説明

紙幣識別機のクリーニング方法

【課題】特別の操作を行うことなく単にクリーニング用シートを挿入するだけでクリーニング動作を行うことのできる紙幣識別機のクリーニング方法を提案すること。
【解決手段】紙幣識別機1のクリーニング方法では、紙幣識別機1の紙幣搬送経路部分をクリーニングするためのクリーニングカード20に、紙幣識別機1の紙幣識別用の各ホトセンサ15〜17によって読み取り可能な識別情報を担持させ、紙幣識別用の各ホトセンサ15〜17の読み取り情報に基づき、クリーニングカード20の挿入を検出させ、紙幣識別機1の紙幣搬送機構によって、挿入されたクリーニングカード20を所定の形態で搬送させて、紙幣搬送経路部分をクリーニングさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技台用台間機、自動販売機、発券機などに搭載される紙幣識別機に関し、特に、紙粉などで汚れた紙幣搬送経路部分のクリーニング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技店などにおける遊技台の間には、遊技台で用いるパチンコ玉などの遊技媒体を貸し出すための遊技台用台間機が配置されている。遊技台用台間機には、一般に、投入された紙幣を識別して、対応する金額の遊技媒体の貸し出しを行うことが出来るように、紙幣識別機が搭載されている。
【0003】
紙幣識別機においては、長期使用の間に、紙幣挿入口などを介して外部から侵入した埃が、内部の紙幣搬送路部分に付着して堆積する。また、紙幣挿入口から挿入されて紙幣搬送路に沿って搬送される紙幣から発生する紙粉、紙幣に付着している異物なども紙幣搬送経路部分に付着して堆積する。例えば、紙幣搬送機構を構成している搬送ベルトの表面、搬送ローラの表面、紙幣識別用のホトセンサの受発光面、紙幣識別用の磁気ヘッドの表面などに異物が汚れとなって付着する。
【0004】
このような紙幣搬送経路部分の汚れをクリーニングするための方法としては、クリーニング用シート(クリーニングカード)を紙幣挿入口から挿入して内部を搬送させる方法が知られており、特許文献1にはかかる方法が開示されている。当該特許文献に開示の方法では、紙幣収納部を一定時間の間に所定回数だけ連続して開閉させることにより、紙幣識別装置にクリーニングの開始を検知させるようにしている。紙幣識別装置は、クリーニングの開始を検知した後は、挿入されたクリーニング用シートを内部に取り込み、往復搬送させてクリーニングを行うようになっている。
【特許文献1】特開2002−352296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クリーニング用シート(クリーニングカード)を用いたクリーニング方法は、紙幣識別機を開けて、汚れが付着している紙幣搬送経路部分(搬送ベルトの表面、ローラ表面、センサ受発光面、磁気ヘッド表面などの紙幣が接触する部分あるいは紙幣が近接位置を通過する部分)を直接にクリーニングする必要がないので便利である。しかしながら、上記の特許文献に開示されているように、クリーニング用シートが排除されることなく、内部に取り込まれるようにするために、紙幣収納部を繰り返し開閉してクリーニングの開始を紙幣識別機に検知させるための操作が必要である。
【0006】
また、従来におけるクリーニング用シートを用いた方法では、汚れの場所、汚れの程度に応じた適切なクリーニング動作を行うことができない。例えば、搬送ベルトは長期使用によって表面が硬化して紙幣搬送力が低下するので、クリーニング時に、その表面をヤスリ目などを用いて荒らす、あるいは剥ぎ取る動作を行うことが望ましい。また、汚れが激しい場合には、クリーニング用シートを長時間に亘って繰り返し往復搬送させる必要がある。しかしながら、従来においては、クリーニング用シートを用いてこのような多様なクリーニング動作を行うことができない。
【0007】
さらに、従来におけるクリーニング用シートを用いた方法では、繰り返し使用して摩耗したクリーニング用シートがそのまま用いられて紙幣識別機のクリーニングを適切に行うことができず、クリーニング不良が発生する可能性がある。
【0008】
さらにまた、クリーニング用シートにより繰り返しクリーニングされて摩耗した搬送ベルトなどがそのまま使用されて、紙幣搬送不良が発生する可能性がある。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、特別の操作を行うことなく単にクリーニングカードを挿入するだけでクリーニング動作を行うことのできる紙幣識別機のクリーニング方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、クリーニングカードを用いて、汚れの程度、汚れの場所に応じた適切な形態でクリーニング動作を行うことのできる紙幣識別機のクリーニング方法を提案することにある。
【0011】
さらに、本発明の課題は、摩耗したクリーニングカードによるクリーニング不良を未然に防止可能な紙幣識別機のクリーニング方法を提案することにある。
【0012】
さらにまた、本発明の課題は、クリーニングカードによるクリーニングによって摩耗した搬送ベルトなどの部品がそのまま継続して使用されてしまうことを未然に防止可能な紙幣識別機のクリーニング方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の紙幣識別機のクリーニング方法は、
紙幣識別機の紙幣搬送経路部分をクリーニングするためのクリーニングカードに、前記紙幣識別機の紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な識別情報を担持させ、
前記センサの読み取り情報に基づき、前記クリーニングカードの挿入を検出させ、
前記紙幣識別機の紙幣搬送機構によって、挿入された前記クリーニングカードを所定の形態で搬送させて、前記紙幣搬送経路部分をクリーニングすることを特徴としている。
【0014】
本発明では、紙幣識別機の紙幣識別用のセンサによって、クリーニングカードを識別可能としてある。したがって、クリーニングカードを挿入すると、紙幣識別機は挿入された紙葉類がクリーニングカードであると識別し、所定のクリーニング動作を行う。よって、紙幣収納部の開閉蓋を繰り返し開閉するなどの特別な操作を行って、紙幣識別機をクリーニング動作状態に切り替える必要がない。
【0015】
次に、本発明の紙幣識別機のクリーニング方法では、前記クリーニングカードとして、異なる種類のものを用意し、各クリーニングカードに担持させる前記識別情報には種類を表す情報を含めておき、前記センサの読み取り情報に基づき、前記クリーニングカードがいずれの種類であるのかを識別させ、識別された種類のクリーニングカードに予め対応付けされている形態で当該クリーニングカードを搬送させることを特徴としている。
【0016】
例えば、前記紙幣搬送経路部分の汚れの程度および/または、前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニング場所に対応した複数種類の前記クリーニングカードが用意される。
【0017】
本発明では、複数種類のクリーニングカードが用意され、紙幣識別用のセンサによってそれが識別される。よって、クリーニングカードを変えるのみで、汚れの程度、クリーニング場所に応じた適切なクリーニング動作を実現できる。
【0018】
一方、本発明は、上記の方法によりクリーニングを行う紙幣識別機であって、クリーニングカードの種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶部と、前記センサの読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否か、および、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部と、識別されたクリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを読み出して実行する駆動制御部とを有していることを特徴としている。
【0019】
次に、本発明は、上記の方法に用いる紙幣識別機用クリーニングカードであって、クリーニングカードである旨を表す情報が紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な形態で担持されている情報担持部と、所定の摩擦係数のクリーニング面、および/または、所定の表面荒さを備えたクリーニング面とを備えていることを特徴としている。
【0020】
ここで、前記情報担持部には、クリーニングカードの種類を表す情報が担持されていることが望ましい。
【0021】
次に、本発明の紙幣識別機のクリーニング方法は、
紙幣識別機の紙幣搬送経路部分をクリーニングするためのクリーニングカードに、前記紙幣識別機の紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な識別情報を担持させ、
前記センサの読み取り情報に基づき、前記クリーニングカードの挿入を検出させ、
前記紙幣識別機の紙幣搬送機構によって、挿入された前記クリーニングカードを所定の形態で搬送させて、前記紙幣搬送経路部分をクリーニングし、
前記クリーニングカード、前記紙幣識別機、および当該紙幣識別機を管理する管理コンピュータの少なくとも一つに、前記クリーニングカードを用いた前記紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分のクリーニング履歴情報を記憶保持させることを特徴としている。
【0022】
本発明では、紙幣識別機の紙幣識別用のセンサによって、クリーニングカードを識別可能としてある。したがって、クリーニングカードを挿入すると、紙幣識別機は挿入された紙葉類がクリーニングカードであると識別し、所定のクリーニング動作を行う。よって、紙幣収納部の開閉蓋を繰り返し開閉するなどの特別な操作を行って、紙幣識別機をクリーニング動作状態に切り替える必要がない。
【0023】
また、クリーニングカードによるクリーニング履歴情報を記憶保持しているので、当該クリーニング履歴情報に基づき、クリーニングカードが摩耗して交換時期になったか否か、紙幣識別機の紙幣搬送経路部分の搬送ベルトなどの部品がクリーニングによって摩耗して交換時期になったか否かを判断できる。よって、クリーニング履歴情報を参照することにより、擦り減ったクリーニングカードによるクリーニング不良、クリーニングによって擦り減った搬送ベルトなどによる紙幣の搬送不良などの不具合を未然に防止できる。
【0024】
ここで、前記クリーニングカードとして、異なる種類のものを用意し、各クリーニングカードに担持させる前記識別情報には種類を表す情報を含めておき、前記センサの読み取り情報に基づき、前記クリーニングカードがいずれの種類であるのかを識別させ、識別された種類のクリーニングカードに予め対応付けされている形態で当該クリーニングカードを搬送させることができる。例えば、前記紙幣搬送経路部分の汚れの程度および/または、前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニング場所に対応した複数種類の前記クリーニングカードを用意すればよい。
【0025】
このように、複数種類のクリーニングカードを用意し、紙幣識別用のセンサによってそれを識別することにより、クリーニングカードを変えるのみで、汚れの程度、クリーニング場所に応じた適切なクリーニング動作を実現できる。
【0026】
また、本発明では、クリーニングカードの交換時期、搬送ベルトなどの部品の交換時期を知るために、前記紙幣識別機および前記管理コンピュータの少なくとも一方によって、前記クリーニング履歴情報に基づき、前記クリーニングカードの交換の要否、および、前記紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分に用いられている部品の交換の要否の少なくとも一方を判断させ、交換が必要な場合にはその旨を報知させることを特徴としている。
【0027】
ここで、クリーニングカードの交換時期を知るためには、前記クリーニングカードに、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該クリーニングカードの使用回数を担持させればよい。使用回数が、当該クリーニングカードの使用可能回数に達した場合には、交換が必要である旨を報知すればよい。
【0028】
また、搬送ベルトなどの交換時期を知るためには、前記紙幣識別機に、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニングの個所および回数を記憶させればよい。
【0029】
さらには、前記管理コンピュータに、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、使用された前記クリーニングカードとその使用回数、または、クリーニングされた前記紙幣識別機とそのクリーニングの個所および回数を記憶させることもできる。
【0030】
次に、前記紙幣識別機に、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニングの個所および回数を記憶させるようにした上記の紙幣識別機のクリーニング方法に用いる紙幣識別機としては、次の構成のものを用いることができる。すなわち、紙幣識別機は、クリーニングカードの種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶部と、前記センサの読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否か、および、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部と、識別されたクリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを読み出して実行する駆動制御部と、前記クリーニングカードによる当該紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニングの個所および回数を記憶するクリーニング履歴記憶部とを有している。
【0031】
この場合、前記クリーニング履歴記憶部に記憶されている前記クリーニング履歴情報に基づき、当該紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分に用いられている部品の交換の要否を判定する判定部と、交換が必要な場合にはその旨を報知する報知部とを有する構成とすることが望ましい。
【0032】
次に、前記クリーニングカードに、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該クリーニングカードの使用回数を担持させるようにした上記の方法によりクリーニングを行う紙幣識別機としては、次の構成のものを用いることができる。すなわち、紙幣識別機は、クリーニングカードの種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶部と、前記センサの読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否か、および、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部と、識別されたクリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを読み出して実行する駆動制御部と、挿入された前記クリーニングカードに担持されているクリーニング履歴情報を読み取るクリーニング履歴情報読み取り部とを有している。
【0033】
この場合、読み取られた前記クリーニング履歴情報に基づき、前記クリーニングカードの交換の要否を判定する判定部と、交換が必要な場合にはその旨を報知する報知部とを有する構成とすることが望ましい。
【0034】
この代わりに、紙幣識別機に、前記クリーニングカードから読み取られた前記クリーニング履歴情報を、当該紙幣識別機を管理する管理コンピュータに伝える通信部を設けて、管理コンピュータの側において判定および報知を行わせるようにしてもよい。
【0035】
次に、本発明は、前記クリーニングカードに、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該クリーニングカードの使用回数を担持させるようにした上記の紙幣識別機のクリーニング方法に用いる紙幣識別機用クリーニングカードであって、クリーニングカードである旨、およびその種類を表す情報が紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な形態で担持されている情報担持部と、所定の摩擦係数のクリーニング面、および/または、所定の表面荒さを備えたクリーニング面と、前記クリーニング履歴情報が担持されているクリーニング履歴情報担持部とを有していることを特徴としている。
【0036】
ここで、前記クリーニング履歴情報担持部としては書き換え可能な記憶部、例えば、磁気記憶部、ICメモリチップなどを用いることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の紙幣識別機のクリーニング方法では、クリーニングカードに、紙幣識別機の紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な識別情報を担持させてあるので、紙幣を挿入する場合と同様にクリーニングカードを挿入するだけで、当該クリーニングカードが排除されることなく受け入れられ、所定のクリーニング動作が自動的に行われる。したがって、クリーニングカードを挿入するという極めて簡単な操作のみでクリーニングを行うことができる。
【0038】
また、各種のクリーニングカードが用意され、これらの種別を紙幣識別用のセンサによって識別可能にしてあるので、クリーニングカードを変えるのみで、汚れの程度、クリーニング場所に応じた適切なクリーニング動作を行うことができる。
【0039】
次に、本発明の紙幣識別機のクリーニング方法では、クリーニングカード、紙幣識別機、または管理コンピュータに、クリーニングカードによる紙幣識別機のクリーニング履歴を記憶保持させるようにしている。このクリーニング履歴に基づき、クリーニングカードの交換時期、紙幣識別機の紙幣搬送経路部分の搬送ベルトなどの部品の交換時期を事前に知ることができる。よって、擦り減ったクリーニングカードによるクリーニング不良の発生、クリーニングによって擦り減った搬送ベルトなどの部品をそのまま使用することによる紙幣搬送不良などの弊害を未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙幣識別機のクリーニング方法の実施の形態を説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明を適用した実施の形態1に係る紙幣識別機を示す概略構成図である。図2は紙幣識別機およびクリーニングカードを示す平面図である。紙幣識別機1は、その前面2に紙幣挿入口3を備え、内部には紙幣挿入口3から挿入された紙幣4あるいはクリーニングカード20を搬送するための紙幣搬送路5が形成されている。紙幣搬送路5における紙幣挿入口3の近傍には、紙幣4の挿入を検出するためのホトセンサ6が配置されている。ホトセンサ6の奥には、紙幣搬送路5の下側に沿って、左右に搬送ベルト7A、7Bが配置されている。搬送ベルト7A、7Bは、それぞれ、駆動側ローラ8A、8Bと、従動側ローラ9A、9Bの間に架け渡されている。搬送ベルト7A、7Bの途中位置にはガイドローラ10A、10Bが配置されている。駆動側ローラ8A、8Bは搬送モータ11によって駆動される。
【0042】
紙幣搬送路5の上側には、搬送ベルト7A、7Bを介して、駆動側ローラ8A、8B、従動側ローラ9A、9Bおよびガイドローラ10A、10Bをそれぞれ押圧している送りローラ12A、12B、13A、13Bおよび14A、14Bが配置されている。
【0043】
送りローラ12A、12Bと、13A、13Bの中間には、紙幣搬送路5に沿って搬送される紙幣を識別するために、例えば、3組の紙幣識別用のホトセンサ15、16、17が幅方向に一定間隔で配置されている。各ホトセンサ15〜17は透過型ホトセンサであり、紙幣搬送路5の上側には発光素子15a〜17aが配置され、紙幣搬送路5の下側には、受光素子15b〜17bが対向配置されている。
【0044】
各ホトセンサ15〜17の検出信号、およびホトセンサ6の検出信号は、駆動制御部18に入力される。駆動制御部18は、ホトセンサ6の検出信号に基づき、紙幣などの紙葉類が紙幣挿入口3から挿入されたことを検出すると、搬送モータ11を駆動して、挿入された紙葉類を紙幣搬送路5に沿って内部に送り込む。紙幣搬送路5に沿って送り込まれる紙葉類の情報(光透過パターン)が3組の紙幣識別用の各ホトセンサ15〜17によって読み取られる。駆動制御部18は、読み取られた紙幣情報を、記憶部19に予め記憶保持されている紙幣識別情報と比較して、紙幣の種類、その真偽の識別を行う。たとえば、受け入れ可能な紙幣であると識別された場合には、紙幣搬送路5の下流端の開口部から不図示の紙幣収納部などに紙幣を送り込む。受け入れ不可の紙幣、あるいは偽札であると識別された場合には、そのような紙幣は逆送りして、紙幣挿入口3から排出する。
【0045】
記憶部19は、紙幣搬送路部分をクリーニングするために用いるクリーニングカード20の種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶領域19aを備えている。また、駆動制御部18は、紙幣識別用の各ホトセンサ15〜17の読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否かを識別すると共に、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部18aとして機能する。さらに、駆動制御部18は、クリーニングカードが挿入されたことを検出すると、当該クリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを記憶領域19aから読み出して実行するクリーニング駆動制御部18bとして機能するようになっている。
【0046】
ここで、クリーニングカード20によってクリーニングされる紙幣搬送経路部分には、搬送ベルト7A、7Bおよび送りローラ12A〜14B、紙幣搬送路5を規定しているガイド部材、ホトセンサ6の受発光面、各ホトセンサ15〜17の受発光面などの部分が含まれている。
【0047】
クリーニングカード20は、図2に示すように、紙幣識別機1によって識別可能な紙幣と同様な長方形をした薄いシート状のものであり、その長手方向の先端部分には、クリーニングカードである旨、および種類を表す情報が紙幣識別用の各ホトセンサ15〜17によって読み取り可能な形態で担持された情報担持領域21が形成されている。本例の紙幣識別機1では、3組の透過型の各ホトセンサ15〜17によって紙幣情報を読み取るようになっている。したがって、情報担持領域21には、各ホトセンサ15〜17の走査ラインに沿って、所定のパターンで光透過部22、23および24が形成されている。
【0048】
また、情報担持領域21から外れているクリーニングカード20の表面領域20aあるいは裏面領域20bには、所定の摩擦係数のクリーニング面、および/または、所定の表面荒さを備えたクリーニング面が形成されている。図示の例では、表面領域20aおよび裏面領域20bにおける各ホトセンサ15〜17の走査ラインに沿った部分に、細長い発光部クリーニング面25a〜27a、および、受光部クリーニング面25b〜27bが形成されている。また、表面領域20aにおける両側の発光部クリーニング面25a、27aの内側には、送りローラに対応する部位に、それぞれ、送りローラクリーニング面28a、29aが形成されている。さらに、裏面領域20bにおける両側の受光部クリーニング面25b、27bの内側には、搬送ベルトに対応する部位に、搬送ベルトクリーニング面28b、29bが形成されている。
【0049】
なお、クリーニングカード20としては、例えば、表面領域20aにのみクリーニング面が形成されたもの、裏面領域20bにのみクリーニング面が形成されたもの、発光部クリーニング面25a〜27aのみが形成されたもの、受光部クリーニング面25b〜27bのみが形成されたもの、送りローラクリーニング面28a、29aのみが形成されたもの、搬送ベルトクリーニング面28b、29bのみが形成されたもの等、各種の形態のものを用意しておくことができる。これら各種類のクリーニングカードにおいては、その情報担持領域21に、種類を表す情報が担持される。また、各種類のクリーニングカードに対応したクリーニング動作プログラムが記憶領域19aに保持されることになる。
【0050】
次に、図3は本例の紙幣識別機1におけるクリーニング動作を示す概略フローチャートである。この図に従ってクリーニング動作例を説明する。紙幣識別機1の紙幣挿入口3に紙葉類が挿入されたことがホトセンサ6の出力によって検出されると、挿入された紙葉類の搬送が開始される(ステップST1、2)。搬送される紙葉類の担持情報が、3組の透過型の各ホトセンサ15〜17によって読み取られ(ステップST3)、これに基づき、挿入された紙葉類が紙幣であるか、クリーニングカード20であるのかが識別される。挿入された紙葉類がクリーニングカード20では無い場合には、通常の紙幣識別処理が行われる(ステップST4、ST5)。
【0051】
挿入された紙葉類がクリーニングカード20の場合には、紙幣識別機1がクリーニング動作モードに切り替わり(ステップST6)、クリーニングカード20の種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを選択して、クリーニング動作を実行する(ステップST7、8)。例えば、紙幣搬送経路部分の汚れがひどい場合には、長時間に亘って繰り返しクリーニングカードを往復搬送するクリーニング動作に対応付けされている種類のクリーニングカード20を挿入する。汚れが少ない場合には、短時間のクリーニング動作に対応付けされている種類のクリーニングカード20を挿入する。搬送ベルト表面の削り取りを行う場合には、ヤスリ目が形成されたクリーニング面を備えた種類のクリーニングカード20を挿入する。
【0052】
クリーニング動作が終了すると(ステップST9)、紙幣識別機1は通常の動作モードに自動復帰して、次の紙葉類の挿入を待つ。
【0053】
以上説明したように、本例では、紙幣識別機1の紙幣搬送経路部分のクリーニングを行うために用いるクリーニングカード20に、紙幣識別用の各ホトセンサ15〜17によって読み取り可能な識別情報を担持させている。したがって、紙幣識別の場合と同様に、クリーニングカード20を挿入すれば、紙幣識別機1は、挿入された紙葉類がクリーニングカードであると識別して、予め定められている搬送形態でクリーニングカード20を搬送して、紙幣搬送経路部分のクリーニング動作を行う。したがって、紙幣識別機1を通常の紙幣識別モードからクリーニングモードに切り替えるための特別な操作が不要となり、極めて簡単に、クリーニングを行うことができる。
【0054】
また、汚れの程度、汚れの箇所に応じて各種のクリーニングカード20を用意し、これらのクリーニングカード20にその種類を識別可能な情報を担持させ、これを紙幣識別機1によって識別させるようにできる。このようにすれば、クリーニングカードを選択して挿入することにより、汚れの程度、汚れの箇所に応じた最適なクリーニング動作を実行できるので、極めて便利である。
【0055】
なお、本例では、紙幣識別用のセンサとして各ホトセンサ15〜17が備わっている紙幣識別機の例を説明したが、磁気ヘッドなどの異なる形式のセンサを備えた紙幣識別機についても本発明を同様に適用可能なことは勿論である。また、クリーニングカード20も、上記の例に限定されるものではなく、各種の形態のクリーニング面を備えたものを用いることができる。
【0056】
(実施の形態2)
図4は本発明を適用した実施の形態2に係る紙幣識別機を示す概略構成図である。図5は紙幣識別機およびクリーニングカードを示す平面図である。紙幣識別機101の基本構成は実施の形態1に係る紙幣識別機1と同一であり、その前面102に紙幣挿入口103を備え、内部には紙幣挿入口103から挿入された紙幣104あるいはクリーニングカード120を搬送するための紙幣搬送路105が形成されている。紙幣搬送路105における紙幣挿入口103の近傍には、紙幣104の挿入を検出するためのホトセンサ106が配置されている。ホトセンサ106の奥には、紙幣搬送路105の下側に沿って、左右に搬送ベルト107A、107Bが配置されている。搬送ベルト107A、107Bは、それぞれ、駆動側ローラ108A、108Bと、従動側ローラ109A、109Bの間に架け渡されている。搬送ベルト107A、107Bの途中位置にはガイドローラ110A、110Bが配置されている。駆動側ローラ108A、108Bは搬送モータ111によって駆動される。
【0057】
紙幣搬送路105の上側には、搬送ベルト107A、107Bを介して、駆動側ローラ108A、108B、従動側ローラ109A、109Bおよびガイドローラ110A、110Bをそれぞれ押圧している送りローラ112A、112B、113A、113Bおよび114A、114Bが配置されている。
【0058】
送りローラ112A、112Bと、113A、113Bの中間には、紙幣搬送路105に沿って搬送される紙幣を識別するために、例えば、3組の紙幣識別用のホトセンサ115、116、117が幅方向に一定間隔で配置されている。各ホトセンサ115〜117は透過型ホトセンサであり、紙幣搬送路105の上側には発光素子115a〜117aが配置され、紙幣搬送路105の下側には、受光素子115b〜117bが対向配置されている。
【0059】
各ホトセンサ115〜117の検出信号、およびホトセンサ106の検出信号は、駆動制御部118に入力される。駆動制御部118は、ホトセンサ106の検出信号に基づき、紙幣などの紙葉類が紙幣挿入口103から挿入されたことを検出すると、搬送モータ111を駆動して、挿入された紙葉類を紙幣搬送路105に沿って内部に送り込む。紙幣搬送路105に沿って送り込まれる紙葉類の情報(光透過パターン)が3組の紙幣識別用の各ホトセンサ115〜117によって読み取られる。
【0060】
駆動制御部118は、読み取られた紙幣情報を、記憶部119に予め記憶保持されている紙幣識別情報と比較して、紙幣の種類、その真偽の識別を行う。たとえば、受け入れ可能な紙幣であると識別された場合には、紙幣搬送路105の下流端の開口部から不図示の紙幣収納部などに紙幣を送り込む。受け入れ不可の紙幣、あるいは偽札であると識別された場合には、そのような紙幣は逆送りして、紙幣挿入口103から排出する。
【0061】
記憶部119は、紙幣搬送路部分をクリーニングするために用いるクリーニングカード120の種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶領域119aを備えている。また、駆動制御部118は、紙幣識別用の各ホトセンサ115〜117の読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカード120であるか否かを識別すると共に、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部118aとしての機能を備えている。さらに、駆動制御部118は、クリーニングカード120が挿入されたことを検出すると、当該クリーニングカード120の種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを記憶領域119aから読み出して実行するクリーニング駆動制御部118bとしての機能も備わっている。
【0062】
ここで、本例の紙幣識別機101は、磁気ヘッド131を備えたカードリーダ・ライタ130を備えている。磁気ヘッド131は、搬送方向においては、送りローラ113A、113Bと、ホトセンサ115〜117の間に配置されており、搬送方向に直交する方向においては、送りローラ113Aと中央のホトセンサ116の発光素子116aの間に配置されている。磁気ヘッド131によって、紙幣搬送路105に沿って搬送されるクリーニングカード120に対して磁気記憶情報の読み書きを行うことができるようになっている。
【0063】
また、駆動制御部118には、挿入されたクリーニングカード120の交換の要否を判定するための判定部118cとしての機能が備わっている。判定部118cは、カードリーダ・ライタ130で読み取られたクリーニングカード120に担持されているクリーニング履歴情報140に基づき、クリーニングカード120が交換すべき時期に至ったものであるか否かを判定する。
【0064】
例えば、クリーニング履歴情報140には、クリーニングカード120の使用回数が含まれている。この場合には、使用回数が予め定めた上限値に達したときにはクリーニングカード120が交換時期に至っていると判定し、駆動制御部118は、表示制御部150を介して、表示部151(報知部)を駆動制御して、クリーニングカード120を交換すべき旨の警告表示を行うようになっている。
【0065】
使用回数が上限値に達していない場合には、駆動制御部118は、当該クリーニングカード120の種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを記憶領域119aから読み出して実行した後に、使用回数として「1」加算した値を、カードリーダ・ライタ130を介して、クリーニングカード120に書き込む。このように、クリーニング履歴情報である使用回数に基づき、クリーニングカード120が擦り減って交換時期に至ったか否かを知ることができる。勿論、使用回数の上限値を記憶しておき、クリーニング毎に減算処理を行って、減算結果が「0」になった場合に交換時期である旨を表示するようにしてもよい。
【0066】
なお、本例におけるクリーニングカード120によってクリーニングされる紙幣搬送経路部分には、搬送ベルト107A、107Bおよび送りローラ112A〜114B、紙幣搬送路105を規定しているガイド部材、ホトセンサ106の受発光面、各ホトセンサ115〜117の受発光面が含まれている。
【0067】
次に、クリーニングカード120は、図5に示すように、紙幣識別機101によって識別可能な紙幣と同様な長方形をした薄いシート状のものであり、その長手方向の先端部分には、クリーニングカードである旨、および種類を表す情報が紙幣識別用の各ホトセンサ115〜117によって読み取り可能な形態で担持された情報担持領域121が形成されている。本例の紙幣識別機101では、3組の透過型の各ホトセンサ115〜117によって紙幣情報を読み取るようになっている。したがって、情報担持領域121には、各ホトセンサ115〜117の走査ラインに沿って、所定のパターンで光透過部122、123および124が形成されている。
【0068】
また、情報担持領域121から外れているクリーニングカード120の表面領域120aあるいは裏面領域120bには、所定の摩擦係数のクリーニング面、および/または、所定の表面荒さを備えたクリーニング面が形成されている。図示の例では、表面領域120aおよび裏面領域120bにおける各ホトセンサ115〜117の走査ラインに沿った部分に、細長い発光部クリーニング面125a〜127a、および、受光部クリーニング面125b〜127bが形成されている。また、表面領域120aにおける両側の発光部クリーニング面125a、127aの内側には、送りローラに対応する部位に、それぞれ、送りローラクリーニング面128a、129aが形成されている。さらに、裏面領域120bにおける両側の受光部クリーニング面125b、127bの内側には、搬送ベルトに対応する部位に、搬送ベルトクリーニング面128b、129bが形成されている。
【0069】
ここで、本例のクリーニングカード120の表面領域120aには、磁気ヘッド131の走査ラインに沿った部分に、磁気記憶領域からなる書き換え可能なクリーニング履歴情報担持部160が形成されている。クリーニング履歴情報担持部160には、当該クリーニングカード120の使用回数(クリーニング履歴情報140)が記憶保持されている。上記のように、クリーニング動作を行う毎に、紙幣識別機101によって使用回数が「1」ずつ加算されるようになっている。
【0070】
なお、クリーニングカード120としては、例えば、表面領域120aにのみクリーニング面が形成されたもの、裏面領域120bにのみクリーニング面が形成されたもの、発光部クリーニング面125a〜127aのみが形成されたもの、受光部クリーニング面125b〜127bのみが形成されたもの、送りローラクリーニング面128a、129aのみが形成されたもの、搬送ベルトクリーニング面128b、129bのみが形成されたもの等、各種の形態のものを用意しておくことができる。これら各種類のクリーニングカードにおいては、その情報担持領域121に、種類を表す情報が担持される。また、各種類のクリーニングカードに対応したクリーニング動作プログラムが記憶領域119aに保持されることになる。
【0071】
また、クリーニング履歴情報担持部160に担持されるクリーニング履歴情報140としては、使用回数の他に、クリーニング日時、クリーニングした紙幣識別機を特定するための識別情報などを含めることもできる。
【0072】
さらに、本例のクリーニングカード120では、クリーニング履歴情報担持部160として磁気記憶領域を形成してある。この代わりに、ICメモリチップをクリーニングカード120に埋め込み、紙幣識別機101の側には、当該ICメモリチップに対して情報の読み書きを行うリーダライタを配置してもよい。ICメモリチップとしては例えば非接触型のものを用いることができる。勿論、これ以外の書き換え可能な記憶手段を用いることもできる。
【0073】
これに加えて、本例の駆動制御部118では、カード120が交換時期に至っていると判定した場合には、表示制御部150を介して表示部151を駆動制御して、クリーニングカード120を交換すべき旨の警告表示を行うようにしている。このような警告表示を行う報知部としては、ブザーなどを用いることもできる。また、紙幣識別器101が接続され、あるいは組み込まれている制御機器の側に配置されている表示部などの報知部に、警告表示を行うようにしてもよい。
【0074】
本例の紙幣識別機101およびクリーニングカード120を用いた場合においても、上記の実施の形態1の場合と同様な作用効果が得られる。
【0075】
これに加えて、本例においては、クリーニングカード120の使用回数がクリーニングの開始時に確認されるので、当該使用回数に基づき、クリーニングカード120が擦り減って交換時期に至っているか否かを判定でき、交換時期に至っている場合にはその旨の警告表示が行われる。したがって、擦り減ったクリーニングカード120を交換せずに用いてクリーニング不良が発生するという不具合を未然に防止できる。
【0076】
(実施の形態3)
図6は本発明を適用した実施の形態3に係る紙幣識別機を示す概略構成図である。本例の紙幣識別機201の基本構成は上記の実施の形態2に係る紙幣識別機101と同一であり、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。また、本例のクリーニングカード220は上記のクリーニングカード120と同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0077】
本例の紙幣識別機201では、その記憶部219に、当該紙幣識別機の紙幣搬送路部分のクリーニング履歴情報を記憶保持するためのクリーニング履歴情報記憶部219aが備わっている。クリーニング履歴情報には、例えば、当該紙幣識別機201のクリーニングのために使用されたクリーニングカード220の種類、各種類のクリーニングカード220の使用回数、当該クリーニングカード220のクリーニング対象部品、および当該クリーニング対象部品の交換時期の判断に用いるクリーニング回数が対応付けした形態で記憶保持されている。
【0078】
駆動制御部218は、クリーニングカード220を用いたクリーニング動作が行われる毎に、クリーニング履歴情報記憶部219aを更新する。また、搬送ベルトなどのようなクリーニングによって摩耗する部品がクリーニングされた場合には、クリーニング回数を「1」加算した値に更新する。また、駆動制御部218の判定部218cでは、クリーニング回数が予め定めた上限値に達した場合には、当該クリーニング対象部品が交換時期に至ったものと判定して、その旨を表示部151(報知部)に警告表示するようになっている。
【0079】
本例の紙幣識別機201およびクリーニングカード220を用いた場合においても、上記の実施の形態2の場合と同様な作用効果が得られる。
【0080】
また、本例によれば、紙幣識別機201のクリーニング対象部品が交換時期に至ったか否かをクリーニング動作時に監視している。したがって、クリーニングによって擦り減った搬送ベルトなどをそのまま用いて紙幣搬送不良などの不具合が発生することを未然に防止できる。
【0081】
(実施の形態4)
図7は本発明を適用した実施の形態4に係る紙幣識別機システムを示す概略構成図であり、図8は紙幣識別機およびクリーニングカードを示す平面図である。本例の紙幣識別機システム300は、紙幣識別機301と、当該紙幣識別機301を管理するための上位の管理コンピュータ400とを有している。紙幣識別機301およびクリーニングカード320の基本構成は実施の形態1の場合と同様であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0082】
本例の紙幣識別機301は、挿入されたクリーニングカード320を特定するためのクリーニングカード識別情報を読み取るためのバーコードセンサ380を備えている。クリーニングカード320にはクリーニングカード識別情報がバーコード381の形態で担持されている。クリーニングカード320の種類などを表す情報担持領域21にクリーニングカード識別情報を担持させることもでき、この場合には、ホトセンサの出力からクリーニングカード識別情報が得られる。
【0083】
クリーニングカード320を用いたクリーニング動作が行われると、紙幣識別機301の通信部390を介して、管理コンピュータ400に向けて、当該紙幣識別機301を特定するための識別機情報と、紙幣識別機301で読み取られたクリーニングカード識別情報が送信される。
【0084】
管理コンピュータ400は、各クリーニングカード320の使用履歴情報および各紙幣識別機301のクリーニング履歴情報を記憶保持した記憶部410、420を備えている。使用履歴情報には、各クリーニングカード320の使用回数が含まれている。使用回数が予め定めた上限値に達すると、管理コンピュータ400は当該クリーニングカード320が交換時期に至ったと判定し、その旨を、例えば、管理コンピュータ400に接続されている表示装置500の表示画面に警告表示する。
【0085】
また、クリーニング履歴情報には、各紙幣識別機301の各クリーニング対象部品のクリーニング回数が含まれている。クリーニング回数が予め定めた上限値に達すると、管理コンピュータ400は当該クリーニング対象部品が交換時期に至ったと判定し、その旨を、例えば、表示装置500の表示画面に警告表示する。
【0086】
このように、本例では、紙幣識別機301を管理している管理コンピュータ400の側において、各クリーニングカード320の交換時期、および、各紙幣識別機301のクリーニング対象部品の交換時期を監視している。この構成によっても、上記の各実施の形態1〜3における場合と同様な作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明を適用した実施の形態1に係る紙幣識別機の概略構成図である。
【図2】(a)は図1の紙幣識別機の平面図であり、(b)はクリーニングカードの平面図である。
【図3】図1の紙幣識別機のクリーニング動作を示す概略フローチャートである。
【図4】本発明を適用した実施の形態2に係る紙幣識別機の概略構成図である。
【図5】図4の紙幣識別機およびクリーニングカードの平面図である。
【図6】本発明を適用した実施の形態3に係る紙幣識別機を示す概略構成図である。
【図7】本発明を適用した実施の形態4に係る紙幣識別機システムを示す概略構成図である。
【図8】図7の紙幣識別機およびクリーニングカードの平面図である。
【符号の説明】
【0088】
1、101、201、301 紙幣識別機
3、103、 紙幣挿入口
4、104 紙幣
5、105 紙幣搬送路
6、106 ホトセンサ
7A、7B、107A、107B 搬送ベルト
8A、8B、108A、108B 駆動側ローラ
9A、9B、109A、109B 従動側ローラ
10A、10B、110A、110B ガイドローラ
11、111 搬送モータ
12A〜14B、112A〜114B 送りローラ
15〜17、115〜117 紙幣識別用のホトセンサ
15a〜17a、115a〜117a 発光素子
15b〜17b、115b〜117b 受光素子
18、118、218 駆動制御部
18a、118a クリーニングカード識別部
18b、118b クリーニング駆動制御部
19、119 記憶部
19a、119a 記憶領域
20、120、220 クリーニングカード
20a、120a 表面領域
20b、120b 裏面領域
21、121 情報担持領域
22〜24、122〜124 光透過部
25a〜27a、125a〜127a 発光部クリーニング面
25b〜27b、125b〜127b 受光部クリーニング面
28a、29a、128a、129a ローラクリーニング面
28b、29b、128b、129b 搬送ベルトクリーニング面
130 カードリーダ・ライタ
131 磁気ヘッド
140 クリーニング履歴情報
150 表示制御部
151 表示部
160 クリーニング履歴情報担持部
219a クリーニング履歴情報記憶部
380 バーコードセンサ
381 バーコード
390 通信部
400 管理コンピュータ
410、420 記憶部
500 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣識別機の紙幣搬送経路部分をクリーニングするためのクリーニングカードに、前記紙幣識別機の紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な識別情報を担持させ、
前記紙幣識別機によって、前記センサの読み取り情報に基づき、前記クリーニングカードの挿入を検出させ、
前記紙幣識別機の紙幣搬送機構によって、挿入された前記クリーニングカードを所定の形態で搬送させて、前記紙幣搬送経路部分をクリーニングすることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項2】
請求項1に記載の紙幣識別機のクリーニング方法において、
前記クリーニングカードとして、異なる種類のものを用意し、
各クリーニングカードに担持させる前記識別情報には種類を表す情報を含めておき、
前記センサの読み取り情報に基づき、前記クリーニングカードがいずれの種類のものであるのかを識別させ、
識別された種類のクリーニングカードに予め対応付けされている形態で当該クリーニングカードを搬送させることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項3】
請求項2に記載の紙幣識別機のクリーニング方法において、
前記紙幣搬送経路部分の汚れの程度および/または、前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニング場所に対応した複数種類の前記クリーニングカードを用意することを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の方法によりクリーニングを行う紙幣識別機であって、
クリーニングカードの種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶部と、
前記センサの読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否か、および、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部と、
識別されたクリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを読み出して実行する駆動制御部とを有していることを特徴とする紙幣識別機。
【請求項5】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の方法に用いる紙幣識別機用クリーニングカードであって、
クリーニングカードである旨を表す情報が紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な形態で担持されている情報担持部と、
所定の摩擦係数のクリーニング面、および/または、所定の表面荒さを備えたクリーニング面とを備えていることを特徴とする紙幣識別機用クリーニングカード。
【請求項6】
請求項5において、
前記情報担持部には、クリーニングカードの種類を表す情報が担持されていることを特徴とする紙幣識別機用クリーニングカード。
【請求項7】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の紙幣識別機のクリーニング方法おいて、
前記クリーニングカード、前記紙幣識別機、および当該紙幣識別機を管理する管理コンピュータの少なくとも一つに、前記クリーニングカードを用いた前記紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分のクリーニング履歴情報を記憶保持させることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記紙幣識別機および前記管理コンピュータの少なくとも一方によって、前記クリーニング履歴情報に基づき、前記クリーニングカードの交換の要否、および、前記紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分に用いられている部品の交換の要否の少なくとも一方を判断させ、交換が必要な場合にはその旨を報知させることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記クリーニングカードに、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該クリーニングカードの使用回数を担持させることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項10】
請求項7または8において、
前記紙幣識別機に、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、当該紙幣識別の前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニングの個所および回数を記憶させることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項11】
請求項7または8において、
前記管理コンピュータに、前記クリーニング履歴情報として少なくとも、使用された前記クリーニングカードとその使用回数、または、クリーニングされた前記紙幣識別機とそのクリーニングの個所および回数を記憶させることを特徴とする紙幣識別機のクリーニング方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法によりクリーニングを行う紙幣識別機であって、
クリーニングカードの種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶部と、
前記センサの読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否か、および、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部と、
識別されたクリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを読み出して実行する駆動制御部と、
前記クリーニングカードによる当該紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分におけるクリーニングの個所および回数を記憶するクリーニング履歴記憶部とを有していることを特徴とする紙幣識別機。
【請求項13】
請求項12に記載の紙幣識別機において、
前記クリーニング履歴記憶部に記憶されている前記クリーニング履歴情報に基づき、当該紙幣識別機の前記紙幣搬送経路部分に用いられている部品の交換の要否を判定する判定部と、
交換が必要な場合にはその旨を報知する報知部とを有していることを特徴とする紙幣識別機。
【請求項14】
請求項9に記載の方法によりクリーニングを行う紙幣識別機であって、
クリーニングカードの種類に対応したクリーニング動作プログラムが格納されている記憶部と、
前記センサの読み取り情報に基づき、挿入された紙葉類がクリーニングカードであるか否か、および、クリーニングカードの種類を識別するクリーニングカード識別部と、
識別されたクリーニングカードの種類に対応付けされているクリーニング動作プログラムを読み出して実行する駆動制御部と、
挿入された前記クリーニングカードに担持されているクリーニング履歴情報を読み取るクリーニング履歴情報読み取り部とを有していることを特徴とする紙幣識別機。
【請求項15】
請求項14に記載の紙幣識別機において、
読み取られた前記クリーニング履歴情報に基づき、前記クリーニングカードの交換の要否を判定する判定部と、
交換が必要な場合にはその旨を報知する報知部とを有していることを特徴とする紙幣識別機。
【請求項16】
請求項14に記載の紙幣識別機において、
前記クリーニングカードから読み取られた前記クリーニング履歴情報を、当該紙幣識別機を管理する管理コンピュータに伝える通信部を有していることを特徴とする紙幣識別機。
【請求項17】
請求項9に記載の方法に用いる紙幣識別機用クリーニングカードであって、
クリーニングカードである旨、およびその種類を表す情報が紙幣識別用のセンサによって読み取り可能な形態で担持されている情報担持部と、
所定の摩擦係数のクリーニング面、および/または、所定の表面荒さを備えたクリーニング面と、
前記クリーニング履歴情報が担持されているクリーニング履歴情報担持部とを有していることを特徴とする紙幣識別機用クリーニングカード。
【請求項18】
請求項17に記載の紙幣識別機用クリーニングカードにおいて、
前記クリーニング履歴情報担持部は、磁気記憶部、または、ICメモリチップであることを特徴とする紙幣識別機用クリーニングカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−193764(P2007−193764A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122765(P2006−122765)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】