説明

紙幣集積装置

【構成】 羽根車の羽根の部分を容易に変形できるように弾性体で形成し、羽根車の直径をテンションローラの直径よりも大きくして、紙幣を羽根車とアイドラローラとの間、および、羽根車の外側に設けたガイドと羽根車との間で波形形状に形成する。
【効果】 実装スペースを小さくして紙幣の繰出し口と集積口とを共通にすることを可能にする。また、弾性体で波形形状を形成するため、集積部に集積された後に波形形状が残留するを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、現金自動預払機等において使用する紙幣集積装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は従来の紙幣集積装置の一例における紙幣の状態を示す側面図である。
【0003】現金自動預払機等において使用する従来の紙幣集積装置は、図6に示すように、隣接する2個の羽根車22の間に2組の波形形状形成ローラ23を設け、紙幣20がこれらの波形形状形成ローラ23の間を通過するとき、紙幣20を波形形状にして剛性を強化し、集積部(図示省略)に進入するときに座屈を起して正常な集積ができなくなるをを防止している。集積部(図示省略)に進入した紙幣20は、羽根車22の回転によって落下させられて集積される。
【0004】図7は従来の紙幣集積装置の他の例における紙幣の状態を示す側面図である。
【0005】図7の例も図6の例と同様であり、2個の羽根車22の間に波形形状形成ローラ33〜36を設け、これらの波形形状形成ローラ33〜36によって紙幣20に波形形状を形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の紙幣集積装置は、図6の例の場合は、波形形状形成ローラ23の実装スペースが大きいため、紙幣の繰出し口と集積口とを共通にすることが困難であるという欠点を有している。また、図6および図7の例は、共に紙幣20に対して波形形状を強く形成するため、集積部に集積された後も波形形状が残留するという問題点を有している。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の紙幣集積装置は、波形形状形成ローラを使用せずに、羽根車によって波形形状を形成することにより、上述のような従来の紙幣集積装置の欠点を解消したものである。
【0008】すなわち、本発明の紙幣集積装置は、紙幣を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される前記紙幣が通過する搬送路の終端部に設けた羽根車と、前記羽根車に回転によって前記紙幣を収納する紙幣収納部と、前記紙幣収納部に収納した前記紙幣と接触して回転するピックローラとを備え、前記羽根車の羽根の部分を弾性体で形成し、前記羽根車の直径を前記羽根車と同軸に設けてあるテンションローラの直径よりも大きくし、前記紙幣収納部に収納した前記紙幣の排出動作のとき前記羽根車を前記紙幣の排出経路から外れた位置に退避させることを含むものであり、更に、前記紙幣収納部に収納した前記紙幣を前記ピックローラに接触させたときの接触圧力を検出するセンサを設けたものである。
【0009】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例を示す正面図、図2は図1の実施例の矢視C方向の側面図、図3は図1の実施例が紙幣を集積している状態を示す正面図、図4は図1の実施例が紙幣を排出している状態を示す正面図、図5は図1の実施例の動作時の紙幣の状態を示す側面図である。
【0011】図1および図2において、ゲートローラ1を保持しているゲートローラ軸1aには、ゲートローラ1と同じ直径のアイドラローラ2がベアリングによって保持されている。また、ピックアップローラ3を取付けているアーム4は、スプリング21によってゲートローラ軸1aを中心とする矢印A方向の回転力を与えられている。ゲートローラ軸1aとピックアップローラ3との間には、ベルト5が装架されていて、それらは同期して回転する。ゲートローラ軸1aは、繰出しモータ6によって駆動される。
【0012】ゲートローラ1に対向して第二のゲートローラ9が設けられており、ゲートローラ9は、ピボッ軸7に回動自在に保持されたアーム8に取付けられている。またアイドラローラ2に対向してテンションローラ11が設けらており、テンションローラ11は、ピボッ軸7に回動自在に保持されたアーム10に取付けられている。
【0013】テンションローラ11を保持している軸11aには、羽根車12が装着されており、羽根車12の羽根の部分は、容易に変形できるように弾性体で形成され、その直径はテンションローラ11の直径よりも大きくなっている。羽根車12は、テンションローラ11と同期して回転する。
【0014】テンションローラ11の上方には、フィードローラ18が設けられており、フィードローラ18は、搬送モータ17によって駆動される。
【0015】アーム8およびアーム10は、図3および図4に示すように、紙幣の集積のときと排出のときとでそれぞれ独立の異った動作を行う(詳細は後述)。
【0016】繰出しモータ6および搬送モータ17は、共にステッピングモータであり、正逆双方向に回転することができる。
【0017】ピックアップローラ3の上方には、集積部のフロア15の上に積載された紙幣がピックアップローラ3に接触したときの押圧力を検出するためのセンサ13が設けてある。
【0018】フロア15の外端には、ベルト14が固着されており、フロア昇降モータ16によってベルト14を駆動することによってフロア15を昇降させる。
【0019】次に、上述のように構成した紙幣集積装置の動作について説明する。
【0020】紙幣を集積するときは、図3に示すように、繰出しモータ6および搬送モータ17を動作させ、ゲートローラ1およびフィードローラ18によって紙幣を集積部の方に搬送する。紙幣がゲートローラ1とテンションローラ11との間を通過するとき、羽根車12の羽根の外側の部分は、紙幣によって折曲げられる。しかし、羽根が折曲げられた後の羽根車12の外径は、テンションローラ11の外径よりも大きくなるため、図5に示すように、紙幣20は、羽根車12とアイドラローラ2との間、および、羽根車12の外側に設けてあるガイド19と羽根車12との間で波形形状に形成される。
【0021】この状態で紙幣20の後端が紙幣がゲートローラ1とテンションローラ11との間を通過すると、羽根車12が紙幣20の後端を叩いて紙幣20を集積部に落下させ、フロア15の上に積載させる。フロア15は、その上に積載した紙幣の上の空間が所定の高さとなるように、ベルト14を介してフロア昇降モータ16によって下降させられる。
【0022】紙幣を排出するときは、図4に示すように、フロア昇降モータ16によってベルト14を介してフロア15を上昇させ、フロア15の上に積載した紙幣の最上位の紙幣をピックアップローラ3に所定の圧力で接触させる。紙幣のピックアップローラ3に対する押圧力は、センサ13によって検出してフロア昇降モータ16を停止させる。
【0023】この状態で繰出しモータ6を動作させると、ピックアップローラ3が回転して接触している紙幣を繰出し、ゲートローラ1とフィードローラ18との間に搬送し、ゲートローラ1とフィードローラ18は、搬送されてきた紙幣を外に排出する。このとき、2枚以上の紙幣が同時に繰出されると、2枚目以降の紙幣がゲートローラ9によって集積部の方に戻されるため、最上位の1枚の紙幣のみが排出される。
【0024】なお、紙幣を排出するときは、羽根車12は、紙幣の排出経路から外れた位置に退避させられている。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の紙幣集積装置は、羽根車の羽根の部分を容易に変形できるように弾性体で形成し、羽根車の直径をテンションローラの直径よりも大きくして、紙幣を羽根車とアイドラローラとの間、および、羽根車の外側に設けたガイドと羽根車との間で波形形状に形成することにより、実装スペースを小さくして紙幣の繰出し口と集積口とを共通にすることを可能にするという効果がある。また、弾性体で波形形状を形成するため、集積部に集積された後に波形形状が残留するを防止できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の実施例の矢視C方向の側面図である。
【図3】図1の実施例が紙幣を集積している状態を示す正面図である。
【図4】図1の実施例が紙幣を排出している状態を示す正面図である。
【図5】図1の実施例の動作時の紙幣の状態を示す側面図である。
【図6】従来の紙幣集積装置の一例の紙幣の状態を示す側面図である。
【図7】従来の紙幣集積装置の他の例の紙幣の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 ゲートローラ
1a ゲートローラ軸
2 アイドラローラ
3 ピックアップローラ
4 アーム
5 ベルト
6 繰出しモータ
7 ピボッ軸
8 アーム
9 ゲートローラ
10 アーム
11 テンションローラ
11a 軸
12・22・32 羽根車
13 センサ
14 ベルト
15 フロア
16 フロア昇降モータ
17 搬送モータ
18 フィードローラ
19 ガイド
20 紙幣
21 スプリング
23・33〜36 波形形状形成ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 紙幣を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送される前記紙幣が通過する搬送路の終端部に設けた羽根車と、前記羽根車に回転によって前記紙幣を収納する紙幣収納部と、前記紙幣収納部に収納した前記紙幣と接触して回転するピックローラとを備え、前記羽根車の羽根の部分を弾性体で形成し、前記羽根車の直径を前記羽根車と同軸に設けてあるテンションローラの直径よりも大きくし、前記紙幣収納部に収納した前記紙幣の排出動作のとき前記羽根車を前記紙幣の排出経路から外れた位置に退避させることを含む特徴とする紙幣集積装置。
【請求項2】 紙幣収納部に収納した紙幣をピックローラに接触させたときの接触圧力を検出するセンサを設けたことを特徴とする請求項1記載の紙紙幣集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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