紙幣の透かし確認用エレクトロルミネッセンスパネル
【課題】薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用して紙幣の透かしを簡単に確認することを可能とする。
【解決手段】紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセン素子と、その裏面に同じ大きさの極薄鉄板と、それらの上下両面にそれよりも少し大きいラミネートシートとを設け、上下両面のラミネートシートの周囲を固着した薄型エレクトロルミネッセンスパネルにより、その照明光を利用して紙幣の透かしを確認する。無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)素子を利用すると輝度を高くすることができるので、薄型無機ELパネルの表面に、任意の印刷を施した再剥離可能な吸着性を有する透明フィルムをその吸着性を利用して貼り付けることにより、顧客に不快感を与えずに紙幣の透かし模様の有無を識別することができる。この薄型無機ELパネルをキャッシュレジスター等に取り付けることにより現金受渡の現場で紙幣の透かしを簡単に確認することができる。
【解決手段】紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセン素子と、その裏面に同じ大きさの極薄鉄板と、それらの上下両面にそれよりも少し大きいラミネートシートとを設け、上下両面のラミネートシートの周囲を固着した薄型エレクトロルミネッセンスパネルにより、その照明光を利用して紙幣の透かしを確認する。無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)素子を利用すると輝度を高くすることができるので、薄型無機ELパネルの表面に、任意の印刷を施した再剥離可能な吸着性を有する透明フィルムをその吸着性を利用して貼り付けることにより、顧客に不快感を与えずに紙幣の透かし模様の有無を識別することができる。この薄型無機ELパネルをキャッシュレジスター等に取り付けることにより現金受渡の現場で紙幣の透かしを簡単に確認することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣の透かし確認用エレクトロルミネッセンスパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の偽造紙幣識別用装置は、金融機関等に設置された高速、高精度、高価な専用機がある。
これに対して、紙幣の透かし確認用の簡易な装置も提案されている。
例えば、キャッシュトレーを箱型とし、箱の底に照明装置を設けて、キャッシュレジスターに組み込み、底から照明をあてることにより、紙幣の透かし部分を確認するもの(従来例1、図11)、複数個の発光ダイオードと、この発光ダイオードの光を紙幣類の表面に反射させる複数枚の反射板と、反射光を受光する受光板とで構成された発光ダイオード照明装置と、紙幣類の特徴を記したマスタープレートと、このマスタープレートを保持するプレートホルダーとを具備した携行型の紙幣類簡易鑑定器(従来例2、図12)、或いは、可視光源による照明装置をタクシー車内に設けて、紙幣をこの照明装置上に展示して、透かしの存在を確認する(従来例3)等が提案されている。
また、透かしの存在確認用の照明装置をキャッシュレジスターに最初から設置することも提案されている。
例えば、通常の可視光源による照明装置を、キャッシュレジスター本体、及び外表部、及び本体と分離した場所で且つ本体に近接した部位とのうち、少なくとも一個所以上に設置し、照明装置に紙幣等を展開して透かしの存在を確認するもの(従来例4、図13)、金銭載置台と、前記金銭載置台の紙幣載置面に配置された光透過性を有する透過板と、前記透過板の下方に配置された光源と、を具備する偽造紙幣識別用装置(従来例5、図14)等が提案されている。
しかし、これらの従来例は、いずれも、点光源、または線光源であって、拡散板等がないと全体の視野確認ができないという欠点があった。
また、装置として厚みがあるために、携帯用としては不便であり、キャッシュレジスターに設置するにも容易でなかった。
【特許文献1】特開2003−216998号公報(従来例1、図11)
【特許文献2】特開2001−325639号公報(従来例2、図12)
【特許文献3】特開2002−304655号公報(従来例3)
【特許文献4】特開2002−304670号公報(従来例4、図13)
【特許文献5】特開2003−99839号公報(従来例5、図14)
【0003】
一方、面光源として、エレクトロルミネッセンスが知られている。
エレクトロルミネッセンス素子には、有機エレクトロルミネッセンス素子と無機エレクトロルミネッセンス素子とがある。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という。)の発光機構は、外部から電子とホール(正孔)を注入し、それらの再結合エネルギーによって発光中心を励起し、発光させるものである。
有機EL素子は、陽極(ITOなどの透明電極)、正孔注入帯域(有機材料による正孔輸送層)、発光帯域(有機材料による発光層)、そして陰極(仕事関数の小さな金属電極)が積層されて構成されている。
有機EL素子は、直流電圧(5〜10V)で、ITO電極から正孔輸送層に向けて正孔が注入され、陰極からは発光層に向けて電子が注入され、発光層で電子と正孔が結合して光が放射される。
【特許文献5】特公昭64−7635号公報
【非特許文献1】2002年(平成14年)6月29日、社団法人・発明協会・発行、独立行政法人・工業所有権総合情報館・編集、「特許流通支援チャート 化学4 有機EL素子」(「 http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kagaku14/hajime.htm 有機EL素子 特許庁長官 近藤隆彦」参照。)
【0004】
また、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子という。)は、分散型と薄膜型に分類されるが、いずれも蛍光体中の電子が高電界下において加速されて発光中心に衝突し励起される。現在、実用化されている無機EL素子は交流で動作するものが多く、輝度は電圧と周波数に依存する。
発光層を形成する蛍光体としての代表的な材料は、金属をドープした硫化亜鉛(ZnS:Mn)であり、無機EL素子は、二重絶縁薄膜構造である。
すなわち、無機EL素子は、表面透明電極、発光層、絶縁層、背面電極、背面保護層とから構成されている。この無機EL素子は、交流電圧(100〜200V)で駆動する。
無機EL素子の概略図を図2に示す。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを使用した従来の用途例としては、糸状のエレクトロルミネッセンス発光体を織り込んだ真贋判定用シート(従来例6)や、図柄表示部がエレクトロルミネッセンスディスプレイから構成されている遊技機(従来例7)、所定の表示内容をエレクトロルミネッセンス素子から構成された発光表示部で発光して表示する告知板(従来例7)等が提案されている。
また、フィルム状に形成され、道路標識を表示するためのエレクトロルミネッセンス発光体と、前記発光体を被覆する薄膜の保護シートとを備え、平らな道路表面上に貼付されることを特徴とする道路標識表示装置(従来例8)も提案されている。
【特許文献6】特開2004−170837号公報(従来例6)
【特許文献7】特開2004−181143号公報(従来例7)
【特許文献8】特開2004−229986号公報(従来例8)
【0006】
前記したように、エレクトロルミネッセンスの用途があまり広がらないのは、従来の有機EL素子および無機EL素子ともに、その輝度が500ルックス程度と低いので、「ELは暗いから」と採用をためらっていたためである。
ところが、近年、ナノテクノロジーを利用して、輝度の高いエレクトロルミネッセンス素子、特に無機EL素子を低価格で製造することが可能になった。
【特許文献10】特開2004−259545号公報
【特許文献11】特開2004−259546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、エレクトロルミネッセンス素子からなる薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用して紙幣の透かしを簡単に確認する点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、紙幣の透かしを簡単に確認するためにエレクトロルミネッセンス素子からなる薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の紙幣の透かし確認用エレクトロルミネッセンスパネルは、薄型で軽量である上に、全面発光で明るく、低消費電力、低輻射、発熱無しであるために、携帯したり、既存のキャッシュレジスター等に簡単に取り付けられるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
紙幣の透かしを簡単に確認するという目的を、エレクトロルミネッセンス素子からなる薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用することで、拡散板等の余計な構成部品を必要とせずに実現した。
薄型エレクトロルミネッセンスパネルを構成するエレクトロルミネッセンス素子は、好適には無機EL素子である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明装置の1実施例として、薄型エレクトロルミネッセンスパネル1の積層構造を示す模式図である。
2は、エレクトロルミネッセンス素子であり、この実施例1では無機EL素子を使用している。この無機EL素子2は、マスコット・テクノロジー社(台湾、MASCOT TECHNOLOGY INC.)の製品を使用している。3は、無機EL素子2からの電源コネクタであり、電源からのインバータ4に接続される。インバータ4から無機EL素子2へ供給する電圧は、3.0Vから48Vに対応している。
5は、無機EL素子2と同じ大きさの極薄鉄板であり、無機EL素子の保護層であると同時に磁石による利用を可能とするものである。
6は、無機EL素子2および極薄鉄板5よりも、少し大きいラミネートシートである。
そして、無機EL素子2と極薄鉄板5とを重ね、その上下両面から、少し大きいラミネートシート6を重ねて、ラミネートシート6の周囲を固着して無機ELパネル1を形成するものである。
固着手段は、接着剤、熱溶着等任意であるが、この実施例1では熱溶着によっている。
こうして構成された無機ELパネル1の厚さは、約0.5mm弱である。
輝度は、1,000から2,000ルックスの範囲で任意に選べるが、この実施例1では、商用電源を使用し、インバータ4の設定により、1,200ルックスとしている。
無機ELパネル1の全体の外観図を図3に示す。
【実施例2】
【0012】
実施例2は、実施例1のインバータ4電源として、インバータ4と電池とを1つのボックスにまとめて、インバータ電源ボックス7としたものである。
インバータ電源ボックス7の裏面には、磁石シートを貼り付けている(図示せず。)。
電池は、乾電池、ボタン電池、充電式電池等任意であるが、この実施例2ではボタン電池を使用している。電圧は3Vである。
この実施例2では、無機ELパネル1が薄型である上に、インバータ電源ボックス7裏面の磁石シートにより、無機ELパネル1の裏面に取り付けることができてコンパクトになるので、紙幣の透かし確認用として携帯するのに非常に便利である。
この携帯用無機ELパネル1を図4に示す。
【実施例3】
【0013】
実施例3は、実施例1の無機ELパネル1を既存のキャッシュレジスターに取り付ける例である。
実施例1の無機ELパネル1をキャッシュレジスターに取り付ける場所、手段は任意であるが、実施例3では、無機ELパネル1の裏面に両面テープを貼り付け(図示せず。)、キャッシュレジスターの紙幣載置台に固定するものである。
また、電源部は、インバータ4に設けたスイッチ(図示せず。)により常時点灯させることや、接触感知スイッチを別途取付け(図示せず。)、キャッシュレジスターを開けた時にのみ点灯するようにすることもできる。
そして、現金受渡の際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認するものである。
実施例3は、既存のキャッシュレジスターに簡単に取り付けることができるという効果がある。
このキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付ける概略図を図5に示す。
【実施例4】
【0014】
実施例4は、実施例3の変更例であり、インバータ4をキャッシュレジスター内に組み込み、キャッシュレジスター内から電源を供給する例である。
この場合は、キャッシュレジスターを開けると無機ELパネル1が点灯する。
そして、現金受渡の際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認することは実施例3と同じである。
実施例4は、インバータ4やAC電源からのコードが外部に出ていないので、キャッシュレジスター周りがすっきりして、非常に有用である。
このインバータ4をキャッシュレジスター内に組み込む概略図を図6に示す。
【実施例5】
【0015】
実施例5は、実施例1の無機ELパネル1をキャッシュレジスターに始めから組み込む例である。
実施例1の無機ELパネル1は、その厚さが約0.5mm弱と非常に薄いので、キャッシュレジスターのどこにでも簡単に組み込むことができる。
実施例5では、キャッシュレジスターの紙幣載置台に組み込む例を示す。
キャッシュレジスターの紙幣載置台を構成する板材として、無機EL素子2の大きさの窓を開けた窓開き表面板9と、背面板10とで、無機ELパネル1を挟み込んで固定する。
又は、キャッシュレジスターの紙幣載置台の上に無機ELパネル1を載せ、その上面から無機EL素子2の大きさの窓を開けた窓開き表面板10で挟み込んで固定する。
固定する手段は、無機ELパネル1が非常に薄いので、接着、ネジ止め、スポット溶接等任意の手段が取れる。
そして、現金受渡の際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認することは実施例3と同じである。
実施例5は、新型キャッシュレジスターとして販売できるので、非常に有用である。
このキャッシュレジスターの紙幣載置台の位置に、無機ELパネル1を上下から挟み込んで固定する概略図(具体的な固定手段は図示せず。)を図7に示す。
或いは、前記の具体例の他に、無機ELパネル1の厚さが、約0.5mm弱と非常に薄いことを利用して、キャッシュレジスターの紙幣載置台に無機ELパネル1の大きさの凹部を形成して、そこに無機ELパネル1を接着剤等で貼り付けることも可能である。
【実施例6】
【0016】
従来の偽造紙幣識別用装置は、顧客の前で紙幣を照明に翳して偽造紙幣であるか否かを識別する作業を行うことになり、顧客に対して不快感を与えるおそれがあるが、本発明の無機ELパネル1は、例えば実施例3、実施例4、および実施例5において、キャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付けており、薄型であるので、偽造紙幣識別用装置としては目立たないものである。
実施例6は、無機ELパネル1を偽造紙幣識別用装置として、さらに目立たなくする改良例である。
そのために使用する素材として、接着剤を使用せずに、均一に貼り付けることができ、剥がした後も、繰り返し、貼り付けることができる透明プラスチックフィルム8が有る。
この再剥離可能な透明プラスチックフィルム8は、微細なミクロ吸盤をシート化した特殊フィルムであって、その吸着性を利用して、平滑面に対応した貼って剥がせるインクジェットプリンター用メディアとして、ダイヤミック株式会社が「ダイヤフィット」という商品名で販売している。
このミクロ吸盤メディアである商品名「ダイヤフィット」は、坪料165g/m2〜320g/m2、厚み220μm〜580μmの範囲で、各種用途に応じた種類がある。
実施例6では、坪料200g/m2、厚み345μmの「ダイヤフィット」を使用する。
実施例6は、再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8として前記「ダイヤフィット」を使用して、その表面に、任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷し、実施例1から実施例5の無機ELパネル1の表面に、その貼って剥がせる吸着性を利用して、貼り付けて使用するものである。
【0017】
実施例1の無機ELパネル1の表面に、任意の模様を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けた例を図8に示す。
実施例2の携帯用無機ELパネル1の表面に、ポートレート写真を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けた例を図9に示す。
実施例3、実施例4および実施例5のキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付けた無機ELパネル1の表面に、広告等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けたた例を図10に示す。
これらの具体例においては、無機ELパネル1の輝度が高いので、その上に貼り付けた透明プラスチックフィルムに印刷等が有っても、それを透過した光で、紙幣の透かしを十分に確認することができる。
また、任意の模様、図柄、文字、写真等設けた再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムを複数枚用意しておき、張り替えて使用することもできる。
実施例5は、この再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムを張り替えて使用することができるので、使用者の選択肢が広がり、利用性が高くなる。
【実施例7】
【0018】
実施例7は、実施例1の無機ELパネル1(図3)、或いは、実施例6の再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8に「毎度ありがとうございます。」等の印刷を施し、実施例1の無機ELパネル1の表面にその吸着性を利用して貼り付けた無機ELパネル1(図8参照)を使用し、これらをタクシー車内に取り付ける例である。
前記の無機ELパネル1をタクシー車内の現金受渡部に取り付ける場所、手段は任意であるが、実施例7では、無機ELパネル1の裏面に両面テープを貼り付け(図示せず。)、タクシー車内のセンターコンソールボックスに固定する(図示せず。)ものである。
また、電源部は、シガーライターソケットや車内電源部から直接取ることができる。
その際は、インバータ4に設けたスイッチ(図示せず。)により、点灯・消灯させることことができる。
或いは、室内灯の電源部に直接接続して、室内灯と連動して点灯・消灯させることこともできる。この場合は、タクシーに乗る時に「毎度ありがとうございます。」と表示され、目的地に着いて、ドアーが開いた時にも「毎度ありがとうございます。」と表示されるので、乗客に好印象を与えることができる。
そして、料金の受け渡しの際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認するものである。
実施例7は、余計な構成部品を必要とせずに、タクシー車内の任意の場所に取り付けることができるという効果の他に、再剥離可能な透明プラスチックフィルム8の印刷効果を有効に利用できるので非常に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のエレクトロルミネッセンスパネル1は、約0.5mm以下と薄型である上に、全面発光であるので、拡散板等の余計な構成部品を必要としない。
特に、無機ELパネル1は、輝度が高く、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能であるために、利用の範囲が広がり、非常に有用である。
本発明の携帯用無機ELパネル1は、いつでも、どこでも、誰でも、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能になる。
また、本発明の無機ELパネル1は、既存のキャッシュレジスターに簡単に取り付けることができるので、偽造紙幣識別用装置を組み込んだ新しいキャッシュレジスターを購入する必要がなく、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能になり、非常に有用である。
なお、偽造紙幣識別用装置を組み込んだ新しいキャッシュレジスターを製造する場合でも、本発明の携帯用無機ELパネル1なら簡単に組み込むことができて有用である。
さらに、使用者が任意の模様、図柄、文字、写真等を再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムに設けることができるので、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能になる上に、その透明プラスチックフィルムを使用することにより、使用者の使い勝手が良くなる。
その上、前記の任意の模様、図柄、文字、写真等を設けた再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムを貼り付けた無機ELパネル1は、タクシー車内にも簡単に取り付けることができるので、偽造紙幣に対するタクシー運転手の不安を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】エレクトロルミネッセンスパネル1の積層構造を示す模式図である。
【図2】無機EL素子2の構成を示す概略図である。
【図3】エレクトロルミネッセンスパネル(無機ELパネル)1の全体を示す外観図である。
【図4】携帯用無機ELパネル1の全体を示す外観図である。
【図5】無機ELパネル1をキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付ける例を示す概略図である。
【図6】無機ELパネル1をキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付け、インバータ4をキャッシュレジスター内に組み込んだ例を示す概略図である。
【図7】無機ELパネル1をキャッシュレジスターの紙幣載置台に組み込む例を示す概略図である。
【図8】無機ELパネル1の表面に任意の模様を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付け例を示す外観図である。
【図9】携帯用無機ELパネル1の表面にポートレート写真を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付け例を示す外観図である。
【図10】キャッシュレジスターの紙幣載置台に固定した無機ELパネル1の表面に広告等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けた例を示す外観図である。
【図11】従来例1のキャッシュトレー型紙幣の透かし確認機を示す模式図である。
【図12】従来例2の発光ダイオードを利用した紙幣類簡易鑑定器を示す外観図である。
【図13】従来例3の透かし存在確認用照明装置付きキャッシュレジスターを示す説明図である。
【図14】従来例4のキャッシュレジスターの紙幣載置台に形成した偽造紙幣識別用装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 エレクトロルミネッセンスパネル、無機ELパネル
2 エレクトロルミネッセンス素子、無機EL素子
3 電源コネクタ
4 インバータ
5 極薄鉄板
6 ラミネートシート
7 インバータ電源ボックス
8 任意の模様、図柄、文字、写真等設けた再剥離可能な透明プラスチックフィルム
9 窓開き表面板
10 背面板
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣の透かし確認用エレクトロルミネッセンスパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の偽造紙幣識別用装置は、金融機関等に設置された高速、高精度、高価な専用機がある。
これに対して、紙幣の透かし確認用の簡易な装置も提案されている。
例えば、キャッシュトレーを箱型とし、箱の底に照明装置を設けて、キャッシュレジスターに組み込み、底から照明をあてることにより、紙幣の透かし部分を確認するもの(従来例1、図11)、複数個の発光ダイオードと、この発光ダイオードの光を紙幣類の表面に反射させる複数枚の反射板と、反射光を受光する受光板とで構成された発光ダイオード照明装置と、紙幣類の特徴を記したマスタープレートと、このマスタープレートを保持するプレートホルダーとを具備した携行型の紙幣類簡易鑑定器(従来例2、図12)、或いは、可視光源による照明装置をタクシー車内に設けて、紙幣をこの照明装置上に展示して、透かしの存在を確認する(従来例3)等が提案されている。
また、透かしの存在確認用の照明装置をキャッシュレジスターに最初から設置することも提案されている。
例えば、通常の可視光源による照明装置を、キャッシュレジスター本体、及び外表部、及び本体と分離した場所で且つ本体に近接した部位とのうち、少なくとも一個所以上に設置し、照明装置に紙幣等を展開して透かしの存在を確認するもの(従来例4、図13)、金銭載置台と、前記金銭載置台の紙幣載置面に配置された光透過性を有する透過板と、前記透過板の下方に配置された光源と、を具備する偽造紙幣識別用装置(従来例5、図14)等が提案されている。
しかし、これらの従来例は、いずれも、点光源、または線光源であって、拡散板等がないと全体の視野確認ができないという欠点があった。
また、装置として厚みがあるために、携帯用としては不便であり、キャッシュレジスターに設置するにも容易でなかった。
【特許文献1】特開2003−216998号公報(従来例1、図11)
【特許文献2】特開2001−325639号公報(従来例2、図12)
【特許文献3】特開2002−304655号公報(従来例3)
【特許文献4】特開2002−304670号公報(従来例4、図13)
【特許文献5】特開2003−99839号公報(従来例5、図14)
【0003】
一方、面光源として、エレクトロルミネッセンスが知られている。
エレクトロルミネッセンス素子には、有機エレクトロルミネッセンス素子と無機エレクトロルミネッセンス素子とがある。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という。)の発光機構は、外部から電子とホール(正孔)を注入し、それらの再結合エネルギーによって発光中心を励起し、発光させるものである。
有機EL素子は、陽極(ITOなどの透明電極)、正孔注入帯域(有機材料による正孔輸送層)、発光帯域(有機材料による発光層)、そして陰極(仕事関数の小さな金属電極)が積層されて構成されている。
有機EL素子は、直流電圧(5〜10V)で、ITO電極から正孔輸送層に向けて正孔が注入され、陰極からは発光層に向けて電子が注入され、発光層で電子と正孔が結合して光が放射される。
【特許文献5】特公昭64−7635号公報
【非特許文献1】2002年(平成14年)6月29日、社団法人・発明協会・発行、独立行政法人・工業所有権総合情報館・編集、「特許流通支援チャート 化学4 有機EL素子」(「 http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kagaku14/hajime.htm 有機EL素子 特許庁長官 近藤隆彦」参照。)
【0004】
また、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子という。)は、分散型と薄膜型に分類されるが、いずれも蛍光体中の電子が高電界下において加速されて発光中心に衝突し励起される。現在、実用化されている無機EL素子は交流で動作するものが多く、輝度は電圧と周波数に依存する。
発光層を形成する蛍光体としての代表的な材料は、金属をドープした硫化亜鉛(ZnS:Mn)であり、無機EL素子は、二重絶縁薄膜構造である。
すなわち、無機EL素子は、表面透明電極、発光層、絶縁層、背面電極、背面保護層とから構成されている。この無機EL素子は、交流電圧(100〜200V)で駆動する。
無機EL素子の概略図を図2に示す。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを使用した従来の用途例としては、糸状のエレクトロルミネッセンス発光体を織り込んだ真贋判定用シート(従来例6)や、図柄表示部がエレクトロルミネッセンスディスプレイから構成されている遊技機(従来例7)、所定の表示内容をエレクトロルミネッセンス素子から構成された発光表示部で発光して表示する告知板(従来例7)等が提案されている。
また、フィルム状に形成され、道路標識を表示するためのエレクトロルミネッセンス発光体と、前記発光体を被覆する薄膜の保護シートとを備え、平らな道路表面上に貼付されることを特徴とする道路標識表示装置(従来例8)も提案されている。
【特許文献6】特開2004−170837号公報(従来例6)
【特許文献7】特開2004−181143号公報(従来例7)
【特許文献8】特開2004−229986号公報(従来例8)
【0006】
前記したように、エレクトロルミネッセンスの用途があまり広がらないのは、従来の有機EL素子および無機EL素子ともに、その輝度が500ルックス程度と低いので、「ELは暗いから」と採用をためらっていたためである。
ところが、近年、ナノテクノロジーを利用して、輝度の高いエレクトロルミネッセンス素子、特に無機EL素子を低価格で製造することが可能になった。
【特許文献10】特開2004−259545号公報
【特許文献11】特開2004−259546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、エレクトロルミネッセンス素子からなる薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用して紙幣の透かしを簡単に確認する点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、紙幣の透かしを簡単に確認するためにエレクトロルミネッセンス素子からなる薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の紙幣の透かし確認用エレクトロルミネッセンスパネルは、薄型で軽量である上に、全面発光で明るく、低消費電力、低輻射、発熱無しであるために、携帯したり、既存のキャッシュレジスター等に簡単に取り付けられるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
紙幣の透かしを簡単に確認するという目的を、エレクトロルミネッセンス素子からなる薄型エレクトロルミネッセンスパネルを利用することで、拡散板等の余計な構成部品を必要とせずに実現した。
薄型エレクトロルミネッセンスパネルを構成するエレクトロルミネッセンス素子は、好適には無機EL素子である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明装置の1実施例として、薄型エレクトロルミネッセンスパネル1の積層構造を示す模式図である。
2は、エレクトロルミネッセンス素子であり、この実施例1では無機EL素子を使用している。この無機EL素子2は、マスコット・テクノロジー社(台湾、MASCOT TECHNOLOGY INC.)の製品を使用している。3は、無機EL素子2からの電源コネクタであり、電源からのインバータ4に接続される。インバータ4から無機EL素子2へ供給する電圧は、3.0Vから48Vに対応している。
5は、無機EL素子2と同じ大きさの極薄鉄板であり、無機EL素子の保護層であると同時に磁石による利用を可能とするものである。
6は、無機EL素子2および極薄鉄板5よりも、少し大きいラミネートシートである。
そして、無機EL素子2と極薄鉄板5とを重ね、その上下両面から、少し大きいラミネートシート6を重ねて、ラミネートシート6の周囲を固着して無機ELパネル1を形成するものである。
固着手段は、接着剤、熱溶着等任意であるが、この実施例1では熱溶着によっている。
こうして構成された無機ELパネル1の厚さは、約0.5mm弱である。
輝度は、1,000から2,000ルックスの範囲で任意に選べるが、この実施例1では、商用電源を使用し、インバータ4の設定により、1,200ルックスとしている。
無機ELパネル1の全体の外観図を図3に示す。
【実施例2】
【0012】
実施例2は、実施例1のインバータ4電源として、インバータ4と電池とを1つのボックスにまとめて、インバータ電源ボックス7としたものである。
インバータ電源ボックス7の裏面には、磁石シートを貼り付けている(図示せず。)。
電池は、乾電池、ボタン電池、充電式電池等任意であるが、この実施例2ではボタン電池を使用している。電圧は3Vである。
この実施例2では、無機ELパネル1が薄型である上に、インバータ電源ボックス7裏面の磁石シートにより、無機ELパネル1の裏面に取り付けることができてコンパクトになるので、紙幣の透かし確認用として携帯するのに非常に便利である。
この携帯用無機ELパネル1を図4に示す。
【実施例3】
【0013】
実施例3は、実施例1の無機ELパネル1を既存のキャッシュレジスターに取り付ける例である。
実施例1の無機ELパネル1をキャッシュレジスターに取り付ける場所、手段は任意であるが、実施例3では、無機ELパネル1の裏面に両面テープを貼り付け(図示せず。)、キャッシュレジスターの紙幣載置台に固定するものである。
また、電源部は、インバータ4に設けたスイッチ(図示せず。)により常時点灯させることや、接触感知スイッチを別途取付け(図示せず。)、キャッシュレジスターを開けた時にのみ点灯するようにすることもできる。
そして、現金受渡の際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認するものである。
実施例3は、既存のキャッシュレジスターに簡単に取り付けることができるという効果がある。
このキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付ける概略図を図5に示す。
【実施例4】
【0014】
実施例4は、実施例3の変更例であり、インバータ4をキャッシュレジスター内に組み込み、キャッシュレジスター内から電源を供給する例である。
この場合は、キャッシュレジスターを開けると無機ELパネル1が点灯する。
そして、現金受渡の際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認することは実施例3と同じである。
実施例4は、インバータ4やAC電源からのコードが外部に出ていないので、キャッシュレジスター周りがすっきりして、非常に有用である。
このインバータ4をキャッシュレジスター内に組み込む概略図を図6に示す。
【実施例5】
【0015】
実施例5は、実施例1の無機ELパネル1をキャッシュレジスターに始めから組み込む例である。
実施例1の無機ELパネル1は、その厚さが約0.5mm弱と非常に薄いので、キャッシュレジスターのどこにでも簡単に組み込むことができる。
実施例5では、キャッシュレジスターの紙幣載置台に組み込む例を示す。
キャッシュレジスターの紙幣載置台を構成する板材として、無機EL素子2の大きさの窓を開けた窓開き表面板9と、背面板10とで、無機ELパネル1を挟み込んで固定する。
又は、キャッシュレジスターの紙幣載置台の上に無機ELパネル1を載せ、その上面から無機EL素子2の大きさの窓を開けた窓開き表面板10で挟み込んで固定する。
固定する手段は、無機ELパネル1が非常に薄いので、接着、ネジ止め、スポット溶接等任意の手段が取れる。
そして、現金受渡の際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認することは実施例3と同じである。
実施例5は、新型キャッシュレジスターとして販売できるので、非常に有用である。
このキャッシュレジスターの紙幣載置台の位置に、無機ELパネル1を上下から挟み込んで固定する概略図(具体的な固定手段は図示せず。)を図7に示す。
或いは、前記の具体例の他に、無機ELパネル1の厚さが、約0.5mm弱と非常に薄いことを利用して、キャッシュレジスターの紙幣載置台に無機ELパネル1の大きさの凹部を形成して、そこに無機ELパネル1を接着剤等で貼り付けることも可能である。
【実施例6】
【0016】
従来の偽造紙幣識別用装置は、顧客の前で紙幣を照明に翳して偽造紙幣であるか否かを識別する作業を行うことになり、顧客に対して不快感を与えるおそれがあるが、本発明の無機ELパネル1は、例えば実施例3、実施例4、および実施例5において、キャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付けており、薄型であるので、偽造紙幣識別用装置としては目立たないものである。
実施例6は、無機ELパネル1を偽造紙幣識別用装置として、さらに目立たなくする改良例である。
そのために使用する素材として、接着剤を使用せずに、均一に貼り付けることができ、剥がした後も、繰り返し、貼り付けることができる透明プラスチックフィルム8が有る。
この再剥離可能な透明プラスチックフィルム8は、微細なミクロ吸盤をシート化した特殊フィルムであって、その吸着性を利用して、平滑面に対応した貼って剥がせるインクジェットプリンター用メディアとして、ダイヤミック株式会社が「ダイヤフィット」という商品名で販売している。
このミクロ吸盤メディアである商品名「ダイヤフィット」は、坪料165g/m2〜320g/m2、厚み220μm〜580μmの範囲で、各種用途に応じた種類がある。
実施例6では、坪料200g/m2、厚み345μmの「ダイヤフィット」を使用する。
実施例6は、再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8として前記「ダイヤフィット」を使用して、その表面に、任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷し、実施例1から実施例5の無機ELパネル1の表面に、その貼って剥がせる吸着性を利用して、貼り付けて使用するものである。
【0017】
実施例1の無機ELパネル1の表面に、任意の模様を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けた例を図8に示す。
実施例2の携帯用無機ELパネル1の表面に、ポートレート写真を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けた例を図9に示す。
実施例3、実施例4および実施例5のキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付けた無機ELパネル1の表面に、広告等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けたた例を図10に示す。
これらの具体例においては、無機ELパネル1の輝度が高いので、その上に貼り付けた透明プラスチックフィルムに印刷等が有っても、それを透過した光で、紙幣の透かしを十分に確認することができる。
また、任意の模様、図柄、文字、写真等設けた再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムを複数枚用意しておき、張り替えて使用することもできる。
実施例5は、この再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムを張り替えて使用することができるので、使用者の選択肢が広がり、利用性が高くなる。
【実施例7】
【0018】
実施例7は、実施例1の無機ELパネル1(図3)、或いは、実施例6の再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8に「毎度ありがとうございます。」等の印刷を施し、実施例1の無機ELパネル1の表面にその吸着性を利用して貼り付けた無機ELパネル1(図8参照)を使用し、これらをタクシー車内に取り付ける例である。
前記の無機ELパネル1をタクシー車内の現金受渡部に取り付ける場所、手段は任意であるが、実施例7では、無機ELパネル1の裏面に両面テープを貼り付け(図示せず。)、タクシー車内のセンターコンソールボックスに固定する(図示せず。)ものである。
また、電源部は、シガーライターソケットや車内電源部から直接取ることができる。
その際は、インバータ4に設けたスイッチ(図示せず。)により、点灯・消灯させることことができる。
或いは、室内灯の電源部に直接接続して、室内灯と連動して点灯・消灯させることこともできる。この場合は、タクシーに乗る時に「毎度ありがとうございます。」と表示され、目的地に着いて、ドアーが開いた時にも「毎度ありがとうございます。」と表示されるので、乗客に好印象を与えることができる。
そして、料金の受け渡しの際に、紙幣を無機ELパネル1の上に載せ、紙幣の上から磁石で固定して、紙幣の透かし部分を視認するものである。
実施例7は、余計な構成部品を必要とせずに、タクシー車内の任意の場所に取り付けることができるという効果の他に、再剥離可能な透明プラスチックフィルム8の印刷効果を有効に利用できるので非常に有用である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のエレクトロルミネッセンスパネル1は、約0.5mm以下と薄型である上に、全面発光であるので、拡散板等の余計な構成部品を必要としない。
特に、無機ELパネル1は、輝度が高く、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能であるために、利用の範囲が広がり、非常に有用である。
本発明の携帯用無機ELパネル1は、いつでも、どこでも、誰でも、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能になる。
また、本発明の無機ELパネル1は、既存のキャッシュレジスターに簡単に取り付けることができるので、偽造紙幣識別用装置を組み込んだ新しいキャッシュレジスターを購入する必要がなく、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能になり、非常に有用である。
なお、偽造紙幣識別用装置を組み込んだ新しいキャッシュレジスターを製造する場合でも、本発明の携帯用無機ELパネル1なら簡単に組み込むことができて有用である。
さらに、使用者が任意の模様、図柄、文字、写真等を再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムに設けることができるので、紙幣の透かしを簡単に確認することが可能になる上に、その透明プラスチックフィルムを使用することにより、使用者の使い勝手が良くなる。
その上、前記の任意の模様、図柄、文字、写真等を設けた再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムを貼り付けた無機ELパネル1は、タクシー車内にも簡単に取り付けることができるので、偽造紙幣に対するタクシー運転手の不安を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】エレクトロルミネッセンスパネル1の積層構造を示す模式図である。
【図2】無機EL素子2の構成を示す概略図である。
【図3】エレクトロルミネッセンスパネル(無機ELパネル)1の全体を示す外観図である。
【図4】携帯用無機ELパネル1の全体を示す外観図である。
【図5】無機ELパネル1をキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付ける例を示す概略図である。
【図6】無機ELパネル1をキャッシュレジスターの紙幣載置台に取り付け、インバータ4をキャッシュレジスター内に組み込んだ例を示す概略図である。
【図7】無機ELパネル1をキャッシュレジスターの紙幣載置台に組み込む例を示す概略図である。
【図8】無機ELパネル1の表面に任意の模様を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付け例を示す外観図である。
【図9】携帯用無機ELパネル1の表面にポートレート写真を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付け例を示す外観図である。
【図10】キャッシュレジスターの紙幣載置台に固定した無機ELパネル1の表面に広告等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルム8を貼り付けた例を示す外観図である。
【図11】従来例1のキャッシュトレー型紙幣の透かし確認機を示す模式図である。
【図12】従来例2の発光ダイオードを利用した紙幣類簡易鑑定器を示す外観図である。
【図13】従来例3の透かし存在確認用照明装置付きキャッシュレジスターを示す説明図である。
【図14】従来例4のキャッシュレジスターの紙幣載置台に形成した偽造紙幣識別用装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 エレクトロルミネッセンスパネル、無機ELパネル
2 エレクトロルミネッセンス素子、無機EL素子
3 電源コネクタ
4 インバータ
5 極薄鉄板
6 ラミネートシート
7 インバータ電源ボックス
8 任意の模様、図柄、文字、写真等設けた再剥離可能な透明プラスチックフィルム
9 窓開き表面板
10 背面板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセンス素子と、その裏面に同じ大きさの極薄鉄板と、それらの上下両面にそれよりも少し大きいラミネートシートとを設け、その上下両面のラミネートシートの周囲を固着した薄型エレクトロルミネッセンスパネルと、エレクトロルミネッセンスパネルからの電源コードとからなることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項2】
紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセンス素子と、その裏面に同じ大きさの極薄鉄板と、それらの上下両面にそれよりも少し大きいラミネートシートとを設け、その上下両面のラミネートシートの周囲を固着した薄型エレクトロルミネッセンスパネルと、エレクトロルミネッセンスパネルの表面に設けた任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムと、エレクトロルミネッセンスパネルからの電源コードとからなることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載された薄型エレクトロルミネッセンスパネルからなる紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置において、紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセンス素子が無機エレクトロルミネッセンス(以下、無機ELという。)素子であり、該無機EL素子からなる薄型無機ELパネルと、薄型無機ELパネルからの電源コードと、インバータ電源とからなることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項4】
請求項3記載のインバータ電源が電池を使用した電池ボックスからなり、電池ボックス裏面に磁石シートを貼り付け、薄型無機ELスパネルの裏面に磁力により着脱自在に装着することにより携帯用とすることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項5】
請求項3記載の薄型無機ELパネル、或いは、任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムをその吸着性を利用して表面に貼り付けた薄型無機ELパネルをキャッシュレジスターに取り付けて固定することを特徴とし、その上に紙幣を載せて磁石で固定して紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項6】
請求項3記載の薄型無機ELパネル、或いは、任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムをその吸着性を利用して表面に貼り付けた薄型無機ELパネルをタクシー車内の現金受渡部に取り付けて固定し、インバータ電源は車内電源部から供給することを特徴とし、その上に紙幣を載せ、磁石で固定して紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項1】
紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセンス素子と、その裏面に同じ大きさの極薄鉄板と、それらの上下両面にそれよりも少し大きいラミネートシートとを設け、その上下両面のラミネートシートの周囲を固着した薄型エレクトロルミネッセンスパネルと、エレクトロルミネッセンスパネルからの電源コードとからなることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項2】
紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセンス素子と、その裏面に同じ大きさの極薄鉄板と、それらの上下両面にそれよりも少し大きいラミネートシートとを設け、その上下両面のラミネートシートの周囲を固着した薄型エレクトロルミネッセンスパネルと、エレクトロルミネッセンスパネルの表面に設けた任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムと、エレクトロルミネッセンスパネルからの電源コードとからなることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載された薄型エレクトロルミネッセンスパネルからなる紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置において、紙幣を載置できる大きさのエレクトロルミネッセンス素子が無機エレクトロルミネッセンス(以下、無機ELという。)素子であり、該無機EL素子からなる薄型無機ELパネルと、薄型無機ELパネルからの電源コードと、インバータ電源とからなることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項4】
請求項3記載のインバータ電源が電池を使用した電池ボックスからなり、電池ボックス裏面に磁石シートを貼り付け、薄型無機ELスパネルの裏面に磁力により着脱自在に装着することにより携帯用とすることを特徴とする紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項5】
請求項3記載の薄型無機ELパネル、或いは、任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムをその吸着性を利用して表面に貼り付けた薄型無機ELパネルをキャッシュレジスターに取り付けて固定することを特徴とし、その上に紙幣を載せて磁石で固定して紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【請求項6】
請求項3記載の薄型無機ELパネル、或いは、任意の模様、図柄、文字、写真等を印刷した再剥離可能な吸着性を有する透明プラスチックフィルムをその吸着性を利用して表面に貼り付けた薄型無機ELパネルをタクシー車内の現金受渡部に取り付けて固定し、インバータ電源は車内電源部から供給することを特徴とし、その上に紙幣を載せ、磁石で固定して紙幣の透かし模様の有無を視認して識別する装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−227884(P2006−227884A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40575(P2005−40575)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(305003829)株式会社シスマック (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(305003829)株式会社シスマック (1)
【Fターム(参考)】
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