説明

紙幣搬送装置、紙幣搬送用のベルトのテンション調整機構およびテンション調整方法ならびに紙幣搬送装置の設置方法

【課題】ベルトで紙幣を搬送する構成において小型化を図ることができる紙幣搬送装置、当該ベルトのテンション調整機構およびテンション調整方法ならびに紙幣搬送装置の設置方法を提供すること。
【解決手段】紙幣搬送装置7では、遊技島Aにおいて複数の遊技台1の並び方向(所定方向X)における両端の1対の支持ローラ21間に1本の無端状の平ベルト22が掛け回されている。紙幣搬送装置7では、モータ33が平ベルト22を周回移動させることによって、平ベルト22とガイドローラ27との間で挟持された紙幣Sが平ベルト22に沿って搬送される。紙幣搬送装置7では、丸ベルト等に比べて小プーリ径で駆動を伝達し易い平ベルト22を用いることによって、小径の支持ローラ21を用いることができる。これにより、紙幣搬送装置7全体の小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の遊技台を所定方向に並べて配置することで構成された遊技島に設けられる紙幣搬送装置、紙幣搬送装置における紙幣搬送用のベルトのテンション調整機構およびテンション調整方法、ならびに、紙幣搬送装置の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技店には、複数の遊技台を所定方向に並べて配置することで構成された遊技島が存在し、遊技島における遊技台の背面側の空間には、紙幣搬送装置が設けられている。紙幣搬送装置は、遊技台で遊技をするために入金された紙幣を、紙幣の回収庫まで搬送する。
紙幣搬送装置の一例として、下記特許文献1では、搬送装置が、複数の遊技台の並び方向における遊技島の両端に設けられた1対のプーリと、これらのプーリに巻き掛けられたエンドレスの丸ベルトと、丸ベルトを挟持する押えプーリの対とを含んでいる。丸ベルトは、横から見て環状をなす軌跡で周回する。そして、遊技島において各遊技台の左隣または右隣には、紙幣識別機が設けられている。紙幣識別機に受け付けられることで入金された紙幣は、搬送装置において、周回移動する丸ベルトと押えプーリとに挟持された状態で、遊技島の端の料金収納箱まで搬送される。
【0003】
また、下記特許文献2には、特許文献1とほぼ同じ構成の搬送装置が示されているとともに、ベルトの張力調節装置が提案されている。この張力調節装置は、前述した1対のプーリにおける一方のプーリの近傍に配置されていて、張力調節プーリと、規制プーリと、リンク部と、ハンドル部とを含んでいる。張力調節プーリは、前述した一方のプーリの下方に配置されていて、ベルトの内側からベルトを下方へ押し下げている。規制プーリは、張力調節プーリに対して、前述した1対のプーリにおける他方のプーリ側から隣接していて、ベルトの外側からベルトを上方へ押し上げている。これにより、ベルトの周回軌跡は、横から見て、複数の遊技台の並び方向において長手である一方で、前述した一方のプーリの周辺において局所的に下方へ突出している。
【0004】
そして、リンク部は、ハンドル部と張力調節プーリとをつないでおり、ハンドル部を持って傾けると、リンク部によって張力調節プーリが引き下げられ、これにより、前述した一方のプーリの周辺におけるベルトが下方へ引っ張られることによってベルトの張力が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2753567号公報
【特許文献2】特許第2759142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の搬送装置では、丸ベルトを用いている構成上、搬送に必要な駆動力を伝達するには、丸ベルトが掛け回されるプーリも大径となるので、搬送装置全体の大型化、さらにはベルトが長くなることが懸念される。そして、特許文献2の搬送装置では、1対のプーリの間(換言すれば、1対のプーリ間におけるベルトの一対の直線部分の間)から下方へはみ出た位置に別途スペースを確保して、当該スペースにベルトの張力調節装置を配置している。そのため、特許文献2の場合でも、張力調節装置の分だけ搬送装置全体の大型化が懸念される。
【0007】
遊技島において紙幣搬送装置が配置される空間は、背中合わせで配置された遊技台の間の空間や、遊技台の背面と遊技店の壁との間の空間であって、比較的狭い。そのため、このような狭い空間に配置される紙幣搬送装置の小型化が望まれている。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、ベルトで紙幣を搬送する構成において小型化を図ることができる紙幣搬送装置、当該ベルトのテンション調整機構およびテンション調整方法ならびに紙幣搬送装置の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、複数の遊技台を所定方向に並べて配置することで構成された遊技島に設置され、遊技台で遊技するために入金された紙幣を搬送する紙幣搬送装置であって、前記所定方向における遊技島の両端に設けられた1対の支持ローラと、前記1対の支持ローラ間に掛け回された1本の無端状の平ベルトと、前記平ベルトの外周面に対向配置され、前記平ベルトとの間で紙幣を挟持する挟持部材と、前記平ベルトを周回移動させる駆動機構とを含むことを特徴とする、紙幣搬送装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記平ベルトにおける直線部分の間に配置され、前記1対の支持ローラ間の距離を調整することによって前記平ベルトのテンションを調整するテンション調整機構を含むことを特徴とする、請求項1記載の紙幣搬送装置である。
請求項3記載の発明は、前記テンション調整機構は、前記直線部分に沿って伸縮自在であることを特徴とする、請求項2記載の紙幣搬送装置である。
【0010】
請求項4記載の発明は、複数の遊技台を所定方向に並べて配置することで構成された遊技島の前記所定方向における両端に設けられた1対の支持ローラと、前記1対の支持ローラ間に掛け回された1本の無端状の平ベルトと、前記平ベルトの外周面に対向配置され、前記平ベルトとの間で紙幣を挟持する挟持部材とを含み、前記平ベルトを周回移動させることによって紙幣を搬送する紙幣搬送装置に設けられ、前記平ベルトのテンションを調整するテンション調整機構であって、前記平ベルトにおける直線部分の間に配置され、前記直線部分に沿って伸縮することによって前記1対の支持ローラ間の距離を調整できることを特徴とする、テンション調整機構である。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のテンション調整機構を用いた前記平ベルトのテンション調整方法であって、前記テンション調整機構を前記平ベルトにおける直線部分の間に配置する工程と、前記テンション調整機構を前記直線部分に沿って伸縮させる工程とを含むことを特徴とする、テンション調整方法である。
請求項6記載の発明は、請求項4記載のテンション調整機構を用いた紙幣搬送装置の設置方法であって、前記紙幣搬送装置を設置する際に、前記テンション調整機構を前記平ベルトにおける直線部分の間に配置する工程と、前記テンション調整機構を前記直線部分に沿って伸縮させて前記平ベルトのテンションを調整する工程とを含むことを特徴とする、設置方法である。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項5記載のテンション調整方法によって前記平ベルトのテンションが調整されることを特徴とする、紙幣搬送装置である。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の設置方法によって設置されることを特徴とする、紙幣搬送装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、遊技島に設置された紙幣搬送装置では、遊技島において複数の遊技台の並び方向(所定方向)における両端の1対の支持ローラ間に1本の無端状の平ベルトが掛け回されるとともに、平ベルトの外周面に対向配置された挟持部材が平ベルトとの間で紙幣を挟持している。紙幣搬送装置では、駆動機構が平ベルトを周回移動させることによって、平ベルトと挟持部材との間で挟持された紙幣が平ベルトに沿って搬送される。
【0014】
この紙幣搬送装置では、丸ベルト等に比べて小プーリ径で駆動を伝達し易い平ベルトを用いることによって、小径の支持ローラを用いることができる。これにより、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、テンション調整機構が1対の支持ローラ間の距離を調整することによって、平ベルトのテンションを調整することができる。テンション調整機構は、平ベルトにおける直線部分の間に配置されている。直線部分とは、平ベルトにおいて1対の支持ローラ間で前記所定方向に沿って平行に延びる1対の直線部分である。
【0015】
この構成によれば、当該1対の直線部分の間からはみ出た位置にテンション調整機構が配置される場合に比べて、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、テンション調整機構は、平ベルトにおける直線部分に沿って伸縮することによって、前記所定方向における1対の支持ローラ間の距離を調整し、これによって、平ベルトのテンションを調整することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、遊技島に設置された紙幣搬送装置では、遊技島において複数の遊技台の並び方向(所定方向)における両端の1対の支持ローラ間に1本の無端状の平ベルトが掛け回されるとともに、平ベルトの外周面に対向配置された挟持部材が平ベルトとの間で紙幣を挟持している。紙幣搬送装置では、平ベルトを周回移動させることによって、平ベルトと挟持部材との間で挟持された紙幣が平ベルトに沿って搬送される。
【0017】
紙幣搬送装置には、平ベルトのテンションを調整するテンション調整機構が設けられている。テンション調整機構は、平ベルトにおける直線部分の間に配置されている。直線部分とは、平ベルトにおいて1対の支持ローラ間で前記所定方向に沿って平行に延びる1対の直線部分である。テンション調整機構は、平ベルトにおける直線部分に沿って伸縮することによって、前記所定方向における1対の支持ローラ間の距離を調整し、これによって、平ベルトのテンションを調整することができる。
【0018】
このように1対の直線部分の間にテンション調整機構が配置されている構成によれば、当該1対の直線部分の間からはみ出た位置にテンション調整機構が配置される場合に比べて、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載のテンション調整機構を平ベルトにおける直線部分の間に配置して当該直線部分に沿って伸縮させるという平ベルトのテンション調整方法によって、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、紙幣搬送装置を設置する際に、請求項4記載のテンション調整機構を平ベルトにおける直線部分の間に配置して当該直線部分に沿って伸縮させて平ベルトのテンションを調整するという紙幣搬送装置の設置方法によって、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項5記載のテンション調整方法によって平ベルトのテンションが調整されることによって、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、請求項6記載の設置方法によって紙幣搬送装置が設置されることによって、紙幣搬送装置全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、遊技店における1つの遊技島Aの模式的な平断面図である。
【図2】図2は、紙幣搬送装置7の模式的な斜視図である。
【図3】図3は、紙幣搬送装置7の要部の模式的な分解斜視図である。
【図4A】図4Aは、テンション調整ユニット24の模式的な側面図である。
【図4B】図4Bは、テンション調整ユニット24の模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、遊技店における1つの遊技島Aの模式的な平断面図である。
図1を参照して、パチンコ店等の遊技店内には、パチンコ台などの遊技台1が複数配置されている。複数の遊技台1は、所定数毎にまとまっていて、所定数の遊技台1のまとまりは、1つの遊技島Aを構成している。遊技店内には、遊技島Aが複数設けられている。
【0023】
1つの遊技島Aにおいて、この遊技島Aを構成する複数の遊技台1は、それぞれの正面1A(遊技客に臨む面)が略面一になるように所定方向X(図1では左右方向)に並べて配置されている。そのため、複数の遊技台1では、それぞれの背面1Bが所定方向Xに沿って並んでいる。
遊技島Aには、遊技店の壁際に位置する遊技島Aと、遊技店の壁際から離れた位置にある遊技島Aとがある。図1は、遊技店の壁際から離れた位置にある遊技島Aを示している。
【0024】
遊技店の壁際に位置する遊技島Aでは、全ての遊技台1は、遊技店の壁に背を向けた状態で所定方向Xに並んでいる。一方、遊技店の壁際から離れた位置にある遊技島Aでは、図1に示すように、2台の遊技台1が背中合わせで配置されて1つの組をなし、複数の組が、所定方向Xに並んでいる。
各遊技島Aの所定方向Xにおける両端面は、妻板2(図1でハッチングを付した部分)で覆われている。
【0025】
そして、各遊技台1の左隣または右隣(図1では、遊技客が遊技台1を正面から見たときにおける遊技台1の左隣)には、所定方向Xにおいて薄い板状の台間機3が配置されている。各台間機3は、その隣(図1では、正面から見て右隣)の遊技台1に対する専用機であり、遊技客から紙幣を受け付けることによって、対応する遊技台1で遊技するための遊技媒体(パチンコ玉等)を遊技客に貸し出す。各台間機3は、所定方向Xにおいて隣り合う遊技台1の間、または、所定方向Xにおける遊技島Aの端に位置する遊技台1と妻板2との間に配置されている。各台間機3の正面3Aは、隣り合う遊技台1の正面1Aと略面一になっている。台間機3は、遊技台1とともに、遊技島Aを構成している。
【0026】
台間機3の正面3Aには、紙幣投入口4が形成されている。紙幣投入口4は、正面から見て縦長のスリットである。台間機3の内部には、紙幣投入口4から連続して台間機3の背面3B側へ延びる受入路5が形成されている。受入路5は、台間機3の背面3Bから露出されている。台間機3の内部において、たとえば紙幣投入口4の近傍には、1対の受入ローラ6が互いに接触した状態で配置されている。1対の受入ローラ6のそれぞれは、受入路5内に臨んでいて、これらの受入ローラ6の接触部分は、受入路5内に位置している。
【0027】
遊技台1で遊技をしたい遊技客は、遊技をするために必要な紙幣Sを紙幣投入口4に投入することで入金する。紙幣投入口4に投入された紙幣Sは、1対の受入ローラ6の接触部分に進入する。これに伴い、1対の受入ローラ6が回転して紙幣Sを受入路5内に受け入れる。すると、台間機3は、受け入れられた紙幣Sの金額の範囲内で貸し出し可能な数の遊技媒体を遊技客に貸し出す。具体的には、台間機3は、貸し出す数の遊技媒体を遊技客に直接払い出したり、貸し出す数の遊技媒体を払い出すように遊技台1に対して指令を出したりする。
【0028】
遊技島Aには、遊技台1および台間機3の他に、紙幣搬送装置7および回収庫8が設けられている。
紙幣搬送装置7は、遊技台1で遊技するために台間機3に入金された紙幣Sを搬送する装置である。紙幣搬送装置7は、所定方向Xにおいて長手である。紙幣搬送装置7の所定方向Xにおける寸法は、遊技島Aの所定方向Xにおける寸法と大体同じである。紙幣搬送装置7は、遊技島Aにおいて所定方向Xに並ぶ複数の遊技台1の背面1Bに沿って配置されている。図1のように、遊技島Aにおいて背中合わせに配置された2つの遊技台1の組が所定方向Xに並んでいる場合、紙幣搬送装置7は、背中合わせに配置された2つの遊技台1の間に配置されている。
【0029】
紙幣搬送装置7は、装置本体20と、1対の支持ローラ21と、1本の平ベルト22と、カバー23と、テンション調整ユニット24とを含んでいる。
装置本体20は、所定方向Xにおいて長手である。装置本体20全体の所定方向Xにおける寸法は、遊技島Aの所定方向Xにおける寸法と大体同じである。装置本体20は、所定方向Xにおいて、複数の分割体25に分割されている。この実施形態では、装置本体20は、3つの分割体25に分割されている。3つの分割体25は、所定方向Xに沿って並んでいて、真ん中の分割体25Aが、その両側の分割体25B,Cに比べて、所定方向Xにおいて長手である。分割体25Aは、装置本体20のほとんどの部分をなしている。図1では、分割体25Bは、装置本体20の左端部をなしており、分割体25Cは、装置本体20の右端部をなしている。分割体25Aと分割体25Bとは、所定方向Xにおいて間隔を隔てており、分割体25Aと分割体25Cとは、所定方向Xにおいて間隔を隔てている。
【0030】
1対の支持ローラ21は、縦に延びる円筒状または円柱状であり、その円中心を中心として回転可能である。1対の支持ローラ21のうち、一方の支持ローラ21Aは、分割体25Bに設けられていて、他方の支持ローラ21Bは、分割体25Cに設けられている。分割体25B,25Cは、所定方向Xにおける装置本体20の端部であるから、分割体25B,25Cに設けられた1対の支持ローラ21は、所定方向Xにおける遊技島Aの両端に設けられている。装置本体20には、モータ33(駆動機構)が設けられていて、このモータ33が駆動力を発生させると、分割体25B側の支持ローラ21Aが回転する。
【0031】
平ベルト22は、無端状の平ベルト(エンドレスベルト)であり、1対の支持ローラ21間に掛け回されている。平ベルト22は、図1に示す平面視において、所定方向Xに沿って細長い環状をなしている。1対の支持ローラ21間に掛け回された状態にある平ベルト22は、1対の支持ローラ21間で所定方向Xに沿って平行に延びる1対の直線部分22Aを含んでいる。紙幣搬送装置7では、丸ベルト等に比べて小プーリ径で駆動を伝達し易い平ベルト22を用いることによって、小径の支持ローラ21を用いることができる。これにより、紙幣搬送装置7全体の小型化を図ることができる。
【0032】
そして、1対の直線部分22Aの間に、装置本体20が位置している。つまり、平ベルト22における1対の直線部分22Aは、装置本体20の外側に露出されている。前述したようにモータ33が駆動力を発生させることで一方の支持ローラ21Aが回転すると、当該一方の支持ローラ21Aが駆動ローラとなって他方の支持ローラ21Bが従動ローラとなることで、平ベルト22が周回移動する。つまり、モータ33は、平ベルト22を周回移動させる。平ベルト22の周回方向は、一方向であり、平面視で反時計回りの方向である。なお、平ベルト22の周回方向は、逆向きであっても構わない。
【0033】
カバー23は、板状であって、複数に分割可能である。カバー23は、装置本体20の外側に露出された平ベルト22を全域に亘って外から覆うように装置本体20に取り付けられている。装置本体20とカバー23との間には、隙間が確保されている。この隙間は、平面視において、装置本体20を縁取りつつ、図1の左端部の支持ローラ21A側において開放された略U字形状をなす搬送路26を構成している。搬送路26内には、平ベルト22の1対の直線部分22Aと、平ベルト22において図1における右端部の支持ローラ21Bに沿って湾曲している湾曲部分22Bとが配置されている。平ベルト22の周回方向が平面視で反時計回りの方向であることから、搬送路26では、図1における左下部分が、平ベルト22の周回方向における上流側であり、図1における左上部分が、平ベルト22の周回方向における下流側である。
【0034】
カバー23において搬送路26内の平ベルト22の外周面に対向する面には、複数のガイドローラ27(挟持部材)が設けられている。ガイドローラ27は、平面視で円形状であって、その円中心を中心として回転自在である。ガイドローラ27は、平ベルト22の外周面に対向配置されており、ガイドローラ27の外周面が平ベルト22の外周面に接触している。複数のガイドローラ27は、搬送路26に沿う方向において、所定の間隔を隔てて並んで配置されている。当該所定の間隔は、紙幣Sの長手方向寸法よりも短い間隔である。なお、ガイドローラ27の代わりに、平ベルト22の外周面に接触する環状のエンドレスベルト等を用いることもできる。
【0035】
カバー23には、取込部材35が取り付けられている。取込部材35は、台間機3と同じ数だけ設けられている。取込部材35は、対応する台間機3の背面3Bに連結されている。カバー23には、搬送路26から各取込部材35側へ分岐する複数の分岐路36が設けられている。分岐路36の数は、取込部材35の数と同じである。分岐路36は、対応する取込部材35から、平ベルト22の周回方向における下流側へ湾曲して搬送路26に合流していて、搬送路26内における平ベルト22の直線部分22Aに臨んでいる。取込部材35の内部には、対応する台間機3の受入路5と分岐路36とを連通させる取込路37が形成されている。取込部材35の内部には、1対の取込ローラ38が互いに接触した状態で配置されている。1対の取込ローラ38のそれぞれは、取込路37内に臨んでいて、これらの取込ローラ38の接触部分は、取込路37内に位置している。
【0036】
テンション調整ユニット24は、分割体25Aと分割体25Bとの間、および、分割体25Aと分割体25Cとの間に配置され、分割体25に連結されている。つまり、この実施形態では、テンション調整ユニット24は、2つ設けられている。この状態で、テンション調整ユニット24全体は、平ベルト22における1対の直線部分22Aの間に配置されている。テンション調整ユニット24では、後述するテンション調整機構100が平ベルト22の直線部分22Aに沿って(換言すれば、所定方向Xに沿って)伸縮することによって1対の支持ローラ21間の距離を調整し、これにより、1対の支持ローラ21間に掛け回された平ベルト22のテンションを調整する。このように伸縮する部分(テンション調整機構100)を有するテンション調整ユニット24は、所定方向Xにおいて、各台間機3(取込部材35)から外れた位置に配置されていることが好ましい。そして、このように平ベルト22における1対の直線部分22Aの間にテンション調整ユニット24(テンション調整機構100)を配置する構成によれば、当該1対の直線部分22Aの間からはみ出た位置にテンション調整機構100が配置される場合に比べて、紙幣搬送装置7全体の小型化を図ることができる。
【0037】
テンション調整ユニット24については、以降で詳説する。
回収庫8は、所定方向Xにおける遊技島Aの端(図1では左端)の妻板2に設けられている。回収庫8は、この妻板2を貫通して、装置本体20の端(図1では左端の分割体25B)に連結されている。回収庫8において装置本体20に連結される部分には、平ベルト22の周回方向における搬送路26の下流側端部に連通する回収口28が形成されている。回収庫8の内部には、回収室29と、回収路30とが設けられている。回収室29は、多数の紙幣Sを収容し得る広さを有する空間である。回収路30は、回収口28と回収室29とを連通させている。回収庫8の内部において、たとえば回収口28の近傍には、1対の回収ローラ31が互いに接触した状態で配置されている。1対の回収ローラ31のそれぞれは、回収路30内に臨んでいて、これらの回収ローラ31の接触部分は、回収路30内に位置している。
【0038】
図1において下側で並ぶ台間機3における左から2番目の台間機3と、上側で並ぶ台間機3における右から3番目の台間機3とを参照して、遊技島Aにおける紙幣Sの流れを説明する。図1において、太い破線矢印が、紙幣Sの流れを示している。
まず、前述したように遊技客が紙幣Sを紙幣投入口4に投入(入金)すると、紙幣投入口4に投入された紙幣Sは、1対の受入ローラ6の接触部分に進入し、回転する1対の受入ローラ6によって受入路5内に受け入れられる。受入路5内に受け入れられた紙幣Sの先端は、取込部材35の取込路37内に取り込まれて、1対の取込ローラ38の接触部分に進入する。この状態で、紙幣Sの搬送が一時停止する。
【0039】
そして、遊技客への遊技媒体の貸し出しが完了したのに応じて、1対の取込ローラ38が回転する。これにより、1対の取込ローラ38の接触部分にあった紙幣Sが、取込路37を通過して、この取込路37に連通している分岐路36を経由した後に、搬送路26内に進入する。
搬送路26内に露出されている平ベルト22は、紙幣Sが搬送路26内に進入するときには、周回移動を開始している。搬送路26内に進入した紙幣Sは、周回移動する平ベルト22の直線部分22Aに引っ張られることで、平ベルト22の周回方向に沿って搬送路26内を搬送される。この際、紙幣Sは、周回移動する平ベルト22と、平ベルト22の外周面に対向する各ガイドローラ27に挟持された状態で搬送される。なお、平ベルト22は、常に周回移動し続けていてもよい。
【0040】
ここで、図1において下側で並ぶ台間機3における左から2番目の台間機3で受け入られた紙幣Sは、搬送路26内に進入してから、図1における下側の直線部分22Aによって、所定方向Xに沿いながら、回収庫8から一旦離れる方向(図1における右側)へ搬送される。そして、搬送路26の右端まで到達した紙幣Sは、平ベルト22において、図1における下側の直線部分22Aから湾曲部分22Bへと受け渡され、略U字形状をなす搬送路26において湾曲した部分(図1における右端部)でUターンする。そして、この紙幣Sは、平ベルト22において、湾曲部分22Bから図1における上側の直線部分22Aへと受け渡され、この直線部分22Aによって、所定方向Xに沿いながら、回収庫8へ近付く方向(図1における左側)へ搬送される。
【0041】
一方、図1において上側で並ぶ台間機3における右から3番目の台間機3で受け入られた紙幣Sは、搬送路26内に進入してから、図1における上側の直線部分22Aによって、所定方向Xに沿いながら、回収庫8へ近づく方向へ直ちに搬送される。また、台間機3から搬送路26への紙幣Sの取り込みタイミングに関し、本構成であれば、数枚の紙幣Sであれば重なり合っても搬送可能であるので、仮に上側の右から3番目の台間機3からの紙幣Sの取り込み中に、下側の左から2番目の台間機3から取り込まれた紙幣Sが通過しようとしても、当該3番目の台間機3からの紙幣Sを問題なく取り込んで搬送するようにしてもよい。しかし、回収庫8側で紙幣識別処理等をする場合には、紙幣Sを重ならないように搬送する必要があるので、前述の場合では、当該3番目の台間機3からの紙幣Sを取り込む時は、搬送路26における上流側から紙幣Sが搬送されていないか否かをセンサ(図示せず)によって監視し、紙幣Sの取り込みタイミングを制御する必要がある。
【0042】
そして、図1における上側の直線部分22Aによって、搬送路26内を所定方向Xに沿って搬送された紙幣Sは、搬送路26の下流側端部(図1における左端部)において、回収庫8の回収口28に進入する。そして、この紙幣Sは、1対の回収ローラ31の接触部分に進入し、回転する1対の回収ローラ31によって回収路30内に受け入れられる。回収路30内を通過した紙幣Sは、回収室29内に溜められる。
【0043】
回収室29内に溜められた紙幣Sは、所定のタイミングに遊技店の店員によって取り出されて、遊技店の事務所等に配置された金庫に保管される。
このように、この紙幣搬送装置7では、1本の平ベルト22を1対の支持ローラ21に掛け回し、平ベルト22とガイドローラ27との間で紙幣Sを挟持しながら搬送する。この場合、遊技島Aにおいて紙幣Sを搬送するために必要なベルトは、1本の平ベルト22だけで済み、この平ベルト22を周回移動させるモータ33も1つで済む。そのため、紙幣搬送装置7をシンプルに構成でき、少ない工数で容易に組立および設置することができる。これにより、紙幣搬送装置7にかかるコストの低減を図ることができる。
【0044】
次に、紙幣搬送装置7の要部について詳説する。図2は、紙幣搬送装置7の模式的な斜視図である。図3は、紙幣搬送装置7の要部の模式的な分解斜視図である。図4Aおよび図4Bは、テンション調整ユニット24の模式的な側面図である。
図2および図3では、紙幣搬送装置7の具体的な形状が示されている。なお、図2〜図4Bでは、前述したカバー23(図1参照)の図示が省略されている。
【0045】
図2では、装置本体20における分割体25Bが左手前側に位置していて、分割体25Cが右奥側に位置している。分割体25Bの左手前側の端面は、回収庫8(図1参照)に接続される部分であり、この端面には、搬送路26の下流側端部が出口39として現れている。
図3では、分割体25AおよびBと、これらの間に配置されるテンション調整ユニット24とを示している。図3を参照して、分割体25A〜Cは、前述した所定方向Xにおける寸法が違うものの、所定方向Xに直交する切断面で切断したときの断面形状は同じである。それぞれの分割体25は、板状フレーム45と、板状フレーム45の上下方向両端に設けられた管状フレーム46とを備えている。板状フレーム45と管状フレーム46とは互いに組み付けられることで一体化されている。
【0046】
板状フレーム45は、所定方向Xに長手で高さ方向に延びていて、これらの方向に対する直交方向(水平方向)においてやや薄い板状である。板状フレーム45は、たとえば樹脂で形成されている。板状フレーム45において、当該直交方向における両側の外側面には、所定方向Xに沿って延びる配置溝47が形成されている。配置溝47は、板状フレーム45において所定方向Xにおける全域に亘って形成されている。配置溝47には、平ベルト22の直線部分22A(図2参照)が嵌っていて、これにより、平ベルト22が上下にずれることが防止されている。
【0047】
管状フレーム46は、上下に扁平な四角い額縁状の断面を有する中空体であり、所定方向Xにおいて長手である。管状フレーム46は、アルミニウム等の金属で形成されている。所定方向Xにおいて、管状フレーム46と板状フレーム45とは同じ大きさである。それぞれの分割体25において、隣り合う分割体25に対向する端面では、板状フレーム45の上下方向両端の各管状フレーム46の内部が、開口48として露出されている。なお、板状フレーム45および管状フレーム46は、同じ材質であって、元々から一体化されたものであってもよい。
【0048】
次に、テンション調整ユニット24について詳説する。
テンション調整ユニット24は、上フレーム51と、下フレーム52と、固定カバー53と、スライドカバー54と、固定突起55と、スライド突起56と、ボルト57と、第1ナット58と、第2ナット59とを備えている。
上フレーム51および下フレーム52は、ともに、上下に扁平な四角い額縁状の断面を有する中空体であり、所定方向Xにおいて長手である。上フレーム51および下フレーム52は、管状フレーム46の内部(開口48)に挿通できる大きさを有している。上フレーム51および下フレーム52は、アルミニウム等の金属で形成されている。上フレーム51および下フレーム52は、間隔を隔てて下フレーム52の真上に上フレーム51が位置するように平行に配置されている。
【0049】
固定カバー53およびスライドカバー54は、所定方向Xに長手で高さ方向に延びていて、これらの方向に対する直交方向(水平方向)において薄い板状である。固定カバー53およびスライドカバー54は、当該直交方向から見て、所定方向Xに長手の長方形状をなしている。固定カバー53およびスライドカバー54は、たとえば樹脂で形成されている。固定カバー53およびスライドカバー54は、当該直交方向において互いにずれた位置に配置されていて、この状態で、上フレーム51および下フレーム52の間に架設されている。
【0050】
固定カバー53は、上フレーム51および下フレーム52において、所定方向Xにおける一方側へ偏った位置に配置されていて、スライドカバー54は、所定方向Xにおける他方側へ偏った位置に配置されている。図3では、固定カバー53が左手前側へ偏った位置に配置され、スライドカバー54が右奥側へ偏った位置に配置されているが、逆でも構わない。固定カバー53は、上フレーム51および下フレーム52に対して相対移動不能に固定されているが、スライドカバー54は、上フレーム51および下フレーム52に対して所定方向Xに沿ってスライド可能である。スライドカバー54は、図3では、固定カバー53の後に隠れた位置と、固定カバー53から右側へはみ出た位置との間でスライド可能である。スライドカバー54には、所定方向Xに沿って目盛60が刻まれており、固定カバー53から右側へはみ出た目盛60の数に応じて、所定方向Xにおけるスライドカバー54の位置を特定できる。なお、固定カバー53およびスライドカバー54は、1つずつ設けられていてもよく、2つずつ設けられていてもよい。2つずつ設けられた場合の固定カバー53およびスライドカバー54は、前記直交方向において交互に配置される。
【0051】
図3に示すようにスライドカバー54が固定カバー53から右側へ目一杯はみ出た状態において、固定カバー53およびスライドカバー54のまとまりは、上フレーム51および下フレーム52の所定方向Xにおける両端の内側に位置している。図3において、固定カバー53の左端面を第1規制面53Aといい、固定カバー53の右端面を第2規制面53Bといい、スライドカバー54の右端面を規制面54Aという。固定カバー53の第1規制面53Aは、固定カバー53およびスライドカバー54において上フレーム51および下フレーム52の左端面に最も近い面であり、スライドカバー54の規制面54Aは、固定カバー53およびスライドカバー54において上フレーム51および下フレーム52の右端面に最も近い面である。
【0052】
固定突起55は、上フレーム51および下フレーム52のそれぞれにおいて、所定方向Xにおいて固定カバー53の第1規制面53Aと一致する位置に設けられている。
上フレーム51の固定突起55は、上フレーム51の上面に固定されている。下フレーム52の固定突起55は、下フレーム52の下面に固定されている。
固定突起55は、上下に薄い板状のベース部61と、所定方向Xにおいて薄くベース部61の一端(図3における右端)から上方(下フレーム52の固定突起55の場合は、下方)ヘ突出して延びる突出部62と、上下方向および所定方向Xの両方に対する直交方向における突出部62の両端部からベース部61側(図3における左側)へ延びる1対の延設部63とを一体的に備えている。突出部62には、突出部62を所定方向Xにおいて貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。1対の延設部63のそれぞれとベース部61との間には、所定方向Xに延びる隙間Yが確保されている。隙間Yでは、所定方向Xにおいて、一端(図3における右端)が突出部62に区画されていて、他端(図3における左端)が開放されている。上フレーム51および下フレーム52の各固定突起55の突出部62において、隙間Yの前記一端を区画している端面62Aは、所定方向Xにおいて固定カバー53の第1規制面53Aと一致し、面一になっている。
【0053】
スライド突起56は、上フレーム51および下フレーム52のそれぞれにおいて、所定方向Xにおいて固定突起55とは反対側に設けられている。
スライド突起56は、上下に薄い板状のベース部71と、所定方向Xにおいて薄くベース部71の一端(図3における左端)から上方(下フレーム52のスライド突起56の場合は、下方)ヘ突出して延びる突出部72と、上下方向および所定方向Xの両方に対する直交方向における突出部72の両端部からベース部71側(図3における右側)へ延びる1対の延設部73とを一体的に備えている。突出部72には、突出部72を所定方向Xにおいて貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。1対の延設部73のそれぞれとベース部71との間には、所定方向Xに延びる隙間Zが確保されている。隙間Zでは、所定方向Xにおいて、一端(図3における左端)が突出部72に区画されていて、他端(図3における右端)が開放されている。上フレーム51および下フレーム52の各スライド突起56の突出部72において、隙間Zの前記一端を区画している端面には、符号72Aが付されている。
【0054】
図4Aを参照して、上フレーム51側のスライド突起56のベース部71の下面、および、下フレーム52側のスライド突起56のベース部71の上面には、下方(下フレーム52側のスライド突起56の場合、上方)へ突出する係合部74が設けられている。係合部74に関連して、上フレーム51の上面および下フレーム52の下面のそれぞれには、所定方向Xに沿って延びるスライド溝75が形成されている(図3参照)。各スライド溝75は、上フレーム51または下フレーム52の内部に連通している。
【0055】
上フレーム51側のスライド突起56の係合部74は、上フレーム51の上面のスライド溝75に対して外れ不能に嵌り込んで、上フレーム51内に配置されている。これにより、上フレーム51側のスライド突起56は、係合部74がスライド溝75にガイドされることで、上フレーム51によって所定方向Xに沿ってスライド可能に支持されている。下フレーム52側のスライド突起56の係合部74は、下フレーム52の下面のスライド溝75に対して外れ不能に嵌り込んで、下フレーム52内に配置されている。これにより、下フレーム52側のスライド突起56は、係合部74がスライド溝75にガイドされることで、下フレーム52によって所定方向Xに沿ってスライド可能に支持されている。
【0056】
この状態で、上フレーム51側および下フレーム52側のそれぞれにおいて、固定突起55の突出部62と、スライド突起56の突出部72とが所定方向Xにおいて対向している。
ボルト57は、上フレーム51および下フレーム52に応じて、合計で2本ある。それぞれのボルト57は、所定方向Xに延びる円柱状であって外周面に螺旋溝が形成されたねじ部57Aと、ねじ部57Aの一端につながった頭部57Bとを一体的に有している。ボルト57では、ねじ部57Aが各固定突起55の突出部62の前述した貫通孔(図示せず)に対して、スライド突起56とは反対側から挿通され、頭部57Bが当該反対側から突出部62に当接している。
【0057】
上フレーム51側の固定突起55の突出部62の貫通孔(図示せず)に挿通されたねじ部57Aの先端は、上フレーム51側のスライド突起56の突出部72の貫通孔(図示せず)に対して遊びを持って挿通されている。下フレーム52側の固定突起55の突出部62の貫通孔(図示せず)に挿通されたねじ部57Aの先端は、下フレーム52側のスライド突起56の突出部72の貫通孔(図示せず)に対して遊びを持って挿通されている。
【0058】
第1ナット58は、スライド突起56の突出部72に対して固定突起55側に配置され、第2ナット59は、突出部72を挟んで第1ナット58に対向するように配置されている。第1ナット58および第2ナット59は、突出部72を挟んだ状態で、ねじ部57Aの先端に組み付けられている。そして、この状態で、第1ナット58および第2ナット59を互いに接近するように締め付けると、所定方向Xにおけるスライド突起56の位置が固定される。以下では、この状態を、通常状態とする。
【0059】
一方、第1ナット58および第2ナット59を緩めると、所定方向Xにおいてスライド突起56をスライドさせることができる。上フレーム51側のスライド突起56と、下フレーム52側のスライド突起56と、スライドカバー54(図3および図4B参照)とはそれぞれ独立して所定方向Xにおいてスライドさせることができる。ただし、上フレーム51側のスライド突起56および下フレーム52側のスライド突起56の所定方向Xにおける位置は、最終的に第1ナット58および第2ナット59を締め付けた通常状態では同じになる。
【0060】
また、前述したように、ボルト57のねじ部57Aは、下フレーム52側および上フレーム51側の各スライド突起56の突出部72の貫通孔(図示せず)に対して遊びを持って挿通されているので、各スライド突起56は、スライドする際に、ボルト57のねじ部57Aを中心に回転することはない。
図4Aでは、各スライド突起56を固定突起55側へ目一杯スライドさせた状態を示しており、図4Bでは、各スライド突起56を固定突起55から離れる側へ目一杯スライドさせた状態を示している。このようにスライド突起56をスライドさせることによって、固定突起55とスライド突起56との間隔を調整することができる。固定突起55およびスライド突起56のまとまりをテンション調整機構100というと、スライド突起56をスライドさせることによって、テンション調整機構100を所定方向Xにおいて伸縮させることができる。
【0061】
そして、図3を参照して、テンション調整ユニット24では、上フレーム51が、互いに対向する2つの分割体25(図3では、分割体25Aおよび25B)のそれぞれにおける上側の管状フレーム46の開口48に挿通され、下フレーム52が、2つの分割体25のそれぞれにおける下側の管状フレーム46の開口48に挿通されている。そのため、図4Aおよび図4Bに示すように、所定方向Xにおける上フレーム51の両側部分が、対向する2つの分割体25のそれぞれにおける上側の管状フレーム46内に収容され、所定方向Xにおける下フレーム52の両側部分が、対向する2つの分割体25のそれぞれにおける下側の管状フレーム46内に収容されている。
【0062】
このとき、互いに対向する2つの分割体25のうち、一方の分割体25(ここでは、分割体25B)の上側の管状フレーム46における上側の周縁部が、上フレーム51の固定突起55の各隙間Yに嵌まり込んで当該固定突起55の突出部62の端面62Aに当接している。また、他方の分割体25(ここでは、分割体25A)の上側の管状フレーム46における上側の周縁部が、上フレーム51のスライド突起56の各隙間Zに嵌まり込んで当該スライド突起56の突出部72の端面72Aに当接している。
【0063】
同様に、一方の分割体25(25B)の下側の管状フレーム46における下側の周縁部が、下フレーム52の固定突起55の各隙間Yに嵌まり込んで当該固定突起55の突出部62の端面62Aに当接している。また、他方の分割体25(25A)の下側の管状フレーム46における下側の周縁部が、下フレーム52のスライド突起56の各隙間Zに嵌まり込んで当該スライド突起56の突出部72の端面72Aに当接している。
【0064】
これにより、前述した通常状態では、所定方向Xにおいて互いに対向する2つの分割体25の対向間隔は、各固定突起55の突出部62において管状フレーム46に当接している端面62Aと、各スライド突起56の突出部72において管状フレーム46に当接している端面72Aとの間隔で維持されている。また、このとき、固定カバー53の前述した第1規制面53Aが、固定突起55の突出部62に当接している分割体25(ここでは、分割体25B)の板状フレーム45に当接している。この状態で、テンション調整機構100(固定突起55およびスライド突起56のまとまり)は、所定方向Xにおいて互いに対向する2つの分割体25の間に架設されている。
【0065】
図4Aでは、スライドカバー54が固定カバー53の後に隠れており、このとき、固定カバー53の前述した第2規制面53Bおよびスライドカバー54の規制面54Aが、スライド突起56の突出部72に当接している分割体25(ここでは、分割体25A)の板状フレーム45に当接している。これにより、対向する2つの分割体25における板状フレーム45間の隙間が、固定カバー53およびスライドカバー54によって塞がれている。
【0066】
この状態(前述した通常状態)で、各スライド突起56における第1ナット58および第2ナット59を緩めて、図4Bに示すように、各スライド突起56を対応する固定突起55から離れる方向へスライドさせ、その後、第1ナット58および第2ナット59を締めて通常状態にして、各スライド突起56の位置を固定する。すると、所定方向Xにおいて、スライド突起56の突出部62の端面62Aと、固定突起55の突出部72の端面72Aとの間隔が広がって、テンション調整機構100が所定方向Xにおいて伸びる。これにより、互いに対向する2つの分割体25の間隔も、前述した端面62A、72A間の間隔に応じて広がり、装置本体20全体が所定方向Xにおいて伸びる。これにより、所定方向Xにおける分割体25Bの支持ローラ21Aと分割体25Cの支持ローラ21Bとの間隔(1対の支持ローラ21間の距離)が広がるように調整される(図1および図2参照)。1対の支持ローラ21間の距離が広がるように調整された結果、1対の支持ローラ21間に掛け回された平ベルト22のテンションがきつくなる。
【0067】
ここで、上フレーム51および下フレーム52のそれぞれにおけるスライド突起56と固定突起55との間隔が広がった直後の状態では、スライド突起56に接触している分割体25の板状フレーム45と固定カバー53の第1規制面53Bとの間に隙間が生じている。そのため、スライドカバー54をスライド突起56側へ引き出して、図4Bに示すように、スライドカバー54によって当該隙間を塞ぐ。このとき、スライドカバー54において固定カバー53からはみ出た目盛60を見ることで、スライド突起56と固定突起55との間隔(前述した端面62A、72A間の間隔)がどれだけ広がったかを把握できる。
【0068】
そして、平ベルト22のテンションを緩めたければ、前述した通常状態の第1ナット58および第2ナット59を緩めて、図4Aに示すように、各スライド突起56を固定突起55側へスライドさせ、その後、第1ナット58および第2ナット59を締めて通常状態にして各スライド突起56の位置を固定する。すると、所定方向Xにおいて、スライド突起56と固定突起55との間隔が狭まり、テンション調整機構100が縮む。このとき、テンション調整ユニット24の上フレーム51および下フレーム52が、互いに対向する2つの分割体25(図4Aでは、分割体25Aおよび25B)のそれぞれにおいて対応するする上下の管状フレーム46の開口48(図3参照)に圧入されていれば、互いに対向する2つの分割体25の間隔も狭まり、装置本体20全体が縮む。しかし、上フレーム51および下フレーム52が開口48に対して遊びを持って挿通されていれば、テンション調整機構100が縮んでも、互いに対向する2つの分割体25の間隔は狭まらない。この場合には、2つの分割体25を近付くように押え付けて、2つの分割体25の間隔を狭める必要がある。
【0069】
いずれにせよ、2つの分割体25の間隔が狭まって装置本体20全体が縮むと、1対の支持ローラ21間の距離が狭まるように調整される(図1および図2参照)。その結果、1対の支持ローラ21間に掛け回された平ベルト22のテンションが緩くなる。
以上のように、平ベルト22における1対の直線部分22Aの間にテンション調整ユニット24を配置して(図1および図2参照)、テンション調整機構100を所定方向X(直線部分22A)に沿って伸縮させることによって所定方向Xにおける1対の支持ローラ21間の距離を調整し、これによって、平ベルト22のテンションを調整することができる。
【0070】
そして、図1を参照して、前述したテンション調整機構100を用いた平ベルト22のテンション調整方法に基づく平ベルト22のテンション調整は、主に、遊技島Aに紙幣搬送装置7を設置する際に、遊技島Aの長さに応じて実施される。具体的には、遊技島Aに紙幣搬送装置7を設置する際に、テンション調整ユニット24を平ベルト22における1対の直線部分22Aの間に配置して、テンション調整機構100を直線部分22Aに沿って伸縮させて平ベルト22のテンションを調整する。なお、装置本体20では、分割体25Aが一番重いので、各テンション調整機構100を伸縮させると、分割体25BおよびCの少なくともいずれかが所定方向Xに動くことになる。
【0071】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、テンション調整ユニット24の数は、装置本体20をいくつに分割するのかに応じて適宜変更される。たとえば、前述した実施形態では、装置本体20を分割体25A,B,Cの3つに分割したので、テンション調整ユニット24の数は、2つであったが、装置本体20を2つに分割する場合には、テンション調整ユニット24の数は、1つになる。この実施形態では、テンション調整ユニット24が複数(2つ)あるので(図1および図2参照)、それぞれのテンション調整ユニット24においてテンション調整機構100を伸縮させることで、1対の支持ローラ21間の距離をより広い範囲で調整できる。具体的に、この実施形態では、2つのテンション調整ユニット24のテンション調整機構100の最大伸縮距離(最も伸びたときと最も縮んだときとの差)の合計が150mm程度なので、平ベルト22を300mmの範囲で伸縮させて、そのテンションを調整できる。
【0072】
また、図4Aおよび図4Bを参照して、ねじ57のねじ部57A上でスライド突起56を位置決めするため構成について、前述した実施形態では、第1ナット58および第2ナット59の2つのナットを示したが、これに限らず、適切な種類および数のナットを用いても構わない。
そして、スライド突起56がスライドする際にボルト57のねじ部57Aを中心に回転しないのであれば、スライド突起56に係合部74を設けてスライド溝75でガイドさせなくてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 遊技台
7 紙幣搬送装置
21 支持ローラ
22 平ベルト
22A 直線部分
27 ガイドローラ
33 モータ
100 テンション調整機構
A 遊技島
S 紙幣
X 所定方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技台を所定方向に並べて配置することで構成された遊技島に設置され、遊技台で遊技するために入金された紙幣を搬送する紙幣搬送装置であって、
前記所定方向における遊技島の両端に設けられた1対の支持ローラと、
前記1対の支持ローラ間に掛け回された1本の無端状の平ベルトと、
前記平ベルトの外周面に対向配置され、前記平ベルトとの間で紙幣を挟持する挟持部材と、
前記平ベルトを周回移動させる駆動機構とを含むことを特徴とする、紙幣搬送装置。
【請求項2】
前記平ベルトにおける直線部分の間に配置され、前記1対の支持ローラ間の距離を調整することによって前記平ベルトのテンションを調整するテンション調整機構を含むことを特徴とする、請求項1記載の紙幣搬送装置。
【請求項3】
前記テンション調整機構は、前記直線部分に沿って伸縮自在であることを特徴とする、請求項2記載の紙幣搬送装置。
【請求項4】
複数の遊技台を所定方向に並べて配置することで構成された遊技島の前記所定方向における両端に設けられた1対の支持ローラと、前記1対の支持ローラ間に掛け回された1本の無端状の平ベルトと、前記平ベルトの外周面に対向配置され、前記平ベルトとの間で紙幣を挟持する挟持部材とを含み、前記平ベルトを周回移動させることによって紙幣を搬送する紙幣搬送装置に設けられ、前記平ベルトのテンションを調整するテンション調整機構であって、
前記平ベルトにおける直線部分の間に配置され、前記直線部分に沿って伸縮することによって前記1対の支持ローラ間の距離を調整できることを特徴とする、テンション調整機構。
【請求項5】
請求項4記載のテンション調整機構を用いた前記平ベルトのテンション調整方法であって、
前記テンション調整機構を前記平ベルトにおける直線部分の間に配置する工程と、
前記テンション調整機構を前記直線部分に沿って伸縮させる工程と
を含むことを特徴とする、テンション調整方法。
【請求項6】
請求項4記載のテンション調整機構を用いた紙幣搬送装置の設置方法であって、
前記紙幣搬送装置を設置する際に、前記テンション調整機構を前記平ベルトにおける直線部分の間に配置する工程と、
前記テンション調整機構を前記直線部分に沿って伸縮させて前記平ベルトのテンションを調整する工程と
を含むことを特徴とする、設置方法。
【請求項7】
請求項5記載のテンション調整方法によって前記平ベルトのテンションが調整されることを特徴とする、紙幣搬送装置。
【請求項8】
請求項6記載の設置方法によって設置されることを特徴とする、紙幣搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−152373(P2012−152373A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13941(P2011−13941)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】