説明

紙幣検証装置のための反射式光学センサ

【課題】 紙幣検証器のための簡素で光学的に高効率な反射式光学センサを提供する。
【解決手段】 その光学センサ2は、照射光を効率的に透過するケースを有する低廉なガラス球4を用い、その透明ケース6を、透明ケース6の底面直下に配置される少なくとも一つの光検出器25,26へ紙幣12からの反射光を返送させる光波ガイドとして用いる。ガラス球4は、狭いビーム光を放射し、紙幣12に近接しかつ垂直な位置にあって紙幣12を照射する。紙幣12から反射又は蛍光発射された光線は、ガラス球4におけるケース6の凸状先端部10で広範囲に収集され、この収集された光はガラス球ケース6を透過して光検出器25,26まで到達する。そのガラス球4は、LED(発光ダイオード)であることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサを通過する際に、反射度と透過度とを測定する光学センサ設備を有する紙幣検証装置に関する。そのセンサは、発光体を含み、更に、光検出器に向けて反射光を方向付けするようにも作動する。このセンサは、比較的小さなスペースへの依存度を有する多種のインデックスマークを検出するために共通の反射式センサとしてもまた用いることができる。
【背景技術】
【0002】
自動券売機などで使用される紙幣検証装置は、挿入される紙幣から真偽性、額面金額、及び位置を決定するための計測値を得るため、一般に、多種スタイルの反射式光学センサが利用されている。典型的には、紙幣は少なくとも一つの光センサを通過し、その光センサは、発光ダイオード(LED)と光検出器(フォトダイオード又はフォトトランジスタ)を有する。
【0003】
その紙幣の計測に悪影響を与える要素として次のようなものが挙げられる。挿入された紙幣が額面金額、汚れ度合い、そして品質性で相違すること、紙幣に折り目があり又は皺だらけかもしれないこと、また、搬送路通過の際の紙幣の位置及び傾斜が激しく変化することである。加えるに、LEDの出力が、経年及び環境条件の少なくとも一方により変化することである。更に、LEDの光学出力及び検出器感度に通常の製造偏差があり、それが、効率よく動作させるためセンサに可変の電流・電圧要求条件をもたせることになる。これら要素を部分的に補うため、光学センサ計測には、大きなダイナミックレンジを必要とすることになる。LEDの出力及び光検出器の感度は限定されるので、光学効率はセンサの性能を改善すべく高めねばならない。
【0004】
従来、反射式光学センサには多くの態様が知られている。単純なセンサは、少なくとも一つの発光素子と比較的幅の広いダイヤグラムを持った受光素子とを有する(U.S. Patent 4,348,656; U.S. Patent 4,628,194; U.S. Patent 5,222,584; U.S. Patent 5,476,169; U.S. Patent 5,692,067; U.S. Patent 5,751,840; U.S. Patent 5,855,268; U.S. Patent 5,889,883; U.S. Patent 5,909,503; U.S. Patent 5,960,103)。このようなセンサは、光学効率が低く、それらの出力信号は、搬送路を通過する紙幣の位置と傾斜に大きく依存する。そのセンサの設置に必要なスペースは発光素子及び受光素子のトータル領域をわずかに越えるものである。
【0005】
光学効率の向上のため、多くのセンサは、発光素子と受光素子とを相互に角度を付けて紙幣面上で一点集中するように装備される(U.S. Patent 4,041,456; U.S. Patent 4,628,194; U.S. Patent4,973,851; U.S. Patent 5,420,406; U.S. Patent 5,467,405; U.S. Patent 5,483,069; U.S. Patent 5,918,960; U.S. Patent 6,028,951; U.S. Patent6,073,744)。これらセンサは、特殊な光学ヘッド、リセプタクルなどを必要とする。これらセンサのための設備スペースは多種の設置方法及び搬送路により発光素子及び受光素子のトータル領域を著しく超過する。このような多大な複雑設計であっても、センサからの出力信号は、搬送路を通過する紙幣の位置と傾斜に大きく依存する。
【0006】
進歩したセンサは、複数のLED及び光検出器に加えて、「フィッシュ・テイルス」光ファイバ及びスプリッタを含んだ多種の焦点合わせ、光誘導、及び反射素子を備える(U.S. Patent 5,308,992; U.S. Patent 5,381,019; U.S. Patent 5,616,915; U.S. Patent 6,044,952; U.S. Patent 6,104,036; U.S. Patent 6,163,036; U.S. Patent 6,188,080; U.S. Patent 6,359,287; U.S. Patent 6,392,863)。これらのセンサは、より一層複雑で大型かつ高価であり特殊な光学部品を必要とし、かつ、検証装置組立の間に、頻繁な調整を必要とする。これら進歩したセンサの出力信号は、なお、搬送路を移動する紙幣の位置と傾斜とに大きく依存する。
【0007】
いくつかの特殊光学センサは、LED及び光検出器の特殊レンズを有するアレイによるか、又はTV画像若しくは光ビーム走査を進めることにより、紙幣の走査を実行する(U.S. Patent 4,179,685; U.S. Patent 4,197,584; U.S. Patent 4,293,776; U.S. Patent 6,363,164)。この技術は、高価であり、大量生産及び稼働率に対して不適当である。
【0008】
いくつかの紙幣上の光学シャドウ(影)は、紙幣の傾斜、照明、又は観察が原因で従来の大多数のセンサにより生じている。
【0009】
本発明の一般的目的は、単純な反射空間を有する効率的センサを提供することであり、そのセンサが紙幣検査及び別の応用に対して光学的に高い効率を有することである。
【0010】
本発明は、従来のセンサについて有する上述した多くの問題点を克服するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする課題は、上述した従来のセンサが有する問題点に鑑み、紙幣検査及び別の応用に対して光学的に高い効率を有するセンサであり、かつ、単純な反射空間を有する効率的センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による紙幣の真偽性を査定するための検証装置は、紙幣搬送路と、この搬送路の一方の側にある光学センサであり、紙幣がそのセンサを通過する際にその紙幣上に照射光を方向付けするため、かつ、その紙幣からの反射光を受けるため、前記搬送路上に開設する光学センサ設備と、前記光学センサ設備の出力信号を処理して評価信号を生成する設備とを備える。一つの評価システムは、前記評価信号を用いてその評価信号に基づき紙幣の真偽性を予測する。前記光学センサ設備は照射光を透過させるプラスチック(光透過)ケース内に配設される発光体と少なくとも一つの光検出器とを有し、前記発光体により発射される放射光は、紙幣により反射され、前記ケースを透過して前記光検出器に到達する。その光検出器は前記放射光を受け取る位置にある。
【0013】
本発明の態様によれば、発光体は、プラスチックケースを有する一つの発光ダイオードデバイスである。すなわち、発光体と光透過ケースとで一つの発光ダイオード(LED)を形成することが望ましい。
【0014】
なお、本発明の更なる態様によれば、その発光ダイオードデバイスのケースは、前記紙幣搬送路に対面する凸状先端部を含み、その凸状先端部は、前記紙幣上に照射光を方向付けしてその反射光を受け、前記ケースを通過させてその反射光を前記光検出器に衝突させるレンズの働きを有する。
【0015】
なお、本発明の更なる態様では、前記プラスチックケースは、前記光検出器に近接するほぼ平坦な底面の平面基板を有し、その光検出器は、その平面基板の下方に位置する。
【0016】
なお、本発明の更なる態様では、前記ケースの前記凸状先端部は、前記紙幣搬送路に直接隣接している。
【0017】
なお、本発明の更なる態様では、前記ケースの前記凸状先端部は、当該凸状先端部と前記紙幣搬送路の中心線との間の空間より大きな幅を有する。
【0018】
なお、本発明の更なる態様では、前記ケースは、前記発光体からの発射光と前記紙幣からの反射光とを前記光検出器上で焦点合わせするための光ガイドとして作動する。
【0019】
なお、本発明の更なる態様では、前記発光ダイオードは、前記ケースを透過する放射光を方向付けする指向性発光体である。
【0020】
なお、本発明の更なる態様では、前記発光ダイオードは、紫外線を発射するように設計されている。
【0021】
なお、本発明の更なる態様では、検証装置は、前記発光ダイオードと前記光検出器との間の位置に紫外線吸収薄膜フィルタを備える。
【0022】
なお、本発明の更なる態様では、前記発光体部分に対面する搬送路外壁は、白色無蛍光材でできている。
【0023】
なお、本発明の更なる態様では、光学センサは、白色光を発射する発光ダイオードと、前記発光ダイオードの平面基板と前記光検出器との間に位置する色の帯域通過又は色を除去するための色つき薄膜フィルタを有する少なくとも二つの光検出器とを備える。
【0024】
なお、本発明の更なる態様では、光学センサは、発光ダイオードの平面基板に近接する少なくとも一つの光検出器を有する多色によるマルチチップ発光ダイオードを備える。
【0025】
なお、本発明の更なる態様では、光学センサは、バーコード読取りおよび紙幣縁辺検出のためのスロットを有する不透明被覆部材を前記発光ダイオード周囲に備える。
【0026】
加えるに、本発明による好ましい態様では、下記のような紙幣の紫外線検査方法が提供される。それは、透明ガラス球胴体に形成される紫外線発光ダイオードにより垂直方向の狭いビームで紙幣表面を部分的に照射し、照射された紙幣から鏡面反射及び散乱して受ける紫外線および蛍光による反射光を、レンズとして作動する前記発光ダイオードの凸状先端部により収集し、その収集光を、前記発光ダイオード胴体を透過させて前記発光ダイオードの平面基板近辺に位置する光検出器まで伝送し、その伝送光を、前記発光ダイオードと光検出器との間の紫外線吸収フィルタで濾波し、その伝送光を平坦なPINフォトダイオードで検出し、かつ、紙幣の識別及び検証のため前記光検出器の出力信号を処理している。
【0027】
同様に、本発明による好ましい態様では、下記のような紙幣の光学特性の同時評価方法が提供される。それは、透明ガラス球胴体を有する白色発光ダイオードにより紙幣表面を部分的に照射する垂直で狭いビームを生成し、紙幣の照射された部分から鏡面反射及び散乱して受ける反射光を、レンズとして作動する前記発光ダイオードの凸状先端部により収集し、その収集光を、前記発光ダイオードの透明胴体を通過させて前記発光ダイオードの平面基板の下方に位置する光検出器まで伝送し、その伝送光を、吸収及び帯域通過の少なくとも一方で濾波し、前記発光ダイオードと光検出器との間の紫外線吸収フィルタで濾波された伝送光を光検出器(複数)で検出して、紙幣の真偽性を検証のため光信号素子の決められたものか変化したものかを各光検出器で分離処理している。
【0028】
更に、本発明による好ましい態様では、下記のような紙幣の光学特性の逐次評価方法が提供される。それは、透明ガラス球胴体を有する多色マルチチップ発光ダイオードにより紙幣表面を部分的に多色光で照射する垂直で狭いビームを逐次生成し、紙幣の照射された部分から鏡面反射及び散乱して受ける反射光を、レンズとして作動する前記発光ダイオードの凸状先端部により収集し、その収集光を、前記発光ダイオードの透明胴体を通過させて前記発光ダイオードの平面基板近辺に位置する光検出器まで伝送し、前記多色光素子を紙幣の真偽性を検証のため各光検出器で検出して処理している。
【0029】
加えるに、本発明による好ましい態様では、下記のようなバーコード又は紙幣縁辺を検出する方法が提供される。それは、前記発光ダイオードの不透明被覆部材にあるスロットを通過させてバーコード又は紙幣縁辺を垂直方向に狭いビームで照射し、前記スロットを通過する照射面から鏡面反射及び散乱する反射光を発光ダイオードの凸状先端部によって収集し、その収集光を発光ダイオードの透明胴体を通過させて発光ダイオードの平面基板近辺の光検出器へ伝送し、その伝送光を平面状光検出器で検出し、かつ、光検出器から得られた交互出力信号要素を処理してバーコード又は紙幣縁辺位置を識別している。
【0030】
動作上、狭い光線を有する発光ダイオードは、紙幣表面の照射部分に垂直で近接配置されている。紙幣面の照射部分は発光ダイオードから発射される光ビームの寸法と実質的に等しい。特定方向に反射される光パワーは紙幣表面の鏡面反射性度合い及び散乱性具合に比例している。紙幣は、圧倒的な散乱性のある主表面を有すると同時に、デザインと材料との特性の一部として、鏡面反射性と散乱性との両方の表面を有する。プラスチック・ブレイズド・ホログラム、金属ラベル、及びスレッドのような高反射デバイスの使用は鏡面反射領域を創造する。
【0031】
加えて、紙幣(生地又は/及び染料)は頻繁に紫外線光で照射すると、一つ又はいくつかの波長の蛍光を発射する。検査下の紙幣に関する良好な光学情報を得るため、照射されている紙幣表面から発する全ての光要素が収集されねばならない。垂直照射の下では、鏡面反射光が正確に反対方向に伝播する。散乱と蛍光との要素は、より一層円滑に、通常、いわゆるコサイン法則により、伝播される。発光ダイオードと紙幣との間隔が小さいため、照射される紙幣表面から出力されるほとんどの光は、発光ダイオードの凸状先端部で収集され、発光ダイオードの透明胴体を通過して光検出器へ伝送される。
【0032】
この設備により、発光ダイオードの胴体は、一切の光学部品の付加なしで、全反射光のガイド(誘導具)及びコレクタ(収集具)として使用できる。このような設備は、発光ダイオードの最大ビーム開口角度(通常8°から12°)までの傾斜角度で、搬送路における紙幣の振動及び傾斜への感度を低下させる。その理由は、この開口角度以内での光パワーの変化が紙幣への垂線に対してわずかなためである。加えて、発光ダイオードの狭い開口のため、紙幣表面に衝突する周囲光もまた、紙幣試験に対しては少量である。
【0033】
発光ダイオード胴体を通過して伝送される光は、発光ダイオードの透明平面基板の下に位置し広帯域かつ選択的な光検出器で検出される。低コストで薄膜状の帯域通過又は吸収排除のフィルタは、ハードウェア/ソフトウェアによる減算処理と同時に用いられ、検査中の紙幣から積分強度及び紫外線反射を含む別々の色信号を提供する。
【0034】
発光ダイオード周囲の先端部に狭ダイヤグラムと同時にスロットを有する不透明被覆を用いて交互信号要素を処理することにより、バーコード読取り及び紙幣縁辺検出の際の安定した正反対の信号が供給される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
ここで、本発明のいくつかの態様を、添付の図面を参照して実施例として説明する。
【0036】
図1に示される光学センサ2は、紙幣12を照射する放射光を発射するために位置決めされる。紙幣表面の特徴は、紙幣から反射されかつ光学センサに戻ってくる放射光を変化させる。紙幣12は、外装壁13と光透過壁11によって形成される紙幣搬送路20を通過して搬送される。
【0037】
光学センサ2は、発光ダイオード(LED)4を有し、搬送路20の一方の側に位置決めされかつ透過壁11に直接隣接している。LED4は透明ケース6を有し、透明ケース6は一方の端部を凸レンズとなる凸状先端部10で終端し、また他方の端部を準平面となる平面基板14で閉塞している。ケース6は、プラスチック又は同等の光透過材が好ましい。
【0038】
LED4により発生する放射光は光透過材の透明ケース6を通過する。一般的にはケースの中心線上で、中心位置にある光不透過凹面部18に発光チップ16が配置される。発光チップ16は、ペア線22により電源に接続される。発光チップ16からの放射光は、透明ケース6の凸レンズ10を通常、平行状態で通過する。LEDにより発生する放射光は、通常、LEDの端部を通過して紙幣を照射するために放射光の狭ビームを生成する。LEDにより発生した放射光は、紙幣を直撃し、紙幣の特徴に従ってその表面から反射される。この反射光の一部は、LEDの凸レンズ10を直撃して通過し、LEDの平面基板14に誘導され、更に、その基板を通過してLEDの底部平面基板の外部に位置する光検出器25,26にまで達する。
【0039】
上述した構成により、LED外被は、紙幣からの反射光を方向付けさせる光ガイドとして稼動する。その反射光は、LEDの透明ケースの凸状先端部からLEDの下方外部に位置する光検出器までを直撃する。LED4及び光検出器25,26の両者は、印刷回路基板7上に装備され、光検出器からの信号は印刷回路基板7上の回路で処理される。
【0040】
LEDの円筒状壁8の直径は、5mmのオーダーであり、LEDで発生する放射光は通常この大きさの幅である。そして、通常、その放射光は紙幣12の表面に垂直に方向付けさせられる。紙幣12は、LEDの凸状先端部10からほぼ3.5mmまでの空間を有する。それ故、放射光ビームがLEDから紙幣までの間隔に匹敵する幅であることを分らせている。凸状先端部10は、フォトダイオード25,26上に戻る反射光を焦点合せする役目を負う。
【0041】
この設備により、紙幣表面を照射してそこらから反射するほとんどの外向放射光がLED凸レンズによって収集され光検出器に転送される。一般にこの設備により、搬送路での紙幣位置、紙幣状態、そしてその傾斜において変化が生じても、反射信号が、非常に厳しい許容範囲以内に維持されることが判明している。
【0042】
反射信号は一般に発生信号の60%から80%の範囲にあることが判明している。それ故、搬送路で2mmまでの紙幣の位置ずれに、光学信号はほぼ30%まで変化するであろう。LEDで発生した放射光ビームは比較的狭く、代表的には8度から12度の間である。LEDの紙幣に対する近接位置と、LEDの反射光を戻す光波誘導器としての用途とは、搬送路での紙幣の傾斜に対する信号感度を低くする結果を生じる。
【0043】
図1に示される実施態様は、また、平面基板14と光検出器25との間にフィルタ設備28を含む。これは、紫外線吸収薄膜フィルタであることが好ましい。この設備でLEDはロイスナー・レーザーテクニクス製 HUUV-5102L (登録商標)又は同等品の5mmガラス球紫外線LEDが好ましい。それ故、紙幣12はその紫外線放射光にさらされ、その反射信号といずれかの光信号とがLEDを通過して光検出器25,26に戻る。光検出器26は全信号を受付けする一方、光検出器25は紫外線部分を欠いている。
【0044】
図1に示される実施態様は、光検出器26で検出器に衝突するすべての放射光から得られる信号を生成する。反対に、光検出器25は、同様であるが、紫外線部分を取り除かれた信号を生成する。周囲光は、また、光検出器に影響を与える。しかしながら、LED真下の光検出器位置と光検出器への光伝送ガイドとしての機能を果たすLEDのプラスチック外被とが周囲光に関する問題を低減する。更に、周囲光は、通常、紙幣搬送路20に関係する。そして、光学センサの構造が光検出器の位置決めをして搬送路からの重要となる距離を決定する。このようにして、光検出器は搬送路における周囲光に不感応である。
【0045】
光学センサ2は、自身の外被位置に光透過壁11を有し、光透過壁11は搬送路の一部を形成する。光学センサ2は、光透過壁11を除いて光不透過プラスチックで形成される典型的な筐体内に位置する印刷回路基板とLEDとでモジュールを形成する。光学センサの延長形態は、紙幣を照明する放射光を生成するLEDを用いるのみならず、LEDの真下に位置する光検出器へ反射光を方向付けするための光ガイドとしてLEDを用いる。反対側の搬送路壁13は白色光不透過の例えばABSプラスチックで製造される。この壁からの反射信号は、紙幣が搬送路にない場合の、装置の自己較正に用いられる。
【0046】
図2は、光学センサの別の実施態様における斜視図である。光学センサ100は、外装壁113を有する紙幣搬送路120の光透過壁110に近接して配置される。バーコード115を有している紙幣112又は別の文書が図示されている。光学センサ100は印刷回路基板107を含み、印刷回路基板107上に光検出器105を有している。光検出器105は、LED100を通過して戻ってくる反射光に対して露出している。このLEDは、円筒状部106、凸状先端部108、及びほぼ平坦透明な平面基板109で構成される透明外被104を有する。LEDは、その内部に自身の光源111を含み、凸状先端部108を通過する放射光を方向付けするように設計される。コネクタ130,132は、光源111をLED内のほぼ中央部に保持し、かつ印刷回路基板107から光源111に電源を接続し供給する。
【0047】
不透明被覆140は、LEDの先端部を覆い、放射光を通過させる細長い隙間のスロット150を有する。いくつかの放射光は先端部の不透明被覆140の先端部壁142で反射を回避される。しかしながら、これは、光検出器105へ戻される定常信号となる。その光検出器105では、各種の設備がこの放射構成を低減するために利用できる。発生される放射光部分は、スロット105を通過し、バーコード115の各バーを照射するための狭光源となり、光学センサまで達する。発光ダイオードは透明な平面基板109を透過して光検出器までの放射線ガイドとして働くので、信号は、発光ダイオードの透明外被104を透過して光検出器まで戻る。この際、信号は、バーコード115に従って変化する。この設備は、バーコードを読取りのための高効率手段を提供し、搬送路120内でバーコードの可能性ある種々の間違った位置確認と共に良好品質結果の得られることが確かめられている。評価されるべきは、光学センサ100と光透過壁110とは、検証機又は別種の感知デバイスの紙幣搬送路壁で適切な場所に挿入される単一モジュールに統合できる。
【0048】
図2の設備は、紙幣の縁辺識別にも効果的である。これは、紙幣がセンサを通過する際の紙幣の始縁辺と終縁辺との検出に特に有効である。
【0049】
図2の実施態様で、紙幣照射の光ビームは小角度の逸脱性を有し、紙幣表面上での光の逸脱性は0.3mmを越えない。バーコード検出器としては、ライト・オン社の赤色LED、LTL2F3VEKNT(登録商標)及びハママツ社のIC光検出器、S7184 又は S7815(登録商標)を用いることができる。
【0050】
図3は、紫外線光学センサにおける信号処理に用いられるハードウェアによるブロック図である。図3に示される光10は、紙幣表面から反射され、統合光検出器としてのフォトダイオード6で受光される一方、紫外線(UV)吸収フィルタ4を通過させて可視光検出器としてのフォトダイオード5で受光される。可視光部分の強度を有する信号Uintは、増幅器17の出力20から得られる。この信号は紙幣紙材の蛍光成分と色素を表す。信号(Uint+UUV)は、紙幣から得られる全ての光部分であり、増幅器18の出力から抵抗付加ユニット19に進む。増幅器17,18が同一の伝達係数を有し、付加ユニット9が抵抗値Rを有する場合の出力21では、出力信号として「 [Uint−(Uint +UUV) ] /2=−UUV/2」が求められる。この信号は、紙幣表面の紫外線反射を示す。出力20と出力21とから求められる信号は紙幣の承認用及び識別用の処理モジュールで利用される。例えば、大きな値の信号Uintは、紙幣が偽造で、木材質用紙でのフォトコピーかもしれないということを示す。
【0051】
図4は、図1の実施態様により紫外線走査された真正紙幣における典型的信号Uintを時間軸に対して示すグラフである。その走査速度はほぼ300mm/secである。図4に示される点22は、紙幣の始縁辺が光学センサを通過したことを示す。点23は、紙幣の終縁辺が光学センサを通過したことを示す。点24での信号は、搬送路に紙幣が無い状態のもので、図1の外装壁13からの反射、及び全ての光透過作用部分からの反射光により発生している。外装壁13は照射光のうちブルー(青色)要素を反射する。全ての光透過作用部分は、発光ダイオードと空気との境界、空気と光透過壁11との境界、光透過壁11と空気との境界であり、それぞれでほぼ6%を分担する。点24での信号は装置自身の較正用に使用される。点22と点23との間の信号Uintは、紙幣の紙材及び色素、並びに蛍光と照明光のブルー要素反射光とによって生じる。
【0052】
図5は、図1の実施態様により紫外線走査された偽造紙幣で上記真正紙幣と類似のものにおける典型的信号Uintを時間軸に対して示すグラフである。その走査速度はほぼ300mm/secである。図5における点22,23,24の条件は上述した図4の説明と同様である。縁辺での点22,23における二つの時間幅25は紙幣の始縁と終縁との境界線から得られる強力な蛍光を示す。時間幅26は透かし部分での紙幣表面紙材から得られる強力な蛍光を示す。信号は、真正紙幣と偽造紙幣とで大幅に相違するので、偽造紙幣を識別するプロセッサモジュールに容易に利用可能である。
【0053】
図6は、図2の実施態様によりバーコードを走査した場合の典型的信号を時間軸に対して示すグラフである。不透明被覆140のスロット150は、5mm長で0.4mm幅を有する。その走査速度はほぼ300mm/secである。この設備は、間隔と幅とが0.5mm以下のバーでも良好な空間解像力を発揮する。
【0054】
ここで説明された本発明は、銀行券適用を背景にしている。すなわち、その背景は、銀行、郵便局、スーパーマーケット、カジノ、又は交通機関における銀行券の検証デバイス、自動現金支払機、又は他の紙幣処理デバイスに利用されることにある。しかしながら、ここで図示し説明した実施態様は、他の目的のため、特にカード、フィルム、用紙片および印刷物のような平坦な対象物のチェック用として利用することに効果がある。そのチェック用デバイスは、設置型又は携帯型であり、バッテリ内蔵型又は商用電源利用型であってよい。
【0055】
各実施態様の項で明確に説明した本発明の各種機能は、それぞれの組合せであっても効果的である。逆に言えば、単体の実施態様の項で簡潔に説明した本発明の各種機能は、単体に分離されても、またいかなる組合せで提供されてもよい。
【0056】
本発明による各種の好ましい実施態様がここに詳細に説明されているが、本発明の精神又は特許請求の範囲から逸脱しない限り、その変更は本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
上述しているように、本発明は、銀行、郵便局、スーパーマーケット、カジノ、又は交通機関における銀行券の検証デバイス、自動現金支払機、又は同類の紙幣処理デバイスに利用されることにある。しかしながら、ここで図示し説明した実施態様は、特にカード、フィルム、用紙片および印刷物のような平坦な対象物の真偽性に対するチェック用としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による紙幣の紫外線試験用の光学センサの実施の一形態を拡大して示す側面図である。
【図2】本発明によるバーコード読取りと紙幣縁辺検出のための光学センサ構成の実施の一形態を拡大して示した分解斜視図である。
【図3】本発明による紫外線光学センサにおける信号処理構成の実施の一形態を示したブロック図である。
【図4】図1の実施態様で真正紙幣を紫外線走査した際の代表的信号の実施の一形態を示した図である。
【図5】図1の実施態様で偽造紙幣を紫外線走査した際の代表的信号の実施の一形態を示した図である。
【図6】図2の実施態様でバーコードを走査した際の代表的信号の実施の一形態を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の真偽性を査定するための検証装置であって、
紙幣搬送路と、
前記搬送路の一方の側にある光学センサであり、紙幣がそのセンサを通過する際にその紙幣上に照射光を方向付けするため、かつ、その紙幣からの反射光を受けるため、前記搬送路上に開設する光学センサ設備と、
前記光学センサ設備の出力信号を処理して評価信号を生成する設備と、
前記評価信号を用いてその評価信号に基づき紙幣の真偽性を推測する評価システムと
を備え、
前記光学センサ設備は照射光を透過させるケース内に配設される発光体と少なくとも一つの光検出器とを有し、前記発光体により発射される放射光は紙幣により反射されかつ前記ケースを透過して前記光検出器に到達し、その光検出器はその放射光を受け取る位置にある
ことを特徴とする検証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検証装置において、前記発光体及びケースは、一つの発光ダイオードデバイスであることを特徴とする検証装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検証装置において、前記ケースは前記紙幣搬送路に対面する凸状先端部を含み、その凸状先端部は、前記紙幣上に発射光を方向付けしてその反射光を受け、前記ケースを通過させてその反射光を前記光検出器に衝突させるレンズの働きを有することを特徴とする検証装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検証装置において、前記ケースは前記光検出器に近接するほぼ平坦な底面を有し、その光検出器はその平坦底面の下方に位置することを特徴とする検証装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検証装置において、前記ケースの前記凸状先端部は、前記紙幣搬送路に直接隣接していることを特徴とする検証装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検証装置において、前記ケースの前記凸状先端部は当該凸状先端部と前記紙幣搬送路の中心線との間の空間より大きな幅を有することを特徴とする検証装置。
【請求項7】
請求項1に記載の検証装置において、前記ケースは、前記発光体からの発射光と前記紙幣からの反射光とを前記光検出器上で焦点合わせするための光ガイドとして作動することを特徴とする検証装置。
【請求項8】
請求項2に記載の検証装置において、前記発光ダイオードは、前記ケースを透過する放射光を方向付けする指向性発光体であることを特徴とする検証装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検証装置において、前記発光ダイオードは、紫外線を発射するように設計されていることを特徴とする検証装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検証装置において、更に、前記発光ダイオードと前記光検出器との間に位置する紫外線吸収薄膜フィルタを備えることを特徴とする検証装置。
【請求項11】
請求項9に記載の検証装置において、前記発光体部分と対向する搬送路外壁が白色無蛍光材でできていることを特徴とする検証装置。
【請求項12】
請求項8に記載の検証装置において、前記発光ダイオードは、白色光を発射するように設計されていることを特徴とする検証装置。
【請求項13】
請求項12に記載の検証装置において、更に、前記発光ダイオードと前記光検出器との間に位置する色の帯域通過又は色を除去する薄膜フィルタを備えることを特徴とする検証装置。
【請求項14】
請求項8に記載の検証装置において、前記発光ダイオードは、多色によるマルチチップ発光ダイオードとして設計されていることを特徴とする検証装置。
【請求項15】
光学センサ設備を有する検証装置であって、
前記光学センサ設備は一つの発光ダイオードを含み、当該発光ダイオードはその平面基板近辺に少なくとも一つの光検出器を、かつその周囲が光透過ケースであり、その光透過ケースは前記光検出器と反対側のケース先端部で受光のための光ガイドとして作動する位置にあり、
前記検証装置は前記光検出器の出力信号を処理するための処理設備を備える
ことを特徴とする検証装置。
【請求項16】
請求項15に記載の検証装置において、前記発光ダイオードは不透明被覆部材を前記光検出器と反対側のケース先端部に備え、前記被覆部材はそれ自身にスロットを有し、そのスロットは薄型ビームの照射光を通過させかつそのスロットを通過して前記ケースまで到達する反射光を前記光検出器まで誘導することを特徴とする検証装置。
【請求項17】
請求項16に記載の検証装置において、前記光学センサ設備が通過させてバーコードを読取ることを特徴とする検証装置。
【請求項18】
紙幣の紫外線検査方法であって、
透明ガラス球胴体に形成される紫外線発光ダイオードにより垂直方向の狭いビームで紙幣表面を部分的に照射し、
照射された紙幣から鏡面反射及び散乱して受ける紫外線および蛍光による反射光を、レンズとして作動する前記発光ダイオードの凸状先端部により収集し、
その収集光を、前記発光ダイオード胴体を透過させて前記発光ダイオードの平面基板の近辺に位置する光検出器まで伝送し、
その伝送光を、前記発光ダイオードと光検出器との間の紫外線吸収フィルタで濾波し、かつ、
紙幣の識別及び検証のため前記光検出器の出力信号を処理する
ことを特徴とする紙幣の紫外線検査方法。
【請求項19】
紙幣の光学特性の同時評価方法であって、
透明ガラス球胴体を有する白色発光ダイオードにより紙幣表面を部分的に照射する垂直で狭いビームを生成し、
紙幣の照射された部分から鏡面反射及び散乱して受ける反射光を、レンズとして作動する前記発光ダイオードの凸状先端部により収集し、
その収集光を、前記発光ダイオードの透明胴体を通過させて前記発光ダイオードの平面基板の下方に位置する光検出器まで伝送し、
その伝送光を、吸収及び帯域通過の少なくとも一方で濾波し、
前記発光ダイオードと光検出器との間の紫外線吸収フィルタで濾波して、濾波された伝送光を光検出器(複数)で検出して、
紙幣の真偽性を検証のため光信号素子の決められたものか変化したものかを各光検出器で分離処理する
ことを特徴とする光学特性の同時評価方法。
【請求項20】
紙幣の光学特性の逐次評価方法であって、
透明ガラス球胴体を有する多色マルチチップ発光ダイオードにより紙幣表面を部分的に多色光で照射する垂直で狭いビームを逐次生成し、
紙幣の照射された部分から鏡面反射及び散乱して受ける反射光を、レンズとして作動する前記発光ダイオードの凸状先端部により収集し、
その収集光を、前記発光ダイオードの透明胴体を通過させて前記発光ダイオードの平面基板近辺に位置する光検出器まで伝送し、
前記多色光素子を、紙幣の真偽性を検証のため各光検出器で検出して処理する
ことを特徴とする光学特性の逐次評価方法。
【請求項21】
発光ダイオードを用いて被印刷物上のバーコード又は被印刷物縁辺を検出する方法であって、
その発光ダイオードは、単色光を生成する細長胴体を有し、単色光の狭いビームを生成する狭く細長のスロットを介して生成される単色光部分のみを通過させており、
被印刷物の表面を照射する単色光の狭いビームにほぼ垂直な方向でその被印刷物を移動させ、
前記狭いスロットを通過しかつ光ガイドとして作動する前記透明ガラス球胴体を通過させることにより照射面から鏡面反射及び散乱する反射光を収集し、
発光ダイオードの平面基板近辺に位置する光検出器へ、その収集された反射光を前記光ガイドにより方向付けし、かつ、
光検出器から得られた交互出力信号要素を処理してバーコード又は紙幣縁辺位置を識別する
ことを特徴とする検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−514219(P2007−514219A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543332(P2006−543332)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/CA2004/002103
【国際公開番号】WO2005/057505
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(306046254)クレイン カナダ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】