説明

紙幣一括払出し装置

【課題】従来、紙幣収納部から1枚ずつ紙幣を搬送し一括払い出し保留部へ積み重ね、搬送過程で紙幣の重なりが検出されれば重なった紙幣が一括払い出し保留部に達するのを待って一括払い出し保留部に蓄積した紙幣をリジェクト保留部へ送り込み、再び同じ手順で新たに所定枚数の紙幣を一括払い出し保留部に蓄積する。このため一括払い出し保留部にリジェクト保留部を設けたリジェクト機構が必要となり、紙幣の払出し機構が大型化する。本発明はリジェクト機構を設けない紙幣の払出し機構にて小型化を達成する。
【解決手段】紙幣収納部の最表部の紙幣から1枚ずつ所定長さ(距離)繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成し、この紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込み、検出センサによる紙幣組の枚数が、所定枚数の場合は紙幣払出し部へ搬送し、所定枚数でない場合は紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣収納部へ積層された紙幣を1枚ずつ取り出して複数枚の積層紙幣組(紙幣セット)状態とし、これを一括して搬送装置によって紙幣払出し部へ搬送する紙幣の一括払出し装置に関する。また、この技術を採用して、挿入部から挿入され紙幣識別部で識別された紙幣を紙幣収納部へ積層状態に収納し、ここから複数紙幣を取り出して紙幣を束状態とし、これを紙幣払出し部へ一括搬送することにより、紙幣を再利用することができる紙幣一括払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機、券売機、両替機等に用いられる紙幣の払出し機構を備えた紙葉類処理装置において、挿入部から挿入された紙幣が紙幣識別部で識別された後、受入搬送路へ入り、高額紙幣は高額紙幣搬送路を通って上方の高額紙幣収納部へ収納され、低額紙幣は低額紙幣搬送路を通って下方の低額紙幣収納部へ収納される。ここで、釣り銭や両替等の払出し要求があった場合には、低額紙幣収納部へ収納された低額紙幣は、低額紙幣収納部の上方に設けた低額紙幣搬送ベルトによって、低額紙幣を1枚ずつ低額紙幣搬送路へ送り出し、低額紙幣搬送路から払い出し搬送路を通って、1枚ずつ一括払い出し保留部へ積み重ね蓄積されて行く。
【0003】
そして、一括払い出し保留部紙幣が所定枚数に達すると、低額紙幣搬送ベルトが停止し、一括払い出しベルトの走行によって、この紙幣を一括して一括払い出し保留部から紙幣払い出し口に送り出す。もし、低額紙幣収納部から一括払い出し保留部への搬送過程において、紙幣が重なって搬送されていることが識別センサにより識別されると、この重なった紙幣が一括払い出し保留部に達するのを待って、低額紙幣収納部からの紙幣の搬送を一旦停止し、一括払い出し保留部に積み重ね蓄積された紙幣を、リジェクトスタック板の作動によって、その下方のリジェクト保留部へ送り込む。このように動作する機構の紙葉類処理装置がある。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−185843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の機構では、低額紙幣収納部から1枚ずつ紙幣を搬送して一括払い出し保留部へ積み重ね蓄積し、搬送過程で紙幣が重なっていることが検出されたときは、この重なった紙幣が一括払い出し保留部に達するのを待って、一括払い出し保留部に蓄積された紙幣を、下方のリジェクト保留部へ送り込み、再び同じ手順で新たに所定枚数の紙幣を一括払い出し保留部に蓄積する動作を行なわせる。このため、少なくとも一括払い出し保留部の下方にリジェクト保留部を設け、一括払い出し保留部の紙幣をリジェクトスタック板の作動によってリジェクト保留部へ送り込むリジェクト機構が必要となり、紙幣の払出し機構が大型化し、紙葉類処理装置の小型化を図る上で問題である。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて、上記のような一括払い出し保留部の下方にリジェクト機構を設けるリジェクト構成を採用せず、異なるリジェクト構成を採ることによって、紙幣の払出し機構を小型化し、紙葉類処理装置の小型化を図ることができるようにするものである。
【0006】
このため、紙幣収納部に積層された紙幣を最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成し、これを一括して送り込み装置によって搬送装置へ送り込む。搬送装置には紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを設け、この検出センサによって、紙幣組(紙幣セット)が所定枚数の場合は、搬送装置の正方向駆動によって、この紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ搬送するが、紙幣組(紙幣セット)が所定枚数でないことが検出されたときは、搬送装置の逆方向駆動によって、この紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように作動する構成によって、紙幣の払出し機構を小型化する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の紙幣一括払出し装置は、長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をすることを特徴とする。
【0008】
第2発明の紙幣一括払出し装置は、長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記搬送装置で搬送中に前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をすることを特徴とする。
【0009】
第3発明の紙幣一括払出し装置は、長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記搬送装置へ送り込まれた紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように前記搬送装置と前記送り込み装置が収納方向作動することを特徴とする。
【0010】
第4発明の紙幣一括払出し装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記繰り出し作動装置は、回転によって前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出しローラで構成されたことを特徴とする。
【0011】
第5発明の紙幣一括払出し装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記繰り出し作動装置は、前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣の表面に当接し回転によって前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する円形外周面の繰り出しローラで構成され、前記繰り出しローラの外周面は、所定の繰り出し距離(長さ)に相当する外周長さ(1周の一部分または全体)の部分が紙幣を繰り出す摩擦係数の大きいゴム又は革の送り込み外周面18A1をなし、残りの部分が紙幣との間で滑りが生じる摩擦係数の小さい合成樹脂又は金属の滑り外周面をなし、前記繰り出しローラの回転によって前記繰り出し外周面によって紙幣を1枚ずつ所定距離繰り出すことを特徴とする。
【0012】
第6発明の紙幣一括払出し装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、前記繰り出し作動装置は、回転によって前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する非円形外周面の繰り出しローラで構成され、回転に伴いその長径部分によって紙幣を1枚ずつ所定距離に繰り出すことを特徴とする。
【0013】
第7発明の紙幣一括払出し装置は、第6発明において、前記繰り出しローラは、少なくとも前記長径部分の外周面が紙幣を繰り出す摩擦係数の大きいゴム又は革の繰り出し外周面をなすことを特徴とする。
【0014】
第8発明の紙幣一括払出し装置は、第1発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記送り込み装置は、前記繰り出し作動装置によって繰り出された前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を紙幣の厚み方向から挟持して回転する一対の送り込みローラで構成されたことを特徴とする。
【0015】
第9発明の紙幣一括払出し装置は、第8発明において、前記一対の送り込みローラは、前記繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは広い相互間隔の紙幣受け入れ状態にあり、前記搬送装置への送り込み時には前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となり、前記一対の送り込みローラの回転によって前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を前記搬送装置へ導入することを特徴とする。
【0016】
第10発明の紙幣一括払出し装置は、第8発明において、前記一対の送り込みローラの少なくとも一方の送り込みローラは非円形外周面をなし、前記繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは前記非円形外周面の短径部分が他方の送り込みローラに対峙して広い相互間隔の紙幣受け入れ状態となり、前記搬送装置への送り込み時には回転によって前記非円形外周面の長径部分が他方の送り込みローラに対峙して前記紙幣組(紙幣セット)を挟持する挟持状態となり、前記一対の送り込みローラの回転によって前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を前記搬送装置へ導入することを特徴とする。
【0017】
第11の発明の紙幣一括払出し装置は、第1発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記搬送装置は両側がローラに掛け渡された一対の無端ベルト間に紙幣を厚み方向から挟持して搬送する一対の搬送ベルトを備え、前記搬送装置と前記紙幣収納部との間には前記繰り出し作動装置によって繰り出される紙幣を受け入れる前記送り込み装置が配置され、前記送り込み装置は、前記搬送装置の一方の搬送ベルトに対して接近状態と離間状態とに作動する送り込みベルトを備え、前記送り込みベルトは、前記繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは前記離間状態にあり、前記搬送装置への送り込み時には前記接近状態となって前記一方の搬送ベルトと前記送り込みベルトとで前記紙幣組(紙幣セット)を挟持することを特徴とする。
【0018】
第12発明の紙幣一括払出し装置は、第4発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記紙幣収納部の入口開口部に対抗して前記繰り出しローラが配置され、前記積層された最表部の紙幣が前記繰り出しローラに当接するよう前記紙幣収納部に積層された紙幣を前記入口開口部に向けて付勢するバネを備え、前記紙幣収納部の最表部の紙幣が前記繰り出しローラに凸湾曲状態で当接するように、前記積層された紙幣の左右長辺側が押される固定の湾曲形成部材を前記紙幣収納部に設けたことを特徴とする。
【0019】
第13発明の紙幣一括払出し装置は、第4発明乃至第7発明のいずれかにおいて、前記紙幣収納部の入口開口部に対抗して前記繰り出しローラが配置され、前記積層された最表部の紙幣が前記繰り出しローラに当接するよう前記紙幣収納部に積層された紙幣を前記入口開口部に向けて付勢するバネを備え、前記紙幣収納部の入口開口部において、前記積層された紙幣の表部の複数枚を前記繰り出しローラに向けて凸湾曲状態とするよう紙幣の左右長辺側から押し作動する湾曲作動部材を設けたことを特徴とする。
【0020】
第14発明の紙幣一括払出し装置は、長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、一対のベルト間に紙幣を挟持して払い出し方向へ搬送する搬送装置と、前記紙幣収納部から積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して前記搬送装置の一対のベルト間に紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明では、釣り銭や両替等のために、収納装置に収納された積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ紙幣を繰り出す繰り出し装置は、所定長さ(距離)の繰り出しを行なうため、繰り出した紙幣は順次積層状態となって紙幣組(紙幣セット)を形成することができる。このため、紙幣組(紙幣セット)は紙幣収納部の傍で形成されるため、従来技術のように1枚ずつ一括払い出し保留部まで搬送することが不要となる。そして、一旦繰り出された紙幣が作る束は、送り込み装置によって一括して搬送装置へ送り込むことができ、搬送装置が安定した搬送を行なえるものとなる。また、紙幣組(紙幣セット)が所定枚数の場合は、搬送装置の払い出し方向作動によって紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払い出し部へ搬送するが、所定枚数でない場合は、搬送装置は紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をするため、従来のような一括払い出し保留部と、その下方にリジェクト機構を設けるリジェクト構成を採用する必要がなく、紙幣の払出し機構を小型化し、紙葉類処理装置の小型化を図ることができるものとなる。
【0022】
第2発明では、第1発明の効果に加えて、繰り出された紙幣組(紙幣セット)の紙幣が所定枚数であるかを搬送装置での搬送中に検出する方式であるため、搬送装置が上下一対のベルト間に紙幣組(紙幣セット)を挟持した搬送の場合のように、搬送中の紙幣組(紙幣セット)は紙幣の重なりが一定の押し圧を受けた状態となり、その状態で検出することとなるため、検出が安定するものとなる。
【0023】
第3発明では、第1発明の効果に加えて、所定枚数でない場合は、搬送装置と送り込み装置が収納方向作動することにより、紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻す動作が安定する。
【0024】
第4発明では、第1発明乃至第3発明の効果に加えて、繰り出しローラの回転によって、紙幣収納部に積層された最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出すため、簡単な構成となり、且つ繰り出し動作が安定するものとなる。
【0025】
第5発明では、第1発明乃至第3発明の効果に加えて、円形外周面の繰り出しローラの回転によって、その繰り出し外周面が紙幣を安定して繰り出すため、繰り出しが安定する。また、この繰り出しローラの回転によって繰り出すようにした場合は、1周の中に占める繰り出し外周面の長さが、所定の送り込み距離(長さ)に相当するため、繰り出し長さを定め易くなる。
【0026】
第6発明では、第1発明乃至第3発明の効果に加えて、非円形外周面の繰り出しローラとすることによって、回転に伴いその長径部分によって紙幣が繰り出されるため、1回転または2分の一回転毎に間歇繰り出しができ、繰り出し長さを定め易くなる。
【0027】
第7発明では、第6発明の効果に加えて、繰り出しが繰り出しローラの長径部分で行なわれるため、その外周面が紙幣を捉える摩擦係数の大きい繰り出し外周面をなすことにより、繰り出しが安定して行なえる。
【0028】
第8発明の紙幣識別装置は、第1発明乃至第7発明の効果に加えて、送り込み装置が一対の送り込みローラで構成されたことにより、繰り出し作動装置によって繰り出される紙幣組(紙幣セット)を挟持し、回転により搬送装置へ送り込むので、安定した送り込みができる。
【0029】
第9発明では、第8発明の効果に加えて、一対の送り込みローラは、繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは広い相互間隔の紙幣受け入れ状態となるため、繰り出し作動装置によって繰り出される紙幣組(紙幣セット)の受入が支障なく行なえる。また、紙幣組(紙幣セット)を搬送装置へ送り込むときは、紙幣組(紙幣セット)の先端部分を厚み方向から挟持した状態で行なうため、紙幣受け入れと送り込みを安定して行なえるものとなる。
【0030】
第10発明では、第8発明の効果に加えて、一対の送り込みローラの少なくとも一方の送り込みローラは非円形外周面をなすことにより、繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは、短径部分によって広い相互間隔の紙幣受け入れ状態となって、繰り出し作動装置によって繰り出される紙幣組(紙幣セット)の受入が支障なく行なえる。また、紙幣組(紙幣セット)を搬送装置へ送り込むときは、長径部分によって紙幣組(紙幣セット)を挟持するため、安定した送り込みが達成でき、紙幣受け入れ状態と送り込み状態を容易に形成できるものとなる。
【0031】
第11発明では、第1発明乃至第7発明の効果に加えて、送り込み装置が、搬送装置の一方の搬送ベルトに対して接近状態と離間状態とに作動する送り込みベルトによって構成することにより、繰り出し作動装置から紙幣が繰り出されるときは前記離間状態とし、搬送装置への送り込み時には接近状態とすることにより、紙幣組(紙幣セット)の受入が支障なく行なえると共に、搬送装置への送り込み時は、一方の搬送ベルトと送り込みベルトとで紙幣組(紙幣セット)を挟持するため、搬送装置への送り込みと搬送装置による払い出し方向への搬送が、スムースに行なえるものとなる。
【0032】
第12発明では、第4発明乃至第7発明の効果に加えて、紙幣収納部に設けた湾曲形成部材によって、最表部の紙幣が繰り出しローラに凸湾曲状態で当接するため、紙幣の繰り出しが、より安定した状態で行なえるものとなる。
【0033】
第13発明では、第4発明乃至第7発明の効果に加えて、紙幣収納部に積層された紙幣の表部の複数枚が、接近方向へ作動する左右の湾曲形成部材によって押し圧されて凸湾曲状態で繰り出しローラに当接するようになるため、紙幣の繰り出しが、より安定した状態で行なえるものとなる。また、紙幣の繰り出し時に、この凸湾曲状態を形成し、待機時は湾曲形成部材による押し圧を解除すれば通常の平坦状態に戻るため、紙幣が常に凸湾曲状態である場合に比して、繰り出しと収納を安定した状態で行なえるものとなる。
【0034】
第14発明では、釣り銭や両替等のために、収納装置に収納された積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ紙幣を繰り出す繰り出し装置は、所定長さ(距離)の繰り出しを行なうため、繰り出した紙幣は順次積層状態となって紙幣組(紙幣セット)を形成することができる。このため、紙幣組(紙幣セット)は紙幣収納部の傍で形成されるため、従来技術のように1枚ずつ一括払い出し保留部まで搬送することが不要となる。そして、繰り出した紙幣は、搬送装置の入口部へ直接挿入されて紙幣組(紙幣セット)を形成するため、紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置が不要である。そして、一旦繰り出された紙幣が作る束は、搬送装置で安定して搬送できる。また、紙幣組(紙幣セット)が所定枚数の場合は、搬送装置の払い出し方向作動によって紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払い出し部へ搬送するが、所定枚数でない場合は、搬送装置は紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をするため、従来のような一括払い出し保留部と、その下方にリジェクト機構を設けるリジェクト構成を採用する必要がなく、紙幣の払出し機構を小型化し、紙葉類処理装置の小型化を図ることができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の紙幣一括払出し装置は、長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記搬送装置の払い出し方向作動によって前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送し、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記搬送装置の収納方向作動によって前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように作動する構成であり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0036】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係る紙幣一括払出し装置を組み込んだ紙幣処理装置の内部構成の概略を示す側面図、図2は本発明に係る紙幣一括払出し装置と紙幣収納機構の関係を示す側面図、図3は本発明に係る搬送装置から搬送される紙幣と収納機構との関係を正面視で示す図、図4は本発明に係るスタック部材が紙幣収納動作の上昇途中の状態を示す図、図5は本発明に係るスタック部材が紙幣収納動作の最上部へ上昇した状態を示す図、図6は本発明に係る紙幣一括払出し装置の構成を説明する側面図、図7の(イ)(ロ)は繰り出しローラの二つの形態を示す断面図、図8は本発明に係る紙幣組(紙幣セット)の検出センサ部分の構成図、図9は検出センサの構成図、図10は制御ブロック図である。
【0037】
本発明の実施の形態を図に基づき説明する。本発明に係る紙幣一括払出し装置1は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機や、これら遊技機で使用するパチンコ玉やメダルの払い出し機や、自動販売機、券売機、または両替機等に用いられる紙幣処理装置2内に組み込まれて、釣り銭や両替用の紙幣の払出し動作を行なうものである。紙幣処理装置2は、図 に示すように、キャビネット3内に上側から高額紙幣収納部4、紙幣識別部5、紙幣払い出し搬送部6、低額紙幣収納部7が配置されている。
【0038】
紙幣処理装置2の前面には、紙幣識別部5へ長方形状の紙幣100を受け入れる紙幣受入口8と、紙幣払い出し搬送部6から送られる紙幣の払い出し部9が設けられている。紙幣100の長辺方向に沿った方向で(一方の短辺側を挿入して)紙幣受入口8へ受け入れた紙幣100は、紙幣識別部5の入口部のセンサ5Aで検出され、制御部80によって作動した紙幣識別部5内で真偽と種類が識別され、偽札は、制御部80の動作によって紙幣識別部5の逆転動作によって紙幣受入口8へ返却され、真正札は受け取られる。この真正札のうちの高額紙幣100B(実施例では、1万円札または5千円札)は、制御部80の動作によって共通搬送路10を通って切り替えゲート14Aによって上方へ指向する高額紙幣搬送路11に入り、高額紙幣収納部4へ収納される。また、紙幣識別部5で識別された真正札のうちの低額紙幣100A(実施例では、1000円札)は、制御部80の動作によって共通搬送路10を通って切り替えゲート14Aによって下方へ指向する低額紙幣搬送路12へ入り、次いで正逆可動式の搬送装置13によって搬送されて、低額紙幣収納部7へ収納される。
【0039】
高額紙幣収納部4は、高額紙幣搬送路11から搬送された高額紙幣100Bを高額紙幣収納ボックス4Bへ収納するために、後述の収納機構25と同様に、収納ボックス4Bの上面開口部の左右両側部に配置したスタック部材4Aの上下動によって収納する仕組みである。
【0040】
後述のように、低額紙幣収納部7の低額紙幣100Aは、外部または制御部80からの払い出し指令(釣り銭、両替等の払い出し指令)によって、繰り出し作動装置17が作動し、低額紙幣収納部7から送り出した所定枚数の低額紙幣100Aが繰り出されて紙幣組(紙幣セット)を形成し、この紙幣組(紙幣セット)を搬送装置13の逆転動作によって搬送し、この低額紙幣100Aの紙幣組(紙幣セット)が、バネ付勢によって図1に点線で示す位置にある通路切り替えゲート14を押し退けつつ紙幣払い出し搬送部6へ搬送され、紙幣払い出し搬送部6の駆動によって、紙幣の払い出し部9へ搬送される。
【0041】
紙幣払い出し搬送部6、共通搬送路10、高額紙幣搬送路11及び低額紙幣搬送路12は、それぞれ両端部がローラによって支持され(必要に応じて中間部もローラで支持される)、一方のローラが電動機装置によって所定速度で回転することにより、所定の搬送速度で回転する一対の無端ベルトで構成され、この一対の無端ベルト間に紙幣を挟持して搬送する周知の構成である。
【0042】
正逆可動式の搬送装置13は、それぞれ両端部がローラによって支持され(必要に応じて中間部もローラで支持される)、一方のローラが電動機装置によって所定速度で回転することにより、所定の搬送速度で回転する一対の無端ベルトで構成され、この一対の無端ベルト間に紙幣を挟持して搬送する周知の構成である。
【0043】
本発明の紙幣の一括払出し装置1について説明する。紙幣の一括払出し装置1は、長方形状の紙幣(ここでは低額紙幣100A)が積層状態に収納される紙幣収納部7と、前記積層状態の最表部の紙幣100Aから1枚ずつ繰り出して札束状(紐で束ねてはいないが積層された状態)に紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置17と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置13へ一括して送り込む送り込み装置18と、前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサ20を備え、この検出センサ20による検出が所定枚数の場合は搬送装置13の払い出し方向作動によって前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部9へ向けて搬送し、検出センサ20による検出が所定枚数でない場合は搬送装置13の収納方向作動によって前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部7へ戻すように作動する構成である。ここで、搬送装置13は、本発明の紙幣の一括払出し装置1の一部分としても差し支えない。
【0044】
正逆可動式の搬送装置13は、それぞれ両端部がローラ13A、13によって支持され(必要に応じて中間部もローラ13Cで支持される)、一方のローラ(例えば13A)が電動機装置19によって所定速度で回転することにより、所定の搬送速度で回転する一対の無端ベルト13Dで構成され、この一対の無端ベルト13D、13D間に紙幣を挟持して搬送する周知の構成である。
【0045】
更に、紙幣の一括払出し装置1を詳述することとする。紙幣収納部7は、長方形状の低額紙幣100Aを上面開口から順次積層状態に収納する矩形状の収納ボックス22と、紙幣識別部5で識別されて搬送装置13から送り込まれる低額紙幣100Aを収納ボックス22内へその上面開口から順次積層状態に収納する収納機構25を備えている。収納ボックス22内には、この収納ボックス22に収納された低額紙幣100Aを上面開口方向へ常時付勢するように、バネ23によって付勢された可動底板21を備えている、
【0046】
搬送装置13からは、低額紙幣100Aが短辺の一方を先頭にして長辺方向に沿った方向で搬送される。収納機構25は、収納ボックス22の上面開口部の左右両側にスタック部材26を備えている。低額紙幣100Aが搬送装置13から送り込まれるとき、スタック部材26は、図3に示すAの位置にあり、搬送装置13から送り込まれる低額紙幣100Aは、その左右の長辺部がスタック部材26の上面をスライドして収納ボックス22の上面開口部に案内される。このため、スタック部材26は、紙幣ガイドの役目をする。支え板28は、左右のスタック部材26間に位置していて、紙幣100Aの上方移動を制限するものである。
【0047】
収納ボックス22内に低額紙幣100Aが積層されている場合、スタック部材26がAの位置にあるとき、収納ボックス22内の低額紙幣100Aは、バネ23によって付勢された可動底板21によって上方へ付勢されて、積層されている低額紙幣100Aの最表部(最上部)の低額紙幣100Aは、その左右の長辺部がスタック部材26に当接した拘束状態である。
【0048】
このように、Aの位置にあるスタック部材26上に搬送装置13から低額紙幣100Aが搬送された状態で、スタック部材26は、制御部80の動作によって、電動機構27によって図3、図4に示すBの位置へ向けて上昇し、スタック部材26上の低額紙幣100Aは、紙幣収納部7の収納ボックス22の上面開口の一端側上部に配置された繰り出し作動装置17の繰り出しローラ17Aに当接(繰り出しローラ17Aよりも支え板28が下方位置の場合は支え板28に当接)して上昇が阻止される。これと共にスタック部材26は、スタック部材26上の低額紙幣100Aの左右の長辺端部を上方へ押し退けつつ上昇する。また、これに伴って、収納ボックス22内に積層された低額紙幣100Aは、スタック部材26による拘束が解除されるため、バネ23によって付勢された可動底板21によって上方へ付勢されて上昇し、積層された低額紙幣100Aの最表部(最上部)の低額紙幣100Aは、繰り出しローラ17Aに当接(または支え板28に当接)している低額紙幣100Aの下側に当接する状態となる。この状態を図4に示す。
【0049】
電動機構27は、電動機27Aとそれによって回転する複数の歯車機構27Bと、駆動歯車27B1の回転によって支点27Dを中心として上下往復動する駆動アーム27Cを備え、駆動アーム27Cの上下往復動によってスタック部材26が上下動する仕組みである。
【0050】
実施例の構成では、スタック部材26の上下動作によって、搬送装置13から送り込まれる低額紙幣100Aを収納ボックス22内に収納する構成であるため、搬送装置13から送り込まれる低額紙幣100Aが、スタック部材26上をスライドして導入されるとき、繰り出しローラ17Aに当接しないように、繰り出しローラ17Aが、スタック部材26よりも若干上位置にある構成としている。また、他の構成として、搬送装置13から送り込まれる低額紙幣100Aの収納の際には、邪魔にならないように、繰り出しローラ17Aがスタック部材26よりもかなり上方位置へ移動し、紙幣の繰り出し動作時は、所定位置へ下降する構成でもよい。
【0051】
この状態からスタック部材26が更に上昇して、図5に示すCの位置へ上昇するとき、スタック部材26上にあった低額紙幣100Aの左右の長辺端部は、スタック部材26による拘束から外れ、低額紙幣100Aが有する腰の強さによる復帰作用によって平坦方向へ復帰する。
【0052】
この状態で、外部または制御部80からの払い出し指令が無い場合は、スタック部材26は、電動機構27によって順次、図3、図4に示すB位置からA位置へと順次下降し復帰する。この復帰動作によって、繰り出しローラ17Aに当接していた低額紙幣100Aは、その左右の長辺端部がスタック部材26によって下方へ押されるため、積層された低額紙幣100A全体が、バネ23に抗して可動底板21と共に下降し、スタック部材26が所定の待機位置であるA位置へ下降復帰した状態で、収納ボックス22内に低額紙幣100A全体が保持された状態となる。
【0053】
また、スタック部材26が図5に示すCの位置へ上昇した状態で、外部または制御部80から払い出し指令があった場合は、収納ボックス22内に積層された低額紙幣100Aの最表部(最上部)のものから順次、外部または制御部80からの払い出し指令に基づく枚数を払い出す動作を行なう。
【0054】
なお、スタック部材26がA位置へ下降復帰した保持状態において、紙幣識別部5で識別された高額紙幣100Bは、共通搬送路10と高額紙幣搬送路11を通って、高額紙幣収納部4へ収納されるが、このとき、外部または制御部80によって払い出し指令がでれば、上記のように、Aの位置にあるスタック部材26は、電動機構27によって順次図3〜図5に示すBの位置、Cの位置へ上昇し、最表部(最上部)の低額紙幣100Aは、収納ボックス22上方に配置した繰り出しローラ17Aに当接して保持される。この状態で、外部または制御部80から払い出し指令があった場合は、収納ボックス22内に積層された低額紙幣100Aの最表部(最上部)のものから順次、外部または制御部80からの払い出し指令に基づく枚数を払い出す動作を行なう。
以下、この払い出し動作及びその構成を説明する。
【0055】
スタック部材26が図5に示すCの位置へ上昇した状態では、収納ボックス22の最表部(最上部)の低額紙幣100Aは、収納ボックス22上方に配置した繰り出しローラ17Aに当接して保持される。また、上記のようにAの位置にスタック部材26がある状態において、外部または制御部80から払い出し指令があった場合は、電動機構27によって順次図3〜図5に示すBの位置、Cの位置へ上昇し、最表部(最上部)の低額紙幣100Aは、収納ボックス22上方に配置した繰り出しローラ17Aに当接して保持される。
【0056】
このような状態で、制御部80によって、繰り出し作動装置17が作動する。繰り出し作動装置17は、紙幣収納部7の収納ボックス22に積層された最表部の紙幣100Aの表面に当接した状態での回転によって、紙幣収納部7に積層された最表部(最上部)の紙幣100Aを1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成するように作動するものであり、繰り出しローラ17Aの回転によって、それが達成される構成である。
【0057】
この繰り出しローラ17Aは、合成樹脂又は金属製であり、1つの形状として、図6、図9、図10に示すように、円形外周面のローラで構成され、また、他の形状として、非円形外周面のローラで構成される。非円形外周面のローラは、図7の(イ)に示すように、円形の向かい合う円弧部を残して並行二辺で直線状にカットされた長円形状に形成されたもの、または図7の(ロ)に示す楕円形状に形成されたものである。
【0058】
紙幣100Aの良好な繰り出しを行なうために、繰り出しローラ17Aの外周面には、紙幣100Aを繰り出す摩擦係数の大きいゴム又は革の繰り出し外周面17A1を構成している。実施例では、円形外周面のローラ17Aの場合は、所定の繰り出し距離(長さ)に相当する外周長さ(1周の一部分または全体)の部分がゴム又は革の繰り出し外周面17A1を形成しており、残りの外周面は合成樹脂又は金属製であるため、紙幣100Aとの摩擦計数は小さく滑り易い状態である。
【0059】
また、図7に示すような長円形状外周面のローラ17Aの場合は、長円形状外周面の長径対応部分が、所定の繰り出し距離(長さ)に相当する長さでゴム又は革の繰り出し外周面17A1を形成している。更に、楕円形状外周面のローラ17Aの場合は、長径対応外周面の部分が、所定の繰り出し距離(長さ)に相当する長さでゴム又は革の繰り出し外周面17A1を形成している。
【0060】
繰り出し長さ(距離)は、繰り出しローラ17Aの回転角度や回転回数によって定まるようにしてもよいが、繰り出した後に繰り出しローラ17Aから紙幣100Aが離れるようにした方が、後述のように、繰り出された紙幣100Aが搬送装置へ一括して送り込まれる際に、繰り出しローラ17Aの影響を受けないため、動抵抗が少なくなる。このため、繰り出しローラ17Aが回転することによって、紙幣収納部7の収納ボックス22に積層された紙幣100Aの後端部(繰り出し後端部)が繰り出しローラ17Aから外れる位置まで繰り出されるようにしている。
【0061】
即ち、繰り出しローラ17Aが回転することにより、繰り出し外周面17A1によって最表部(最上部)の紙幣100Aが1枚ずつ繰り出されて、紙幣100Aの後端部(繰り出し後端部)が繰り出しローラ17Aから外れたとき(繰り出しローラ17Aによる繰り出しが終わったとき)、所定の長さ(距離)の繰り出しが終了する。
【0062】
この場合、繰り出しローラ17Aが1回転または数回転することにより、所定の長さ(距離)の繰り出しが終了するようにできるが、実施例では、円形外周面のローラの場合は、繰り出しローラ17Aの1回転によって、紙幣収納部7の収納ボックス22に積層された紙幣100Aの後端部(繰り出し後端部)が繰り出しローラ17Aから外れるように配置している。この場合、繰り出しローラ17Aの外周面が全周に渡り繰り出し外周面17A1を形成してもよく、また、一部分が繰り出し外周面17A1を形成する形態のいずれでもよい。いずれにしても、繰り出し外周面17A1の周面長さが、繰り出し長さ(距離)となる。
【0063】
また、長円形状外周面のローラ17Aの場合、及び楕円形状外周面のローラ17Aの場合は、2分の1回転毎に繰り出し外周面17A1が最表部(最上部)の紙幣100Aを繰り出すこととなる。このため、2分の1回転によって、紙幣100Aの後端部(繰り出し後端部)が繰り出しローラ17Aから外れて、所定の繰り出し長さ(距離)となるように配置してもよく、また、1回転によって、紙幣100Aの後端部(繰り出し後端部)が繰り出しローラ17Aから外れて、所定の繰り出し長さ(距離)となるように配置してもよい。
【0064】
このようにして、所定の繰り出し長さ(距離)に繰り出される紙幣100Aは、繰り出し毎に先に繰り出された紙幣100Aの下側へ入り込む関係によって紙幣組(紙幣セット)100Pが形成される。外部または制御部80からの払い出し指令が、例えば5枚の払い出し指令であった場合は、5枚の紙幣100Aの紙幣組(紙幣セット)100Pとなる。この紙幣組(紙幣セット)100Pは、送り込み装置 に対応した位置(入り込んだ位置)に形成される。送り込み装置18は、紙幣組(紙幣セット)100Pを厚さ方向から挟持して搬送装置13へ一括して送り込む作用をする。
【0065】
送り込み装置18は、繰り出し作動装置17によって繰り出された紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を紙幣の厚み方向から挟持して回転する一対の送り込みローラ18A、18Aで構成されている。一対の送り込みローラ18A、18Aは、繰り出し作動装置17によって紙幣100Aが繰り出されるときは、広い相互間隔T1の紙幣受け入れ状態にあり、そして、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込む送り込み時には、この広い相互間隔T1を狭めて紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となり、回転によって紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を搬送装置13へ導入するように動作する。
【0066】
このため、1つの構成として、一対の送り込みローラ18A、18Aは、円形ローラで構成し、前記紙幣受け入れ状態では、一方または双方が移動して広い相互間隔T1を保ち、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込む送り込み時には、この広い相互間隔T1を狭めるように移動して、紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となり、回転によって紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を搬送装置13へ送り込むように動作する。この場合、双方のローラ18A、18Aが、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込み方向へ駆動される方式と、一方のローラ18Aが駆動され、非駆動側の他方のローラ18Aが紙幣組(紙幣セット)100Pの送り込みに従って単に回転する方式のいずれでもよい。
【0067】
また、他の構成として、一対の送り込みローラ18A、18Aは、少なくとも一方の送り込みローラ18Aが、非円形外周面のローラで構成され、繰り出し作動装置17によって紙幣100Aが繰り出されるときは、広い相互間隔T1の紙幣受け入れ状態になるように、短径部分が他方のローラ18Aに対峙した位置となり、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込む送り込み時には、長径部分が他方の送り込みローラに対峙して、この広い相互間隔T1が狭められて、紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となり、回転によって紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を搬送装置13へ導入するように動作する。この場合、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込み方向へ駆動される方式と、一方のローラ18Aが駆動され、非駆動側の他方のローラ18Aが紙幣組(紙幣セット)100Pの送り込みに従って単に回転する方式のいずれでもよい。
【0068】
この他の構成の場合の非円形外周面のローラの形状としては、図7の(イ)に示す長円形状、または図7の(ロ)に示す楕円形状と同様な形状がある。双方のローラ18A、18Aが、このような長円形状または楕円形状と同様な形状の場合は、繰り出し作動装置17によって紙幣100Aが繰り出されるときは、互いに短径部分が対峙して広い相互間隔T1の紙幣受け入れ状態となり、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込む送り込み時には、互いに長径部分が対峙して、この広い相互間隔T1が狭められて、紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となる。また、ローラ18A、18Aの一方が円形外周面をなし、他方が図7の(イ)に示す長円形状と同様の形状、または図7の(ロ)に示す楕円形状と同様な形状の場合は、繰り出し作動装置17によって紙幣100Aが繰り出されるときは、円形外周面ローラ18Aに対して、非円形のローラ18Aの短径部分が対峙して広い相互間隔T1の紙幣受け入れ状態となり、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込む送り込み時には、非円形のローラ18Aの長径部分が対峙して、この広い相互間隔T1が狭められて、紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となる。
【0069】
なお、上記のいずれの構成においても、一対の送り込みローラ18A、18Aによって紙幣組(紙幣セット)100Pを挟持するときの挟持圧力の調節として、少なくとも一方のローラ18Aが、バネ29によって他方のローラ18Aに向かって付勢された構成とすることによって、挟持圧力が過剰の状態をこのバネ29によって吸収して、適度の挟持圧を維持して安定した送り込み動作が得られるようにできる。
【0070】
紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ良好に送り込むために、少なくとも駆動側の送り込みローラ18A及び/または18Aの外周面には、紙幣100Aとの摩擦係数の大きいゴム又は革の送り込み外周面18A1を形成している。実施例では、円形外周面のローラ18Aの場合は、所定の送り込み距離(長さ)に相当する外周長さ(1周の一部分または全体)の部分が、ゴム又は革の送り込み外周面18A1を形成しており、残りの外周面は合成樹脂又は金属製であるため、紙幣100Aとの摩擦計数は小さく滑り易い状態である。また、長円形状外周面のローラ18Aの場合は、長円形状外周面の部分が、所定の送り出し距離(長さ)に相当する長さでゴム又は革の送り込み外周面18A1を形成し、楕円形状外周面のローラ18Aの場合は、長径対応外周面の部分が、所定の送り出し距離(長さ)に相当する長さでゴム又は革の送り込み外周面18A1を形成している。
【0071】
また、紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ良好に送り込むための送り込み長さ(距離)は、送り込みローラ18Aの回転角度や回転回数によって定まるようにしてもよいが、実施例では、送り込み動作は駆動側の送り込みローラ18Aの1回転で行なうようにしている。このため、送り込み外周面18A1を形成した場合、送り込み外周面18A1の周回長さ(1周方向の長さ)によって、その送り込み長さ(距離)が決まることとなる。
【0072】
送り込み装置18によって搬送装置13へ送り込まれる紙幣組(紙幣セット)100Pが、搬送装置13の一対のベルト13D間に良好に挿入されるようにするために、図6に示すように、少なくとも一方のベルト13Dを支持するローラ13Aが、バネ30によって他方のベルト13Dを支持するローラ13Aに向かって付勢された構成とすることによって、搬送装置13へ送り込まれる紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分が、一対のベルト13D間に挿入され易くなる。また、他の方式として、送り込み装置18による紙幣組(紙幣セット)100Pの送り込み時は、図6の上部側のベルト13Dを支持するローラ13Aが、下部側のベルト13Dを支持するローラ13Aから上方へ離れた位置で待機し、送り込み装置18による紙幣組(紙幣セット)100Pの送り込み終了時に、その上部側のベルト13Dを支持するローラ13Aが下降して、上部側のベルト13Dと下部側のベルト13Dとの間で紙幣組(紙幣セット)100Pの挿入端部を挟持する構成とすることができる。いずれの場合も上下一対のベルト13D間に紙幣組(紙幣セット)100Pを挟持した状態で、搬送装置13の払い出し方向作動によって、紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣払出し部9へ向けて搬送する。
【0073】
本発明では、紙幣組(紙幣セット)100Pが所定の払い出し枚数であるか否かを検出する検出センサ20を備えている。この検出は、繰り出し作動装置17によって繰り出される度に、紙幣組(紙幣セット)100Pの枚数をカウントするカウント方式か、繰り出し作動装置17によって繰り出された紙幣組(紙幣セット)100Pの枚数を、送り込み装置18に配置した検出センサ20によって検出する構成でもよいが、図示の実施例では、搬送装置13へ送り込まれた紙幣組(紙幣セット)100Pの紙幣枚数が、所定の払い出し枚数であるか否かを、搬送装置13に配置した検出センサ20によって検出する構成としている。これによって、繰り出された紙幣組(紙幣セット)100Pの紙幣100Aが、所定枚数であるかを搬送装置13での搬送中に検出するため、即ち、上下一対のベルト13D間に紙幣組(紙幣セット)100Pを挟持した状態で検出するため、紙幣組(紙幣セット)100Pの紙幣100Aの重なりが一定の押し圧状態で検出できることとなり、検出が安定することとなる。
【0074】
検出センサ20は、紙幣組(紙幣セット)100Pが搬送装置13によって払い出し方向へ移動する間に、紙幣組(紙幣セット)100Pを構成する紙幣100Aの枚数を、LED素子の発光素子20Aとフォトダイオードの受光素子20Bの組み合わせによって検出している。その1つの方式として、紙幣組(紙幣セット)100Pが厚くなるに従って、発光素子20Aから受光素子20Bへ届く光の光量が減少することで、紙幣100Aの枚数を検出する。
【0075】
検出センサ20による検出が所定枚数の場合、例えば、紙幣5枚の紙幣組(紙幣セット)の場合、その紙幣組(紙幣セット)を透過して受光素子20Bで受けた光量に応じて生じる電圧に相当する検出値と、制御部80に設定した5枚の設定値とが一致したとき、制御部80によって、搬送装置13を払い出し方向作動させ、これによって、紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣払出し部へ向けて搬送するが、検出センサ20による検出が所定枚数でない場合は、即ち、受光素子20Bで受けた光量に応じて生じる電圧に相当する検出値と、制御部80に設定した5枚の設定値とが不一致のときは、搬送装置13を収納方向作動させ、これによって、紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻すように作動する。
【0076】
検出センサ20による検出が所定枚数の場合は、制御部80の動作による搬送装置13の払い出し方向作動によって、紙幣組(紙幣セット)100Pは、バネ付勢によって図1に点線で示す位置にある通路切り替えゲート14を通って、制御部80の動作によって駆動している紙幣払い出し搬送部6へ入り、紙幣払い出し搬送部6によって紙幣の払い出し部9へ搬送される。紙幣の払い出し部9は、紙幣組(紙幣セット)100Pを顧客が受け取る受け取り口である。
【0077】
また、検出センサ20による検出が所定枚数でない場合は、制御部80の動作による搬送装置13の収納方向作動によって、紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻すように作動する。この場合、制御部80の動作によって、送り込み装置18も収納方向作動するようにすれば、更に安定して紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻すことができる。
【0078】
このような動作を以下に具体的に説明する。制御部80の外部から払い出し紙幣の所定枚数の指令を受ける、例えば、自動販売機や遊技機の場合の釣り銭や、両替機における両替金額等の指令を受ける(ステップS1)と、制御部80がそれに対応する発光量となるように発光部20Aへの印加電圧を設定する(ステップS2)。そして、繰り出しローラ17Aが作動して所定枚数の紙幣100Aを繰り出した後、送り込みローラ18Aによって紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送装置13へ送り込み(ステップS3)、搬送装置13の駆動に伴って紙幣組(紙幣セット)100Pを搬送する(ステップS4)。この搬送中に、紙幣組(紙幣セット)100Pが検出センサ20を通過する間に、時々刻々受光部20Bでの受光量が所定値であるか否かが制御部80によって判別される。(ステップS5)
【0079】
制御部80の判別が、受光部20Bでの受光量が発光部20Aの発光値に対応した値である場合(検出センサ20による検出が指定された所定枚数の場合)は、制御部80が、搬送装置13が紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣払出し部9へ向けて搬送する払い出し方向作動を行なう(ステップS6)。
【0080】
また、制御部80の判別が、受光部20Bでの受光量が発光部20Aの発光値に対応した値でない場合(検出センサ20による検出が指定された所定枚数でない場合)は、制御部80が、搬送装置13が紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻すように収納方向作動するように制御する(ステップS7)。即ち、図示の構成では、制御部80の動作によって、スタック部材26が図5に示すCの位置へ上昇した状態となる。そして、制御部80の動作による搬送装置13の収納方向作動によって、紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻すように作動するが、積層された低額紙幣100Aの最表部(最上部)の低額紙幣100Aは、繰り出しローラ17Aに当接している。このため、搬送装置13の収納方向作動によって紙幣収納部7へ戻る紙幣組(紙幣セット)100Pは、繰り出しローラ17Aに当接した最表部(最上部)の低額紙幣100Aの上側に重なるように戻る。この場合、制御部80の動作によって、搬送装置13と共に送り込み装置18も収納方向作動するようにすれば、更に安定して紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻すことができる。
【0081】
この紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻す動作において、繰り出しローラ17Aに衝突することによる抵抗が障害となる場合は、紙幣収納部7へ戻る紙幣組(紙幣セット)100Pに当接しない位置へ繰り出しローラ17Aを上昇させる手段を設けることによって、その問題は解消する。
【0082】
その後、制御部80の動作によって、スタック部材26は、電動機構27によって順次図3、図4に示すB位置からA位置へと順次下降し復帰する。この復帰動作によって、戻された紙幣組(紙幣セット)100Pと共にその下側に積層されている低額紙幣100Aは、その左右の長辺端部がスタック部材26によって下方へ押されるため、積層された低額紙幣100A全体が、バネ23に抗して可動底板21と共に下降し、スタック部材26が所定の待機位置であるA位置へ下降復帰した状態で、収納ボックス22内に低額紙幣100A全体が保持された状態となる。そして、ステップS7からは、再びステップS3へ戻り、上記ステップを繰り返す。
【0083】
検出センサ20による検出が所定枚数の場合は、制御部80の動作による搬送装置13の払い出し方向作動によって、紙幣組(紙幣セット)100Pは、バネ付勢によって図1に点線で示す位置にある通路切り替えゲート14を通って、制御部80の動作によって駆動している紙幣払い出し搬送部6へ入り、紙幣払い出し搬送部6によって紙幣の払い出し部9へ搬送される。紙幣の払い出し部9は、紙幣組(紙幣セット)100Pを顧客が受け取る受け取り口である。
【0084】
上記において、スタック部材26がC位置へ上昇した状態において、収納ボックス22内の低額紙幣100Aは、バネ23によって上昇する。この場合、収納ボックス22の上端部の左右縁に、図3に示すように、互いに対向するよう内側向きに係止辺22Pを形成し、この左右の係止辺22Pにその上昇した最上部の低額紙幣100Aの上面左右の長辺端部が当接して、その上昇位置が制限されるようにし、この状態で、その上方位置にある繰り出しローラ17Aが下降して、紙幣の繰り出し動作が行なわれるように構成することもできる。この場合、スタック部材26がC位置へ上昇した状態では、A位置にあるときよりもバネ23による上方付勢力が弱くなっており、最上部の低額紙幣100Aと左右の係止辺22Pとの接触抵抗が低下している。このため、最上部の低額紙幣100Aが左右の係止辺22Pに当接していても、繰り出しローラ17Aによって紙幣の繰り出し動作が行なわれるときの障害とはならない。
【0085】
そして、紙幣の繰り出し動作終了にて、繰り出しローラ17Aが上昇位置へ戻るようにし、この戻った状態において、上記の紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻す。この場合、戻る紙幣組(紙幣セット)100Pは、収納ボックス22の上端部の前記左右の係止辺22Pに載る状態で戻り、C位置へ上昇しているスタック部材26が下降して、紙幣組(紙幣セット)100Pの左右の長辺端部が、前記左右の係止辺22Pを通りすぎるように撓ませつつ、紙幣組(紙幣セット)100Pをバネ23に抗して収納ボックス22内へ押し込むようにすれば、繰り出しローラ17Aによる抵抗もなく、紙幣組(紙幣セット)100Pの一括戻し動作が得られるものとなる。
【0086】
このように、収納ボックス22の上端部の左右縁に前記左右の係止辺22Pを形成した場合には、スタック部材26は、前記左右の係止辺22Pの内側において上下動する。そして、収納ボックス22内の低額紙幣100Aは、A位置にあるスタック部材26によって下方へ押されて、前記左右の係止辺22Pよりも下方位置に保持されている。この状態において、紙幣受入口8へ受け入れた紙幣100は、搬送装置13から収納ボックス22へ向けて搬送されて、上記のようにA位置にあるスタック部材26の上に載り(図3のように、左右の係止辺22Pとスタック部材26の上面とが略同一面である場合は両方の上に載る。なお、スタック部材26の上面が左右の係止辺22Pよりも下位置の場合は、左右の係止辺22P上に載る)、この状態でスタック部材26が上記のように、B位置からC位置へ上昇する。この上昇過程において、当接搬送装置13から搬送されてスタック部材26の上に載っていた低額紙幣100Aは支え板28に当接し、スタック部材26は低額紙幣100Aの左右の長辺端部を上方へ撓ませつつC位置へ通り過ぎた状態で、低額紙幣100Aの左右の長辺端部が前記左右の係止辺22Pに載る状態に下降する。この動作と共に、収納ボックス22内の低額紙幣100Aは、バネ23によって上昇し、収納ボックス22内の最上部の低額紙幣100Aの左右の長辺端部が、前記左右の係止辺22Pの下面に当接して上昇が制限される。
【0087】
そして、スタック部材26が上記のように、B位置、A位置へ下降することによって、前記左右の係止辺22Pに載った低額紙幣100Aは、スタック部材26によって下方へ押されて、その左右の長辺端部が前記左右の係止辺22Pを通りすぎるように撓ませつつ、バネ23に抗して収納ボックス22内の低額紙幣100Aと共に下方へ押され、遂に収納ボックス22内の最上部の低額紙幣100Aの上に載った状態で静止する。この状態で、上記のように紙幣の繰り出し動作を行なう場合は、その上方位置にある繰り出しローラ17Aが下降して、収納ボックス22内の最上部の低額紙幣100Aの上に当接し、その状態で紙幣の繰り出し動作が行なわれるようになる。このような構成によって、紙幣の繰り出し動作と紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣収納部7へ戻す動作が、安定して行なえるものとなる。
【実施例2】
【0088】
実施例2の構成は、実施例1の構成において、送り込み装置18の構成が異なるものである。即ち、図11に示す実施例2の構成では、搬送装置13の一方の搬送ベルト13D(図示では、上側の搬送ベルト13D)が、他方の搬送ベルト13D(図示では、下側の搬送ベルト13D)よりも収納装置7側に位置した段違い状態であり、実施例2の送り込み装置18の構成は、この搬送装置13の一方の搬送ベルト13D(図示では、上側の搬送ベルト13D)に対して、接近状態と離間状態とに作動する送り込みベルト機構180を設けた構成である。
【0089】
送り込みベルト機構180は、両端部がローラ180Aによって支持され、一方のローラ180Aが電動機装置(図示せず)によって所定速度で回転することにより、所定の搬送速度で回転する無端状の送り込みベルト180Dで構成されている。送り込みベルト機構180は、繰り出し作動装置17によって紙幣100Aが繰り出されるときは、図11に示すように、図示の左側のローラ180Aの軸を中心として図示の右側のローラ180Aが下降した位置にあって、一方の搬送ベルト13D(図示では、上側の搬送ベルト13D)から離間状態にある。また、搬送装置13への紙幣組(紙幣セット)100Pの送り込み時には、図示の左側のローラ180Aの軸を中心として図示の右側のローラ180Aが上昇するように上方回動し、送り込みベルト180Dと一方の搬送ベルト13D(図示では、上側の搬送ベルト13D)とによって紙幣組(紙幣セット)100Pを挟持するように回動作動する。
【0090】
この挟持した状態において、制御部80の動作によって、搬送ベルト13Dと送り込みベルト180Dが同期稼動することによって、挟持した紙幣組(紙幣セット)100Pが搬送装置13のベルト13D、13D間に挿入され、この状態で搬送装置13によって紙幣組(紙幣セット)100Pが払い出し部9へ向けて搬送される。
【実施例3】
【0091】
実施例3の構成は、実施例1の構成において、送り込み装置18を設けないタイプである。図12に示すように、繰り出し作動装置17の繰り出しローラ17Aから繰り出した紙幣100Aは、搬送装置13の入口部へ直接挿入され、そこに紙幣組(紙幣セット)100Pを形成するものである。
【0092】
繰り出しローラ17Aから繰り出した紙幣100Aが、搬送装置13の一対のベルト13D間に良好に挿入されるようにするために、少なくとも一方のベルト13Dを支持するローラ13Aが、バネ30によって他方のベルト13Dを支持するローラ13Aに向かって付勢された構成とすることによって、搬送装置13へ送り込まれる紙幣100Aの先端部分が、一対のベルト13D間に挿入され易くなる。また、他の方式として、繰り出しローラ17Aからの繰り出し時は、図12の上部側のベルト13Dを支持するローラ13Aが、下部側のベルト13Dを支持するローラ13Aから上方へ離れた位置で待機し、繰り出しによる紙幣100Aの繰り出し終了時に、その上部側のベルト13Dを支持するローラ13Aが下降して、上部側のベルト13Dと下部側のベルト13Dとの間で紙幣組(紙幣セット)100Pの先端部分を挟持する構成とすることができる。いずれの場合も上下一対のベルト13D間に紙幣組(紙幣セット)100Pを挟持した状態で、搬送装置13の払い出し方向作動によって、紙幣組(紙幣セット)100Pを一括して紙幣払出し部9へ向けて搬送する。
【実施例4】
【0093】
実施例4の構成は、実施例1の構成において、繰り出しローラ17Aによって紙幣収納部7から紙幣100Aを繰り出し易くするための構成を付加したものである。即ち、図13に示すように、紙幣収納部7の収納ボックス22の入口開口部に対抗して、繰り出しローラ17Aが配置されており、紙幣収納部7に積層された紙幣100Aは、積層された最表部(最上部)の紙幣100Aが繰り出しローラ17Aに当接するようにバネ23によって付勢されており、紙幣収納部7の最表部(最上部)の紙幣100Aが、繰り出しローラ17Aに凸湾曲状態で当接するように、積層された紙幣100Aの左右長辺側が押される湾曲形成部材40を紙幣収納部7の収納ボックス22の入口開口部に設けている。湾曲形成部材40は、収納ボックス22の入口開口部に合成樹脂製の別物を取り付けるか、または収納ボックス22と一体形成するかのいずれかである。
【0094】
この構成によって、収納ボックス22内の最表部(最上部)の紙幣100Aは、上方に凸湾曲状態となったその凸湾曲の頂部に繰り出しローラ17Aが当接した状態で繰り出し作動が行なわれる。この場合、最表部(最上部)の紙幣100Aが繰り出しローラ17Aによって繰り出されるとき、その下側の紙幣100Aの左右の長辺端部は、湾曲形成部材40によって保持された状態のままであるため、繰り出し時に最表部(最上部)の紙幣100Aの下側の紙幣100Aが一緒に繰り出しされることを防止する効果が大きく、繰り出しが安定して行なえるものとなる。なお、凸湾曲状態になる紙幣100Aは、収納ボックス22内の全ての紙幣100Aであってもよいが、上部の複数枚(例えば、10〜15枚程度)の紙幣100Aが凸湾曲状態になる構成でもよい。
【実施例5】
【0095】
実施例5の構成は、実施例1の構成において、繰り出しローラ17Aによって紙幣収納部7から紙幣100Aを繰り出し易くするための構成を付加したものである。即ち、図14に示すように、紙幣収納部7の収納ボックス22の入口開口部に対抗して、繰り出しローラ17Aが配置されており、紙幣収納部7に積層された紙幣100Aは、積層された最表部(最上部)の紙幣100Aが繰り出しローラ17Aに当接するようにバネ23によって付勢されており、紙幣収納部7の最表部(最上部)の紙幣100Aが、繰り出しローラ17Aに凸湾曲状態で当接するように、紙幣収納部7の収納ボックス22の入口開口部において、繰り出しローラ17Aによって紙幣100Aを繰り出す際に、積層された紙幣100の最表部(最上部)の紙幣100Aを含む表部の複数枚の紙幣100Aをその左右長辺側から押して、繰り出しローラ17Aに向けて凸湾曲状態とする湾曲作動部材400を設けたものである。
【0096】
実施例4の構成では、湾曲形成部材40は固定であるが、実施例5の構成の湾曲作動部材400は、通常は左右方向に離れた状態であり、制御部80の動作によって、繰り出しローラ17Aによって紙幣100Aを繰り出す際に相互に接近するように移動して、紙幣100Aをその左右長辺側から押し、上方へ凸湾曲状態に曲げる作用をする稼動方式である。湾曲作動部材400は、制御部80の動作によって作動する電動機装置(図示せず)によって、左右方向へ稼動するように構成されている。
【0097】
この構成によって、収納ボックス22内の最表部(最上部)の紙幣100Aは、上方に凸湾曲状態となったその凸湾曲の頂部に繰り出しローラ17Aが当接した状態で繰り出し作動が行なわれるため、繰り出しが安定して行なえるものとなる。なお、凸湾曲状態になる紙幣100Aは、収納ボックス22内の上部の複数枚(例えば、10〜15枚程度)の紙幣100Aが凸湾曲状態になる構成である。
【0098】
上記の各実施例の構成では、搬送装置13から搬送された低額紙幣100Aを紙幣収納部7へ収納する方式が、スタック部材26の上下動によって行なう方式であるが、これに限らず、他の方式であっても差し支えない。
【0099】
また、上記の各実施例の構成では、繰り出し作動装置17の繰り出しローラ17Aは、紙幣収納部7の収納ボックス22の上面開口の一端側上部に配置された構成であるが、例えば、収納ボックス22の上面開口の中央部に配置した場合は、紙幣の繰り出し長さ(距離)は、繰り出しローラ17Aの回転角度や回転回数によって定まるようにすればよい。
【0100】
また、上記の各実施例の構成では、搬送装置13から搬送された低額紙幣100Aを紙幣収納部7へ収納することによって、紙幣100Aを再利用する方式であるが、これに限らず、予め所定枚数の紙幣100Aを積層収納した状態で、制御部80からの釣り銭や両替指令によって、繰り出しローラ17Aが回転して所定枚数の紙幣を送り込み装置18に送り込む方式であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種々の変更が考えられ、それに係る種々の実施形態を包含するものである。このため、紙幣収納部7は、紙幣識別部5で識別された真正の低額紙幣を収納するものに限らず、両替機のように、予め所定枚数の低額紙幣を収納しておき、払い出し指令に基づき、所定枚数を取り出して一括払い出す装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係る紙幣一括払出し装置を組み込んだ紙幣処理装置の内部構成の概略を示す側面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係る紙幣一括払出し装置と紙幣収納機構の関係を示す側面図である。(実施例1)
【図3】本発明に係る搬送装置から搬送される紙幣と収納機構との関係を正面視で示す図である。(実施例1)
【図4】本発明に係るスタック部材が紙幣収納動作の上昇途中の状態を示す図である。(実施例1)
【図5】本発明に係るスタック部材が紙幣収納動作の最上部へ上昇した状態を示す図である。(実施例1)
【図6】本発明に係る紙幣一括払出し装置の構成を説明する側面図である。(実施例1)
【図7】(イ)(ロ)は本発明に係る繰り出しローラの二つの形態を示す断面図である。(実施例1)
【図8】本発明に係る紙幣組(紙幣セット)の検出センサ部分の構成図である。(実施例1)
【図9】本発明に係る検出センサの構成図である。(実施例1)
【図10】本発明に係る制御ブロック図である。(実施例1)
【図11】本発明に係る送り込み装置を送り込みベルト機構とした構成を示す側面図である。(実施例2)
【図12】本発明に係る繰り出しローラで繰り出される紙幣が搬送装置の入口部へ直接導入される構成を示す図である。(実施例3)
【図13】本発明に係る収納ボックスの入口開口部に固定の湾曲形成部材を設けた構成図である。(実施例4)
【図14】本発明に係る収納ボックスの入口開口部に稼動の湾曲作動部材を設けた構成図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0103】
1・・・・紙幣一括払出し装置
2・・・・紙幣処理装置
3・・・・キャビネット
4・・・・高額紙幣収納部
5・・・・紙幣識別部
6・・・・紙幣払い出し搬送部
7・・・・低額紙幣収納部
10・・・共通搬送部
11・・・高額紙幣搬送路
12・・・低額紙幣搬送路
13・・・搬送装置
13D・・搬送装置の搬送ベルト
17・・・繰り出し作動装置
17A・・繰り出しローラ
17A1・・繰り出し外周面
18・・・送り込み装置
18A・・送り込みローラ
18A1・・送り込み外周面
20・・・検出センサ
20A・・発光素子
20B・・受光素子
21・・・稼動底板
22・・・収納ボックス
23・・・バネ
25・・・収納機構
26・・・スタック部材
27・・・電動機構
28・・・支え板
29・・・バネ
30・・・バネ
40・・・固定の湾曲形成部材
80・・・制御部
100・・紙幣
100A・・低額紙幣
100P・・紙幣組(紙幣セット)
400・・・稼動の湾曲作動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をすることを特徴とする紙幣一括払出し装置。
【請求項2】
長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記搬送装置で搬送中に前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をすることを特徴とする紙幣一括払出し装置。
【請求項3】
長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、前記積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)を挟持して搬送装置へ一括して送り込む送り込み装置と、前記搬送装置へ送り込まれた紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように前記搬送装置と前記送り込み装置が収納方向作動することを特徴とする紙幣の一括払出し装置。
【請求項4】
前記繰り出し作動装置は、回転によって前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出しローラで構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項5】
前記繰り出し作動装置は、前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣の表面に当接し回転によって前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する円形外周面の繰り出しローラで構成され、前記繰り出しローラの外周面は、所定の送り込み距離(長さ)に相当する外周長さ(1周の一部分または全体)の部分が紙幣を繰り出す摩擦係数の大きいゴム又は革の繰り出し外周面をなし、残りの部分が紙幣との間で滑りが生じる摩擦係数の小さい合成樹脂又は金属の滑り外周面をなし、前記繰り出しローラの回転によって前記繰り出し外周面によって紙幣を1枚ずつ所定距離繰り出すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項6】
前記繰り出し作動装置は、回転によって前記紙幣収納部に積層された最表部の紙幣を1枚ずつ繰り出して紙幣組(紙幣セット)を形成する非円形外周面の繰り出しローラで構成され、回転に伴いその長径部分によって紙幣を1枚ずつ所定距離に繰り出すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項7】
前記繰り出しローラは、少なくとも前記長径部分の外周面が紙幣を繰り出す摩擦係数の大きいゴム又は革の繰り出し外周面をなすことを特徴とする請求項6に記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項8】
前記送り込み装置は、前記繰り出し作動装置によって繰り出された前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を紙幣の厚み方向から挟持して回転する一対の送り込みローラで構成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項9】
前記一対の送り込みローラは、前記繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは広い相互間隔の紙幣受け入れ状態にあり、前記搬送装置への送り込み時には前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を厚み方向から挟持する挟持状態となり、前記一対の送り込みローラの回転によって前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を前記搬送装置へ導入することを特徴とする請求項8に記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項10】
前記一対の送り込みローラの少なくとも一方の送り込みローラは非円形外周面をなし、前記繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは前記非円形外周面の短径部分が他方の送り込みローラに対峙して広い相互間隔の紙幣受け入れ状態となり、前記搬送装置への送り込み時には回転によって前記非円形外周面の長径部分が他方の送り込みローラに対峙して前記紙幣組(紙幣セット)を挟持する挟持状態となり、前記一対の送り込みローラの回転によって前記紙幣組(紙幣セット)の先端部分を前記搬送装置へ導入することを特徴とする請求項8に記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項11】
前記搬送装置は両側がローラに掛け渡された一対の無端ベルト間に紙幣を厚み方向から挟持して搬送する一対の搬送ベルトを備え、前記搬送装置と前記紙幣収納部との間には前記繰り出し作動装置によって繰り出される紙幣を受け入れる前記送り込み装置が配置され、前記送り込み装置は、前記搬送装置の一方の搬送ベルトに対して接近状態と離間状態とに作動する送り込みベルトを備え、前記送り込みベルトは、前記繰り出し作動装置によって紙幣が繰り出されるときは前記離間状態にあり、前記搬送装置への送り込み時には前記接近状態となって前記一方の搬送ベルトと前記送り込みベルトとで前記紙幣組(紙幣セット)を挟持することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項12】
前記紙幣収納部の入口開口部に対抗して前記繰り出しローラが配置され、前記積層された最表部の紙幣が前記繰り出しローラに当接するよう前記紙幣収納部に積層された紙幣を前記入口開口部に向けて付勢するバネを備え、前記紙幣収納部の最表部の紙幣が前記繰り出しローラに凸湾曲状態で当接するように、前記積層された紙幣の左右長辺側が押される固定の湾曲形成部材を前記紙幣収納部に設けたことを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項13】
前記紙幣収納部の入口開口部に対抗して前記繰り出しローラが配置され、前記積層された最表部の紙幣が前記繰り出しローラに当接するよう前記紙幣収納部に積層された紙幣を前記入口開口部に向けて付勢するバネを備え、前記紙幣収納部の入口開口部において、前記積層された紙幣の表部の複数枚を前記繰り出しローラに向けて凸湾曲状態とするよう紙幣の左右長辺側から押し作動する湾曲作動部材を設けたことを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の紙幣一括払出し装置。
【請求項14】
長方形状の紙幣が積層状態に収納される紙幣収納部と、一対のベルト間に紙幣を挟持して払い出し方向へ搬送する搬送装置と、前記紙幣収納部から積層状態の最表部の紙幣から1枚ずつ繰り出して前記搬送装置の一対のベルト間に紙幣組(紙幣セット)を形成する繰り出し作動装置と、前記紙幣組(紙幣セット)の紙幣枚数を検出する検出センサを備え、前記搬送装置は、前記検出センサによる検出が所定枚数の場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣払出し部へ向けて搬送する払い出し方向作動をし、前記検出センサによる検出が所定枚数でない場合は前記紙幣組(紙幣セット)を一括して紙幣収納部へ戻すように収納方向作動をすることを特徴とする紙幣一括払出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−269190(P2008−269190A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109916(P2007−109916)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】