説明

紙用両性フルオロケミカル

基材を、以下の重量割合でのモノマーの重合から調製された組成物と接触させる工程を含む可撓性、線維性、不織基材に撥油性を付与する方法:
(a)約60%〜約90%の式1のモノマーまたはこれらの混合物
f−Q−CO−CR=CH2 式1
(式中、Rfは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基であり;Rは、HまたはCH3であり;Qは、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており;および、R1はHまたはC1〜C20アルキルである)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中、R2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し;ならびに、Zは、−O−または−NR4−であり、式中、R4はHまたはC1〜C4アルキルである)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中、R5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり;および、R6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2である)。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
パーフルオロアルキル−置換化合物が、撥油性および防グリース性を生地および紙基材に付与するために用いられる。防汚性または耐漏れ性のバリアが、多くの食品−梱包用途において用いられる紙に特に所望される。
【0002】
リペレンシーを基材に付与するための処理剤として有用である最も市販されているフッ素化ポリマーは、所望のリペレンシー特性をもたらすために、主に、8個以上の炭素をパーフルオロアルキル鎖中に含有する。Hondaらは、Macromolecules、2005年、38、5699〜5705ページにおいて、8個以上の炭素のパーフルオロアルキル鎖に関して、このパーフルオロアルキル基の配向は平行配置に維持されるが、一方で、6個以下の炭素原子を有する鎖については再配向が生じることを示す。このような再配向は、後退接触角などの表面特性を低下させる。それ故、より短鎖のパーフルオロアルキルは、伝統的に、商業的に成功していない。
【0003】
Raynoldsは、米国特許第4,147,851号明細書において、(i)パーフルオロ脂肪族アクリレートまたはメタクリレートモノマーから誘導される単位、および(ii)ジアルキルアミノアルキルアクリレートあるいはメタクリレートから誘導される単位、または、そのアミン塩、第4級アンモニウムあるいはアミンオキシド形態での対応するアクリルアミドあるいはメタクリルアミドモノマーを含むコポリマーで処理することにより撥油性および撥水性を織物および紙に付与する工程を開示する。
【0004】
Fitzgeraldらは、米国特許第5,919,527号明細書において、(i)パーフルオロアルキルアルキルアクリレートまたはメタクリレートモノマーから誘導される単位、および(ii)ジアルキルアミノアルキルアクリレートあるいはメタクリレートから誘導される単位、またはそのアミン塩、第4級アンモニウムあるいはアミンオキシド形態での対応するアクリルアミドまたはメタクリルアミドモノマーを含む硬質表面を処理するための他のコポリマーを記載している。任意により、グリシジル(メタ)アクリレート、ブロックイソシアネートアルキル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、スルファトアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、スチレンおよびビニルトルエンからなるモノマー群から選択される、追加のモノマーから誘導される単位が含まれていた。上記のコポリマーは、レンガ、石材、コンクリート、タイル、ガラス、石膏および同様の建材などの、建築または建設目的のために主に用いられる硬質の表面材料に、撥油性、撥水性、および防汚性をもたらすために用いられていた。このような組成物が紙への使用について好適であることについての開示はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除去が困難である残存性の毒性の副生成物が生成される可能性があるモノマーの使用を必要としない、フルオロケミカルコポリマーの使用を介して紙に撥油性および撥水性をもたらす方法を改良することが所望される。撥油性および防グリース性を紙にもたらすために有用な8個以下の炭素原子の過フッ素化鎖を有するコポリマーを提供し、それ故、リペレンシー性能に悪影響を及ぼすことなく、高価なフッ素をより少ない量で用いることもまた所望される。本発明は、このようなコポリマー、その調製方法、およびリペレンシーのための紙の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基材を、以下の重量割合で共重合されたモノマーから調製されるコポリマーと接触させる工程を含む、可撓性、線維性、不織基材に撥油性および防グリース性を付与する方法を含む:
(a)約60%〜約90%の式1のモノマーまたはこれらの混合物
f−Q−CO−CR=CH2 式1
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基あるいはこれらの混合物であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは、−(Cn2nx(Cn2nO)y−、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−、または−(Cn2nxCONR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、
各nは、独立して、1〜約6であり、xは0〜約4であり、pは1〜約20であり、およびyは0〜約4であるが、ただし、x+yは正の整数である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、式中、R4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、および
qは1〜4であるが、
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化(salinized)されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1であるが、
ただし、式1が
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2(式中、mは約1〜約10である)
である場合、式3は、最低でも約4重量%で存在する)。
【0007】
本発明は、上述の方法により処理された基材をさらに含む。
【0008】
本発明は、以下の重量割合で共重合されたモノマーを含むコポリマーをさらに含む:
(a)約60%〜約90%の式1Aのモノマーまたはこれらの混合物
f−Q−CO−CR=CH2 式1A
(式中
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、および
各nは、独立して、1〜約6であり、
pは1〜約20、およびyは0〜約4である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、式中、R4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、
qは1〜4であり、および
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1であるが、
ただし、式1が
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2
(式中、mは約1〜約10である)
である場合、式3は、最低でも約4重量%で存在する)。
【0009】
本発明は、各々は上述したとおりである式1、式2および式3の重合のための改良された方法であって、重合温度に達した後に式3を添加することによるゲル形成の回避を含む方法をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書においては、登録商標は大文字で示されている。
【0011】
(メタ)アクリルまたは(メタ)アクリレートという用語は、それぞれ、メタクリルおよび/またはアクリル、ならびに、メタクリレートおよび/またはアクリレートを指し、および、(メタ)アクリルアミドという用語は、メタクリルアミドおよび/またはアクリルアミドを示す。
【0012】
本発明は可撓性線維性不織基材に撥油性をもたらす方法を含み、これは、前記基材を、以下の重量割合で共重合されたモノマーから調製されるコポリマーと接触させる工程を含む:
(a)約60%〜約90%の式1のモノマーまたはこれらの混合物
f−Q−CO−CR=CH2 式1
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基あるいはこれらの混合物であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは、−(Cn2nx(Cn2nO)y−、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−、または−(Cn2nxCONR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、
各nは、独立して、1〜約6であり、xは0〜約4であり、pは1〜約20であり、およびyは0〜約4であるが、ただし、x+yは正の整数である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、
式中、
4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、および
qは1〜4であるが、
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1であるが、
ただし、式1が
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2
(式中、mは約1〜約10である)
である場合、式3は、最低でも約4重量%で存在する)。
【0013】
得られるコポリマーは、以下の構造Aに示される繰返し単位を有する。構造Aの両性(メタ)アクリレートコポリマーは、3つのグループの各々からのモノマーから誘導される1つまたは複数の繰返し単位を含む。グループ1繰返し単位はパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどの上述の式1のモノマーから誘導され、グループ2繰返し単位はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートまたはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどの上述の式2のモノマーから誘導され、および、グループ3繰返し単位は(メタ)アクリル酸などの上述の式3のモノマーから誘導される。以下の構造に示される繰返し単位は、いずれの配列、および以下に記載の割合であることが可能である。構造Aは以下のとおりである。
【0014】
【化1】

【0015】
構造A
式中、
fは、約2〜約20、好ましくは約4〜約8、およびより好ましくは約4〜約6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Qは、−(Cn2nx(Cn2nO)y−、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−、または−(Cn2nxCONR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
各Rは、独立して、HまたはCH3であり、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、
各nは、独立して、1〜約6であり、
xおよびyは、(x+y)が0を超えるよう、独立して、0〜約4であり、
pは1〜約20であり、
Zは、−O−または−NR4−であり、
rは0〜4であり、
qは1〜4であり、
Bは、−N+234-または−NR23Oであり、
-は、アルカノエートイオンR”COO-(式中、R”はC1〜約C5である)、リン酸二水素イオンH2PO4-、ホウ酸イオンHBO-、グリコール酸イオンおよび二水素性クエン酸イオンを含むC1〜C6ヒドロキシあるいはポリヒドロキシカルボキシレートイオンまたはヒドロキシあるいはポリヒドロキシポリカルボキシレートイオン、オキサレートイオンHOOCCOO-、塩素イオン、または硫酸水素イオンHSO4-などの一価アニオンであって、好ましくはX-はアセテートイオン、塩素イオン、または硫酸水素塩イオン(CH3COO-、Cl-、またはHSO4-)であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
4は、HあるいはC1〜C4アルキルであり、または、R2、R3およびR4は窒素と一緒になってピペリジン環を形成し
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1である。
【0016】
グループ3の代替となり得る追加のモノマーの例としては:
CH2=CH−COOH
CH2=C(CH3)−COOH
CH2=CH−CO−N(CH3)−CH2−CH2−COOH、
CH2=CH−CO−(CH25−COOH、
CH2=CH−CO−NH−pC64−O−CH2−COOH、
CH2=CH−CO−NH−C(CH32−CH2−COOH、
CH2=CH−CO−O−(CH22−COOH、
CH2=CH−CO−NH−CH2−COOH、
CH2=CH−CO−NH−(CH25−COOH、
CH2=C(CH3)−CO−NH−(CH210−COOH、
CH2=C(CH-3)−CO−NH−CH2−COOH、
CH2=C(CH3)−CO−O−(CH22−COOH、
CH2=C(CH3)−mC64−CH(CH3)−COOH、および
CH2=CH−pC64−CH2−COOH
が挙げられる。
【0017】
式1のモノマーは、構造Aのコポリマー中のグループ1繰返し単位をもたらす。式2のモノマーは、以下に記載のステップである塩化または酸化の後に構造Aのコポリマー中のグループ2繰返し単位をもたらす。式3のモノマーは、構造Aのコポリマー中のグループ3繰返し単位をもたらす。
【0018】
構造A中のRfは、2〜8個の炭素原子を主に含有するパーフルオロアルキル基であることが好ましい。より具体的には、式1中のRfは、4〜約6個の炭素原子の直鎖パーフルオロアルキル基である。式1のモノマーの好ましい一実施形態は、式:
F(CF2CF2m24OC(O)−C(R)=CH2
を有するパーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレートであり、式中、
mは、2〜約10またはこれらの混合であり、および好ましくは、主に2または3またはこれらの混合であり、ならびに、RはHまたはメチルである。
【0019】
部分Qにおいて、(Cn2n)基および(Cn2nO)基は直鎖または分岐であり、好ましくは直鎖である。R1について、C1〜C20アルキルは直鎖または分岐である。
【0020】
好ましくは、式2のモノマーはジエチルアミノエチルおよび/またはジメチルアミノエチルメタクリレートであり、および式3のモノマーは(メタ)アクリル酸またはアクリル酸である。
【0021】
式1のモノマー(グループ1のモノマー)の割合は、コポリマーの総重量と比して少なくとも60%の量である。約72重量%〜約82重量%で存在することが好ましい。式2のモノマー(グループ2のモノマーの前駆体)は、コポリマーの約10重量%〜約25重量%で存在する。約15重量%〜約19重量%で存在することが好ましい。式3のモノマー(グループ3のモノマー)は、コポリマーの約1重量%〜約15重量%で存在する。約2.5重量%〜約9重量%で存在することが好ましい。式1のモノマー、式2のモノマー、および式3のモノマーの合計は足して100%になる。最終的なコポリマーにおいて、モノマー重量の和は、コポリマー重量の100%になる。
【0022】
本発明の方法において用いられる上述のコポリマーは、分散体の形態であることが好ましい。典型的には、水性分散体として利用される。
【0023】
一実施形態においては、共重合の後、コポリマーは、任意により部分的にまたは完全に塩化または四級化されて、構造Aのコポリマーが提供される。塩化は、共重合された式2のモノマーを、式2Aの構造の共重合された基に転換するための酸を用いて、水性系中に達成される。
【0024】
【化2】

【0025】
式2A
【0026】
塩化ステップの後、ジエチルアミノエチルアクリレートおよび/またはジメチルアミノエチルメタクリレートは約0%〜約100%塩化または四級化されている。塩化または四級化の程度は約50%〜100%であることが好ましい。次いで、コポリマー中の遊離アミン基を、酢酸などの塩化剤と反応させることで、アミン部分の一部またはすべての対応するアセテートへの転換をもたらすことが可能である。塩化/四級化基は、アセテート、ハライド、サルフェートまたは他の公知の塩化/四級化基であることが可能である。コポリマー中のアミン基を塩化および四級化するための当業者に公知である従来の技術が本発明において利用される。
【0027】
他の実施形態においては、共重合の後、コポリマーは、任意により部分的にまたは完全に酸化されて、構造Aのコポリマーが提供される。アミン酸化は、例えば、共重合された式2のモノマーを式2Bの構造の共重合された基に転換するための過酸化水素を用いて、水性系中に達成される。
【0028】
【化3】

【0029】
式2B
【0030】
酸化ステップの後、ジエチルアミノエチルアクリレートおよび/またはジメチルアミノエチルメタクリレートは約0%〜約100%酸化されている。酸化の程度は約50%〜100%であることが好ましい。コポリマー中のアミン基を酸化するための当業者に公知である従来の技術が本発明において利用される。
【0031】
代替的に、コポリマーは、式2Aおよび式2Bの混合物を含有することが可能である。このような混合物が存在する場合には、塩化および酸化は、任意の順序でまたは同時に実施することが可能である。これらの反応を同時に実施することが好ましい。
【0032】
任意により、本発明の方法において用いられる構造Aの両性コポリマーは、さらに、グループ1、2および3からの総モノマーに基づいて、0〜約15重量%、好ましくは0〜約10重量%の、グリシジル(メタ)アクリレート、塩化ビニリデン、ビニルアセテート、アルキル(メタ)アクリレート、またはヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレートモノマーの1種または複数種を含有する。アルキル(メタ)アクリレートの一例はC16〜C18−アルキル(メタ)アクリレートであり;ヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレートの一例は、Polyscience(Niles,IL)から入手可能である7EO−(メタ)アクリレート[CH2CH(CH3)C(O)O(CH2CH2O)jH、ここで、jの平均値(7EOで示されている)は7である]である。コポリマーが食品梱包用途に用いられることとなる場合には、グリシジルメタクリレートなどの毒性のモノマーは利用されない。
【0033】
本発明は、a)式1、b)式2およびc)式3のモノマーの混合物から形成される両性フルオロケミカルコポリマーの調製のための改良された方法であって、
(a)式1は
f−Q−CO−CR=CH2 式1
であり、
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基あるいはこれらの混合物であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは、−(Cn2nx(Cn2nO)y−、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−、または−(Cn2nxCONR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、
各nは、独立して、1〜約6であり、xは0〜約4であり、pは1〜約20であり、およびyは0〜約4であるが、ただし、x+yは正の整数である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、
式中、
4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、および
qは1〜4であるが、
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1である)
ここで、向上は、前記混合物が約60℃〜約75℃の温度に達した後まで、混合物への式3の添加を遅延させることによるゲル形成の回避を含む方法をさらに含む。
【0034】
一定の重合の最中にはゲル形成を回避するために注意が必要となる。基材への効果的な適用のために、ゲル粒子を含まない分散体が必要である。ゲルは、例えば、Rf基が長い(8個以上の炭素原子を含有する1種あるいは複数種の同族体)場合に、またはより高濃度でイソプロピルアルコールを含有する重合溶媒混合物で形成され得る。このような場合においては、本発明の改良された重合方法が好ましく、ここで、ゲル形成は、窒素パージ反応塊が以下に定義される重合温度に達するまで、式3モノマーの添加を遅延させることにより回避される。本発明の改良された重合方法において、式3モノマーは、加熱された反応塊に不活性雰囲気を維持したまま注入される。任意の追加のモノマーは、最初から、または、式3のモノマーの添加が遅延された場合にはその注入の後に充填され得る。
【0035】
反応混合物は、周囲温度(約28℃)で攪拌され、窒素などの不活性ガスで約1時間パージされて空気が排除される。次いで、この反応塊は、約60℃〜約80℃で加熱される。この範囲を「重合温度」とする。好ましい重合温度は開始剤の反応性に関連している。好ましくは、重合温度は約62℃〜約80℃、より好ましくは約64℃〜約78℃、およびより好ましくは約66℃〜約72℃である。式3モノマーの添加が遅延される場合には、重合温度に達したら直ぐに、または、代替的には、反応混合物が約1〜約10時間の間重合温度とされた後に、反応混合物にいずれかの任意のモノマーと一緒に注入される。重合温度は、重合が完了するまで、典型的には約7〜約19時間維持される。ガスクロマトグラフィ(GC)分析を用いて反応がいつ完了するかが判定される。モノマーの総重量に基づいて、約0.6%未満、好ましくは約0.2%未満、およびより好ましくは約0.1%未満の、残存する総未反応モノマー含有量が所望される。式1のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートが、典型的には最も低反応性のモノマーである。これは、存在する最も高価なモノマーであると共に分散体からのストリップが最も困難であるために、このモノマーの未反応量を最低限とすることが好ましい。過度に短い重合時間は、過剰量の未反応モノマーをもたらす。過度に長い重合時間は、反応塊を過度に粘性とし、それ故、分散を困難とさせる。
【0036】
本発明の改良された重合方法においては、反応器には、式1および2のモノマー;アゾビスイソブチロニトリル(VAZO 64としてE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington DE)から入手可能である)などの触媒として好適なフリーラジカル源;ならびに、任意により、n−ドデシルメルカプタンなどの好適な連鎖停止剤が充填される。任意により、塩化ナトリウムなどの好適なアルカリ金属塩が添加される。重合溶剤または溶媒混合物が利用される。好適な溶剤は、130℃未満の沸点を有するアルコールおよびケトンである。イソプロパノールおよびメチルイソブチルケトンのブレンドが特に好ましく、これは、両方の溶剤が、100℃未満で沸騰して最終的な水性分散体からの除去が促進される共沸物を水と一緒に形成するためである。約20%〜約80%のメチルイソブチルケトンを含有するイソプロパノール/メチルイソブチルケトンブレンドが好ましく、約50%〜約70%のメチルイソブチルケトンを含有するイソプロパノール/メチルイソブチルケトンブレンドがより好ましい。
【0037】
(メタ)アクリレート構造をポリマー主鎖に導入する代替的な方法は、重合の最中に(メタ)アクリレートモノマーを添加しないか、または、(メタ)アクリレートモノマーの一部分のみを添加するが、ポリマーが酢酸水溶液中に分散した後に、ポリマーを60〜100℃、好ましくは85〜97℃の温度で加熱することである。熱処理の間、ポリマー主鎖上の式1、2、および/または他の任意のモノマーの一部は、エステル結合で加水分解されて(メタ)アクリル酸構造をポリマー主鎖上に形成することが可能である。この代替的な方法の欠点は、式2からのN,N−ジアルキルエチルアミノエタノールおよび式1からの2−パーフルオロアルキルエタノールなどの不純物が形成されることである。
【0038】
本発明は、特定の基Qを有する構造Aのコポリマーのサブセットであるコポリマー組成物をさらに含む。本発明のコポリマーは、以下の重量割合で共重合されるモノマーを含む。
(a)約60%〜約90%の式1Aの少なくとも1種のモノマー
f−Q−CO−CR=CH2 式1A
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、および
各nは、独立して、1〜約6であり、
pは1〜約20、およびyは0〜約4である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、式中、R4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、
qは1〜4であり、および
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたは
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1であるが、
ただし、式1が
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2
(式中、mは約1〜約10である)
である場合、式3は、最低でも約4重量%で存在する)。
【0039】
式1Aのモノマーの好ましい実施形態は
f−C24SO2N(R1)C24OC(O)CR=CH2
であり、式中
fは、C613、C49、またはこれらの混合物であり、ならびに
1は、HまたはCH3であり、ならびに
Rは、HまたはCH3である。
【0040】
式1Aの特定の好適なフッ素化アクリレートモノマーとしては以下が挙げられる:
1)構造CH2=CH−COO−C24−N(CH3)−SO2−C24−C613を有する2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート;
2)2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート;
3)2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレート;および
4)2−[[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルメタクリレート。
【0041】
これらのモノマーは、Linaらによって、米国特許第5,439,998号明細書において開示されているとおり調製される。
【0042】
モノマー式1および1A中に短鎖Rf基のみが存在する場合(8個以下の炭素原子)、ゲル形成は典型的には存在しない。また、イソプロピルアルコールを30重量%未満で含有するイソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトンの溶媒混合物ではゲル形成は典型的には生じない。ゲル形成が考慮されないこのような場合においては、ゲル形成無しで式3モノマーが式1および2のモノマーと同時に添加される、より従来の共重合方法が用いられ得る。
【0043】
Qが−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−である式1Aで記載されるフッ素化モノマーを含有するコポリマーの調製は、既述の方法または当業者に公知である他の方法を含むいずれかの好適な重合方法で実施されることが可能である。
【0044】
一例として、Qが−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−である式1Aで記載されるフッ素化モノマーを含有するコポリマーの調製は、攪拌手段および還流凝縮器を備える反応器において実施することが可能である。この反応器に、すべての必要とされるモノマー、有機溶剤またはこれらの混合物、および任意によりメルカプタンなどの連鎖移動剤が充填される。好適な有機溶剤の例としては、2−メチルプロパン−2−オール、イソプロパノール、2−メトキシプロパン−2−オールなどのアルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、およびメチルエチルケトンなどのケトン;ならびに、n−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドンまたはこれらの混合物が挙げられる。連鎖移動剤の例としては、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、ステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
【0045】
反応混合物は、周囲温度(約25℃)で攪拌され、窒素などの不活性ガスで約1時間パージされて空気が排除される。反応塊は、40℃〜100℃の範囲で加熱される。フリーラジカル源としての開始剤が、任意により溶剤と一緒に反応混合物に添加される。フリーラジカル開始剤の例としては:アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾ−2−シアノ吉草酸などのアゾ化合物;クメン、t−ブチルおよびt−アミルヒドロ過酸化物などのヒドロ過酸化物;ジ−t−ブチルおよびジクミルペルオキシドなどのジアルキル過酸化物;t−ブチルペル安息香酸エステルおよびジ−t−ブチルペルオキシフタレートなどのペルオキシ酸エステル;ならびに、過酸化ベンゾイルおよび過酸化ラウロイルなどのジアシルペルオキシドが挙げられる。
【0046】
この反応塊は、約40〜100℃、より好ましくは約55〜85℃に加熱されると共に維持され、ポリマーの少なくとも95パーセント収率が得られる時間の間、不活性条件下で反応させられる。ポリマー収率は、残存モノマー量をガスクロマトグラフィで計測することにより判定される。重合温度は、重合が完了するまで、典型的には、約6〜約20時間維持される。残存モノマーのレベルを低減させるために、追加的な開始剤をこの時間の間に添加することが任意により可能である。
【0047】
この反応塊は最低で約45℃まで冷却され、酢酸および水の混合物が攪拌下に滴下される。過度に冷却されると、粘度が高くなって分散が困難となる。酢酸溶液は反応器に添加されるか、または、反応器の内容物が酢酸溶液中に注ぎ入れられる。コポリマー中のすべてのアミン基をプロトン化するために必要な化学量論量より25%〜100%過剰量の酢酸が用いられる。より多量の過剰量の酢酸は臭気を最小限にするために避けられる。任意により、溶剤が蒸留または減圧蒸留により除去される。分散体の固形分割合は、使用に先立つ水での希釈により、または過剰な水の蒸留により、約18%〜約32%固形分に調整(標準化)される。
【0048】
共重合が完了したら、コポリマーの分散体、または塩化、四級化、あるいはアミンオキシド形態の分散体の調製のためのその後のステップは、どの重合方法が利用されるかに関わらず同一である。
【0049】
重合に続いて、この反応塊は最低で約45℃に冷却され、酢酸および水の混合物中に攪拌しながら浸漬される。過度に冷却されると、粘度が高くなって分散が困難となる。好ましくは、反応塊は、重合温度で浸漬されるか、または、浸漬前には約60℃までしか冷却されない。酢酸溶液は反応器に添加されるか、または、反応器の内容物が酢酸溶液中に注ぎ入れられる。コポリマー中のすべてのアミン基をプロトン化するために必要な化学量論量より25%〜100%過剰量の酢酸が用いられる。より多量の過剰量の酢酸は臭気を最小限にするために避けられるべきである。
【0050】
酢酸溶液中への攪拌を伴う浸漬は、両性(メタ)アクリレートコポリマーの均質な分散体をもたらす。不水溶性溶剤が存在する場合は溶剤の除去が必要であるが、水溶性溶剤については任意である。それ故、任意により、蒸留または減圧蒸留(好ましいイソプロパノール/メチルイソブチルケトン混合物については約80℃〜約100℃で)により重合溶剤が除去されて、約18%〜約30%固形分を含有する両性(メタ)アクリレートコポリマーの水性分散体が得られる。分散体の固形分割合は、使用に先立つ水での希釈により、または過剰な水の蒸留により、約18%〜約30%固形分に調整(標準化)される。
【0051】
基材への効果的な適用のために、ゲル粒子を含まず、流動性で、安定で、かつ、溶剤を容易に除去可能である分散体が必要である。ゲル粒子は視覚的に認められる。水性分散体の粘度は、典型的には、25℃で約1000cp(1.0Pa.s)未満である。より高い粘度は溶剤の除去および分散をより困難とする。安定性要件は、45℃での3週間にわたる保管で、相分離を生じないことが好ましい。わずかな分離であれば攪拌により直すことが可能であるが、好ましくはない。
【0052】
上述のコポリマー分散体が、撥油性をもたらすために基材の表面と接触させられる。好適な基材は可撓性、線維性、不織基材を含む。このような基材の例としては、セルロース系紙および紙製品、ならびに、ポリマー繊維およびコポリマー繊維、線維形態のガラスなどの無機材料および天然線維性材料製の可撓性紙様不織製品が挙げられる。
【0053】
上述のコポリマーの希釈された分散体が、いずれかの好適な方法により基材面と接触させられる。このような適用技術は、当業者に周知であり、これらに限定されないが、ブラシ、ローラ、噴霧、浸漬、液浸等による適用が挙げられる。コポリマー分散体についての施用量は、基材の多孔性に応じて約10〜約200g/m2の範囲である。
【0054】
本発明において用いられる分散体は、準備された基材の片面または好ましくは両面で、基材に外側から適用される。紙については、紙の重量に基づいて0.05〜0.28%フッ素の量が適用されることが好ましい。あるいは、本発明において用いられる分散体は、基材の本体に内部的に、すなわち、紙パルプに、乾燥パルプの重量に基づいて0.15〜0.4%フッ素の量で適用されることが好ましい。外部的な適用が好ましく、および、基材の両面への適用が、片面適用に対して好ましい。ニップロールが紙基材へのエマルジョンの2面浸透を確実とする紙サイズプレスまたはパディングプロセスの使用が特に好ましい。好適な紙はいずれの重量であることも可能であるが、ワックスで処理されていないか、または、本発明において用いられるコポリマーの水性分散体により紙の湿潤化を妨害する可能性がある他の表面処理が施されていないことが好ましい。紙は、未漂白であるか、または漂白されている。例えば、SAPPI Fine Paper North America(Westbrook ME)から入手可能であるクラフト紙といった、多くの市販されている紙が本明細書において好適である。
【0055】
基材面は、室温〜約150℃、好ましくは約80℃で乾燥される。これに続いて、任意により、熱処理を行うことが可能であり、これは、基材の性質に応じて、200℃以下の範囲であることが可能である。このように処理された基材は、良好な疎油特性を示す。
【0056】
分散体は、周囲温度で、水(約98%)中の約2%のコポリマー分散体(約18%〜約30%固形分を有する)の混合物の形態(すべての割合は重量基準で)で、基材に適用される。
【0057】
本発明において用いられるコポリマーの適用された基材への良好な付着を達成するために、コポリマーを、基材との架橋を促進することができる一定の添加剤、ポリマー、熱縮合性製品および触媒と組み合わせることが時々有利である。このような添加剤の例としては、尿素−ホルムアルデヒドまたはメラミン−ホルムアルデヒド縮合物または初期縮合物;ジグリシジルグリセロール、ポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂、グリオキサールおよびその誘導体、ポリビニルアルコールおよびカチオンなどのエポキシ誘導体;ならびに、デンプンが挙げられる。デンプンおよびポリ(ビニルアルコール)が好ましい。好適なデンプンは、Penford Products Co.(Cedar Rapids IA)から入手可能なPENFORD GUM 280などのコーンスターチである。好適なポリ(ビニルアルコール)は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能である。このような添加剤は、粘着促進剤として本明細書において記載されている。
【0058】
デンプンまたはポリ(ビニルアルコール)が用いられる場合、約4重量部のポリ(ビニルアルコール)またはデンプンおよび約94重量部の水を含有する浴または希釈分散体が調製される。この混合物は約90〜100℃に約45分間加熱されて、ポリ(ビニルアルコール)またはデンプンが溶解され、約70℃に冷却され、および2重量部のコポリマー分散体(18〜20%固形分を有する)が添加される。次いで、基材への適用が、ポリ(ビニルアルコール)またはデンプンのゲル化を完全に防止するために約70℃に維持されたこの分散体で実施される。
【0059】
本発明の方法において用いられるコポリマーを、基材の湿潤化を向上させるために1種または複数種のノニオン性および/またはカチオン性界面活性剤と組み合わせることもまた有利である可能性がある。コポリマーの総重量に対するこのような界面活性剤の重量は、0〜約10%で変化する。界面活性剤は、共重合反応の最中、希釈の最中に有機溶液に添加すること、溶剤を留去した後に得られる水性組成物に添加すること、またはコポリマーを基材に適用するときに添加することが可能である。
【0060】
本発明は、撥油性をもたらすために処理された基材をさらに含む。これらの基材は、可撓性線維性不織基材である。好適な可撓性、線維性、不織基材としては、セルロース系紙および紙製品、ならびに、ポリマー繊維およびコポリマー繊維、線維形態のガラスなどの無機材料、および天然線維性材料製の可撓性紙様不織製品が挙げられる。好ましい基材は紙および紙パルプである。
【0061】
本発明の方法を用いて処理した基材は、優れた疎油特性を示す。本発明の方法および基材は、撥油性が所望される用途に有用である。特に、これらの基材は、食品のための梱包において有用である。本発明の処理された基材は、曲げられるかまたは折られたときでも、コポリマーと基材との間の優れた結合および架橋により、乾燥されたコポリマーは裂けるまたは割れることがないために、梱包材として特に有用である。これは、コポリマーの食品への如何なる混入も回避されると共に、油またはグリースの梱包材を通した如何なる漏れも防止されるために、食品梱包材について有利である。油っぽいペットフードなどの油っぽい食物の梱包に用いられる紙への適用が特に注目されている。
【0062】
フッ素を従来技術の対応するコポリマーより低いモル比で含有するコポリマーである構造Aの両性(メタ)アクリレートコポリマーのさらなる利点は、これにより、基材に適用される保護コーティングのフッ素効率が向上することである。「フッ素効率」とは、基材に適用されたときにリペレンシー特性または防汚性などの所望の表面効果を得るために最低量のフルオロケミカルが用いられる能力、または、同一レベルのフッ素を用いてより良好な性能を得るための能力を意味する。高フッ素効率を有するポリマーは、比較されるポリマーより低量のフッ素を用いて同一またはより高いレベルの表面効果を生成する。
【0063】
材料および試験法
以下の材料および試験法を、本明細書における実施例において用いた。
【0064】
1)フリーラジカル源、アゾビスイソブチロニトリル、および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル、および4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.(Wilmington DE)から、それぞれ、VAZO 64、VAZO 67およびVAZO 68として入手可能である。
【0065】
2)ジメチルアミノエチルメタクリレートは、Arkema(Pierre−Benite,France)から入手可能である。
【0066】
3)2−[メチル[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)スルホニル]アミノ]エチルアクリレート(76重量%)は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.(Wilmington DE)から入手可能である(本明細書においてはモノマーXとして記載されている)。
【0067】
4)ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよび1−メトキシ−2−プロパノールは、それぞれ、DOWANOL DPMおよびDOWANOL PMとしてDow Chemical Company(Midland MI)から入手可能である。
【0068】
5)混合パーフルオロアルキルエチルアクリレートは、以下の表1に示されているとおり、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington DE)から入手可能である。
【0069】
6)特定のパーフルオロアルキルエチルアクリレートは、Oakwood Products Inc.(West Columbia,SC)から、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(式1Aにおいてmは3である)および2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(式1Aにおいてmは4である)として入手可能である。
【0070】
7)特定のパーフルオロアルキルエチルメタクリレートは、Sigma−Aldrich Co.(Milwaukee WI)から、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレートとして入手可能である。
【0071】
【表1】

【0072】
試験法1−油浸透性(撥油性)
この試験は、Kantamneniにより米国特許第6,566,470号明細書中に記載されている「Felix」試験と同様である。これは、乾燥または湿り比熱条件下で実施される厳密な試験である。約8×11インチ(20.3×27.9cm)の頑丈な金属ベースが、10×10グリッドで、0.4インチ(1.02cm)辺の100個の正方形が印刷されている4×4インチ(10.2×10.2cm)の紙を支持するために用いられる。1つの4×4インチ(10.2×10.2cm)に切った正方形の処理済の漂白クラフト紙(条件Aについては62g/m2、および条件Bについては81g/m2)がグリッド上に置かれる。条件Aについては高さが約1インチ(2.5cm)および条件Bについては約3インチ(7.6cm)であり、各々の直径が3.5インチ(8.9cm)である金属製の円柱状の開放リングが試験紙上に置かれ、および条件Aについては40g(条件Bについては125g)の油っぽい食品が、リング中に均一にパックされる。利用した油っぽい食品は、Bd.du Jubile 71−Bte4−1080(Brussells,Belgium)から入手したRoyal Canin Juniorドッグフードであった。リング内に嵌る短い円柱の形状の、条件Aについては1kgの錘(条件Bについては3Kgの錘)が、パックされた食品の表面上に置かれる。次いで、このアセンブリは、選択された温度および湿度で72時間オーブン中で保管される。用いた条件は、60℃および0%相対湿度(条件A)、ならびに、70℃および65%相対湿度(条件B)であった。試験アセンブリをオーブンから取り出し、冷却させ、および分解してグリッド紙シートが回収される。試験結果は、目視検査によって、試験紙を通って滲出した油または脂肪の徴候を示す正方形のグリッド数を数えることにより定量化される。結果は、正方形のグリッドの総数(100個)の割合として表記される。完全な撥油性は0%のスコアにより示され、値が高くなるにつれて撥油性が低くなることを示す。
【0073】
試験法2−吸水性または「Cobb試験」
International Organization For Standardization、1ch.de la Voie−Creuse(Case postale 56,CH−1211 Geneva 20,Switzerland))から利用可能な「Cobb試験」(ISO535(1991年)を利用して、紙および厚紙の吸水性を判定した。100cm2の紙の水への15秒間および60秒間の露出、続く吸い取りの直前および直後に紙を計量した。質量増加の結果をグラム/平方メートル(g/m2)で表した。より低い値がより低い吸収性を示していた。
【0074】
試験法3−グリース移行または「ペットフード試験」
20%脂肪含有量を有するペットフード(約200g、Bd. Du Jubili、71−Bte−4−1080(Brussels,Belgium)製のRoyal Canin AM32ペットフード)を紙(100cm2)上のフレームに適用した。次いで、フレーム内に嵌る3.5kgの錘を適用した。サンプルを気候オーブン(climatic oven)に移し、その中で、70℃および65%相対湿度で3日間保管した。汚染および「隠ぺい力損失(opacity loss)」を、それぞれ、0〜5のスコアで汚染された表面の割合(低い割合が低いグリース移行を示した)で計測し、ここで、5は隠ぺい力損失がない(すなわち、紙へのグリース移行はない)ことを示していた。
【0075】
試験法4−耐グリース性または「オレイン酸試験」
紙および厚紙の耐グリース性をオレイン酸(脂肪酸)を用いて計測した。オレイン酸を異なる濃度でピーナッツ油(arachide oil)と混合した組み合わせを紙に適用し、これを70℃で30分保管した。30分後、試験したサンプルの下面を観察して、オレイン酸の紙を通した移行、従って、いずれかの視認可能な汚染を評価した。試験は、増加する浸透能を評価した。種々の溶液を0〜5で採点し、5は浸透のない最も耐脂肪性表面を示していた。
【0076】
【表2】

【0077】
[実施例]
実施例1
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(54g)、メチルイソブチルケトン(78g)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.84g)、R=Hおよびm=2〜10の式1Aに対応する4〜約20個の炭素をパーフルオロアルキル基中に含有する混合パーフルオロアルキルエチルアクリレート(表1に記載されている)(115.2g)、n−ドデシルメルカプタン(0.24g)、メタクリル酸(3g)、ならびに、アクリル酸(3g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコに充填した。VAZO 64(1.16g)のメチルイソブチルケトン(14g)中の溶液をフラスコに添加した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を65℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0078】
16時間の反応時間の後、反応塊を63℃に冷却した。酢酸(14.4g)と水(600g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約55℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコールおよびメチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、18.95%固形分を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。
【0079】
実施例2
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(54g)、メチルイソブチルケトン(78g)ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.84g)、混合パーフルオロアルキルエチルアクリレート(表1に記載されている)(115.2g、実施例1において用いたとおり)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.24g)、メタクリル酸(3g)、アクリル酸(3g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 64(1.16g)のメチルイソブチルケトン(14g)中の溶液をこのフラスコに添加した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を73℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0080】
16時間の反応時間の後、反応塊を63℃に冷却した。酢酸(14.4g)と水(600g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約55℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、18.51%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。この実施例は、良好な撥油性を得るためにより高い重合温度が好適であったことを示した。
【0081】
実施例3
塩化ナトリウム(0.15g)、イソプロピルアルコール(124g)、メチルイソブチルケトン(41g)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(27g)、グリシジルメタクリレート(2.16g)、混合パーフルオロアルキルエチルアクリレート(表1に記載されている)(144g、実施例1において用いたとおり)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.3g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 64(1.32g)のイソプロピルアルコール(17.5g)中の溶液をフラスコに滴下した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を68℃にその後16時間昇温させた。グリシジルメタクリレート(2.16g)、メタクリル酸(3.13g)、アクリル酸(2.4g)およびイソプロピルアルコール(33.6mL)を、一旦反応塊が68℃に達したらフラスコに注入し、次いで、その温度で4時間維持した。フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0082】
16時間の反応時間の後、反応塊を65℃に冷却し、次いで、酢酸(14.4g)と水(750g)との混合物中に分散させた。フラスコは攪拌機を備えており、約150rpmで分散プロセス中攪拌を維持した。次いで、イソプロピルアルコールを蒸留により除去した。最終分散体は、17.95%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。この実施例は、イソプロピルアルコールおよびメチルイソブチルケトン混合溶剤を用い、重合ステップの最中のいくつかのモノマーの遅い注入で良好な撥油性を備えた生成物が形成されたことを示した。また、重合の最中にゲル形成は回避されていた。
【0083】
実施例4
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(54g)、メチルイソブチルケトン(78g)ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.84g)、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(上記式1Aにおいて、R=Hおよび主にm=3を有する、115.2g)、n−ドデシルメルカプタン(0.24g)、メタクリル酸(4.8g)、およびアクリル酸(4.8g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコに充填した。VAZO 64(1.16g)のメチルイソブチルケトン(14g)中の溶液をこのフラスコに添加した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を65℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0084】
16時間の反応時間の後、反応塊を63℃に冷却した。酢酸(14.4g)と水(600g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約55℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、20.39%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。
【0085】
実施例5
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(52.33g)、メチルイソブチルケトン(75.58g)ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.07g)、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(上記式1Aにおいて、R=Hおよび主にm=4を有する、111.60g)、n−ドデシルメルカプタン(0.23g)、メタクリル酸(4.65g)、およびアクリル酸(4.65g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコに充填した。VAZO 64(1.12g)のメチルイソブチルケトン(13.5g)中の溶液をフラスコに添加した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を65℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0086】
16時間の反応時間の後、反応塊を63℃に冷却した。酢酸(13.95g)と水(581.4g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約55℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、18.43%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。
【0087】
実施例6
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(54g)、メチルイソブチルケトン(78g)ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.84g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート(上記式1Aにおいて、R=メチルおよび主にm=3を有する、103.7g)、n−ドデシルメルカプタン(0.24g)、メタクリル酸(3.1g)、およびアクリル酸(3.1g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 64(1.16g)のメチルイソブチルケトン(14g)中の溶液をこのフラスコに添加した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を65℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0088】
16時間の反応時間の後、反応塊を63℃に冷却した。酢酸(14.4g)と水(600g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約55℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、20.86%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。
【0089】
実施例7
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(54g)、メチルイソブチルケトン(78g)ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.84g)、パーフルオロアルキル基中に主に6個の炭素を含有する、実施例6に記載のとおり調製した3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート(実施例6において用いたとおり、115.2g)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.24g)、メタクリル酸(3.1g)、アクリル酸(3.1g)およびグリシジルメタクリレート(2g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 67(1.16g)のメチルイソブチルケトン(14g)中の溶液をフラスコ中に添加した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を68℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0090】
16時間の反応時間の後、反応塊を63℃に冷却した。酢酸(14.4g)と水(600g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約55℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、20.91%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。
【0091】
比較例A
メチルイソブチルケトン(109.1g)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(24.95g)、4〜約18個の炭素をパーフルオロアルキル基中に含有する混合パーフルオロアルキルエチルアクリレート(表1に記載されている)(133g、実施例1において用いたとおり)、およびグリシジルメタクリレート(4g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 67(1.25g)のメチルイソブチルケトン(14g)中の溶液をフラスコ中に滴下した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を68℃にその後16時間昇温させた。反応の終了に向けて、フラスコ中にゲル材料は観察されなかった。
【0092】
16時間の反応時間の後、反応塊を65℃に冷却した。酢酸(13.8g)と水(310g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約65℃に維持した。次いで、メチルイソブチルケトンを蒸留により除去した。最終分散体は、25%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件A下での食品試験については70%および条件B下での食品試験については40%であった。この実施例は、構成成分(c)のメタクリル酸および/またはアクリル酸なしで形成した生成物は、メタクリル酸および/またはアクリル酸を伴って形成した生成物より劣っていたことを示した。
【0093】
比較例B
塩化ナトリウム(0.12g)、イソプロピルアルコール(132g)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(21.6g)、混合パーフルオロアルキルエチルアクリレート(表1に記載されている)(115.2g、実施例1において用いたとおり)およびn−ドデシルメルカプタン(0.24g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 64(1.06g)のイソプロピルアルコール(14g)中の溶液をフラスコに滴下した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を68℃にその後16時間昇温させた。メタクリル酸(2.75g)とアクリル酸(2.75g)とのイソプロピルアルコール(81mL)中の混合物を、一旦反応塊が68℃に達したらフラスコに注入し、次いで、68℃で9時間維持した。いくらかのゲル材料が、反応の終了に向けてフラスコ中に観察された。
【0094】
16時間の反応時間の後、反応塊を65℃に冷却した。酢酸(7.2g)と水(600g)との混合物をフラスコ中に注ぎ入れ、ポリマーを均質な分散体に転換した。分散段階中は、酢酸/水混合物は攪拌しながら約65℃に維持した。次いで、イソプロピルアルコールを蒸留により除去した。最終分散体は、19.81%の固体を含有していた。この分散体を未漂白のクラフト紙に試験法1に列挙した量で適用し、この紙を撥油性について試験した。表2に示される試験法1による試験結果は、条件AおよびB下で両方の食品試験について0%であった。この実施例は、良好な撥油性を備える生成物を唯一の溶剤としてイソプロピルアルコールを用いると共にグリシジルメタクリレートを用いずに形成することが可能であったが、重合の最中にいくらかのゲル形成が生じたことを示した。
【0095】
比較例C
塩化ナトリウム(0.12g)、メチルイソブチルケトン(132g)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(21.6g)、グリシジルメタクリレート(1.73g)、4〜約18個の炭素をパーフルオロアルキル基中に含有する混合パーフルオロアルキルエチルアクリレート(表1に記載されている)(115.2g、実施例1において用いたとおり)、およびn−ドデシルメルカプタン(0.24g)を、コンデンサおよび攪拌機を備える1Lフラスコ中に充填した。VAZO 64(1.06g)のメチルイソブチルケトン(14ml)中の溶液をフラスコに滴下した。この反応塊を攪拌すると共に窒素で1時間28℃でパージした。次いで、温度を68℃にその後16時間昇温させた。グリシジルメタクリレート(1.73g)、メタクリル酸(2.0g)、アクリル酸(1.0g)およびメチルイソブチルケトン(45ml)を、一旦反応塊が68℃に達したらフラスコに注入し、次いで、その温度で5時間維持した。きわめて濃厚な材料がフラスコ中に得られた。
【0096】
16時間の反応時間の後、反応塊を65℃に冷却し、次いで、酢酸(7.2g)と水(600g)との混合物中に分散させた。フラスコは攪拌機を備えており、約150rpmで分散プロセス中攪拌を維持した。材料は、適切な分散体をもたらすには過度に濃厚であった。
【0097】
【表3】

【0098】
表2中のデータは、本発明の方法の使用が優れた撥油性をもたらしたことを示す。実施例4、5、6および7において、式1のモノマーのRf部分は主に6〜8個の炭素原子を含有していた;それ故、少ないフッ素の使用で良好な撥油性の達成が見られ、より優れたフッ素効率がもたらされた。
【0099】
表2中のデータはまた、式3のモノマー、メタクリル酸および/またはアクリル酸なしで形成された生成物(比較例A)は、メタクリル酸および/またはアクリル酸と一緒に形成された生成物より低い撥油性をもたらすことを示した。比較例Bは、唯一の溶剤としてイソプロピルアルコールを用いても良好な撥油性を備える生成物を形成することが可能であったが、一方で、重合の最中にゲル形成が生じたことを示した。比較例Cは、メタクリル酸および/またはアクリル酸モノマーを利用した場合には、良好な分散生成物を生成するためには、混合イソプロピルアルコール/メチルイソブチルケトン溶剤系に対してメチルイソブチルケトン溶剤単独では劣っていたことを示した。
【0100】
実施例8〜10
温度計、コンデンサ、ならびに、サンプリングおよび窒素通気のための投入を許容するキャップを備える750mL反応器フラスコ中に合成を実施した。コンデンサは、クライトスタットで5℃に冷却した。モノマーX(上記材料を参照のこと)、DOWANOL PMおよびDPM、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ならびに、表3中に示される量のメタクリル酸を反応器に追加した。機械的攪拌機を用いて反応塊を均質化した。窒素を媒体中に30分間通気させることにより媒体を脱気した。反応器を、窒素流下に機械的に攪拌しながら77℃に加熱した。VAZO 68を添加して反応を開始した。4時間後、追加のVAZO 68を添加して重合を完了した。反応の終了に向けてフラスコ中にゲル材料は観察されなかった。7時間後に、GCにより(残存モノマー)および固体含有量測定により転換を判定した。次いで、温度を70℃に下げると共に窒素流を停止した。酢酸の水溶液を1.5時間かけて滴下した。温度は、1時間の間70℃に維持した。アセトン溶剤(モノマーX由来)を除去し、および残存ビニルアセテートを、蒸留により、温度を97℃まで段階的に昇温させながら、約3〜4時間かけて大気圧で除去した。生成物を26%固形分で水で標準化した。最終生成物を、100マイクロメートルナイロン織物を通してろ過した。実施例8および9を試験法3および4に基づいて試験し、結果をそれぞれ表4および5に示した。実施例8および10を試験法3および4に基づいて試験し、結果はそれぞれ表6および7中にある。実施例8を試験法3に基づいて試験し、結果は表7中にある。
【0101】
実施例11
実施例11は、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートをモノマーXの代わりに用いた以外は実施例8〜10の手法を用いて調製した。
【0102】
実施例11を試験法3および4に基づいて試験し、結果は表6および7中にある。
【0103】
比較例D、EおよびF
比較例D、EおよびFは、表3に列挙した反応体の量で、実施例8〜10の手法を用いて調製した。比較例D、EおよびFは、各々、試験法3および4に基づいて試験し、結果は、それぞれ、表4および5中に列挙されている。
【0104】
実施例および比較例の試験
実施例8〜10および比較例D〜Fの試験において、以下のとおりベースの紙として2種の基材紙を用いた:
1)紙Aは、食品包装およびペットフードバッグ外側層用の70g/m2紙であった。この紙は、15秒:80g/m2のCobb試験結果および14秒のGurley多孔性を有していた。Cobb試験および秒で計測されるGurley多孔性試験結果は、油状のまたは濡れた内容物を含む目的の紙について紙製造業者によって実施される標準的な産業規格である。
【0105】
2)紙Gは、ファーストフード(「チップス」または「フレンチフライ」などのジャガイモのフライ)、食品包装およびペットフードバッグに用いられる、72g/m2紙であった。この紙は、15秒:70g/m2のCobb試験結果および24秒のGurley多孔性試験結果を有していた。
【0106】
試験実施例を紙に適用するために、以下のとおりサイズプレスおよびウェットエンド処理の2種の適用方法を用いた:
1)サイズプレス:
Werner Mathis(Concord,NC)製のサイズプレスを利用した。60℃のサイズプレス浴を用いてコポリマーが紙上に蒸着され、含浸量計測を通して制御した。乾燥条件は、Lorentzen Wettre急速乾燥機(Lorentzen Wettre(Kista,Sweden))で、125℃で75秒であった。
【0107】
2)ウェットエンド処理:
本発明のコポリマーをパルプの懸濁液に添加し、次いで、これをシートフォーマーに注ぎ入れると共に乾燥させた。Tembecパルプ(長繊維と短繊維との:50%/50%混合物)は、Tembec Company(Montreal,Canada)により供給された(短繊維はSaint−Gaudens(France)の施設から、および、長繊維は、Tarascon(France)の施設から)。360gの乾燥パルプを25°SRに精製した。パルプのpHは硫酸で6.5に調整した。10g/Lの濃度を有する繊維懸濁液を利用した。本発明のコポリマーのサンプル(20g/L溶液)をパルプ懸濁液に添加した。これを開始時間とみなした。15秒後、シートフォーマー機を始動させた。Rapid−Koethenシート形成機(Thwing Albert Instrument Company(West Berlin,NJ))を65g/m2で利用した。必要に応じて、歩留向上剤は、POLYMIN SK(BASF(Charlotte,NC)製のポリアミド−ポリエチレンイミン)であった。30秒後、溶液をシートフォーマー機に注ぎ入れた。シートを90℃で6分間乾燥させた。
【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
表4中のデータは、紙Gに対するサイズプレス適用を用いて生成された。表4は、実施例8および9が、食品から紙面上へのグリースの移行の防止に際して、比較例D、EおよびFに対して優れていることを示す。
【0111】
【表6】

【0112】
表5中のデータは、紙Aへのサイズプレス適用を用いて生成された。表5は、各々、5重量%メタクリル酸(式3のモノマー)を含有するF(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2の実施例である実施例8、9および10が、0または2重量%メタクリル酸を含有する比較例D、EおよびFより良好であったことを示す。実施例11は、この試験実施における比較例D、EおよびFの性能に匹敵していた。
【0113】
【表7】

【0114】
表6中のデータは、紙Gへの実施例のサイズプレス適用を用いて生成された。表6は、実施例8、10および11がグリース移行に対して耐性を示したことを示す。
【0115】
【表8】

【0116】
表7中のデータは、実施例のウェットエンド処理適用を用いて生成された。このデータは、本発明のコポリマーのウェットエンド処理適用はグリース移行をもたらすために有効であることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を、以下の重量割合で共重合されたモノマーから調製されるコポリマーと接触させる工程を含む、可撓性、線維性、不織基材または硬質表面基材に表面効果を付与する方法:
(a)約60%〜約90%の式1のモノマーまたはこれらの混合物
f−Q−CO−CR=CH2 式1
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基あるいはこれらの混合物であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは、−(Cn2nx(Cn2nO)y−、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−、または−(Cn2nxCONR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、
各nは、独立して、1〜約6であり、xは0〜約4であり、pは1〜約20であり、およびyは0〜約4であるが、ただし、x+yは正の整数である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、
式中、
4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、および
qは1〜4であるが、
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1であるが、
ただし、式1が
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2
(式中、mは約1〜約10である)
である場合、式3は、最低でも約4重量%で存在する)。
【請求項2】
式1が
F(CF2CF2m24OC(O)C(R)=CH2または
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2
(式中
mは2〜約3であるか、またはこれらの混合であり、および
Rは、HまたはCH3である)
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式2がジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはジメチルアミノエチル(メタクリレート)であり、および、式3がアクリル酸またはメタクリル酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コポリマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、塩化ビニリデン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレートまたはビニルアセテートモノマーの少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コポリマーが
A)基材の重量パーセント基準で約0.05%〜約0.35%のフッ素の量で基材面と接触されるか、または
B)基材の重量基準で約0.2%〜約0.45%のフッ素の量で基材の内部に添加されることにより接触される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
セルロース系紙、紙製品、可撓性不織布、線維性形態の無機材料、または天然線維性材料である、請求項1に記載の方法により処理された基材。
【請求項7】
a)式1、b)式2およびc)式3のモノマーの混合物から形成される両性フルオロケミカルコポリマーの改良された調製方法であって、
(a)式1が
f−Q−CO−CR=CH2 式1
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは、−(Cn2nx(Cn2nO)y−、−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−、または−(Cn2nxCONR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、
各nは、独立して、1〜約6であり、xは0〜約4であり、pは1〜約20であり、yは0〜約4であるが、ただし、x+yは正の整数である)
であり、
(b)式2が
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、
式中、
4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、および
qは1〜4であり、
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)
であり、ならびに
(c)式3が
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1である)
であり、
前記混合物が約60℃〜約75℃の温度に到達する後まで、式3の混合物への添加を遅らせることによりゲル形成を回避する工程を含む方法。
【請求項8】
式3が任意のモノマーと一緒に添加され、任意のモノマーが、グリシジル(メタ)アクリレート、塩化ビニリデン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレート、またはビニルアセテートモノマーの少なくとも1種である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
以下の重量割合で共重合されたモノマーを含むコポリマー:
(a)約60%〜約90%の式1Aのモノマーまたはこれらの混合物
f−Q−CO−CR=CH2 式1A
(式中:
fは、2〜約20個の炭素原子の直鎖または分岐鎖パーフルオロアルキル基であり、
Rは、HまたはCH3であり、
Qは−(Cn2npSO2NR1(Cn2nO)y−であり、式中、−(Cn2n)はRfに結合しており、
1は、HまたはC1〜C20アルキルであり、および
各nは、独立して、1〜約6であり、
pは1〜約20、およびyは0〜約4である)
(b)約10%〜約25%の式2のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=C(R)COZ(CH2q(CHR)rNR23 式2
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
2およびR3は、各々独立して、C1〜C4アルキル、ヒドロキシエチル、またはベンジルであるか、あるいは、R2およびR3は、窒素原子と一緒になってモルホリン、ピロリジン、またはピペリジン環を形成し、
Zは、−O−または−NR4−であり、式中、R4は、HまたはC1〜C4アルキルであり、
rは0〜4であり、
qは1〜4であり、および
ただし、R2およびR3に結合している窒素は、約0%〜100%が塩化されているか、四級化されているか、またはアミンオキシドとして存在している)ならびに
(c)約1%〜約15%の式3のモノマーまたはこれらの混合物
CH2=CR(R5e−COOH 式3
(式中
Rは、HまたはCH3であり、
5は、CO(CH25、CO−O−(CH22、C64CHR、またはCONRR6であり、
6は、C64OCH2、(CH2d、またはC(CH32CH2であり、
dは1〜約10であり、および
eは0または1であるが、
ただし、式1が
F(CF2CF2m24SO2N(CH3)C24OC(O)C(R)=CH2
(式中、mは約1〜約10である)
である場合、式3は、最低でも約4重量%で存在する)。
【請求項10】
組成物が、グリシジル(メタ)アクリレート、塩化ビニリデン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレート、またはビニルアセテートモノマーの少なくとも1種をさらに含む、請求項9に記載のコポリマー。

【公表番号】特表2010−533230(P2010−533230A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516119(P2010−516119)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/067828
【国際公開番号】WO2009/009280
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】