紙幣検出器デバイスのための方法、および紙幣検出器デバイス
受容されない紙幣を受容される紙幣から区別するのに使用される、現金自動預払機用の紙幣検出器デバイスであって、このデバイスは、入力紙幣の少なくとも1つの面を受け取り走査して前記走査に応じて各走査面の紙幣画像(BI)を記憶装置に記憶するための紙幣画像センサを備える。紙幣画像は、いくつかの画素の形で画像データを含む。このデバイスはまた、街頭で使用される品質の受容される紙幣からの所定数の紙幣画像から処理された1つの参照紙幣画像(RBI)が各関連紙幣の各面につき記憶される参照紙幣画像(RBI)記憶装置を備える。このデバイスは、RBIに対して紙幣画像を整合して紙幣サイズが決定される整合ユニットと、紙幣画像の面および配向を決定するための紙幣面分類ユニットと、紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決めユニットと、紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にあるBIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに比較され、その結果として入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ユニットとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルによる方法およびデバイスに関する。
本発明は、紙幣の真正性、価値、および不適当性(劣化)の程度をチェックおよび決定するための技術およびデバイスに関し、より詳細には、インク着色アンプルが備わったカセットを許可なく開いた結果としてインク着色された1枚または複数枚の偽造紙幣を検索および発見するための、紙幣処理機または現金自動預払機(ATM)に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュレス社会の到来が数多く予見されてきたにもかかわらず、流通している現金の量は減少していない。今日、EUにおいて毎年、推定3600億の取引があり、これは600億の非現金取引と比較される。現金の扱いは、消費者、小売業者、銀行、キャッシュセンター、および国立銀行との間で多くの手作業の処理および輸送を未だに伴う、非常にコストのかかる作業である。この流通の間に現金は何度も数えられ、セキュリティの問題は広範囲にわたる。欧州連合における現金処理の毎年のコストは、約500億ユーロである。
【0003】
従来の紙幣ソート/カウントデバイスは、任意の発行、価値、および国の紙幣を、自動的に処理するように設計される。デバイスの動作の基礎となるプロセスは、とりわけ可視スペクトル範囲および赤外線スペクトル範囲における、紙幣の両側の完全な画像(走査デバイスによって得られたもの)を使用して、紙幣の真正性、金種、および劣化レベルを決定することからなる。これらの画像は、コンピューティングユニットに送られてそこで処理されるが、この処理では、事前インストール済みのパターン認識ソフトウェアの助けにより、得られた画像が参照画像と比較される。
【0004】
紙幣を偽造から守るためにいくつかの異なる対策が講じられてきたが、これは例えば、いわゆる条件等色インクで紙幣上に絵を印刷することによるものであり、これらの絵は、裸眼では見ることができず、赤外線スペクトル中でのみ現れる。具体的な赤外線画像がわかっていれば、条件等色インクが利用可能か存在しないかについて紙幣表面上のいくつかの特定箇所をチェックする検出器を開発することが可能である。
【0005】
EP−1160737は、紙幣の真正性、価値、および劣化レベルを決定する方法、ならびに、ソート/カウントデバイスに関する。
WO−95/24691は、複数の金種の本物の紙幣の、関連する所定の表面に対応するマスタ特性パターンを記憶するメモリをとりわけ備えた、ドキュメントを区別およびカウントするための方法および装置に関する。
【0006】
GB−2199173は、紙幣の特性領域のみからデータを抽出することによって動作を実施するように適合された、紙幣を区別するデバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者らは、強奪の結果としてインク着色された紙幣に関する検出能力の改善の必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的は、独立請求項に従った本発明により達成される。
好ましい実施形態は、従属請求項に示す。
したがって、本発明によれば、インク着色された紙幣を検出する能力を改善するための方法およびデバイスが構成される。
【0009】
要約すれば、本方法は、
A)入力紙幣の記憶済みIR画像を使用して紙幣画像の1つの辺が参照紙幣画像(RBI)の対応する辺に対して整合され、紙幣サイズが決定される整合ステップと、
B)紙幣画像の面および配向が決定される紙幣面分類ステップと、
C)紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決めステップと、
D)紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にあるBIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに比較され、その結果として入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ステップとを含む。
【0010】
次に、添付の図面を参照しながら本発明について詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を例示する流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態を例示するブロック図である。
【図3】本発明を例示する別の流れ図である。
【図4】画像にどんな処理も施される前の、強奪によってインク着色された紙幣の生画像を示す図である。
【図5】スキューイング手順の前の紙幣のIR画像の図である。
【図6】スキューイング手順において決定された矩形の内側に収まる紙幣のIR画像を示す図である。
【図7】1枚の紙幣の4つの異なる画像、すなわち表側、裏側(上段)、および180度回転された各側(下段)を示す図である。
【図8】パターン位置を突き止めるステップを例示する図である。
【図9】照合ステップの間の照合されるパターン位置を拡大した詳細を示す図である。
【図10】通常200枚の街頭で使用される品質の紙幣からの各画素位置の画素の平均値を計算することによって生み出された参照画像を例示する図である。
【図11】街頭で使用される品質の処理済み参照紙幣画像を示す図である。
【図12】紙幣の、マスキングによって除外されて検出されない領域を示す図である。
【図13】画像画素グリッドを例示する図である。
【図14】グレースケールで示されているが、非グレー色ダイアグラムであり、シアン、黄、およびマゼンタが示されている。
【図15】汚れ色のダイアグラムである。
【図16】高利得色のダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による紙幣検出器デバイスは、標準的なATMの別個のモジュールとして構成することもでき、あるいは、利用可能な画像検出器を使用した、標準的なATMに内蔵された部分として実現することもできる。上に示したように、本発明による紙幣検出器は特に、インク着色された紙幣を検出し、識別し、選り分けるのに適する。この紙幣検出器デバイスは、偽札検出専用の他の検出器デバイスと共に使用されてもよい。本発明による検出器デバイスは、適切にセットアップされればこの点に関しても使用できることを理解されたい。
【0013】
図2を参照すると、検出は紙幣画像センサによって実施されるが、紙幣画像センサは、好ましくは、2つの物理検出器ユニットを備え、紙幣の各側につき1つの検出器がある。検出器のうちのいずれかが、着色された面を検出した場合、その紙幣は着色されていると見なされる。紙幣処理デバイスは、この紙幣画像センサと、好ましくは赤外線(IR)画像センサと、画像プロセッサとを備える。画像プロセッサは、記憶装置と、参照紙幣画像(RBI)記憶装置と、整合ユニットと、紙幣面分類ユニットと、位置決めユニットと、比較ユニットとを備える。紙幣のIR画像は、対応する紙幣画像にリンクされるようにして記憶装置に記憶される。後で論じるように、IR画像センサは不要とすることもできる。また、紙幣整合および紙幣分類は他の手段によって実施することもできるが、後続の記述から明確になるように、対応する方法ステップの結果がステップCおよびDの必要要件であるので、図2にはこれらのユニットが含まれている。
【0014】
画像プロセッサは、検出された画像を表す画像信号を検出器から受け取り、次いで、画像信号を処理する。
紙幣画像は、1つの赤外線(IR)層およびRBG(赤、青、緑)の各色の層、すなわち合計4層を含む。IR層の解像度は864×300画素であることが好ましく、RGBの各層は、解像度432×300画素の、方眼の対称画素である。しかし、アルゴリズムを単純にするために、IR層は、方眼の対称432×300画素によってのみ対処され効果的に使用される。各対称画素は、0.5×0.5mmを表す。全ての画素は0〜255の値を有し、0が最も暗い。紙幣画像をアルゴリズムに従って処理するとき、カラー画像層が読み取られて反転CMY(シアン、マゼンタ、黄)としてカウントされるが、この場合は255が最も暗い。CMYを使用して、白い紙の上におけるカラー印刷の量の論理値が定義される。本発明は、処理の目的でRBGが代わりに使用される場合でも、等しく適用可能であることに留意されたい。
【0015】
紙幣のRGB画像は、カラー密着画像センサすなわちCISセンサによって得られることが好ましい。
一実施形態によれば、紙幣を引っ張ってセンサを通すことができるように、紙幣はCISセンサから最大1mm離れている。
【0016】
別の実施形態では、紙幣は、機械的に移動されてCISセンサを通り、センサの方に押し付けられる。この場合、より正確な測定値が得られ、例えばIRセンサを不要とすることができる。
【0017】
図4の例示に、画像にどんな処理も施される前の、強奪によってインク着色された紙幣の表側の生画像を示す。この場合はスウェーデン100クローナ紙幣である。
次に、図1、3、および4〜15を参照しながら、ステップA、B、C、およびDを含む本発明による方法について述べる。
【0018】
A−整合ステップ
このステップの目的は、紙幣のサイズを決定するために、走査された紙幣を整合することである。これは、図5に概略的に例示するいわゆる「スクイージング(squeezing)法」によって実施されることが好ましく、図5は、整合されていない紙幣のIR画像を示す。整合ステップでは、濃い矩形のIR紙幣画像が使用されることが好ましい。代替の一実施形態によれば、代わりに整合は、紙幣画像センサによって得られた紙幣画像を使用して実施される。
【0019】
紙幣画像である濃い矩形と、水平な線との間の角度が決定され、次いで紙幣画像は、水平位置にくるまで、すなわち長い方の辺が水平になるまで、反復的に回転される。整合を実施するとき、紙幣の任意の辺を使用できることに留意されたい。次いで、この辺の配向が、参照紙幣画像の対応する辺の配向と比較される。反復の間、紙幣画像の最初の回転は、幾分大きく、次の回転は、例えば最初の回転の半分となる。
【0020】
整合ステップは、検出された全ての紙幣に対して実施されることに留意されたい。
手順のこのステップは、紙幣画像を、事前定義済みの位置で例えば水平に配向または整合するものであり、これは後続の各ステップを実施するときの仮定である。
【0021】
このステップによれば、ドキュメントの垂直高さが最小となるスキュー角度を識別することによって、矩形またはほぼ矩形の紙幣画像ドキュメントの角度が決定される。
したがって、この目的でIR画像が使用される。IR画像の品質は、ドキュメントの外ではどんな濃い画素も示さないような画質でなければならない。しきい値を使用して、濃い画素が示される。整合ステップの間、種々のスキュー角度が試され、最小の高さとなる角度が見つかるまで高さが測定される。
【0022】
使用されるプログラミング技法に関係する実際上の理由で、角度スキューが実施されるときに画像データが移動されることはないが、その代わり、読取プロセスは、事前設定済みの角度に従って、角度スキューのxy座標の再カウントを実施する。
【0023】
スキューイング手順の前の紙幣のIR画像を示す図5を参照すると、この時計回りのスキューにおいて、高さはy1p−y0nとして測定される。4つの点y0n、y0p、y1n、y1pを全て使用して、およその補正角度が計算される。角度の補正後、新しい補正を使用してプロセスが繰り返される。
【0024】
差((y1p−y0n)−(y1n−y0p))の小さい、「レベルI」と呼ばれるとき(すなわち角度が小さい)は、補正はおよその計算値の1/2だけである。さらに差の小さい、「レベルII」と呼ばれるときは、補正はおよその計算値の1/4だけである。これは、最も適合する角度を見逃さないようにするためである。高さの変化をそれ以上決定できなくなるまで、最後のレベルIIが繰り返される。
【0025】
スキューが代わりに反時計回りのときは、同じだがミラーリングされた計算が実施される。
角度決定が準備できると、画像中のコーナ位置が、ドキュメントの全てのIR画素が内側に収まることのできる最小の矩形として決定される。これを図6に例示するが、図6は、スキューイング手順によって決定された矩形の内側に収まる紙幣のIR画像を示す。
【0026】
コーナ位置は、スキュー角度と共に、画像プロセッサに関して構成された記憶装置に記憶される。
このプロセスの後は、図6のように、スキュー角度、およびxy座標0,0としてのドキュメント位置左上を処理することによってドキュメントの画素が読み取られる。
【0027】
代替の一実施形態によれば、代わりに、紙幣コーナの位置および水平な線に対する角度を識別して三角法計算によってサイズおよび位置を決定することによって、BIの位置およびサイズが決定される。これは、BI画像とIR画像のいずれに対しても実施することができる。
【0028】
B−紙幣面分類ステップ
このステップに対する仮定は、紙幣画像のサイズが決定済み(整合ステップAで)であることであり、このステップの目的は、走査された紙幣を識別して配向および側を識別することである。以下に一実施形態について詳細に論じるが、この情報はシステムの他のセンサから、すなわち入力紙幣に対して真正性を検証するように構成された他のセンサからすでに利用可能な場合もあるので、他の多くの代替形態も存在する。しかしこのステップは、残りのステップCおよびDの前に実施しなければならない。
【0029】
サイズに基づいて、このサイズに関係する記憶済みの金種データが識別される。
例えば、ある特定のサイズは、4つの異なる金種データ、すなわち、表側(正しく配向された上向きと下向き)および裏側(正しく配向された上向きと下向き)が記憶されている。場合によっては、例えばある紙幣について異なるバージョンが発行されている場合には、さらに多数の異なる金種データが記憶されていることもある。
【0030】
記憶済みの各金種データにつき、いくつかのフィールドが識別されるが、これらのフィールドは、紙幣の識別部分の一意のセットを表すように注意深く選択される。これらのフィールドは、白(または明るい色)であるべき紙幣部分とすることができる。選択されるフィールドの数は、紙幣の外観によって決まる。例えば、かなり彩色された紙幣は、より多くのフィールドを必要とする。また、特定のフィールドの幾何形状は、紙幣の外観との関連で選択され、矩形、円形、または任意の適した形状とすることができる。
【0031】
4つの金種データが使用される場合、それぞれのデータフィールド全てが検出紙幣画像と比較され、次いで、記憶済み金種データのうちの1つの金種データのフィールドに対応するフィールドを有する紙幣として、検出紙幣の金種が識別される。この結果、金種、ならびに、検出紙幣画像が紙幣のどの側および配向に関係するかが識別される。
【0032】
より詳細には、このステップは、決定されたサイズの紙幣に共に一意である、所定数のサンプル領域を使用して実施される。分類は、紙幣面分類ユニットにより、整合された紙幣画像の各サンプル領域の画素値に関係する少なくとも1つの値を計算し、この少なくとも1つの画素値を、特定の紙幣面を表す指定の値と比較して、紙幣画像の面および配向を決定することによって、実施される。
【0033】
このステップでは、画像が紙幣のどの面(側)を表すかが決定され、また紙幣の配向も決定される。
図7に、1枚の紙幣の4つの異なる画像、すなわち表側、裏側(上段)、および180度回転された各側(下段)を示す。
【0034】
紙幣画像ドキュメントは、認識されたサイズおよび認識された面の画像として分類され、あるいは分類されないと見なされる場合もある。
紙幣の面は、小さい矩形または他の任意の形状(例えば円形)のサンプル領域を使用して認識されるが、これらのサンプル領域は共に、決定されたサイズの面に一意である。特定の紙幣はそれぞれ、4つの異なる画像によって表され、各画像はその面サンプル領域を有する。これは図7に例示されており、4つの異なる画像は、表側、裏側、および180度回転された各側である。
【0035】
領域は、領域中の暗い画素の数によって識別される。層(CMY)の任意の組合せ、および任意のしきい値レベルを、各領域に個別に適合させることができる。
したがってこの結果、面識別の数値と、面が逆さまかどうかについての情報とが得られる。分類されない面の場合は、紙幣は着色紙幣として分類されることになる。検出紙幣の識別された面に関する情報は、後続のステップで、参照紙幣画像(RBI)の対応する面が使用されることになるので必要である。
【0036】
C−印刷パターン位置決めステップ
製造公差に関係するわずかな差があるため、紙幣上の印刷パターンは、個別の紙幣ごとの個別の所定位置に位置する。したがって、参照紙幣画像との正確な比較を実施できるように、紙幣についてパターン位置を正確に決定しなければならない。
【0037】
したがって、比較ステップが実施される前に、検出画像が既知の位置に位置決めされることが極めて重要である。
図8に、パターン位置を突き止めるステップを例示する。
【0038】
これを実施するために、2つの事前画定済みの限られた領域、すなわち図8に示す1つの水平領域Xおよび1つの垂直領域Yが識別される。
図8の領域Xに関して、この限られた領域が走査されて、線パターン(図中のストリップまたは線S)が生み出される。線パターンは、領域中の1つの垂直列の中の全ての画素の平均値を計算してから、全ての平均値を並べることによって生み出される。この結果、画定された領域全体を表す小さいデータエリアが得られる。各面/走査につき個別に、CMYの事前定義済みの層が1つだけ選択される(ただし図では単色のグレーとして示されている)。
【0039】
走査された線パターンSは、参照線パターンRと比較される。線中の全ての画素の差abs(R−S)の合計を比較することでRとSをいくつかの異なる位置でRとSを照合するのを試みることにより、最もよく一致する調整位置のオフセットが得られる。金属細片など、パターンに位置的に関係しないオブジェクトは、マスキングによって除外され、比較に含められない。調整される位置は、線Rとして図示され、調整済み位置線Aに移動される。参照線パターンRは通常、パターン照合される800個の走査画像からの平均値から生み出される。
【0040】
図6に、照合ステップの間の、調整されるストリップすなわち照合されるパターン位置を拡大した詳細を示す。ここでは、異なるストリップをRx、Ax、およびSxとして示す。
【0041】
好ましくは、参照線Rが、調整済み位置線Aに移動され、これにより、走査された線画像Sに対する良好な照合が達成される。しかし、重要な特徴は、線Rが移動されるか線Sが移動されるかにかかわらず、走査された線画像Sが、良好な照合を達成するために参照線Rに対してどれだけ移動されなければならないかである。
【0042】
水平パターンX照合のためのこのプロセスが、垂直パターンY照合について繰り返される。xおよびyのオフセットは、後でパターン比較ステップ中に参照するために保存される。
【0043】
この位置決めステップにより、紙幣上の絵(パターン)が、参照画像のパターンに対して正しく位置決めされることに留意されたい。これは、次のステップで非常に正確な結果を得るために必要である。
【0044】
紙幣を正しく位置決めするために代わりに例えば紙幣のコーナを使用すると、紙幣は、次のステップで可能な最高の検出成果が確実に得られるほど十分に正確には位置決めされないことになる。例えば、紙幣上の絵は、紙の上のちょうど同じ場所に位置決めされないことが多く、また、コーナのサイズ、そして位置は、異なる紙幣間で1または2ミリメートルまでずれることがある。
【0045】
参照紙幣画像(RBI)の前処理
調べるべき紙幣との比較ステップを実施するために、紙幣の各面の参照画像を生み出さなければならない。
【0046】
参照画像を生み出すためのこのプロセスは、紙幣検出器デバイスが使用に向けてセットアップされるときに、それに先立って一度だけ行われる。したがって、強奪によるインク色があるかどうか紙幣全体を走査できるようになる前に、印刷された色が紙幣の正常パターンとしてどこにすでに存在するかを知るために、また通常の既存の汚れがどのように見えるかを知るために、各面についての参照画像が利用可能でなければならない。
【0047】
図10に、通常200枚の街頭で使用される品質の紙幣からの各画素位置の画素の平均値を計算することによって生み出された参照画像を例示する。
好ましい一実施形態によれば、通常の200枚の紙幣が、検出器マシン、例えばCISセンサ中で走査される。枚数は少なくとも100枚でなければならず、可能なら400枚もの枚数とする。個別の検出器特有の不正確など、繰り返され得る不正確を回避するために、画像は、マシン中の2つの異なる検出器から、かつ異なる走査面および方向からサンプリングされる。紙幣は、通常の既存の汚れなどを含む、街頭で使用される品質であるべきである。
【0048】
走査された画像は、RGB画像としてRBI記憶装置に記憶される。画像をさらに処理するのを容易にするために、画像は「反転」されてCMY画像(シアン、マゼンタ、黄)として記憶されることが好ましい。
【0049】
次いで、1枚の紙幣についての800個の画像全て(表側、裏側、および180度回転された各側)が、パターンによって共に照合される。パターン照合を実施するために前述の印刷パターン位置決めステップ(C)が使用されるが、最終的な参照線パターンはこの平均画像に基づくので、最初の反復では、品質の良い単一の紙幣から生み出された一時的な参照線パターンが使用される。パターン照合の後、各画素位置の画素の平均値を計算することによって参照画像が生み出される。
【0050】
ある反復方法では、参照画像の品質を高めるために、この最初に生み出された参照画像を今度は使用して、ステップCで使用されることになる新しいより良い参照線パターンが生み出される。次いで、800個の画像から参照画像平均値を生み出すためのこのプロセスが繰り返されるが、品質の良い単一の紙幣を使用する代わりに、改善された平均値参照線パターンデータが使用される。
【0051】
反復された参照画像は、もはやわずかな個々の紙幣の紙も存在しない(すなわちパターンおよび汚れが明るくなり始める)端を推定することによって、切り取られる(図11の外側の線)。この結果、平均サイズではなく最小の紙サイズの参照サイズとなるはずである。
【0052】
この結果は参照線パターンのみのためであり、平均画像全体は使用されず、平均画像全体は、新しい画定領域を用いて修正参照線パターンを再び生み出すためにのみ保存することができる。
【0053】
図11に、街頭で使用される品質の処理済み参照紙幣画像を示す。
最終的な参照線パターンが用意できた後、色検出の目的で参照紙幣画像が生み出される。
【0054】
検出目的の参照画像は、個別の紙幣製造パターンの暗さまたは個別の汚れなどによる、個別の通常のより暗い検出紙幣を受容すべきである。加えて、検出目的の参照画像は、検出紙幣について突き止められた位置の、より小さい個別の不一致も受容すべきである。
【0055】
800個の画像全てが再び使用され、パターン位置を突き止めることによって照合された後、800個の各画像につき、各CMY層の画素が、平均値とそれに加えて1つの標準偏差によって別個に計算される。これにより、参照画像はより暗くなる。
【0056】
さらに、結果として得られた参照画像で開始して、各画素が8つの最も近い隣接位置に移動されて、同一画像だが9つの異なる位置を有する合計9つの画像が生み出される。9つの画像のCMY層は、最も暗い画素を選択することによって別々にマージされる。これにより、参照画像は、不一致の検出紙幣に対してより感度が低くなる。
【0057】
各面についての、参照線パターンと処理済み参照画像とからなる結果が、ターゲットシステム中の検出アプリケーションによってマージされる。この処理済み参照紙幣画像は、RBIとして示され、RBI記憶装置に記憶される。この画像を図11に示す。
【0058】
D−比較ステップ
ここで、紙幣処理機に挿入された紙幣の処理に戻る。
ステップCに従ってパターン位置の場所が決定された後、紙幣画像は、色検出アルゴリズムによって異なるように処理されることになる異なる画定済み検出ゾーンに分割される。
【0059】
図12に、紙幣の、マスキングによって除外されて検出されない領域を示す。
事前画定される検出不可能ゾーンは、金属細片など、パターンに位置的に関係しないオブジェクトを含むかもしれない領域である。これらの領域は、マスキングによって除外され、検出されない。
【0060】
参照画像内の一致する全ての領域は、参照検出によって検出される。参照画像外の領域は、図12でマゼンタによってマークされている(矢印参照)白い領域である場合は、非参照検出によって検出され、参照外の領域がパターン領域である場合は、その領域は検出不可能であり、単にマスキングによって除外される(マゼンタゾーンが切り取られている図示を参照)。
【0061】
画像中の検出可能な各画素は、検出のために反復され、着色値として示される。着色値は、明確にインク彩色された染みではより高く、より疑わしいインク彩色された染みではより低い着色値になる。全ての画素の着色値の合計値が事前定義済みレベルを超える場合、紙幣は着色紙幣として分類されることになる。
【0062】
図13に画像画素グリッドを例示するが、ここで、dpは検出画素を示し、apは周囲画素を示す。
例えば光学干渉により、正のインク検出となる個別の単一画素が多く存在するので、検出は、単一のピクセルが着色値を生じることがないようにセットアップされる。一実施形態によれば、4つの最も近い周囲画素と合わせての検出画素dpのみを、着色された染みとして検出することができる。検出画素は検出色アルゴリズムによって検出されるが、周囲画素の条件がCMY色レベルで検出画素と一致しさえすれば、着色された染みが生み出される、すなわち検出画素が適格とされる。このステップでは、より少数またはより多数の周囲画素を使用してもよく、選択される数はとりわけ、必要とされる精度および利用可能な処理能力によって決まる。例えば、これに関して8個または12個の周囲画素を使用することもできる。
【0063】
画素の色分類について以下に論じる。
検出の目的で、各検出画素の色が分類される。図14〜16に、いくつかのカラーCMYダイアグラムを示すが、これらはグレースケールのみで示してある。カラーダイアグラムは、純粋なカラー合成のみを示し、黒に至るグレースケールは、ダイアグラムには示されていないが、分類に含まれる。
【0064】
図14は、グレースケールで示されているが、非グレー色ダイアグラムであり、シアン、黄、およびマゼンタが示されている。
クラス「グレー色」は、非グレーダイアグラムの中央部分であり、白から黒までの全てのグレースケールを含む。この目的は、検出がグレー色の影響をより受けにくくすることである。というのは、取り込まれた画像は、多くのグレースケール陰影と、グレースケールの影響を受けやすい欠陥とを生み出すからである。
【0065】
図15は、汚れ色ダイアグラムである。
クラス「汚れ色」は、めったに存在しない強奪によるインク色であり、このスペクトルは(グレーを除いて)、汚れでは最も一般的である。このクラスは、色検出に対する感度がより低い。
【0066】
図16は、高利得色ダイアグラムである。
クラス「高利得色」は、典型的には低レベル色でもある、存在する特定の単色の強奪インク色である。したがって、これらの特定の色、すなわちシアンおよびマゼンタは、特別に高感度の検出を用いて扱われる。
【0067】
色検出アルゴリズムについて以下に述べる。
反復される全ての検出画素について、CMY値がしきい値レベルを超えなければならず、しきい値レベルは通常、参照紙幣画像(RBI)によって決定される。次いで、検出画素が周囲画素の色と一致しなければならず、次いで、検出画素について着色値が決定される。
【0068】
より詳細には、これは、以下に述べるようにして実施される。
各検出画素位置が反復される。参照検出の場合は、参照画像位置からCMY値を読み出すことによってCMYしきい値レベルが見出され、非参照検出の場合は、しきい値レベルは固定である。検出画素のCMY値が読み出される。検出画素の色が事前定義済みの「高利得色」であり、全てのCMYしきい値レベルが80未満(すなわち明るい領域のみ)である場合は、しきい値レベルは、一層感度を高めるために半分に下げられる。
【0069】
検出画素のCMY値は、CMYしきい値レベルと比較される。全てのCMY値がしきい値レベル未満である場合は、検出画素は、着色されたのではない染みと見なされ、そうでない場合は、検出画素の色は分類される、すなわち着色値が与えられる。グレーまたは汚れ色のクラスの場合は、しきい値レベルは高められることになり、より高いしきい値レベルで比較が繰り返されるが、検出画素は、着色されたのではない染みである場合があり、そうでない場合は、検出は、検出画素を周囲画素と比較することによって継続する。周囲画素のいずれかが検出画素と異なるレベルを有する場合は、その染みは着色されたのではないと見なされ、そうでない場合は、着色値を評価することによって検出が継続する。
【0070】
着色値は、検出画素のCMY値がどれくらいしきい値レベルを超えるかに従って漸進的な値によってカウントされ、最も高い超過CMY値のみが、着色値の基礎である。最後に、検出画素の色クラスがグレーまたは汚れ色である場合、着色値は下げられることになるか、あるいは、着色されたのではないとして無視されてもよい。
【0071】
反復された全ての画素について結果が合計されて、紙幣全体の総着色値となる。総着色値が事前定義済みのレベルを超える場合は、紙幣は着色されていると見なされ、比較ユニットによって非受容信号が生成される。そうでない場合は、受容信号が生成される。
【0072】
要約すれば、比較ステップは、以下のとおり2つの異なるサブステップまたはサブテストを含む。
しきい値テスト−BI画素がカラースケール「グレー」中にある場合にのみ適用される。
【0073】
染みテスト−染みと見なされるためには、1つのピクセルのみが必要とされるのではなく、好ましくは検出画素および4つの周囲画素が本質的に同じ色であるべきである。
染みテストを実施するための一要件は、検出画素および4つの周囲画素(図13参照)が本質的に同じ色であることであり、次いで、RBI中の対応する画素に対する検出画素の差分値が決定される。
【0074】
カラーダイアグラムの異なる部分は、異なる関連するポイントを有する。検出された差分画素の色を決定しなければならない。検出差が、受容される検出差であるかどうかはまた、識別された検出差分画素の色がカラーダイアグラム中のどこに位置するかにも依存する。
【0075】
画素が緑/赤の部分にある場合は、より高いポイントが着色値に与えられる。
画素がグレーまたは茶色の部分にある場合は、相対的により低いポイントが着色値に与えられる。
【0076】
加えて、RBI画素値とBI画素値の間の大きい差が決定された場合は、例えば漸進的なスケールに従って、追加のより高い「ポイント」をその画素の着色値に与えてもよい。
比較ステップの概観について以下に述べる。
【0077】
ステップ1:dpおよび4つのapの色がほぼ同じである場合は、次のステップに進み、そうでない場合は次のdpに進む。
ステップ2:BIのdpと、対応するRBI画素との色を比較し、これらの色の差を表す差分値DVを決定する。
【0078】
ステップ3:カラーダイアグラム中における、BIのdpの位置を決定し、その位置に関係する色値CVを決定する。
ステップ4:DVをCVと比較し、DVがCVを超える場合は、紙幣に関する着色値計算にDVを加える。
【0079】
ステップ5:紙幣全体の総着色値が事前設定済みのしきい値を超える場合は、紙幣は受容されないものとして、すなわち着色されているとして分類される。
一例として、ポイント付与機能の結果、紙幣上で少数の鮮明な赤い染みが検出された場合はインク着色検出となり、紙幣上で多数の小さい赤い染みが検出された場合もまた、インク着色検出となりインク着色検出を示す。これは、赤い色にはカラーダイアグラム中で高いポイントが与えられ、鮮明な色(より高い検出差分を意味する)にもまた、より高いポイントが与えられることによる。
【0080】
紙幣検出器デバイスに対する具体的な一要件は、全てのテストを最大100ミリ秒の時間中に実施しなければならないことである。
この理由は、検出が実施された後、すなわち紙幣がセンサを通った後は、供給路に沿って分岐点まで継続し、分岐点で、受容されない紙幣は別個の供給路にルーティングされるが、分岐点までの供給路に沿った距離が長すぎてはならないからである。
【0081】
本発明は、前述の好ましい実施形態に限定されない。様々な代替、修正、および均等物を使用することができる。したがって、以上の実施形態は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルによる方法およびデバイスに関する。
本発明は、紙幣の真正性、価値、および不適当性(劣化)の程度をチェックおよび決定するための技術およびデバイスに関し、より詳細には、インク着色アンプルが備わったカセットを許可なく開いた結果としてインク着色された1枚または複数枚の偽造紙幣を検索および発見するための、紙幣処理機または現金自動預払機(ATM)に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュレス社会の到来が数多く予見されてきたにもかかわらず、流通している現金の量は減少していない。今日、EUにおいて毎年、推定3600億の取引があり、これは600億の非現金取引と比較される。現金の扱いは、消費者、小売業者、銀行、キャッシュセンター、および国立銀行との間で多くの手作業の処理および輸送を未だに伴う、非常にコストのかかる作業である。この流通の間に現金は何度も数えられ、セキュリティの問題は広範囲にわたる。欧州連合における現金処理の毎年のコストは、約500億ユーロである。
【0003】
従来の紙幣ソート/カウントデバイスは、任意の発行、価値、および国の紙幣を、自動的に処理するように設計される。デバイスの動作の基礎となるプロセスは、とりわけ可視スペクトル範囲および赤外線スペクトル範囲における、紙幣の両側の完全な画像(走査デバイスによって得られたもの)を使用して、紙幣の真正性、金種、および劣化レベルを決定することからなる。これらの画像は、コンピューティングユニットに送られてそこで処理されるが、この処理では、事前インストール済みのパターン認識ソフトウェアの助けにより、得られた画像が参照画像と比較される。
【0004】
紙幣を偽造から守るためにいくつかの異なる対策が講じられてきたが、これは例えば、いわゆる条件等色インクで紙幣上に絵を印刷することによるものであり、これらの絵は、裸眼では見ることができず、赤外線スペクトル中でのみ現れる。具体的な赤外線画像がわかっていれば、条件等色インクが利用可能か存在しないかについて紙幣表面上のいくつかの特定箇所をチェックする検出器を開発することが可能である。
【0005】
EP−1160737は、紙幣の真正性、価値、および劣化レベルを決定する方法、ならびに、ソート/カウントデバイスに関する。
WO−95/24691は、複数の金種の本物の紙幣の、関連する所定の表面に対応するマスタ特性パターンを記憶するメモリをとりわけ備えた、ドキュメントを区別およびカウントするための方法および装置に関する。
【0006】
GB−2199173は、紙幣の特性領域のみからデータを抽出することによって動作を実施するように適合された、紙幣を区別するデバイスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者らは、強奪の結果としてインク着色された紙幣に関する検出能力の改善の必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的は、独立請求項に従った本発明により達成される。
好ましい実施形態は、従属請求項に示す。
したがって、本発明によれば、インク着色された紙幣を検出する能力を改善するための方法およびデバイスが構成される。
【0009】
要約すれば、本方法は、
A)入力紙幣の記憶済みIR画像を使用して紙幣画像の1つの辺が参照紙幣画像(RBI)の対応する辺に対して整合され、紙幣サイズが決定される整合ステップと、
B)紙幣画像の面および配向が決定される紙幣面分類ステップと、
C)紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決めステップと、
D)紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にあるBIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに比較され、その結果として入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ステップとを含む。
【0010】
次に、添付の図面を参照しながら本発明について詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を例示する流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態を例示するブロック図である。
【図3】本発明を例示する別の流れ図である。
【図4】画像にどんな処理も施される前の、強奪によってインク着色された紙幣の生画像を示す図である。
【図5】スキューイング手順の前の紙幣のIR画像の図である。
【図6】スキューイング手順において決定された矩形の内側に収まる紙幣のIR画像を示す図である。
【図7】1枚の紙幣の4つの異なる画像、すなわち表側、裏側(上段)、および180度回転された各側(下段)を示す図である。
【図8】パターン位置を突き止めるステップを例示する図である。
【図9】照合ステップの間の照合されるパターン位置を拡大した詳細を示す図である。
【図10】通常200枚の街頭で使用される品質の紙幣からの各画素位置の画素の平均値を計算することによって生み出された参照画像を例示する図である。
【図11】街頭で使用される品質の処理済み参照紙幣画像を示す図である。
【図12】紙幣の、マスキングによって除外されて検出されない領域を示す図である。
【図13】画像画素グリッドを例示する図である。
【図14】グレースケールで示されているが、非グレー色ダイアグラムであり、シアン、黄、およびマゼンタが示されている。
【図15】汚れ色のダイアグラムである。
【図16】高利得色のダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による紙幣検出器デバイスは、標準的なATMの別個のモジュールとして構成することもでき、あるいは、利用可能な画像検出器を使用した、標準的なATMに内蔵された部分として実現することもできる。上に示したように、本発明による紙幣検出器は特に、インク着色された紙幣を検出し、識別し、選り分けるのに適する。この紙幣検出器デバイスは、偽札検出専用の他の検出器デバイスと共に使用されてもよい。本発明による検出器デバイスは、適切にセットアップされればこの点に関しても使用できることを理解されたい。
【0013】
図2を参照すると、検出は紙幣画像センサによって実施されるが、紙幣画像センサは、好ましくは、2つの物理検出器ユニットを備え、紙幣の各側につき1つの検出器がある。検出器のうちのいずれかが、着色された面を検出した場合、その紙幣は着色されていると見なされる。紙幣処理デバイスは、この紙幣画像センサと、好ましくは赤外線(IR)画像センサと、画像プロセッサとを備える。画像プロセッサは、記憶装置と、参照紙幣画像(RBI)記憶装置と、整合ユニットと、紙幣面分類ユニットと、位置決めユニットと、比較ユニットとを備える。紙幣のIR画像は、対応する紙幣画像にリンクされるようにして記憶装置に記憶される。後で論じるように、IR画像センサは不要とすることもできる。また、紙幣整合および紙幣分類は他の手段によって実施することもできるが、後続の記述から明確になるように、対応する方法ステップの結果がステップCおよびDの必要要件であるので、図2にはこれらのユニットが含まれている。
【0014】
画像プロセッサは、検出された画像を表す画像信号を検出器から受け取り、次いで、画像信号を処理する。
紙幣画像は、1つの赤外線(IR)層およびRBG(赤、青、緑)の各色の層、すなわち合計4層を含む。IR層の解像度は864×300画素であることが好ましく、RGBの各層は、解像度432×300画素の、方眼の対称画素である。しかし、アルゴリズムを単純にするために、IR層は、方眼の対称432×300画素によってのみ対処され効果的に使用される。各対称画素は、0.5×0.5mmを表す。全ての画素は0〜255の値を有し、0が最も暗い。紙幣画像をアルゴリズムに従って処理するとき、カラー画像層が読み取られて反転CMY(シアン、マゼンタ、黄)としてカウントされるが、この場合は255が最も暗い。CMYを使用して、白い紙の上におけるカラー印刷の量の論理値が定義される。本発明は、処理の目的でRBGが代わりに使用される場合でも、等しく適用可能であることに留意されたい。
【0015】
紙幣のRGB画像は、カラー密着画像センサすなわちCISセンサによって得られることが好ましい。
一実施形態によれば、紙幣を引っ張ってセンサを通すことができるように、紙幣はCISセンサから最大1mm離れている。
【0016】
別の実施形態では、紙幣は、機械的に移動されてCISセンサを通り、センサの方に押し付けられる。この場合、より正確な測定値が得られ、例えばIRセンサを不要とすることができる。
【0017】
図4の例示に、画像にどんな処理も施される前の、強奪によってインク着色された紙幣の表側の生画像を示す。この場合はスウェーデン100クローナ紙幣である。
次に、図1、3、および4〜15を参照しながら、ステップA、B、C、およびDを含む本発明による方法について述べる。
【0018】
A−整合ステップ
このステップの目的は、紙幣のサイズを決定するために、走査された紙幣を整合することである。これは、図5に概略的に例示するいわゆる「スクイージング(squeezing)法」によって実施されることが好ましく、図5は、整合されていない紙幣のIR画像を示す。整合ステップでは、濃い矩形のIR紙幣画像が使用されることが好ましい。代替の一実施形態によれば、代わりに整合は、紙幣画像センサによって得られた紙幣画像を使用して実施される。
【0019】
紙幣画像である濃い矩形と、水平な線との間の角度が決定され、次いで紙幣画像は、水平位置にくるまで、すなわち長い方の辺が水平になるまで、反復的に回転される。整合を実施するとき、紙幣の任意の辺を使用できることに留意されたい。次いで、この辺の配向が、参照紙幣画像の対応する辺の配向と比較される。反復の間、紙幣画像の最初の回転は、幾分大きく、次の回転は、例えば最初の回転の半分となる。
【0020】
整合ステップは、検出された全ての紙幣に対して実施されることに留意されたい。
手順のこのステップは、紙幣画像を、事前定義済みの位置で例えば水平に配向または整合するものであり、これは後続の各ステップを実施するときの仮定である。
【0021】
このステップによれば、ドキュメントの垂直高さが最小となるスキュー角度を識別することによって、矩形またはほぼ矩形の紙幣画像ドキュメントの角度が決定される。
したがって、この目的でIR画像が使用される。IR画像の品質は、ドキュメントの外ではどんな濃い画素も示さないような画質でなければならない。しきい値を使用して、濃い画素が示される。整合ステップの間、種々のスキュー角度が試され、最小の高さとなる角度が見つかるまで高さが測定される。
【0022】
使用されるプログラミング技法に関係する実際上の理由で、角度スキューが実施されるときに画像データが移動されることはないが、その代わり、読取プロセスは、事前設定済みの角度に従って、角度スキューのxy座標の再カウントを実施する。
【0023】
スキューイング手順の前の紙幣のIR画像を示す図5を参照すると、この時計回りのスキューにおいて、高さはy1p−y0nとして測定される。4つの点y0n、y0p、y1n、y1pを全て使用して、およその補正角度が計算される。角度の補正後、新しい補正を使用してプロセスが繰り返される。
【0024】
差((y1p−y0n)−(y1n−y0p))の小さい、「レベルI」と呼ばれるとき(すなわち角度が小さい)は、補正はおよその計算値の1/2だけである。さらに差の小さい、「レベルII」と呼ばれるときは、補正はおよその計算値の1/4だけである。これは、最も適合する角度を見逃さないようにするためである。高さの変化をそれ以上決定できなくなるまで、最後のレベルIIが繰り返される。
【0025】
スキューが代わりに反時計回りのときは、同じだがミラーリングされた計算が実施される。
角度決定が準備できると、画像中のコーナ位置が、ドキュメントの全てのIR画素が内側に収まることのできる最小の矩形として決定される。これを図6に例示するが、図6は、スキューイング手順によって決定された矩形の内側に収まる紙幣のIR画像を示す。
【0026】
コーナ位置は、スキュー角度と共に、画像プロセッサに関して構成された記憶装置に記憶される。
このプロセスの後は、図6のように、スキュー角度、およびxy座標0,0としてのドキュメント位置左上を処理することによってドキュメントの画素が読み取られる。
【0027】
代替の一実施形態によれば、代わりに、紙幣コーナの位置および水平な線に対する角度を識別して三角法計算によってサイズおよび位置を決定することによって、BIの位置およびサイズが決定される。これは、BI画像とIR画像のいずれに対しても実施することができる。
【0028】
B−紙幣面分類ステップ
このステップに対する仮定は、紙幣画像のサイズが決定済み(整合ステップAで)であることであり、このステップの目的は、走査された紙幣を識別して配向および側を識別することである。以下に一実施形態について詳細に論じるが、この情報はシステムの他のセンサから、すなわち入力紙幣に対して真正性を検証するように構成された他のセンサからすでに利用可能な場合もあるので、他の多くの代替形態も存在する。しかしこのステップは、残りのステップCおよびDの前に実施しなければならない。
【0029】
サイズに基づいて、このサイズに関係する記憶済みの金種データが識別される。
例えば、ある特定のサイズは、4つの異なる金種データ、すなわち、表側(正しく配向された上向きと下向き)および裏側(正しく配向された上向きと下向き)が記憶されている。場合によっては、例えばある紙幣について異なるバージョンが発行されている場合には、さらに多数の異なる金種データが記憶されていることもある。
【0030】
記憶済みの各金種データにつき、いくつかのフィールドが識別されるが、これらのフィールドは、紙幣の識別部分の一意のセットを表すように注意深く選択される。これらのフィールドは、白(または明るい色)であるべき紙幣部分とすることができる。選択されるフィールドの数は、紙幣の外観によって決まる。例えば、かなり彩色された紙幣は、より多くのフィールドを必要とする。また、特定のフィールドの幾何形状は、紙幣の外観との関連で選択され、矩形、円形、または任意の適した形状とすることができる。
【0031】
4つの金種データが使用される場合、それぞれのデータフィールド全てが検出紙幣画像と比較され、次いで、記憶済み金種データのうちの1つの金種データのフィールドに対応するフィールドを有する紙幣として、検出紙幣の金種が識別される。この結果、金種、ならびに、検出紙幣画像が紙幣のどの側および配向に関係するかが識別される。
【0032】
より詳細には、このステップは、決定されたサイズの紙幣に共に一意である、所定数のサンプル領域を使用して実施される。分類は、紙幣面分類ユニットにより、整合された紙幣画像の各サンプル領域の画素値に関係する少なくとも1つの値を計算し、この少なくとも1つの画素値を、特定の紙幣面を表す指定の値と比較して、紙幣画像の面および配向を決定することによって、実施される。
【0033】
このステップでは、画像が紙幣のどの面(側)を表すかが決定され、また紙幣の配向も決定される。
図7に、1枚の紙幣の4つの異なる画像、すなわち表側、裏側(上段)、および180度回転された各側(下段)を示す。
【0034】
紙幣画像ドキュメントは、認識されたサイズおよび認識された面の画像として分類され、あるいは分類されないと見なされる場合もある。
紙幣の面は、小さい矩形または他の任意の形状(例えば円形)のサンプル領域を使用して認識されるが、これらのサンプル領域は共に、決定されたサイズの面に一意である。特定の紙幣はそれぞれ、4つの異なる画像によって表され、各画像はその面サンプル領域を有する。これは図7に例示されており、4つの異なる画像は、表側、裏側、および180度回転された各側である。
【0035】
領域は、領域中の暗い画素の数によって識別される。層(CMY)の任意の組合せ、および任意のしきい値レベルを、各領域に個別に適合させることができる。
したがってこの結果、面識別の数値と、面が逆さまかどうかについての情報とが得られる。分類されない面の場合は、紙幣は着色紙幣として分類されることになる。検出紙幣の識別された面に関する情報は、後続のステップで、参照紙幣画像(RBI)の対応する面が使用されることになるので必要である。
【0036】
C−印刷パターン位置決めステップ
製造公差に関係するわずかな差があるため、紙幣上の印刷パターンは、個別の紙幣ごとの個別の所定位置に位置する。したがって、参照紙幣画像との正確な比較を実施できるように、紙幣についてパターン位置を正確に決定しなければならない。
【0037】
したがって、比較ステップが実施される前に、検出画像が既知の位置に位置決めされることが極めて重要である。
図8に、パターン位置を突き止めるステップを例示する。
【0038】
これを実施するために、2つの事前画定済みの限られた領域、すなわち図8に示す1つの水平領域Xおよび1つの垂直領域Yが識別される。
図8の領域Xに関して、この限られた領域が走査されて、線パターン(図中のストリップまたは線S)が生み出される。線パターンは、領域中の1つの垂直列の中の全ての画素の平均値を計算してから、全ての平均値を並べることによって生み出される。この結果、画定された領域全体を表す小さいデータエリアが得られる。各面/走査につき個別に、CMYの事前定義済みの層が1つだけ選択される(ただし図では単色のグレーとして示されている)。
【0039】
走査された線パターンSは、参照線パターンRと比較される。線中の全ての画素の差abs(R−S)の合計を比較することでRとSをいくつかの異なる位置でRとSを照合するのを試みることにより、最もよく一致する調整位置のオフセットが得られる。金属細片など、パターンに位置的に関係しないオブジェクトは、マスキングによって除外され、比較に含められない。調整される位置は、線Rとして図示され、調整済み位置線Aに移動される。参照線パターンRは通常、パターン照合される800個の走査画像からの平均値から生み出される。
【0040】
図6に、照合ステップの間の、調整されるストリップすなわち照合されるパターン位置を拡大した詳細を示す。ここでは、異なるストリップをRx、Ax、およびSxとして示す。
【0041】
好ましくは、参照線Rが、調整済み位置線Aに移動され、これにより、走査された線画像Sに対する良好な照合が達成される。しかし、重要な特徴は、線Rが移動されるか線Sが移動されるかにかかわらず、走査された線画像Sが、良好な照合を達成するために参照線Rに対してどれだけ移動されなければならないかである。
【0042】
水平パターンX照合のためのこのプロセスが、垂直パターンY照合について繰り返される。xおよびyのオフセットは、後でパターン比較ステップ中に参照するために保存される。
【0043】
この位置決めステップにより、紙幣上の絵(パターン)が、参照画像のパターンに対して正しく位置決めされることに留意されたい。これは、次のステップで非常に正確な結果を得るために必要である。
【0044】
紙幣を正しく位置決めするために代わりに例えば紙幣のコーナを使用すると、紙幣は、次のステップで可能な最高の検出成果が確実に得られるほど十分に正確には位置決めされないことになる。例えば、紙幣上の絵は、紙の上のちょうど同じ場所に位置決めされないことが多く、また、コーナのサイズ、そして位置は、異なる紙幣間で1または2ミリメートルまでずれることがある。
【0045】
参照紙幣画像(RBI)の前処理
調べるべき紙幣との比較ステップを実施するために、紙幣の各面の参照画像を生み出さなければならない。
【0046】
参照画像を生み出すためのこのプロセスは、紙幣検出器デバイスが使用に向けてセットアップされるときに、それに先立って一度だけ行われる。したがって、強奪によるインク色があるかどうか紙幣全体を走査できるようになる前に、印刷された色が紙幣の正常パターンとしてどこにすでに存在するかを知るために、また通常の既存の汚れがどのように見えるかを知るために、各面についての参照画像が利用可能でなければならない。
【0047】
図10に、通常200枚の街頭で使用される品質の紙幣からの各画素位置の画素の平均値を計算することによって生み出された参照画像を例示する。
好ましい一実施形態によれば、通常の200枚の紙幣が、検出器マシン、例えばCISセンサ中で走査される。枚数は少なくとも100枚でなければならず、可能なら400枚もの枚数とする。個別の検出器特有の不正確など、繰り返され得る不正確を回避するために、画像は、マシン中の2つの異なる検出器から、かつ異なる走査面および方向からサンプリングされる。紙幣は、通常の既存の汚れなどを含む、街頭で使用される品質であるべきである。
【0048】
走査された画像は、RGB画像としてRBI記憶装置に記憶される。画像をさらに処理するのを容易にするために、画像は「反転」されてCMY画像(シアン、マゼンタ、黄)として記憶されることが好ましい。
【0049】
次いで、1枚の紙幣についての800個の画像全て(表側、裏側、および180度回転された各側)が、パターンによって共に照合される。パターン照合を実施するために前述の印刷パターン位置決めステップ(C)が使用されるが、最終的な参照線パターンはこの平均画像に基づくので、最初の反復では、品質の良い単一の紙幣から生み出された一時的な参照線パターンが使用される。パターン照合の後、各画素位置の画素の平均値を計算することによって参照画像が生み出される。
【0050】
ある反復方法では、参照画像の品質を高めるために、この最初に生み出された参照画像を今度は使用して、ステップCで使用されることになる新しいより良い参照線パターンが生み出される。次いで、800個の画像から参照画像平均値を生み出すためのこのプロセスが繰り返されるが、品質の良い単一の紙幣を使用する代わりに、改善された平均値参照線パターンデータが使用される。
【0051】
反復された参照画像は、もはやわずかな個々の紙幣の紙も存在しない(すなわちパターンおよび汚れが明るくなり始める)端を推定することによって、切り取られる(図11の外側の線)。この結果、平均サイズではなく最小の紙サイズの参照サイズとなるはずである。
【0052】
この結果は参照線パターンのみのためであり、平均画像全体は使用されず、平均画像全体は、新しい画定領域を用いて修正参照線パターンを再び生み出すためにのみ保存することができる。
【0053】
図11に、街頭で使用される品質の処理済み参照紙幣画像を示す。
最終的な参照線パターンが用意できた後、色検出の目的で参照紙幣画像が生み出される。
【0054】
検出目的の参照画像は、個別の紙幣製造パターンの暗さまたは個別の汚れなどによる、個別の通常のより暗い検出紙幣を受容すべきである。加えて、検出目的の参照画像は、検出紙幣について突き止められた位置の、より小さい個別の不一致も受容すべきである。
【0055】
800個の画像全てが再び使用され、パターン位置を突き止めることによって照合された後、800個の各画像につき、各CMY層の画素が、平均値とそれに加えて1つの標準偏差によって別個に計算される。これにより、参照画像はより暗くなる。
【0056】
さらに、結果として得られた参照画像で開始して、各画素が8つの最も近い隣接位置に移動されて、同一画像だが9つの異なる位置を有する合計9つの画像が生み出される。9つの画像のCMY層は、最も暗い画素を選択することによって別々にマージされる。これにより、参照画像は、不一致の検出紙幣に対してより感度が低くなる。
【0057】
各面についての、参照線パターンと処理済み参照画像とからなる結果が、ターゲットシステム中の検出アプリケーションによってマージされる。この処理済み参照紙幣画像は、RBIとして示され、RBI記憶装置に記憶される。この画像を図11に示す。
【0058】
D−比較ステップ
ここで、紙幣処理機に挿入された紙幣の処理に戻る。
ステップCに従ってパターン位置の場所が決定された後、紙幣画像は、色検出アルゴリズムによって異なるように処理されることになる異なる画定済み検出ゾーンに分割される。
【0059】
図12に、紙幣の、マスキングによって除外されて検出されない領域を示す。
事前画定される検出不可能ゾーンは、金属細片など、パターンに位置的に関係しないオブジェクトを含むかもしれない領域である。これらの領域は、マスキングによって除外され、検出されない。
【0060】
参照画像内の一致する全ての領域は、参照検出によって検出される。参照画像外の領域は、図12でマゼンタによってマークされている(矢印参照)白い領域である場合は、非参照検出によって検出され、参照外の領域がパターン領域である場合は、その領域は検出不可能であり、単にマスキングによって除外される(マゼンタゾーンが切り取られている図示を参照)。
【0061】
画像中の検出可能な各画素は、検出のために反復され、着色値として示される。着色値は、明確にインク彩色された染みではより高く、より疑わしいインク彩色された染みではより低い着色値になる。全ての画素の着色値の合計値が事前定義済みレベルを超える場合、紙幣は着色紙幣として分類されることになる。
【0062】
図13に画像画素グリッドを例示するが、ここで、dpは検出画素を示し、apは周囲画素を示す。
例えば光学干渉により、正のインク検出となる個別の単一画素が多く存在するので、検出は、単一のピクセルが着色値を生じることがないようにセットアップされる。一実施形態によれば、4つの最も近い周囲画素と合わせての検出画素dpのみを、着色された染みとして検出することができる。検出画素は検出色アルゴリズムによって検出されるが、周囲画素の条件がCMY色レベルで検出画素と一致しさえすれば、着色された染みが生み出される、すなわち検出画素が適格とされる。このステップでは、より少数またはより多数の周囲画素を使用してもよく、選択される数はとりわけ、必要とされる精度および利用可能な処理能力によって決まる。例えば、これに関して8個または12個の周囲画素を使用することもできる。
【0063】
画素の色分類について以下に論じる。
検出の目的で、各検出画素の色が分類される。図14〜16に、いくつかのカラーCMYダイアグラムを示すが、これらはグレースケールのみで示してある。カラーダイアグラムは、純粋なカラー合成のみを示し、黒に至るグレースケールは、ダイアグラムには示されていないが、分類に含まれる。
【0064】
図14は、グレースケールで示されているが、非グレー色ダイアグラムであり、シアン、黄、およびマゼンタが示されている。
クラス「グレー色」は、非グレーダイアグラムの中央部分であり、白から黒までの全てのグレースケールを含む。この目的は、検出がグレー色の影響をより受けにくくすることである。というのは、取り込まれた画像は、多くのグレースケール陰影と、グレースケールの影響を受けやすい欠陥とを生み出すからである。
【0065】
図15は、汚れ色ダイアグラムである。
クラス「汚れ色」は、めったに存在しない強奪によるインク色であり、このスペクトルは(グレーを除いて)、汚れでは最も一般的である。このクラスは、色検出に対する感度がより低い。
【0066】
図16は、高利得色ダイアグラムである。
クラス「高利得色」は、典型的には低レベル色でもある、存在する特定の単色の強奪インク色である。したがって、これらの特定の色、すなわちシアンおよびマゼンタは、特別に高感度の検出を用いて扱われる。
【0067】
色検出アルゴリズムについて以下に述べる。
反復される全ての検出画素について、CMY値がしきい値レベルを超えなければならず、しきい値レベルは通常、参照紙幣画像(RBI)によって決定される。次いで、検出画素が周囲画素の色と一致しなければならず、次いで、検出画素について着色値が決定される。
【0068】
より詳細には、これは、以下に述べるようにして実施される。
各検出画素位置が反復される。参照検出の場合は、参照画像位置からCMY値を読み出すことによってCMYしきい値レベルが見出され、非参照検出の場合は、しきい値レベルは固定である。検出画素のCMY値が読み出される。検出画素の色が事前定義済みの「高利得色」であり、全てのCMYしきい値レベルが80未満(すなわち明るい領域のみ)である場合は、しきい値レベルは、一層感度を高めるために半分に下げられる。
【0069】
検出画素のCMY値は、CMYしきい値レベルと比較される。全てのCMY値がしきい値レベル未満である場合は、検出画素は、着色されたのではない染みと見なされ、そうでない場合は、検出画素の色は分類される、すなわち着色値が与えられる。グレーまたは汚れ色のクラスの場合は、しきい値レベルは高められることになり、より高いしきい値レベルで比較が繰り返されるが、検出画素は、着色されたのではない染みである場合があり、そうでない場合は、検出は、検出画素を周囲画素と比較することによって継続する。周囲画素のいずれかが検出画素と異なるレベルを有する場合は、その染みは着色されたのではないと見なされ、そうでない場合は、着色値を評価することによって検出が継続する。
【0070】
着色値は、検出画素のCMY値がどれくらいしきい値レベルを超えるかに従って漸進的な値によってカウントされ、最も高い超過CMY値のみが、着色値の基礎である。最後に、検出画素の色クラスがグレーまたは汚れ色である場合、着色値は下げられることになるか、あるいは、着色されたのではないとして無視されてもよい。
【0071】
反復された全ての画素について結果が合計されて、紙幣全体の総着色値となる。総着色値が事前定義済みのレベルを超える場合は、紙幣は着色されていると見なされ、比較ユニットによって非受容信号が生成される。そうでない場合は、受容信号が生成される。
【0072】
要約すれば、比較ステップは、以下のとおり2つの異なるサブステップまたはサブテストを含む。
しきい値テスト−BI画素がカラースケール「グレー」中にある場合にのみ適用される。
【0073】
染みテスト−染みと見なされるためには、1つのピクセルのみが必要とされるのではなく、好ましくは検出画素および4つの周囲画素が本質的に同じ色であるべきである。
染みテストを実施するための一要件は、検出画素および4つの周囲画素(図13参照)が本質的に同じ色であることであり、次いで、RBI中の対応する画素に対する検出画素の差分値が決定される。
【0074】
カラーダイアグラムの異なる部分は、異なる関連するポイントを有する。検出された差分画素の色を決定しなければならない。検出差が、受容される検出差であるかどうかはまた、識別された検出差分画素の色がカラーダイアグラム中のどこに位置するかにも依存する。
【0075】
画素が緑/赤の部分にある場合は、より高いポイントが着色値に与えられる。
画素がグレーまたは茶色の部分にある場合は、相対的により低いポイントが着色値に与えられる。
【0076】
加えて、RBI画素値とBI画素値の間の大きい差が決定された場合は、例えば漸進的なスケールに従って、追加のより高い「ポイント」をその画素の着色値に与えてもよい。
比較ステップの概観について以下に述べる。
【0077】
ステップ1:dpおよび4つのapの色がほぼ同じである場合は、次のステップに進み、そうでない場合は次のdpに進む。
ステップ2:BIのdpと、対応するRBI画素との色を比較し、これらの色の差を表す差分値DVを決定する。
【0078】
ステップ3:カラーダイアグラム中における、BIのdpの位置を決定し、その位置に関係する色値CVを決定する。
ステップ4:DVをCVと比較し、DVがCVを超える場合は、紙幣に関する着色値計算にDVを加える。
【0079】
ステップ5:紙幣全体の総着色値が事前設定済みのしきい値を超える場合は、紙幣は受容されないものとして、すなわち着色されているとして分類される。
一例として、ポイント付与機能の結果、紙幣上で少数の鮮明な赤い染みが検出された場合はインク着色検出となり、紙幣上で多数の小さい赤い染みが検出された場合もまた、インク着色検出となりインク着色検出を示す。これは、赤い色にはカラーダイアグラム中で高いポイントが与えられ、鮮明な色(より高い検出差分を意味する)にもまた、より高いポイントが与えられることによる。
【0080】
紙幣検出器デバイスに対する具体的な一要件は、全てのテストを最大100ミリ秒の時間中に実施しなければならないことである。
この理由は、検出が実施された後、すなわち紙幣がセンサを通った後は、供給路に沿って分岐点まで継続し、分岐点で、受容されない紙幣は別個の供給路にルーティングされるが、分岐点までの供給路に沿った距離が長すぎてはならないからである。
【0081】
本発明は、前述の好ましい実施形態に限定されない。様々な代替、修正、および均等物を使用することができる。したがって、以上の実施形態は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容されない(non-accepted)紙幣を受容される(accepted)紙幣から区別するのに使用される、現金自動預払機(automatic teller machine)用の紙幣(bank note)検出器デバイスにおける方法であって、
前記デバイスは、入力紙幣の少なくとも1つの面を受け取り走査して前記走査に応じて各走査面の紙幣画像(bank note image)(BI)を記憶装置に記憶するための紙幣画像センサであって、前記紙幣画像がいくつかの画素の形で画像データを含むものである、紙幣画像センサと、
街頭で使用される品質の(street-quality)受容される紙幣からの所定数の紙幣画像から処理された1つの参照(reference)紙幣画像(RBI)が各関連(relevant)紙幣の各面(each face)につき記憶される参照紙幣画像(RBI)記憶装置とを備え、
前記紙幣検出器デバイスはさらに、入力紙幣を走査して、前記紙幣のIR画像を、前記対応する紙幣画像にリンクされるように前記記憶装置に記憶するように構成されたIR画像センサを備え、前記方法は、
A)前記IR画像を使用して前記紙幣画像の1つの辺(side)が前記RBIの対応する辺に対して整合され、紙幣サイズが決定される整合(alignment)ステップと、
B)前記紙幣画像の面(face)および配向(orientation)が決定される紙幣面分類(classification)ステップと、
C)前記紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、前記BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決め(positioning)ステップと、
D)前記紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にある前記BIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに(pixel by pixel)比較され、その結果として前記入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ステップとを含む、方法。
【請求項2】
ステップAでスクイージング(squeezing)法が使用され、前記IR画像の濃い(dark)矩形と、水平な線との間の角度が決定され、次いで前記紙幣画像が、水平位置にくるまで、すなわち長い方の辺が水平になるまで反復的に回転される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップCで、前記BIの2つの事前画定済みの限られた領域、すなわち、事前設定済み(preset)の幅を有し前記紙幣の長い方の辺に沿って延びる(running along)1つの水平領域Xと、事前設定済みの幅を有し前記紙幣の短い方の辺に沿って延びる1つの垂直領域Yとが識別され(identified)、
前記水平領域X中の1つの垂直列(vertical row)の中の全ての画素の平均値を計算してから全ての平均値を並べる(aligning)ことによって、線パターン(line-pattern)が生み出され、その結果、前記領域X全体を表す水平データエリア線SXが得られ、同じ手順が前記垂直領域Yについて実施され、その結果、前記領域Y全体を表す垂直データエリア線SYが得られ、SXおよびSYが、同様にして得られた前記RBIの線パターンと比較され、対応する画素位置間の差が最小になるように前記線パターンが相互に対して調整され、次いで前記BIおよびRBIが相互に対して相応に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記参照紙幣画像(RBI)記憶装置に、各関連紙幣の各面につき1つの参照紙幣画像(RBI)が記憶され、それにより、特定の各紙幣が4つの異なる画像によって、すなわち紙幣の各側および180度回転された各側につき1つの画像によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RBIは、街頭で使用される品質の受容される紙幣からの所定数の紙幣画像を画像プロセッサ中でRBI処理アルゴリズムに従って処理することによって得られ、前記参照紙幣画像中の各画素が8つの最も近い隣接位置に移動されて、同一(identical)画像だが9つの異なる位置を有する合計9つの画像が生み出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップDで、検出された画素が、好ましくは4つである事前設定済みの(preset)数の周囲画素(ambient pixels)がほぼ(essentially)同じ色を有する場合に、対応するRBI画素との比較の結果として着色値(dyed-value)として示される(denoted)、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップDで、検出された画素について、前記RBI中の対応する画素との差分値が決定され、前記差分値が、カラーダイアグラム中における前記BIの前記検出された画素の位置に関係する色値(color value)と比較され、前記差分値が前記色値を超える場合に、前記紙幣の着色値(dyed value)が前記差分値だけ増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップDで、前記紙幣のいくつかの事前定義済み部分、例えばいずれかの金属細片やシリアル番号などが考慮されない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
受容されない紙幣を受容される紙幣から区別するのに使用される、現金自動預払機用の紙幣検出器デバイスであって、入力紙幣の少なくとも1つの面を受け取り走査して前記走査に応じて各走査面の紙幣画像(BI)を記憶装置に記憶するための紙幣画像センサであって、前記紙幣画像がいくつかの画素の形で画像データを含む、紙幣画像センサと、街頭で使用される品質の受容される紙幣からの所定数の紙幣画像から処理された1つの参照紙幣画像(RBI)が各関連紙幣の各面につき記憶される参照紙幣画像(RBI)記憶装置と、
入力紙幣を走査して、前記紙幣のIR画像を、前記対応する紙幣画像にリンクされるように前記記憶装置に記憶するように構成されたIR画像センサとを備え、
前記IR画像を使用して前記紙幣画像の1つの辺を前記RBIの対応する辺に対して整合し、紙幣サイズが決定される整合ユニットと、
前記紙幣画像の面および配向を決定するための紙幣面分類ユニットと、
前記紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、前記BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決めユニットと、
前記紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にある前記BIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに比較され、その結果として前記入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ユニットとを備える、紙幣検出器デバイス。
【請求項10】
前記整合ユニットがスクイージング法を使用し、前記IR画像の濃い矩形と、水平な線との間の角度が決定され、次いで前記紙幣画像が、水平位置にくるまで、すなわち長い方の辺が水平になるまで反復的に回転される、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項11】
前記パターン位置決めユニット中で、前記BIの2つの事前画定済みの限られた領域、すなわち、事前設定済みの幅を有し前記紙幣の長い方の辺に沿って延びる1つの水平領域Xと、事前設定済みの幅を有し前記紙幣の短い方の辺に沿って延びる1つの垂直領域Yとが識別され、前記水平領域X中の1つの垂直列の中の全ての画素の平均値を計算してから全ての平均値を並べることによって、線パターンが生み出され、その結果、前記領域X全体を表す水平データエリア線SXが得られ、同じ手順が前記垂直領域Yについて実施され、その結果、前記領域Y全体を表す垂直データエリア線SYが得られ、SXおよびSYが、同様にして得られた前記RBIのそれぞれの線パターンと比較され、対応する画素位置間の差が最小になるように前記線パターンが相互に対して調整され、次いで前記BIおよびRBIが相互に対して相応に調整される、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項12】
前記紙幣画像センサが紙幣RBG画像センサであり、前記画像がCYMフォーマットで記憶される、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項13】
前記参照紙幣画像(RBI)記憶装置に、各関連紙幣の各面につき1つの参照紙幣画像(RBI)が記憶され、それにより、特定の各紙幣が、4つの異なる画像、すなわち紙幣の各側および180度回転された各側につき1つの画像によって表され、前記RBIが、画像プロセッサ中でRBI処理アルゴリズムに従って処理することによって得られる、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項1】
受容されない(non-accepted)紙幣を受容される(accepted)紙幣から区別するのに使用される、現金自動預払機(automatic teller machine)用の紙幣(bank note)検出器デバイスにおける方法であって、
前記デバイスは、入力紙幣の少なくとも1つの面を受け取り走査して前記走査に応じて各走査面の紙幣画像(bank note image)(BI)を記憶装置に記憶するための紙幣画像センサであって、前記紙幣画像がいくつかの画素の形で画像データを含むものである、紙幣画像センサと、
街頭で使用される品質の(street-quality)受容される紙幣からの所定数の紙幣画像から処理された1つの参照(reference)紙幣画像(RBI)が各関連(relevant)紙幣の各面(each face)につき記憶される参照紙幣画像(RBI)記憶装置とを備え、
前記紙幣検出器デバイスはさらに、入力紙幣を走査して、前記紙幣のIR画像を、前記対応する紙幣画像にリンクされるように前記記憶装置に記憶するように構成されたIR画像センサを備え、前記方法は、
A)前記IR画像を使用して前記紙幣画像の1つの辺(side)が前記RBIの対応する辺に対して整合され、紙幣サイズが決定される整合(alignment)ステップと、
B)前記紙幣画像の面(face)および配向(orientation)が決定される紙幣面分類(classification)ステップと、
C)前記紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、前記BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決め(positioning)ステップと、
D)前記紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にある前記BIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに(pixel by pixel)比較され、その結果として前記入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ステップとを含む、方法。
【請求項2】
ステップAでスクイージング(squeezing)法が使用され、前記IR画像の濃い(dark)矩形と、水平な線との間の角度が決定され、次いで前記紙幣画像が、水平位置にくるまで、すなわち長い方の辺が水平になるまで反復的に回転される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップCで、前記BIの2つの事前画定済みの限られた領域、すなわち、事前設定済み(preset)の幅を有し前記紙幣の長い方の辺に沿って延びる(running along)1つの水平領域Xと、事前設定済みの幅を有し前記紙幣の短い方の辺に沿って延びる1つの垂直領域Yとが識別され(identified)、
前記水平領域X中の1つの垂直列(vertical row)の中の全ての画素の平均値を計算してから全ての平均値を並べる(aligning)ことによって、線パターン(line-pattern)が生み出され、その結果、前記領域X全体を表す水平データエリア線SXが得られ、同じ手順が前記垂直領域Yについて実施され、その結果、前記領域Y全体を表す垂直データエリア線SYが得られ、SXおよびSYが、同様にして得られた前記RBIの線パターンと比較され、対応する画素位置間の差が最小になるように前記線パターンが相互に対して調整され、次いで前記BIおよびRBIが相互に対して相応に調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記参照紙幣画像(RBI)記憶装置に、各関連紙幣の各面につき1つの参照紙幣画像(RBI)が記憶され、それにより、特定の各紙幣が4つの異なる画像によって、すなわち紙幣の各側および180度回転された各側につき1つの画像によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記RBIは、街頭で使用される品質の受容される紙幣からの所定数の紙幣画像を画像プロセッサ中でRBI処理アルゴリズムに従って処理することによって得られ、前記参照紙幣画像中の各画素が8つの最も近い隣接位置に移動されて、同一(identical)画像だが9つの異なる位置を有する合計9つの画像が生み出される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップDで、検出された画素が、好ましくは4つである事前設定済みの(preset)数の周囲画素(ambient pixels)がほぼ(essentially)同じ色を有する場合に、対応するRBI画素との比較の結果として着色値(dyed-value)として示される(denoted)、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップDで、検出された画素について、前記RBI中の対応する画素との差分値が決定され、前記差分値が、カラーダイアグラム中における前記BIの前記検出された画素の位置に関係する色値(color value)と比較され、前記差分値が前記色値を超える場合に、前記紙幣の着色値(dyed value)が前記差分値だけ増加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップDで、前記紙幣のいくつかの事前定義済み部分、例えばいずれかの金属細片やシリアル番号などが考慮されない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
受容されない紙幣を受容される紙幣から区別するのに使用される、現金自動預払機用の紙幣検出器デバイスであって、入力紙幣の少なくとも1つの面を受け取り走査して前記走査に応じて各走査面の紙幣画像(BI)を記憶装置に記憶するための紙幣画像センサであって、前記紙幣画像がいくつかの画素の形で画像データを含む、紙幣画像センサと、街頭で使用される品質の受容される紙幣からの所定数の紙幣画像から処理された1つの参照紙幣画像(RBI)が各関連紙幣の各面につき記憶される参照紙幣画像(RBI)記憶装置と、
入力紙幣を走査して、前記紙幣のIR画像を、前記対応する紙幣画像にリンクされるように前記記憶装置に記憶するように構成されたIR画像センサとを備え、
前記IR画像を使用して前記紙幣画像の1つの辺を前記RBIの対応する辺に対して整合し、紙幣サイズが決定される整合ユニットと、
前記紙幣画像の面および配向を決定するための紙幣面分類ユニットと、
前記紙幣画像(BI)の印刷パターンが決定されて、前記BIの印刷パターンが参照紙幣画像(RBI)の印刷パターンに対して正確に位置決めされる印刷パターン位置決めユニットと、
前記紙幣の少なくとも1つの面について、相互に対して正確なパターン位置にある前記BIとRBIとが事前定義済みの比較手順に従って画素ごとに比較され、その結果として前記入力紙幣が受容されるかまたは受容されないとして分類される比較ユニットとを備える、紙幣検出器デバイス。
【請求項10】
前記整合ユニットがスクイージング法を使用し、前記IR画像の濃い矩形と、水平な線との間の角度が決定され、次いで前記紙幣画像が、水平位置にくるまで、すなわち長い方の辺が水平になるまで反復的に回転される、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項11】
前記パターン位置決めユニット中で、前記BIの2つの事前画定済みの限られた領域、すなわち、事前設定済みの幅を有し前記紙幣の長い方の辺に沿って延びる1つの水平領域Xと、事前設定済みの幅を有し前記紙幣の短い方の辺に沿って延びる1つの垂直領域Yとが識別され、前記水平領域X中の1つの垂直列の中の全ての画素の平均値を計算してから全ての平均値を並べることによって、線パターンが生み出され、その結果、前記領域X全体を表す水平データエリア線SXが得られ、同じ手順が前記垂直領域Yについて実施され、その結果、前記領域Y全体を表す垂直データエリア線SYが得られ、SXおよびSYが、同様にして得られた前記RBIのそれぞれの線パターンと比較され、対応する画素位置間の差が最小になるように前記線パターンが相互に対して調整され、次いで前記BIおよびRBIが相互に対して相応に調整される、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項12】
前記紙幣画像センサが紙幣RBG画像センサであり、前記画像がCYMフォーマットで記憶される、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【請求項13】
前記参照紙幣画像(RBI)記憶装置に、各関連紙幣の各面につき1つの参照紙幣画像(RBI)が記憶され、それにより、特定の各紙幣が、4つの異なる画像、すなわち紙幣の各側および180度回転された各側につき1つの画像によって表され、前記RBIが、画像プロセッサ中でRBI処理アルゴリズムに従って処理することによって得られる、請求項9に記載の紙幣検出器デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−525618(P2012−525618A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507677(P2012−507677)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055142
【国際公開番号】WO2010/124963
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511261019)バンキット・アクチボラグ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055142
【国際公開番号】WO2010/124963
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511261019)バンキット・アクチボラグ (1)
【Fターム(参考)】
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