説明

紙バンド

【課題】 十分な引張強度を持ち、焼却しても合成樹脂のように有害物質を発生することが無く、しかも、印刷もきれいに施すことができ、紙管を用いなくてもロール状に巻き取ることが容易な新規な紙バンドを提供すること。
【解決手段】 紙テープTを接着剤39により貼り合せることによって積層形の平紐状に形成されたベース1´を有する紙バンド3であって、この紙バンド3の一端側部分を巻き取って上記接着剤39で固めることにより巻取りの芯部87を形成し、この芯部87にその余の部分をロール状に巻き取ったもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙バンドに係り、特に、梱包や結束等に使用される平紐状の紙バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装用のバンドには従来から幾つかの種類があるが、例えば、輸送する新聞紙を縛ったり、商品が収納された段ボール箱にバンド掛けをしたりする場合は、所謂「PPバンド」等と称される合成樹脂製のバンドが多用されている。このバンドは、長手方向での引張強度が高く、且つ、ヒートシール(熱結着)法によって簡単に結着することができるという利点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このPPバンドは、いわゆるリサイクル使用が殆ど不可能で、しかも、燃焼させるとダイオキシン等の有害物質が発生する等、使用後の処分に困難を極めるという欠点も有している。しかも、PPバンドは、通常、ライナー原紙によって円筒形に作られた紙管(コア)にロール状に巻き取られた形で提供され、この紙管は、PPバンドのサイズや巻き長さによっては、肉厚が10ミリメートル程度の極めて頑丈なものになるため、この紙管についての処分も問題になっており、また、紙管の分の重量(1キログラム前後)が加わって流通コストがかなり嵩んでしまうという問題もあった。我が国で使用されるPPバンドの量は膨大なものであるから、今後、使用済みのバンドと紙管を安全に処分し続けて行くには莫大なコストがかかる。
【0004】
この点、パルプ紙や故紙等によって形成された紙バンドは、リサイクルが容易である上に、燃焼させても特に有害な物質が発生することは無い。しかしながら、従来の紙バンドは、5〜6本の紙紐を並べて互いに接着しただけものであるから、引張強度は必ずしも高く無い。このため、使用範囲が限られ、また、結着する手段としては、縛るか、又は、金属製のカシメ具を介して圧着することが必要になって、結着に手間がかかると共に、カシメ具のコストが梱包コストを押し上げる原因になり、使用済みのカシメ具の処分にもコストがかかるという問題を残している。
【0005】
そこで、本発明者は、従来からある紙バンドにヒートシール剤を含侵させることで、ヒートシールを可能にすることを考えてみた。しかしながら、この紙バンドの厚さは1〜1.5ミリメートル程度あるため、PPバンド用の既存のヒートシール装置にはどうしても適合することができず、従って、紙バンドが適合する新たなヒートシール装置を開発したり購入したりする必要が生じてしまう。しかも、従来の紙バンドのコストはPPバンドと比較して5〜6倍も高いので、包装コストを一層押し上げてしまうことになる。
【0006】
また、紙バンドをPPバンドと同様の使い勝手にするためには、様々な色を用意しなければならないが、今日量産されている色紙は、廃液処理の問題等があって、殆どは、腰の弱い「色上質紙」に限られていて、PPバンドと同様の強度を持つ紙バンドにする材料としては現実性が無く、強度の高いクラフト紙やライナー原紙は茶色と白しか無いのが現状である。そこで、色については、紙バンドに印刷法で着色することが考えられるが、従来の紙バンドは表面に多数の深い溝があるために、印刷法による着色は非常に難しく、まして、文字や絵柄の印刷は実際不可能である。
【0007】
本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為されたものであり、十分な引張強度を持ち、焼却しても合成樹脂のように有害物質を発生することが無く、しかも、印刷もきれいに施すことができ、紙管を用いなくてもロール状に巻き取ることが容易な新規な紙バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、紙テープを接着剤により貼り合せることによって積層形の平紐状に形成されたベースを有する紙バンドであって、この紙バンドの一端側部分を巻き取って上記接着剤で固めることにより巻取りの芯部を形成し、この芯部にその余の部分をロール状に巻き取ったものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ベースに接着剤を伴なって芯材が包まれたものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記ベースにヒートシール剤が含浸されたものである。
【0009】
従って、この紙バンドにあっては、ヒートシール(熱結着)することができるので、梱包に手間がかかることが無く、カシメ具等の特別な結着部材は全く必要としない。特に、この紙バンドは、何枚かの貼り合わせ構造になっているために、その厚さを、PPバンド用の既設のヒートシール装置に適合する程度に抑えても、十分な引張強度を持たせることができるので、既設のヒートシール装置をそのまま活用する事も可能になるという大きな実用的効果を持ち、当然、紙断限界内であれば締付け力を広い範囲で選ぶこともできる。
【0010】
そして、この紙バンドの素材は、少なくともベースが生分解するものであるから、再生紙にリサイクルすることも容易であり、焼却しても合成樹脂のように有害物質が発生することも無い。特に、故紙を梱包するバンドに用いた場合は、故紙と共に処理工程に投入することができる。
【0011】
その上、本発明に係る紙バンドの表面は、基本的に、平坦になるので、着色については勿論、文字や絵柄などの表示事項も印刷法によって、容易且つきれいに付与することができる。この印刷に用いるインクの種類が制約されることは殆ど無いが、水性インクを使用する場合は、ヒートシール剤を含侵させた後ではインクの乗りが悪くなるので、印刷は、ヒートシール剤を含侵する前の工程で行うのが望ましい。
【0012】
本発明の素材の種類としては、合成紙等のように生分解しない成分を含む種類のものを除けば、パルプ紙、即ち、木材パルプ(機械パルプ、半化学パルプ、化学パルプ)や、非木材パルプ、生分解性プラスチック繊維から成る紙、あるいは故紙等、殆どのものを使用することができるが、安価で、しかも重ね数が少なくても十分な強度が得られるためには、例えば、クラフトパルプ(KP)紙等の包装紙類を用いるのが望ましい。
【0013】
本発明に係る紙バンドの強度を高める手段としては、幾つか考えられるが、本発明者は、生分解しない素材は使用しないことと、バンドして要求される平紐様形状を損なわないことを条件に、様々な試験を行った結果、ベースの素材としてのテープを幅方向で幾重にも接着しながら折り畳んで積層形にした構造や、ベースの層に板紙もしくは平撚り紐や麻紐等を芯材として挟む構造で、PPバンドに劣らない強度が得られることを見い出した。
【0014】
前者(接着しながら折り畳む構造)の具体的な構造としては、細幅なテープを単に何枚も貼り合わせた構造でも良いが、一つのテープを幅方向で幾重にも折り畳む構造の方が、出来上がったベースの繊維方向がより複雑になって強度が高まる傾向が見られる。この折り畳み構造における折り数が多いほど強度が高まるので、望ましい折り数を一概に特定することはできないが、芯材無しで耐荷重50〜60キログラム程度のバンドを製造する場合は、テープを2つ折りで接着したのち更に2つ折り又は3つ折りにして接着する程度で十分である。また、この折り畳み構造は、芯材入りタイプの紙バンドを製造する場合、芯材を安定に包むことができると共に、自動化し易いという大きな利点を有する。
【0015】
芯材として用いる板紙には、例えば、ライナーや段ボール原紙を用いると良い。この板紙の厚みもバンドに要求される強度に応じて選定されるべきものであるが、一例として、400グラム/平方メートルのライナーを芯材とした場合は、100キログラム程度の耐荷重が得られることが分かった。また、芯材として平撚り紐を用い、その主たる繊維方向がベースの長手方向に沿う状態で包むと、引張強度を非常に高くすることができる。この構成は、安価でありながら高い強度が得られるという利点を有する。
【0016】
本発明は、芯材を入れないベースだけの構造でも十分な強度が得られるが、ベースを形成するテープ自体を、長網クラフト紙と円網クラフト紙とを貼り合わせた構造とした場合は、芯材を入れなくても100キログラム程度の荷重に耐え得る高い強度を持たせることができる。この構造は、厚みを抑えながら高い強度が得られるという効果に止まらず、安価に製作できるという利点を有する。
【0017】
本発明に係る紙バンドは、少なくともベースを貼り合わせ構造にするので、必要的に接着剤が含侵され、この接着剤を利用してコアレスの形でロール状に巻き取ることが容易になる。即ち、この紙バンドをロール状に巻き取る際、仮の巻取り芯材として加熱ローラーを使用し、その紙バンドの巻き始めの部分(一端側部分)に水を付与しながら加熱ロールに巻き取らせれば、ベースや心材に含浸している接着剤が水分と高熱によって活性化して、重なり合う面どうし互いに接着して円筒形に固まるので、この円筒形に固まった部分が巻取りの芯部(コア)として機能する。勿論、このようにコアレスに巻き取る場合でも、巻き始めの部分に、接着剤を付与することは差し支えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る紙バンドを、図面に示した各実施の形態に従って説明する。
【0019】
〔A.第一の実施の形態〕(図1参照)
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る紙バンド1を示すものであり、芯材の無い、ベースだけの構造である。この紙バンド1は、幅65ミリメートル程度のクラフト紙製のテープTを素材としており(図面ではテープの厚みを誇張してある)、そのテープTを合計6枚重ねになるように折り畳んで接着してある。具体的には、素材としてのテープTを、先ず、その幅方向で2つ折りに畳んで合わせ面を接着した後、これを幅方向で3折りに畳み重ねながらその重ね面を接着してある。従って、6枚に重なった各層は互いに全面で接着し合った構造になっている。クラフト紙の具体的な種類は、50グラム/平方メートルの、両更の長網抄造製のものである。
【0020】
このように折り畳まれ且つ接着された結果、素材としてのテープTは、幅約11ミリメートル(使用するテープTの厚さや加工条件によっては、10〜15ミリメートル)、厚さ約0.5ミリメートル(使用するテープTの厚さや加工条件によっては、0.4〜0.8ミリメートル)程度の腰の強い平紐状になる。これがベースである。そして、このベースに、ヒートシール剤を含侵させた後、乾燥してある。このように構成された紙バンド1について、紙断試験を行ったところ、概ね、静荷重60キログラムまで耐えた。
【0021】
尚、図示はしないが、長網クラフト紙(パルプ100パーセント)と円網クラフト紙(故紙100パーセント)とを貼り合わせたものをテープTとして用いた場合は、芯材を入れないベースだけでも、概ね、静荷重100キログラムまで耐えた。
【0022】
〔B.第二の実施の形態〕(図2)
図2は、本発明の第二の実施の形態に係る紙バンド3を示すものである。この紙バンド3が前記紙バンド1と比較して相違する点は、紙バンド1のベースを外皮とし、このベースに芯材を包んだことである。従って、説明はこの相違点についてのみ行い、ベースについては、図面中で、符号1´を付することによって説明を省略する。このような符号の使い方とその意味は、後述する第三及び第四の実施の形態においても同様とする。
【0023】
この紙バンド3においては、芯材5として平撚り紐を用いている。この芯材5は、その主たる繊維方向がベース1´の長手方向に沿う状態で、ベース1´に包まれており、その包み構造は、ベース1´の素材である前記テープTが2つ折りにされた後3つ折りされるときこのベース1´に添合させた構造になっている。従って、芯材5はその全体が完全にベース1´に包まれ、且つ、ベース1´と接着されている。このように構成された紙バンド3について、紙断試験を行った結果、概ね、静荷重80キログラムまで耐えた。
【0024】
〔C.第三の実施の形態〕(図3)
図3は、本発明の第三の実施の形態に係る紙バンド11を示すものである。この紙バンド11は、ベース1´を外皮として、これに180グラム/平方メートルのライナー、又は、400グラム/平方メートルのライナーから成る芯材13を包んでいる。ベース1´への芯材13の包み構造は、紙バンド3における芯材5と同様、ベース1´の素材である前記テープTが2折りにされた後3つ折りされるときこのベース1´に添合された構造になっている。従って、この芯材13もその全体がベース1´に包まれ、且つ、ベース1´と接着されている。
【0025】
この紙バンド11について、紙断試験を行ったところ、180グラム/平方メートルのライナーを芯材13としたものについては、概ね、静荷重70キログラムまで耐え、400グラム/平方メートルのライナーを芯材13としたものについては、静荷重100キログラムまで耐えた。
【0026】
尚、図示は省略したが、上記2種類のライナー(180グラム/平方メートルのライナーと、400グラム/平方メートルのライナー)を貼り合わせて芯材とし、この芯材をベース1´に包んだ紙バンドについても試作し、紙断試験を行ったところ、120キログラム程度の静荷重に耐えることを確認した。
【0027】
〔D.第四の実施の形態〕(図4)
図4は、本発明の第四の実施の形態に係る紙バンド21を示すものである。この紙バンド21は、芯材23として、太さ略0.5ミリメートルの麻紐を2本用いている。この芯材23は、互いに有る程度の間隔を空けて並んでおり、ベース1´の素材である前記テープTが2つ折りにされた後3つ折りされるときこれに添合された構造になっている。従って、この芯材23も、その全体が完全にベース1´に包まれ、且つ、ベース1´と接着されている。この紙バンド21について、紙断試験を行ったところ、概ね、静荷重80キログラムまで耐えた。従って、この麻紐製の芯材23は、1本につき10キログラム程度の割合で強度を高める効果があると思われる。
【0028】
尚、この麻紐製の芯材23を、前記した芯材入りの紙バンド3や11の芯材として併用することで強度を更に高めることも考えられる。例えば、図2の紙バンド3において、麻紐23を2点鎖線で示すように、平撚り紐5に麻紐23を包んだ形で芯材とする。勿論、板紙を芯材とする紙バンド11にも麻紐23を併用しても良い。
【0029】
〔E.製造方法〕(図5〜図7)
次に、本発明に係る紙バンドの製造方法の一例を、前記紙バンド3に着色を施し、且つ、コアレスに巻き取る場合を例にして説明する。図5は、製造ラインの一例を示すものである。
【0030】
素材としてのテープTが巻回されたロール31から引き出されたテープTは、筋付けローラー33によって、下面の幅方向における中間位置に谷折れ線35(図6の(A)参照)を付けられた後、その下面にノリ付けローラー37が接触することで全面に接着剤39(図6において梨地模様で示す)が塗布される。この接着剤としては、さしあたってPVA(通称「ポバール」)を使用したが、望ましくは、生分解する種類のもの、例えば、「でん粉のり」等を用いると良く、そのようにすれば、一層生分解性の高い性質とすることができる。次いで、テープTは折畳みガイド41を通されることで、図6の(B)に示すように2つ折りに貼り重ねられ、この状態で印刷部43を通される。
【0031】
印刷部43は、所望の色のインクを蓄えるインクバット45と、このインクに一部浸ったインクローラー47と、このインクローラー47に接触したアニックスローラー49と、これに接触して回転する版ローラー51等を備えており、2つ折りに貼り重ねられたテープTは、その上面が版ローラー51に接触することで、インクバット45内のインクを転写されて着色される。このインクが転写された領域53を図6の(C)に破線の平行線で示す。この領域53は、2つ折に畳まれたテープTの幅方向における一側寄りほぼ3分の2の領域であって、版ローラー51にはこの領域53の幅に合う軸長サイズのものが装填され、印刷部43におけるテープTの走行経路は、上記領域53に版ローラー51が接触するようにガイドされる。
【0032】
尚、テープTに対して、着色のほかに、表示事項55(図6の(C)に、漢字を印刷した例を示す)も印刷する場合は、別の印刷部を設けて所要の文字や絵柄を印刷する。
【0033】
印刷部43を出たテープTは、乾燥部61を通されて接着剤39とインクが乾燥される。この乾燥部61は、テープTの送り方向に沿って配列された3組の加熱ローラー63を備えており、テープTはこの加熱ローラー63に接触することで接着剤39とインクを乾燥される。3組の加熱ローラー63の温度は、後ろのものへ行くに従って順に低く設定される。乾燥部61を出たところで加圧ローラー65を通され、この加圧によって、2折りで接着された状態がしっかり固定される。
【0034】
次に、2つ折りで接着された状態のテープTは、別の筋付けローラー33´によって下面に谷折れ線71(図6の(D)参照)を2本平行に付けられる。この谷折れ線71は、この下面を幅方向で3等分する位置に付けられる。そして、この下面にノリ付けローラー37´が接触することで下面全体に背着剤39が塗布され、次いで、3つ折り用の折畳みガイド75を通される。このとき、テープTの下面に芯材5(平撚り紐)が添合される。即ち、図6の(D)に示すように、テープTのノリ付けされた下面のうち2本の谷折れ線71の間の領域に芯材5が添合され、この状態で折畳みガイド75を通されることによって、テープTが図6の(E)から(F)に示す順で3つ折りに畳まれながら芯材5を包む。
【0035】
このように折り畳まれた結果、テープTは、芯材5を包んで6枚重ねに接着された構造になって、幅はテープTの元の幅のほぼ6分の1になり、その表裏両面は印刷部43で用いられたインクの色を持つ。
【0036】
折畳みガイド75を出たテープT及び芯材5は、乾燥部61´を通されることで接着剤39が乾燥され、次いで、ヒートシール槽77に漬かることでヒートシール剤79が含侵される。そして、もう一度乾燥部61"を通されてヒートシール剤79を乾燥された後、加圧ローラー65´を通され、この加圧により、3つ折りで接着された状態がしっかり固定される。これによって、平撚り紐5を包んでヒートシール剤79が含浸され表面が所望の色に着色された紙バンド3が出来上がる。
【0037】
そして、この紙バンド3は、巻取り部81においてコアレスの形でロール状に巻き取られる。この巻取り部81は、ヒーターが内臓された巻取りローラー83と、この巻取りローラー83に巻き取られて行く紙バンド3の巻取り位置を左右に往復移動させる図示しないレベルワインダーと、このレベルワインダーに支持された接着水噴射ノズル85等を備えている。巻取りローラー83は周方向で例えば4つに分割されると共にその径を拡縮できる構造になっており、接着水噴射ノズル85は、巻取りローラー83に巻き取られて行く紙バンド3に水や接着剤を吹き付ける。
【0038】
紙バンド3の巻取りは、その巻き始め側一端部を巻取りローラー83に係止した状態でこのローラー83を回転させ且つ接着水噴射ノズル85から水又は接着剤を紙バンド3に吹きかけることで開始する。これにより、紙バンド3が巻き取りローラー83に円筒形に巻き取られて行き、この巻取りが2重又は3重行われたところで、水又は接着剤の吹きかけが終了する。従って、この紙バンド3の巻き始め部分、即ち、水又は接着剤を吹きかけられて2〜3重の円筒形に巻き取られた部分は、その吹きかけられた接着剤により固められ、或いは、外皮1´や芯材5に付与されている接着剤が、吹きかけられた水等と巻取りローラー83の熱とで活性化して固められ、この固まった部分が巻取りの芯部87(図7参照)を成す。この芯部87にその余の部分がロール状に巻き取られて行って、紙バンド3が図7に示すようなコアレスの形の紙バンドロール89になる。
【0039】
尚、図5に示す製造ラインを使用して紙バンド1を製造する場合は、3つ折り用の折畳みガイド51を通す際の芯材5の供給を省略すれば良いし、紙バンド11や21を製造する場合は、3つ折り用の折畳みガイド51を通す際に芯材としてライナー13や麻紐23を供給すれば良い。
【0040】
以上、本発明の様々な実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成がこれら実施の形態に限定されるものでは無く、本発明の要旨を備えた全ての形態が本発明に含まれる。例えば、芯材の有無に拘わらず、ベースの構造としては、細幅なテープを単に何枚も貼り合わせた構造としても良い。
【0041】
以上のように、本発明に係る紙バンドにあっては、そのベースが何枚かの貼り合わせ構造による積層形になっているために、厚くしなくても十分な引っ張り強度を持たせることができ、しかも熱結着することができるので、梱包に手間がかかることが無く、カシメ具等の特別な結着部材は全く必要としない。そして、この紙バンドの材料は、全部又は大部分が生分解するものであるから、再生紙にリサイクルすることも容易であり、焼却しても合成樹脂のように有害物質が発生することも無い。その上、本発明に係る紙バンドのベースの表面は基本的に平坦になるので、印刷や着色を容易且つきれいに行うことができる。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
本発明によれば、巻取りの芯材としての紙管が不要になるため、厄介な廃棄物を出さなくて済み、重量も軽くなって輸送コストが軽減し、製造原価も安くなる。
【0047】
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る紙バンドの要部を拡大した斜視図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態に係る紙バンドの要部を拡大した斜視図である。
【図3】本発明の第三の実施の形態に係る紙バンドの要部を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の第四の実施の形態に係る紙バンドの要部を拡大した斜視図である。
【図5】本発明に係る紙バンドの製造ラインの一例を示す図である。
【図6】図5に示す製造ラインによって製造される紙バンドの加工過程を(A)から(F)へ順を追って示す図である。
【図7】図5に示す製造ラインによって最終的にコアレスのロール状に巻き取られた紙バンドの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
T テープ
1 紙バンド
3 紙バンド
1´ ベース
5 芯材(平撚り紐)
11 紙バンド
13 芯材
21 紙バンド
23 芯材
39 接着剤
79 ヒートシール剤
87 芯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙テープを接着剤により貼り合せることによって積層形の平紐状に形成されたベースを有する紙バンドであって、
この紙バンドの一端側部分を巻き取って上記接着剤で固めることにより巻取りの芯部を形成し、この芯部にその余の部分をロール状に巻き取った紙バンド。
【請求項2】
前記ベースに接着剤を伴なって芯材が包まれた請求項1に記載の紙バンド。
【請求項3】
前記ベースにヒートシール剤が含浸された請求項1又は2に記載の紙バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−297014(P2008−297014A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205941(P2008−205941)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【分割の表示】特願2000−139605(P2000−139605)の分割
【原出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【出願人】(599092424)秋山工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】