説明

紙挟み

【課題】組み立てが容易で、その厚みが薄い、紙挟みを提供する。
【解決手段】この発明にかかる紙挟みは、台板20と、前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材50と、前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材90とを含み、前記台板20は、前記挟持部材に形成された枢結部22を、相対移動させて連結するための移動可能部28を、前記台板の載置面より低く凹設され、前記台板の移動可能部28は、付勢部材の台板より上方に突き出た付勢部92を台板に向けて押し下げて且つ挟持部材を挟持部側より開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するために、挟持部側に向けて、枢結部22を通過させるための開口部26を凹設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紙挟みに関し、特に台板に挟持部材が設けられ、たとえば書類などを台板と挟持部材とで挟持することができる紙挟みに関する。
【背景技術】
【0002】
この発明の背景となる従来の紙挟みの一例が、たとえば特開2004−299355号公報に開示されている。
この紙挟みは、台板と、一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分が前記台板に回動可能に支持される挟持部材と、前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材と、前記台板に対して前記挟持部材の前記挟持部を開いた状態で維持するための係止部材とを含み、前記係止部材は、前記挟持部材の前記一方側部分および前記中間部分の間の部分で回動可能に支持され、前記挟持部材の前記開用押圧部側に配置される係止用押圧部、前記挟持部材の前記挟持部側に配置される解除用押圧部、および前記台板側に配置される係止部を含み、前記挟持部材の前記開用押圧部を押圧して前記台板に対して前記挟持部材の前記挟持部を前記付勢部材の付勢力に抗して開いた状態で前記係止部材の前記係止用押圧部を押圧して前記係止部材の前記係止部を前記台板の当接部に当てることによって、前記台板に対して前記挟持部材の前記挟持部を開いた状態で維持するように形成され、前記係止部材の前記解除用押圧部を押圧して前記係止部材の前記係止部を前記台板の前記当接部から外すことによって、前記台板に対して前記挟持部材の前記挟持部を前記付勢部材の付勢力で閉じるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−19355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の紙挟みは、その厚みが厚く、複数個を積み重ねて保管するときに嵩張る。
又、その組み立てにも、手数がかかる構造となっている。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、組み立てが容易で、その厚みが薄い、紙挟みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかる紙挟みは、被挟持体を載置する載置面を有する台板と、一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分の枢結部により前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材と、前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材とを含み、前記台板は、前記挟持部材に形成された枢結部を、挟持部側により開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するための移動可能部を、前記台板の載置面より低く凹設され、前記付勢部材は、台板より上方に突き出た領域を構成する付勢部を、挟持部材を台板に固定する側においては、挟持部材の開用押圧部側の方が高く台板より上方に突き出され、且つ付勢部の端より突き出た固定部を、挟持部材の挟持部側にて低い位置において台板に固定され、前記台板の移動可能部は、付勢部材の台板より上方に突き出た付勢部を台板に向けて押し下げて且つ挟持部材を挟持部側より開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するために、挟持部側に向けて、枢結部を通過させるための開口部を凹設された、紙挟みである。
この発明の請求項2にかかる紙挟みは、被挟持体を載置する載置面を有する台板と、一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分の枢結部により前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材と、前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材とを含み、前記台板及び/又は挟持部材は、前記台板及び/又は挟持部材に形成された枢結部を、相対移動させて連結するための移動可能部を、前記台板の載置面より低く凹設され、前記移動可能部は、付勢部材の台板より上方に突き出た領域を台板に向けて押し下げて且つ付勢部材の前記突き出た領域より下方の領域に向けて台板及び挟持部材を相対移動させて連結するために、枢結部を通過させるための開口部を凹設され、前記挟持部材は、挟持部材を付勢する付勢部に対応した付勢部材固定凹部を形成され、前記付勢部材固定凹部は、付勢部材の付勢部の上昇角度に対応して、前記相対移動の始点側から終点側に向けて徐々に深くなるように形成された、紙挟みである。
この発明の請求項3にかかる紙挟みにおいては、前記付勢部材は、台板より上方に突き出た領域において付勢部を構成する屈曲又はわん曲部と、前記屈曲又はわん曲部の両端に延設された固定部とを備えた弾力性を有する線材により構成され、固定部は、前記相対移動の終点側において台板に形成された、付勢部材用支持部により固定され、前記付勢部材用支持部は、挟持部材及び/又は台板を相対移動させるときに付勢部材の移動を阻止するように形成された、請求項1又は請求項2に記載の紙挟みである。
この発明の請求項4にかかる紙挟みにおいては、前記挟持部材は、台板の枢軸部を枢支するための枢結部を構成する軸受部を裏面側に形成され、前記台板は、載置面より低い位置に形成された枢軸部を有する枢結部を形成され、挟持部材の裏面に設けられた軸受部を通過させて、軸受部を枢軸部の下方に位置させて連結するための、前記台板の載置面より低く形成された第1開口部を有する移動可能部を形成され、前記挟持部材の軸受部は、前記台板の移動可能部に対応して、前記台板の第1開口部から枢軸部の下方に位置させて、枢軸部に連結されるように、前記台板の枢軸部を通過させるための第2開口部を形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の紙挟みである。
この発明の請求項5にかかる紙挟みにおいては、前記台板は、載置面より低い位置に形成された断面円形の枢軸部を有する枢結部を形成され、且つ前記挟持部材は、枢結部を構成する、前記台板の枢軸部に対応する断面半円弧状の軸受部を下面に突設され、前記台板は、前記枢軸部の下方に、挟持部材の前記軸受部を収容するための断面半円弧状の間隙を形成され、前記間隙は、移動可能部に続いて、前記台板の載置面より低く凹設された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の紙挟みである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、被挟持体を載置する載置面を有する台板と、一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分の枢結部により前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材と、前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材とを含み、前記台板は、前記挟持部材に形成された枢結部を、挟持部側により開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するための移動可能部を、前記台板の載置面より低く凹設され、前記付勢部材は、台板より上方に突き出た領域を構成する付勢部を、挟持部材を台板に固定する側においては、挟持部材の開用押圧部側の方が高く台板より上方に突き出され、且つ付勢部の端より突き出た固定部を、挟持部材の挟持部側にて低い位置において台板に固定され、前記台板の移動可能部は、付勢部材の台板より上方に突き出た付勢部を台板に向けて押し下げて且つ挟持部材を挟持部側より開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するために、挟持部側に向けて、枢結部を通過させるための開口部を凹設されているので、組み立てが容易で、その厚みが薄い、紙挟みを提供することができる。
請求項2の発明によれば、被挟持体を載置する載置面を有する台板と、一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分の枢結部により前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材と、前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材とを含み、前記台板及び/又は挟持部材は、前記台板及び/又は挟持部材に形成された枢結部を、相対移動させて連結するための移動可能部を、前記台板の載置面より低く凹設され、前記移動可能部は、付勢部材の台板より上方に突き出た領域を台板に向けて押し下げて且つ付勢部材の前記突き出た領域より下方の領域に向けて台板及び挟持部材を相対移動させて連結するために、枢結部を通過させるための開口部を凹設され、前記挟持部材は、挟持部材を付勢する付勢部に対応した付勢部材固定凹部を形成され、前記付勢部材固定凹部は、付勢部材の付勢部の上昇角度に対応して、前記相対移動の始点側から終点側に向けて徐々に深くなるように形成されているので、組み立てが容易で、その厚みが薄い、紙挟みを提供することができる。
請求項3の発明によれば、前記付勢部材は、台板より上方に突き出た領域において付勢部を構成する屈曲又はわん曲部と、前記屈曲又はわん曲部の両端に延設された固定部とを備えた弾力性を有する線材により構成され、固定部は、前記相対移動の終点側において台板に形成された、付勢部材用支持部により固定され、前記付勢部材用支持部は、挟持部材及び/又は台板を相対移動させるときに付勢部材の移動を阻止するように形成されているので、付勢部材の台板より上方に突き出た付勢部を台板に向けて押し下げて且つ挟持部材を挟持部側より開用押圧部側に向けて相対移動させて台板に挟持部材を連結させることができる。
請求項4の発明によれば、前記挟持部材は、台板の枢軸部を枢支するための枢結部を構成する軸受部を裏面側に形成され、前記台板は、載置面より低い位置に形成された枢軸部を有する枢結部を形成され、挟持部材の裏面に設けられた軸受部を通過させて、軸受部を枢軸部の下方に位置させて連結するための、前記台板の載置面より低く形成された第1開口部を有する移動可能部を形成され、前記挟持部材の軸受部は、前記台板の移動可能部に対応して、前記台板の第1開口部から枢軸部の下方に位置させて、枢軸部に連結されるように、前記台板の枢軸部を通過させるための第2開口部を形成されているので、挟持部材の枢結部と台板の枢結部とを、容易に連結させることができる。
請求項5の発明によれば、前記台板は、載置面より低い位置に形成された断面円形の枢軸部を有する枢結部を形成され、且つ前記挟持部材は、枢結部を構成する、前記台板の枢軸部に対応する断面半円弧状の軸受部を下面に突設され、前記台板は、前記枢軸部の下方に、挟持部材の前記軸受部を収容するための断面半円弧状の間隙を形成され、前記間隙は、移動可能部に続いて、前記台板の載置面より低く凹設されているので、挟持部材の枢結部と台板の枢結部とを、容易に連結させることができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明にかかる紙挟みの一例を示す斜視図解図である。
【図2】図1に示す紙挟みの要部を示す分解斜視図解図である。
【図3】図1に示す紙挟みの要部を示す分解斜視図解図である。
【図4】図1に示す紙挟みにおいて挟持部材を閉じた状態及び紙を挟んだ状態を示す要部図解図であり、(A)は挟持部材を閉じた状態を示す図であり、(B)は挟持部材を開いた状態を示す図であり、(C)は紙を挟んだ状態を示す図である。
【図5】図1に示す紙挟みに用いられる台板及び付勢部材を示す平面図解図である。
【図6】挟持部材の裏面の斜視図解図である。
【図7】挟持部材の裏面の底面図解図である。
【図8】図1に示す紙挟みを組み立てられる状態を示す断面図解図である。
【図9】図1に示す紙挟みを組み立てられる状態を示す断面図解図である。
【図10】図1に示す紙挟みを組み立てられる状態を示す断面図解図であり、(A)は枢軸部に軸受部を嵌め込む直前の図であり、(B)は枢軸部に軸受部を半分嵌め込んだ図であり、(C)は枢軸部に軸受部を嵌め込んだ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1はこの発明にかかる紙挟みの一例を示す斜視図解図であり、図2及び3はその紙挟みの要部を示す分解斜視図解図であり、図4はその紙挟みにおいて挟持部材を閉じた状態及び紙を挟んだ状態を示す要部図解図であり、(A)は挟持部材を閉じた状態を示す図であり、(B)は挟持部材を開いた状態を示す図であり、(C)は紙を挟んだ状態を示す図である。
図1に示す紙挟み10は、たとえば合成樹脂からなる矩形板状の台板20を含む。台板20は、直線状の左端縁並びに左端縁と平行な右端縁及び左端縁(右端縁)と直交する上端縁(向こう側端縁)並びに上端縁と平行な下端縁とを備え、表面に、用箋等の被挟持体Sを載置する載置面を有する。
【0011】
前記台板20の載置面側に回動可能に、たとえば合成樹脂からなる挟持部材50が支持されている。
挟持部材50は、平面視略方形の挟持部材本体の一方側(手前側)部分に被挟持体Sを台板20との間に挟む挟持部52が形成され、平面視略方形の挟持部材本体の他方側(向こう側)部分に回動させるときに押すための開用押圧部54が形成されている。挟持部材50は、前記挟持部52が前記台板20に対して開閉すなわち接離できるように、中間部分の枢結部22により台板20に回動可能に連結されている。
前記挟持部材50は、付勢部材90により、前記挟持部52を前記台板20側に付勢される。
【0012】
台板20の上端部(向こう側部)には、図2に示すように、台板20に挟持部材50を枢結する枢結部22を構成する2つの挟持部材の支持用の第1枢軸部24aと第2枢軸部24bとが、左右に間隔を隔てて形成される。
これらの第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bは、挟持部材50を回動可能に支持するためのものである。これらの第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bは、それぞれ、略円柱状に形成される。
第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bを有する枢結部22は、載置面より低い位置に形成されている。
台板20は、挟持部材50の裏面に設けられた第1軸受部58a及び第2軸受部58bを通過させて、第1軸受部58a及び第2軸受部58bを第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下方に位置させて挟持部材50を連結するための第1開口部26を有する移動可能部28を形成されている。
第1開口部26は、台板20の載置面と略々同じ高さ位置ないしは台板20の載置面より低い位置に形成されている。
前記移動可能部28は、前記挟持部材50に形成された枢結部22を、挟持部52側より開用押圧部54側に向けて相対移動させて連結するために、台板20の載置面と略同一の高さにあるないしは台板20の載置面より低い位置にある第1開口部26に続いて前記台板20の載置面より低く凹設されている。
この実施の形態においては、第1枢軸部24aは、台板20の幅方向にのびてその両端を枢軸支持部30a及び枢軸支持部30bで支持され、第2枢軸部24bは、台板20の幅方向にのびてその両端を枢軸支持部32a及び枢軸支持部32bで支持される。
移動可能部28は、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下面より下方の領域において、第1開口部26に続く第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bと対向する領域を、斜めに切り欠かれている。そして、移動可能部28は、第1開口部26から入り込んだ挟持部材50の第1軸受部58a及び第2軸受部58bを、台板20の載置面側から斜め下方、すなわち第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下部に向けて滑り込み易くなるように構成されている。
【0013】
そして、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bは、台板20の載置面より下方にその下部が位置し、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下方に、移動可能部28に続いて断面円弧状の間隙を形成されている。
前記台板20は、前記第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下方に、挟持部材50の前記第1軸受部58a及び第2軸受部58bを収容するための断面半円弧状の間隙を形成され、前記間隙は、移動可能部28に続いて、移動可能部28と比して前記台板20の載置面より一段と低く凹設されている。
【0014】
さらに、台板20は、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの外側の周辺に、付勢部材用支持部40を形成される。これらの付勢部材用支持部40は、挟持部材50及び/又は台板20を相対移動させるときに付勢部材90の移動を阻止するとともに、付勢部材用支持部40を台板20の固定位置に固定するために形成されたものである。
付勢部材用支持部40は、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの手前側において、台板20の幅方向にのびるブロック状の第1付勢部材用支持部42を有する。
第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの手前側と第1付勢部材用支持部42の向こう側との間には、台板20の幅方向にのびる、付勢部材90を装入するための空間を形成されている。
また、付勢部材用支持部40は、枢軸支持部30aの左横において、手前側から向こう側にのびる溝状に形成された第2付勢部材用支持部44aと、さらに、枢軸支持部32aの右横において、手前側から向こう側にのびる溝状に形成された第3付勢部材用支持部44bとを有する。
第2付勢部材用支持部44a及び第3付勢部材用支持部44bは、前記第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bと第1付勢部材用支持部42との間の空間に連続して、手前側から向こう側にのびる、付勢部材90を装入するための空間を有する。
さらに、付勢部材用支持部40は、左側の枢軸支持部30aの手前側端に形成された第4付勢部材用支持部46aと、右側の枢軸支持部30bの手前側端に形成された第5付勢部材用支持部46bとを有する。
第4付勢部材用支持部46a及び第5付勢部材用支持部46bは、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bと第1付勢部材用支持部42との間の空間と連続し、且つ、第2付勢部材用支持部44a及び第3付勢部材用支持部44bの空間にも連続して、台板20の幅方向にのび、付勢部材90を装入するための空間を有する。
この実施の形態においては、第4付勢部材用支持部46a及び第5付勢部材用支持部46bは、手前側に向いて開口する断面半円弧状の凹条であり、該凹条は台板20の幅方向にのびる。
付勢部材用支持部40を構成する前記空間は、略々同じ高さ位置に形成されており、台板20の載置面と略々同じ高さかあるいは載置面より低い位置に形成されている。
【0015】
前記挟持部材50は、枢結部22を構成する、前記台板20の第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bに対応する断面半円弧状の第1軸受部58a及び第2軸受部58bを、挟持部材本体の下面(裏面)に突設されている。そして、前記台板20は、前記したように、前記第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下方に、挟持部材50の前記第1軸受部58a及び第2軸受部58bを収容するための断面半円弧状の間隙を形成され、前記間隙は、移動可能部28に続いて、前記台板20の載置面より低く凹設され、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下面の下方に形成されている。
【0016】
台板20の第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bを枢支するための枢結部22を構成する前記第1軸受部58a及び第2軸受部58bは、前記台板20において斜め下方にのびる移動可能部28に対応して、挟持部52側より開用押圧部54側に向けて斜め下方にのびる傾斜面を裏面に形成されている。台板20の第1枢軸部24aと第2枢軸部24bとは左右対称であり、それに対応して、第1枢軸部24aに連結される第1軸受部58aと第2枢軸部24bに連結される第2軸受部58bとは対称に形成されている。
第1軸受部58a及び第2軸受部58bは、前記台板20の第1開口部26から移動可能部28を経て移動させ第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下方に位置させて、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bに連結されるように、前記台板20の第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bを通過させるための第2開口部60a及び第2開口部60bを形成されている。第1枢軸部24aに連結される左側の第1軸受部58aの第2開口部60aと第2枢軸部24bに連結される右側の第2軸受部58bの第2開口部60bとは、同一の形状を備えている。
【0017】
第1軸受部58aの第2開口部60aと第2軸受部58bの第2開口部60bとは、同一の形状を備えており、第1枢軸部24aと第2枢軸部24bとにそれぞれ嵌合する断面半円弧状の軸当接面66に続いて形成された上壁部62と下壁部64とを有している。
上壁部62の奥側端62aと下壁部64の奥側端64aとの間隔は、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの直径より若干短く構成されている。
上壁部62の入り口端62bと下壁部64の入り口端64bとの間隔は、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの直径と略々同一に構成されている。
上壁部62の入り口端62bと上壁部62の奥側端62aとを結んだ面及び下壁部64の入り口端64bと下壁部64の奥側端64aとを結んだ面は、奥側から外側(入り口側)に向かうに従って拡がり、その面を第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの外面形状に沿って円弧状に形成されている。
【0018】
挟持部材50は、開用押圧部54の先端と第2開口部60a及び第2開口部60bの上壁部62の入り口端62bとの間の長さは、挟持部材50を斜め下方に向けて下降させて第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bと第1軸受部58a及び第2軸受部58bとを嵌め込めるようにするために適する長さとしている。
又、挟持部材50における開用押圧部54の先端と第1軸受部58a及び第2軸受部58bにおける第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bを嵌合する軸当接面66との間の長さは、第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bを中心に回動させて挟持部材50を付勢部材90の付勢力に抗して押し下げて、挟持部52を開くために適する長さとしている。
【0019】
挟持部材50の第2開口部60a及び第2開口部60bは、挟持部材50の第1軸受部58a及び第2軸受部58bを第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下方の間隙に至らしめて第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bに第1軸受部58a及び第2軸受部58bを嵌め込んだとき、第2開口部60a及び第2開口部60bの下壁部64の入り口端64b及び第2開口部60a及び第2開口部60bの下壁部64の奥側端64aを第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの中心を通る垂線よりも向こう側に至るように構成されている。
第1軸受部58a及び第2軸受部58bは、軸当接面66によって第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの外面を、向こう側を除き4分の3程度覆うように構成されている。
【0020】
前記挟持部材50は、挟持部材50を付勢する付勢部材90の屈曲又はわん曲部92に対応した付勢部材固定凹部70を、挟持部材本体の裏面に形成されている。
前記付勢部材固定凹部70は、底面視U字形であり、付勢部材90の屈曲又はわん曲部92の平面視U字形の形状に対応する。そして、付勢部材固定凹部70は、付勢部材90の屈曲又はわん曲部92の付勢部材用支持部40の空間よりの上昇角度に対応して、挟持部材50の前記相対移動の始点側から終点側に向けて、凹みの深さが徐々に深くなるように形成されている。
【0021】
前記付勢部材90は、台板20より上方に突き出た領域において付勢部を構成する屈曲又はわん曲部92と、前記屈曲又はわん曲部92の両端に延設された第1固定部94a並びに第1固定部94b及び第1固定部94aの端に延設された第2固定部96a並びに第1固定部94bの端に延設された第2固定部96bとを備えた弾力性を有する金属製線材により構成される。
付勢部材90は、直線状の弾力性を有する金属製線材を屈曲ないしはわん曲させて、一体成形されている。
第1固定部94a及び第1固定部94bは、前記相対移動の終点側において屈曲又はわん曲部92の両端から左右にのびるようにすなわち台板20の幅方向にのびるように形成された、付勢部材用支持部40に対応する直線状である。第1固定部94a及び第1固定部94bは、付勢部材用支持部40の第1付勢部材用支持部42の向こう側の空間に装入され、付勢部材用支持部40の第1付勢部材用支持部42の向こう側面に当接させて台板20に固定される。更に、左側にのびる第1固定部94aは、第4付勢部材用支持部46aに装入され、第4付勢部材用支持部46aの手前側に当接され、右側にのびる第1固定部94bは、第5付勢部材用支持部46bに装入され、第5付勢部材用支持部46bの手前側に当接され、台板20に固定される。
第2固定部96aは、屈曲又はわん曲部92ののびる方向と平行な方向で第1固定部94aの端部より向こう側に向けてのびるように構成され、第2固定部96bは、屈曲又はわん曲部92ののびる方向と平行な方向で第1固定部94bの端部より向こう側に向けてのびるように構成される。第1固定部94aの端部よりのびた左側の第2固定部96aは、第2付勢部材用支持部44aに嵌め込まれ、第1固定部94bの端部よりのびた右側の第2固定部96bは、右側の第3付勢部材用支持部44bに嵌め込まれて、台板20に固定される。
第1固定部94a並びに第1固定部94b及び第2固定部96a並びに第2固定部96bは、略同一の高さ位置において、付勢部材用支持部40の空間に装入され、台板20の載置面と略同一かそれより低い位置において台板20に固定される。
【0022】
さらに、台板20には、付勢部材用支持部40の第1付勢部材用支持部42の手前において、略3角柱状の2つの滑り止部48a及び滑り止部48bが上下に間隔を隔てて形成される。滑り止部48a及び滑り止部48bは、滑り止部48aと滑り止部48bとの間に挟持部材50の挟持部52の先端が嵌まり込み、この紙挟み10で挟持した書類などを台板20から滑りにくくするためのものである。
【0023】
台板20は、左端部、上端左側部及び上端右側部に、段差部をそれぞれ形成してもよい。これらの段差部は、載置された被挟持体Sが台板20の外側にはみださないように、被挟持体Sの左端部及び上端部の移動を台板20に対して規制するためのものである。
【0024】
次に、前記実施の形態にかかる紙挟み10の組み立て方法及び使用方法について、主として図8ないし10に基づいて説明する。
【0025】
付勢部材90は、第1固定部94a及び第1固定部94bが第4付勢部材用支持部46a並びに第5付勢部材用支持部46b及び第1付勢部材用支持部42で支持され、第2固定部96a及び第2固定部96bが、台板20の載置面と略同一もしくは低い位置において第2付勢部材用支持部44a及び第3付勢部材用支持部44bで支持される。
それによって、付勢部材90は、屈曲又はわん曲部92が台板20の載置面(表面)から斜め上方向に突出するように、台板20に配置される。
【0026】
まず、前述した挟持部材50の付勢部材固定凹部70に付勢部材90の屈曲又はわん曲部92の上端部(向こう側端部)を配置した状態で、挟持部材50を、台板20の載置面側において手前側から向こう側に台板20の中央線(台板20の左端縁と右端縁との間における中央線)と平行に移動させる。
そして、挟持部材50の第1軸受部58a及び第2軸受部58bを第1開口部26より斜め下方に向けて挿入して向こう側に移動させ、挟持部材12の上壁部62及び下壁部64を、対応する第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの手前側に位置させる。そして、第1軸受部58a及び第2軸受部58bを移動可能部28に移動させ、更に、第1軸受部58a及び第2軸受部58bを第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bの下部の間隙に移動させる。
第1枢軸部24a及び第2枢軸部24bは、第2開口部60a及び第2開口部60bを構成する上壁部62の奥側端62aと下壁部64の奥側端64aとの間の隙間を通って強制的に嵌め込まれるため、挟持部材50を装着した以後の脱落は規制されることとなる。
【0027】
このようにして挟持部材50を台板20に装着した状態では、付勢部材90は、その屈曲又はわん曲部92が初期の軸線位置(図8参照)から向こう側に強制的に変位させられた状態、すなわち、ねじり変形させられた状態となる。従って、挟持部材50は、付勢部材90が初期の無負荷の形状に戻ろうとする復元力を受けて、挟持部材50の挟持部52が台板20の載置面に常に接する状態に保たれ、同時に、挟持部材50の表面も台板20と略水平となる位置に保たれる。
【0028】
この紙挟み10は、図4に示すように、台板20に対して挟持部材50の挟持部52を付勢部材90の付勢力で閉じるように形成されている。
この紙挟み10は、挟持部材50の開用押圧部54を押圧することによって、台板20に対して挟持部材50の挟持部52を付勢部材90の付勢力に抗して開くことができる。
【0029】
なお、上述の紙挟み10では、台板20、挟持部材50及び付勢部材90などが特定の形状を有するが、この発明では、それらは他の形状に形成されてもよい。
【0030】
また、上述の紙挟み10では、付勢部材として金属からなるトーションばねが用いられているが、この発明では、合成樹脂などの弾性材料からなるばねなどが用いられてもよく、その形状も変更されてもよい。
【0031】
さらに、上述の紙挟み10は、台板20及び挟持部材50における台板20と挟持部材50とを枢結するための枢結部22などの構造も、他の構造に変更されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 紙挟み
20 台板
22 枢結部
24a 第1枢軸部
24b 第2枢軸部
26 第1開口部
28 移動可能部
30a,30b,32a,32b 枢軸支持部
40 付勢部材用支持部
42 第1付勢部材用支持部
44a 第2付勢部材用支持部
44b 第3付勢部材用支持部
46a 第4付勢部材用支持部
46b 第5付勢部材用支持部
48a,48b 滑り止部
50 挟持部材
52 挟持部
54 開用押圧部
58a 第1軸受部
58b 第2軸受部
60a,60b 第2開口部
62 上壁部
62a 上壁部の奥側端
62b 上壁部の入り口端
64 下壁部
64a 下壁部の奥側端
64b 下壁部の入り口端
66 軸当接面
70 付勢部材固定凹部
90 付勢部材
92 屈曲又はわん曲部
94a,94b 第1固定部
96a,96b 第2固定部
S 被挟持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被挟持体を載置する載置面を有する台板と、
一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分の枢結部により前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材と、
前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材とを含み、
前記台板は、前記挟持部材に形成された枢結部を、挟持部側により開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するための移動可能部を、前記台板の載置面より低く凹設され、
前記付勢部材は、台板より上方に突き出た領域を構成する付勢部を、挟持部材を台板に固定する側においては、挟持部材の開用押圧部側の方が高く台板より上方に突き出され、且つ付勢部の端より突き出た固定部を、挟持部材の挟持部側にて低い位置において台板に固定され、
前記台板の移動可能部は、付勢部材の台板より上方に突き出た付勢部を台板に向けて押し下げて且つ挟持部材を挟持部側より開用押圧部側に向けて相対移動させて連結するために、挟持部側に向けて、枢結部を通過させるための開口部を凹設された、紙挟み。
【請求項2】
被挟持体を載置する載置面を有する台板と、
一方側部分に挟持部が形成され、他方側部分に開用押圧部が形成され、前記挟持部が前記台板に対して開閉できるように中間部分の枢結部により前記台板の載置面側に回動可能に支持される挟持部材と、
前記挟持部材の前記挟持部を前記台板側に付勢する付勢部材とを含み、
前記台板及び/又は挟持部材は、前記台板及び/又は挟持部材に形成された枢結部を、相対移動させて連結するための移動可能部を、前記台板の載置面より低く凹設され、
前記移動可能部は、付勢部材の台板より上方に突き出た領域を台板に向けて押し下げて且つ付勢部材の前記突き出た領域より下方の領域に向けて台板及び挟持部材を相対移動させて連結するために、枢結部を通過させるための開口部を凹設され、
前記挟持部材は、挟持部材を付勢する付勢部に対応した付勢部材固定凹部を形成され、
前記付勢部材固定凹部は、
付勢部材の付勢部の上昇角度に対応して、前記相対移動の始点側から終点側に向けて徐々に深くなるように形成された、紙挟み。
【請求項3】
前記付勢部材は、台板より上方に突き出た領域において付勢部を構成する屈曲又はわん曲部と、前記屈曲又はわん曲部の両端に延設された固定部とを備えた弾力性を有する線材により構成され、
固定部は、前記相対移動の終点側において台板に形成された、付勢部材用支持部により固定され、
前記付勢部材用支持部は、挟持部材及び/又は台板を相対移動させるときに付勢部材の移動を阻止するように形成された、請求項1又は請求項2に記載の紙挟み。
【請求項4】
前記挟持部材は、台板の枢軸部を枢支するための枢結部を構成する軸受部を裏面側に形成され、
前記台板は、載置面より低い位置に形成された枢軸部を有する枢結部を形成され、
挟持部材の裏面に設けられた軸受部を通過させて、軸受部を枢軸部の下方に位置させて連結するための、前記台板の載置面より低く形成された第1開口部を有する移動可能部を形成され、
前記挟持部材の軸受部は、前記台板の移動可能部に対応して、前記台板の第1開口部から枢軸部の下方に位置させて、枢軸部に連結されるように、前記台板の枢軸部を通過させるための第2開口部を形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の紙挟み。
【請求項5】
前記台板は、載置面より低い位置に形成された断面円形の枢軸部を有する枢結部を形成され、且つ前記挟持部材は、枢結部を構成する、前記台板の枢軸部に対応する断面半円弧状の軸受部を下面に突設され、
前記台板は、前記枢軸部の下方に、挟持部材の前記軸受部を収容するための断面半円弧状の間隙を形成され、
前記間隙は、移動可能部に続いて、前記台板の載置面より低く凹設された、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の紙挟み。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−78876(P2013−78876A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219221(P2011−219221)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000115821)株式会社リヒトラブ (93)
【Fターム(参考)】