説明

紙容器およびブランク

【課題】高いバリア性を維持しつつ、容易に成形することができる紙容器およびブランクを提供する。
【解決手段】紙容器はバリア性をもつブランク1を折罫a,b,c,dに沿って折畳み組立てることにより成形される。紙容器は正面外パネル11aと正面内パネル11bとからなる正面壁と、天壁12と、背面壁13と、底壁14と、一対の側部40とを有する。各側部40は天壁側部パネル41と、底壁側部パネル42とを有し、各側部40の両側に第1折込部43と第2折込部47とが折込まれる。第1折込部43は正面外パネル側第1折込部43Aと、正面内パネル側第1折込部43Bとからなり、正面外パネル側第1折込部43Aは第1折罫44a、第2折罫45aおよび他の折罫46aを有する。これら第1折罫、第2折罫および他の折罫には、正面内パネル側第1折込部と重なる部分に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子等を収容した状態で販売される紙容器およびブランクに関する。さらに詳しくは、内容物が湿気を嫌う場合に適した、バリア性の高い紙容器およびブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
紙容器に菓子等を収容した状態で陳列販売することは、従来から普通に行われている。紙容器に収容される内容物がチョコレートやクッキー等、湿気を嫌うものである場合、個々のチョコレート、クッキー等を個別に袋に入れた状態として、これを紙容器に収容している。
【0003】
ところでこのような紙容器は、正面壁と、天壁と、背面壁と、底壁と、一対の側部とからなる6面体形状を有しているが、バリア性がないため、内容物をバリア性のある袋体で個別包装している。また、正面壁と、天壁と、背面壁と、底壁と、一対の側部とからなる6面体形状を有し、少なくともバリア層と紙層とを有する積層体からなるブランクを折罫に沿って折畳み組立てることにより成形される紙容器も知られている。
【0004】
このうち正面壁は正面外パネルと、この正面外パネルに貼り付けられた正面内パネルとを有している。また各側部の両側に正面壁側に位置する第1折込部と、背面壁側に位置する第2折込部が形成される。このうち第1折込部は正面外パネル側第1折込部と、正面内パネル側第1折込部とを積層して構成される。このため、この第1折込部が積層構造をもって堅固になるため成形時に反発力をもって容易に成形することができない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−48426号公報
【特許文献2】特開平11−20821号公報
【特許文献3】特開2003−2324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、高いバリア性を維持することができ、かつ成形を容易に行なうことができる紙容器およびブランクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくともバリア層と紙層とを有する積層体からなるブランクを紙層が外面にくるよう折罫に沿って折畳んで組立ててなる6面体形状の紙容器において、正面外パネルと、この正面外パネルに貼り付けられた正面内パネルとを有する正面壁と、天壁と、背面壁と、底壁と、一対の側部とを備え、正面外パネル外面側に一対の開封用ハーフカット線が設けられ、正面外パネルの底壁側に一対の開封用ハーフカット線に囲まれた摘み部が形成され、各側部は天壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する天壁側部パネルと、底壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する底壁側部パネルとを有し、各側部の両側に、正面外パネルから延びる正面外パネル側第1折込部と、正面内パネルから延びる正面内パネル側第1折込部とからなり、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれた第1折込部と、背面壁から延びるとともに、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第2折込部とが設けられ、第1折込部および第2折込部はブランクを折罫に沿って折畳んで形成され、正面外パネル側第1折込部を形成する折罫のうち、正面内パネル側第1折込部に重なる部分の外面側に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする紙容器である。
【0008】
本発明は、正面内パネルには、摘み部が挿入される再封止スリットが設けられていることを特徴とする紙容器である。
【0009】
本発明は、正面外パネル側第1折込部は、正面外パネルに第1折罫を介して連結された第1三角形領域と、この第1三角形領域に一対の第2折罫を介して連結された一対の第2三角形領域とを有し、第1折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分および第2折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする紙容器である。
【0010】
本発明は、一対の第2三角形領域を区画する他の罫線のうち、正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする紙容器である。
【0011】
本発明は、少なくともバリア層と紙層とを有する積層体からなり、紙層が外面にくるよう折罫に沿って折り畳んで組立てることにより、6面体形状の紙容器を成形するブランクにおいて、正面外パネルと、この正面外パネルに貼り付けられた正面内パネルと、天壁と、背面壁と、底壁と、一対の側部とを備え、正面外パネル外面側に一対の開封用ハーフカット線が設けられ、正面外パネルの底壁側に一対の開封用ハーフカット線に囲まれた摘み部が形成され、各側部は天壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する天壁側部パネルと、底壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する底壁側部パネルとを有し、正面外パネルから延びる正面外パネル側第1折込部と、正面内パネルから延びる正面内パネル側第1折込部とからなり、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第1折込部と、背面壁から延びるとともに、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第2折込部とが設けられ、第1折込部および第2折込部はブランクを折り畳む折罫を有し、正面外パネル側第1折込部を形成する折罫のうち、紙容器を組立てた場合に、正面内パネル側第1折込部に重なる部分の外面側に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とするブランクである。
【0012】
本発明は、正面内パネルには、摘み部が挿入される再封止スリットが設けられていることを特徴とするブランクである。
【0013】
本発明は、正面外パネル側第1折込部は、正面外パネルに第1折罫を介して連結された第1三角形領域と、この第1三角形領域に一対の第2折罫を介して連結された一対の第2三角形領域とを有し、第1折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分および第2折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とするブランクである。
【0014】
本発明は、一対の第2三角形領域を区画する他の罫線のうち、正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けれらていることを特徴とするブランクである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、バリア性を有するブランクを折畳むことによって紙容器が成形され、紙容器の各側部の両側に天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第1折込部と第2折込部とが形成される。このうち第1折込部は、正面外パネル側第1折込部と正面内パネル側第1折込部とからなり、正面外パネル側第1折込部を形成する折罫には、前面内フラップ側第1折込部と重なる部分に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられている。このため第1折込部が正面外パネル側第1折込部と正面内パネル側第2折込部とからなる積層構造を有していても、第1折込部を容易に成形することができ、かつ紙容器全体のバリア性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施の形態の紙容器を開封前の状態で示す斜視図、図1(b)は一対の側部を立てた状態を示す紙容器の斜視図。
【図2】図2は図1(a)(b)に示す紙容器を開封した状態を示す斜視図。
【図3】図3は紙容器を構成するブランクの展開図。
【図4】図4は紙容器のコーナ部とブランク上の位置との対応関係を示す図。
【図5】図5は紙容器を構成するブランクの積層構造を説明する図。
【図6】図6は第2実施形態を説明する図であって、図3中の拡大図に対応している図。
【図7】図7は第3実施形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
次に図1乃至図5により、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0018】
このうち図1(a)は開封前の状態の紙容器を示す斜視図であり、図1(b)は一対の側部を立てた状態を示す紙容器の斜視図であり、図2は図1(a)の紙容器を開封した状態を示す斜視図であり、図3は紙容器を構成するブランクの展開図である。
【0019】
図1(a)(b)乃至図3に示すように、紙容器10は合成樹脂製のヒートシール層(シール層ともいう)5と、紙層6と、アルミ層(バリア層)7と、合成樹脂製のヒートシール層(シール層ともいう)8とを有する積層体からなるブランク1(図5参照)を折罫a,b,c,d,44a,45a,46a,48a,49a等に沿って折畳み組立てることにより構成され、このような紙容器10は6面体形状を有する。
【0020】
すなわち紙容器10は、正面外パネル11aと、この正面外パネル11aに重なり合って貼り付けられた正面内パネル11bとを有する正面壁11と、正面外パネル11aに折罫aを介して連設された天壁12と、天壁12に折罫bを介して連設された背面壁13と、背面壁13に折罫cを介して連設された底壁14とを備え、底壁14と正面内パネル11bとの間に折罫dが設けられている。
【0021】
また正面壁11と背面壁13との間には、一対の側部40、40が設けられている。この各側部40は、天壁12から延びるとともに先端に貼付け部41aを有する天壁側部パネル41と、底壁14から延びるとともに先端に貼付け部42aを有する底壁側部パネル42とを有している。そして天壁側部パネル41の貼付け部41aと、底壁側部パネル42の貼付け部42aを互いに貼付けることにより、側部40が構成される。
【0022】
また各側部40の両側には、天壁側部パネル41と底壁側部パネル42との間に折込まれた第1折込部43と第2折込部47とが設けられている。
【0023】
このうち第1折込部43は正面壁11側に位置し、第2折込部47は背面壁13側に位置している。
【0024】
ところで紙容器10は1枚のブランク1から組み立てられるが、このような紙容器の密封性を高めるため、紙容器10は、以下に説明する種々の構成をもつ。
【0025】
図4は、展開状態のブランク1と、これを組み立てて構成される紙容器10との対応関係を示している。紙容器10は、6面体であって、合計8つのコーナ部A〜Hを有する。ブランク1上において、これらのコーナ部に対応する箇所A〜Hはすべて、ブランク1の周端縁ではなく、それよりも内方側に位置している。
【0026】
このような構成を採用した結果、組立後の紙容器10において、すべてのコーナ部A〜Hに隙間(開口)が生じることはなく、したがって、高い密封性を実現することができる。
【0027】
なお、ブランク1の具体的な折り方(折罫の配置)は、図示したものに限られない。
【0028】
(ブランク1の構成)
図3は、紙容器10を構成するブランク1の展開図を示しており、上述のようにこれを組み立てることで図1(a)(b)および図2に示す紙容器10が構成される。本発明において、ブランク1は、少なくとも次の要素を含んでいる。
(1)正面壁11を構成する正面外パネル11a、正面内パネル11b。
正面内パネル11bの外面に正面外パネル11aを貼り重ねることで、組立後の紙容器10における正面壁11が構成される。
(2)天壁12。
天壁12は、折罫aを介して正面外パネル11aに連設されている。
(3)底壁14。
底壁14は、折罫dを介して正面内パネル11bに連設されている。
(4)背面壁13。
背面壁13は、組立後の紙容器10において正面壁11に対向しており、折罫bを介して天壁12に、折罫cを介して底壁14に、それぞれ連設されている。
(5)紙容器10は、六面体を有するため、上記各壁部以外にも左右の一対の側部40、40が存在する。上述のように各側部40は天壁側部パネル41の貼付け部41aと、底壁側部パネル42の貼付け部42aを貼り付けることにより構成される。
【0029】
また正面外パネル11aには、その端縁にそって間隔を置いた2つの切欠部21a、21bが形成されている。各切欠部21a、21bから、それぞれ、開封用ハーフカット線22a、22bが延在している。開封用ハーフカット線22a、22bは、最初は互いに平行に延在し、途中から離れる方向に延在し、さらに、天壁12上を平行に延在して、折罫bにまで至る(図3参照)。
【0030】
正面外パネル11a上において、2つの切欠部21a、21bの間の領域(開封用ハーフカット線22a、22bの平行部分に挟まれた領域)は、開封用摘み部25として機能する。つまり、消費者は、開封用摘み部25を摘んで、開封用ハーフカット線22a、22bに沿って、紙容器10を上方へ破り開けることができる。なお、開封後は、正面内パネル11bの内側に開封用摘み部25を差し込むことや後に説明する再封止スリット31に、開封用摘み部25を差し込むことで、紙容器10を再封止することができる(図2参照)。
【0031】
開封用ハーフカット線22a、22bは、ブランク1を貫通することなく、外表面のヒートシール層5および紙層6を切り込んで構成されている(図5参照)。なお、図5に示した例では、ハーフカットは紙層6を貫通しているが、紙層6の途中までのハーフカットとしてもよい。
【0032】
正面内パネル11bには、図3中に部分的に拡大して示したように、再封止スリット31と、第1剥離用ハーフカット線32a、32bと、第2剥離用ハーフカット線35a〜cとが形成されている。これらについて説明する。
【0033】
(再封止スリット31)
再封止スリット31は、開封後の紙容器10を再度封止することを可能とするもので、図5中に示したフルカット部分により、ブランク1の全厚を貫通して形成されている。なお、図3中に拡大して示したように、再封止スリット31は、フルカット部分の途中に、未カットの連設部分31’を備えている。
【0034】
連設部分31’は、再封止スリット31が不用意に破断するのを防止する意味で設けている。図示した例では、連設部分31’を2箇所に設けているが、適宜の数を設定することができる。
【0035】
(第1剥離用ハーフカット線32a、32b)
正面外側フラップ11aには2本の開封用ハーフカット線22a、22bが形成されているが、正面内側フラップ11b上のこれに対応する位置に、2本の第1剥離用ハーフカット線32a、32bを形成している。
【0036】
この第1剥離用ハーフカット線32a、32bは、後に説明する第2剥離用ハーフカット線35a〜35cと同様、紙容器10の開封操作時に、正面内側フラップ11bから正面外側フラップ11aを引き剥がし易くするために設けている。
【0037】
(第2剥離用ハーフカット線35a〜35c)
第2剥離用ハーフカット線35a〜35cは、再封止スリット31に沿ってその両側に少なくとも1本ずつ形成される。図3に示した例では、再封止スリット31の上方に1本、下方に2本の第2剥離用ハーフカット線35a〜35cを設けているが、少なくとも再封止スリット31の上下に1本ずつ存在すれば、他の構成であってもよい。
【0038】
この第2剥離用ハーフカット線35a〜35cは、紙容器10の開封操作時に、正面内側フラップ11bから正面外側フラップ11aを引き剥がし易くするために設けている。
【0039】
第2剥離用ハーフカット線35a〜35cが複数本存在するのは、後述する第2実施形態の場合と同じく、位置ズレを吸収する意味がある。詳しくは後述する。
【0040】
(剥離層50)
図3中に部分的に拡大して示した正面内側フラップ11bにおいて、ヨコ方向に延在する再封止スリット31および第2剥離用ハーフカット線35a〜35cは、すべて、タテ方向に延在する第1剥離用ハーフカット線32a、32bの両方と交差して延在している。
【0041】
両サイドでタテ方向に延在する2本の第1剥離用ハーフカット線32a、32bに挟まれる領域には、再封止スリット31の部分を除き、剥離層50を設けている。正面内側フラップ11b上に灰色で示した領域50が剥離層が配置される領域である。
【0042】
ヨコ方向の拡がりに関して言うと、図面上では、剥離層50が第1剥離用ハーフカット線32a、32bに挟まれた領域に剥離層50が存在すれば足りる。
【0043】
タテ方向の拡がりに関して言うと、再封止スリット31を避けて、かつ、第2剥離用ハーフカット線35a〜35cを覆っていれば足りる。
【0044】
剥離層50は、紙容器10の密封性を確保するとともに、開封作業を容易にするために、第1剥離用ハーフカット線32a、32bおよび第2剥離用ハーフカット線35a〜35cで囲まれた領域に設けられている。
【0045】
(積層構造、ハーフカット、フルカット(図5))
ブランク1の積層構造は、次の通りである。すなわち、図5に模式的に示したように、ブランク1の外表面と内表面に、それぞれシール層5、8が位置する。そして、両シール層5、8の間において、外表面側の紙層6と内表面側のアルミ層7が形成される。紙容器10を組み立てたとき、シール層5が紙容器10の外側に、シール層8が紙容器10の内側にくる。
【0046】
最も外側と内側にシール層が存在すること、および両シール層間において、紙層よりもアルミ層7の方が内側に存在していれば、積層構造中に他の層が含まれてもよい。
【0047】
アルミ層7は、紙容器10に湿気、酸素等に対するバリア特性を与えるものであり、したがって、アルミ層7にはカットを入れないことが好ましい。そのため、開封用ハーフカット線22a、22b、第1剥離用ハーフカット線32a、32b、第2剥離用ハーフカット線35a〜35cは、すべて、図5中に示したハーフカット部分のように、ブランク1を貫通することなく、外表面のシール層5および紙層6を切り込んで構成されている(バリア特性を与えるアルミ層7までは達しない)。なお、図示した例では、ハーフカットは紙層6を貫通しているが、紙層6の途中までのハーフカットとしてもよい。
【0048】
唯一、再封止スリット31は、ブランク1全厚を貫通するフルカット部分(図5参照)として構成される。しかし、再封止スリット1の周辺領域は、紙容器10を組み立てる際に、シール層5、8によるシールで塞がれるので、密封性が損なわれることはない。また、再封止スリット31を構成するフルカット部分の途中に、未カットの連設部分31’を備えることで、スリットが不用意に開口してしまうことを防いでいる。
【0049】
次に各側部40の両側に設けられた第1折込部43と、第2折込部47について説明する。
【0050】
各第1折込部43は正面外パネル11aから延びる正面外パネル側第1折込部43Aと、正面内パネル11bから延びる正面内パネル側第1折込部43Bとからなり、第1折込部43は天壁側部パネル41と底壁側部パネル42との間に折込まれている。
【0051】
また正面外パネル側第1折込部43Aは、図3に示すように正面外パネル11aに第1折罫44aを介して連結された第1三角形領域44と、この第1三角形領域44に一対の第2折罫45aを介して連結された一対の第2三角形領域45とを有している。
【0052】
また各第2三角形領域45は、他の折罫46aにより区画されており、各第2三角形領域45はこの他の折罫46aを介して4角形状の貼付け部46に連結され、各4角形状の貼付け部46は各々天壁側部パネル41の貼付け部41aおよび後述する正面内パネル側第1折込部43Bに貼付けられる。
【0053】
ところで第1折込部43を構成する正面外パネル側第1折込部43Aと、正面内パネル側第1折込部43Bは、正面外パネル側第1折込部43Aが外側へくるよう互いに積層されている。この場合、正面内パネル側第1折込部43Bの上端縁は、第1三角形領域44の頂点44b近傍まで達する(図3参照)。
【0054】
このため、正面外パネル側第1折込部43Aの一対の第2三角形領域45のうち、図3において下方の第2三角形領域45は正面内パネル側第1折込部43Bと重なり合い、図3において上方の第2三角形領域45は正面内パネル側折込部43Bと重なることはない。
【0055】
この場合、正面外パネル側第1折込部43Aの第1三角形領域44を区画する第1折罫44a、一対の第2の三角形領域45を区画する第2折罫45aおよび他の折罫46aには、正面内パネル側第1折込部43Bと重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55が設けられている。
【0056】
このように正面外パネル側第1折込部43Aに設けられた第1折罫44a、第2折罫45aおよび他の折罫46aのうち、正面内パネル側第1折込部43Bと重なる部分に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55が設けられている。このため、正面外パネル側第1折込部43Aと正面内パネル側第1折込部43Bとが互いに積層してこの部分が積層構造をもって堅固に構成されたとしても、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55により第1折込部43を容易に成形することができ、この第1折込部43を天壁側部パネル41と底部側部パネル42との間に容易に折込むことができる。
【0057】
また、第2折込部47は背面壁13に第1折罫48aを介して連結された第1三角形領域48と、この第1三角形領域48に一対の第2折罫49aを介して連結された一対の第2三角形領域49とを有している。
【0058】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0059】
まず上述した層構成を有するブランク1を準備する。
【0060】
次にブランク1を折罫a,b,c,dに沿って折り畳み、正面外パネル11aと正面内パネル11bを重ね合せて貼り付ける。
【0061】
次にブランク1を組み立て、内容物を収納した後、ブランク1を折罫44a、45a、46aに沿って折畳むことにより、正面外パネル側第1折込部43Aと、正面内パネル側第1折込部43Bとからなる第1折込部43を形成する。同時にブランク1を折罫48a、49aに沿って折畳んで第2折込部47を形成する。
【0062】
その後第1折込部43と第2折込部47を、各々天壁側部パネル41と底壁側部パネル42との間に折込み、天壁側部パネル41の貼付け部41aと底壁側部パネル42の貼付け部42aとを貼付けることにより一対の側部40、40を形成する。
【0063】
このようにして6面体形状の紙容器10を成形することができる。
【0064】
ところで正面外パネル側第1折込部43Aに設けられた第1折罫44a、第2折罫45aおよび他の折罫46aのうち、正面内パネル側第1折込部43Bと重なる部分に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55を設けたことにより、正面外パネル側第1折込部43Aと正面内パネル側第1折込部43Bとが互いに積層してこの部分が積層構造をもって堅固に構成されたとしても、第1折込部43を容易に成形して天壁側部パネル41と底部側部パネル42との間に折込むことができる。また折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55は正面外パネル側第1折込部43Aのうち正面内パネル側第1折込部43Bと重なる部分に設けられているので、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線55を設けたとしても紙容器10のバリア性が低下することはない。
【0065】
紙容器10の開封作業は、正面外側フラップ11aに形成した開封用摘み部25を摘んで行う。このとき正面内側フラップ11bから正面外側フラップ11aが剥離し易いように、第1剥離用ハーフカット32a、32bおよび第2剥離用ハーフカット線35a〜35cを設けるとともに、これらに囲まれた領域に剥離層50を設けている。この囲まれた領域内に再封止スリット31が存在するが、剥離層50は、再封止スリット31を避けるように配置しているので、再封止スリット31はシール層5、8によるシールで確実に塞がれて、密封性が損なわれることはない。
【0066】
しかも、再封止スリット31は、ブランク1を貫通するフルカット部分の途中に、未カットの連設部分31’を備えて構成されているので、不用意に当該スリットが開口して密封が損なわれる、という事業は非常に生じにくくなる。
【0067】
第2の実施の形態
次に図6により、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6に示す紙容器10は、上に説明した第1の実施の形態に対して、第1剥離用ハーフカット線32a、32bの構成のみが異なるので、この点だけを説明する。
【0068】
第1の実施の形態では、第1剥離用ハーフカット線32a、32bが両サイドに2本形成されていた。第2の実施の形態では、これらハーフカット線32a、32bのそれぞれに対し、隣接する別の第1剥離用ハーフカット線32a’、32b’を少なくとも1本形成している。
【0069】
このように、第1剥離用ハーフカット線を左右両サイドにそれぞれ複数本ずつ設ける意味は、位置ズレの吸収である。すなわち、製造ラインにおいて、正面内パネル11b上に剥離層50を塗布する際、剥離層50は、当然に第1剥離用ハーフカット線32a、32bの両方を覆うように配置されるべきものである。
【0070】
しかし、実際には製造工程上のズレが生じてしまう場合もある。図6に示した第2の実施の形態のように、左右両サイドにそれぞれ2本ずつ第1剥離用ハーフカット線が存在することでこのズレを吸収し、不良品の発生率を低く抑えることができる。
【0071】
上述の第1の実施の形態において、第2剥離用ハーフカット35a〜35cを複数本設けているのも同じ意味合いを有する。
【0072】
図6に示した例では、第1剥離用ハーフカット線は両サイドに2本ずつ(合計4本)であるが、さらに多くのハーフカット線を設けてもよい。
【0073】
なお、再封止スリット31および第2剥離用ハーフカット線35a〜35cは、すべての第1剥離用ハーフカット線32a、32b、32a’、32b’・・・と交差して延在するよう設ける。また、剥離層50は、最も外側の2本の第1剥離用ハーフカット線(図示の例では32a’、32b’)に挟まれた領域で、再封止スリット31を避けて設ける。
【0074】
第3の実施の形態
次に図7により、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7に示す紙容器10は、上に説明した第1、2の実施の形態に対して、ブランク1’に延長パネル11cを設けた点のみが異なるので、この点だけを説明する。図7は、ブランク1’と紙容器10’の対応関係を示している。
【0075】
ブランク1’においては、正面内パネル11bよりも上方に延長パネル11cを追加形成している。両者は、折罫fを介して連設されている。折罫fおよび延長パネル11cは、組立後の紙容器10’において、図7の一部破断図に示した位置にくる。すなわち、延長パネル11cは、折罫fにおいて、紙容器の外側方向に折り返されている。
【0076】
ブランク1’の積層構造は、図5で説明した通りであるが、ブランク周端縁においては、紙層6が露出することとなる。この露出した端縁に、例えば内容物であるチョコレートやクッキー等が接触すると、紙層6に油分が侵入して、紙容器表面にシミとなって現れる等の悪影響が出る。
【0077】
これを防ぐため、第3の実施の形態では、延長パネル11cを設けて、折罫fにて外側方向へ折り返している。これにより、端縁11dに内容物が接触することがなくなるので、端縁11dから油分が積層構造内にしみ込むのを防止できる。
【0078】
この折り返しの代わりに、延長パネル11cに対して、スカイブヘミング処理してもよい。この場合、折罫fは設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1、1’ ブランク
5 シール層
6 紙層
7 アルミ層
8 シール層
10、10’ 紙容器
11 正面壁
11a 正面外パネル
11b 正面内パネル
11c 延長フラップ
11d 端縁
12 天壁
13 背面壁
14 底壁
21a、21b 切欠部
22a、22b 開封用ハーフカット線
25 開封用摘み部
31 再封止スリット
31’ 連設部分
32a、32b、32a’、32b’ 第1剥離用ハーフカット線
35a、35b、35c 第2剥離用ハーフカット線
40 側部
41 天壁側部パネル
41a 貼付け部
42 底壁側部パネル
42a 貼付け部
43 第1折込部
43A 正面外パネル側第1折込部
43B 正面内パネル側第1折込部
44 第1三角形領域
44a 第1折罫
45 第2三角形領域
45a 第2折罫
46a 他の折罫
50 剥離層
55 折罫ミシン目または折罫ハーフカット線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバリア層と紙層とを有する積層体からなるブランクを紙層が容器外面にくるように折罫に沿って折畳んで組立ててなる6面体形状の紙容器において、
正面外パネルと、この正面外パネルに貼り付けられた正面内パネルとを有する正面壁と、
天壁と、
背面壁と、
底壁と、
一対の側部とを備え、
正面外パネル外面側に一対の開封用ハーフカット線が設けられ、正面外パネルの底壁側に一対の開封用ハーフカット線に囲まれた摘み部が形成され、
各側部は天壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する天壁側部パネルと、底壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する底壁側部パネルとを有し、
各側部の両側に、正面外パネルから延びる正面外パネル側第1折込部と、正面内パネルから延びる正面内パネル側第1折込部とからなり、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれた第1折込部と、
背面壁から延びるとともに、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第2折込部とが設けられ、
第1折込部および第2折込部はブランクを折罫に沿って折畳んで形成され、
正面外パネル側第1折込部を形成する折罫のうち、正面内パネル側第1折込部に重なる部分の外面側に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記正面内パネルには、摘み部が挿入される再封止スリットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の紙容器。
【請求項3】
正面外パネル側第1折込部は、正面外パネルに第1折罫を介して連結された第1三角形領域と、この第1三角形領域に一対の第2折罫を介して連結された一対の第2三角形領域とを有し、
第1折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分および第2折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の紙容器。
【請求項4】
一対の第2三角形領域を区画する他の罫線のうち、正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする請求項3記載の紙容器。
【請求項5】
少なくともバリア層と紙層とを有する積層体からなり、紙層が外面にくるように折罫に沿って折り畳んで組立てることにより、6面体形状の紙容器を成形するブランクにおいて、
正面外パネルと、
この正面外パネルに貼り付けられた正面内パネルと、
天壁と、
背面壁と、
底壁と、
一対の側部とを備え、
正面外パネルに一対の開封用ハーフカット線が設けられ、正面外パネルの底壁側に一対の開封用ハーフカット線に囲まれた摘み部が形成され、
各側部は天壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する天壁側部パネルと、底壁から延びるとともに先端に貼付け部を有する底壁側部パネルとを有し、
正面外パネルから延びる正面外パネル側第1折込部と、正面内パネルから延びる正面内パネル側第1折込部とからなり、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第1折込部と、
背面壁から延びるとともに、天壁側部パネルと底壁側部パネルとの間に折込まれる第2折込部とが設けられ、
第1折込部および第2折込部はブランクを折り畳む折罫を有し、
正面外パネル側第1折込部を形成する折罫のうち、紙容器を組立てた場合に正面内パネル側第1折込部に重なる部分の外面側に折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とするブランク。
【請求項6】
前記正面内パネルには、摘み部が挿入される再封止スリットが設けられていることを特徴とする請求項5記載のブランク。
【請求項7】
正面外パネル側第1折込部は、正面外パネルに第1折罫を介して連結された第1三角形領域と、この第1三角形領域に一対の第2折罫を介して連結された一対の第2三角形領域とを有し、
第1折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分および第2折罫の正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載のブランク。
【請求項8】
一対の第2三角形領域を区画する他の罫線のうち、正面内パネル側第1折込部に重なる部分に、折罫ミシン目または折罫ハーフカット線が設けられていることを特徴とする請求項7記載のブランク。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−91519(P2013−91519A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236019(P2011−236019)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】