説明

紙幣収納装置

【課題】紙幣の収納不良が起こらず、軽く簡素な金庫を有する紙幣収納装置を提供する。
【解決手段】一次保留部18,23と、仕切り板および支持板と、仕切り板と支持板間に紙幣を収納する紙幣収納部21,26と、仕切り板の一次保留部側に紙幣を一時的に保留する二次保留部20,25を有し、一次保留部側に開口部を有する箱状の金庫と、一次保留部に対して金庫と反対側に位置し、一次保留部に保留された一次保留紙幣、または二次保留部に保留された二次保留紙幣を金庫に押し込むためのプッシャを有するプッシャ機構19,24とを備え、一次保留部と二次保留部とを縦方向に配列し、一次保留部が本体に固定されており、金庫22,27は、一次保留部を挿入するための一次保留部挿入部が設けられており、取り外し自在なカセット式金庫である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙幣収納装置に関し、特に、自動券売機、自動販売機等における簡素化を図れるようにしたカセット式紙幣金庫を備えた紙幣収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動券売機等において、紙幣が挿入された場合の紙幣収納装置としては、図11に概略的に示されている(例えば、特許文献1参照)。この紙幣収納装置101は、挿入された紙幣を一時的に保留する一次保留部102と、一次保留部102から移送されてきた紙幣を一時的に保留する二次保留部103と、二次保留部103から完全に紙幣を収納する紙幣収納部である金庫104と、を備えている。
【0003】
【特許文献1】
特願平8−2588853号公報
【0004】
一次保留部102に保留される一次保留紙幣C1は、利用客が自動券売機に紙幣を挿入しただけであって、利用客が接客処理をせずに取り消しキーを押したときは、一次保留紙幣C1を利用客に返却するために一時的に保留されるものである。いわゆる一次保留紙幣C1は、未だ利用客と駅(局)側との乗車券購入のための取り引きが成立していない状態であり利用客の紙幣である。
【0005】
二次保留部103に保留される二次保留紙幣C2は、利用客が自動券売機に紙幣を挿入した後に、接客処理を行ったとき、プッシャ105の上昇により一次保留紙幣C1が金庫104内の二次保留部103に押し込められて保留されるものである。すなわち、二次保留部103に保留される二次保留紙幣C2は、利用客が接客処理を行い、乗車券の発行および釣り銭の放出がなされた場合、利用客と駅側との乗車券購入のための取り引きが成立した状態であって、この紙幣は駅側のお金であることを意味するものである。しかし、乗車券の発行および釣り銭の放出後に、利用客から釣り銭が少ないなどという苦情が出た場合、利用客が入れた紙幣はこの紙幣であると確認するために取り引き終了後であっても一時的に二次保留部103に紙幣を保管しておく必要がある。従って、この二次保留紙幣C2は、一次保留紙幣C1と異なり返却はされない。
【0006】
二次保留部103に保留されている紙幣C2は、次の利用客が紙幣を投入したとき、投入紙幣をセンサにより検知して、この検知信号に基づき金庫104内にプッシャ105が下降し紙幣収納部106に収納される。
【0007】
投入された紙幣は、利用客側のお金であるか、駅側のお金であるかを明確に区別しておく必要があり、上述のように投入紙幣を一次保留部102と二次保留部103とに保留するようにしている。
【0008】
図12、図13は、従来の紙幣収納装置の一次保留部と金庫の配置を示す図である。図12R>2においては、一次保留部の駆動部107が本体108と一体となっており、金庫109は、その一次保留部の駆動部107の上方に収納するような構造となっており、下部にはシャッタ110のスペースが設けられている。また、図13においては、金庫111の内部に一次保留部の駆動部112が内蔵されている構造となっており、シャッタ113がその一次保留部の入り口に設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12で示す紙幣収納装置の一次保留部と金庫の配置では、金庫を一次保留部の上方に収めるとき横ずれを起こしたまま収められた場合、一次保留部から収納部へ紙幣を収納する際、紙幣がシャッタのスペースを通過するとき、その金庫の横ずれのために紙幣の収納不良が発生してしまうという問題点がある。また、図13で示す紙幣収納装置の一次保留部と金庫の配置では、紙幣の収納不良の問題は改善されるが、一次保留部の駆動部の本体との接続機構が複雑となり、さらに、一次保留部を形成する搬送部が金庫に内蔵されているため、金庫の重量が増えてしまうという問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、紙幣の収納不良が起こらず、軽く簡素な金庫を有する紙幣収納装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る紙幣収納装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0012】
第1の紙幣収納装置(請求項1に対応)は、利用客が挿入した紙幣を返却可能に一時的に保留するための一次保留部と、上下動可能な開口を有する仕切り板および支持板と、仕切り板と支持板間に紙幣を収納する紙幣収納部と、仕切り板の一次保留部側に紙幣を一時的に保留する二次保留部と、一次保留部側に開口部を有する箱状の金庫と、一次保留部に対して金庫と反対側に位置し、一次保留部に保留された一次保留紙幣、または二次保留部に保留された二次保留紙幣を金庫に押し込むためのプッシャを有するプッシャ機構と、二次保留部に保管されている二次保留紙幣を紙幣収納部に押し込む際に、仕切り板を固定するためのストッパとを備え、一次保留部と二次保留部とを縦方向に配列し、一次保留部が本体に固定されており、金庫は、一次保留部を挿入するための一次保留部挿入部が設けられており、取り外し自在なカセット式金庫であることで特徴づけられる。
【0013】
第1の紙幣収納装置によれば、金庫には一次保留部を挿入するための一次保留部挿入部が設けられており、取り外し自在なカセット式金庫であるため、金庫の一次保留部との横ずれが起こらず、紙幣の収納不良を起こらなくすることができる。また、金庫に一次保留部を内蔵しないので、一次保留部の駆動部の接続機構が必要なくなり、さらに、金庫の重量も増えないようにすることができる。
【0014】
第2の紙幣収納装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは金庫は、一次保留部挿入部の入り口にシャッタを備えていることで特徴づけられる。
【0015】
第2の紙幣収納装置によれば、金庫は、一次保留部挿入部の入り口にシャッタを備えているため、金庫を取り出すときには、一次保留部が挿入される入り口をシャッタで塞ぐので、それにより、金庫からの紙幣の盗難を防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は自動券売機または自動販売機等における紙幣の流れを示した概略図である。挿入口11に挿入された紙幣C10は、紙幣鑑別機12により紙幣の真偽を識別された後、1万円収納装置13、5千円収納装置14、2千円収納装置15、千円収納装置16にそれぞれ振り分けられ収納される。釣り札受取口17には、取り消しボタンの操作により挿入された紙幣が返却される他、高額紙幣を挿入した場合の釣り札が排出される。
【0018】
図2は図1に示した各紙幣収納装置のうち、一例として2千円収納装置15、千円収納装置16を具体的に示した図である。2千円収納装置15、千円収納装置16は、挿入された2千円札からなる紙幣C11を一時的に保留する上部一次保留部18と、上部一次保留部18の上部に配置された上部プッシャ機構19と、駅(局)側のお金となる二次保留部20および紙幣収納部21を有する金庫22を備え、また、挿入された千円札からなる紙幣C21を一時的に保留する下部一次保留部23と、下部一次保留部23の下部に配置された下部プッシャ機構24と、駅(局)側のお金となる二次保留部25および紙幣収納部26を有する金庫27とを備えている。上部一次保留部18と下部一次保留部23とプッシャ19a,24aは、本体に固定され、フレーム28により覆われている。金庫22は、フレーム28の上部一次保留部18が納まった突出部29が挿入される一次保留部挿入部29bを備え、金庫27は、フレーム28の下部一次保留部23が納まった突出部30が挿入される一次保留部挿入部30bを備えている。金庫22,27は、取っ手を引くことにより引き抜くことができるカセット式の金庫であり、一次保留部は本体に固定されているため、金庫22,27を引き抜くとき、一次保留部が納まった突出部29,30は、一次保留部挿入部29b,30bから抜き出される。それにより、引き抜いた金庫には一次保留部の駆動部がないため、重量を軽いものにすることができる。また、金庫を本体に収めたときに、一次保留部が納まった突出部29あるいは30が、金庫22,27の一次保留部挿入部29b、30bに精度良く収納されるため、紙幣の収納不良を起こらなくすることができる。
【0019】
上部一次保留部18は、利用客が挿入した紙幣を一時的に保留するものであって、利用客が未だ接客処理を行っていない場合に紙幣を保留するところである。従って、この上部一次保留部18に保留される一次保留紙幣C11は、利用客のお金であって、未だ駅側のお金ではなく、利用客が取り消しボタンあるいは返却ボタンを操作することにより返却される。上部一次保留部18には、上下のベルトB1,B2を有する搬送・返却機構32が配置されている。33は駆動ローラであって、駆動ローラ33とピンチローラ34との間に下ベルトB2を巻回している。35,36は下ベルトB2が弛まないようにするためのテンションローラである。37は押さえローラであって、小径のピンチローラ38との間に上ベルトB1が掛け渡されている。上ベルトB1と下ベルトB2との間に紙幣が挟まれて、駆動ローラ33が正転の場合は、紙幣は上部一次保留部18に搬送されて保留される。駆動ローラ33が逆転した場合は、一次保留紙幣C11は利用客に返却される。
【0020】
下部一次保留部23は、上部一次保留部18と同様、利用客が挿入した紙幣を一時的に保留するものであって、利用客が未だ接客処理を行っていない場合に紙幣を保留するところである。従って、この下部一次保留部23に保留される一次保留紙幣C21は、利用客のお金であって、未だ駅側のお金ではなく、利用客が取り消しボタンあるいは返却ボタンを操作することにより返却される。下部一次保留部23には、上下のベルトB3,B4を有する搬送・返却機構39が配置されている。40は駆動ローラであって、駆動ローラ40とピンチローラ41との間に上ベルトB3を巻回している。42,43は下ベルトB3が弛まないようにするためのテンションローラである。44は押さえローラであって、小径のピンチローラ45との間に下ベルトB4が掛け渡されている。上ベルトB3と下ベルトB4との間に紙幣が挟まれて、駆動ローラ40が正転の場合は、紙幣は下部一次保留部23に搬送されて保留される。駆動ローラ40が逆転した場合は、下部一次保留紙幣C21は利用客に返却される。
【0021】
上部プッシャ機構19は、モータ19mとモータ19mの軸19sに固定されたクランク19cとクランク19cと上側に位置する案内19bと、案内19bにより直線上に上下に可動する挺19dを有するプッシャ19aとから成っている。モータ19mが回転すると軸19sに固定されたクランク19cが回転し、それにより、挺19dが上下動し、それとともに、案内19bに案内されてプッシャ19aは上下動する。下部プッシャ機構24は、上部プッシャ機構19と同様の構造のものを上下逆転して用いたものである。
【0022】
図3に金庫の斜視図を示す。図2と図3により金庫27を説明すると、金庫27は、一次保留紙幣C21を駅側に一時的に保留して下部二次保留部25と下部紙幣収納部26とを仕切るための下部仕切り板60と、下部紙幣収納部26に収納された紙幣を支持する下部支持板61とを有している。下部仕切り板60は、上面から見るとフォーク形状となっており開口を有しており、基部62において垂直に立てられたガイドバー63に対して上下動できるように連結されている。下部支持板61は、上面から見ると先端部側において二股形状をしており、基部64においてガイドバー63に対して上下動できるように連結されている。下部仕切り板60の下部が下部二次保留部25であって、下部二次保留部25に保留された二次保留紙幣C22は、駅側のお金となる。
【0023】
一次保留部挿入部30bは、一次保留部突出部30を挿入するところであり、入り口にはシャッタ64がバネ機構とともに設けられており、金庫27を本体に入れるとき、シャッタ64は一次保留部突出部30に押されて倒れるようになっている。また、金庫27を取り出すときは、一次保留部挿入部30bから一次保留部突出部30が出たとき、バネ機構によりシャッタ64は入り口を閉じる。
【0024】
また、金庫22は、一次保留紙幣C11を駅側に一時的に保留して上部二次保留部20と上部紙幣収納部21とを仕切るための上部仕切り板65と、上部紙幣収納部21に収納されるときに紙幣を支持する上部支持板66とを有している。上部仕切り板65は、下部仕切り板60と同様に、上面から見るとフォーク形状となっており開口を有しており、基部67において垂直に立てられたガイドバー68に対して上下動できるように連結されている。上部支持板66は、上面から見ると先端部側において二股形状をしており、基部68においてガイドバー68に対して上下動できるように連結されている。上部仕切り板65の上部が上部二次保留部20であって、上部二次保留部20に保留された二次保留紙幣C12は、駅側のお金となる。
【0025】
一次保留部挿入部29bは、一次保留部突出部29を挿入するところであり、入り口には図示しないシャッタがバネ機構とともに設けられており、金庫22を本体に入れるとき、シャッタは一次保留部突出部29に押されて倒れるようになっている。また、金庫22を取り出すときは、一次保留部挿入部29bから一次保留部突出部29が出たとき、バネ機構によりシャッタは入り口を閉じる。
【0026】
70,71は紙幣繰り出し機構であって、紙幣繰り出し機構70,71は、駆動ローラ72,73と、紙幣を一枚ずつ繰り出すための繰り出しローラ74,75と、駆動ローラ72,73とで繰り出された紙幣を排出するため押さえローラ76,77からなっている。繰り出しローラ74は、上部支持板61の二股部に位置できるようになっており、下部紙幣収納部26に収納された収納紙幣C23を釣り銭として出す際に、収納紙幣C23を下から一枚ずつ送り出すようになっており、形状としては、例えばカム形状となっている。また、繰り出しローラ75は、上部支持板66の二股部に位置できるようになっており、上部紙幣収納部21に収納された収納紙幣C13を釣り銭として出す際に、収納紙幣C13を上から一枚ずつ送り出すようになっており、形状としては、例えばカム形状となっている。
【0027】
また、2千円札収納装置15と千円札収納装置16は、上部二次保留部20に保管されている二次保留紙幣C12を上部紙幣収納部21に押し込む際に、上部仕切り板65を固定するための上部ストッパ82と、下部二次保留部25に保管されている二次保留紙幣C22を下部紙幣収納部26に押し込む際に、下部仕切り板60を固定するための下部ストッパ84を備えている。
【0028】
次に、図4〜図10に基づき挿入された紙幣を収納するための動作について説明する。
【0029】
図4は、利用客が自動券売機10等に紙幣を挿入し、接客処理を未だ行っていない状態の紙幣の位置関係を示している。このように接客が終了していない場合の挿入された紙幣は、紙幣が2千円札の場合には、上部一次保留部18に一次保留紙幣C11として一時的に保留される。また、千円札の場合には、下部一次保留部23に一次保留紙幣C21として一時的に保留される。これら上部一次保留部18あるいは下部一次保留部23にある一次保留紙幣C11,C21は、未だ客側のお金であり、返却可能なお金である。このように上部一次保留部18あるいは下部一次保留部23に紙幣が保留されている状態では、金庫22,27内の上部二次保留部20と下部二次保留部25には紙幣がない状態であり、また、プッシャ19aは上方に位置し、プッシャ24aは下方に位置している状態である。
【0030】
自動券売機10に挿入された紙幣が2千円札である場合、利用客の接客処理、すなわち、利用客が乗車券の購入ボタンを操作し、乗車券および釣り銭が放出されると、乗車券の購入取り引きが終了したとして、プッシャ19aは、図5に示されるようにモータの動作より下降し、金庫22の開口部80内に進入し、一次保留紙幣C11と共に、紙幣収納部21を押し下げる。この押し下げによって、上部仕切り板65および上部支持板66は、図2R>2に示すガイドバー68に沿って下方に移動する。このようにして一次保留紙幣C11は、金庫22内の上部仕切り板65の上部に位置し上部二次保留部20に移行される。このとき、金庫の一次保留部18との横ずれが起こらず、紙幣の収納不良を起こらなくすることができる。
【0031】
図6は、モータが動作しプッシャ19aが上方に移動し、これに伴い上部仕切り板65および上部支持板66も上方に移動し、挿入された紙幣が上部二次保留部20に二次保留紙幣C12として保留された状態を示している。この状態では二次保留紙幣C12は、金庫22内に入った状態であり、利用客に返却されることはなく、駅側のお金となる。従って、図4において示した一次保留紙幣C11と、二次保留紙幣C12とは、明確に区別される。利用客が接客処理の終了後に、例えば釣り銭が足りないなどと苦情を駅員に言ってきた場合、利用客が挿入した紙幣が上部二次保留部20に保留されているので、挿入金額を確認することができる。
【0032】
図6に示した状態において、次の利用客が、紙幣を自動券売機10等に挿入した場合、紙幣の投入をセンサ等で検知して図7に示すようにプッシャ機構を作動させると同時に、上部仕切り板65が下方に移動しないように上部ストッパ82が作動する。上部ストッパ82としては、電極ソレノイドを用いてプランジャを出没可能にすることによりプランジャの先端が上部仕切り板65に当節することにより、上部仕切り板65が動かないように固定するようにしてもよく、上部ストッパ82自体が旋回することにより上部仕切り板65を固定するようにしてもよい。従って、二次保留紙幣C12は、上部仕切り板65のフォーク状のスリット(開口)を介して紙幣収納部21内に押し込まれ、このとき、上部支持板66のみが図2に示すガイドバー68に沿って下方に移動する。二次保留紙幣C12を紙幣収納部21内に収納し終わると、二次保留紙幣C12は収納紙幣C13となり、その後プッシャ機構が動作しプッシャ19aおよび上部支持板66は上方に移動する。プッシャ19aが完全に上方に移動し終わった後に、前述したように次の利用客が挿入した紙幣は、図4に示すように上部一次保留部18に保留される。
【0033】
自動券売機10に挿入された紙幣が千円札である場合、利用客の接客処理、すなわち、利用客が乗車券の購入ボタンを操作し、乗車券および釣り銭が放出されると、乗車券の購入取り引きが終了したとして、プッシャ24aは、図8に示されるようにプッシャ機構の動作により上昇し、金庫27の開口部81内に進入し、一次保留紙幣C21と共に、紙幣収納部26を押し上げる。この押し上げによって、下部仕切り板60および下部支持板61は、図2に示すガイドバー63に沿って上方に移動する。このようにして一次保留紙幣C21は、金庫27内の下部仕切り板60の下部に位置し下部二次保留部25に移行される。このとき、金庫の一次保留部との横ずれが起こらず、紙幣の収納不良を起こらなくすることができる。
【0034】
図9は、プッシャ機構が動作しプッシャ24aが下方に移動し、これに伴い下部仕切り板60および下部支持板61も下方に移動し、挿入された紙幣が下部二次保留部25に二次保留紙幣C22として保留された状態を示している。この状態では二次保留紙幣C22は、金庫27内に入った状態であり、利用客に返却されることはなく、駅側のお金となる。従って、図4において示した一次保留紙幣C21と、二次保留紙幣C22とは、明確に区別される。利用客が接客処理の終了後に、例えば釣り銭が足りないなどと苦情を駅員に言ってきた場合、利用客が挿入した紙幣が下部二次保留部25に保留されているので、挿入金額を確認することができる。
【0035】
図9に示した状態において、次の利用客が、紙幣を自動券売機10等に挿入した場合、紙幣の投入をセンサ等で検知して図10に示すようにプッシャ機構を作動させると同時に、下部仕切り板60が上方に移動しないように下部ストッパ84が作動する。下部ストッパ84としては、上部ストッパ82と同様に、電極ソレノイドを用いてプランジャを出没可能にすることによりプランジャの先端が下部仕切り板60に当節することにより、下部仕切り板60が動かないように固定するようにしてもよく、下部ストッパ84自体が旋回することにより下部仕切り板60を固定するようにしてもよい。従って、二次保留紙幣C22は、下部仕切り板60のフォーク状のスリット(開口)85を介して紙幣収納部25内に押し込まれ、このとき、下部支持板61のみが図2に示すガイドバー63に沿って上方に移動する。二次保留紙幣C22を紙幣収納部26内に収納し終わると、二次保留紙幣C22は収納紙幣C23となり、その後プッシャ機構は動作しプッシャ24aおよび下部支持板61は下方に移動する。プッシャ24aが完全に下方に移動し終わった後に、前述したように次の利用客が挿入した紙幣は、図4に示すように下部一次保留部23に保留される。
【0036】
なお、上記の説明は、2千円札および千円札収納装置15,16について行ったが、1万円札および5千円札収納装置13,14も2千円札および千円札収納装置15,16と同様の構成と動作を行うものであるので説明を省略する。
【0037】
また、収納された紙幣を回収するために、金庫を取り出すときは、取っ手を引くことにより取り出すが、そのとき、金庫に一次保留部を内蔵しないので、一次保留部の駆動部の接続機構がないので容易に取り外すことができ、さらに、金庫の重量も軽いので容易に持ち運ぶことができる。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。
【0039】
金庫は、一次保留部を挿入するための一次保留部挿入部が設けられており、取り外し自在なカセット式金庫であるため、金庫の一次保留部との横ずれが起こらず、紙幣の収納不良を起こらなくすることができる。また、金庫に一次保留部を内蔵しないので、一次保留部の駆動部の接続機構が必要なくなり、さらに、金庫の重量も増えないようにすることができる。
【0040】
また、金庫は、一次保留部挿入部の入り口にシャッタを備えているため、金庫を取り出すときには、一次保留部が挿入される入り口をシャッタで塞ぐので、それにより、金庫からの紙幣の盗難を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動券売機または自動販売機等における紙幣の流れを示した概略図である。
【図2】本発明に係る紙幣収納装置の概略的断面図である。
【図3】金庫の斜視図である。
【図4】挿入された紙幣が上部および下部一次保留部に保留された状態の側面から見た紙幣収納装置の概略的断面図である。
【図5】一次保留紙幣がプッシャにより上部二次保留部に押し込まれる状態を示した紙幣収納装置の概略的断面作用図である。
【図6】一次保留紙幣が上部二次保留部に二次保留紙幣として保留された状態を示した紙幣収納装置の概略的断面作用図である。
【図7】二次保留紙幣がプッシャにより上部紙幣収納部に押し込まれる状態を示した紙幣収納装置の概略的断面作用図である。
【図8】一次保留紙幣がプッシャにより下部二次保留部に押し込まれる状態を示した紙幣収納装置の概略的断面作用図である。
【図9】一次保留紙幣が下部二次保留部に二次保留紙幣として保留された状態を示した紙幣収納装置の概略的断面作用図である。
【図10】二次保留紙幣がプッシャにより下部紙幣収納部に押し込まれる状態を示した紙幣収納装置の概略的断面作用図である。
【図11】従来の紙幣収納装置を示した概略図である。
【図12】従来の紙幣収納装置の金庫を示した図である。
【図13】従来の紙幣収納装置の金庫を示した図である。
【符号の説明】
10 自動券売機
11 挿入口
12 紙幣鑑別器
13 1万円収納装置
14 5千円収納装置
15 2千円収納装置
16 千円収納装置
17 釣り札受取口
18 上部一次保留部
19 上部プッシャ機構
20 二次保留部
21 紙幣収納部
22 金庫
23 下部一次保留部
24 下部プッシャ機構
25 二次保留部
26 紙幣収納部
27 金庫
28 フレーム
29 突出部
30 突出部
30b 一次保留部挿入部
82 上部ストッパ
84 下部ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用客が挿入した紙幣を返却可能に一時的に保留するための一次保留部と、
上下動可能な開口を有する仕切り板および支持板と、前記仕切り板と前記支持板間に紙幣を収納する紙幣収納部と、前記仕切り板の前記一次保留部側に紙幣を一時的に保留する二次保留部と、前記一次保留部側に開口部を有する箱状の金庫と、
前記一次保留部に対し前記金庫と反対側に位置し、前記一次保留部に保留された一次保留紙幣、または前記二次保留部に保留された二次保留紙幣を前記金庫に押し込むためのプッシャを有するプッシャ機構と、
前記二次保留部に保管されている二次保留紙幣を前記紙幣収納部に押し込む際に、前記仕切り板を固定するためのストッパと、
を備え、前記一次保留部と二次保留部とを縦方向に配列し、
前記一次保留部が本体に固定されており、
前記金庫は、前記一次保留部を挿入するための一次保留部挿入部が設けられており、取り外し自在なカセット式金庫であることを特徴とする紙幣収納装置。
【請求項2】
前記金庫は、前記一次保留部挿入部の入り口にシャッタを備えていることを特徴とする請求項1記載の紙幣収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2004−206335(P2004−206335A)
【公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−373602(P2002−373602)
【出願日】平成14年12月25日(2002.12.25)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】