説明

紙幣取扱装置及びそれを用いた紙幣入金方法

【課題】
本発明は、外側シャッタと内側シャッタの間に投入紙幣が間違ってセットされた場合でも、外側シャッタを閉じたときに紙幣の姿勢を変えることが可能とし、利用者に投入紙幣の姿勢を修正するために再投入してもらう手間を減らすことを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る紙幣取扱装置は、紙幣を収納する紙幣収納部と、内側シャッタと外側シャッタを開閉して紙幣を入金又は出金する入出金口部と、入出金口部と紙幣収納部との間で紙幣を搬送する搬送路と、内側シャッタと外側シャッタを各々独立して開閉動作を制御する開閉制御手段と、外側シャッタと内側シャッタとの間に存在する紙幣の姿勢を修正する紙幣姿勢修正手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動取引装置に用いる紙幣取扱装置及びそれを用いた紙幣入金方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関などで使用される現金自動取引装置は、一般的に紙幣入出金口の上部にシャッタが実装されている。入出金口の紙幣に対するセキュリティを強化するために、外側シャッタと内側シャッタの2重構造を持つ現金自動取引装置が存在している。例えば、特許文献1には、シャッタ異常が原因で現金が持ち去られることを防ぐ為に、入出金口に2重にシャッタを設けることについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−97241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術のような2重シャッタ構造の場合、外側シャッタと内側シャッタの間に空間が形成されることにより、利用者の紙幣の投入状態によっては、外側シャッタと内側シャッタの間に紙幣が残ってしまうことがある。この場合、利用者に投入紙幣を抜き取ってもらい再度正しい姿勢で紙幣を投入してもらわなければならず、現金自動取引装置をあまり使用しない利用者の場合、正しい紙幣の投入方法が分からずに、何度再投入しても入金を受け付けてもらえないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る紙幣取扱装置は、紙幣を収納する紙幣収納部と、内側シャッタと外側シャッタを開閉して紙幣を入金又は出金する入出金口部と、入出金口部と紙幣収納部との間で紙幣を搬送する搬送路と、内側シャッタと前記外側シャッタを各々独立して開閉動作を制御する開閉制御手段と、外側シャッタと内側シャッタとの間に存在する紙幣の姿勢を修正する紙幣姿勢修正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、外側シャッタと内側シャッタの間に投入紙幣が間違ってセットされた場合に、自動で紙幣の姿勢を修正することができ、利用者に投入紙幣の姿勢を修正するために再投入してもらう手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例に係る紙幣取扱装置を搭載した現金自動取引装置の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る現金自動取引装置の機能ブロック図。
【図3】本発明の実施例に係る紙幣取引装置の機能ブロック図。
【図4】本発明の実施例に係る紙幣取扱装置の概略を示す側断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る入出金口部の側面図
【図6】本発明の実施例1に係る入出金口部の側面図
【図7】本発明の実施例1に係る入出金口部の側面図
【図8】本発明の実施例2に係る入出金口部の側面図
【図9】本発明の実施例2に係る入出金口部の側面図
【図10】本発明の実施例2に係る入出金口部の側面図
【図11】本発明の実施例に係る外側シャッタ及び内側シャッタの動作制御フロー図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施例に係る紙幣取扱装置は、紙幣を収納する紙幣収納部と、内側シャッタと外側シャッタを開閉して紙幣を入金又は出金する入出金口部と、入出金口部と紙幣収納部との間で紙幣を搬送する搬送路と、内側シャッタと外側シャッタを各々独立して開閉動作を制御する開閉制御手段と、外側シャッタと内側シャッタとの間に存在する紙幣の姿勢を修正する紙幣姿勢修正手段と、を有することを特徴とする。このような構成を採用することにより、外側シャッタと内側シャッタとの間に誤投入された紙幣を、再投入することなく自動的に適切な場所に導くことが可能となる。
【0009】
また、外側シャッタと内側シャッタが開状態の場合に、内側シャッタは開状態のままで外側シャッタを閉方向に動作させることが好ましい。さらに、紙幣姿勢修正手段は、内側シャッタの閉動作に伴って外側シャッタと内側シャッタの間に格納され、外側シャッタの閉動作に伴って外側シャッタと内側シャッタの間から放出されることが好ましい。
1.可動レバーを用いた実施例
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて説明する。図1は、紙幣取扱装置に対応する紙幣取扱機構101を実装した現金自動取引装置100の外観を示す斜視図であり、図2は、現金自動取引装置100における制御ユニット200のブロック図を示している。
この現金自動取引装置100は、カード、紙幣、明細票を媒体とし、利用者の操作に応じて、預け入れ、支払い、振込み等の処理を行う装置である。現金自動取引装置100の上部には、利用者の通帳を処理し、取引内容を印字して放出する通帳処理機構103と、利用者のカードを処理し取引明細を印字して放出するカード明細票処理機構102を備えている。この通帳処理機構103はスロット103aと連通し、スロット103aから投入された利用者の通帳を処理し、取引内容を印字して放出する。また、カード明細票処理機構102は、スロット102aと連通し、スロット102aから投入された利用者のカードを処理し、取引明細を印字して放出する。さらに、現金自動取引装置100の装置前方上部には、取引の内容を表示すると共に、利用者による入力操作を許容する顧客操作部105を備えている。現金自動取引装置100の紙幣取扱機構101の左側には、硬貨処理装置に対応する硬貨処理機構104が備えられ、現金自動取引装置100の装置前方上部に備えたシャッタ104aに連通し、硬貨の入出金取引処理を行う。なお、この硬貨処理機構は105を備えない現金自動取引装置100であってもよい。
【0010】
また、現金自動取引装置100は、下段右側に紙幣取扱機構101を備えている。紙幣取扱機構101は、現金自動取引装置100の装置前方上部に備えたシャッタ101aに連通する入出金口部30を有し、紙幣の入金取引及び出金取引を処理する装置である。
また、前述の通り、現金自動取引装置100は、紙幣取扱機構制御部301を有する紙幣取扱機構101、カード明細票処理機構102、通帳処理機構103、硬貨処理機構104、顧客操作部105、保留部DB106、本体制御部203、バス206、インターフェース部201、係員操作部202及び外部記憶部204が納められており、本体制御部203によって全体の処理が制御される。即ち、この本体制御部203には、紙幣取扱機構101、カード明細票処理機構102、通帳処理機構103、硬貨処理機構104、顧客操作部105保留部DB106、インターフェース部201、係員操作部202及び外部記憶部204が、バス206を介して接続され、本体制御部203の制御によって動作する。なお、本体制御部203は、上記の他に、インターフェース部201を介して図示しないホストコンピュータと接続されており、必要なデータの送受信をすることができる。
【0011】
また、顧客操作部105は、タッチパネルを備え、タッチパネルに操作内容を表示し、利用者による入力操作を受け付ける操作部である。例えば、預け入れ、支払い、振込み等の取引種別の選択入力、暗証番号、金額等の入力操作を受け付けて、その入力信号を本体制御部203に送信する。保留部DB106は、本体制御部203に接続されており、一時保留部や収納庫等に収納する紙幣及びそれら紙幣の鑑別結果を管理している。
係員操作部202は、銀行係員等が現金自動取引装置100を運用、保守を行うための操作部であり、銀行係員が紙幣カセットのセットの為の操作、紙幣枚数のセットのための入力部、装置状態、運用モード、障害箇所等の表示の為の表示部等を有している。
紙幣取扱機構101は、紙幣取扱機構101の紙幣取扱機構制御部301と、バス206とを介して本体制御部203に接続されている。そして、紙幣取扱機構101は、本体制御部203から紙幣取扱機構制御部301に送信された制御信号に基づいて処理動作が制御される。なお、紙幣取扱機構101が本体制御部203によって制御される処理動作は、入金計数処理、入金収納処理及び出金取引処理等が挙げられる。ここで、入金計数処理とは、取引の種別が預入で、利用者が入出金口に投入した紙幣を計数する処理動作をであり、入金収納処理とは、入金計数処理の結果、利用者から確認の入力がされたとき、金種別収納部に紙幣を収納する処理動作をいう。また、出金取引処理とは、取引の種別が払出で、利用者から指定された金額、金種の紙幣を該当する金種別収納部から分離し、入出金口に出金する処理動作をいう。
【0012】
本体制御部203は、顧客操作部105からの取引の種別として預入が選択入力されたことに応じて、まず入金計数の処理動作を指示し、入金計数処理の結果、利用者から確認の入力がされたときに、入金収納の処理動作を指示する。
【0013】
次に、紙幣取扱機構の制御構造について図3と共に説明する。図3は、主に紙幣取扱機構101の制御関係を示す制御ブロック図である。
紙幣取扱機構101に設けられた紙幣取扱機構制御部301は、現金自動取引装置100の本体制御部203とバス206を介して接続され、本体制御部203からの指令および紙幣取扱機構101の状態検出に応じて紙幣取扱機構101の制御を行う。また、紙幣取扱機構101の状態に関する情報を必要に応じて本体制御部203に送る。紙幣取扱機構101の中では、各ユニット(外側及び内側シャッタを含んだ入出金口部30、紙幣判別部40、一時保留部50、分割された紙幣搬送路10x、40x、50x、60x、70x、取忘回収庫60、リジェクト庫74、リサイクル庫71〜73)の駆動モータや電磁ソレノイドやセンサと接続され、各取引に応じて、センサで状態を監視しながら、アクチュエータを駆動制御する。
また、図4は、紙幣取扱機構101の概略構成を示す側断面図である。紙幣取扱機構101は、上部に配置された上部ユニットと、下部に配置された下部ユニットとから構成されている。
【0014】
上部ユニットには、入出金口部30、紙幣鑑別部40等、主に利用者との紙幣の授受に必要な機構が集められている。詳しくは、利用者が紙幣の投入、取り出しを行う入出金口部30は、紙幣取扱機構101の上部前方に配置され、紙幣取扱機構101の後部上段に利用者が入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納すると共に、繰出し可能な一時保留部50が配置されている。入出金口部30と一時保留部50と間に、紙幣の鑑別を行う紙幣鑑別部40が配置されている。入出金口部30には、シャッタ101aを介して、上から投入された紙幣を下方へ繰出す紙幣繰出し部30iと、下方から搬送されてきた紙幣を集積する紙幣集積部30oとが、この順で前後に配置されている。また下部ユニットには、リサイクル庫72〜74、装填回収庫70等が配置されている。ここで、図4を用いて入金処理時の紙幣取扱機構101の動作について説明する。この入金処理では、紙幣入出金庫30における紙幣繰出部30iに投入された紙幣(入金紙幣)を、一時保管庫50に一時的に保管し、その後、リサイクル庫72〜74、装填回収庫70に、金種ごとに分類して収納する。図4では、矢印で、入出金口部30における紙幣繰出部30iに投入された入金紙幣を一時保管庫50に一時的に保管する動作と、一時保管庫50に保管された入金紙幣を、リサイクル庫72〜74、装填回収庫70に、金種ごとに分類して収納する動作を示した。具体的に説明すると、紙幣取扱機構制御部301は、ゲート50gを制御して、双方向搬送路10eと搬送路50aとを接続する。そして、紙幣取扱機構制御部301は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等を制御して、入出金口部30における紙幣繰出部30iに投入された入金紙幣を、1枚ずつ搬送路30aに繰り出し、図中に矢印で示したように、双方向搬送路10b、双方向搬送路10cの順に搬送する。双方向搬送路10cに搬送された紙幣は、紙幣鑑別部40によって鑑別される。そして、紙幣取扱機構制御部301は、紙幣鑑別部40によって鑑別された入金紙幣がリジェクト紙幣でない場合には、ゲート10gを制御して、その紙幣を双方向搬送路10d、双方向搬送路10e、搬送路50aの順に搬送し、一時保管庫50に積層保管する。一方、紙幣鑑別部40によって鑑別された入金紙幣がリジェクト紙幣である場合には、紙幣取扱機構制御部301は、ゲート10gを制御して、双方向搬送路10dと30bとを接続し、そのリジェクト紙幣を搬送路30bに搬送して、紙幣集積部30oに集積し、利用者に返却する。
【0015】
入金紙幣がすべて一時保管庫50に保管され、入金金額が確定すると、紙幣取扱機構制御部301は、ゲート25gを制御して、双方向搬送路10aと第2の双方向搬送路20とを接続する。そして、紙幣取扱機構制御部301は、各搬送路に設けられた搬送ローラ等を制御して、一時保管庫50に保管された入金紙幣を、1枚ずつ搬送路50aに繰り出し、図中に矢印で示したように、双方向搬送路10e、双方向搬送路10d、双方向搬送路10cの順に搬送する。双方向搬送路10cに搬送された紙幣は、紙幣鑑別部40によって、再度、鑑別される。そして、紙幣取扱機構制御部301は、紙幣鑑別部40によって鑑別された紙幣を、双方向搬送路10b、双方向搬送路10aの順に搬送する。紙幣取扱機構制御部301は、紙幣鑑別部40による鑑別結果に基づいて、ゲート74g,73g,72g,71g,70gを制御して、リジェクト紙幣をリジェクト庫71に収納し、また、リジェクト紙幣でない紙幣を、リサイクル庫72〜74、または、装填回収庫70に金種ごとに分類して収納する。紙幣取扱機構制御部301は、一時保管庫50に保管されていたすべての入金紙幣が、リサイクル庫72〜74、または、装填回収庫70に収納されると、入金処理を終了する。
なお、本実施例では、装填回収庫70もリサイクル庫として利用するものとしたが、装填回収庫70をリサイクル庫として利用しないものとしてもよい。また、紙幣取扱機構101において、取り忘れ紙幣収納庫60をリジェクト庫として利用するようにしてもよい。
【0016】
次にシャッタ101aに対応する2重シャッタの構造について図5〜7を用いて説明する。まず、2重シャッタは外側シャッタ35と内側シャッタ36とから構成されている。
具体的には、外側シャッタ35及び内側シャッタ36は、入出金口部30の上部に、外側シャッタ35が配置され、その下側に内側シャッタ36が配置される。そして、外側シャッタの下側に、シャフト(図示せず)に取り付けられたコイルバネ39を介して可動レバー37aを設置し、可動レバー37aの先端には内側シャッタ36と接するときに動作がスムーズに行なわれるようにローラ38が設けられている。このローラは別のシャフト(図示せず)に取り付けられ、外側シャッタの動きに合わせてコイルバネ39によって可動する。
【0017】
次に動作について説明すると、図6に示す通り、外側シャッタ35及び内側シャッタ36が共に開いた状態から、外側シャッタ35が閉じると、下側シャッタ36によって抑えられていたコイルバネ39の下向きの力が開放され、可動レバー37の先端は内側シャッタ36より下方に可動する。このときに、外側シャッタ35と内側シャッタ36との間に誤投入されていた紙幣を下方に押し出すことにより、適切に入出金口部へ紙幣を投入することが可能となる。次に、図7に示すように、外側シャッタ35が閉まった状態から内側シャッタ36が閉じると、内側シャッタ36の先端が可動レバー37を押すことで、可動レバー37の先端が持ち上がり、可動レバー37の先端のローラ38が内側シャッタ36の上面に乗り、外側シャッタ35と内側シャッタ36の間に可動レバー37が格納される。ここで、可動レバー37の先端にローラ38を設けることにより、より滑らかに可動レバー37が格納される。
【0018】
また、内側シャッタ36を開いた状態、外側シャッタ35が閉まった状態から、外側シャッタ35を開ける場合についても、外側シャッタ35と共に可動レバー37が移動し、内側シャッタ36の先端と接触し可動レバー37を押すことになり、可動レバー37の先端が持ち上がり、可動レバー37の先端のローラ38が内側シャッタ36の上面に乗り、外側シャッタ35と内側シャッタ36間に可動レバー37が格納される。このような構成を採用することにより、利用者の手を煩わせることなく、紙幣の誤投入時において適切な紙幣投入が可能となる。
なお、これらの機構は、次に説明する図8〜10に示す構成であっても構わない。
【0019】
次に、上記構成を用いた処理フローについて図11に基づいて説明する。
図11は、入金取引処理時に紙幣処理機構制御部301が実施する紙幣投入時のシャッタの制御に関するフローを示している。まず、利用者が紙幣を入出金口部30に投入できるように、シャッタ開閉駆動手段により、外側シャッタ35及び内側シャッタ36をそれぞれ開方向に駆動する(S1101)。次に、外側シャッタ35と内側シャッタ36が開いた状態であることを、外側シャッタ全開センサ35bと内側シャッタ全開センサ36bによって確認する(S1102)。そして、外側シャッタ35と内側シャッタ36の動作が正常かどうかを確認する(S1103)。このとき、異常であると判断されると取引中止の処理がなされる(S1104)。一方で、正常にシャッタが動作している場合は紙幣が投入されるのを待ち(S1105)、紙幣の投入が完了したことを検知したら(S1105)、外側シャッタ35を閉方向に駆動する(S1106)。ここで、紙幣の投入完了か否かの判断は、入出金口部30にある紙幣検知センサで紙幣の有無を検知する方法や、紙幣投入終了後に顧客操作部105に表示されたシャッタ閉ボタンを利用者に押してもらう方法等があるがこれらに限定されない。
また、外側シャッタ35の閉動作に応じて、可動レバーに相当する紙幣姿勢修正手段も駆動することにより、外側シャッタと内側シャッタとの間に存在するような不適切な投入をされた紙幣を、適切な姿勢にし、適切な場所に移動させることが可能となる。
【0020】
次に、外側シャッタ35の外側シャッタ全閉センサ35aの全閉検知を確認した上で(S1107)、外側シャッタ35の動作が正常かどうかを確認する(S1108)。このとき、異常であると判断された場合は、取引中止の処理がなされる(S1109)。一方で、正常に外側シャッタ35が動作していると判断された場合は、紙幣姿勢チェックセンサ32、33により、投入紙幣の姿勢が正常に修正されているかを確認する(S1110)。具体的には、紙幣姿勢チェックセンサ32,33で紙幣が検知されなかった場合は、紙幣が適切に入出金口部に投入されているとして、内側シャッタ閉処理を行なう(S1112)。この内側シャッタ閉処理に応じて、可動レバーに相当する紙幣姿勢修正手段が外側シャッタと内側シャッタとの間に収納される。
【0021】
そして、内側シャッタ36の内側シャッタ全閉センサ36aの全閉検知を確認した上で(S1113)、内側シャッタ36の動作が正常かどうかを確認する(S1114)。このとき、異常であると判断された場合は、取引中止の処理がなされる(S1115)。正常であると判断された場合は、取引処理が継続して進行する。
一方で、S1110で、紙幣検知センサ32、33で紙幣が検知された場合は、紙幣が適切に投入されていないと判断し、紙幣の再投入を促すガイダンス表示を行い(S1111)、再度外側シャッタ及び内側シャッタのシャッタ開処理を行なう(S1101)。
【0022】
以上の構成及び動作により、姿勢の悪い紙幣に対して、可動レバー37によって紙幣を適切な状態で投入することが可能となる。
【0023】
2.可動ガイドを用いた実施例
図7の可動レバー37の代わりに、図8のような可動ガイド42を備えても本発明の効果は達成される。具体的には、圧縮バネ41を外側シャッタ35の下側(裏側)にピンを介して設け、その圧縮バネ41の先端に可動ガイド42を設け、この可動ガイド42の下部にはシャフト(図示せず)に取り付けられたローラ38を設ける。例えば、図9に示す通り、外側シャッタ35及び内側シャッタ36が共に開いた状態から、外側シャッタ35が閉じると、下側シャッタ36によって圧縮されていた圧縮バネ41の下向きの力が開放され、可動ガイド42の先端は内側シャッタ36より下方に可動する。このときに、外側シャッタ35と内側シャッタ36との間に誤投入されていた紙幣を下方に押し出すことにより、適切に入出金口部へ紙幣を投入することが可能となる。
次に、図10に示すように、外側シャッタ35が閉まった状態から内側シャッタ36が閉じると、内側シャッタ36の先端が可動ガイド42を押すことで、可動ガイド42の先端が持ち上がり、可動ガイド42の先端のローラ38及び可動ガイド42が内側シャッタ36の上面に乗り、外側シャッタ35と内側シャッタ36の間に可動ガイド42が格納される。ここで、可動ガイド42の先端にローラ38を設けることにより、より滑らかに可動ガイド42が格納される。
【0024】
また、内側シャッタ36を開いた状態、外側シャッタ35が閉まった状態から、外側シャッタ35を開ける場合についても、外側シャッタ35と共に可動ガイド42が移動し、内側シャッタ36の先端と接触して可動ガイド42を押すことになり、可動ガイド42が持ち上がり、可動ガイド42の先端のローラ38が内側シャッタ36の上面に乗り、外側シャッタ35と内側シャッタ36間に可動ガイド42が格納される。
なお、本実施例において具体的に説明していない構成は、実施例1と同様の構成又はそれに類似する構成で問題ない。
【0025】
続いて、上記構成を用いた処理フローについて図11に基づいて説明する。
図11は、入金取引処理時に紙幣処理機構制御部301が実施する紙幣投入時のシャッタの制御に関するフローを示している。まず、利用者が紙幣を入出金口部30に投入できるように、シャッタ開閉駆動手段により、外側シャッタ35及び内側シャッタ36をそれぞれ開方向に駆動する(S1101)。次に、外側シャッタ35と内側シャッタ36が開いた状態であることを、外側シャッタ全開センサ35bと内側シャッタ全開センサ36bによって確認する(S1102)。そして、外側シャッタ35と内側シャッタ36の動作が正常かどうかを確認する(S1103)。このとき、異常であると判断されると取引中止の処理がなされる(S1104)。一方で、正常にシャッタが動作している場合は紙幣が投入されるのを待ち(S1105)、紙幣の投入が完了したことを検知したら(S1105)、外側シャッタ35を閉方向に駆動する(S1106)。ここで、紙幣の投入完了か否かの判断は、入出金口部30にある紙幣検知センサで紙幣の有無を検知する方法や、紙幣投入終了後に顧客操作部105に表示されたシャッタ閉ボタンを利用者に押してもらう方法等があるがこれらに限定されない。
また、外側シャッタ35の閉動作に応じて、可動ガイドに相当する紙幣姿勢修正手段も駆動することにより、外側シャッタと内側シャッタとの間に存在するような不適切な投入をされた紙幣を、適切な姿勢にし、適切な場所に移動させることが可能となる。
【0026】
次に、外側シャッタ35の外側シャッタ全閉センサ35aの全閉検知を確認した上で(S1107)、外側シャッタ35の動作が正常かどうかを確認する(S1108)。このとき、異常であると判断された場合は、取引中止の処理がなされる(S1109)。一方で、正常に外側シャッタ35が動作していると判断された場合は、紙幣姿勢チェックセンサ32、33により、投入紙幣の姿勢が正常に修正されているかを確認する(S1110)。具体的には、紙幣姿勢チェックセンサ32,33で紙幣が検知されなかった場合は、紙幣が適切に入出金口部に投入されているとして、内側シャッタ閉処理を行なう(S1112)。この内側シャッタ閉処理に応じて、可動ガイドに相当する紙幣姿勢修正手段が外側シャッタと内側シャッタとの間に収納される。
【0027】
そして、内側シャッタ36の内側シャッタ全閉センサ36aの全閉検知を確認した上で(S1113)、内側シャッタ36の動作が正常かどうかを確認する(S1114)。このとき、異常であると判断された場合は、取引中止の処理がなされる(S1115)。正常であると判断された場合は、取引処理が継続して進行する。
一方で、S1110で、紙幣検知センサ32、33で紙幣が検知された場合は、紙幣が適切に投入されていないと判断し、紙幣の再投入を促すガイダンス表示を行い(S1111)、再度外側シャッタ及び内側シャッタのシャッタ開処理を行なう(S1101)。
【0028】
以上の構成及び動作により、姿勢の悪い紙幣に対して、可動ガイド42によって紙幣を適切な状態で投入することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
100・・・現金自動取引装置
101・・・紙幣取扱機構
105・・・顧客操作部
203・・・本体制御部
301・・・紙幣取扱機構制御部
30・・・入出金口部
35・・・外側シャッタ
36・・・内側シャッタ
37・・・可動レバー
40・・・紙幣判別部
42・・・可動ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納する紙幣収納部と、
内側シャッタと外側シャッタを開閉して紙幣を入金又は出金する入出金口部と、
前記入出金口部と前記紙幣収納部との間で紙幣を搬送する搬送路と、
前記内側シャッタと前記外側シャッタを各々独立して開閉動作を制御する開閉制御手段と、 前記外側シャッタと前記内側シャッタとの間に存在する紙幣の姿勢を修正する紙幣姿勢修正手段と、を有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項2】
前記紙幣姿勢修正手段は、前記内側シャッタの閉動作に伴って前記外側シャッタと前記内側シャッタの間に格納され、前記外側シャッタの閉動作に伴って前記外側シャッタと前記内側シャッタの間から放出されることを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項3】
前記外側シャッタと前記内側シャッタが開状態の場合に、前記内側シャッタは開状態のままで前記外側シャッタを閉方向に動作させることを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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