アクリル系重合可能なモノマー、及び必要ならば更に他の重合可能なモノマー(類)の共重合により得ることができる。ヒドロキシル含有重合可能なモノマーは、分子1個につき少なくとも1個のヒドロキシル基及び重合可能な二重結合を含む化合物であり、その例は、前述のものがラクトンと反応することにより得られる、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを含む。エポキシ-含有重合可能なモノマーは、分子1個につきエポキシ基及び重合可能な二重結合を各々少なくとも1個含む化合物であり、その例は、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、及びアリルグリシジルエーテルである。アクリル系重合可能なモノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸の、C1-C20モノアルコールとのモノエステル化された生成物を含み、具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、及メタクリル酸びシクゼセロヘキシル(cyczxzselohexyl)を含む。更にアクリル酸又はメタクリル酸のC2-C20アルコキシアルキルエステルも、アクリル系重合可能なモノマーとして使用することができる。
【0078】
(滑剤)
本組成物において使用するための滑剤は、リン酸のポリオキシアルキレンモノ-又はジ-エステル若しくはそれらの混合物、又はリン酸塩のポリオキシアルキレンモノ-又はジ-エステル若しくはそれらの混合物、脂肪酸、脂肪酸のアルカリ金属塩、又は脂肪酸のアルカリ土類金属塩、スルホン化油、アミン、ステアリン酸カルシウム又はアンモニウム、尿素、エトキシル化グリセロール、エトキシル化プロポキシル化グリセロール、オレイン酸レシチン、及び適切な乳化剤を含む。一実施態様において、滑剤は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の最大約2%、1.5%又は1重量%の量で存在する。
【0079】
(分散剤)
本明細書において使用するための分散剤は、(i)アミン、アルコール、及び/又はアルカノールアミンと、(ii)無機及び/又は有機の多塩基酸:の塩及び/又はエステルを含み、ここでアミン、アルコール、及び/又はアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比は、3:1よりも大きい。様々な実施態様において、アミン、アルコール、及び/又はアルカノールアミンの多塩基酸に対するモル比は、4:1から約20:1である。このモル比は、改善された安定性、不透明化力、着色力、及び/又は光沢度を持つ顔料の製造を可能にする。
【0080】
分散剤の製造における使用に適した1種以上のアミン、アルコール及び/又はアルカノールアミンは、アミノアルコール、ジオール、トリオール、アミノポリオール、ポリオール、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アミン、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。一実施態様において、アミン及び/又はアルコールは、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、1-アミノ-1-ブタノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシプロパノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0081】
分散剤の製造における使用に適した1種以上の多塩基酸は、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、メタリン酸、ピロリン酸、次リン酸、五酸化リン、他のリン酸誘導体、又は任意のリン含有酸の誘導体、又はそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0082】
一実施態様において、本明細書のコーティング組成物において使用するための分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウムである。
【0083】
様々な実施態様において、分散剤は、顔料に添加される場合、その顔料に粘度安定性及びフロキュレーション抵抗性を付与する。典型的には、分散剤は該組成物中に、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の重量を基に、最大約5重量%で存在する。一実施態様において、分散剤は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の重量を基に、約0.01〜約3%、0.01〜約2%、又は0.01〜約1%の量で存在する。
【0084】
前記分散剤のリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料との混合は、当該技術分野において公知の混合方法により実行することができる。従って混合は、例えば、ブレンダー又は任意の他の高速混合装置により実行することができる。一般にブレード速度50rpm以上、例えば1000rpm〜3000rpmが、混合に使用される。
【0085】
(消泡剤)
本組成物において使用するための消泡剤は、界面活性剤の配合物、リン酸トリブチル、脂肪族ポリオキシエチレンエステルと脂肪族アルコール、脂肪酸セッケン、シリコーンエマルション及び他のシリコーン含有組成物、ワックス及び鉱油、植物油中の無機粒子、乳化された炭化水素の配合物を及び消泡機能を実行するために市販されている他の化合物を含むが、これらに限定されるものではない。このような泡止め剤/消泡剤は、最大約1重量%の量で使用することができる。
【0086】
(架橋剤)
使用する架橋剤は、例えばグリオキサール、グリオキサール化された樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及び炭酸ジルコニウムアンモニウムを含む。一実施態様において、架橋剤は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の最大約5重量%、4重量%、3重量%、2重量%又は1重量%の量で存在する。
【0087】
(保水助剤)
本明細書において使用する保水助剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、PVOH(ポリビニルアルコール)、デンプン、タンパク質、ポリアクリル酸塩、ガム、アルギン酸塩、ポリアクリルアミド、ベントナイト及びそのような適用のために販売されているその他の市販製品を含む。一実施態様において、保水助剤は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の最大約2重量%、1.5重量%又は1重量%の量で存在する。
【0088】
(粘度調整剤)
本明細書において使用するための粘度調整剤及び/又は増粘剤は、例えば、アクリル酸結合性増粘剤、ポリアクリル酸塩、エマルションコポリマー、ジシアナミド、トリオール、ポリオキシエチレンエーテル、尿素、硫酸化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、CMC(カルボキシメチルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム)、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ケイ酸ナトリウム、アクリル系付加共重合体、HMC(ヒドロキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)などを含む。一実施態様において、粘度調整剤及び/又は増粘剤は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の最大約2重量%、1.5重量%又は1重量%の量で使用することができる。
【0089】
(乾性又は湿性紙むけ改良剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の乾性又は湿性紙むけ改良剤(pick improvement additive)を含有する。このような添加剤は、最大約2重量%の量で使用することができ、かつ例えば、メラミン樹脂、ポリエチレンエマルション、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリアミド、ステアリン酸カルシウム、スチレン無水マレイン酸などを含む。
【0090】
(乾性又は湿性摩擦改良剤及び/又は耐摩耗剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の乾性又は湿性摩擦改良剤及び/又は耐摩耗剤を含有する。そのような添加剤は、最大約2重量%の量で使用することができ、かつ例えば、グリオキサールベースの樹脂、酸化ポリエチレン、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリエチレンワックス、ステアリン酸カルシウムなどを含む。
【0091】
(グロスインク保持用添加剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上のグロスインク保持用(gloss ink hold-out)添加剤を含有する。そのような添加剤は、最大約2重量%の量で使用することができ、かつ例えば、酸化ポリエチレン、ポリエチレンエマルション、ワックス、カゼイン、グアーガム、CMC、HMC、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウムなどを含む。
【0092】
(蛍光増白剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の蛍光増白剤(OBA)及び/又は蛍光漂白剤(FWA)を含有する。そのような物質は、最大約1重量%の量で使用することができ、かつ例えば、スチルベン誘導体を含む。ある実施態様においては、PVOHが、スチルベンOBAの性能を向上するための、OBA担体として使用される。
【0093】
(殺生物剤/腐敗抑制剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の殺生物剤/腐敗抑制剤を含有する。そのような物質は、最大約1重量%の量で使用することができ、かつ例えば、メタホウ酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、チオシアン酸塩、有機硫黄、安息香酸ナトリウム、及びこの機能に関して市販されている他の化合物、例えばNalco社から販売される一連の殺生物剤などを含む。
【0094】
(平坦化助剤及び均一化助剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の平坦化助剤及び均一化助剤を含有する。そのような助剤は、最大約2重量%の量で使用することができ、かつ例えば、非イオン性ポリオール、ポリエチレンエマルション、脂肪酸、エステル及びアルコール誘導体、アルコール/エチレンオキシド、CMC(カルボキシメチルセルロース)ナトリウム、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、アルギン酸塩、ステアリン酸カルシウム、及びこの機能のために市販されている他の化合物を含む。
【0095】
(耐脂性及び耐油性添加剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の耐脂性及び耐油性添加剤を含有する。そのような添加剤は、最大約2重量%の量で使用することができ、かつ例えば、酸化ポリエチレン、ラテックス、SMA(スチレン無水マレイン酸)、ポリアミド、ワックス、アルギン酸塩、タンパク質、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HMC(ヒドロキシエチルセルロース)及びフルオロカーボンを含む。
【0096】
(耐水性添加剤)
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の耐水性添加剤を含有する。そのような添加剤は、最大約2重量%の量で使用することができ、かつ例えば、酸化ポリエチレン、ケトン樹脂、陰イオン性ラテックス、ポリウレタン、SMA、グリオキサール、メラミン樹脂、ポリアミド、グリオキサール、ステアリン酸塩、及びこの機能のために市販されている他の物質を含む。
【0097】
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の色素を含み、これは最大約0.5重量%の量で使用することができる。
【0098】
(追加顔料)
ある実施態様において、本明細書において提供される組成物は、粉砕炭酸カルシウム(GCC)を含む炭酸カルシウム、焼成カオリン、含水カオリン、葉片化クレイ、カオリンクレイ、チャイナクレイ、タルク、雲母、ドロマイト、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト、セッコウ、サチン白、チタニア、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、三水和アルミナ、プラスチック顔料、及びそれらの組合せなどの、1種以上の追加顔料を更に含有する。
【0099】
ある実施態様において、本組成物は、1種以上の色素又は着色顔料を含み、これは最大約0.5重量%の量で使用することができる。
【0100】
ある実施態様において、本組成物は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料と、GCC顔料の組合せを含有する。ある実施態様において、本組成物は、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料と、二酸化チタン顔料の組合せを含有する。一実施態様において、二酸化チタン顔料の量は、該組成物の総固体重量につき、約1%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、50%又はそれ以上である。別の実施態様において、本組成物中のリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料と二酸化チタン顔料の比は、約1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1又は4:1である。別の実施態様において、本組成物中の二酸化チタン顔料と、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の比は、約1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1又は4:1である。
【0101】
一実施態様において、本組成物中のリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の量は、該組成物の総固体重量につき、少なくとも約1%、3%、5%、7%、10%、12%、20%、25%、30%、40%、50%、60%又は70%であり、GCC顔料の量は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%又は70%である。一実施態様において、該組成物中のリン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料の量は、該組成物の総固体重量につき、少なくとも約1%、3%、5%、7%、10%、12%、20%、25%、30%、40%、50%、60%又は70%であり、1種以上の他の顔料の総量は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%である。
【0102】
ある実施態様において、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料並びに二酸化チタン顔料の組合せは、コーテッド紙の光沢度及び不透明度の両方を増加する。
【0103】
前記添加剤及び添加剤型のいずれかは、単独で、又は望ましいならば、互いに及び/又は他の添加剤と混合して使用することができる。
【0104】
本明細書において提供される組成物の総固形分は、典型的には少なくとも約50重量%固形分であり、ある実施態様において少なくとも約60%、ある実施態様において少なくとも約70%であり、当業者により好適とみなされるが、コーティング中で使用するのに好適な液体組成物を依然生じる程高い。ある実施態様において、本組成物の総固形分は、約55%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、72%、75%、又は80%である。
【0105】
(コーティング組成物の調製)
別の態様に従い、水性液体媒体中で、リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム及び/又はポリリン酸アルミニウム顔料、結合剤、及びいずれか他の任意の追加の成分を混合し、その中で固形成分の懸濁液を調製することを含む、紙の塗工のためのリン酸アルミニウム組成物を調製する方法が本明細書において提供される。本組成物は、当業者に周知のように、従来の混合技術により好適に調製されることができる。
【0106】
(紙塗工プロセス)
別の態様に従い、原紙を塗工するために該組成物を適用し、このコーティングを乾燥し、かつこの紙をカレンダリングし、例えばその上に光沢コーティングなどの、コーテッド紙表面を形成することを含む、コーテッド紙を調製する方法が本明細書において提供される。塗工は、紙の両側に形成することができる。
【0107】
カレンダリング工程において、紙の平滑度及び光沢度は改善され、かつコーテッド紙シートをカレンダーニップ又はローラーの間を1回以上通過させることにより、嵩が減少する。通常、弾性のある塗工されたロールを使用し、コーテッド紙表面に平滑化及び磨き仕上げ(burnishing)を提供する。ある実施態様においては、高温が適用される。1回以上の(例えば最大約12回、又は時にはそれよりも多い)ニップの通過が適用されてよい。
【0108】
紙及び他のシート材料を塗工する方法、並びにこれらの方法を実行する装置は、広く公表されておりかつ周知である。そのような公知の方法及び装置は好都合なことに、本明細書において提供されるコーテッド紙を調製するために使用される。例えば、「Pulp & Paper International」1994年5月、18頁以下に公表されたそのような方法の総説は、その全体が参照により組み入れられている(これは、残念なことに古い不完全な参考文献である。)。
【0109】
紙シートには、抄紙機上でインラインで、すなわち「オンマシン」で、又はコーター若しくは塗工機上で「オフマシン」で、塗工することができる。ハイソリッド組成物の使用は、より少ない水を引き続き蒸発させるので、本塗工法においては望ましい。しかし当該技術分野において周知であるように、これらの固形物レベルは、高い粘度及び平滑化に問題が生じる程高くはない。
【0110】
本塗工法は、(i)コーティング組成物を塗工されるべき紙に適用するためのアプリケーション;及び、(ii)コーティング組成物の正確なレベルが適用されることを確実にするための、計量装置:を具備する装置を用い、実行することができる。過剰なコーティング組成物がアプリケーターに適用される場合、前記計量装置は、その下流に位置する。あるいは、コーティング組成物の正確な量が、例えばフィルムプレスなどの計量装置により、アプリケーターに適用される。コーティング適用及び計量の時点で、ペーパーウェブは、例えば1又は2個のアプリケーターを介し、バッキングロールから、何もない所(すなわち張力のみ)までの範囲を支える。過剰量が最終的に除去される前のコーティングが紙と接触されている時間は、滞留時間であり−かつこれは、短時間、長時間又は可変であることができる。
【0111】
コーティング層は、原紙の前面と裏面の両側に及び/又は多層構造内に形成されることができる。多層コーティング層は、原紙の表面上に1つ以上の中間コーティング層を形成することにより形成され、かつ最外コーティング層は、1つ又は複数の中間コーティング層上に形成されることができる。コーティング層が原紙の2つの表面上に又は多層構造内に形成される場合、コーティング組成物及び複数のコーティング層の量は、各々互いに同じであるか又は互いに異なってよい。各コーティング液の組成は、そのコーティング層の目的及び所望の特性を考慮し、デザインされてよい。コーティング層が、原紙の前面にのみ形成される場合、原紙の裏面は、合成樹脂層、顔料-結合剤混合層、又は帯電防止層により塗工されてよい。前述の裏側コーティング層は、カールに対する抵抗、印刷適用性、並びにコーテッド紙の印刷装置への若しくは印刷装置からの供給及び/又は巻出しの妨害に対する抵抗性の増強に貢献する。コーテッド紙の裏面に望ましい機能を付与するために、原紙の裏面は、接着剤、磁性材料、難燃剤、耐熱剤、防水剤、防油剤又は滑り防止剤により処理されてよい。
【0112】
本明細書において提供される組成物は、当該技術分野において公知の任意の手段により、原紙の1つ以上の側に適用されてよい。例えば、紙塗工法は、ロール式アプリケーター及びロール、ロッド、ブレード、バー、エアナイフによる計量;ポンド式アプリケーター及びロール、ロッド、ブレード、バー、又はエアナイフによる計量;噴水式アプリケーター及びロール、ロッド、ブレード、バー、エアナイフによる計量ロール;ゲートロール、3本-ロール、アニロックス、グラビア、フィルムプレス、カーテン(curtain)、スプレーなどの、予め計量されたフィルム又はパターン;並びに、発泡(foam)アプリケーション:を含むが、これらに限定されるものではない。一実施態様において、紙製品は、1本のロールが該組成物により予め塗工されているローリングニップを通じて供給される。この組成物は、紙製品の表面に移される。過剰な組成物は、所望の追加(add-on)コーティング重量のシートの表面上に平坦な塗工プロファイルを生じる鋼鉄製の一連の(trailing)ブレードを用い、紙製品の表面から取り除かれる。
【0113】
ある実施態様において、本組成物は、約1g/m2〜約30g/m2の量で、紙製品に適用される。別の実施態様において、本組成物は、約3g/m2〜約25g/m2、又は約5g/m2〜約20g/m2の量で、紙製品に適用される。
【0114】
(コーテッド紙)
本明細書において提供されるコーテッド紙は、ジクレー(Giclee)印刷、カラーコピー、ゼログラフィー、スクリーン印刷、グラビア、昇華型印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、オフセット輪転印刷、電子写真印刷、熱転写記録のための画像記録紙、インクジェット記録などの、多種多様な印刷適用に適している。
【0115】
一態様において、リン酸アルミニウム組成物を含有する、インクジェット用紙及びデジタル印刷用紙が、本明細書において提供される。
【0116】
別の態様において、リン酸アルミニウム組成物を含有する、スマッジングを防止しかつ画像忠実性を改善するための、ダイレクトポストプリントフレキソ印刷のための塗工された段ボール用板紙が、本明細書において提供される。
【0117】
別の態様において、超軽量塗工された出版用紙が、本明細書において提供される。
【0118】
更に別の態様である、リン酸アルミニウム組成物を含有する、グラビア印刷用紙が、本明細書において提供される。
【0119】
ある実施態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙は、TAPPI試験法T480om-92により75°で測定された約10%と等しいか又はそれよりも大きいコーティング光沢度を有する。この方法は、紙の平面から75°で、紙の鏡面光沢度を測定する。別の実施態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙は、75°で、約20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%と等しいか又はより大きいコーティング光沢度を有する。一実施態様において、75°でのコーティング光沢度は、約25%〜約75%である。別の実施態様において、80°でのコーティング光沢度は、約30%〜約65%である。
【0120】
ある実施態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙は、パーカープリントサーフに関するTAPPI試験法:T555om-99を用い測定された、5.0、4.0又は3.0未満の平滑度を有する。一実施態様において、本コーテッド紙は、約1.0〜約2.5、約0.90〜約2.25、又は約0.90〜約2.0のパーカープリントサーフを有する。
【0121】
ある実施態様において、本コーテッド紙は、TAPPI試験法T425om-91を用い測定された80%より大きい不透明度を有する。一実施態様において、本コーテッド紙は、約80%〜約99%の不透明度を有する。別の実施態様において、不透明度は、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約92%〜約99%又は約94%〜約99%である。
【0122】
ある実施態様において、本コーテッド紙の白色度は、TAPPI試験法T452om 92を用い測定された、約70%、73%、75%、77%、80%、85%又は90%GE白色度よりも大きい。一実施態様において、本コーテッド紙は、TAPPI試験法T452om 92を用い測定された白色度、約70%白色度〜約95%GE白色度を有する。別の実施態様において、白色度は、約80%白色度〜約99%GE白色度、又は約85%白色度〜約99%GE白色度である。
【0123】
一態様において、本明細書において提供されるコーテッド紙において使用されるリン酸アルミニウム組成物は、シリカ及び/又は他の特別な顔料と比べ、改善されたレオロジーを有する。ある実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、コーター走行性を改善し、及び/又は乾燥時のエネルギー消費を改善する。別の実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、現存する組成物と比べ、より高い固体割合及び良好なずり減粘レオロジーを持つ水スラリーの形状である。従って本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、現存する組成物よりもより高い固体割合コーティングのために、より迅速なオンマシン乾燥速度を生じ、結果として乾燥の経費が少なくなり、かつプリントにじみを減らす。
【0124】
ある実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、増強されたオンマシンコーティング走行性を有し、その結果現存する組成物に優る増強された生産速度を有する。別の実施態様において、本リン酸アルミニウム組成物は、低いEinlehner摩耗値を有し、これは処理装置に対する摩滅の減少を生じ、かつ紙上にくわえ棒による金属印を残さない。
【0125】
一実施態様において、本明細書のリン酸アルミニウム組成物は、現存する組成物に比べ、より高いソリッド組成を含む。別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、低い嵩密度を有する。
【0126】
別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、本質的にダスティングを伴わずに紙を塗工し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(CMYK)の四色インクジェット印刷の改善された光学/反射密度を有する。
【0127】
更に別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、内部空隙容量のために、可能な限り軽いコート量をもたらす。
【0128】
ある実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、改善されたインクジェット印刷濃度、印刷用紙における改善されたインク受容性及び/又は改善された不透明度を有する。
【0129】
一実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、適用時のベースシートのより少ない浸漬及び減少された粗さを有し、このことはより平滑な塗工されたシートを生じる。
【0130】
別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、より高い操作速度及びより高い生産速度を可能にする。更に別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、低速オフマシンコーティングラインにおいてのみではなく、むしろ高速抄紙機上で塗工する能力を有し、このことは廃棄物及び経費を削減する。
【0131】
一実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、新聞印刷用紙においてプリントスルーを防止するための填料として、さび止め紙、ガス濾過紙、フィルター紙、及び吸収紙などの特別な工業用紙における填料として、作用することができる。
【0132】
別の実施態様において、本明細書において提供されるリン酸アルミニウム組成物は、微粒子の歩留向上剤、浮遊-洗浄システムと組合せた脱インク助剤、又はリサイクルされた段ボール用板紙における摩擦係数(COF)制御助剤として使用される。
【0133】
図1及び2は、各々、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有するコーティング組成物に関する、100RPMでの低剪断及び高粘度の比較を提供する。図3及び4は、各々、TiO2をリン酸アルミニウム顔料と徐々に置き換えることにより得られたコーティング配合物に関する、100RPMでの低剪断及び高粘度を提供する。図1〜4から分かるように、リン酸アルミニウム顔料の添加は、低-剪断及び高-剪断粘度の両方を増加する。
【0134】
図5は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有するコーティング組成物に関する、保水性の比較を提供する。図6は、TiO2をリン酸アルミニウム顔料と置き換えることによるコーティング組成物の保水に対する影響を提供する。このように、リン酸アルミニウムの添加は、保水に対しほとんど影響がない。
【0135】
図7及び8は、各々、カレンダリング前後の、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物で塗工された紙の不透明度の比較を提供する。図9は、コーテッド紙の不透明度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。このように、カレンダリングしない場合は、リン酸アルミニウムは、TiO2と同じ不透明化力を有する。しかしカレンダリングにより、不透明化力は減少される。図10は、カレンダリング前後の、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物で塗工された紙の白色度の比較を提供する。図11は、コーテッド紙の白色度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。このように、リン酸アルミニウムは、OBA性能において、TiO2と等しいか又はわずかに優れている。
【0136】
図12は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物で塗工された紙の光沢度の比較を提供する。図13は、コーテッド紙の光沢度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。このように、リン酸アルミニウムは、優れた光沢化する顔料であり、かつリン酸アルミニウムの量と共に光沢度は増加する。従ってある実施態様において、リン酸アルミニウムとTiO2の配合は、光沢度及び不透明度の両方の増加を表している。
【0137】
図14は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物で塗工された紙の表面強度の比較を提供する。図15は、コーテッド紙の表面強度に対する、TiO2のリン酸アルミニウム顔料との置き換えの影響を提供する。
【0138】
図16は、リン酸アルミニウム顔料及び二酸化チタン顔料を含有する組成物に関する、表面被覆率の比較を提供する。ある実施態様において、リン酸アルミニウムの使用は、表面被覆率に対し有意な作用を有さない。
【0139】
(嵩高コーテッド紙)
一実施態様において、同じ総重量の従来型紙の類似等級よりも、より多くの基本素材(base stock)及びより少ないコーティング組成物を比例的に使用する嵩高コーテッド紙が、本明細書において提供される。
【0140】
例えば、本明細書において1連は紙3300平方フィートであるが、従来型の1連につき30ポンド紙は、下記の特性を有する:
【表1】

【0141】
一実施態様において、本明細書において提供される紙は下記を有する:
【表2】

【0142】
32ポンド/連のより重い紙に関するデータは以下である:
【表3】

【0143】
本明細書において提供される紙は、以下である:
【表4】

【0144】
38ポンド紙に関して、以下である:
【表5】

【0145】
本明細書において提供される紙は、以下である:
【表6】

【0146】
上記紙の紙厚は、以下である:
【表7】

【0147】
ある実施態様において、本明細書において提供される嵩高コーテッド紙は、一般に50%を超える、通常55〜75%の範囲、又は約65%である、高い割合の機械パルプを有する水によって運ばれた完成紙料から出発し、米国特許第6,254,725号に開示されたように製造することができる。本明細書において使用される用語機械パルプは、ストーン砕木パルプ(SGW)、加圧砕木パルプ(PGW)及び化学砕木パルプ(CGW)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、及びケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)を含むことができる。試料の完成紙料配合物の例は、(1)45%TMP/20%SGW/35%針葉樹クラフトパルプ(SWK);(2)50%TMP/25%PGW/25%SWK、及び(3)70〜85%CTMP/30〜15%SWKである。
【0148】
前記完成紙料は、米国特許第6,254,725号に開示されたような従来型の長網抄紙機の代わりに、ギャップフォーマを備える製紙装置又は製紙機において利用される。紙ベースの2つの偏側性(sidedness)を減少するギャップフォーマ(former gap)の固有の能力は、良好な光沢度を伴う最小のコーティング適用を実現することを可能にする。
【0149】
前述のように作製された紙は次に、プレス区画に移動し、そこでこれは従来のようにプレスされる。このプレス区画は、従来のものより少なくウェブを圧縮し、その結果より大きい嵩及び/又は紙厚を保持するペーパーウェブを生じると考えられる、ワイドシュー又は伸長されたニッププレスを備えることができる。伸長されたニッププレスは、嵩を保存し、更にはウェブがこのニップ内にある時間が延長されるために、ウェブからの水の除去を可能にし、このことは従来のものよりも低いニップ圧の使用を可能にする。次にウェブは、乾燥区画を通り送られ、かつ含水率10%未満、又は5%以下に乾燥される。この紙は次に、製紙機上又は製紙機以外で、リン酸アルミニウムを含有するコーティング組成物により塗工される。
【0150】
先に注記したように、ウェブに適用されるコーティング重量は従来型よりも少ないが、しかしギャップ形成された紙ベースの平滑性及び均一性のために、この紙ベースは、より少ない量のコーティングにより、許容できるように塗工されることができ、その結果嵩高を生じ、かつ所定の重量の紙が、従来型よりも、より大きい割合の紙ベース及びより少ない割合のコーティングを比例して含むことを可能にする。使用されるリン酸アルミニウム顔料の量は、所望の嵩及び光沢度を得るように、調節することができる。このコーティングは、ペーパーウェブの片側又は両側に適用することができる。本組成物は更に、本明細書の別所に記載されたように、プラスチック顔料及び添加剤を含有することができる。
【0151】
概して、本コーティングは、任意の従来型のブレードコーターにより、並びに米国特許第4,250,211号及び第4,512,279号に開示された短期滞留時間アプリケーター、及び/又は米国特許第5,436,030号に開示された噴水型コーター、及び/又は米国特許第5,112,653号に開示されたダブルブレードコーターなどにより適用することができ、これらの特許の内容は参照により本明細書に組み入れられている。加えて本コーティングは、米国特許第4,848,268号に開示されたような、Voith Sulzer GmbHにより作製されたフィルムコーター又はスピードコーターアプリケーターにより適用することができる。溝付又は平滑なドクターロッド(doctor rod)などを備えるその他の好適な計量型も使用することができる。
【0152】
前記コーテッド紙はその後、カレンダリング、ホット-ソフトカレンダリング及び/又はスーパーカレンダリングされることができる。
【0153】
一実施態様において、1連につき18〜34ポンドの重量の原紙、及びその原紙の少なくとも片側上のコーティング組成物を含む、嵩高コーテッド紙が、本明細書において提供され、ここで該組成物は、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有し、かつ該コーティング組成物は、片側1連につき約2又は3ポンドを超えない重量であり、かつ該原紙は、コーテッド紙の総紙厚の少なくとも約80、85又は88%の紙厚を有し、かつ該コーティング組成物は、該コーテッド紙の紙厚の実質的に残りを提供し、その結果該コーテッド紙は、嵩率少なくとも55を有する。
【0154】
別の実施態様において、1連につき約26〜36ポンドの重量の原紙、及びその原紙の少なくとも片側上のコーティング組成物を含む、軽量嵩高コーテッド紙が、本明細書において提供され、ここで該組成物は、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有し、かつ該コーティング組成物は、片側1連につき約3ポンドを超えないか、又は約1.5〜3.5ポンドである重量であり、かつ該ベース重量及びコーティング重量は、コーテッド紙の総紙厚の少なくとも約75、80、85又は88%の紙厚を有するように選択され、かつ該コーティング組成物は、該コーテッド紙の紙厚の実質的に残りを提供し、その結果該コーテッド紙は、嵩率少なくとも55を有する。
【0155】
更に別の実施態様において、1連につき約18〜24ポンドの桁の重量の原紙、及びその原紙の少なくとも片側上のコーティング組成物を含む、超軽量嵩高コーテッド紙が、本明細書において提供され、ここで該組成物は、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有し、かつ該コーティング組成物は、片側1連につき約2ポンドの重量であり、かつ該ベース重量及びコーティング重量は、コーテッド紙の総紙厚の少なくとも約75、80、85又は88%の紙厚を有するように選択され、かつ該コーティング組成物は、該コーテッド紙の紙厚の実質的に残りを提供し、その結果該コーテッド紙は、嵩率少なくとも55を有する。
【0156】
ある実施態様において、本コーティング組成物は、原紙の各側に、実質的に等しい重量で適用される。ある実施態様において、本コーテッド紙は、少なくとも50、52、55、58、60又はそれよりも大きい嵩率を有する。嵩率は、米国特許第6,254,725号に説明されたように算出することができる。ある実施態様において、本コーテッド紙は、30、35、40又はそれを上回る75°でのTAPPI光沢度を有する。
【0157】
ある実施態様において、得られるコーテッド紙は、同じ重量の従来型コーテッド紙と比べ、下記の特徴の1つ以上を有する:同じロール直径について紙の線フィート/ロールが10〜20%少なく、これは紙がより嵩高であることを証拠づけ;同じロール直径について1ロール当たりのより少ない重量;約10〜20%より高い紙厚;約10〜15%より高い剛性;不透明度及び白色度の約0.5〜1.0pt.又はそれ以上の増加;並びに、従来型紙と等しいプリント平滑度及び光沢度。
【0158】
本明細書において提供される嵩高軽量コーテッド紙は、紙1トン当たりの印刷面積を増加すること及び雑誌1冊当たりの輸送経費を減少することにより、紙経費を削減するために非常に低い坪量を必要とする雑誌における使用にとって望ましい。嵩高紙は、より高い坪量の従来型等級と置き換えられるより低い坪量を可能にすることにより、雑誌刊行の経済性を改善するであろう。
【0159】
加えて紙の増大した剛性は、低坪量紙のペーパーウェブ剛さを改善し、このことは雑誌の作製に使用される高速印刷機及びフォルダー上のより良い走行性をもたらす。更により厚い紙は、取り扱い時に脆さが少ない、より嵩のある雑誌を作製する。より嵩のある雑誌は、「より頑丈に(substantial)感じられ」、すなわちこれは重みで垂れないか又はだらりとする感じがない。個々の頁は、容易に離れ、一緒に付着することなく頁をめくるであろう。
【0160】
コーティング配合物のある例が、以下に説明される。下記実施例は、本組成物の実施態様を例証するために示されている。全ての数値は近似値である。数値範囲が示されている場合、言及された範囲の外側の実施態様が、依然本発明の範囲内に収まることがあることは理解されなければならない。各実施例において記載される特定の詳細は、本発明の必須の特徴として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0161】
(実施例)
(実施例1:リン酸アルミニウム顔料とプラスチック顔料の比較)
コーティングを、表1のように調製した。GCC(粉砕炭酸カルシウム)であるHydrocarb 90を、高剪断Cowlesディスペンサーにより、72%固形分で分散した。No.1クレイ顔料Hydrafineは、70%固形分で分散した。34.2%固形分のリン酸アルミニウム顔料は、使用前に高剪断Cowlesディスペンサーにより分散した。これらの顔料を分散した後、他のコーティング成分を、表1に列記された順番で、ミキサーにより穏やかにかき混ぜながら添加した。全てのコーティング成分を混ぜ合わせた後、コーティング固形分を、表2の同じ標的固形分に達するように、希釈水により調節した。このコーティング固形物及びBrookfield粘度を測定した。Brookfield粘度は、同じく表2に記されたように、#5スピンドルを100RPM、23℃で用いて測定した。本コーティングは、E bob/20.4秒ランプ時間で、Hercules高剪断流量計においても試験した。
【表8】

【表9】

【0162】
コーティングは、塗工されない153.5g/m2(gsm)フリーシート(Bone Dry)に、円筒状実験用コーター(CLC)上で、3800フィート/分(fpm)で適用した。この原紙は、下記の特徴を有した:坪量:153.5g/m2(Bone Dry)及び165.0g/m2(風乾−7%含水);平滑度:5.98μ0.19;白色度:90.07%±0.15。
【0163】
CLCは、0.020インチのコーティングブレード、0.025インチのバッキングブレード及び0.375インチの伸長(extension)を用いて、組立てた。コート量10g/m2を目標とした。塗工後、試料を試験サイズに切断し、TAPPI標準規格に状態調節した。状態調節後、光学特性(光沢度、白色度、及びL*, a*, b*表色系)並びに平滑度を、TAPPI標準規格試験法に従い測定した。平滑度は、パーカープリントサーフテスターを用い測定した。その後試料を、鋼鉄製ロールに対する2ニップを通し、150°F及び160°F並びに600及び1200プライ(pli)で、カレンダリングした。温度は、ブロッキングの問題(金属ロールに対する粘着)を防止するために、160°Fを超えることはなかった。
【0164】
図17の結果は、GCCの5部のリン酸アルミニウム顔料との置き換えは、光沢度を増加したことを示している。光沢度のより高い増加は、GCCの5部の置プラスチック顔料とのき換えにより認められた。コーティング3のコーティング4との比較は、10部のリン酸アルミニウム顔料コーティングは、5部のプラスチック顔料コーティングと同等の光沢度を有したことを示している。10部のプラスチック顔料コーティングは、25%の実際の乾燥顔料固体ベースで(solids basis)調製されたことに留意されたい。プラスチック顔料は、50%の有効固体ベースで販売されている。従って、有効固体ベースで、コーティング3及び4を比較しなければならない。この比較は、リン酸アルミニウム顔料コーティングの光沢度がプラスチック顔料コーティングと同等であることを示している。このわずかな差異は、これら2種の顔料のカレンダリング反応の差異に起因すると考えられる。プラスチック顔料は、リン酸アルミニウム顔料よりも、カレンダリング温度により良く反応した。これらのコーティングの平滑度の値は、光沢度の結果に良く相当した(図18及び表3-4)。
【表10】

【表11】

【0165】
リン酸アルミニウム顔料を含有するコーティングの白色度の値も、プラスチック顔料を含有するコーティングと同等であった(図19及び表5)。
【表12】

【0166】
表6の検証は、L*, a*, b*表色系の値の間に有意差がないことを示している。
【表13】

【0167】
このデータから分かるように、有効固体ベースで、リン酸アルミニウム顔料は、プラスチック顔料配合物と同等の光沢度の値を提供した。リン酸アルミニウム顔料の白色度及びL*, a*, b*も、プラスチック顔料配合物と同等であった。リン酸アルミニウム顔料を含有するコーティングのレオロジーは、プラスチック顔料を含有するコーティングと同等であった。
【0168】
(実施例2:リン酸アルミニウム顔料とTiO2顔料の比較)
コーティングを、表7に従い調製した。葉片化クレイを、高剪断Cowlesディスペンサー下、68.0%固形分で分散した。No.2クレイ顔料は、71.8%固形分で分散した。リン酸アルミニウム顔料及びTiO2は、各々、34.2%固形分及び62.4%固形分でスラリー化したが、使用前に、高剪断Cowlesディスペンサーにより再分散した。
【表14】

【0169】
これらの顔料の分散後、他のコーティング成分を、表8に列記された順番で、ミキサーを用い、穏やかにかき混ぜながら添加した。
【表15】

【0170】
デンプンの26%固形分溶液を、乾燥Penford Gum 280を、冷水の入ったステンレス鋼製ビーカーに、かき混ぜながら添加することにより、調製した。このビーカーを、スチーム台上に配置し、かつこの混合液を、190°Fで30分間加熱した。全てのコーティング成分を混ぜ合わせた後、コーティングの固形分を測定した。これらの値を、表9に報告した。コーティングのBrookfield粘度も、表9に記した。
【0171】
【表16】

【0172】
コーティングは、コートされない32.0g/m2木材含有(wood containing)紙(Bone Dry)に、円筒状実験用コーター(CLC)上で、1500fpmで適用した。この原紙は、下記の特徴を有した:坪量:31.8g/m2(Bone Dry)及び34.25g/m2(風乾−7%含水);平滑度:4.61μ±0.27;白色度:72.56%±1.88。
【0173】
CLCは、0.020インチのコーティングブレード、0.025インチのバッキングブレード及び0.625インチのエクステンションを用いて、組立てた。コーティングは、6.0+0.5g/m2で塗工した。塗工後、試料を切断し、TAPPI標準規格に状態調節した。状態調節後、光学特性(不透明度、光沢度、白色度、及びL,a,b)並びに平滑度を、TAPPI標準規格試験法に従い測定した。平滑度は、パーカープリントサーフテスターを用い測定した。その後試料を、鋼鉄製ロールに対する2ニップを通し、155°F及び1200プライで、カレンダリングした。
【0174】
図20及び21並びに表10は、リン酸アルミニウム顔料の添加により光沢度が改善したことを示している。光沢度の有意な改善は、TiO2をリン酸アルミニウム顔料で完全に置き換えることにより得られた。
【表17】

【0175】
図22及び表11に見られるように、コーティングの白色度は、リン酸アルミニウム顔料の添加により減少した。
【表18】

【0176】
図23及び表12から分かるように、平滑度には、大きい影響を及ぼさなかった。
【表19】

【0177】
図24及び表13から分かるように、TiO2のリン酸アルミニウム顔料による置き換えは、コーティングの不透明度を有意に低下しなかった。
【表20】

【0178】
これらの結果は、リン酸アルミニウム顔料は、不透明化剤及びより良い光沢化顔料としてTiO2と、好適には1:1で交換することを示している。光沢の更なる増加は、望ましいレベルの光沢度を得るために必要とされる、より少ないカレンダリング圧を生じることができる。
【0179】
より低いカレンダリング圧で等しい光沢度を得る能力は、より高い不透明度、白色度及びより大きい剛性を生じるであろう。その全てが、製紙業者にとってかなり恩恵がある。
【0180】
L*値は、白色度の値に従い、これら両方共リン酸アルミニウム顔料の添加により減少する。a*値及びb*値は、有意な影響を受けなかった。
【表21】

【0181】
このデータは、リン酸アルミニウム顔料は、不透明化剤及びより良い光沢化顔料としてTiO2と、好適には1:1で置き換わることを示している。光沢度の更なる増加は、望ましいレベルの光沢度を得るために必要とされる、より少ないカレンダリング圧を生じることができる。より低いカレンダリング圧で等しい光沢度を得る能力は、より大きい不透明度、白色度及び剛性の保存を可能にするであろう。その全てが、製紙業者により保持されることが望ましい。
【0182】
(実施例3:塗工されたフリーシートに対する蛍光増白剤試験)
コーティングを、表15に示された配合、及び表16に示された添加の順番に従い、調製した。
【表22】

【表23】

【0183】
GCCであるHydroCarb 90を、高剪断Cowlesディスペンサーにより、72%固形分で20分間分散した。20分間分散した後、乾燥FinnFix CMCをGCCに添加し、この混合物を更に5分間分散させた。CMCが増粘する間に、No.1コーティングクレイHydrafineの70%固形分のpHを、水酸化アンモニウムを用い、pH=8に調節した。これは、GCCに添加した場合の、顔料ショック(pigment shock)を防ぐために行った。次にクレイをGCCに添加した。5分間分散した後、増粘した顔料スリップを次にミキサーに移動させ、そこでSBラテックスを添加した。
【0184】
表15に示したように、配合物番号1は、リン酸アルミニウム顔料を含まずに調製した。次の2つの配合物において、No.1クレイの5部及び10部を、リン酸アルミニウム顔料と置き換えた。マスターバッチを、図25、26及び27に従い調製した。コーティング配合物1、2及び3のマスターバッチMBを、OBA及びPVOHを含む及び含まないように調製した8種のコーティングが全て、類似の固形物であることを確実にするよう、調製した。PVOH及びOBA(各々、Leucophor T100 HQ及びLuecophor BCW液体、テトラスルホ及びヘキサスルホ)を、MBから採取した予め秤量した量のコーティングに添加した。最後にOBAを添加した。PVOHを、30%固形分で添加した。使用したPVOHは、Celvol 203であった。混合後、これらのコーティングの固形物を測定した。これらの値は、表17に報告した。
【表24】

【0185】
24種のコーティング全てを、適用しかつ試験した。
【0186】
これらのコーティングは、コートされない61.5g/m2のOBAフリーシートに、円筒状実験用コーター(CLC)上で、3000fpmで適用した。コート量10±0.5g/m2を目標とした。原紙の特徴は、表18にまとめている。
【表25】

【0187】
図28及び29並びに表19は、使用した両方のOBAについて、顔料Xの添加により、白色度がわずかに増加したことを示している。PVOHの1部の添加は、白色度をわずかに改善した。ヘキサスルホOBAは、テトラスルホOBAよりも多く、白色度を改善した。
【表26】

【0188】
蛍光強度の変化は、図30及び31並びに表20に、各コーティングについて報告している。蛍光強度の増加は、OBAに起因した、白色度の改善を示している。
【表27】

【0189】
図6と7の比較は、PVOHの添加による蛍光強度の改善を示し、かつ顔料Xの添加による蛍光強度の有意な減少を示さない。TiO2とは異なり、顔料Xは、OBAと干渉しない。これは、TiO2とは異なり、顔料Xは、UV光を吸収しないからである。顔料Xの不透明化特性は、その構造の微小空隙中の空気の包含から生じると考えられる。これらの小さいエアーポケットは、光を回折し、コーティング層の不透明度を増大する。
【0190】
PVOHを含む対照コーティングのPVOHを含まない顔料Xで置換されたコーティングとの白色度の比較は、等しい白色度を得ることができることを明らかにしている。この知見は、本コーティング配合物の有益な経費節約を示している。
【0191】
表21は、PVOHを添加する及び添加しないL*, a*, b*表色値のデータを提供する。
【表28】

【0192】
このデータから分かるように、より低いレベルのOBA添加で、ヘキサスルホOBAはより良く作用した。PVOHの添加は、コーティングの白色度を改善した。リン酸アルミニウム顔料は、OBAと干渉せず、かつこれはPVOHの必要性を排除することができる。
【0193】
本主題は、限定された数の実施態様に関して説明されているが、一実施態様の具体的特徴は、本発明の他の実施態様に帰するものではない。単独の実施態様は、本発明の全ての態様を表すものではない。一部の実施態様において、組成物及び方法は、本明細書において言及されない多くの化合物又は工程を含んで良い。別の実施態様において、これらの組成物又は方法は、本明細書において列挙されなかった化合物又は工程を含まないか、又はこれらに実質的に束縛されない。説明された実施態様の変更及び修飾が存在する。最後に、本明細書に開示された任意の数は、語句「約」又は「およそ」が数の説明に使用されるかどうかに拘わらず、近似値を意味すると解釈されなければならない。添付された「特許請求の範囲」は、本発明の範囲内に収まるようなそれらの修飾及び変更を全て対象とすることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙の少なくとも片側上にコーティング組成物を含むコーテッド紙であって、該コーティング組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有する、コーテッド紙。
【請求項2】
前記コーティング組成物約5g/m2〜約30g/m2を含む、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項3】
前記コーティング組成物が、添加剤を更に含有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項4】
前記添加剤が、結合剤、滑剤、分散剤、均一化剤、消泡剤、湿潤剤、蛍光増白剤、殺生物剤、架橋剤、保水助剤、粘度調整剤、及び増粘剤、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2記載のコーテッド紙。
【請求項5】
前記顔料が、該組成物中の総固体重量を基に約1%、3%、5%、10%、12%、15%、20%、30%又は50%より多い量で存在する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項6】
前記顔料が、みかけ密度1.95〜2.50g/cm3、及びリン対アルミニウムのモル比1を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項7】
前記顔料が、1粒子につき閉じた空隙1〜4つを含む、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項8】
前記顔料が、粒度分布約0.1〜約5μにより特徴付けられる、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項9】
前記顔料が、粒度分布約0.2〜約0.6μにより特徴付けられる、請求項8記載のコーテッド紙。
【請求項10】
前記顔料が、粒度分布約0.6〜約1.5μにより特徴付けられる、請求項8記載のコーテッド紙。
【請求項11】
前記顔料が、粒度分布約1.0〜約3.0μにより特徴付けられる、請求項8記載のコーテッド紙。
【請求項12】
前記顔料が、乾燥粉末形状である場合、個々の粒径サイズ平均約10〜80nmにより特徴付けられる、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項13】
前記結合剤が、タンパク質、デンプン、ガム、樹脂、エマルションポリマー、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4記載のコーテッド紙。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、炭酸カルシウム、焼成カオリン、含水カオリン、チャイナクレイ、タルク、雲母、ドロマイト、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト、セッコウ、サチン白、チタニア、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、三水和アルミナ、プラスチック顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択される1以上の追加顔料を更に含有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項15】
前記追加顔料が、TiO2である、請求項14記載のコーテッド紙。
【請求項16】
前記コーティング組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を該組成物中の総固体重量を基に約1%〜約40%の量、及びTiO2顔料を約1%〜約40%の量含有する、請求項15記載のコーテッド紙。
【請求項17】
前記コーティング組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料及びTiO2顔料を約1:1の比で含有する、請求項15記載のコーテッド紙。
【請求項18】
前記コーティング組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料及びTiO2顔料を約1:2の比で含有する、請求項15記載のコーテッド紙。
【請求項19】
前記コーテッド紙が、塗工されたカラーコピー用紙、塗工されたゼログラフィー用紙、塗工されたスクリーン印刷用紙、塗工されたグラビア用紙、塗工された昇華型印刷用紙、塗工されたフレキソ印刷用紙、塗工されたインクジェット印刷用紙、塗工された写真紙、塗工されたオフセット輪転印刷用紙、塗工された電子写真印刷用紙、熱転写記録のための塗工された画像記録紙、塗工されたインクジェット記録用紙、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項20】
前記コーテッド紙が、塗工されたインクジェット用紙又は塗工されたデジタル印刷用紙である、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項21】
前記コーテッド紙が、塗工された出版用紙である、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項22】
TAPPI試験法T480om-92で75°で測定された約20%と等しいか又はより大きいコーティング光沢度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項23】
75°で約25%〜約75%のコーティング光沢度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項24】
パーカープリントサーフに関するTAPPI試験法:T555om-99を用い測定された5.0未満の平滑度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項25】
パーカープリントサーフに関するTAPPI試験法:T555om-99を用い測定された約1.0〜約2.5の平滑度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項26】
TAPPI試験法T425om-91を用い測定された80%より大きい不透明度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項27】
TAPPI試験法T425om-91を用い測定された約85%〜約99%の不透明度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項28】
TAPPI試験法T452om 92を用い測定された約70%GE白色度よりも大きい白色度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項29】
TAPPI試験法T452om 92を用い測定された約70%白色度〜約95%GE白色度までの白色度を有する、請求項1記載のコーテッド紙。
【請求項30】
前記コーティング組成物を、原紙の少なくとも片側に適用することを含む、コーテッド紙の調製方法であって、ここで該コーティング組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有する、方法。
【請求項31】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、硫酸アルミニウム、及び水酸化ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記出発材料が、同時に混ぜ合わされる、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記出発材料が反応し、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム沈殿物を形成し、ここで該沈殿物が、温度約130℃未満で乾燥され、かつここで乾燥時に形成された非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム粒子が、1粒子につき1つ以上の閉じた空隙を有する、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記粒子が、実質的に開いた細孔を有さない、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記出発材料が、約30分間混ぜ合わされ、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム沈殿物を形成する、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、水酸化アルミニウム、及びアルミン酸ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項30記載の方法。
【請求項37】
前記リン酸及び水酸化アルミニウムが、第一工程において混ぜ合わされ、酸性リン酸アルミニウムの溶液又は懸濁液を形成し、かつ第二工程において、アルミン酸ナトリウムが、該溶液又は懸濁液に添加される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記リン酸、水酸化アルミニウム、及びアルミン酸ナトリウムが、単独工程において混ぜ合わされる、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記出発材料が反応し、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム沈殿物を形成し、ここで該沈殿物が、温度約130℃未満で乾燥され、かつここで乾燥時に形成された非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム粒子が、1粒子につき1つ以上の閉じた空隙を有する、請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記粒子が、実質的に開いた細孔を有さない、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記コーテッド紙をカレンダリングし、それらの上に塗工を形成することを更に含む、請求項31記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、水を更に含有する、請求項31記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、添加剤を更に含有する、請求項31記載の方法。
【請求項44】
前記組成物が、炭酸カルシウム、焼成カオリン、含水カオリン、チャイナクレイ、タルク、雲母、ドロマイト、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト、セッコウ、サチン白、チタニア、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、三水和アルミナ、プラスチック顔料、及びそれらの組合せからなる群から選択される1以上の追加顔料を更に含有する、請求項31記載の方法。
【請求項45】
前記組成物が、約5g/m2〜約30g/m2の量で原紙に適用される、請求項31記載の方法。
【請求項46】
1連につき18〜34ポンドの重量の原紙、及びその原紙の少なくとも片側上にコーティング組成物を含む、嵩高コーテッド紙であり、ここで該組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有し、かつ該コーティング組成物が、片側1連につき3ポンドを超えない重量であり、かつ該原紙が、コーテッド紙の総紙厚の少なくとも約88%の紙厚を有し、かつ該コーティング組成物が、該コーテッド紙の紙厚の実質的に残りを提供し、その結果該コーテッド紙は少なくとも55の嵩率を有する、嵩高コーテッド紙。
【請求項47】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、硫酸アルミニウム、及び水酸化ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項46記載のコーテッド紙。
【請求項48】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、水酸化アルミニウム、及びアルミン酸ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項46記載のコーテッド紙。
【請求項49】
1連につき約26〜36ポンドの重量の原紙、及びその原紙の少なくとも片側上にコーティング組成物を含む、軽量嵩高コーテッド紙であり、ここで該組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有し、かつ該コーティング組成物が、片側1連につき約1.5〜3.5ポンドの重量であり、かつ該原紙重量及びコーティング重量が、原紙がコーテッド紙の総紙厚の少なくとも約75%の紙厚を有するように選択され、かつ該コーティング組成物が、該コーテッド紙の紙厚の実質的に残りを提供し、その結果該コーテッド紙は少なくとも55の嵩率を有する、軽量嵩高コーテッド紙。
【請求項50】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、硫酸アルミニウム、及び水酸化ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項49記載のコーテッド紙。
【請求項51】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、水酸化アルミニウム、及びアルミン酸ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項49記載のコーテッド紙。
【請求項52】
1連につき約18〜24ポンドの桁の重量の原紙、及びその原紙の少なくとも片側上にコーティング組成物を含む、超軽量嵩高コーテッド紙であり、ここで該組成物が、非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料を含有し、かつ該コーティング組成物が、片側1連につき約2ポンドの重量であり、かつ該原紙重量及びコーティング重量が、原紙がコーテッド紙の総紙厚の少なくとも約75%の紙厚を有するように選択され、かつ該コーティング組成物が、該コーテッド紙の紙厚の実質的に残りを提供し、その結果該コーテッド紙は少なくとも55の嵩率を有する、超軽量嵩高コーテッド紙。
【請求項53】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、硫酸アルミニウム、及び水酸化ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項52記載のコーテッド紙。
【請求項54】
前記非晶質リン酸アルミニウム又はポリリン酸アルミニウム顔料が、リン酸、水酸化アルミニウム、及びアルミン酸ナトリウムを含む出発材料を混ぜ合わせることにより調製される、請求項52記載のコーテッド紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2012−517537(P2012−517537A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549345(P2011−549345)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/023753
【国際公開番号】WO2010/093693
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511194267)ブンゲ フェルチリザンテス エス.エー. (1)
【出願人】(511194278)
【Fターム(参考)】