説明

紙折り用定規

【課題】四角形の紙を等分して折り畳むときに、折線の位置を簡単かつ迅速に決める。
【解決手段】紙折り用定規10は、第1基準側縁12aを有する第1定規12と、第2基準側縁14aを有する第2定規14と、第1基準側縁12aに位置する第1基準点Qと第2基準側縁14aに位置する第2基準点Rとを直線状に結ぶ側縁16a(指示線)を有し、紙Pにおける第2定規14側から数えて2番目の折線Lの位置を、第1辺Xと側縁16aとの交点Tとして指し示す指示部16とを備え、第1基準側縁12aと第2基準側縁14aとが直交する点を原点O,Oとしたとき、原点Oから第2基準点Rまでの距離は、第2辺Y,Yの長さの3倍であり、かつ、原点Oから第1基準点Qまでの距離は、第1辺X,Xの長さの1倍であり、一方の第1辺Xの第2定規14側とは反対側の端点が第1基準点Qに位置づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四角形の紙を等分して折り畳む際に、折線の位置を正確に決めることができる、紙折り用定規に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、便箋や定型紙等のような四角形の紙を封筒に入れる場合には、紙を折り畳む必要がある。このとき、紙を偶数等分(2等分、4等分など)にして折り畳むのであれば、紙の側縁どうしを重ね合わせることによって、所望の折線に沿って紙を正確に折ることができる。しかし、紙を奇数等分(3等分、5等分など)にして折り畳む場合には、紙の側縁どうしを重ね合わせて折ることができないので、折線の位置を正確に決めることが困難であり、その結果、折り重ねられた各層の位置がずれて見栄えが悪くなってしまう。
【0003】
そこで、従来では、まず、(a)紙の長さを「物差し」を用いて正確に測定し、続いて、(b)その測定値を等分数(3等分するのであれば「3」)で割り算し、その後、(c)割り算で算出した値に対応する位置を「物差し」で確認して、当該位置を「折線の位置」と決めるようにしていた。なお、従来、折線の位置を正確に決める専用の道具はなく、先行技術文献は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、上記工程(a)〜(c)を経ることによって、折線の位置を決めるようにしていたが、この方法では、各工程における作業が面倒であるとともに、全工程を終了するまでの作業時間が長くなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、折線の位置を簡単かつ迅速に決めることができる、紙折り用定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る紙折り用定規は、互いに平行に延びる2つの第1辺と前記第1辺に対して直交方向に延びる2つの第2辺とを有する四角形の紙を、第2辺に対して平行方向に延びるn−1本の折線に沿ってn等分する際に、前記折線の位置を示す、紙折用定規であって、一方の前記第1辺に沿って配置される直線状の第1基準側縁を有する第1定規と、前記第2辺に対して平行方向に延びて配置される直線状の第2基準側縁を有する第2定規と、前記第1基準側縁に位置する第1基準点と前記第2基準側縁に位置する第2基準点とを直線状に結ぶ指示線を有し、前記紙における前記第2定規側から数えてN番目の前記折線の位置を、他方の前記第1辺と前記指示線との交点として指し示す指示部とを備え、前記第1基準側縁と前記第2基準側縁とが直交する点を原点としたとき、前記原点から前記第2基準点までの距離は、前記第2辺の長さのn倍であり、かつ、前記原点から前記第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの(n−N)倍であり、前記一方の第1辺の前記第2定規側とは反対側の端点が前記第1基準点に位置づけられる。
【0007】
この構成では、第1定規と第2定規と指示部とを備える単純な構成により、紙をn等分するときに、第2定規側から数えてN番目の折線の位置を、簡単かつ迅速に決めることができる。なお、「n」は紙を等分する数であり、具体的には「2」以上の自然数である。
【0008】
本発明に係るより具体的な紙折り用定規は、互いに平行に延びる2つの第1辺と前記第1辺に対して直交方向に延びる2つの第2辺とを有する四角形の紙を、第2辺に対して平行方向に延びる2本の折線に沿って3等分する際に、前記折線の位置を示す、紙折用定規であって、一方の前記第1辺に沿って配置される直線状の第1基準側縁を有する第1定規と、前記第2辺に対して平行方向に延びて配置される直線状の第2基準側縁を有する第2定規と、前記第1基準側縁に位置する第1基準点と前記第2基準側縁に位置する第2基準点とを直線状に結ぶ指示線を有し、前記紙における前記第2定規側から数えて2番目の前記折線の位置を、他方の前記第1辺と前記指示線との交点として指し示す指示部とを備え、前記第1基準側縁と前記第2基準側縁とが直交する点を原点としたとき、前記原点から前記第2基準点までの距離は、前記第2辺の長さの3倍であり、かつ、前記原点から前記第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの1倍であり、一方の前記第1辺の前記第2定規側とは反対側の端点が前記第1基準点に位置づけられる。
【0009】
この構成では、紙を3等分するときに、紙の「表面」に対して指示部で「2番目の折線」の位置を指し示すことができる。また、紙を裏返すことによって、当該紙の「裏面」に対しても、指示部で「2番目の折線」の位置を指し示すことができる。紙を3等分するときには、紙の「裏面」における「2番目の折線」の位置は、紙の「表面」における「1番目の折線」の位置と一致するので、1つの紙折り用定規を用いて、紙を3等分するための2本の折線の位置を簡単かつ迅速に決めることができる。
【0010】
前記第1定規、前記第2定規および前記指示部のそれぞれは、互いに重ね合わせることができるように板状に構成されており、少なくとも前記第1定規と前記第2定規とは、前記原点の近傍において回動自在に連結されていてもよい。
【0011】
この構成では、第1定規、第2定規および指示部のそれぞれを重ね合わせることによって、紙折り用定規をコンパクトに畳むことができる。
【0012】
前記指示部は、線状部材であり、前記指示部の一方の端点が、前記第2基準点に固定されていてもよい。
【0013】
この構成では、線状の指示部の一方の端点が第2基準点に固定されているので、「指示線」の一方の端点を第2基準点に対して位置決めすることができる。ここで、「線状部材」とは、紐状部材および棒状部材のいずれをも含む概念であり、たとえば、タコ糸、針金および金属棒等が「線状部材」に該当する。したがって、この構成では、「線状部材」である指示部の全体が、第1基準点と第2基準点とを直線状に結ぶ「指示線」となる。
【0014】
少なくとも2つの前記折線に対応する少なくとも2つの第1基準点を有し、前記原点から第1の第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの2倍であり、前記原点から第2の第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの1倍であってもよい。
【0015】
この構成では、少なくとも2つの第1基準点に基づいて、紙の一方面において少なくとも2本の折線の位置を示すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、四角形の紙を等分して折り畳む際に、折線の位置を簡単かつ迅速に、しかも正確に決めることができる。したがって、折り重ねられた各層の位置がずれるのを防止して、折り畳まれた紙の見栄えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第1実施形態に係る紙折り用定規の構成を示す正面図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る紙折り用定規の原理を示す概念図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る紙折り用定規が畳まれるときの状態を示す図であり、(A)は第1定規、第2定規および指示部が互いに回動される状態を示す平面図、(B)は紙折り用定規が棒状に畳まれた状態を示す平面図である。
【図4】図4は、第2実施形態に係る紙折り用定規の構成を示す正面図である。
【図5】図5は、第3実施形態に係る紙折り用定規の構成を示す正面図である。
【図6】図6は、第3実施形態に係る紙折り用定規の原理を示す概念図である。
【図7】図7は、第4実施形態に係る紙折り用定規の構成を示す正面図である。
【図8】図8は、第5実施形態に係る紙折り用定規の原理を示す概念図である。
【図9】図9は、第6実施形態に係る紙折り用定規の原理を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施形態に係る紙折り用定規について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(第1実施形態)
[紙折り用定規の構成]
図1は、第1実施形態に係る紙折り用定規10の構成を示す正面図である。
【0020】
図1に示すように、紙折り用定規10は、互いに平行に延びる2つの第1辺X,Xと第1辺X,Xに対して直交方向に延びる2つの第2辺Y,Yとを有する四角形の紙Pを、第2辺Y,Yに対して平行方向に延びる2本の折線L,Lに沿って3等分して折り畳む際に、2本の折線L,Lの位置を示すものであり、第1定規12と、第2定規14と、指示部16とを備えている。なお、紙Pのサイズは、特に限定されるものではなく、A4紙およびB5紙等の定型紙や、不定型の便箋等を適宜選択して用いることができる。
【0021】
第1定規12は、一方の第1辺Xに沿って配置される直線状の第1基準側縁12aを有する長尺板状の部材であり、第1定規12の上面には、第1定規12の一方端部12bに位置する原点Oからの距離を示す目盛18が第1基準側縁12aに沿って目視可能に設けられている。
【0022】
第2定規14は、第2辺Y,Yに対して平行方向に延びて配置される直線状の第2基準側縁14aを有する長尺板状の部材であり、第2定規14の上面には、第2定規14の一方端部14bに位置する原点Oからの距離を示す第1目盛20と、原点Oから第2基準側縁14aに沿って並べられた紙Pの端点の位置を示す第2目盛22a,22b,22cとが、第2基準側縁14aに沿って目視可能に設けられている。たとえば、紙Pの第2辺Yが、A4紙の短辺である場合には、1番目の第2目盛22aは原点Oから210mmの位置に設けられ、2番目の第2目盛22bは原点Oから420mmの位置に設けられ、3番目の第2目盛22cは原点Oから630mmの位置に設けられることになる。
【0023】
第1定規12における長手方向の一方端部12bと、第2定規14における長手方向の一方端部14bとは、原点O,Oの近傍において第1回動軸24を介して回動可能に接続されており、第1基準側縁12aと第2基準側縁14aとを直交させた状態では、原点Oと原点Oとが重なるようになっている。したがって、本実施形態では、原点Oと原点Oとを重ね合わせることによって、第1基準側縁12aと第2基準側縁14aとを直交させることができる。なお、第1基準側縁12aと第2基準側縁14aとが直交した状態を保持するために、これらの交差角度が90度になったときに相互の回動を止めるストッパ(図示省略)を、第1定規12および第2定規14の少なくとも一方に設けるようにしてもよい。
【0024】
そして、本実施形態では、第1基準側縁12aと第2基準側縁14aとを直交させた状態において、第1基準側縁12a上における原点Oから第1辺X,Xの長さの1倍の距離を隔てた位置が、第1基準点Qとなっており、第2基準側縁14a上における原点Oから第2辺Y,Yの長さの3倍の距離を隔てた位置が、第2基準点Rとなっている。そして、第1基準側縁12aの原点O側とは反対側の端点が、第1基準点Qの位置を示す指標となっており、3番目の第2目盛22cが、第2基準点Rの位置を示す指標となっている。したがって、ユーザは、第1基準点Qおよび第2基準点Rの位置を、第1基準側縁12aの端点および3番目の第2目盛22cを目印にして確認することができる。
【0025】
指示部16は、長尺板状の部材であり、指示部16における原点O,O側に位置する側縁16aが、第1基準点Qと第2基準点Rとを直線状に結ぶ「指示線」となっている。また、指示部16の上面には、側縁16aの端点からの距離を示す目盛26が側縁16aに沿って目視可能に設けられている。そして、第2定規14における長手方向の他方端部14cと、指示部16における長手方向の一方端部16bとが、第2回動軸28を介して回動可能に接続されており、側縁16aの一部を第1基準点Qに位置づけた状態では、同時に、側縁16aの他の部分が第2基準点Rに位置づけられるようになっている。つまり、第1基準点Qと第2基準点Rとを側縁16aで結ぶことができるように、第2回動軸28の位置が設計されている。
【0026】
[紙折り用定規の原理]
図2は、第1実施形態に係る紙折り用定規10の原理を示す概念図である。以下には、図2に従って、紙折り用定規10の原理を説明する。
【0027】
図2に示すように、紙Pと同じ形状およびサイズを有する3枚の紙P,P,Pを、第2辺Y,Yが直線状に連続するようにして、3行1列に並べて四角形Sを構成する。そして、この四角形Sに対角線Dを引く。すると、3枚の紙P,P,Pのそれぞれにおいて、対角線Dの一部を斜辺とする同一形状の直角三角形E,E,Eが得られ、これらの直角三角形E,E,Eの底辺e,e,eが、第1辺X,Xを3等分にした長さと同じ長さになる。したがって、各直角三角形E,E,Eの頂点f,f,fが、第1辺X,Xを3等分する位置を規定することになる。つまり、紙Pに着目すると、直角三角形Eにおける第1辺Xと対角線Dとの交点に位置する頂点fが、紙Pを3等分するときの2番目の折線Lの位置を規定することになる。
【0028】
図2に示した紙Pに紙折り用定規10(図1)を適用した場合を考えると、紙Pの1つの角に第1基準点Qが位置するとともに、四角形Sの対角線Dに「指示線」としての側縁16aが重なって位置する。そして、図1に示すように、指示部16が、紙Pにおける第2定規14側から数えて2番目の折線Lの位置を、第1辺Xと側縁16aとの交点Tとして指し示す。したがって、紙折り用定規10を用いて、紙Pに対して2番目の折線Lの位置を決めるときには、他の紙P,Pは不要であり、紙折り用定規10を単独の紙Pに適用した場合でも、2番目の折線Lの位置を上記原理に基づいて簡単かつ迅速に決めることができる。
【0029】
[紙折り用定規の使用方法]
図1に示すように、紙折り用定規10を用いて折線L,Lの位置を決める際には、まず、第1基準側縁12aと第2基準側縁14aとを直交させた状態において、紙Pにおける一方の第1辺Xの第2定規14側とは反対側の端点を第1基準点Qに位置づける。また、第2定規14に対する指示部16の傾斜角度を調整して、第1基準点Qと第2基準点Rとを「指示線」としての側縁16aで直線状に結ぶ。そして、紙Pにおける他方の第1辺Xと側縁16aとの交点Tを確認し、その交点Tを、第2定規14側から数えて2番目の折線Lの位置と決める。
【0030】
紙Pの「表面」に対して2番目の折線Lの位置が決まると、紙Pを裏返した後、上記工程と同じ工程を経て、紙Pの「裏面」に対しても2番目の折線Lの位置を決める。本実施形態では、紙Pを3等分するようにしているので、「裏面」における2番目の折線Lの位置は、「表面」における1番目の折線Lの位置と一致する。したがって、以上の工程により、紙Pを3等分するための2本の折線L,Lの位置を簡単かつ迅速に決めることができ、2本の折線L,Lに沿って紙Pを3等分して折り畳むことができる。
【0031】
そして、紙折り用定規10を使用しないときには、図3(A)に示すように、第1定規12、第2定規14および指示部16を相互に重ね合わせる方向(図中の矢印の方向)に回動させ、図3(B)に示すように、これらを1本の棒状にしてケース30に収納する。
【0032】
なお、上記原理に従えば、図2に示した紙Pの位置に紙Pを配置することによって、すなわち紙折り用定規10(図1)における1番目の第2目盛22aと2番目の第2目盛22bとの間に紙Pを配置することによって、第2定規14側から数えて1番目の折線Lの位置と、2番目の折線Lの位置とを同時に決めることも可能である。
【0033】
また、図2に示した紙Pの位置に紙Pを配置することによって、すなわち紙折り用定規10(図1)における2番目の第2目盛22bと3番目の第2目盛22cとの間に紙Pを配置することによって、第2定規14側から数えて1番目の折線Lの位置を決めることも可能である。
【0034】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る紙折り用定規40の構成を示す正面図である。
【0035】
図4に示すように、紙折り用定規40は、第1定規12と、第2定規14と、指示部42とを備えており、指示部42における原点O,O側とは反対側に位置する側縁42aが、第1基準点Qと第2基準点Rとを直線状に結ぶ「指示線」となっている。したがって、第2実施形態によれば、指示部42を原点O,Oに近づけて配置することが可能であり、全体サイズを小型化することができる。
【0036】
(第3実施形態)
[紙折り用定規の構成]
図5は、第3実施形態に係る紙折り用定規50の構成を示す正面図である。
【0037】
図5に示すように、紙折り用定規50は、紙Pを3等分するときに、第2定規54側から数えて1番目の折線Lの位置を決めるものであり、2番目の折線Lの位置を決める紙折り用定規10(図1)または40(図4)と併用することによって、紙Pを3等分するための2本の折線L,Lの位置を決めることができる。
【0038】
紙折り用定規50は、第1定規52と、第2定規54と、指示部56とを備えており、指示部56における原点O,O側に位置する側縁56aが、第1基準点Qと第2基準点Rとを直線状に結ぶ「指示線」となっている。そして、原点Oから第1基準点Qまでの距離は、第1辺X,Xの長さの2倍に設計されており、原点Oから第2基準点Rまでの距離は、第2辺Y,Yの長さの3倍に設計されている。
【0039】
[紙折り用定規の原理]
図6は、第3実施形態に係る紙折り用定規50の原理を示す概念図である。以下には、図6に従って、紙折り用定規50の原理を説明する。
【0040】
図6に示すように、紙Pと同じ形状およびサイズを有する6枚の紙P〜Pを、3行2列に並べて四角形Sを構成する。そして、この四角形Sに対角線Dを引く。すると、各行において、対角線Dの一部を斜辺とする同一形状の直角三角形E,E,Eが得られ、これらの直角三角形E,E,Eの底辺e,e,eが、四角形Sの幅(第1辺X1,X2の2倍の長さ)を3等分にした長さと同じ長さになる。したがって、各直角三角形E,E,Eの頂点f,f,fが、四角形Sの幅を3等分する位置を規定することになり、紙Pに着目すると、直角三角形Eにおける第1辺Xと対角線Dとの交点に位置する頂点fが、紙Pを3等分するときの1番目の折線Lの位置を規定することになる。
【0041】
図6に示した紙Pに紙折り用定規50(図5)を適用した場合を考えると、紙Pの1つの角に第1基準点Qが位置するとともに、四角形Sの対角線Dに「指示線」としての側縁56aが重なって位置する。そして、図5に示すように、指示部56が、紙Pにおける第2定規54側から数えて1番目の折線Lの位置を、第1辺Xと側縁56aとの交点Tとして指し示す。したがって、紙折り用定規50を用いて、紙Pに対して1番目の折線Lの位置を決めるときには、他の紙P,P,P,P,Pは不要であり、紙折り用定規50を単独の紙Pに適用した場合でも、1番目の折線Lの位置を上記原理に基づいて簡単かつ迅速に決めることができる。
【0042】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る紙折り用定規60の構成を示す正面図である。
【0043】
図7に示すように、紙折り用定規60は、第1定規62と、第2定規64と、指示部66とを備えており、指示部66が、タコ糸、針金および金属棒等のような「線状部材」で構成されている。つまり、第4実施形態では、線状の指示部66の全体が「指示線」となっている。そして、指示部66の一方の端点66aが、第2基準点Rに固定されており、指示部66の他方の端点66bには、手指等で把持されるリング68が取り付けられている。
【0044】
第4実施形態によれば、「指示線」としての指示部66の一方の端点66aが第2基準点Rに固定されているので、第2定規64に対する指示部66の傾斜角度αが変化した場合でも、端点66aの位置が第2基準点Rからずれることはない。したがって、原点Oから第1辺X,Xの長さの2倍の距離を隔てた点を1番目の第1基準点Qとし、原点Oから第1辺X,Xの長さの1倍の距離を隔てた点を2番目の第1基準点Qとすることによって、紙Pの一方面において2本の折線L,Lの位置を決めることができる。
【0045】
つまり、図7中の実線で示すように、第1の第1基準点Qと第2基準点Rとを指示部66で結ぶことにより、上記第3実施形態の原理(図5、図6)に基づいて、1番目の折線Lの位置を決めることができ、また、図7中の二点鎖線で示すように、第2の第1基準点Qと第2基準点Rとを指示部66で結ぶことにより、上記第1実施形態の原理(図1、図2)に基づいて、2番目の折線Lの位置を決めることができる。
【0046】
(他の実施形態)
図8は、第5実施形態に係る紙折り用定規の原理を示す概念図であり、図9は、第6実施形態に係る紙折り用定規の原理を示す概念図である。第1実施形態の原理(図1、図2)および第3実施形態の原理(図5、図6)は、紙Pを3等分する場合だけでなく、n等分(n:2以上の自然数)する場合に広く用いることができる。
【0047】
つまり、図8に示すように、互いに平行に延びる2つの第1辺X,Xと第1辺X,Xに対して直交方向に延びる2つの第2辺Y,Yとを有する四角形の紙Pを、第2辺Y,Yに対して平行方向に延びるn−1本の折線L,L…Ln−1(図8では、n=5)に沿ってn等分する場合を考えると、紙Pにおける第2定規側(原点O側)から数えてN番目の折線L(図8では、N=1,2,3,4)の位置を、第1基準点Qと第2基準点Rとを直線状に結ぶ指示線Gと、第1辺Xとの交点Tとして指し示すことができる。このとき、原点Oから第1基準点Qまでの距離は、第1辺X,Xの長さの(n−N)倍となるように設計され、紙Pにおける一方の第1辺Xの「第2定規」側(すなわち原点O側)とは反対側の端点が第1基準点Qに位置づけられる。また、原点Oから第2基準点Rまでの距離は、第2辺Y,Yの長さのn倍となるように設計される。
【0048】
そして、この一般化した原理に具体的な数値を当て嵌めることによって、紙Pの等分数nが偶数であるか、或いは、奇数であるかにかかわらず、第1基準点Qおよび第2基準点Rの位置(すなわち原点O,Oからの距離)を適切に設計することができる。
【0049】
たとえば、図7に示すように、紙Pを3等分(n=3)にして折り畳むときに、1番目(N=1)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから1番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=2)倍となり、2番目(N=2)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから2番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=1)倍となる。そして、原点Oから第2基準点Rまでの距離が、第2辺Y,Yの長さの(n=3)倍となる。
【0050】
また、図8に示すように、紙Pを5等分(n=5)にして折り畳むときに、1番目(N=1)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから1番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=4)倍となり、2番目(N=2)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから2番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=3)倍となる。また、3番目(N=3)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから3番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=2)倍となり、4番目(N=4)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから4番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=1)倍となる。そして、原点Oから第2基準点Rまでの距離が、第2辺Y,Yの長さの(n=5)倍となる。
【0051】
さらに、図9に示すように、紙Pを4等分(n=4)にして折り畳むときに、1番目(N=1)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから1番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=3)倍となり、2番目(N=2)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから2番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=2)倍となり、3番目(N=3)の折線Lの位置を決める場合には、原点Oから3番目の第1基準点Qまでの距離が、第1辺X,Xの長さの(n−N=1)倍となる。そして、原点Oから第2基準点Rまでの距離が、第2辺Y,Yの長さの(n=4)倍となる。
【0052】
なお、上述の各実施形態では、「第1定規」と「第2定規」と「指示部」とを、互いに独立した部品として別々に形成しているが、少なくとも「第1定規」と「第2定規」とを、1つの部品として一体的に形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
D… 対角線
〜E… 直角三角形
〜e… 底辺
〜f… 頂点
L,L… 折線
,O… 原点
P,P〜P… 紙
Q,Q… 第1基準点
R… 第2基準点
S… 四角形
… 交点
,X… 第1辺
10… 紙折り用定規
12a… 第1基準側縁
12… 第1定規
14a… 第2基準側縁
14… 第2定規
16a… 側縁(指示線)
16… 指示部
24… 第1回動軸
28… 第2回動軸
30… ケース
40,50,60… 紙折り用定規
42,56,66… 指示部
68… リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延びる2つの第1辺と前記第1辺に対して直交方向に延びる2つの第2辺とを有する四角形の紙を、第2辺に対して平行方向に延びるn−1本の折線に沿ってn等分する際に、前記折線の位置を示す、紙折用定規であって、
一方の前記第1辺に沿って配置される直線状の第1基準側縁を有する第1定規と、
前記第2辺に対して平行方向に延びて配置される直線状の第2基準側縁を有する第2定規と、
前記第1基準側縁に位置する第1基準点と前記第2基準側縁に位置する第2基準点とを直線状に結ぶ指示線を有し、前記紙における前記第2定規側から数えてN番目の前記折線の位置を、他方の前記第1辺と前記指示線との交点として指し示す指示部とを備え、
前記第1基準側縁と前記第2基準側縁とが直交する点を原点としたとき、前記原点から前記第2基準点までの距離は、前記第2辺の長さのn倍であり、かつ、前記原点から前記第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの(n−N)倍であり、
前記一方の第1辺の前記第2定規側とは反対側の端点が前記第1基準点に位置づけられる、紙折り用定規。
【請求項2】
互いに平行に延びる2つの第1辺と前記第1辺に対して直交方向に延びる2つの第2辺とを有する四角形の紙を、第2辺に対して平行方向に延びる2本の折線に沿って3等分する際に、前記折線の位置を示す、紙折用定規であって、
一方の前記第1辺に沿って配置される直線状の第1基準側縁を有する第1定規と、
前記第2辺に対して平行方向に延びて配置される直線状の第2基準側縁を有する第2定規と、
前記第1基準側縁に位置する第1基準点と前記第2基準側縁に位置する第2基準点とを直線状に結ぶ指示線を有し、前記紙における前記第2定規側から数えて2番目の前記折線の位置を、他方の前記第1辺と前記指示線との交点として指し示す指示部とを備え、
前記第1基準側縁と前記第2基準側縁とが直交する点を原点としたとき、前記原点から前記第2基準点までの距離は、前記第2辺の長さの3倍であり、かつ、前記原点から前記第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの1倍であり、
一方の前記第1辺の前記第2定規側とは反対側の端点が前記第1基準点に位置づけられる、紙折り用定規。
【請求項3】
前記第1定規、前記第2定規および前記指示部のそれぞれは、互いに重ね合わせることができるように板状に構成されており、
少なくとも前記第1定規と前記第2定規とは、前記原点の近傍において回動自在に連結されている、請求項1または2に記載の紙折り用定規。
【請求項4】
前記指示部は、線状部材であり、
前記指示部の一方の端点が、前記第2基準点に固定されている、請求項1または2に記載の紙折り用定規。
【請求項5】
少なくとも2つの前記折線に対応する少なくとも2つの第1基準点を有し、
前記原点から第1の第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの2倍であり、
前記原点から第2の第1基準点までの距離は、前記第1辺の長さの1倍である、請求項1ないし4のいずれかに記載の紙折り用定規。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−220706(P2011−220706A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86787(P2010−86787)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(510094218)
【Fターム(参考)】