紙片識別システム、紙片識別装置
【課題】 紙片を高精度に識別する,紙片登録・識別装置および方法を提供する。
【解決手段】 紙片登録装置と紙片識別装置とからなる紙片識別システムにおいて、紙片登録装置は、紙片から特徴量を抽出する第1の特徴量抽処理出部と、第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量に関する情報を紙片に印刷する印刷部とを有し、紙片識別装置は、紙片から特徴量を抽出する第2の特徴量抽処理出部と、紙片から前記印刷部により紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、特徴量復号化部により抽出された特徴量と第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有する。
【解決手段】 紙片登録装置と紙片識別装置とからなる紙片識別システムにおいて、紙片登録装置は、紙片から特徴量を抽出する第1の特徴量抽処理出部と、第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量に関する情報を紙片に印刷する印刷部とを有し、紙片識別装置は、紙片から特徴量を抽出する第2の特徴量抽処理出部と、紙片から前記印刷部により紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、特徴量復号化部により抽出された特徴量と第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,紙片の真贋判定のための紙片登録・識別方法及び紙片登録・識別方法に関する。以下では,紙片のことを単に紙と呼ぶこともある。
【背景技術】
【0002】
近年,複写技術の向上により紙幣や有価証券,切手等の精巧な偽造券が簡便に作成可能となり,社会問題化している。一般的に,偽造の防止には,漉き込み技術や特殊なインクが必要で,印刷コストを上げる原因となっている。
【0003】
たとえば,特許文献1には,証券の文字を磁気インクで印刷し,複写機による複製を防止する方法が開示されている。特許文献2には,磁性体を漉き込んで真贋判定を行う方法が開示されている。特許文献3には,透過光をもちいた紙片判別法において,紙片の劣化に耐性のある方法が開示されている。特許文献4には,透過光をもちいた紙片判別法において,透過画像による紙片の特徴量以外に,キーボード等から入力した紙片のタグ情報を含めて紙片の登録を行う方法が開示されている。特許文献5には,透過光を用いた紙片判別法において,照明方向や紙の位置・姿勢の厳密な位置の調整を不要とする方法が開示されている。特許文献6には,紙片の反射光を用いた真贋判定方法において,運用時に読み取り条件を変更したい場合,その条件に応じた二次元符号を印刷する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−9482
【特許文献2】特開2007−164293
【特許文献3】特開2007−11700
【特許文献4】特開2006−18525
【特許文献5】特開2006−338330
【特許文献6】特開2006−338331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は2に記載の方法は,偽造防止に有効な方法である。しかし、特別なインクを用いたり,紙に特別な繊維を漉き込んだりする必要があり,偽造防止のコストが高くなるという問題があった。これらに対し,特許文献3ないし6に記載の方法は,紙に特別な加工を施す必要がないため,偽造防止のコストを抑えることができる。しかしながら,これら特許文献3ないし6に記載の方法には以下の問題があった。
【0006】
第一の問題は,与えられた紙が本物か偽物か判断する真贋判定の基準をどのようにして決めるかという問題である。一般に,本物の紙を偽物の紙と誤って判定してしまう率(以下,誤棄却率,FRRともいう)と,偽物の紙を本物の紙と誤って判定してしまう率(以下,誤警報率,FAR)はトレードオフの関係にあり,完全に0にすることは難しい。そこで,紙の真贋判定を行うシステムを設計する際には,誤棄却率と誤警報率が運用上問題ないようにある値に設定する。紙の真贋判定時には,その数値を真贋判定の基準値として用いる。以下ではこの数値のことを閾値と呼び,閾値によって真贋判定結果を決めることを閾値処理と呼ぶ。
【0007】
一方,同一の用途のために印刷された紙であっても製紙会社ごとに異なる組成の紙を使う場合や,さらには同一の製紙会社であっても製紙の時期によって組成が変わる可能性がある。特許文献3ないし6に記載の方法では紙の反射画像もしくは透過画像を採取して,それらの画像を用いて真贋判定を行っているが,紙の組成の変動がそれらの画像に与える影響や,それらの変動に対し高精度に真贋判定を行う方法については開示されていない。また,反射画像や透過画像を採取するスキャナの個体差による変動については,従来手法では開示されていない。
【0008】
特許文献4に閾値処理により紙の真贋判定を行う方法が記載されているが,閾値の決め方については,実験によってあらかじめひとつの値を決める方法のみが開示されており,上記の変動には対応することができない。
【0009】
第二の問題は,経年変化により紙の特性が変化した場合に,どのようにしたら高精度に真贋判定を行うことができるかという問題である。紙は製紙後に,摩耗,折り曲げ,汚れ等により,紙表面もしくは内部の特性が変化していく。また露光により紙表面に印刷したインクの色,もしくは,紙内部の繊維の色が変化していく。特許文献3ないし7に記載の方法では紙の反射画像もしくは透過画像を採取して,それらの画像を用いて真贋判定を行っているが,このような経年変化により反射画像や透過画像も変動し,紙の真贋判定の精度に影響を与える。
【0010】
特許文献3には,特徴量の頻度分布をとり,その分布形状の歪み度合い(歪度)で紙の汚れや劣化度を測る方法が開示されている。すなわち,透過画像に対して歪度が大きい場合は,劣化の度合いとの仮定に基づき,歪度が小さい紙の別の部分を真贋判定に用いる方法が開示されている。しかしながら,この方法では紙全体にわたる摩耗,折り曲げ,汚れ,露光によるインクの変色には対応することができない。また,同特許文献には,透過画像の平均値から大きく離れた画素値をもつ画素を真贋判定に用いない方法も開示されている。しかしながら,劣化が激しい場合は,大部分の画素が真贋判定に使えなくなるという問題があった。
【0011】
第三の問題は,紙の上に文字や写真が印刷されたり,文字が手書きされたり,スタンプが押されたりした場合に,どのようにしたら高精度に真贋判定を行うことができるかという問題である。紙片の透過画像を観察すると,無地の部分の画素値の分布幅よりも,文字が印刷されている部分の画素値と無地の画素値の差の大きいことがわかる。したがって,高精度に紙の真贋判定を行うには,真贋判定したい紙と本物の紙とで,それらの印刷文字同士の正確な位置合わせが必要になる。しかしながら,スキャナで透過画像を撮像するときには,紙の搬送系の精度の問題で数画素ずれることがある。また,仮に精度の高い紙の搬送系を用いてスキャン位置を正確に合わせたとしても,スキャナの光電変換特性の変動により,画像中の文字幅が数画素変動することは避けられない。このことにより真贋判定に用いる画素の値が大きく異なる可能性があり,その場合本物の紙を偽物と誤判定する可能性がある。特許文献3ないし6に記載の方法では,紙の無地の部分を用いて真贋判定を行うか,もしくは,文字や写真の印刷については開示されていない。
【0012】
第四の問題は,真贋判定に用いる画像の広さ,すなわち画素数をどの程度にすればよいかという問題である。画素数を大きくするとより精緻な画素の分布を得ることができるため誤警報は減ることが予想されるが,逆にスキャンの際の紙の位置ずれの影響が大きくなり誤棄却が増えることも考えられる。また,画素数の増加に伴って処理時間も増える。したがって,予備実験や設計時に誤棄却率や誤警報率を求め調整しておくのが一般的である。
【0013】
しかし,第一の問題でも述べたように,たとえ同じ用途に用いる紙であっても製紙会社によって紙の組成は変動するし,製紙の時期によっても異なる可能性がある。このことにより紙の透過画像や反射画像が変動し,予備実験や設計時に決めた画素数が最適でなくなることがある。特許文献6には,画像の読み取り条件や真贋判定の条件を動的に変更する方法が開示されている。しかしながら,計算機の画面から,使用するセンサの数や画像の諧調を人手によって指定する方法のみが開示されており,自動的に最適な画素数を設定することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における紙片識別システムでは、紙片登録装置と紙片識別装置とからなる紙片識別システムにおいて、前記紙片登録装置は、紙片から特徴量を抽出する第1の特徴量抽処理出部と、該第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量に関する情報を前記紙片に印刷する印刷部とを有し、前記紙片識別装置は、紙片から特徴量を抽出する第2の特徴量抽処理出部と、紙片から前記印刷部により該紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、前記特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、該特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明における第2の形態では、前記紙片登録装置の固有の特性、前記紙片識別装置の固有の特性、前記紙片の固有の特性のうち一以上の特性を推定するパラメータ推定部を有し、前記真贋判定部は、前記類似度と前記パラメータ推定部により推定された特性とに基づいて、紙片の真贋を判定することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明のおける第3の形態では、前記紙片登録装置は、前記第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量から該特徴量の統計量を算出する統計量算出部を有し、前記印刷部は該統計量算出部により算出された統計量に関する情報を紙片に印刷し、前記紙片識別装置は、前記紙片に印刷された統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、復号化された前記統計量に基づいて前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,サーバに紙片画像登録する必要がないため、真贋判定を高速に行うことができる。また、本発明の第2の形態によれば、紙の組成が変動する場合や、紙片登録・識別装置の特性が個体ごとに変動する場合でも,紙の真贋判定を高精度に行うことができる。また,本発明の第3の形態によれば、経年変化に伴い紙の特性が変動する場合にも紙の真贋判定を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施例に用いる紙片登録・識別装置の基本構成例を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施例の紙片登録・識別システムの構成例を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施例の処理の構成を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施例における透過画像の例を示す図である。
【図5】本発明の第一の実施例における紙片登録処理の手順を示す図である。
【図6】本発明の第一の実施例における特徴抽出処理の手順を示す図である。
【図7】本発明の第一の実施例における真贋判定処理の手順を示す図である。
【図8】本発明の第二の実施例の紙片登録・識別システムの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第二の実施例の紙片登録・識別システムの構成例を示す図である。
【図10】本発明の第二の実施例における透過画像の画素値のヒストグラムを表した図,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。
【図11】本発明の第二の実施例における透過画像の色相値のヒストグラムを表した図,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。
【図12】本発明の第二の実施例における特徴量の統計量の算出手順を示す図である。
【図13】本発明の第二の実施例における特徴量の統計量の算出手順を示す図である。
【図14】本発明の第二の実施例における真贋判定処理の手順を示す図である。
【図15】本発明の第三の実施例における特徴抽出処理の手順を示す図である。
【図16】本発明の第四の実施例における特徴抽出処理の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に,本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第一の実施例として,紙片の真贋判定システムを以下で説明する。
【0021】
図1は,紙片登録・識別装置の構成例である。本装置は,少なくとも1台の計算機と,画像取得手段と,印刷手段,通信手段がバスを経由して結合されている。すなわち,紙片登録・識別装置は,紙片の透過画像を取得する透過画像取得手段101と,紙片の反射画像を取得する反射画像取得手段102と,演算手段103と,通信手段104と,記憶手段107,印刷手段120,バス106で構成され,ネットワーク105を経由して外部の機器と通信できるようになっている。透過画像は,紙片を識別するための特徴量を抽出する際に用いる。また,反射画像は紙片に符号として印刷された特徴量や紙片識別子,マークを認識するために用いる。ここで,識別子とは,紙片ごとに固有の文字列である。また,マークとは,紙片の識別に用いる特徴量を抽出する領域を指定するため,紙片上に印刷する目印となるものである。
【0022】
透過画像取得手段101や反射画像取得手段102は,紙片登録・識別装置に対する画像入力端末として実現でき,例えば市販の光学式スキャナを用いることができる。
【0023】
演算手段103は,汎用のMPU(Micro Processor Unit)として実現でき,特徴抽出手段111やパラメータ推定手段112,類似度算出手段114で必要な計算を実行する。
【0024】
識別子を認識したり,マークを検出したりする処理は,プログラムとして記憶手段107に格納される。記憶手段107には,識別子認識手段108,マーク検出手段109,摂動処理手段110,特徴抽出手段111,パラメータ推定手段112,識別子復号化手段113,類似度算出手段114,識別子発行手段115,特徴量復号化手段116,パラメータ復号化手段117,紙片登録手段118,真贋判定手段119の処理手順を記載したプログラムが格納される。
【0025】
印刷手段120の各要素は,市販のプリンタやプリンタモジュールを用いて実現することができる。マーク印刷手段121は紙片にマークを印刷する手段であり,識別子印刷手段122は紙片に識別子を印刷する手段であり,特徴量印刷手段123は紙片に特徴量を印刷する手段であり,パラメータ印刷手段は紙片にパラメータを印刷する手段である。
【0026】
また、図1では、紙片登録装置としての機能及び紙片識別装置としての機能の双方を有する装置として紙片登録・識別装置を記載しているが、紙片登録装置、紙片識別装置を各々の機能を有する別々の装置として設けても構わない。
【0027】
図2は,ネットワークを用いた紙片の真贋判定システムの構成例である。本システムは,少なくとも1台の紙片登録・識別装置と,紙片識別子の管理を行う管理サーバがネットワークで接続されている。すなわち,本システムは,第一の紙片登録・識別装置201,第二の紙片登録・識別装置202,第三の紙片登録・識別装置203と,紙片識別子管理DB206を持つ紙片識別子管理サーバ205がネットワーク204で接続される構成となっている。
【0028】
図2では,複数の紙片登録・識別装置に対して,1台の紙片識別子管理サーバをネットワーク経由で接続した例を示したが,紙片識別子管理DB206のバックアップのため,もしくは,ネットワーク204の負荷軽減のため,複数台の紙片識別子管理サーバを設けるようにしてもよい。また,各紙片登録・識別装置ごとに紙片識別子管理サーバを設けるような構成にしてもよい。また,紙片の登録は第一の紙片登録・識別装置201で行い,紙片の識別は第二の紙片登録・識別装置202で行うようにしてもよい。また,紙片の登録を行う装置と紙片の識別を行う装置を分け,ネットワークで接続してもよい。
【0029】
図3は,第一の実施例の各処理プログラムのより具体的な構成,流れを示した図である。同図に示したように,大きく分けて紙片登録処理302と,紙片識別処理310から構成される。
【0030】
紙片登録処理302は,紙片の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数量化して,紙片の上に印刷する処理である。透過画像取得手段303は紙片303の透過画像を得る手段である。特徴抽出処理手段304は透過画像から特徴量を抽出する手段である。さらにパラメータ推定手段305で,紙片ないしは紙片登録・識別装置固有の特性を推定する。特徴量・パラメータ・マーク印刷手段306は,特徴量やパラメータ,マークを紙片の上に印刷する手段である。印刷する形態としては,数値を文字列として印刷してもよいし,バーコードや二次元コードのような符号で印刷するようにしてもよい。識別子印刷手段308は,識別子を紙片の上に印刷する手段である。識別子発生手段307は,紙片登録処理302の内部で紙片固有の文字列を生成してもよいし,ネットワーク105を経由して識別子管理サーバ205に紙片固有の文字列を生成させてもよい。
【0031】
紙片識別処理310は,紙片の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数値化し,紙片の上に印刷された特徴量と比較することで,紙片の真贋を判定する処理である。反射画像取得手段311は,紙片309の反射画像を得る手段である。パラメータ復号化手段312は反射画像中に含まれるパラメータを復号化する手段である。特徴量・パラメータ・マーク印刷手段306として,数値を文字列として印刷した場合は,公知の文字認識技術を用いることができる。バーコードや二次元コードのような符号を用いて印刷した場合も,公知のバーコード,二次元コード読み取り技術を用いることができる。特徴量復号化手段313は反射画像取得手段311によって得られた紙片の反射画像から標準特徴量を復号化する手段である。マーク検出手段315は,反射画像取得手段311によって得られた反射画像からマークを検出する手段である。
【0032】
マークで指定された特徴量抽出座標は,マークの印刷の過程や,反射画像取得の際に位置ずれが起きることがある。そこで,特徴抽出をする座標を摂動処理手段316で少しずつずらし,ずらした領域から特徴抽出処理手段317で特徴量を抽出する。ずらしかたはあらかじめ少なくとも1通りの方法を紙片識別手段310に記憶しておく。そして,得られた特徴量と特徴量符号化手段313で得られた標準特徴量の類似の度合い(類似度)を,類似度計算手段318で計算する。
【0033】
類似度の計算方法としては,相関関数,コサイン類似度を用いることができる。また,ユークリッド距離やマハラノビス距離の逆数とすることもできる。真贋判定処理319では,いずれかの摂動処理によって得られた類似度が閾値θ以上であれば,紙片309は本物とみなしその結果を出力する。逆に閾値θ未満であれば紙片309は偽物とみなしその結果を出力する。真贋判定処理319の際,単純に閾値θと比較するのではなく,パラメータ復号化手段312で得られた紙片固有の特性,ないしは,紙片登録・識別装置固有の特性によって,閾値θを補正する。具体的な補正の方法については,紙片の真贋判定処理の手順の説明にて後述する。
【0034】
図4は,紙片の透過画像の例である。この画像は市販の透過型のスキャナを用いて,上質紙を600dpiの解像度で撮像した画像である。目視しやすいように,濃淡を強調してある。
【0035】
紙片の登録手段を図5に示す。まず,登録したい紙片の透過画像を撮像し(502),次に当該透過画像から紙片の識別に用いる特徴量を抽出する(503)。そして,特徴量からパラメータを算出する(504)。特徴抽出処理およびパラメータ算出処理の詳細については後述する。続いて,識別子を発行し(505),特徴量,パラメータ,マークを当該紙片に印刷する(506)。マークは,特徴抽出をした紙片の領域の四隅に印刷する。あるいは,特徴抽出位置の座標を符号化し,バーコードや二次元コードの形で紙片に印刷してもよい。最後に識別子を当該紙片に印刷する(507)。
【0036】
図6は,紙片の特徴抽出処理の手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(602)。次に,紙片に印刷されたマークにより指定された特徴抽出領域に基づき,透過画像から部分画像を切り出す(602)。続いて,正規化する(605)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(607),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(607)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理におより,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。最後に,ヒストグラム正規化(607)の結果得られた画像から,数値的な特徴を取り出す(608)。数値的な特徴量としては,たとえば,各画素の値を用いる。この場合は,画像切り出し・正規化の出力が横w画素,縦h画素の矩形のRGBカラー画像であるならば,3×w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。グレー画像であれば,w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。また,切り出し・正規化した後の画像に画像フィルタをたたみこみ,その出力値を特徴量とすることもできる。特徴抽出領域が矩形でない場合は,必要に応じて射影変換を用いる。
【0037】
画像切り出し・正規化処理については,特許文献5に記載の方法を用いることができる。すなわち,特徴抽出領域は透過画像中の4隅の座標で指定する。この場合,特徴抽出領域は必ずしも標準矩形とはならない。また,傾いている場合もある。そこで,射影変換を用いて,特徴抽出領域中の4隅の座標が,標準矩形の4隅の座標に一致するよう,射影変換のパラメータを用いることができる。
【0038】
ここで摂動処理について説明しておく。本実施例では,摂動とは特徴抽出に用いる画像の範囲を微小に変化させることであり,画像範囲を上下左右に変化させたりすることを指す。本実施例では,摂動方式p(i),ただし(1≦i≦n)をn方式登録しておき,これらのp(i)の摂動を加えた画像に対して特徴抽出をする。このことにより紙スキャン時による位置ずれを補正することができる。具体的な摂動の種類や実装は特許文献5に記載の方法を用いることができる。
【0039】
マークとは,真贋判定に用いる特徴量を抽出すべき画素が,紙片上どの位置にあるか指し示した記である。具体的なマークの実装は特許文献5に記載の方法を用いることができる。
【0040】
図7は,紙片の真贋判定処理の手順を示した図である。まず,反射画像取得処理702で紙片の反射画像を得る。次に,透過画像取得処理703にて,紙片の透過画像を取得する。続いて,反射画像もしくは透過画像から識別子を認識する(704)。続いて,得られた反射画像もしくは透過画像から,特徴量を復号化する(706)。次に,反射画像もしくは透過画像から,マークを認識する(707)。次に,摂動方式の数だけ,ループ708にて以下の処理を繰り返す。まず,特徴抽出を行う領域の座標xをi番目の摂動方式で少しずらす。そして,ずらした特徴領域座標の特徴量fを抽出する(710)。続いて,特徴領域xに隣接する領域座標yの紙片画像をi番目の摂動方式で補正し(711),特徴抽出領域座標yの紙片画像から特徴量gを抽出する(712)。そして,特徴量復号化処理705で復号化された標準特徴量と,特徴量fの類似度θを計算し(713),特徴量fと特徴量gの類似度Δを計算する(714)。そして,類似度θが閾値th1以上か判定し(715),閾値以上であった場合はさらに類似度Δが閾値th2以上か判定し(716),閾値以上であった場合は,判定結果として真券を出力し(717),処理を終了する(718)。どの摂動方式をとっても,類似度θ,Δが閾値未満の場合は判定結果として偽券を出力し(719),処理を終了する(720)。
【0041】
ここで,パラメータについて説明する。パラメータとは,紙片の真贋判定処理の動作を制御するために外部から与える設定値のことである。具体的には,図7における,類似度と閾値th1やth2である。閾値th1は以下のようにして求めることができる。まず,登録したい紙片から紙片上の2つの位置を選び,図5の特徴量算出手段503にて特徴量v1,v2を算出する。次に,それらの特徴量の類似度を計算し,th1とする。ないしは,適当な定数αを用意し,α×th1を改めてth1としてもよい。以上では2つの位置を選んで特徴抽出を行い,それらの特徴量同士の類似度を算出する手法について述べたが,3つ以上の位置を選んで特徴抽出を行い,それらの特徴量同士の類似度を算出し,閾値を求めるようにしてもよい。その場合は複数の閾値th1-1,th1-2,…が求まる。このようにして閾値を計算することで紙片固有の特性を推定し,その特性に合わせて紙片真贋判定処理の動作を規定することが出来る。
【0042】
閾値th2は以下のようにして求めることができる。まず,登録したい紙片から紙片上の1つの位置を選び,図5の特徴量算出手段503にて特徴量w1を算出する。次に紙片は動かさずに,図5の透過画像撮像502を行って,特徴量算出手段503にて特徴量w2を算出する。そして,特徴量w1と特徴量w2の類似度を計算し,これをth2とする。ないしは,適当な定数ベータを用意し,β×th2を改めてth2としてもよい。以上では2回分の撮像画像から閾値を計算したが,3回分以上の撮像画像から特徴抽出を行い,それらの特徴量同士の類似度,すなわち,w1とw2の類似度,w1とw3の類似度,…を算出して閾値としてもよい。その場合は複数の閾値th2-1,th2-2,…が求まる。このようにして閾値を計算することで紙片登録・識別装置固有の特性を推定し,その特性に合わせて紙片真贋判定処理の動作を規定することが出来る。
【0043】
このような実際に真贋判定を行う紙や,機器を用いて真贋判定の閾値を設定するので,紙の組成や機器個体の変動による影響を抑えつつ,高精度に真贋判定を行うことができる。
【実施例2】
【0044】
本発明の第二の実施例として,紙片の真贋判定システムを以下で説明する。
【0045】
図8は,紙片登録・識別装置の構成例である。本装置は,少なくとも1台の計算機と,画像取得手段と,印刷手段,時刻算出手段、通信手段がバスを経由して結合されている。すなわち,紙片登録・識別装置は,紙片の透過画像を取得する透過画像取得手段801と,紙片の反射画像を取得する反射画像取得手段802と,演算手段803と,通信手段804と,記憶手段807,印刷手段820,バス806で構成され,ネットワーク805を経由して外部の機器と通信できるようになっている。透過画像は,紙片を識別するための特徴量を抽出する際に用いる。また,反射画像は紙片に符号として印刷された特徴量や紙片識別子,マークを認識するために用いる。ここで,識別子とは,紙片ごとに固有の文字列である。また,マークとは,紙片の識別に用いる特徴量を抽出する領域を指定するため,紙片上に印刷する目印となるものである。
【0046】
透過画像取得手段801や反射画像取得手段802は,紙片登録・識別装置に対する画像入力端末として実現でき,例えば市販の光学式スキャナを用いることができる。
【0047】
演算手段803は,汎用のMPU(Micro Processor Unit)として実現でき,特徴抽出手段811や特徴量統計量算出手段819,類似度算出手段814で必要な計算を実行する。
【0048】
識別子を認識したり,マークを検出したりする処理は,プログラムとして記憶手段808に格納される。記憶手段807には,識別子認識手段808,マーク検出手段809,摂動処理手段810,特徴抽出手段811,真贋判定手段812,識別子復号化手段813,類似度算出手段814,識別子発行手段815,特徴量統計量復号化手段816,特徴量復号化手段817,紙片登録手段818,特徴量統計量算出手段819の処理手順を記載したプログラムが格納される。
【0049】
印刷手段820の各要素は,市販のプリンタやプリンタモジュールを用いて実現することができる。マーク印刷手段821は紙片にマークを印刷する手段であり,識別子印刷手段822は紙片に識別子を印刷する手段であり,特徴量印刷手段823は紙片に特徴量を印刷する手段であり,特徴量統計量印刷手段824は紙片に特徴量の統計量を印刷する手段である。時刻算出手段は現在時刻を得る手段である。
【0050】
図9は,第二の実施例の各処理プログラムのより具体的な構成,流れを示した図である。同図に示したように,大きく分けて紙片登録処理902と,紙片識別処理903から構成される。
【0051】
紙片登録処理902は,紙片901の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数量化して,紙片の上に印刷する処理である。透過画像取得手段903は紙片901の透過画像を得る手段である。特徴抽出処理手段904は透過画像から特徴量を抽出する手段である。特徴量の統計量算出手段905は,特徴抽出処理手段904で得られた特徴量の統計量を算出する処理である。特徴量の統計量とは,例えば紙片画像の画素値のヒストグラムの分散や,紙片画像の色相値のヒストグラムの分散を用いる。詳細は,図11,図12を用いて後述する。時計906は現在時刻を得る手段である。図9では時計906は紙片登録手段902に内蔵されているが,ネットワークを経由して外部のサーバから取得する構成にしてもよい。特徴量・統計量・マーク・時刻印刷手段907は,特徴量や特徴量の統計量,マーク,時刻を紙片の上に印刷する手段である。印刷する形態としては,数値を文字列として印刷してもよいし,バーコードや二次元コードのような符号で印刷するようにしてもよい。識別子印刷手段909は,識別子を紙片の上に印刷する手段である。識別子発生手段908は,紙片登録処理902の内部で紙片固有の文字列を生成してもよいし,ネットワーク105を経由して識別子管理サーバ205に紙片固有の文字列を生成させてもよい。
【0052】
紙片識別処理911は,紙片の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数値化し,紙片の上に印刷された特徴量と比較することで,紙片の真贋を判定する処理である。反射画像取得手段912は,紙片910の反射画像を得る手段である。統計量・時刻復号化手段913は反射画像中に含まれる特徴量の統計量や時刻を復号化する手段である。特徴量・統計量・マーク・時刻印刷手段909として,数値を文字列として印刷した場合は,公知の文字認識技術を用いることができる。バーコードや二次元コードのような符号を用いて印刷した場合も,公知のバーコード,二次元コード読み取り技術を用いることができる。特徴量復号化手段914は反射画像取得手段912によって得られた紙片の反射画像から標準特徴量を復号化する手段である。マーク検出手段916は,反射画像取得手段912によって得られた反射画像からマークを検出する手段である。
【0053】
マークで指定された特徴量抽出座標は,マークの印刷の過程や,反射画像取得の際に位置ずれが起きることがある。そこで,特徴抽出をする座標を摂動処理手段917で少しずつずらし,ずらした領域から特徴抽出処理手段918で特徴量を抽出する。ずらしかたはあらかじめ少なくとも1通りの方法を紙片識別手段911に記憶しておく。そして,統計量・時刻復号化手段913で得られた特徴量の統計量と紙片登録時の時刻と,時計919で得られた現在時刻から,特徴量補正手段922で特徴量を補正する。具体的な補正の方法については,紙片の真贋判定の処理の手順にて後述する。そして,この補正した特徴量と特徴量符号化手段914で得られた標準特徴量の類似の度合い(類似度)を,類似度計算手段920で計算する。類似度の計算方法としては,相関関数,コサイン類似度を用いることができる。また,ユークリッド距離やマハラノビス距離の逆数とすることもできる。真贋判定処理921では,いずれかの摂動処理によって得られた類似度が閾値θ以上であれば,紙片910は本物とみなしその結果を出力する。逆に閾値θ未満であれば紙片910は偽物とみなしその結果を出力する。
【0054】
図10は,特徴量の統計量を説明するための図である。具合的には,透過画像の画素値のヒストグラム,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。グラフ1001は,ある時刻t1における紙片画像の画素値の分布を表したグラフである。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。グラフ1003は,ある時刻t2(>t1)におけるグラフ1001と同一の紙片画像の画素値の分布を表したグラフである。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。紙片内部の組成構造は,紙表面の組成構造に比べて比較的経時変化しにくいが,外部からの摩擦,折り曲げ,汚れなどより内部組成構造が若干変化し,このように透過画像のヒストグラム形状が変化する。たとえば,分布1002と分布1004の比較から明らかなように,時間がたつにつれ画素値の分散が小さくなっている。これらの分散を時間の経過とともにグラフにするとグラフ1005のように表現できる。製紙直後は分散が大きく,時間とともに分散が小さくなっていく。特徴量の統計量算出手段905では,この分散を求める。具体的には,まず,透過画像からグラフ1001のような画素値のヒストグラムを計算し,分布1002の分散を求める。分散の計算には公知の統計計算アルゴリズムを用いることができる。画素の平均値についても,大量の紙片の特徴量から,グラフ1005のように経時変化をグラフ化することができる。
【0055】
図11は,特徴量の統計量を説明するための図である。具合的には,透過画像の色相値のヒストグラム,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。グラフ1101は,ある時刻t1における紙片画像の色相値の分布と経過時間の関係を表した図である。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。グラフ1103は,ある時刻t2(>t1)におけるグラフ1101と同一の紙片画像の色相値の分布と経過時間の関係を表したグラフである。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。時間がたつにつれ,紙片面上に印刷されたインク組成の変化,汚れなどにより,このように色相画像のヒストグラム形状が変化する。たとえば,分布1102と分布1104の比較から明らかなように,時間がたつについて色相値の分散が小さくなっている。これらの分散を時間の経過とともにグラフにするとグラフ1105のように表現できる。製紙直後は分散が大きく,時間とともに分散が小さくなっていく。特徴量の統計量算出手段905では,この分散を求める。具体的には,まず,カラーRGBの透過画像を取得し,色相画像を得る。カラーRGB画像から色相画像を得るには,画像処理分野の公知のアルゴリズムを用いることができる。次に,色相画像からグラフ1101のような画素値のヒストグラムを計算し,分布1102の分散を求める。分散の計算には公知の統計計算アルゴリズムを用いることができる。色相の平均値についても,大量の紙片の特徴量から,グラフ1005のように経時変化をグラフ化することができる。
【0056】
ここでは,特徴量の統計量として,透過画像の画素値のヒストグラムの分散値と,透過画像から得られた色相画像の画素値のヒストグラムの分散を示したが,これらの2例に限定されない。時間の経過とともに変化する,紙片透過画像から得られる統計量であればそれを用いることができる。また,透過画像のヒストグラムの分散値と色相画像のヒストグラムの分散値の両方を用いて,より精密に経時変化に伴う画像変化を推定することができる。
【0057】
図12は,第二の実施例における紙片の特徴量の統計量の算出処理の手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(1202)。次に,指定された特徴抽出領域に基づき(1203),透過画像から部分画像を切り出す(1204)。続いて,正規化する(1205)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(1206),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(1207)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理により,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。最後に,ヒストグラム正規化(1207)の結果得られた画像から,特徴量の分散を計算する(1208)。特徴量の分散の計算法は,図10で説明した方法を用いることができる。最後に,得られた分散を特徴量の統計量として出力する(1209)。
【0058】
図13は,第二の実施例における紙片の特徴量の統計量の算出処理のもう一つの手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(1302)。次に,指定された特徴抽出領域に基づき(1303),透過画像から部分画像を切り出す(1304)。続いて,正規化する(1305)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(1306),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(1307)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理により,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。さらに,RGB値からHSV変換を行い(1308),色相値(H値)のヒストグラムを算出する(1309)。そして,色相値のヒストグラムから特徴量の分散を計算する(1310)。特徴量の分散の計算法は,図10で説明した方法を用いることができる。最後に,得られた分散を特徴量の統計量として出力する(1311)。
【0059】
図14は,紙片の真贋判定処理の手順を示した図である。まず,反射画像取得処理1402では,透過画像取得手段802を用いて紙片の反射画像を得る。次に,透過画像取得処理1403では反射画像取得手段802を用いて,紙片の透過画像を取得する。続いて,識別子認識手段808を用いて反射画像もしくは透過画像から識別子を認識する(1404)。続いて,特徴量復号化手段817を用いて,得られた反射画像もしくは透過画像から,特徴量を復号化する(1405)。次に,特徴量統計量復号化手段816を用いて,特徴量の統計量を復号化する(1406)。次に,マーク検出手段809を用いて,反射画像もしくは透過画像から,マークを認識する(1407)。次に,摂動方式の数だけ,ループ1408にて以下の処理を繰り返す。まず,摂動処理手段810を用いて,特徴抽出を行う領域の座標xをi番目の摂動方式で少しずらす(1409)。そして,特徴抽出手段811を用いて,ずらした特徴領域座標の特徴量fを抽出する(1410)そして,時刻算出手段825を用いて現在時刻を算出し(1411),算出した現在時刻に基づいて特徴量補正手段825を用いて特徴量fを補正し,特徴量gを生成する(1412)。そして,類似度算出手段814を用いて,復号化した特徴量と,特徴量gの類似度θを計算する(1413)。そして,真贋判定手段812を用いて,類似度θが閾値th1以上か判定し(1414),判定結果として真券を出力し(1415),処理を終了する(1416)。どの摂動方式をとっても類似度θが閾値未満の場合は,判定結果として偽券を出力し(1417),処理を終了する(1418)。
【0060】
処理1412における特徴量の補正には,特徴量の統計量を用いる。以下では,統計量として,特徴量の分散値σ^2や平均値μと,それらの値が時間とともにどのように変動していくかという情報を用いる。これらはあらかじめ大量の紙片から特徴量を算出し,時間をおいて同じ紙片の特徴量を算出することで,準備しておくことができる。そして,特徴量として画素の値を用いた場合,以下のようにして特徴量の統計量を用いて特徴量を補正することができる。補正前の各画素の値をx,補正後の各画素の値をy,補正前の画素値の分布の分散をσ1^2,補正前の画素値の分布の平均をμ1とする。まず,z=(x-μ1)/σ1・・・(式1)として正規化特徴量zを算出する。次に,現在時刻の算出1411によって,紙片登録時からの経過時刻を算出し,特徴量の平均や分散が時間の経過とともにどのように変化していくかを表したグラフ1005から,現在時刻における分散値σ2と平均値μ2を推定する。そして,(式1)の逆変換,すなわち,z=(x’-μ2)/σ2を行うことで,現在時刻における画素値x’を推定することができる。すなわち,この手順によって紙片登録時の画素値xを,現在時刻における画素値x’に補正することができる。また,画素の値の代わりに,図11に示したように色ヒストグラムの情報を用いることもできる。
【0061】
または,処理1414における類似度θの閾値処理に加え,真贋判定の対象となる画素の分布を求め,その分布がグラフ1005から読み取れる現在位置における分散以下であれば,本物であると判断することによって真贋判定を行うこともできる。
【実施例3】
【0062】
以下では,本発明の第三の実施例になる紙片登録・識別処理の流れを説明する。第一の実施例との差分についてのみ詳細に説明する。第三の実施例では,紙片に文字が印刷されたり,書かれていたりする場合でも高精度に紙片の識別ができるようにする方法を開示する。
【0063】
図15は,紙片の特徴抽出処理の手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(1502)。次に,指定された特徴抽出領域に基づき(1503),透過画像から部分画像を切り出す(1504)。続いて,正規化する(1505)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(1506),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(1507)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理により,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。
【0064】
続いて文字領域の除去を行う(1508)。文字領域の除去には,画像二値化処理アルゴリズムを適用することができる。文字が印刷されていない無地の領域に比べ,文字領域は一般的に画素値が小さいことを利用し,入力画像の各画像に対し,あらかじめ定められた閾値よりも大きな画素値を持つ画素を文字領域,閾値以上の画素値を持つ画素を背景領域として特徴抽出に用いることができる。また,大津展之,”判別および最少2乗基準に基づく自動しきい値選定法”電子情報通信学会論文誌D,Vol. 63、No. 4,pp. 349-356,1980,に記載の自動的に閾値を設定する技術を適用してもよい。
【0065】
最後に,数値的な特徴を取り出す(1509)。数値的な特徴量としては,たとえば,各画素の値を用いる。この場合は,画像切り出し・正規化の出力が横w画素,縦h画素の矩形のRGBカラー画像であるならば,3×w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。グレー画像であれば,w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。また,切り出し・正規化した後の画像に画像フィルタをたたみこみ,その出力値を特徴量とすることもできる。特徴抽出領域が矩形でない場合は,必要に応じて射影変換を用いる。
【0066】
上述した手順によれば,透過画像から文字領域を自動的に除外して特徴抽出をすることができ,高精度に紙片の真贋判定を行うことができる。
【0067】
また,紙片のどの位置にどのような文字が記載されているか,どのような写真が印刷されているかといった情報をあらかじめ入手できる場合には,その情報を入手して文字や写真の領域を除去することによって実現することもできる。
【実施例4】
【0068】
以下では,本発明の第四の実施例になる紙片登録・識別処理の流れを説明する。第一の実施例との差分についてのみ詳細に説明する。第四の実施例では紙片の組成の変動に伴う特徴量の変動,製紙条件の違いによる特徴量の変動,紙片登録・識別装置に搭載されているスキャナの個体差に伴う特徴量の変動等が存在する場合でも高精度に紙片を識別する方法について述べる。
【0069】
図16は,第四の実施例における特徴抽出処理の手順を示したものである。図6に記載の特徴抽出処理を拡張した手順になっている。具体的には,図16に記載されている”特徴量抽出”は,602から608の処理に相当し,1602ないし1608の処理が付加されている。特徴抽出処理以外の手順は第一の実施例と同じである。以下,手順を詳細に説明する。まず,特徴抽出領域座標xの特徴量を抽出する(1602)。抽出した特徴量を,特徴量fとする。次に,特徴抽出領域座標xに隣接する領域yの特徴量を抽出する(1603)。抽出した特徴量を,特徴量gとする。次に,特徴量fと特徴量gの類似度が閾値θ以上,かつ,特徴抽出領域座標xが紙片内,かつ,座標yが紙片内である間以下のループを実行する。まず,特徴抽出領域xを上下左右に1画素ずつ拡張する(1605)。次に,特徴抽出領域yを上下左右に1画素ずつ拡張する(1606)。さらに,拡張した特徴抽出領域座標xの特徴量を抽出し,この特徴量をあらためて特徴量fとする。また,拡張した特徴量抽出領域座標yの特徴量を抽出し,この特徴量をあらためて特徴量gとする。
【0070】
このような処理を行うことで,異なる特徴抽出領域に対する特徴量同士の類似度が閾値未満になるように特徴抽出範囲を設定することができる。異なる特徴抽出領域は別々の紙片とみなすことができるので,偽券を誤って真券と判定してしまう精度を向上させることができる。
【0071】
上記では,閾値θを固定し,特徴抽出範囲を徐々に拡張する方法について処理手順を述べたが,逆に特徴抽出領域を固定し,閾値θを徐々に小さくするようにして,偽券を誤って真券と判定してしまう精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、紙片の真贋判定を行うシステムにおいて、高速・高精度に真贋判定を行えるものとして有用である。
【符号の説明】
【0073】
101…透過画像取得手段,102…反射画像取得手段,103…演算手段,104…通信手段,105…ネットワーク,106…バス,107…記憶手段,108…識別子認識手段,109…マーク検出手段,110…摂動処理手段,111…特徴抽出処理手段,112…パラメータ推定手段,113…識別子復号化手段,114…類似度算出手段,115…識別子発行手段,116…特徴量復号化手段,117…パラメータ復号化手段,118…紙片登録手段,119…真贋判定手段,120…印刷手段,121…マーク印刷手段,122…識別子印刷手段,123…特徴量印刷手段,124…パラメータ印刷手段,201…紙片登録・識別装置,202…紙片登録・識別装置,203…紙片登録・識別装置,204…ネットワーク,205…紙片識別子管理サーバ,206…紙片識別子管理DB,301…紙片,302…紙片登録手段,303…透過画像取得手段,304…特徴抽出処理手段,305…パラメータ推定手段,306…特徴量・パラメータ・マーク印刷手段,307…識別子発行手段,308…識別子印刷手段,309…紙片,310…紙片識別手段,311…反射画像取得手段,312…パラメータ復号化手段,313…特徴量復号化手段,314…透過画像取得手段,315…マーク検出手段,316…摂動処理手段,317…特徴抽出処理手段,318…類似度計算手段,319…真贋判定手段,401…紙片透過画像,501…開始,502…透過画像撮像処理,503…特徴量算出処理,504…パラメータ算出処理,505…識別子発行処理,506…特徴量・パラメータ・マーク印刷処理,507…識別子印刷処理,508…終了,601…開始,602…透過画像取得処理,603…座標取得処理、604…画像切り出し処理,605…正規化処理,606…LPF処理,607…ヒストグラム正規化処理,608…特徴量数値化処理,609…終了,701…開始,702…反射画像取得処理,703…透過画像取得処理,704…識別子認識処理,705…特徴量復号化処理,706…パラメータ復号化処理,707…マーク認識処理,708…ループ処理,709…摂動処理,710…特徴抽出処理,711…摂動処理,712…特徴抽出処理,713…類似度計算処理,714…類似度計算処理,715…閾値処理,716…閾値処理,717…判定結果出力処理,718…終了,719…判定結果出力処理,720…終了,801…透過画像取得手段,802…反射画像取得手段,803…演算手段,804…通信手段,805…ネットワーク,806…バス,807…記憶手段,808…識別子認識手段,809…マーク検出手段,810…摂動処理手段,811…特徴抽出手段,812…真贋判定手段,813…識別子復号化手段,814…類似度算出手段,815…識別子発行手段,816…特徴量統計量復号化手段,817…特徴量復号化手段,818…紙片登録手段,819…特徴量統計量算出手段,820…印刷手段,821…マーク印刷手段,822…識別子印刷手段,823…特徴量印刷手段,824…特徴量統計量印刷手段,825…時刻算出手段,826…特徴量補正手段,901…紙片,902…紙片登録手段,903…透過画像取得手段,904…特徴抽出処理手段,905…特徴量の統計量算出手段,906…時計,907…特徴量・統計量・マーク・時刻印刷手段,908…識別子発行手段,909…識別子印刷手段,910…紙片,911…紙片識別手段,912…反射画像取得手段,913…特徴量の統計量・時刻復号化手段,914…特徴量復号化手段,915…透過画像取得手段,916…マーク検出手段,917…摂動処理手段,918…特徴抽出処理手段,919…時計,920…類似度計算手段,921…真贋判定手段,922…特徴量補正手段,1001…透過画像の画素値のヒストグラム,1002…ヒストグラム,1003…透過画像の画素値のヒストグラム,1004…ヒストグラム,1005…撮影時刻とヒストグラムの分散の関係を表した図,1101…透過画像の色相値のヒストグラム,1102…ヒストグラム,1103…透過画像の色相値のヒストグラム,1201…開始,1202…透過画像取得処理,1203…座標取得処理,1204…画像切り出し処理,1205…正規化処理,1206…LPF処理,1207…ヒストグラム正規化処理,1208…分散算出処理,1209…特徴量出力処理,1210…終了,1301…開始,1302…透過画像取得処理,1303…座標取得処理,1304…画像切り出し処理,1305…正規化処理,1306…LPF処理,1307…ヒストグラム正規化処理,1308…HSV変換処理,1309…H値のヒストグラム算出処理,1310…分散算出処理,1311…特徴量出力処理,1312…終了,1401…開始,1402…反射画像取得処理,1403…透過画像取得処理,1404…識別子認識処理,1405…特徴量符復号化処理,1406…特徴量の統計量復号化処理,1407…マーク認識処理,1408…摂動ループ処理,1409…摂動処理,1410…特徴抽出処理,1411…時刻算出処理,1412…特徴量補正処理,1413…類似度算出処理,1414…閾値処理,1415…判定結果出力処理,1416…終了,1417…判定結果出力処理,1418…終了,1501…開始,1502…透過画像取得処理,1503…座標取得処理,1504…画像切り出し処理,1505…正規化処理,1506…LPF処理,1507…ヒストグラム正規化処理,1508…文字領域除去処理,1509…特徴量数値化処理,1510…終了,1601…開始,1602…特徴抽出処理,1603…特徴抽出処理,1604…判定処理,1605…特徴抽出領域拡張処理,1606…特徴抽出処理拡張処理,1607…特徴抽出処理,1608…特徴抽出処理,1609…終了
【技術分野】
【0001】
本発明は,紙片の真贋判定のための紙片登録・識別方法及び紙片登録・識別方法に関する。以下では,紙片のことを単に紙と呼ぶこともある。
【背景技術】
【0002】
近年,複写技術の向上により紙幣や有価証券,切手等の精巧な偽造券が簡便に作成可能となり,社会問題化している。一般的に,偽造の防止には,漉き込み技術や特殊なインクが必要で,印刷コストを上げる原因となっている。
【0003】
たとえば,特許文献1には,証券の文字を磁気インクで印刷し,複写機による複製を防止する方法が開示されている。特許文献2には,磁性体を漉き込んで真贋判定を行う方法が開示されている。特許文献3には,透過光をもちいた紙片判別法において,紙片の劣化に耐性のある方法が開示されている。特許文献4には,透過光をもちいた紙片判別法において,透過画像による紙片の特徴量以外に,キーボード等から入力した紙片のタグ情報を含めて紙片の登録を行う方法が開示されている。特許文献5には,透過光を用いた紙片判別法において,照明方向や紙の位置・姿勢の厳密な位置の調整を不要とする方法が開示されている。特許文献6には,紙片の反射光を用いた真贋判定方法において,運用時に読み取り条件を変更したい場合,その条件に応じた二次元符号を印刷する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−9482
【特許文献2】特開2007−164293
【特許文献3】特開2007−11700
【特許文献4】特開2006−18525
【特許文献5】特開2006−338330
【特許文献6】特開2006−338331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は2に記載の方法は,偽造防止に有効な方法である。しかし、特別なインクを用いたり,紙に特別な繊維を漉き込んだりする必要があり,偽造防止のコストが高くなるという問題があった。これらに対し,特許文献3ないし6に記載の方法は,紙に特別な加工を施す必要がないため,偽造防止のコストを抑えることができる。しかしながら,これら特許文献3ないし6に記載の方法には以下の問題があった。
【0006】
第一の問題は,与えられた紙が本物か偽物か判断する真贋判定の基準をどのようにして決めるかという問題である。一般に,本物の紙を偽物の紙と誤って判定してしまう率(以下,誤棄却率,FRRともいう)と,偽物の紙を本物の紙と誤って判定してしまう率(以下,誤警報率,FAR)はトレードオフの関係にあり,完全に0にすることは難しい。そこで,紙の真贋判定を行うシステムを設計する際には,誤棄却率と誤警報率が運用上問題ないようにある値に設定する。紙の真贋判定時には,その数値を真贋判定の基準値として用いる。以下ではこの数値のことを閾値と呼び,閾値によって真贋判定結果を決めることを閾値処理と呼ぶ。
【0007】
一方,同一の用途のために印刷された紙であっても製紙会社ごとに異なる組成の紙を使う場合や,さらには同一の製紙会社であっても製紙の時期によって組成が変わる可能性がある。特許文献3ないし6に記載の方法では紙の反射画像もしくは透過画像を採取して,それらの画像を用いて真贋判定を行っているが,紙の組成の変動がそれらの画像に与える影響や,それらの変動に対し高精度に真贋判定を行う方法については開示されていない。また,反射画像や透過画像を採取するスキャナの個体差による変動については,従来手法では開示されていない。
【0008】
特許文献4に閾値処理により紙の真贋判定を行う方法が記載されているが,閾値の決め方については,実験によってあらかじめひとつの値を決める方法のみが開示されており,上記の変動には対応することができない。
【0009】
第二の問題は,経年変化により紙の特性が変化した場合に,どのようにしたら高精度に真贋判定を行うことができるかという問題である。紙は製紙後に,摩耗,折り曲げ,汚れ等により,紙表面もしくは内部の特性が変化していく。また露光により紙表面に印刷したインクの色,もしくは,紙内部の繊維の色が変化していく。特許文献3ないし7に記載の方法では紙の反射画像もしくは透過画像を採取して,それらの画像を用いて真贋判定を行っているが,このような経年変化により反射画像や透過画像も変動し,紙の真贋判定の精度に影響を与える。
【0010】
特許文献3には,特徴量の頻度分布をとり,その分布形状の歪み度合い(歪度)で紙の汚れや劣化度を測る方法が開示されている。すなわち,透過画像に対して歪度が大きい場合は,劣化の度合いとの仮定に基づき,歪度が小さい紙の別の部分を真贋判定に用いる方法が開示されている。しかしながら,この方法では紙全体にわたる摩耗,折り曲げ,汚れ,露光によるインクの変色には対応することができない。また,同特許文献には,透過画像の平均値から大きく離れた画素値をもつ画素を真贋判定に用いない方法も開示されている。しかしながら,劣化が激しい場合は,大部分の画素が真贋判定に使えなくなるという問題があった。
【0011】
第三の問題は,紙の上に文字や写真が印刷されたり,文字が手書きされたり,スタンプが押されたりした場合に,どのようにしたら高精度に真贋判定を行うことができるかという問題である。紙片の透過画像を観察すると,無地の部分の画素値の分布幅よりも,文字が印刷されている部分の画素値と無地の画素値の差の大きいことがわかる。したがって,高精度に紙の真贋判定を行うには,真贋判定したい紙と本物の紙とで,それらの印刷文字同士の正確な位置合わせが必要になる。しかしながら,スキャナで透過画像を撮像するときには,紙の搬送系の精度の問題で数画素ずれることがある。また,仮に精度の高い紙の搬送系を用いてスキャン位置を正確に合わせたとしても,スキャナの光電変換特性の変動により,画像中の文字幅が数画素変動することは避けられない。このことにより真贋判定に用いる画素の値が大きく異なる可能性があり,その場合本物の紙を偽物と誤判定する可能性がある。特許文献3ないし6に記載の方法では,紙の無地の部分を用いて真贋判定を行うか,もしくは,文字や写真の印刷については開示されていない。
【0012】
第四の問題は,真贋判定に用いる画像の広さ,すなわち画素数をどの程度にすればよいかという問題である。画素数を大きくするとより精緻な画素の分布を得ることができるため誤警報は減ることが予想されるが,逆にスキャンの際の紙の位置ずれの影響が大きくなり誤棄却が増えることも考えられる。また,画素数の増加に伴って処理時間も増える。したがって,予備実験や設計時に誤棄却率や誤警報率を求め調整しておくのが一般的である。
【0013】
しかし,第一の問題でも述べたように,たとえ同じ用途に用いる紙であっても製紙会社によって紙の組成は変動するし,製紙の時期によっても異なる可能性がある。このことにより紙の透過画像や反射画像が変動し,予備実験や設計時に決めた画素数が最適でなくなることがある。特許文献6には,画像の読み取り条件や真贋判定の条件を動的に変更する方法が開示されている。しかしながら,計算機の画面から,使用するセンサの数や画像の諧調を人手によって指定する方法のみが開示されており,自動的に最適な画素数を設定することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における紙片識別システムでは、紙片登録装置と紙片識別装置とからなる紙片識別システムにおいて、前記紙片登録装置は、紙片から特徴量を抽出する第1の特徴量抽処理出部と、該第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量に関する情報を前記紙片に印刷する印刷部とを有し、前記紙片識別装置は、紙片から特徴量を抽出する第2の特徴量抽処理出部と、紙片から前記印刷部により該紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、前記特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、該特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明における第2の形態では、前記紙片登録装置の固有の特性、前記紙片識別装置の固有の特性、前記紙片の固有の特性のうち一以上の特性を推定するパラメータ推定部を有し、前記真贋判定部は、前記類似度と前記パラメータ推定部により推定された特性とに基づいて、紙片の真贋を判定することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明のおける第3の形態では、前記紙片登録装置は、前記第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量から該特徴量の統計量を算出する統計量算出部を有し、前記印刷部は該統計量算出部により算出された統計量に関する情報を紙片に印刷し、前記紙片識別装置は、前記紙片に印刷された統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、復号化された前記統計量に基づいて前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,サーバに紙片画像登録する必要がないため、真贋判定を高速に行うことができる。また、本発明の第2の形態によれば、紙の組成が変動する場合や、紙片登録・識別装置の特性が個体ごとに変動する場合でも,紙の真贋判定を高精度に行うことができる。また,本発明の第3の形態によれば、経年変化に伴い紙の特性が変動する場合にも紙の真贋判定を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施例に用いる紙片登録・識別装置の基本構成例を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施例の紙片登録・識別システムの構成例を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施例の処理の構成を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施例における透過画像の例を示す図である。
【図5】本発明の第一の実施例における紙片登録処理の手順を示す図である。
【図6】本発明の第一の実施例における特徴抽出処理の手順を示す図である。
【図7】本発明の第一の実施例における真贋判定処理の手順を示す図である。
【図8】本発明の第二の実施例の紙片登録・識別システムの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第二の実施例の紙片登録・識別システムの構成例を示す図である。
【図10】本発明の第二の実施例における透過画像の画素値のヒストグラムを表した図,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。
【図11】本発明の第二の実施例における透過画像の色相値のヒストグラムを表した図,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。
【図12】本発明の第二の実施例における特徴量の統計量の算出手順を示す図である。
【図13】本発明の第二の実施例における特徴量の統計量の算出手順を示す図である。
【図14】本発明の第二の実施例における真贋判定処理の手順を示す図である。
【図15】本発明の第三の実施例における特徴抽出処理の手順を示す図である。
【図16】本発明の第四の実施例における特徴抽出処理の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に,本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の第一の実施例として,紙片の真贋判定システムを以下で説明する。
【0021】
図1は,紙片登録・識別装置の構成例である。本装置は,少なくとも1台の計算機と,画像取得手段と,印刷手段,通信手段がバスを経由して結合されている。すなわち,紙片登録・識別装置は,紙片の透過画像を取得する透過画像取得手段101と,紙片の反射画像を取得する反射画像取得手段102と,演算手段103と,通信手段104と,記憶手段107,印刷手段120,バス106で構成され,ネットワーク105を経由して外部の機器と通信できるようになっている。透過画像は,紙片を識別するための特徴量を抽出する際に用いる。また,反射画像は紙片に符号として印刷された特徴量や紙片識別子,マークを認識するために用いる。ここで,識別子とは,紙片ごとに固有の文字列である。また,マークとは,紙片の識別に用いる特徴量を抽出する領域を指定するため,紙片上に印刷する目印となるものである。
【0022】
透過画像取得手段101や反射画像取得手段102は,紙片登録・識別装置に対する画像入力端末として実現でき,例えば市販の光学式スキャナを用いることができる。
【0023】
演算手段103は,汎用のMPU(Micro Processor Unit)として実現でき,特徴抽出手段111やパラメータ推定手段112,類似度算出手段114で必要な計算を実行する。
【0024】
識別子を認識したり,マークを検出したりする処理は,プログラムとして記憶手段107に格納される。記憶手段107には,識別子認識手段108,マーク検出手段109,摂動処理手段110,特徴抽出手段111,パラメータ推定手段112,識別子復号化手段113,類似度算出手段114,識別子発行手段115,特徴量復号化手段116,パラメータ復号化手段117,紙片登録手段118,真贋判定手段119の処理手順を記載したプログラムが格納される。
【0025】
印刷手段120の各要素は,市販のプリンタやプリンタモジュールを用いて実現することができる。マーク印刷手段121は紙片にマークを印刷する手段であり,識別子印刷手段122は紙片に識別子を印刷する手段であり,特徴量印刷手段123は紙片に特徴量を印刷する手段であり,パラメータ印刷手段は紙片にパラメータを印刷する手段である。
【0026】
また、図1では、紙片登録装置としての機能及び紙片識別装置としての機能の双方を有する装置として紙片登録・識別装置を記載しているが、紙片登録装置、紙片識別装置を各々の機能を有する別々の装置として設けても構わない。
【0027】
図2は,ネットワークを用いた紙片の真贋判定システムの構成例である。本システムは,少なくとも1台の紙片登録・識別装置と,紙片識別子の管理を行う管理サーバがネットワークで接続されている。すなわち,本システムは,第一の紙片登録・識別装置201,第二の紙片登録・識別装置202,第三の紙片登録・識別装置203と,紙片識別子管理DB206を持つ紙片識別子管理サーバ205がネットワーク204で接続される構成となっている。
【0028】
図2では,複数の紙片登録・識別装置に対して,1台の紙片識別子管理サーバをネットワーク経由で接続した例を示したが,紙片識別子管理DB206のバックアップのため,もしくは,ネットワーク204の負荷軽減のため,複数台の紙片識別子管理サーバを設けるようにしてもよい。また,各紙片登録・識別装置ごとに紙片識別子管理サーバを設けるような構成にしてもよい。また,紙片の登録は第一の紙片登録・識別装置201で行い,紙片の識別は第二の紙片登録・識別装置202で行うようにしてもよい。また,紙片の登録を行う装置と紙片の識別を行う装置を分け,ネットワークで接続してもよい。
【0029】
図3は,第一の実施例の各処理プログラムのより具体的な構成,流れを示した図である。同図に示したように,大きく分けて紙片登録処理302と,紙片識別処理310から構成される。
【0030】
紙片登録処理302は,紙片の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数量化して,紙片の上に印刷する処理である。透過画像取得手段303は紙片303の透過画像を得る手段である。特徴抽出処理手段304は透過画像から特徴量を抽出する手段である。さらにパラメータ推定手段305で,紙片ないしは紙片登録・識別装置固有の特性を推定する。特徴量・パラメータ・マーク印刷手段306は,特徴量やパラメータ,マークを紙片の上に印刷する手段である。印刷する形態としては,数値を文字列として印刷してもよいし,バーコードや二次元コードのような符号で印刷するようにしてもよい。識別子印刷手段308は,識別子を紙片の上に印刷する手段である。識別子発生手段307は,紙片登録処理302の内部で紙片固有の文字列を生成してもよいし,ネットワーク105を経由して識別子管理サーバ205に紙片固有の文字列を生成させてもよい。
【0031】
紙片識別処理310は,紙片の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数値化し,紙片の上に印刷された特徴量と比較することで,紙片の真贋を判定する処理である。反射画像取得手段311は,紙片309の反射画像を得る手段である。パラメータ復号化手段312は反射画像中に含まれるパラメータを復号化する手段である。特徴量・パラメータ・マーク印刷手段306として,数値を文字列として印刷した場合は,公知の文字認識技術を用いることができる。バーコードや二次元コードのような符号を用いて印刷した場合も,公知のバーコード,二次元コード読み取り技術を用いることができる。特徴量復号化手段313は反射画像取得手段311によって得られた紙片の反射画像から標準特徴量を復号化する手段である。マーク検出手段315は,反射画像取得手段311によって得られた反射画像からマークを検出する手段である。
【0032】
マークで指定された特徴量抽出座標は,マークの印刷の過程や,反射画像取得の際に位置ずれが起きることがある。そこで,特徴抽出をする座標を摂動処理手段316で少しずつずらし,ずらした領域から特徴抽出処理手段317で特徴量を抽出する。ずらしかたはあらかじめ少なくとも1通りの方法を紙片識別手段310に記憶しておく。そして,得られた特徴量と特徴量符号化手段313で得られた標準特徴量の類似の度合い(類似度)を,類似度計算手段318で計算する。
【0033】
類似度の計算方法としては,相関関数,コサイン類似度を用いることができる。また,ユークリッド距離やマハラノビス距離の逆数とすることもできる。真贋判定処理319では,いずれかの摂動処理によって得られた類似度が閾値θ以上であれば,紙片309は本物とみなしその結果を出力する。逆に閾値θ未満であれば紙片309は偽物とみなしその結果を出力する。真贋判定処理319の際,単純に閾値θと比較するのではなく,パラメータ復号化手段312で得られた紙片固有の特性,ないしは,紙片登録・識別装置固有の特性によって,閾値θを補正する。具体的な補正の方法については,紙片の真贋判定処理の手順の説明にて後述する。
【0034】
図4は,紙片の透過画像の例である。この画像は市販の透過型のスキャナを用いて,上質紙を600dpiの解像度で撮像した画像である。目視しやすいように,濃淡を強調してある。
【0035】
紙片の登録手段を図5に示す。まず,登録したい紙片の透過画像を撮像し(502),次に当該透過画像から紙片の識別に用いる特徴量を抽出する(503)。そして,特徴量からパラメータを算出する(504)。特徴抽出処理およびパラメータ算出処理の詳細については後述する。続いて,識別子を発行し(505),特徴量,パラメータ,マークを当該紙片に印刷する(506)。マークは,特徴抽出をした紙片の領域の四隅に印刷する。あるいは,特徴抽出位置の座標を符号化し,バーコードや二次元コードの形で紙片に印刷してもよい。最後に識別子を当該紙片に印刷する(507)。
【0036】
図6は,紙片の特徴抽出処理の手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(602)。次に,紙片に印刷されたマークにより指定された特徴抽出領域に基づき,透過画像から部分画像を切り出す(602)。続いて,正規化する(605)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(607),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(607)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理におより,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。最後に,ヒストグラム正規化(607)の結果得られた画像から,数値的な特徴を取り出す(608)。数値的な特徴量としては,たとえば,各画素の値を用いる。この場合は,画像切り出し・正規化の出力が横w画素,縦h画素の矩形のRGBカラー画像であるならば,3×w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。グレー画像であれば,w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。また,切り出し・正規化した後の画像に画像フィルタをたたみこみ,その出力値を特徴量とすることもできる。特徴抽出領域が矩形でない場合は,必要に応じて射影変換を用いる。
【0037】
画像切り出し・正規化処理については,特許文献5に記載の方法を用いることができる。すなわち,特徴抽出領域は透過画像中の4隅の座標で指定する。この場合,特徴抽出領域は必ずしも標準矩形とはならない。また,傾いている場合もある。そこで,射影変換を用いて,特徴抽出領域中の4隅の座標が,標準矩形の4隅の座標に一致するよう,射影変換のパラメータを用いることができる。
【0038】
ここで摂動処理について説明しておく。本実施例では,摂動とは特徴抽出に用いる画像の範囲を微小に変化させることであり,画像範囲を上下左右に変化させたりすることを指す。本実施例では,摂動方式p(i),ただし(1≦i≦n)をn方式登録しておき,これらのp(i)の摂動を加えた画像に対して特徴抽出をする。このことにより紙スキャン時による位置ずれを補正することができる。具体的な摂動の種類や実装は特許文献5に記載の方法を用いることができる。
【0039】
マークとは,真贋判定に用いる特徴量を抽出すべき画素が,紙片上どの位置にあるか指し示した記である。具体的なマークの実装は特許文献5に記載の方法を用いることができる。
【0040】
図7は,紙片の真贋判定処理の手順を示した図である。まず,反射画像取得処理702で紙片の反射画像を得る。次に,透過画像取得処理703にて,紙片の透過画像を取得する。続いて,反射画像もしくは透過画像から識別子を認識する(704)。続いて,得られた反射画像もしくは透過画像から,特徴量を復号化する(706)。次に,反射画像もしくは透過画像から,マークを認識する(707)。次に,摂動方式の数だけ,ループ708にて以下の処理を繰り返す。まず,特徴抽出を行う領域の座標xをi番目の摂動方式で少しずらす。そして,ずらした特徴領域座標の特徴量fを抽出する(710)。続いて,特徴領域xに隣接する領域座標yの紙片画像をi番目の摂動方式で補正し(711),特徴抽出領域座標yの紙片画像から特徴量gを抽出する(712)。そして,特徴量復号化処理705で復号化された標準特徴量と,特徴量fの類似度θを計算し(713),特徴量fと特徴量gの類似度Δを計算する(714)。そして,類似度θが閾値th1以上か判定し(715),閾値以上であった場合はさらに類似度Δが閾値th2以上か判定し(716),閾値以上であった場合は,判定結果として真券を出力し(717),処理を終了する(718)。どの摂動方式をとっても,類似度θ,Δが閾値未満の場合は判定結果として偽券を出力し(719),処理を終了する(720)。
【0041】
ここで,パラメータについて説明する。パラメータとは,紙片の真贋判定処理の動作を制御するために外部から与える設定値のことである。具体的には,図7における,類似度と閾値th1やth2である。閾値th1は以下のようにして求めることができる。まず,登録したい紙片から紙片上の2つの位置を選び,図5の特徴量算出手段503にて特徴量v1,v2を算出する。次に,それらの特徴量の類似度を計算し,th1とする。ないしは,適当な定数αを用意し,α×th1を改めてth1としてもよい。以上では2つの位置を選んで特徴抽出を行い,それらの特徴量同士の類似度を算出する手法について述べたが,3つ以上の位置を選んで特徴抽出を行い,それらの特徴量同士の類似度を算出し,閾値を求めるようにしてもよい。その場合は複数の閾値th1-1,th1-2,…が求まる。このようにして閾値を計算することで紙片固有の特性を推定し,その特性に合わせて紙片真贋判定処理の動作を規定することが出来る。
【0042】
閾値th2は以下のようにして求めることができる。まず,登録したい紙片から紙片上の1つの位置を選び,図5の特徴量算出手段503にて特徴量w1を算出する。次に紙片は動かさずに,図5の透過画像撮像502を行って,特徴量算出手段503にて特徴量w2を算出する。そして,特徴量w1と特徴量w2の類似度を計算し,これをth2とする。ないしは,適当な定数ベータを用意し,β×th2を改めてth2としてもよい。以上では2回分の撮像画像から閾値を計算したが,3回分以上の撮像画像から特徴抽出を行い,それらの特徴量同士の類似度,すなわち,w1とw2の類似度,w1とw3の類似度,…を算出して閾値としてもよい。その場合は複数の閾値th2-1,th2-2,…が求まる。このようにして閾値を計算することで紙片登録・識別装置固有の特性を推定し,その特性に合わせて紙片真贋判定処理の動作を規定することが出来る。
【0043】
このような実際に真贋判定を行う紙や,機器を用いて真贋判定の閾値を設定するので,紙の組成や機器個体の変動による影響を抑えつつ,高精度に真贋判定を行うことができる。
【実施例2】
【0044】
本発明の第二の実施例として,紙片の真贋判定システムを以下で説明する。
【0045】
図8は,紙片登録・識別装置の構成例である。本装置は,少なくとも1台の計算機と,画像取得手段と,印刷手段,時刻算出手段、通信手段がバスを経由して結合されている。すなわち,紙片登録・識別装置は,紙片の透過画像を取得する透過画像取得手段801と,紙片の反射画像を取得する反射画像取得手段802と,演算手段803と,通信手段804と,記憶手段807,印刷手段820,バス806で構成され,ネットワーク805を経由して外部の機器と通信できるようになっている。透過画像は,紙片を識別するための特徴量を抽出する際に用いる。また,反射画像は紙片に符号として印刷された特徴量や紙片識別子,マークを認識するために用いる。ここで,識別子とは,紙片ごとに固有の文字列である。また,マークとは,紙片の識別に用いる特徴量を抽出する領域を指定するため,紙片上に印刷する目印となるものである。
【0046】
透過画像取得手段801や反射画像取得手段802は,紙片登録・識別装置に対する画像入力端末として実現でき,例えば市販の光学式スキャナを用いることができる。
【0047】
演算手段803は,汎用のMPU(Micro Processor Unit)として実現でき,特徴抽出手段811や特徴量統計量算出手段819,類似度算出手段814で必要な計算を実行する。
【0048】
識別子を認識したり,マークを検出したりする処理は,プログラムとして記憶手段808に格納される。記憶手段807には,識別子認識手段808,マーク検出手段809,摂動処理手段810,特徴抽出手段811,真贋判定手段812,識別子復号化手段813,類似度算出手段814,識別子発行手段815,特徴量統計量復号化手段816,特徴量復号化手段817,紙片登録手段818,特徴量統計量算出手段819の処理手順を記載したプログラムが格納される。
【0049】
印刷手段820の各要素は,市販のプリンタやプリンタモジュールを用いて実現することができる。マーク印刷手段821は紙片にマークを印刷する手段であり,識別子印刷手段822は紙片に識別子を印刷する手段であり,特徴量印刷手段823は紙片に特徴量を印刷する手段であり,特徴量統計量印刷手段824は紙片に特徴量の統計量を印刷する手段である。時刻算出手段は現在時刻を得る手段である。
【0050】
図9は,第二の実施例の各処理プログラムのより具体的な構成,流れを示した図である。同図に示したように,大きく分けて紙片登録処理902と,紙片識別処理903から構成される。
【0051】
紙片登録処理902は,紙片901の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数量化して,紙片の上に印刷する処理である。透過画像取得手段903は紙片901の透過画像を得る手段である。特徴抽出処理手段904は透過画像から特徴量を抽出する手段である。特徴量の統計量算出手段905は,特徴抽出処理手段904で得られた特徴量の統計量を算出する処理である。特徴量の統計量とは,例えば紙片画像の画素値のヒストグラムの分散や,紙片画像の色相値のヒストグラムの分散を用いる。詳細は,図11,図12を用いて後述する。時計906は現在時刻を得る手段である。図9では時計906は紙片登録手段902に内蔵されているが,ネットワークを経由して外部のサーバから取得する構成にしてもよい。特徴量・統計量・マーク・時刻印刷手段907は,特徴量や特徴量の統計量,マーク,時刻を紙片の上に印刷する手段である。印刷する形態としては,数値を文字列として印刷してもよいし,バーコードや二次元コードのような符号で印刷するようにしてもよい。識別子印刷手段909は,識別子を紙片の上に印刷する手段である。識別子発生手段908は,紙片登録処理902の内部で紙片固有の文字列を生成してもよいし,ネットワーク105を経由して識別子管理サーバ205に紙片固有の文字列を生成させてもよい。
【0052】
紙片識別処理911は,紙片の透過画像から紙片固有の特徴量を抽出し,その特徴量を数値化し,紙片の上に印刷された特徴量と比較することで,紙片の真贋を判定する処理である。反射画像取得手段912は,紙片910の反射画像を得る手段である。統計量・時刻復号化手段913は反射画像中に含まれる特徴量の統計量や時刻を復号化する手段である。特徴量・統計量・マーク・時刻印刷手段909として,数値を文字列として印刷した場合は,公知の文字認識技術を用いることができる。バーコードや二次元コードのような符号を用いて印刷した場合も,公知のバーコード,二次元コード読み取り技術を用いることができる。特徴量復号化手段914は反射画像取得手段912によって得られた紙片の反射画像から標準特徴量を復号化する手段である。マーク検出手段916は,反射画像取得手段912によって得られた反射画像からマークを検出する手段である。
【0053】
マークで指定された特徴量抽出座標は,マークの印刷の過程や,反射画像取得の際に位置ずれが起きることがある。そこで,特徴抽出をする座標を摂動処理手段917で少しずつずらし,ずらした領域から特徴抽出処理手段918で特徴量を抽出する。ずらしかたはあらかじめ少なくとも1通りの方法を紙片識別手段911に記憶しておく。そして,統計量・時刻復号化手段913で得られた特徴量の統計量と紙片登録時の時刻と,時計919で得られた現在時刻から,特徴量補正手段922で特徴量を補正する。具体的な補正の方法については,紙片の真贋判定の処理の手順にて後述する。そして,この補正した特徴量と特徴量符号化手段914で得られた標準特徴量の類似の度合い(類似度)を,類似度計算手段920で計算する。類似度の計算方法としては,相関関数,コサイン類似度を用いることができる。また,ユークリッド距離やマハラノビス距離の逆数とすることもできる。真贋判定処理921では,いずれかの摂動処理によって得られた類似度が閾値θ以上であれば,紙片910は本物とみなしその結果を出力する。逆に閾値θ未満であれば紙片910は偽物とみなしその結果を出力する。
【0054】
図10は,特徴量の統計量を説明するための図である。具合的には,透過画像の画素値のヒストグラム,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。グラフ1001は,ある時刻t1における紙片画像の画素値の分布を表したグラフである。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。グラフ1003は,ある時刻t2(>t1)におけるグラフ1001と同一の紙片画像の画素値の分布を表したグラフである。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。紙片内部の組成構造は,紙表面の組成構造に比べて比較的経時変化しにくいが,外部からの摩擦,折り曲げ,汚れなどより内部組成構造が若干変化し,このように透過画像のヒストグラム形状が変化する。たとえば,分布1002と分布1004の比較から明らかなように,時間がたつにつれ画素値の分散が小さくなっている。これらの分散を時間の経過とともにグラフにするとグラフ1005のように表現できる。製紙直後は分散が大きく,時間とともに分散が小さくなっていく。特徴量の統計量算出手段905では,この分散を求める。具体的には,まず,透過画像からグラフ1001のような画素値のヒストグラムを計算し,分布1002の分散を求める。分散の計算には公知の統計計算アルゴリズムを用いることができる。画素の平均値についても,大量の紙片の特徴量から,グラフ1005のように経時変化をグラフ化することができる。
【0055】
図11は,特徴量の統計量を説明するための図である。具合的には,透過画像の色相値のヒストグラム,および,ヒストグラムと経過時間の関係を表した図である。グラフ1101は,ある時刻t1における紙片画像の色相値の分布と経過時間の関係を表した図である。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。グラフ1103は,ある時刻t2(>t1)におけるグラフ1101と同一の紙片画像の色相値の分布と経過時間の関係を表したグラフである。横軸が画素値,縦軸が頻度を表している。時間がたつにつれ,紙片面上に印刷されたインク組成の変化,汚れなどにより,このように色相画像のヒストグラム形状が変化する。たとえば,分布1102と分布1104の比較から明らかなように,時間がたつについて色相値の分散が小さくなっている。これらの分散を時間の経過とともにグラフにするとグラフ1105のように表現できる。製紙直後は分散が大きく,時間とともに分散が小さくなっていく。特徴量の統計量算出手段905では,この分散を求める。具体的には,まず,カラーRGBの透過画像を取得し,色相画像を得る。カラーRGB画像から色相画像を得るには,画像処理分野の公知のアルゴリズムを用いることができる。次に,色相画像からグラフ1101のような画素値のヒストグラムを計算し,分布1102の分散を求める。分散の計算には公知の統計計算アルゴリズムを用いることができる。色相の平均値についても,大量の紙片の特徴量から,グラフ1005のように経時変化をグラフ化することができる。
【0056】
ここでは,特徴量の統計量として,透過画像の画素値のヒストグラムの分散値と,透過画像から得られた色相画像の画素値のヒストグラムの分散を示したが,これらの2例に限定されない。時間の経過とともに変化する,紙片透過画像から得られる統計量であればそれを用いることができる。また,透過画像のヒストグラムの分散値と色相画像のヒストグラムの分散値の両方を用いて,より精密に経時変化に伴う画像変化を推定することができる。
【0057】
図12は,第二の実施例における紙片の特徴量の統計量の算出処理の手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(1202)。次に,指定された特徴抽出領域に基づき(1203),透過画像から部分画像を切り出す(1204)。続いて,正規化する(1205)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(1206),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(1207)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理により,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。最後に,ヒストグラム正規化(1207)の結果得られた画像から,特徴量の分散を計算する(1208)。特徴量の分散の計算法は,図10で説明した方法を用いることができる。最後に,得られた分散を特徴量の統計量として出力する(1209)。
【0058】
図13は,第二の実施例における紙片の特徴量の統計量の算出処理のもう一つの手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(1302)。次に,指定された特徴抽出領域に基づき(1303),透過画像から部分画像を切り出す(1304)。続いて,正規化する(1305)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(1306),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(1307)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理により,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。さらに,RGB値からHSV変換を行い(1308),色相値(H値)のヒストグラムを算出する(1309)。そして,色相値のヒストグラムから特徴量の分散を計算する(1310)。特徴量の分散の計算法は,図10で説明した方法を用いることができる。最後に,得られた分散を特徴量の統計量として出力する(1311)。
【0059】
図14は,紙片の真贋判定処理の手順を示した図である。まず,反射画像取得処理1402では,透過画像取得手段802を用いて紙片の反射画像を得る。次に,透過画像取得処理1403では反射画像取得手段802を用いて,紙片の透過画像を取得する。続いて,識別子認識手段808を用いて反射画像もしくは透過画像から識別子を認識する(1404)。続いて,特徴量復号化手段817を用いて,得られた反射画像もしくは透過画像から,特徴量を復号化する(1405)。次に,特徴量統計量復号化手段816を用いて,特徴量の統計量を復号化する(1406)。次に,マーク検出手段809を用いて,反射画像もしくは透過画像から,マークを認識する(1407)。次に,摂動方式の数だけ,ループ1408にて以下の処理を繰り返す。まず,摂動処理手段810を用いて,特徴抽出を行う領域の座標xをi番目の摂動方式で少しずらす(1409)。そして,特徴抽出手段811を用いて,ずらした特徴領域座標の特徴量fを抽出する(1410)そして,時刻算出手段825を用いて現在時刻を算出し(1411),算出した現在時刻に基づいて特徴量補正手段825を用いて特徴量fを補正し,特徴量gを生成する(1412)。そして,類似度算出手段814を用いて,復号化した特徴量と,特徴量gの類似度θを計算する(1413)。そして,真贋判定手段812を用いて,類似度θが閾値th1以上か判定し(1414),判定結果として真券を出力し(1415),処理を終了する(1416)。どの摂動方式をとっても類似度θが閾値未満の場合は,判定結果として偽券を出力し(1417),処理を終了する(1418)。
【0060】
処理1412における特徴量の補正には,特徴量の統計量を用いる。以下では,統計量として,特徴量の分散値σ^2や平均値μと,それらの値が時間とともにどのように変動していくかという情報を用いる。これらはあらかじめ大量の紙片から特徴量を算出し,時間をおいて同じ紙片の特徴量を算出することで,準備しておくことができる。そして,特徴量として画素の値を用いた場合,以下のようにして特徴量の統計量を用いて特徴量を補正することができる。補正前の各画素の値をx,補正後の各画素の値をy,補正前の画素値の分布の分散をσ1^2,補正前の画素値の分布の平均をμ1とする。まず,z=(x-μ1)/σ1・・・(式1)として正規化特徴量zを算出する。次に,現在時刻の算出1411によって,紙片登録時からの経過時刻を算出し,特徴量の平均や分散が時間の経過とともにどのように変化していくかを表したグラフ1005から,現在時刻における分散値σ2と平均値μ2を推定する。そして,(式1)の逆変換,すなわち,z=(x’-μ2)/σ2を行うことで,現在時刻における画素値x’を推定することができる。すなわち,この手順によって紙片登録時の画素値xを,現在時刻における画素値x’に補正することができる。また,画素の値の代わりに,図11に示したように色ヒストグラムの情報を用いることもできる。
【0061】
または,処理1414における類似度θの閾値処理に加え,真贋判定の対象となる画素の分布を求め,その分布がグラフ1005から読み取れる現在位置における分散以下であれば,本物であると判断することによって真贋判定を行うこともできる。
【実施例3】
【0062】
以下では,本発明の第三の実施例になる紙片登録・識別処理の流れを説明する。第一の実施例との差分についてのみ詳細に説明する。第三の実施例では,紙片に文字が印刷されたり,書かれていたりする場合でも高精度に紙片の識別ができるようにする方法を開示する。
【0063】
図15は,紙片の特徴抽出処理の手順を示した図である。特徴抽出処理では,まず,透過画像を取得する(1502)。次に,指定された特徴抽出領域に基づき(1503),透過画像から部分画像を切り出す(1504)。続いて,正規化する(1505)。この際,あらかじめ定められた大きさの矩形に合わせて画像を射影変換して切り出す。次に,ローパスフィルター(LPF)を画像にかけ(1506),透過画像中の画像を除去する。さらに,得られた画像に対してヒストグラム正規化を行う(1507)。この処理は,入力画像のヒストグラムを求め,ヒストグラムが平たんになるように,画素値を変換する処理である。この処理により,紙片登録時に撮像した透過画像と,紙片識別時に撮像した透過画像の特性の違いを補正することができるようになる。
【0064】
続いて文字領域の除去を行う(1508)。文字領域の除去には,画像二値化処理アルゴリズムを適用することができる。文字が印刷されていない無地の領域に比べ,文字領域は一般的に画素値が小さいことを利用し,入力画像の各画像に対し,あらかじめ定められた閾値よりも大きな画素値を持つ画素を文字領域,閾値以上の画素値を持つ画素を背景領域として特徴抽出に用いることができる。また,大津展之,”判別および最少2乗基準に基づく自動しきい値選定法”電子情報通信学会論文誌D,Vol. 63、No. 4,pp. 349-356,1980,に記載の自動的に閾値を設定する技術を適用してもよい。
【0065】
最後に,数値的な特徴を取り出す(1509)。数値的な特徴量としては,たとえば,各画素の値を用いる。この場合は,画像切り出し・正規化の出力が横w画素,縦h画素の矩形のRGBカラー画像であるならば,3×w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。グレー画像であれば,w×hの次元数を持つ特徴量が得られることになる。また,切り出し・正規化した後の画像に画像フィルタをたたみこみ,その出力値を特徴量とすることもできる。特徴抽出領域が矩形でない場合は,必要に応じて射影変換を用いる。
【0066】
上述した手順によれば,透過画像から文字領域を自動的に除外して特徴抽出をすることができ,高精度に紙片の真贋判定を行うことができる。
【0067】
また,紙片のどの位置にどのような文字が記載されているか,どのような写真が印刷されているかといった情報をあらかじめ入手できる場合には,その情報を入手して文字や写真の領域を除去することによって実現することもできる。
【実施例4】
【0068】
以下では,本発明の第四の実施例になる紙片登録・識別処理の流れを説明する。第一の実施例との差分についてのみ詳細に説明する。第四の実施例では紙片の組成の変動に伴う特徴量の変動,製紙条件の違いによる特徴量の変動,紙片登録・識別装置に搭載されているスキャナの個体差に伴う特徴量の変動等が存在する場合でも高精度に紙片を識別する方法について述べる。
【0069】
図16は,第四の実施例における特徴抽出処理の手順を示したものである。図6に記載の特徴抽出処理を拡張した手順になっている。具体的には,図16に記載されている”特徴量抽出”は,602から608の処理に相当し,1602ないし1608の処理が付加されている。特徴抽出処理以外の手順は第一の実施例と同じである。以下,手順を詳細に説明する。まず,特徴抽出領域座標xの特徴量を抽出する(1602)。抽出した特徴量を,特徴量fとする。次に,特徴抽出領域座標xに隣接する領域yの特徴量を抽出する(1603)。抽出した特徴量を,特徴量gとする。次に,特徴量fと特徴量gの類似度が閾値θ以上,かつ,特徴抽出領域座標xが紙片内,かつ,座標yが紙片内である間以下のループを実行する。まず,特徴抽出領域xを上下左右に1画素ずつ拡張する(1605)。次に,特徴抽出領域yを上下左右に1画素ずつ拡張する(1606)。さらに,拡張した特徴抽出領域座標xの特徴量を抽出し,この特徴量をあらためて特徴量fとする。また,拡張した特徴量抽出領域座標yの特徴量を抽出し,この特徴量をあらためて特徴量gとする。
【0070】
このような処理を行うことで,異なる特徴抽出領域に対する特徴量同士の類似度が閾値未満になるように特徴抽出範囲を設定することができる。異なる特徴抽出領域は別々の紙片とみなすことができるので,偽券を誤って真券と判定してしまう精度を向上させることができる。
【0071】
上記では,閾値θを固定し,特徴抽出範囲を徐々に拡張する方法について処理手順を述べたが,逆に特徴抽出領域を固定し,閾値θを徐々に小さくするようにして,偽券を誤って真券と判定してしまう精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、紙片の真贋判定を行うシステムにおいて、高速・高精度に真贋判定を行えるものとして有用である。
【符号の説明】
【0073】
101…透過画像取得手段,102…反射画像取得手段,103…演算手段,104…通信手段,105…ネットワーク,106…バス,107…記憶手段,108…識別子認識手段,109…マーク検出手段,110…摂動処理手段,111…特徴抽出処理手段,112…パラメータ推定手段,113…識別子復号化手段,114…類似度算出手段,115…識別子発行手段,116…特徴量復号化手段,117…パラメータ復号化手段,118…紙片登録手段,119…真贋判定手段,120…印刷手段,121…マーク印刷手段,122…識別子印刷手段,123…特徴量印刷手段,124…パラメータ印刷手段,201…紙片登録・識別装置,202…紙片登録・識別装置,203…紙片登録・識別装置,204…ネットワーク,205…紙片識別子管理サーバ,206…紙片識別子管理DB,301…紙片,302…紙片登録手段,303…透過画像取得手段,304…特徴抽出処理手段,305…パラメータ推定手段,306…特徴量・パラメータ・マーク印刷手段,307…識別子発行手段,308…識別子印刷手段,309…紙片,310…紙片識別手段,311…反射画像取得手段,312…パラメータ復号化手段,313…特徴量復号化手段,314…透過画像取得手段,315…マーク検出手段,316…摂動処理手段,317…特徴抽出処理手段,318…類似度計算手段,319…真贋判定手段,401…紙片透過画像,501…開始,502…透過画像撮像処理,503…特徴量算出処理,504…パラメータ算出処理,505…識別子発行処理,506…特徴量・パラメータ・マーク印刷処理,507…識別子印刷処理,508…終了,601…開始,602…透過画像取得処理,603…座標取得処理、604…画像切り出し処理,605…正規化処理,606…LPF処理,607…ヒストグラム正規化処理,608…特徴量数値化処理,609…終了,701…開始,702…反射画像取得処理,703…透過画像取得処理,704…識別子認識処理,705…特徴量復号化処理,706…パラメータ復号化処理,707…マーク認識処理,708…ループ処理,709…摂動処理,710…特徴抽出処理,711…摂動処理,712…特徴抽出処理,713…類似度計算処理,714…類似度計算処理,715…閾値処理,716…閾値処理,717…判定結果出力処理,718…終了,719…判定結果出力処理,720…終了,801…透過画像取得手段,802…反射画像取得手段,803…演算手段,804…通信手段,805…ネットワーク,806…バス,807…記憶手段,808…識別子認識手段,809…マーク検出手段,810…摂動処理手段,811…特徴抽出手段,812…真贋判定手段,813…識別子復号化手段,814…類似度算出手段,815…識別子発行手段,816…特徴量統計量復号化手段,817…特徴量復号化手段,818…紙片登録手段,819…特徴量統計量算出手段,820…印刷手段,821…マーク印刷手段,822…識別子印刷手段,823…特徴量印刷手段,824…特徴量統計量印刷手段,825…時刻算出手段,826…特徴量補正手段,901…紙片,902…紙片登録手段,903…透過画像取得手段,904…特徴抽出処理手段,905…特徴量の統計量算出手段,906…時計,907…特徴量・統計量・マーク・時刻印刷手段,908…識別子発行手段,909…識別子印刷手段,910…紙片,911…紙片識別手段,912…反射画像取得手段,913…特徴量の統計量・時刻復号化手段,914…特徴量復号化手段,915…透過画像取得手段,916…マーク検出手段,917…摂動処理手段,918…特徴抽出処理手段,919…時計,920…類似度計算手段,921…真贋判定手段,922…特徴量補正手段,1001…透過画像の画素値のヒストグラム,1002…ヒストグラム,1003…透過画像の画素値のヒストグラム,1004…ヒストグラム,1005…撮影時刻とヒストグラムの分散の関係を表した図,1101…透過画像の色相値のヒストグラム,1102…ヒストグラム,1103…透過画像の色相値のヒストグラム,1201…開始,1202…透過画像取得処理,1203…座標取得処理,1204…画像切り出し処理,1205…正規化処理,1206…LPF処理,1207…ヒストグラム正規化処理,1208…分散算出処理,1209…特徴量出力処理,1210…終了,1301…開始,1302…透過画像取得処理,1303…座標取得処理,1304…画像切り出し処理,1305…正規化処理,1306…LPF処理,1307…ヒストグラム正規化処理,1308…HSV変換処理,1309…H値のヒストグラム算出処理,1310…分散算出処理,1311…特徴量出力処理,1312…終了,1401…開始,1402…反射画像取得処理,1403…透過画像取得処理,1404…識別子認識処理,1405…特徴量符復号化処理,1406…特徴量の統計量復号化処理,1407…マーク認識処理,1408…摂動ループ処理,1409…摂動処理,1410…特徴抽出処理,1411…時刻算出処理,1412…特徴量補正処理,1413…類似度算出処理,1414…閾値処理,1415…判定結果出力処理,1416…終了,1417…判定結果出力処理,1418…終了,1501…開始,1502…透過画像取得処理,1503…座標取得処理,1504…画像切り出し処理,1505…正規化処理,1506…LPF処理,1507…ヒストグラム正規化処理,1508…文字領域除去処理,1509…特徴量数値化処理,1510…終了,1601…開始,1602…特徴抽出処理,1603…特徴抽出処理,1604…判定処理,1605…特徴抽出領域拡張処理,1606…特徴抽出処理拡張処理,1607…特徴抽出処理,1608…特徴抽出処理,1609…終了
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙片登録装置と紙片識別装置とからなる紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置は、
紙片から特徴量を抽出する第1の特徴量抽処理出部と、該第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量に関する情報を前記紙片に印刷する印刷部とを有し、
前記紙片識別装置は、
紙片から特徴量を抽出する第2の特徴量抽処理出部と、紙片から前記印刷部により該紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、前記特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、該特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片識別装置は、前記類似度計算部により判定された類似度に基づいて紙片の真贋を判定する真贋判定部を有することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項3】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置及び前記紙片識別装置は、紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、該透過画像取得部により取得された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項4】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記印刷部は、前記第1の特徴量が抽出された紙片の位置を示すマークを印刷し、
前記紙片識別装置は、紙片に印刷された前記マークを検出するマーク検出部を有し、前記第2の特徴量抽出処理部は、前記マーク検出部により検出された前記マークに基づいて前記特徴量を抽出する領域を決定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項5】
請求項4に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片識別装置は、前記第2の特徴量抽出処理部が特徴量を抽出する領域を検出された前記マークに基づいて摂動させる摂動処理部を有し、
前記第2の特徴量抽出処理部は、前記摂動処理部による摂動に基づいて複数の領域における特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項6】
請求項2に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置の固有の特性、前記紙片識別装置の固有の特性、前記紙片の固有の特性のうち一以上の特性を推定するパラメータ推定部を有し、
前記真贋判定部は、前記類似度と前記パラメータ推定部により推定された特性とに基づいて、紙片の真贋を判定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項7】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置は、前記第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量から該特徴量の統計量を算出する統計量算出部を有し、前記印刷部は該統計量算出部により算出された統計量に関する情報を紙片に印刷し、
前記紙片識別装置は、前記紙片に印刷された統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、復号化された前記統計量に基づいて前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項8】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置及び前記紙片識別装置は、紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、前記第1及び第2の特徴量抽出処理部は、該透過画像取得部により取得された透過画像から文字領域を除去し、文字領域が除去された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項9】
紙片から特徴量を抽出する特徴量抽処理出部と、
前記紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、
前記特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、
該特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項10】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
前記特徴量抽出処理部により紙片から抽出された特徴量に関する情報を前記紙片に印刷する印刷部を有することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項11】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
前記類似度計算部により判定された類似度に基づいて紙片の真贋を判定する真贋判定部を有することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項12】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、前記特徴量抽出処理部は該透過画像取得部により取得された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項13】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
紙片に印刷されたマークを検出するマーク検出部を有し、前記特徴量抽出処理部は、前記マーク検出部により検出されたマークに基づいて前記特徴量を抽出する領域を決定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項14】
請求項13に記載の紙片識別装置において、
前記特徴量抽出処理部が特徴量を抽出する領域を前記検出されたマークに基づいて摂動させる摂動処理部を有し、
前記特徴量抽出処理部は、前記摂動処理部による摂動に基づいて複数の領域における特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項15】
請求項11に記載の紙片識別装置において、
前記紙片識別装置の固有の特性、前記紙片の固有の特性のうち一以上の特性を推定するパラメータ推定部を有し、
前記真贋判定部は、前記類似度と前記パラメータ推定部により推定された特性とに基づいて、紙片の真贋を判定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項16】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
前記紙片に印刷された特徴量の統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、復号化された前記統計量に基づいて前記特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項17】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、前記特徴量抽出処理部は該透過画像取得部により取得された透過画像から文字領域を除去し、文字領域が除去された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項18】
請求項10に記載の紙片識別装置において、
前記印刷部は、前記第1の特徴量が抽出された紙片の位置を示すマークを印刷し、
紙片に印刷された前記マークを検出するマーク検出部を有し、
前記特徴量抽出処理部は、前記マーク検出部により検出されたマークに基づいて前記特徴量を抽出する領域を決定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項19】
請求項10に記載の紙片識別装置において、
前記特徴量抽出処理部により抽出された特徴量から該特徴量の統計量を算出する統計量算出部を有し、
前記印刷部は該統計量算出部により算出された統計量に関する情報を紙片に印刷し、
前記紙片に印刷された統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、
復号化された前記統計量に基づいて前記特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、
前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項1】
紙片登録装置と紙片識別装置とからなる紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置は、
紙片から特徴量を抽出する第1の特徴量抽処理出部と、該第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量に関する情報を前記紙片に印刷する印刷部とを有し、
前記紙片識別装置は、
紙片から特徴量を抽出する第2の特徴量抽処理出部と、紙片から前記印刷部により該紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、前記特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、該特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片識別装置は、前記類似度計算部により判定された類似度に基づいて紙片の真贋を判定する真贋判定部を有することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項3】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置及び前記紙片識別装置は、紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、該透過画像取得部により取得された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項4】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記印刷部は、前記第1の特徴量が抽出された紙片の位置を示すマークを印刷し、
前記紙片識別装置は、紙片に印刷された前記マークを検出するマーク検出部を有し、前記第2の特徴量抽出処理部は、前記マーク検出部により検出された前記マークに基づいて前記特徴量を抽出する領域を決定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項5】
請求項4に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片識別装置は、前記第2の特徴量抽出処理部が特徴量を抽出する領域を検出された前記マークに基づいて摂動させる摂動処理部を有し、
前記第2の特徴量抽出処理部は、前記摂動処理部による摂動に基づいて複数の領域における特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項6】
請求項2に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置の固有の特性、前記紙片識別装置の固有の特性、前記紙片の固有の特性のうち一以上の特性を推定するパラメータ推定部を有し、
前記真贋判定部は、前記類似度と前記パラメータ推定部により推定された特性とに基づいて、紙片の真贋を判定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項7】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置は、前記第1の特徴量抽出処理部により抽出された特徴量から該特徴量の統計量を算出する統計量算出部を有し、前記印刷部は該統計量算出部により算出された統計量に関する情報を紙片に印刷し、
前記紙片識別装置は、前記紙片に印刷された統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、復号化された前記統計量に基づいて前記第2の特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項8】
請求項1に記載の紙片識別システムにおいて、
前記紙片登録装置及び前記紙片識別装置は、紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、前記第1及び第2の特徴量抽出処理部は、該透過画像取得部により取得された透過画像から文字領域を除去し、文字領域が除去された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項9】
紙片から特徴量を抽出する特徴量抽処理出部と、
前記紙片に印刷された特徴量に関する情報を取得する特徴量取得部と、
前記特徴量に関する情報から特徴量を抽出する特徴量復号化部と、
該特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量抽出部により抽出された特徴量との類似度を判定する類似度計算部とを有することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項10】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
前記特徴量抽出処理部により紙片から抽出された特徴量に関する情報を前記紙片に印刷する印刷部を有することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項11】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
前記類似度計算部により判定された類似度に基づいて紙片の真贋を判定する真贋判定部を有することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項12】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、前記特徴量抽出処理部は該透過画像取得部により取得された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項13】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
紙片に印刷されたマークを検出するマーク検出部を有し、前記特徴量抽出処理部は、前記マーク検出部により検出されたマークに基づいて前記特徴量を抽出する領域を決定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項14】
請求項13に記載の紙片識別装置において、
前記特徴量抽出処理部が特徴量を抽出する領域を前記検出されたマークに基づいて摂動させる摂動処理部を有し、
前記特徴量抽出処理部は、前記摂動処理部による摂動に基づいて複数の領域における特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項15】
請求項11に記載の紙片識別装置において、
前記紙片識別装置の固有の特性、前記紙片の固有の特性のうち一以上の特性を推定するパラメータ推定部を有し、
前記真贋判定部は、前記類似度と前記パラメータ推定部により推定された特性とに基づいて、紙片の真贋を判定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項16】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
前記紙片に印刷された特徴量の統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、復号化された前記統計量に基づいて前記特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする紙片識別システム。
【請求項17】
請求項9に記載の紙片識別装置において、
紙片の透過画像を取得する透過画像取得部を有し、前記特徴量抽出処理部は該透過画像取得部により取得された透過画像から文字領域を除去し、文字領域が除去された透過画像から前記紙片の特徴量を抽出することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項18】
請求項10に記載の紙片識別装置において、
前記印刷部は、前記第1の特徴量が抽出された紙片の位置を示すマークを印刷し、
紙片に印刷された前記マークを検出するマーク検出部を有し、
前記特徴量抽出処理部は、前記マーク検出部により検出されたマークに基づいて前記特徴量を抽出する領域を決定することを特徴とする紙片識別装置。
【請求項19】
請求項10に記載の紙片識別装置において、
前記特徴量抽出処理部により抽出された特徴量から該特徴量の統計量を算出する統計量算出部を有し、
前記印刷部は該統計量算出部により算出された統計量に関する情報を紙片に印刷し、
前記紙片に印刷された統計量に関する情報から統計量を抽出する統計量復号化部と、
復号化された前記統計量に基づいて前記特徴量抽出部により抽出された特徴量を補正する特徴量補正部とを有し、
前記類似度計算部は、前記特徴量復号化部により抽出された特徴量と前記特徴量補正部により補正された特徴量との類似度を判定することを特徴とする紙片識別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【公開番号】特開2012−128754(P2012−128754A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281141(P2010−281141)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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