説明

紙幣取扱装置

【課題】
紙幣取扱装置において紙幣の破れやジャムの発生を防止して搬送信頼性を高めると共に、紙幣の高速搬送を実現する。
【解決手段】
入出金用の紙幣を集積する紙幣入出金口10と、紙幣を判別する紙幣判別部40と、紙幣を一時集積保管する一時収納部20と、紙幣を収納し再分離する紙幣収納部30〜33と、これらの各部へ紙幣を搬送する紙幣搬送路50〜61を有する紙幣取扱装置において、各紙幣搬送路はそれぞれ独立したモータで駆動し、各紙幣搬送路における紙幣の搬送速度を段階的に増速制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関などで使用される現金自動取引装置に実装されるような紙幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関などで使用される現金自動取引装置(ATM)には紙幣取扱装置が実装されている。この紙幣取扱装置は、利用者に入金された紙幣を一枚ずつ繰出す機能及び出金紙幣を放出する機能を有する紙幣入出金口と、入金紙幣もしくは出金紙幣を判別する紙幣判別部と、入金した紙幣を一旦収納する一時収納部と、入金紙幣を収納、保管し、出金紙幣として繰出す紙幣収納庫と、紙幣収納庫に収納しない入金紙幣や、紙幣収納庫から繰出された紙幣および入金された紙幣のうち出金しない紙幣を収納するリジェクト庫と、紙幣収納庫に対して補充する紙幣を繰出し紙幣収納庫から回収する紙幣を収納する装填庫と、及びこれらの各ユニットを接続して紙幣を搬送する紙幣搬送路を備えている。
【0003】
この紙幣取扱装置において、紙幣判別部で金種や紙幣の状態が判別され、それぞれ適当な各ユニットへ紙幣を搬送するために、紙幣搬送路には搬送先を切替えるゲートが設置されている。このとき、紙幣判別部での判別処理時間とこのゲートを切替える処理時間が存在する。ここで、連続して搬送する紙幣の間隔が小さいと、紙幣判別部での判別が終る前に次の紙幣が紙幣判別部に到達して紙幣判別ができなくなり、またゲートを切替える処理時間が間に合わず、紙幣とゲートの衝突や搬送先の間違いといった問題が生じる。このため、通常、各ユニットからの紙幣繰出し間隔を設定し、最適な処理時間を確保している。
【0004】
しかし、紙幣搬送路のモータにかかる負荷は状況により変化するため、その変化により紙幣搬送速度は変化する。また、紙幣の状態によってもその搬送速度は変化する。このため、各ユニットからの紙幣の繰出し間隔を十分な余裕を持たせて大きくすることにより紙幣の搬送速度の変化に対応している。しかし、この方法は単位時間当たりの処理枚数を低下させることになる。そこで、例えば特許文献1には、紙幣搬送速度を検知する手段を設け、検知した紙幣搬送速度に基づき紙幣繰出し間隔を設定し、常に適切な間隔を維持する媒体搬送装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−2981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術において、紙幣の繰出し間隔の制御は、紙幣繰出し速度を低下させるかまたは紙幣繰出しを行う間隔を長くすることにより実現しているため、単位時間当たりの処理枚数を考えれば最適な制御とは言えない。
【0007】
ここで、上記従来の方法とは別の方法として紙幣と紙幣の間隔Lを大きくすることを考える。例えば、図9に示す紙幣繰出し機構において、押圧版83がピックアップローラ82(以下Pローラという)に押し付け摩擦力を発生させて,摩擦係数が高いゴム相86がきたところで、右方(矢印方向)へ紙幣を繰出す。フィードローラ80(以下Fローラという)にも紙幣へ繰出し力を与えたい相で摩擦係数が高いゴム相85があり,紙幣を繰出そうとする。一方、ゲートローラ81(以下Gローラという)は繰出し方向には回転しないように構成され,2枚目以降の紙幣を係止する。この機構により、Fローラ80が一回転することにより、紙幣が一枚ずつ繰出される。また、Fローラ80の回転数Nは単位時間当たりの繰出枚数を決めるものである。また、Fローラ80の半径Rとする時、繰出す紙幣の速度Vaは2×π×N×Rとなる。
【0008】
繰出す紙幣の速度Vaは、前述のように、Fローラ80の回転数NとFローラ80の半径Rにより決定する。Fローラ80の回転数Nは製品仕様により制限されるため、Fローラ80の半径Rを大きくすることにより紙幣と紙幣の間隔Lを大きくすることができる。しかし、紙幣取扱装置には小型化を求められているため、Fローラ80を大きくすることは困難である。
【0009】
そこで、繰出された紙幣を次の紙幣搬送路との接続箇所で増速することを考える。紙幣取扱装置の多くは、用途やそれに求められる特性の違いなどの理由から、紙幣を繰出す機能を持つ紙幣搬送路を駆動するモータと、各ユニットを接続する紙幣搬送路を駆動するモータとを別にしている。図10に示すように、紙幣を繰出す機能を持つモータ88aにより駆動する紙幣搬送路87aと、ユニットを接続する機能を持つモータ88bにより駆動する紙幣搬送路87bとの接続箇所で、上記紙幣繰出し機構により速度Vaで繰出された紙幣を搬送速度Vb(Vb>Vaとする)で駆動する紙幣搬送路87bに受け渡し、紙幣を増速させる。単位時間当たり一定の紙幣処理枚数において、搬送速度を増速すると紙幣そのものは伸びないので、紙幣間隔Lのみ広げることができる。つまり、図10中においてLb>Laの関係が成り立つ。
【0010】
しかし、この増速による搬送方法を用いると、増速箇所では紙幣の滑りが発生し、その際、紙幣とベルト間の摩擦力が負荷になるため、紙幣搬送路のモータに十分なトルクが必要となる。一般的にモータは高速域ではトルクが低下するため、トルクを確保し、かつ、増速のための高速化をするためにはモータの大型化や電流の増大化が避けられない。また、増速箇所では紙幣にも負荷が掛かるため、破れを生じたり、ジャムを生じたりする可能性がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、紙幣取扱装置において紙幣の破れやジャムの発生を防止して搬送信頼性を高め、かつ紙幣の高速搬送を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による紙幣取扱装置は、好ましくは、入出金用の紙幣を搬送して収納又は出金する紙幣取扱装置であって、入金用の紙幣を受入れて装置内へ分離繰出し、かつ出金用に放出される紙幣を集積する紙幣入出金口部と、該紙幣入出金口部から紙幣を分離繰出しする入出金口部搬送路と、出金可能な紙幣を収納する紙幣収納部と、該紙幣収納部に収納された紙幣を分離繰出しする収納部搬送路と、該入出金口部搬送路に接続された第1搬送路と、該第1搬送路に接続された搬送路であって、紙幣を判別する判別部が配置された第2搬送路と、該収納部搬送路と第2搬送路を接続する第3搬送路と、該入出金口部搬送路を駆動する入出金口部搬送路用駆動モータと、該収納部搬送路を駆動する収納部搬送路用駆動モータと、該第1搬送路乃至第3搬送路をそれぞれ独立的に駆動する第1乃至第3駆動モータと、該第1乃至第3駆動モータをそれぞれ別の速度で制御する制御部を有する紙幣取扱装置として構成される。
【0013】
好ましい例によれば、前記制御部は、入出金口部搬送路用駆動モータよりも第1駆動モータの速度を速く、第1駆動モータよりも第2駆動モータを速くするように制御する紙幣取扱装置として構成される。
また、好ましくは、前記制御部は、前記収納部搬送路用駆動モータよりも第3駆動モータの速度を速く、第3駆動モータよりも第2駆動モータの速度を速くするように駆動制御し、第1駆動モータは第2駆動モータと同じ速度で制御する該紙幣取扱装置として構成される。
【0014】
更に、好ましくは、第1搬送路と第3搬送路において、搬送路をさらに分割して独立な駆動モータにより駆動させることにより、多段階に増速させる紙幣取扱装置として構成される。
また、好ましくは、前記制御部は、前記入出金口部搬送路用駆動モータと、前記第1乃至第3駆動モータと、前記収納部搬送路用駆動モータとをそれぞれ正逆方向へ回転制御して、各搬送路上に紙幣を双方向へ搬送する紙幣取扱装置として構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙幣の搬送を段階的に増速することにより、各ユニットから繰出された紙幣の増速箇所での紙幣の引っ張りを小さくし、ジャム低減となるため搬送の信頼性を高くすることができる。また、増速箇所で速度差は小さく、大きなトルクを必要としないため搬送路のモータを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施例による紙幣取扱装置の構成を示す側面図。
【図2】一実施例による紙幣取扱装置の制御を示す制御ブロック図。
【図3】一実施例による入金取引処理動作の説明に供する紙幣取扱装置の側面図。
【図4】一実施例における紙幣の段階増速搬送する搬送路を示す模式図。
【図5】一実施例(例1)における紙幣の段階増速の制御例を示す図。
【図6】一実施例(例2)における紙幣の段階増速の制御例を示す図。
【図7】一実施例(例3)における紙幣の段階増速の制御例を示す図。
【図8】一実施例における紙幣取扱装置の入金収納処理を示す側面図。
【図9】紙幣繰出し機構の構成を示す模式図。
【図10】紙幣を増速して受け渡す紙幣搬送路の機構を示す模式図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は紙幣取扱装置の構成を示す側面図である。
紙幣取扱装置1は、紙幣を取扱い処理するもので、現金自動取引装置(ATM)の筐体内に実装される。この紙幣取扱装置1の上部には、主に利用者との紙幣の授受に必要な機構が実装される。即ち、上部前方には利用者が紙幣の投入・取り出しを行う紙幣入出金口10が配置され、中央部にはセンサ等によって紙幣の真偽、金種、および正損状態を判別する紙幣判別部40が配置される。また、後部上段には、利用者が入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時収納部20が配置される。
【0018】
紙幣取扱装置1の下部には入金された紙幣を金種別に収納し、繰出しするための紙幣収納庫30〜33が配置される。これら紙幣収納庫は入金取引や出金取引に適さない紙幣を収納する為のリジェクト庫として用いても良いし、紙幣収納庫に対して補充する紙幣を繰出し、紙幣収納庫から回収する紙幣を収納する装填庫として用いても良い。
【0019】
紙幣入出金口10の紙幣搬送路50は、紙幣搬送路51へ紙幣を受け渡すための紙幣繰出し機構を備える。また、紙幣入出金口10の紙幣搬送路56は、紙幣搬送路55から紙幣を受け取るための紙幣収納機構を備える。一時収納部20の紙幣搬送路54は紙幣搬送路53へ紙幣を授受するための紙幣繰出し機構と紙幣収納機構を備える。紙幣収納庫30〜33の紙幣搬送路58〜61は紙幣搬送路57へ紙幣を授受するための紙幣繰出し機構と紙幣収納機構を備える。(なお、紙幣収納庫やそれらの紙幣繰出し機構も含めて、単にユニットということがある。)各ユニットは紙幣搬送路50〜61により接続され、紙幣を授受することができる。紙幣の搬送の振り分けは、紙幣振り分けゲート70〜74を切替えることにより行われ、所望の搬送先であるユニットへ紙幣を搬送する。ここで、紙幣搬送路50〜61の矢印の方向は紙幣を搬送する方向を示す。搬送路の両端に矢印が有る場合は、双方向に紙幣を搬送する搬送路であることを示す。
【0020】
紙幣搬送路50〜61はそれぞれ単独のモータ200〜211により駆動制御され、各ユニットから紙幣を紙幣判別部40まで搬送する際に、例えば二段階で増速可能である。なお他の例として、紙幣搬送路50〜61を複数の紙幣搬送路に分割し、その分割した紙幣搬送路をそれぞれモータにより動作させ、多段階に増速制御しても良い。
【0021】
図2は紙幣取扱装置1の制御を示す制御ブロック図である。
紙幣取扱装置1の制御部112は、制御バスを介してATMの本体制御部と接続され、本体制御部からの指令に応じて制御を行う。また、制御部112は、紙幣取扱装置1の状態を本体制御部に送信すると共に、紙幣取扱装置1の取引処理に応じて各ユニットを含む構成機構部を制御する。紙幣入出金口10、紙幣判別部40、一時収納部20、紙幣収納庫30〜33、紙幣搬送路50〜61には、紙幣振り分けゲートを切り替えるアクチュエータ(駆動モータや電磁ソレノイド等)や、紙幣の搬送を監視するセンサが配置されている。制御部112は、本体制御部からの指令やセンサの検知信号に基づいて、アクチュエータを駆動して紙幣を搬送制御する。特に本発明においては、制御部112は、各紙幣搬送路の駆動モータの速度を多段階的に可変制御する。
【0022】
紙幣判別部40は、搬送路51上の前方から後方および後方から前方の何れの方向へも搬送される紙幣の金種判別および真偽判別を行うことができる。つまり、紙幣判別部40は、双方向に搬送される紙幣を金種判別および真偽判別でき、紙幣をリジェクトか否か判別する。
このように構成された紙幣取扱装置1において、入金取引、出金取引、紙幣補充、紙幣回収、取り忘れ回収取引などの処理が実行される。
【0023】
ここで、紙幣取扱装置1における入金取引処理時の紙幣の搬送制御について説明する。入金取引処理は主に、紙幣入出金口10に投入された紙幣の真偽判別、金種判別、および計数を行う入金計数処理を実行する処理である。
【0024】
図3を参照するに、紙幣入出金口10に投入された複数枚の紙幣は、紙幣搬送路50の紙幣繰出し機構により紙幣搬送路51へ繰出される。紙幣搬送路51へ紙幣を受け渡すときに、一回目の増速が行われる。紙幣搬送路51へ繰出された紙幣は、紙幣搬送路52へ受け渡される。紙幣搬送路52へ受け渡すときに、二回目の増速が行われる。
【0025】
図4に示すように、紙幣搬送路50で繰出す紙幣の速度Va、紙幣判別部40を通過するときの紙幣の速度Vb(Va<Vb)とするとき、紙幣搬送路51での紙幣の速度Vcを図5に示すように、Va<Vc<Vbが成り立つように設定する。このとき、一段階増速と比べ、二段階増速は各増速箇所で速度差は小さくなるため、紙幣の引っ張りを小さくし、ジャム低減となるため搬送信頼性を高める。また、大きなトルクを必要としないため同じモータでも電流を小さくして低いトルクで駆動可能となり消費電力を下げることができる。また小型のトルクの低い小出力のモータで構成することもでき、消費電力を下げると共に装置の小型化を実現できる。
【0026】
図6に示すように、駆動モータ200〜202による紙幣搬送路50,51,52の搬送速度に関して、一段階増速の時の紙幣入出金口10で繰出す紙幣の速度Va、紙幣判別部40を通過するときの紙幣の速度Vb(Va<Vb)とするとき、二段階増速の時の紙幣入出金口10で繰出す紙幣の速度VdをVd<Va、およびVb−Va>Va−Vdが成り立つように、一回目に増速した紙幣の速度VcをVa<Vc<Vbが成り立つように設定する。この場合、図5に示す例の効果に加え、一段階増速と比べ、二段階増速はFローラ80の半径Rを小さくすることができ、装置の小型化ができる。
【0027】
更に、図7に示すように、一段階増速の時の紙幣入出金口10で繰出す紙幣の速度Va、紙幣判別部40を通過するときの紙幣の速度Vb(Va<Vb)とするとき、二段階増速の時の紙幣判別部40を通過するときの紙幣の速度VeをVb<Ve、およびVb−Va>Ve−Vbが成り立つように、一回目に増速した紙幣の速度VcをVa<Vc<Vbが成り立つように設定する。この場合、図5に示す例の効果に加え、一段階増速と比べ、二段階増速は単位時間当たりの処理枚数を増加することができ、装置の高速化ができる。
【0028】
紙幣判別部40を搬送通過する紙幣は、そこで紙幣の真偽、金種、および正損状態が判別される。紙幣判別部40を通過した紙幣は、紙幣搬送路52により搬送される。この紙幣搬送路52を搬送中に紙幣判別部40による判別が完了すると共に、判別結果により制御部112の制御により紙幣振り分けゲート71が切り替えられる。判別の結果、紙幣判別部40によって受入れ可能な紙幣と判別された場合、制御部112は、紙幣振り分けゲート71を紙幣搬送路53に接続するように切り替えて、その紙幣を搬送路53、54に搬送して一時収納部20に集積する。一方、紙幣判別部40によって受け入れ不可能な紙幣と判別された場合、制御部112は、紙幣振り分けゲート71を紙幣搬送路55に接続するように切り替えて、その紙幣を搬送路55、56に搬送して紙幣入出金口10に戻して、入金取引者に返却する。
【0029】
紙幣判別部40は紙幣の正損状態を判別することができるので、その判別結果に基づいて紙幣の搬送速度を変化させて制御することが可能である。即ち、紙幣搬送路53〜56により一時収納部20または紙幣入出金口10に紙幣を搬送するときに、紙幣判別部40によって紙幣が破損している(紙幣が切れている場合など)と判断された場合、制御部112は速度差による紙幣の引っ張りが強くならない程度に紙幣搬送路53〜56の搬送速度を減速させるように搬送モータを駆動することで、搬送中の紙幣の更なる破損を防ぐことができる。また、紙幣状態の判別の結果、紙幣の正損状態が良いと判断した場合、制御部112は紙幣搬送路53〜56の搬送速度を増速するように制御して、処理速度を向上させることができる。
【0030】
このようにして紙幣入出金口20に投入された全ての紙幣を処理し、入金された金額と紙幣取扱装置1の計数した金額とが一致し、利用者によって顧客操作部で入金取引確定が入力されると、一時収納部20に一時収納していた紙幣を紙幣収納庫30〜33へ収納する収納処理を実行する。
【0031】
次に、入金収納処理について、図8を用いて説明する。
紙幣の収納処理において、制御部112は、紙幣振り分けゲート71を紙幣搬送路52と紙幣搬送路53を接続するように切り替え、紙幣振り分けゲート70を紙幣搬送路51と紙幣搬送路57を接続するように切替える。紙幣搬送路57に受け渡された紙幣は、紙幣判別部40で判別された金種に応じて紙幣振り分けゲート72〜74が切替えられて、紙幣収納庫30〜33のいずれかに収納される。
【0032】
ここで、一時収納部20に集積された複数枚の紙幣は、紙幣搬送路54の紙幣繰出し機構により紙幣搬送路53へ繰出し、次に紙幣搬送路52へ受け渡し、紙幣判別部40を通過する。この場合、入金計数処理では紙幣搬送路52と紙幣搬送路53の受け渡しでは増速は行わなかったが、入金収納処理では増速するように、紙幣搬送路52と紙幣搬送路53の搬送速度を設定する。このとき、紙幣搬送路54、紙幣搬送路53、紙幣搬送路52で二段増速を可能とする。
【0033】
紙幣判別部40を通過した紙幣は、紙幣搬送路52から紙幣搬送路51へ受け渡し、そして紙幣搬送路57へ受け渡すように搬送される。入金計数処理において、紙幣搬送路51と紙幣搬送路52間の紙幣の受け渡しでは、紙幣搬送路52の搬送速度を紙幣搬送路51の搬送速度より速くするように制御したが、入金収納処理では増速することにより紙幣間隔Lを広げる必要が無いため、この増速は行わない。なお、収納処理速度を向上させるため増速しても良い。
【0034】
以上、入金取引処理時における紙幣の搬送制御について説明したが、本発明は、紙幣の繰出し元、収納先、搬送経路、搬送方向が変わる他の処理においても、独立した駆動モータを制御することで同様に実現できる。
【0035】
また、図1に示した実施例の紙幣搬送路をさらに区分けして、それぞれ独立したモータにより動作させても良い。例えば、流通している紙幣状態が悪い地域で紙幣取扱装置1を使用する場合、入金計数処理において、紙幣搬送路51を区分けしてそれぞれ独立したモータにより動作させることにより、急な増速による紙幣への負荷が原因となるジャムを低減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1:紙幣取扱装置、10:入出金口部、20:一時収納部、30〜33:紙幣収納庫、40:紙幣判別部、50〜61:紙幣搬送路、70〜74:紙幣振り分けゲート、200〜211:駆動モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出金用の紙幣を搬送して収納又は出金する紙幣取扱装置であって、
入金用の紙幣を受入れて装置内へ分離繰出し、かつ出金用に放出される紙幣を集積する紙幣入出金口部と、
該紙幣入出金口部から紙幣を分離繰出しする入出金口部搬送路と、
出金可能な紙幣を収納する紙幣収納部と、
該紙幣収納部に収納された紙幣を分離繰出しする収納部搬送路と、
該入出金口部搬送路に接続された第1搬送路と、
該第1搬送路に接続された搬送路であって、紙幣を判別する判別部が配置された第2搬送路と、
該収納部搬送路と第2搬送路を接続する第3搬送路と、
該入出金口部搬送路を駆動する入出金口部搬送路用駆動モータと、
該収納部搬送路を駆動する収納部搬送路用駆動モータと、
該第1搬送路乃至第3搬送路をそれぞれ独立的に駆動する第1乃至第3駆動モータと、
該第1乃至第3駆動モータをそれぞれ別の速度で制御する制御部を有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、入出金口部搬送路用駆動モータよりも第1駆動モータの速度を速く、第1駆動モータよりも第2駆動モータを速くするように制御することを特徴とする請求項1の紙幣取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記収納部搬送路用駆動モータよりも第3駆動モータの速度を速く、第3駆動モータよりも第2駆動モータの速度を速くするように駆動制御し、第1駆動モータは第2駆動モータと同じ速度で制御することを特徴とする請求項1記載の該紙幣取扱装置。
【請求項4】
第1搬送路と第3搬送路において、搬送路をさらに分割して独立な駆動モータにより駆動させることにより、多段階に増速させることを特徴とする請求項1記載の該紙幣取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入出金口部搬送路用駆動モータと、前記第1乃至第3駆動モータと、前記収納部搬送路用駆動モータとをそれぞれ正逆方向へ回転制御して、各搬送路上に紙幣を双方向へ搬送することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項記載の紙幣取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−160067(P2012−160067A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19838(P2011−19838)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】