説明

紙トレー容器の製造方法、紙トレー容器、感光材料包装体の製造方法及び感光材料包装体

【課題】紙粉の発生を防止し、かつ使用後の廃棄処理を容易にできる。
【解決手段】紙トレー容器の製造方法は、原紙20を紙トレー容器2の展開形状に打ち抜く打ち抜き工程と、紙トレー容器2の展開形状に打ち抜いた板紙をプレス用金型でプレスして底部から側壁を立て紙トレー容器2を成形するプレス成形工程とを有し、プレス成形工程において紙トレー容器2の底部2aからの側壁部2bの立上り曲部2cの厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮する。原紙20の80%〜90%まで圧縮する際に、原紙20の水分率を10wt%以上とする調湿工程を有する。また、プレス成形工程において、プレス用金型の金型温度が130℃以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、Xレイフィルム等の感光材料を包装する紙トレー容器の製造方法、紙トレー容器、感光材料包装体の製造方法及び感光材料包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の感光材料を包装材料に積層し、この感光材料を積層した包装材料を密封包装することが行われている。このシート状の感光材料を保護する包装材料としてコの字型保護シート(当てボール)が用いられ、例えば実公昭61−4915号、実開昭55−164642号がある。また、熱現像感光材料に使用する包装材料として樹脂トレーを使用した例として、特開2002−31875、特開2002−59980、特開2002−72415がある。また、シート感光材料に使用する当てボールの紙粉発生を防止する方法として特開平7−104432号に紙力増強剤、サイズ材の添加が記載されている。さらに、当てボール面に発泡シート、樹脂フィルムを貼り合わせて紙粉発生を防止する方法として、特開平11−258733、特開昭60−26004がある。
【特許文献1】実公昭61−4915号公報(第1頁〜第2頁、図1)
【特許文献2】実開昭55−164642号公報(第1頁〜第5頁、図1)
【特許文献3】特開2002−31875号公報(第1頁〜第13頁、図1)
【特許文献4】特開2002−59980号公報(第1頁〜第16頁、図1〜図9)
【特許文献5】特開2002−72415号公報(第1頁〜第15頁、図1〜図7)
【特許文献6】特開平7−104432号公報(第1頁〜第8頁、図1〜図2)
【特許文献7】特開平11−258733号公報(第1頁〜第4頁、図1〜図2)
【特許文献8】特開昭60−26004号公報(第1頁〜第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来技術では、包装材料として樹脂トレーあるいは紙当てボールを使用する。例えば、シート状の感光材料用紙当てボールは、コの字型のシート状態にした板紙を使用しているが、この場合当てボールがシート状の感光材料の上部に接触しており、感光材料に紙粉が付着しやすい。
【0004】
このような問題を回避するためサイズ材、紙力増強剤を入れて紙粉の発生を防止しているが、十分ではない。さらに、これら当てボールは上質紙を使用しており、森林破壊につながり環境保護の観点で好ましくなく、コストも高い。また、近年樹脂トレーでシート状の感光材料を積載しているが、これも廃棄時にトレーがかさばりゴミの減容積化の障害となっている。また、当てボールに樹脂シート、フィルムを貼り合わせる方法もあるが、これも廃棄時に分離できないし、また分離に手間がかかるなど廃棄処理の障害となっている。
【0005】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、紙粉の発生を防止し、かつ使用後の廃棄処理を容易にできる紙トレー容器の製造方法、紙トレー容器、感光材料包装体の製造方法及び感光材料包装体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0007】
請求項1に記載の発明は、原紙を紙トレー容器の展開形状に打ち抜く打ち抜き工程と、
前記紙トレー容器の展開形状に打ち抜いた板紙をプレス用金型でプレスして底部から側壁を立て紙トレー容器を成形するプレス成形工程とを有し、
前記プレス成形工程において前記紙トレー容器の前記底部からの前記側壁部の立上り曲部の厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記原紙の80%〜90%まで圧縮する際に、前記原紙の水分率を10wt%以上とする調湿工程を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記プレス成形工程において、プレス用金型の金型温度が130℃以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、紙トレー容器の展開形状に打ち抜いた原紙をプレス用金型でプレスして形成され、複数枚のシート状の感光材料が載置される底部と、この底部の外縁の少なくとも一部から立上り前記積層された感光材料を保持する側壁部とを有する紙トレー容器であり、
前記底部からの前記側壁部の立上り曲部の厚さが原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮したことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の紙トレー容器の製造方法で紙トレー容器を製造し、
前記紙トレー容器に複数枚のシート状の感光材料を積層し、
遮光性・防湿性を有し、アルミニウム箔層を有する感光材料包装材料を用いて袋状に形成された防湿遮光袋に、前記紙トレー容器に積層した前記感光材料を収納し、減圧真空で前記防湿遮光袋をシールして密封包装することを特徴とする。 請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の紙トレー容器内に複数枚のシート状の感光材料を積層して防湿遮光袋により包装する感光材料包装体であり、
前記防湿遮光袋は、アルミニウム箔層を有する感光材料包装材料を用いて袋状に形成され、遮光性・防湿性を有し、
減圧真空で前記防湿遮光袋をシールして密封包装したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、プレス成形工程において紙トレー容器の底部からの側壁部の立上り曲部の厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮することで、側壁部の自立が促進される。このため、防湿遮光袋内に収納する際、あるいは搬送する際に側壁部が倒れることがなくなり、側壁部と防湿遮光袋がこすれて紙粉が発生して感光材料に付着し、点状故障となることを防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、原紙の80%〜90%まで圧縮する際に、原紙の水分率を10wt%以上とし、原紙の水分率を増加しておき、プレス成形することで、原紙表面にある紙粉が底部からはがれ落ちるのを防止できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、プレス用金型の金型温度が130℃以上であり、原紙表面に紙粉が焼結してしまい、感光材料でこすられても剥離してしまうことがなく、紙粉が発生して感光材料に付着し、点状故障となることを防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、紙トレー容器は底部からの側壁部の立上り曲部の厚さが原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮したものであり、この紙トレー容器は、側壁部の自立が促進されているために、防湿遮光袋内に収納する際、あるいは搬送する際に側壁部が倒れることがなく、側壁部と防湿遮光袋がこすれて紙粉が発生して感光材料に付着し、点状故障となることを防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の紙トレー容器の製造方法で紙トレー容器を製造し、この紙トレー容器に複数枚のシート状の感光材料を積層し、防湿遮光袋に紙トレー容器に積層した感光材料を収納し、減圧真空で前記防湿遮光袋をシールして密封包装することで、防湿遮光袋内に収納する際、あるいは搬送する際に紙トレー容器の側壁部が倒れることがなくなり、側壁部と防湿遮光袋がこすれて紙粉が発生して感光材料に付着し、点状故障となることを防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4に記載の紙トレー容器内に複数枚のシート状の感光材料を積層して防湿遮光袋により包装することで、防湿遮光袋内に収納する際、あるいは搬送する際に紙トレー容器の側壁部が倒れることがなくなり、側壁部と防湿遮光袋がこすれて紙粉が発生して感光材料に付着し、点状故障となることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の紙トレー容器の製造方法、紙トレー容器、感光材料包装体の製造方法及び感光材料包装体の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0020】
図1は、この発明の感光材料包装体の製造例を示す図であり、同図において、1は複数枚積層されたシート状の感光材料であり、2は複数枚積層された感光材料1を保護する紙トレー容器である。積層された感光材料1は、この実施の形態では熱現像感光材料を用いているが、感光材料1は熱現像感光材料に限定されない。感光材料1は紙トレー容器2に積層された状態で防湿遮光袋3に収納され、減圧真空で防湿遮光袋3をシールして密封包装し、感光材料包装体4が得られる。
【0021】
この感光材料包装体4は、図2に示すように、現像機に入れて防湿遮光袋3の係止孔3aに取り出し部材5を係合し、巻き取り軸6の回転で防湿遮光袋3を除く(図2(a))。そして、紙トレー容器2に収納された感光材料1を吸盤7で吸着して持ち上げ(図2(b))、一枚ずつ搬送して現像する(図2(c))。 この実施の形態の紙トレー容器2は、積層された感光材料1が載置される底部2aと、この底部2aの外縁から立上り積層された感光材料1を保持する4個の側壁部2bとを有する。この紙トレー容器2は、図3乃至図5に示すように製造される。図3は紙トレー容器の成形工程を示す図、図4は紙トレー容器の斜視図、図5は底部からの側壁部の立上り曲部の断面図である。
【0022】
図3に示すように、抄造原紙工程で原紙20を作る。原紙20の水分率は8wt%〜8.5wt%である。この原紙20を打ち抜き工程で紙トレー容器2の展開形状に打ち抜き切断する。次に、調湿工程で紙トレー容器2の展開形状に打ち抜いた原紙20を複数枚重ねて水分を10wt%程度まで増加させる。そして、プレス成形工程で展開形状の原紙20を1枚ずつ熱プレス成形し、紙トレー容器2を作成する。プレス成形は、プレス金型で行ない、プレス金型の温度は、130〜160℃、プレス金型の圧力は、15〜250Kgf/cm2である。ここで、水分率とは、試料の任意の状態の重さと、絶乾重量との差の、試料重量に対する百分率をいう。
【0023】
この展開形状の原紙20を、加熱してプレス成形することによって、紙トレー容器2の水分率が3wt%以下になる。この紙トレー容器2の水分率を3wt%以下にすることによって、防湿遮光袋3内の水分が低下し、感光材料1の性能劣化が防止できる。
【0024】
紙トレー容器2は、図4及び図5に示すように、プレス成形工程において、底部2aからの側壁部2bの立上り曲部2cが、打ち抜き原紙の厚さの80%〜90%に圧縮されるまでプレスして成形される。例えば、原紙20の厚さが0.6mmであると、立上り曲部2cが0.48〜0.54mmになるようにプレスして成形される。
【0025】
このように、紙トレー容器2の底部2aからの側壁部2bの立上り曲部2cの厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮することで、側壁部の自立が促進される。このため、防湿遮光袋3内に収納する際、あるいは搬送する際に側壁部2bが倒れることがなくなり、側壁部2bと防湿遮光袋3がこすれて紙粉が発生して感光材料に付着し、点状故障となることを防止することができる。 また、原紙20の80%〜90%まで圧縮する際に、調湿工程において、原紙20の水分率を10wt%以上とし、原紙20の水分率を増加しておき、プレス成形することで、原紙表面にある紙粉が底部からはがれ落ちるのを防止できる。 また、プレス用金型の金型温度が130℃以上であり、原紙表面に紙粉が焼結してしまい、感光材料1でこすられても剥離してしまうことがなく、紙粉が発生して感光材料1に付着し、点状故障となることを防止することができる。
【0026】
このように、防湿遮光袋3に、紙トレー容器2に積層した感光材料1を収納し、減圧真空で防湿遮光袋3をシールして密封包装し、紙トレー容器2は、紙をプレス成形して作成されたものであり、紙粉の発生を防止し、かつ使用後の廃棄処理を容易にできる。
【0027】
また、防湿遮光袋3は、図6に示すように、感光材料を包装する側の最内層に設けられた遮光性物性と、滑剤と、酸化防止剤と、帯電防止剤とを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂を主成分とする遮光性・滑性ポリオレフィン樹脂系フィルム層と、感光材料を包装しない側の最外層に設けられたナイロンフィルム層と、前記遮光性・滑性ポリオレフィン樹脂系フィルム層と前記ナイロンフィルム層との間に介在されたアルミニウム箔層とを有する感光材料包装材料を用いてヒートシールにより袋状に形成される。このように、防湿遮光袋3は、感光材料包装材料を用いてヒートシールにより袋状に形成され、水分が紙トレー容器2まで浸透することがない。また、防湿遮光袋3によって紙トレー容器2に水分が含有されないため、感光材料1の性能劣化が防止できる。また、紙トレー容器2と防湿遮光袋3との擦れも防止でき、紙粉の発生防止に寄与できる。
【0028】
この実施の形態のトレー容器2は、紙で形成され、紙製であればよいが、使用する板紙として、コートボール、マニラボールなどの古紙、再生紙を両面バージンパルプでコートしたものやダンボール板紙をフルートとライナーで接着させたダンボール原紙が使用されている。
【0029】
以下、この発明が適用される感光材料としての熱現像感光材料について説明する。この発明の熱現像感光材料は、支持体上に、有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオンの還元剤を含有する写真構成層が溶剤塗布して形成され、該写真構成層の上部に、少なくとも一層の保護層を有することが好ましい。また支持体の他方の側にバッキング層を有する、いわゆる片面感光材料が好ましい。
【0030】
また、熱現像感光材料の写真構成層は、感光性層と非感光性層からなり、感光性層に有機銀塩及び感光性ハロゲン化銀粒子を含有し、非感光性層に還元剤を含有する態様が好ましい。
【0031】
(感光性ハロゲン化銀)
ハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。この発明においては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒径は小さい方が好ましく0.20μm以下、より好ましくは0.02μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.03μm以上0.11μm以下がよい。
【0032】
ここでいう平均粒径とは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。
【0033】
またハロゲン化銀粒子は単分散粒子であることが好ましい。ここでいう単分散粒子とは、下記式で求められる単分散度が40%以下の粒子をいい、より好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下となる粒子である。
【0034】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani,J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0035】
ハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよいが、好ましくは臭化銀あるいは沃化銀あるいは沃臭化銀であって、更に好ましくは臭化銀あるいは沃臭化銀である。特に好ましくは沃臭化銀であり、沃化銀含有率は0.1モル%以上40モル%以下が好ましく、更に好ましくは0.1モル%以上10モル%以下である。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化した粒子であってもよい。好ましくは、粒子内部の沃化銀含有率の高いコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いる態様が好ましい。
【0036】
(有機銀塩)
この発明に用いることができる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(写真用銀塩など)および還元剤の存在下で、80℃またはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。
【0037】
有機銀塩は、銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30が好ましく、より好ましくは炭素数15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸が好ましい。
【0038】
配位子が4.0〜10.0の範囲の全安定定数を有する有機または無機銀塩の錯体も望ましい。銀源物質は、好ましくは感光性層の約5〜30重量%を構成すべきである。好ましい有機銀塩は、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むが、これらに限定されない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例は、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、アラキジン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これらの混合物などを含む。メルカプトまたはチオン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用することもできる。
【0039】
(銀イオンの還元剤)
銀イオンの還元剤は、有機銀塩のための還元剤であり、本発明に使用できる還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ヒドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。
【0040】
還元剤は、写真構成層(画像形成層)の1〜10重量%に範囲で存在することが好ましい。感光材料が多層構成の場合、還元剤をエマルジョン層以外の層に加える場合は、わずかに高い割合である約2〜15重量%がより望ましい傾向がある。
【0041】
(バインダー)
この発明の熱現像感光材料に好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも非親水性でもよい。
【0042】
(その他の添加剤)
この発明においては、感光性層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のためには、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を乳剤層側の全バインダーに対し、重量比で0.5〜10%含有することが好ましい。
【0043】
この発明において用いられるマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。
【0044】
有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0045】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。
【0046】
この実施例では、請求項1記載の発明がプレス成形工程を有し、このプレス成形工程において紙トレー容器の底部からの側壁部の立上り曲部の厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮すると、防湿遮光袋内に収納する際、あるいは搬送する際に側壁部が倒れることがなくなり、側壁部と防湿遮光袋がこすれて紙粉が発生して感光材料であるフィルムに付着し、点状故障となることを防止することができた。
【0047】
この結果を、表1〜6に示す。比較例の表1及び表2では、圧縮率が大きく、また比較例の表6では圧縮率が小さく、フィルムに点状故障が発生した。実施例の表3〜5の原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮すると、フィルムに点状故障が発生しなかった。
【0048】
また、原紙の80%〜90%まで圧縮する際に、原紙の水分率を10wt%以上とし、またプレス用金型の金型温度が130℃以上であることが好ましい。
[フィルム欠点評価方法]
フィルム;127枚入り、コニカドライイメージングフィルムを使用した。
【0049】
現像処理;ドライイメージャーDrypro722で、現像温度126℃で現像した。
【0050】
欠点評価;ハーフベタで現像したフィルムを、大きさ0.5mm以上の白点をカウントし、1個でもあると不可である。
[原紙水分率(%)]
JIS−P8127に準拠した方法で測定した。


【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、原紙を紙トレー容器の展開形状に打ち抜く打ち抜き工程と、紙トレー容器の展開形状に打ち抜いた板紙をプレス用金型でプレスして底部から側壁を立て紙トレー容器を成形するプレス成形工程とを有する。このプレス成形工程において、紙トレー容器の前記底部からの前記側壁部の立上り曲部の厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮することで、紙粉の発生を防止し、かつ使用後の廃棄処理を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】感光材料包装体の製造例を示す図である。
【図2】感光材料包装体から感光材料を取り出して搬送する状態を示す図である。
【図3】紙トレー容器の成形工程を示す図である。
【図4】紙トレー容器の斜視図である。
【図5】底部からの側壁部の立上り曲部の断面図である。
【図6】感光材料包装材料の層構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 感光材料
2 紙トレー容器
3 防湿遮光袋
4 感光材料包装体
20 原紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙を紙トレー容器の展開形状に打ち抜く打ち抜き工程と、
前記紙トレー容器の展開形状に打ち抜いた板紙をプレス用金型でプレスして底部から側壁を立て紙トレー容器を成形するプレス成形工程とを有し、
前記プレス成形工程において前記紙トレー容器の前記底部からの前記側壁部の立上り曲部の厚さが打ち抜いた原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮することを特徴とする紙トレー容器の製造方法。
【請求項2】
前記原紙の80%〜90%まで圧縮する際に、前記原紙の水分率を10wt%以上とする調湿工程を有することを特徴とする請求項1に記載の紙トレー容器の製造方法。
【請求項3】
前記プレス成形工程において、プレス用金型の金型温度が130℃以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紙トレー容器の製造方法。
【請求項4】
紙トレー容器の展開形状に打ち抜いた原紙をプレス用金型でプレスして形成され、複数枚のシート状の感光材料が載置される底部と、この底部の外縁の少なくとも一部から立上り前記積層された感光材料を保持する側壁部とを有する紙トレー容器であり、
前記底部からの前記側壁部の立上り曲部の厚さが原紙の厚さの80%〜90%まで圧縮したことを特徴とする紙トレー容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の紙トレー容器の製造方法で紙トレー容器を製造し、
前記紙トレー容器に複数枚のシート状の感光材料を積層し、
遮光性・防湿性を有し、アルミニウム箔層を有する感光材料包装材料を用いて袋状に形成された防湿遮光袋に、前記紙トレー容器に積層した前記感光材料を収納し、減圧真空で前記防湿遮光袋をシールして密封包装することを特徴とする感光材料包装体の製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の紙トレー容器内に複数枚のシート状の感光材料を積層して防湿遮光袋により包装する感光材料包装体であり、
前記防湿遮光袋は、アルミニウム箔層を有する感光材料包装材料を用いて袋状に形成され、遮光性・防湿性を有し、
減圧真空で前記防湿遮光袋をシールして密封包装したことを特徴とする感光材料包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−53363(P2006−53363A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235078(P2004−235078)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)