説明

紙シートの放熱器

【課題】放熱フィンの放熱面積を大きくして優れた放熱特性を実現しながら、極めて軽くする。安価に多量生産できる紙シートの放熱器を提供する。
【解決手段】紙シートの放熱器は、放熱フィン1を熱伝導部2に固定している。放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シート3で構成している。紙シート3は、折曲ライン4で折曲して、折曲ライン4を境界として放熱フィン1と固定紙シート部6とに区画している。放熱器は、紙シート3の固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定して、熱伝導部2の熱を固定紙シート部6から放熱フィン1に熱伝導して放熱している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱面積を大きくしている放熱フィンを有する放熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターのCPU等の電子部品やLED、液晶、PDP、EL、携帯電話等の発光素子等の電子部品の小型化、高集積化により、各部品からの発熱による装置の寿命低下、誤作動が問題となってきており、電子部品の放熱対策への要求は、年々高まってきている。電子部品の放熱対策として、ファン等を用いた強制冷却の他、金属性の放熱フィンからなる放熱用部品が使用されている。放熱フィンは放熱面積を大きくして放熱特性を向上できる。このことから、金属板を折曲加工して放熱面積を大きくしている放熱フィンは開発されている。(特許文献1参照)
【0003】
この放熱フィンは、熱源に熱結合される熱伝導部に放熱フィンを固定している。放熱フィンは、薄い金属板を、熱伝導部に接触するように形成された谷部と、谷部から起立姿勢を成すように形成された立ち上がり部と、立ち上がり部の頂部において折り返すように折曲されて形成された山部とを設けている。立ち上がり部は、対向する金属薄板同士を密着させる構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−27544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の放熱フィンは、折曲加工して放熱面積を大きくできる特徴はあるが、金属板を使用するので重くなる欠点がある。とくに、山部のピッチを狭く、立ち上がり部の上下幅を広くして放熱面積を大きくすると重くなる欠点がある。また、広い面積の金属板を使用することからコストも高くなる欠点がある。重い放熱フィンは、固定のために大きな強度が要求されて、取り付け部のコストも高くなる。さらに、軽量化が特に大切な用途、たとえば電球に代わって使用される複数のLEDの電球タイプの光源等は、軽い電球に代わって使用されるので、その重量を電球に近くすることが要求される。LEDの温度上昇を少なくするために、従来の金属板の放熱フィンを固定すると、放熱フィンが重くなって光源を軽くできないなどの弊害が発生する。また、回路基板に固定されるパワートランジスタやパワーFET等の半導体素子にも放熱フィンが固定されるが、この放熱フィンは、回路基板で半導体素子を支持するので、軽くて優れた放熱特性が要求される。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、放熱フィンの放熱面積を大きくして優れた放熱特性を実現しながら、極めて軽くできる紙シートの放熱器を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、安価に多量生産できる紙シートの放熱器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の発明にかかる紙シートの放熱器は、放熱フィン1を熱伝導部2に固定している。放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シート3で構成している。紙シート3は、折曲ライン4で折曲して、折曲ライン4を境界として放熱フィン1と固定紙シート部6とに区画している。放熱器は、紙シート3の固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定して、熱伝導部2の熱を固定紙シート部6から放熱フィン1に熱伝導して放熱している。
【0008】
以上の紙シートの放熱器は、放熱フィンの放熱面積を大きくして優れた放熱特性を実現しながら、極めて軽くできる特徴がある。それは、放熱フィンを湿式抄紙された紙製とするからである。湿式抄紙された紙シートは、その表面方向に極めて優れた熱伝導率を示すことから、熱伝導部の発熱を速やかに広い面積に伝導して効率よく放熱する。また、表面に無数の微細な凹凸があって実質的な表面積が大きく、放熱面積が大きくなって表面から効率よく放熱する。ちなみに、アルミニウムの放熱器を設けているLED光源は、外気温度を20℃とする状態で連続して点灯して、LEDの温度が61℃まで上昇して安定したのに対し、同じLED光源に、本発明の紙シートの放熱器を固定することで、LEDの温度を55℃ないし62℃と重いアルミニウムの放熱器に勝るとも劣らない低い温度に放熱できる。放熱フィンを紙シートとする放熱器の重量は、軽いものでわずかに約100gであるから、種々のタイプの光源を軽くしながら、LEDの発熱を効果的に放熱して温度上昇を少なくできる。LEDのみでなく、半導体素子は温度上昇によって効率が低下する特性がある。たとえば、LEDは、温度が上昇するにしたがって発光効率が低下し、反対に温度が60℃から30℃に降下すると、発光効率は約50%も向上する。さらに困ったことに、半導体素子は、温度が上昇して効率が低下すると電力ロスが大きくなって発熱量が増加する。このため、半導体素子は、効率よく放熱することで温度を低くできるが、放熱が十分でないと温度が上昇し、また、温度が上昇して発熱量がさらに増加して温度がますます高くなって効率を低下させる悪循環を起こす。本発明の紙シートの放熱器は、軽くて優れた放熱特性を実現するので、電球タイプのLED光源に固定して、全体を軽くしながら、温度上昇を少なくして、発光効率を高くできる理想的な特徴を実現する。さらに、以上の紙シートの放熱器は、放熱フィンを金属板から紙シートとするので、軽いことに加えて、安価に多量生産できる特徴も実現する。
【0009】
本発明の紙シートの放熱器は、紙シート3をL字状に折曲加工して放熱フィン1と固定紙シート部6とに区画し、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定することができる。
以上の放熱器は、固定紙シート部を広い面積で熱伝導部に熱結合して、熱伝導部の発熱を効率よく固定紙シート部に伝導し、表面方向に優れた熱伝導特性によって固定紙シート部から放熱フィンに速やかに熱伝導して外部に効率よく放熱する。
【0010】
本発明の紙シートの放熱器は、紙シート3を、折曲ライン4を残して特定の形状に切り抜いて、複数の切り抜き部3cと固定紙シート部6とに区画し、切り抜き部3cを固定紙シート部6に対して所定の角度となるように折曲ライン4で折曲し、切り抜き部3cを放熱フィン1として、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定することができる。
以上の放熱器は、一枚の紙シートで複数の放熱フィンを固定紙シート部に連結する構造が実現できると共に、固定紙シート部を広い面積にできる。このため、熱伝導部の発熱を、広い面積で熱結合状態にある固定紙シート部に効率よく熱伝導し、さらに表面方向に優れた熱伝導率によって、固定紙シート部から複数の放熱フィンにも効率よく熱伝導して、熱伝導部の発熱を効率よく放熱できる。
【0011】
本発明の紙シートの放熱器は、紙シート3を、外周縁から離れた位置を折曲ライン4として、この折曲ライン4の両端に連結して折曲ライン4から外周縁まで裁断して、切り起こし部3bと固定紙シート部6とに区画し、この切り起こし部3bを固定紙シート部6に対して所定の角度となる状態に折曲ライン4で折曲し、切り起こし部3bを放熱フィン1として、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定することができる。
以上の放熱器も、一枚の紙シートで複数の放熱フィンを固定紙シート部に連結する構造が実現できると共に、固定紙シート部を広い面積にできる。このため、熱伝導部の発熱を、広い面積で熱結合状態にある固定紙シート部に効率よく熱伝導し、さらに表面方向に優れた熱伝導率によって、固定紙シート部から複数の放熱フィンにも効率よく熱伝導して、熱伝導部の発熱を効率よく放熱できる。
【0012】
本発明の紙シートの放熱器は、固定紙シート部6を挟着して熱伝導部2に固定する固定プレート7を有して、この固定プレート7と熱伝導部2とで固定紙シート部6を挟着して、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定することができる。
以上の放熱器は、簡単かつ容易に、しかも好ましい状態で固定紙シート部を熱伝導部に熱結合状態に固定でき、熱伝導部の発熱を速やかに固定紙シート部に伝導して、固定紙シート部から放熱フィンに熱伝導して効率よく放熱できる。この構造は接着剤を使用することなく紙シートを熱伝導部に固定できるので、接着剤を使用しない状態にあっては、全体を軽くできる。
【0013】
本発明の紙シートの放熱器は、紙シート3を、互いに平行に配設してなる複数列の固定紙シート部6の間に、山形に突出する放熱フィン1を有する形状に折曲加工すると共に、固定プレート7が、固定紙シート部6を熱伝導部2に挟着する挟着部7Bと、山形に突出する放熱フィン1を突出させる貫通孔7Cを有し、この固定プレート7が、貫通孔7Cに放熱フィン1を挿入して、挟着部7Bを熱伝導部2に固定することができる。
以上の放熱器は、固定紙シート部を好ましい状態で熱伝導部に固定できると共に、放熱フィンの両側に固定紙シート部を設けて、各々の放熱フィンを理想的な状態で固定紙シート部を介して熱伝導部に熱結合状態に連結できる。このため、熱伝導部の発熱を速やかに固定紙シート部に伝導し、固定紙シート部から放熱フィンに熱伝導して効率よく放熱できる。
【0014】
本発明の紙シートの放熱器は、固定プレート7の貫通孔Cを四角形とし、紙シート3の放熱フィン1を四角形の貫通孔7Cから突出する垂直断面形状を三角形とする山形とすることができる。
以上の放熱器は、放熱フィンを安定して自立できる状態としながら、熱伝導部の発熱を効率よく固定紙シート部から放熱フィンに伝導して、放熱効率をよくできる。また、固定プレート7の貫通孔7Cは、三角形やスリット形状とすることができる。三角形の貫通孔は、垂直断面形状と水平断面形状を三角形とする放熱フィンを突出させる。スリットの貫通孔は、2つ折りした放熱フィンを突出させる。
【0015】
本発明の紙シートの放熱器は、固定プレート7を金属プレート、硬質のプラスチック板、フィラーを充填している硬質のプラスチック板、繊維強化のプラスチック板のいずれかとすることができる。
固定プレートを金属プレートとする構造にあっては、固定紙シート部を確実に熱伝導部に密着させて、好ましい熱結合状態を実現し、さらに、金属プレートの固定プレートからも放熱して、放熱特性を改善できる。固定プレートをプラスチック板とする構造にあっては、軽くしながら固定紙シート部を熱伝導部に確実に熱結合状態に固定できる。
【0016】
本発明の紙シートの放熱器は、放熱フィン1を、折曲ライン4で折曲して折り畳み自在に固定紙シート部6に連結することができる
以上の放熱器は、折り畳み状態で梱包し、また、運搬することで、この行程で極めてコンパクトにしながら、優れた放熱特性を実現する。さらに、この構造は輸送コストを低減できる。
【0017】
本発明の第11の発明にかかる紙シートの放熱器は、放熱フィン1を熱伝導部2に固定している。放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シート3で構成している。さらに、放熱器は、放熱フィン1の紙シート3の切断縁5を熱伝導部2に熱結合状態に固定すると共に、紙シートの放熱フィン1が切断縁5を熱伝導部2に載せて自立できる形状としいる。
以上の放熱器は、放熱フィンを簡単に熱伝導部に固定しながら、紙シートの切断縁を熱伝導部に熱結合状態に固定して、表面方向に優れた熱伝導特性を示す紙シートでもって、熱伝導部の熱を効率よく放熱フィンに伝導して放熱できる。
【0018】
本発明の放熱器は、切断縁を熱伝導部に載せて自立できる形状を、筒状、板状、ハニカム状、コルゲートハニカム状、碁盤格子状、錐状のいずれかとすることができる。
以上の放熱器は、放熱フィンの表面積を大きくして、優れた放熱特性を実現する。また、放熱フィンを優れた強度で所定の形状に保持して、長期間にわたって優れた放熱特性を実現する。
【0019】
本発明の第13の発明にかかる紙シートの放熱器は、放熱フィン1を熱伝導部2に固定している。放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シート3で構成されている。さらに、放熱器は、放熱フィン1の紙シート3をループ状又はスパイラル状として、ループ又はスパイラルの外周面を熱伝導部2に熱結合状態で固定している。
以上の放熱器は、固定紙シート部と放熱フィンとの熱結合面積を広くし、さらに放熱面積も広くして、固定紙シート部から放熱フィンに速やかに熱伝導して、放熱フィンでもって熱伝導部の発熱を効率よく放熱できる。
【0020】
本発明の第14の発明にかかる紙シートの放熱器は、放熱フィン1を熱伝導部2に固定している。放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シート3で構成している。さらに、放熱器は、放熱フィン1の紙シート3を熱伝導部2に挿通して熱結合状態で固定している。
以上の放熱器は、放熱フィンを熱伝導部に挿通して熱結合状態とするので、極めて簡単に放熱フィンを熱伝導部に熱結合状態で連結できる。
【0021】
本発明の紙シートの放熱器は、放熱フィン1の紙シート3の厚さを1mm以下であって、0.05mm以上とすることができる。
この放熱器は、放熱フィンを十分な強度としながら、軽くて優れた放熱特性を実現できる。
【0022】
本発明の紙シートの放熱器は、放熱フィン1である紙シート3の繊維を、叩解して表面に無数の微細繊維を設けてなる叩解パルプと、叩解されない非叩解繊維とし、叩解パルプと非叩解繊維とに熱伝導粉末を添加して湿式抄紙された紙シートを放熱フィンとすることができる。
以上の紙シートの放熱器は、放熱フィンに使用する紙シートの耐折曲強度を向上し、折曲加工を簡単にしながら熱伝導率を高くできる、紙シートとして理想的な特性を実現する。また、放熱フィンに使用する紙シートの振動に対する強度を向上できる特徴も実現する。以上の紙シートは、耐折強度を約3000回と極めて強くでき、また、熱伝導率も54.2W/m・Kとして、放熱フィンのすぐれた放熱特性を実現できる。
【0023】
本発明の紙シートの放熱器は、放熱フィン1に使用する紙シート3の叩解パルプを、合成繊維からなる叩解パルプと天然パルプのいずれかを単独であるいは複数種混合して使用することができる。合成繊維の叩解パルプとして、アクリル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、レーヨン繊維、ポリスルホン系繊維のいずれかを使用できる。また、天然パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプのいずれかを使用することができる。
【0024】
さらに、非叩解繊維には、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、炭素繊維、PBO繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、レーヨン繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリアリレート繊維、金属繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、フッ素繊維、ポリスルホン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維のいずれかを使用することができる。
【0025】
非叩解繊維として、熱で溶融するバインダー繊維を添加し、抄紙されたシートを加熱プレスしてバインダー繊維を溶融してシート状に加工して紙シートとすることができる。バインダー繊維には、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリスルホン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維のいずれかを使用することができる。
【0026】
放熱フィン1、21、31の紙シート3に添加している熱伝導粉末には、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナシリケート、シリコン、鉄、炭化珪素、炭素、窒化硼素、アルミナ、シリカ、アルミニウム、銅、銀、金、酸化亜鉛、亜鉛の粉末のいずれかを使用することができる。また、熱伝導粉末の平均粒径は、0.1μmないし500μmとすることができる。
【0027】
さらに、放熱フィン1の紙シート3は、バインダーとして、合成樹脂を添加して繊維に結合して湿式抄紙して製造するものが使用できる。合成樹脂として、ポリアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)樹脂、SBR(スチレンブタジエンゴム)樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂のいずれかを含む熱可塑性樹脂、または、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂のいずれかを含む熱硬化性樹脂のいずれかを使用することができる。
【0028】
さらにまた、放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加してなるモールド抄紙で湿式抄紙されてなる紙シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図2】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図9】図8に示す紙シートの放熱器の分解斜視図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図12】図11に示す紙シートの放熱器の分解斜視図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の使用例を示す斜視図である。
【図14】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図15】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図16】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図17】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図18】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図19】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図20】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図21】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図22】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図23】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図24】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図25】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図26】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図27】本発明の他の実施例にかかる紙シートの放熱器の斜視図である。
【図28】熱伝導率の測定装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための紙シートの放熱器を例示するものであって、本発明は紙シートの放熱器を以下の方法や条件に特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0031】
図1ないし図16に示す放熱器は、紙シート3を折曲ライン4で折曲して、折曲ライン4を境界として放熱フィン1と固定紙シート部6とに区画し、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定して、熱伝導部2の熱を固定紙シート部6から放熱フィン1に熱伝導して放熱するようにしている。
【0032】
図1ないし図3の放熱器は、紙シート3をL字状に折曲加工して放熱フィン1と固定紙シート部6とに区画して、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定している。この放熱器は、放熱フィン1が互いに平行となる姿勢で、固定紙シート部6を熱伝導部2に接着して固定している。この放熱器は、各々の放熱フィン1の面積を大きく、熱伝導部2に固定するピッチを狭くして、放熱特性を向上できる。以上の放熱器は、放熱フィン1と固定紙シート部6との境界の折曲ライン4を折り畳みライン4aとして折曲することで、放熱フィン1を折り畳み自在に固定紙シート部6に連結できる。このため、放熱器は運搬するときに、放熱フィン1を折り畳みしてコンパクトにできる特徴がある。
【0033】
図2の放熱器は、放熱フィン1をジグザグ状に折曲加工して放熱面積をより広くしている。また、図3の放熱器は、放熱フィン1の横幅を狭くして、多数の放熱フィン1を熱伝導部2に接着して固定している。
【0034】
図4の放熱器は、一枚の細長い紙シート3を、水平部分3Aと垂直部分3Bとができるように直角に折曲加工して、垂直部分3Bを放熱フィン1、水平部分3Aを固定紙シート部6としている。垂直部分3Bは上端で折り返すように折曲加工されるので、2枚の垂直部分3Bが接着され、あるいは接着されることなく互いに接近して、放熱フィン1を構成する。とくに、接着しない状態にあっては、紙シートからなる2枚の水平部分3Bは互いに密着することがなく、ここに隙間ができて、この隙間に空気が通過してより効率よく放熱できる特徴がある。水平部分3Aは固定紙シート部6として、熱伝導部2に接着して固定される。以上の放熱器は、放熱フィン1を四角形とするが、図5に示すように、放熱フィン1を三角形とすることもできる。
【0035】
以上の放熱器も、放熱フィン1と固定紙シート部6との境界の折曲ライン4を折り畳みライン4aとして折曲することで、放熱フィン1を折り畳み自在に固定紙シート部6に連結できる。このため、放熱器は運搬するときに、放熱フィン1を折り畳みしてコンパクトにできる特徴がある。
【0036】
図6の放熱器は、一枚の細長い紙シート3を、水平部分3Aと上下方向に伸びる上下部分3Cとができるように折曲加工して、上下部分3Cを放熱フィン1、水平部分3Aを固定紙シート部6としている。上下部分3Cが三角形の山形となるように、固定紙シート部6を互いに離して熱伝導部2に固定している。この放熱器は、2枚の上下部分3Cを三角形として自立でき、また三角形の内側に送風して効率よく放熱できる特徴がある。また、この放熱器は、上下部分3Cに折り畳みライン4aを設けてここを折曲することで折り畳み自在に固定紙シート部6に連結して、運搬するときにコンパクトにできる特徴も実現する。
【0037】
図7の放熱器は、山形の頂上部分に水平部3Dを設けている。この構造の放熱器は、全高を低くして、効率よく放熱できる特徴がある。また、この放熱器は、放熱フィン1に折り畳みラインを設けてここを折曲することで折り畳み自在に固定紙シート部6に連結して、運搬するときにコンパクトにできる特徴も実現する。
【0038】
図8ないし図12の放熱器は、固定紙シート部6を挟着して熱伝導部2に固定する固定プレート7を備える。固定プレート7と熱伝導部2とで固定紙シート部6を挟着して、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に固定している。固定プレート7は、ステンレス板やアルミニウム板、あるいは鉄合金などの金属プレート、あるいは硬質プラスチックプレート、フィラーを充填してる硬質プラスチックプレート、繊維強化プラスチックプレート等が使用できる。この放熱器は、接着剤を使用することなく、固定紙シート部6を長期間にわたって確実に安定して、熱伝導部2に熱結合状態に固定できる。ただし、固定紙シート部を接着して固定紙シート部で熱伝導部に固定することもできる。この放熱器も、放熱フィン1に折り畳みライン4aを設けてここを折曲することで折り畳み自在に固定紙シート部6に連結して、運搬するときにコンパクトにできる特徴も実現する。
【0039】
図8と図9に示す放熱器は、紙シート3を、互いに平行に配設してなる複数列の固定紙シート部6の間に、山形に突出する放熱フィン1を有する形状に折曲加工して、固定紙シート部6を固定プレート7で熱伝導部2に固定している。固定プレート7は、固定紙シート部6を熱伝導部2に挟着する挟着部7Bと、山形に突出する放熱フィン1を突出させる四角形の貫通孔7Cを設けている。この固定プレート7は、周囲の枠部7Aを挟着部7Bで橋渡し状態に連結する形状としている。固定プレート7は、貫通孔7Cに放熱フィン1を挿入する状態で熱伝導部2に固定される。固定プレート7は、挟着部7Bや枠部7Aを熱伝導部2に止ネジ8で固定する。図9の放熱器は、挟着部7Bを止ネジで熱伝導部2に固定して、固定プレート7を熱伝導部2に固定している。固定プレート7は、図10に示すように、弾性的に挟着するクリップ状の挟着具9で熱伝導部2に固定することもできる。
【0040】
図11と図12に示す放熱器は、スリット状の貫通孔7Cを設けて、この貫通孔7Cに板状の放熱フィン1を挿通している。この放熱器は、挟着部7Bの幅を広くできるので、固定紙シート部6を広い面積で理想的な熱結合状態に熱伝導部2に固定できる。また、固定プレート7で紙シート3を確実に熱伝導部2に固定しながら、折曲ライン4を折り畳みライン4aとして、放熱フィン1を折り畳みできる特徴も実現する。
【0041】
図13の放熱器は、紙シート3の片側にスリット状に切り込み3aを入れて切り込み3aの間に放熱フィン1を設けている。切り込み3aのない部分を固定紙シート部6として、円形の熱伝導部2の表面に固定している。この放熱器は、図の鎖線で示すように、LED電球10に、固定紙シート部6を巻き付けるように接着して固定し、放熱フィン1をLED電球10から離すように折曲してLED電球10などを効率よく放熱できる。また、LED電球を収納するときに、折曲ライン4を折り畳みライン4aとして放熱フィン1をLED電球に密着するように折り畳みしてコンパクトに収納できる特徴がある。
【0042】
図14の放熱器は、四角形の紙シート3の対向する外周縁から離れた位置を折曲ライン4とし、この折曲ライン4の両端に連結して折曲ライン4から外周縁まで裁断して、切り起こし部3bと固定紙シート部6とに区画し、切り起こし部3bを固定紙シート部6に対して所定の角度となる状態に折曲ライン4で折曲して、切り起こし部3bを放熱フィン1としている。固定紙シート部6は、熱伝導部2に熱結合状態に固定される。図の放熱器は、紙シート3の両側に放熱フィン1を設けているが、片側に放熱フィンに設けることもできる。
【0043】
図15の放熱器は、紙シート3を、折曲ライン4を残して特定の形状に切り抜いて、複数の切り抜き部3cと固定紙シート部6とに区画して、切り抜き部3cを固定紙シート部6に対して所定の角度となるように折曲ライン4で折曲して、切り抜き部3cを放熱フィン1としている。固定紙シート部6は熱伝導部2に熱結合状態に固定される。
【0044】
図14と図15の放熱器は、折曲ライン4を折り畳みライン4aとして折り畳みすることで、コンパクトに収納して運搬できる。放熱フィン1は、使用する状態で直角に、あるいは傾斜する姿勢に折曲されて、固定紙シート部6の熱を放熱する。
【0045】
図16の放熱器は、所定の幅の紙シート3を固定紙シート部6の間に山形の放熱フィン1ができるように折曲加工している。山形の放熱フィン1は、中間折曲ライン11と、この中間折曲ライン11で折曲できるスリット12とを設けてスリット12の間に中間折曲部13を設けている。スリット12で分割される複数の中間折曲部13は、中間折曲ライン11で交互に上下に折曲している。上方に折曲された中間折曲部13は、中間で山形に折曲されて放熱フィン1としている。下方に折曲された中間折曲部13は、中間部が水平となるように折曲して、熱伝導部2の表面に固定する固定紙シート部6としている。図に示す放熱器は、隣接する中間折曲ライン11の間に、5本の中間接続部13を平行に設けており、これらの中間折曲部13で、2つの山形の放熱フィン1と、3つの固定紙シート部6とを交互に設けている。以上の放熱器は、中間折曲ライン11を挟んで隣接する固定紙シート部6の間隔を調整して、山形の放熱フィン1の突出高さと熱伝導部2に設けられる山形の放熱フィン1の個数が特定される。すなわち、この放熱器は、中間折曲ライン11を挟んで隣接する固定紙シート部6の間隔を狭くすることで、熱伝導部2に設けられる山形の放熱フィン1の数を多くして、山形の放熱フィン1の突出高さを高くできる。
【0046】
図17ないし図24に示す放熱器は、放熱フィン1の紙シート3の切断縁5を熱伝導部2に熱結合状態に固定すると共に、紙シート3の切断縁5を熱伝導部2に載せて自立できる形状としている。この放熱フィンは、複数の筒状、複数の錐状、ハニカム状、コルゲートハニカム状、碁盤格子状のいずれかとして自立できる形状として、放熱フィン1である紙シート3の切断縁5を熱伝導部2に熱結合状態に固定している。
【0047】
図17ないし図19に示す放熱器は、紙シート3を筒状として、一方の切断縁5を熱伝導部2の表面に接着して固定している。これらの放熱器は、熱伝導部2から突出する筒状の紙シート3を放熱フィン1として、所定の間隔で熱伝導部2に固定している。図17に示す放熱器は、紙シート3の放熱フィン1を円筒状とし、図18に示す放熱器は、紙シート3の放熱フィン1を角筒状としている。さらに、図19に示す放熱器は、紙シート3の放熱フィン1を流線形の筒状としている。流線形の放熱フィン1は、その横断面形状において、一方の側面を鋭角な折曲部3dとし、反対側の側面を湾曲面3eとしている。この放熱器は、放熱フィン1の鋭角な折曲部3dを風上側に、湾曲面3eを風下側に配置して、複数の放熱フィン1にスムーズに送風して放熱できる。
【0048】
図20と図21に示す放熱器は、紙シート3を錐状として、底面側の切断縁5を熱伝導部2の表面に接着して固定している。これらの放熱器は、熱伝導部2から突出する錐状の紙シート3を放熱フィン1として、所定の間隔で熱伝導部2に固定している。さらに、紙シートを錐状とする放熱フィンは、熱伝導部の表面に隙間なく配置して、表面積を大きくすることもできる。図19に示す放熱器は、紙シート3の放熱フィン1を円錐状とし、図20に示す放熱器は、紙シート3の放熱フィン1を三角錐状としている。ただ、図示しないが、紙シートを錐状とする放熱フィンは、底面の形状を楕円形や長円形とする錐状とすることも、四角形以上の多角形とする角錐状とすることもできる。紙シートは、錐状に加工してもアルミニウムのように硬くないので、安全に使用できる特徴がある。
【0049】
図22の放熱器は、紙シート3をハニカム状として、切断縁5を熱伝導部2に固定している。ハニカム状の紙シート3は、互いに平行に配設している平行シート3Xの間に、区画壁となる区画紙シート3Zを接着して、内部に六角柱状のスペースを設けてハニカム状の放熱フィン1としている。ハニカム状の放熱フィン1は、紙シート3の一方の切断縁5を熱伝導部2の表面に接着して固定している。
【0050】
図23の放熱器は、紙シート3をコルゲートハニカム状として、切断縁5を熱伝導部2に固定している。コルゲートハニカム状の紙シート3は、互いに平行に配設している平行紙シート3Xの間に、コルゲート状に湾曲加工しているコルゲート紙シート3Yを挟着するように接着して放熱フィン1としている。コルゲートハニカム状の放熱フィン1は、紙シート3の一方の切断縁5を熱伝導部2の表面に接着して固定している。
【0051】
さらに、図24の放熱器は、複数枚の紙シート3を碁盤格子状に連結して、切断縁5を熱伝導部2に固定している。図の放熱フィン1は、縦紙シート3Tと横紙シート3Sとを碁盤格子状に連結している。縦紙シート3Tと横紙シート3Sは、上下幅の半分にスリットを設け、一方のスリットに他方の紙シート3を挿入して碁盤格子状に連結している。さらに図の放熱フィン1は、縦紙シート3Tを貫通して、放熱用の換気孔を複数に設けている。図の縦紙シート3Tは、横紙シート3Sの間であってその上下に換気孔を設けている。この構造の放熱フィン1は、換気孔でもって横紙シート3Sの間に換気して、より効率よく放熱できる。この形状の碁盤格子状の放熱フィン1は、縦紙シート3Tと横紙シート3Sの下端の切断縁5を、熱伝導部2に接着して固定している。
【0052】
図22ないし図24の放熱器は、複数枚の紙シート3を互いに立体的に連結して所定の立体形状としているので、放熱フィンの表面積を広くしながら、放熱フィンを優れた強度で所定の形状に保持できる。このため、長期間にわたって優れた放熱特性を実現できる。
【0053】
さらに、放熱器は、図示しないが、紙シートの放熱フィンを複数の板状として、切断縁を熱伝導部に熱結合状態に固定することもできる。この放熱器は、例えば、コルゲート状、あるいはジグザク状に加工してなる複数の紙シートを所定の間隔で配置して、すなわち、紙シートの放熱フィンを複数の板状として熱伝導部に固定することができる。これらの放熱フィンも、紙シートの一方の切断縁を熱伝導部の表面に接着して固定できる。
【0054】
図25と図26に示す放熱器は、放熱フィン1の紙シート3を、ループ状又はスパイラル状として、ループ又はスパイラルの外周面を熱伝導部2に熱結合状態で固定している。この放熱フィンは、図示しないが紙シートに熱伝導部と平行に複数の折り畳みラインを設けて折り畳みできる形状にできる。
【0055】
図25に示す放熱器は、細長い帯状の紙シート3の両端を連結してループ状に成形しており、このループの外周面を熱伝導部2に固定して放熱フィン1としている。図に示す放熱器は、ループ状の放熱フィンを楕円形状としている。放熱器は、複数のループを同一平面に位置させる姿勢で、下端の外周面を固定紙シート部6として熱伝導部2に接着している。さらに、図の放熱器は、複数の放熱フィン1を複数列に並べて、互いに接触する状態で熱伝導部2に接着している。隣接する複数列の放熱フィン1は、互いに接着位置が長手方向にずれるように配置して、ループ状の放熱フィン1を固定している。
【0056】
図26に示す放熱器は、紙シート3をスパイラル状に巻いてなる筒状のスパイラルの外周面を熱伝導部2に固定して放熱フィン1としている。図に示す放熱器は、スパイラルの巻き終わりの端部を固定紙シート部6として、この固定紙シート部6の外周面を熱伝導部2に接着している。放熱器は、複数のスパイラルを互いに平行な姿勢で並べて熱伝導部2に固定している。
【0057】
図27に示す放熱器は、放熱フィン1の紙シート3を熱伝導部2に挿通して熱結合状態で固定している。図に示す放熱器は、紙シート3を山形に折曲して、山形に突出する放熱フィン1としている。山形の放熱フィン1は、対向する下端縁を熱伝導部2に挿通して固定している。熱伝導部2は、山形に折曲された紙シート3の両方の下端部を挿入するスリット2Aを開口している。この放熱器は、熱伝導部2の対向するスリット2Aに、山形の放熱フィン1の両方の下端部を挿入して固定される。放熱フィン1の下端部は、熱伝導部2のスリット2Aに接着して固定し、あるいは接着することなく、圧入や係止構造で固定することができる。
【0058】
以上の放熱器は、放熱フィン1を熱伝導部2に熱結合状態に固定している。放熱フィン1は、繊維に熱伝導粉末を添加している湿式抄紙して製造された紙シート3で構成している。放熱フィン1に使用する紙シート3は、繊維と熱伝導粉末とを水に懸濁して抄紙用スラリーとし、この抄紙用スラリーを湿式抄紙してシート状とし、これを乾燥して製造される。この紙シート3は、好ましくは、抄紙用スラリーに、叩解して表面に無数の微細繊維を設けてなる叩解パルプと、叩解されない非叩解繊維とを懸濁し、この叩解パルプと非叩解繊維とでもって、抄紙用スラリーに懸濁してなる熱伝導粉末を繊維に結合してシート状に抄紙して製造するものが使用される。以上の紙シート3は、優れた耐折曲強度を有するので、ジグザグ状に折曲加工しても折曲部が破損せず、また、使用状態においても折曲部が破損することがなく、種々の用途に好ましい状態で使用できる。
【0059】
放熱フィン1に使用される紙シート3は、以下のように湿式抄紙して製造できる。
黒鉛100重量部(平均粒子径100μmのものを50重量部と平均粒径を40μmのものを50重量部を添加)、
叩解パルプとしてのアクリルパルプ(カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)50ml、平均繊維長1.45mm)21重量部、
非叩解繊維としてのポリエステル繊維(0.1dtex×3mm)4重量部、
バインダー繊維としてのポリエステル繊維からなるバインダー繊維(1.2dtex×5mm)14重量部、
炭素繊維(直径7μm)2.9重量部からなる組成物を水中に混合分散し、固形分1%〜5%からなるスラリーを調製する。このスラリーを、すでに湿式の紙製造機として使用されている短網抄紙機で湿式抄紙して抄紙シート3とし、この抄紙シート3をプレスして乾燥させた後、2本の熱ロール間に通過させる熱圧処理によって高密度化された紙シート3とする。熱圧処理は、表面温度を180℃、外径を250mm、ロール間の圧力を150kg/cmとする金属ロールの間に、5m/minの速度で通過させる。
【0060】
以上の工程で製造された紙シート3は、厚さが0.26mm、密度が1.155g/cm、坪量が294g/m、耐折強度が約3000回、熱伝導率が54.2W/m・Kとなる。
【0061】
熱伝導率は、以下の方法で測定する。
7cm×9cmに裁断した測定試料をグリセリンに浸漬し、真空状態にして試料を脱気処理したものを、25℃で一定にしてある恒温室で温度が一定になるまで静置する。温度が一定になったら、恒温室内で温度を一定にした測定装置に試料の短片を上にして縦方向に挿入する。
【0062】
測定装置の概略図を図28に示す。この測定装置は、試料61を両側からヒートシンク62で挟着している。ヒートシンク62は、中心部を空洞63として、試料61を加熱するヒーター64を断熱できるようになっている。上部に試料61を挿入する差込口65があり、ヒートシンク62で両側を固定して、上蓋(図示せず)を閉じて密閉するようになっている。試料61の中心部からヒーター64で加熱を行うと、中心部付近ではヒートシンク62の断熱効果により試料61にのみ熱が行き渡り、端まで熱が到達すると両側にあるヒートシンク62により熱が吸収されるため、時間が経つと温度勾配は一定となる。この時の中心部から外側の温度勾配を測定する。
熱流φ(ヒーターから派生した)を測定することにより、サンプル温度の時間変化に対する微分値をΔT、サンプルの厚さをHとすると、相対熱伝導率λは、下記の計算式となる。
λ=φ/H・ΔT
【0063】
耐折強度の測定は、JIS P8115 紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法に基づく方法で行う。この方法は、幅を15mm、長さを110mm以上とする短冊状に切断した試験片を準備し、長辺方向の両端を試験装置に挟む。この試験片を破断するまで表裏に折り曲げて、破断するまでに折り曲げた回数を求める。
【0064】
以上の紙シートは、優れた熱伝導特性を実現しながら、さらに優れた耐折曲強度を有するので、紙シートを折曲加工するのと同じ装置と方法で、簡単かつ容易に、しかも能率よくジグザグ状に折曲加工して安価に放熱フィン1を製造できる。
【0065】
以上の紙シートは、叩解パルプにアクリルパルプを使用して、非叩解繊維にはポリエステル繊維を使用するが、叩解パルプには合成繊維からなる叩解パルプと、天然パルプのいずれかを単独であるいは複数種混合して使用することができる。また、合成繊維からなる叩解パルプには、アクリル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、レーヨン繊維、ポリスルホン系繊維等が使用でき、天然パルプには、木材パルプ、非木材パルプなどが使用できる。また、非叩解繊維には、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、炭素繊維、PBO繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、レーヨン繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリアリレート繊維、金属繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、フッ素繊維、ポリスルホン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維などが使用できる。
【0066】
また、以上の紙シートは、熱で溶融される非叩解繊維であるバインダー繊維を使用して、湿式抄紙されたシートを加熱プレスしてバインダー繊維を溶融してシート状に加工しているが、バインダー繊維には、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリスルホン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維などを使用することができる。
【0067】
さらに、本発明の放熱器の放熱フィンに使用する紙シートは、必ずしも繊維に叩解パルプと非叩解繊維を使用することなく、たとえば叩解パルプのみを使用して製造することができる。
さらにまた、以上の紙シートは、シートマシンを用いてスラリーをシート化して抄紙シートとして製作したが、シートマシンに代わって、モールド抄紙によって抄紙シートとして製作することもできる。
【0068】
さらに放熱フィンに使用する紙シートは、バインダーの合成樹脂を含むことで、放熱フィンとして成形された状態における強度を向上できる。このバインダーの合成樹脂には、ポリアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)樹脂、SBR(スチレンブタジエンゴム)樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂のいずれかを含む熱可塑性樹脂、または、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂のいずれかを含む熱硬化性樹脂のいずれかが使用できる。
【0069】
また、以上の紙シートは、熱伝導粉末に平均粒径を20μmとする炭化珪素を使用するが、熱伝導粉末には、炭化珪素に代わって、あるいは炭化珪素に加えて、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナシリケート、シリコン、鉄、炭化珪素、炭素、窒化硼素、アルミナ、シリカ、アルミニウム、銅、銀、金、酸化亜鉛、亜鉛の粉末等を使用することができ、また平均粒径も0.1μmないし500μmとすることができる。熱伝導粉末は、平均粒径が小さすぎても大きすぎても、湿式抄紙する工程で繊維に付着する割合が少なくなって利用効率が悪くなるので、使用する繊維の種類などを考慮して最適な平均粒径のものを使用する。
【0070】
さらに、紙シートは、難燃剤を添加して難燃特性を向上することができる。たとえば、紙シートは、難燃剤を含浸することで難燃特性を向上できる。たとえば、難燃剤にリン酸グアニジンを使用し、これを10重量%の割合で含浸してなる紙シートは、UL94 V−0程度の難燃効果を実現する。
【実施例】
【0071】
以上のようにして製造された紙シート3を使用して、以下に示す放熱器を製作し、その重量と放熱性能を比較した。
なお、以下の実施例に示す放熱器は、熱伝導部として、寸法を210mm×50mm、厚さを3mmとするアルミニウム板を使用する。この熱伝導部の一方の面に、本発明の実施例と比較例にかかる放熱フィンを熱結合状態に固定した。さらに、放熱器は、熱伝導部の他方の面であって、放熱フィンを固定した面と反対側の面に、発熱体として18個のLEDを固定してなる回路基板を固定した。回路基板は、寸法を170mm×50mmとして、熱伝導部であるアルミニウム板の両端部を除く中央部に固定した。この回路基板は、チップタイプ、1W型のLED18個を表面に固定している。18個のLEDは直列に接続されて、供給電圧68.3V、供給電流を0.3Aとして約20Wの電力が供給される。この回路基板に固定されたLEDの温度を測定した。
【0072】
[実施例1]
図4に示すように、一枚の細長い紙シート3を、水平部分3Aと垂直部分3Bとができるように直角に折曲加工して、垂直部分3Bを放熱フィン1、水平部分3Aを固定紙シート部6として、固定紙シート部6を熱伝導部2に熱結合状態に接着する。垂直部分3Bは内面を両面接着テープで接着して一枚の放熱フィンとしている。放熱フィン1は、高さと横幅を5cm、固定紙シート部6は長手方向の寸法を放熱フィン1の横幅と同じ5cm、幅を1cm、固定紙シート部6を隙間なく接着して、21枚の放熱フィン1を1cm間隔で固定する。
【0073】
[実施例2]
図8と図9に示すように、互いに平行に配設している複数列の固定紙シート部6の間に、山形に突出する放熱フィン1を設ける形状に紙シート3を折曲加工し、軟鋼の固定プレート7で固定紙シート部6を熱伝導部2に挟着して固定する。固定プレート7の軟鋼は、山形の放熱フィン1を突出させる四角形の貫通孔7Cを設けている。紙シート3の横幅は50mm、山形に突出している放熱フィン1の横幅は50mm、上方に突出している傾斜方向の長さを30mmとしている。固定プレート7の外形は熱伝導部2の外形に等しく、貫通孔7Cの内形は11mm×50mmとして、貫通孔7Cの間に設けている固定紙シート部6を熱伝導部2に挟着する挟着部7Bの幅は2mm、周囲にある四角形の枠型部分の横幅を3mmとしている。固定紙シート部6は、接着剤を使用することなく、固定プレート7に挟着されて熱伝導部2に固定している。
【0074】
[実施例3]
図23に示すように、紙シート3をコルゲートハニカム状として、切断縁5を熱伝導部2に固定する。コルゲートハニカム状の紙シート3は、互いに平行に配設している平行紙シート3Xの間に、コルゲート状に折曲加工しているコルゲート紙シート3Yを挟着するように接着している。コルゲート紙シート3は、高さを3mm、横幅を6mmとするコルゲート状に折曲加工して、平行紙シート3の間に挟着するように接着している。平行紙シート3の間隔は、コルゲート紙シート3の高さとなるので、3mmとしている。このコルゲートハニカム状の放熱器は、高さが5cmとなるように切断されて、切断縁5を熱伝導部2に接着して、平行紙シート3とコルゲート紙シート3を熱伝導部2に対して垂直姿勢に固定している。接着剤にはエポキシ系に酸化鉄系のフィラーを充填したものを使用している。コルゲートハニカム状の放熱器は、その外形を熱伝導部2の外形に等しくしている。
【0075】
[実施例4]
図24に示すように、縦紙シート3Tと横紙シート3Sとを碁盤格子状に連結して放熱器としている。縦紙シート3Tと横紙シート3Sは上下幅の半分にスリットを設け、スリットに他の紙シート3を挿入して碁盤格子状に連結している。縦紙シート3は上下に円形の貫通孔を設けている。貫通孔は内径を6mm、上部の貫通孔は上端から貫通孔の中心までの間隔を13mm、下部の貫通孔は下端から中心までの間隔を13mm離した位置に設けている。縦紙シート3の間隔は5mm、横紙シート3の間隔は1cm、縦紙シート3と横紙シート3の上下幅を5cmとしている。縦紙シート3と横紙シート3の下端縁は接着剤を介して熱伝導部2に接着されて、熱伝導部2に対して垂直姿勢に固定される。接着剤は実施例1のものと同じものを使用している。
【0076】
[実施例5]
図25に示すように、紙シート3を1cm幅の帯状に裁断し、これを高さ方向となる長径が40mm、幅方向となる短径を15mmとする楕円形のループ状の放熱フィン1とする。放熱フィン1は、ループを同一平面に位置させる姿勢で、5列に並べて、互いに接触する状態で熱伝導部2に接着する。隣接する5列の放熱フィン1は、互いに接着位置が長手方向にずれるように、すなわち、長手方向に7.5mmずれる位置に接着して、1列に14個と15個のループ状の放熱フィン1を接着している。接着剤は実施例1と同じものを使用する。
【0077】
[比較例1]
比較例1として、アルミニウム製の放熱器を製作する。この放熱器は、厚さを6mm、寸法を210mm×50mmとするプレート状の熱伝導部2の一方の面に、複数の放熱フィン1を一体成形して設ける。複数の放熱フィン1は、縦幅を50mm、横幅を15mm、厚さを2.5mmとして、8mmのピッチで互いに平行な姿勢で一体成形して設けた。さらに、放熱器は、熱伝導部2の他方の面であって、放熱フィン1を設けた面と反対側の面に、発熱体として複数のLEDを固定してなる回路基板であって、実施例で使用した回路基板と同じ回路基板を固定した。回路基板は、寸法を170mm×50mmとして、プレート状の熱伝導部2の両端部を除く中央部に固定した。この回路基板に固定されたLEDの温度を測定した。
【0078】
以上の実施例1ないし5、及び比較例1の放熱器によって放熱されたLEDの温度を表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
この表からも分かるように、本発明の実施例の紙シート3の放熱器は、LEDの温度を、55℃ないし63℃まで低下でき、比較例1のアルミニウム製の放熱器に匹敵する優れた放熱特性を有することが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の紙シートの放熱器は、従来使用されているLED等の照明器具、コンピューターのCPU、トランジスタ、FET等の電子部品、液晶、PDP、EL等のパネル等の放熱に加えて、携帯電話の液晶の放熱や携帯型パソコンの電子基板や液晶の放熱、自動車内の電子部品、照明の放熱等の軽さが要求される箇所への使用も可能となり、様々な分野への使用に対して有用である。紙シートを放熱フィンとするので、現在、アルミニウムなどの金属を放熱フィンとする放熱器に代わって使用されて、電子部品の軽量化に貫献できる。
【符号の説明】
【0082】
1…放熱フィン
2…熱伝導部 2A…スリット
3…紙シート 3A…水平部分
3B…垂直部分
3C…上下部分
3D…水平部
3T…縦紙シート
3S…横紙シート
3X…平行紙シート
3Y…コルゲート紙シート
3Z…区画紙シート
3a…切り込み
3b…切り起こし部
3c…切り抜き部
3d…折曲部
3e…湾曲面
4…折曲ライン 4a…折り畳みライン
5…折曲縁
6…固定紙シート部
7…固定プレート 7A…枠部
7B…挟着部
7C…貫通孔
8…止ネジ
9…挟着具
10…LED電球
11…中間折曲ライン
12…スリット
13…中間折曲部
61…試料
62…ヒートシンク
63…空洞
64…ヒーター
65…差込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱フィンを熱伝導部に固定してなる放熱器であって、
前記放熱フィンが、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シートで構成されると共に、
前記紙シートが折曲ラインで折曲されて、折曲ラインを境界として放熱フィンと固定紙シート部とに区画され、固定紙シート部が熱伝導部に熱結合状態に固定されて、熱伝導部の熱を固定紙シート部から放熱フィンに熱伝導して放熱するようにしてなることを特徴とする紙シートの放熱器。
【請求項2】
前記紙シートがL字状に折曲加工されて放熱フィンと固定紙シート部とに区画され、固定紙シート部を熱伝導部に熱結合状態に固定してなる請求項1に記載される紙シートの放熱器。
【請求項3】
前記紙シートが、折曲ラインを残して特定の形状に切り抜かれて、複数の切り抜き部と固定紙シート部とに区画され、切り抜き部が固定紙シート部に対して所定の角度となるように折曲ラインで折曲されて、切り抜き部を放熱フィンとしており、前記固定紙シート部を熱伝導部に熱結合状態に固定してなる請求項1に記載される紙シートの放熱器。
【請求項4】
前記紙シートが、外周縁から離れた位置を折曲ラインとして、この折曲ラインの両端に連結して折曲ラインから外周縁まで裁断されて、切り起こし部と固定紙シート部とに区画され、前記切り起こし部が固定紙シート部に対して所定の角度となる状態に折曲ラインで折曲されて、切り起こし部を放熱フィンとしており、前記固定紙シート部を熱伝導部に熱結合状態に固定してなる請求項1に記載される紙シートの放熱器。
【請求項5】
前記固定紙シート部を挟着して熱伝導部に固定する固定プレートを有し、この固定プレートと熱伝導部とで固定紙シート部を挟着して、固定紙シート部を熱伝導部に熱結合状態に固定してなる請求項1ないし4のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項6】
前記紙シートが、互いに平行に配設してなる複数列の固定紙シート部の間に、山形に突出する放熱フィンを有する形状に折曲加工されており、
前記固定プレートは、固定紙シート部を熱伝導部に挟着する挟着部と、山形に突出する放熱フィンを突出させる貫通孔を有し、
前記固定プレートが、前記貫通孔に放熱フィンを挿入して、挟着部を熱伝導部に固定してなる請求項5に記載される紙シートの放熱器。
【請求項7】
前記固定プレートの貫通孔が四角形、三角形、スリットのいずれかで、前記紙シートの放熱フィンが貫通孔から突出している請求項6に記載される紙シートの放熱器。
【請求項8】
前記固定プレートが金属プレート、硬質のプラスチック板、フィラーを充填してなる硬質のプラスチック板、繊維強化のプラスチック板のいずれかである請求項5ないし7のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項9】
前記放熱フィンが、固定紙シート部の表面に平行な折り畳みラインを有し、この折り畳みラインを折曲して放熱フィンを折り畳み自在に固定紙シート部に連結してなる請求項1ないし6のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項10】
前記折り畳みラインが折曲ラインである請求項9に記載される紙シートの放熱器。
【請求項11】
放熱フィンを熱伝導部に固定してなる放熱器であって、
前記放熱フィンが、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シートで構成され、かつ、
前記放熱フィンの紙シートの切断縁が熱伝導部に熱結合状態に固定されると共に、紙シートの放熱フィンが切断縁を熱伝導部に載せて自立できる形状としてなることを特徴とする紙シートの放熱器。
【請求項12】
前記切断縁を熱伝導部に載せて自立できる形状が、筒状、板状、ハニカム状、コルゲートハニカム状、碁盤格子状、錐状のいずれかである請求項11に記載される紙シートの放熱器。
【請求項13】
放熱フィンを熱伝導部に固定してなる放熱器であって、
前記放熱フィンが、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シートで構成され、かつ、
前記放熱フィンの紙シートがループ状又はスパイラル状で、ループ又はスパイラルの外周面を熱伝導部に熱結合状態で固定してなることを特徴とする紙シートの放熱器。
【請求項14】
放熱フィンを熱伝導部に固定してなる放熱器であって、
前記放熱フィンが、繊維に熱伝導粉末を添加してなる湿式抄紙の紙シートで構成され、かつ、
前記放熱フィンの紙シートが熱伝導部に挿通されて熱結合状態で固定してなることを特徴とする紙シートの放熱器。
【請求項15】
前記放熱フィンの紙シートの厚さが1mm以下であって、0.05mm以上である請求項1ないし14のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項16】
前記紙シートの繊維が、叩解して表面に無数の微細繊維を設けてなる叩解パルプと、叩解されない非叩解繊維とからなり、叩解パルプと非叩解繊維とに熱伝導粉末が添加されてなる湿式抄紙された紙である請求項1ないし15のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項17】
前記叩解パルプが、合成繊維からなる叩解パルプと天然パルプのいずれかを単独であるいは複数種混合して含む請求項16に記載される紙シートの放熱器。
【請求項18】
前記合成繊維からなる叩解パルプが、アクリル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、レーヨン繊維、ポリスルホン系繊維のいずれかである請求項17に記載される紙シートの放熱器。
【請求項19】
前記天然パルプが、木材パルプ、非木材パルプのいずれかである請求項17に記載される紙シートの放熱器。
【請求項20】
前記紙シートの非叩解繊維が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、炭素繊維、PBO繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、レーヨン繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリアリレート繊維、金属繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、フッ素繊維、ポリスルホン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維のいずれかである請求項16に記載される紙シートの放熱器。
【請求項21】
前記紙シートが、熱で溶融されるバインダー繊維の非叩解繊維を含み、湿式抄紙されたシートが加熱プレスしてバインダー繊維を溶融してシート状に加工されてなる紙である請求項16に記載される紙シートの放熱器。
【請求項22】
前記バインダー繊維が、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ポリスルホン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維のいずれかである請求項21に記載される紙シートの放熱器。
【請求項23】
前記熱伝導粉末が、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、マグネシア、アルミナシリケート、シリコン、鉄、炭化珪素、炭素、窒化硼素、アルミナ、シリカ、アルミニウム、銅、銀、金、酸化亜鉛、亜鉛の粉末のいずれかである請求項1ないし22のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項24】
前記熱伝導粉末の平均粒径が0.1μmないし500μmである請求項1ないし23のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項25】
前記紙シートが、バインダーの合成樹脂を含む請求項1ないし24のいずれかに記載される紙シートの放熱器。
【請求項26】
前記バインダーの合成樹脂が、ポリアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)樹脂、SBR(スチレンブタジエンゴム)樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂のいずれかを含む熱可塑性樹脂、または、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂のいずれかを含む熱硬化性樹脂のいずれかである請求項25に記載される紙シートの放熱器。
【請求項27】
前記放熱フィンが、繊維に熱伝導粉末を添加してなるモールド抄紙で湿式抄紙されてなる紙シートである請求項1ないし26のいずれかに記載される紙シートの放熱器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−49407(P2012−49407A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191599(P2010−191599)
【出願日】平成22年8月28日(2010.8.28)
【出願人】(000116404)阿波製紙株式会社 (19)
【Fターム(参考)】