説明

紙箱

【課題】破断予定線により箱本体と開口予定部とに区画され、破断予定線を破断して開口予定部を箱本体から切り離すことで開口を形成可能な紙箱について、開口予定部をスムーズに切り離し可能とし、開口縁の美観を改善する。
【解決手段】紙箱10の破断予定線13を、ミシン目14と、ミシン目14より外側の外ハーフカット線15と、ミシン目14より内側の内ハーフカット線16と、から構成する。ミシン目14の破断時には、開口予定部12が持ち上げられ、箱本体11が押えられるため、外面では箱本体11側に剥離しやすく、内面では開口予定部12側に剥離しやすい。剥離方向に先行してハーフカット線15、16があるため、剥離はここで止まり、箱本体11や開口予定部12に拡大してこれらを破損するのが防がれる。剥離がハーフカット線15、16に連通した以降は、この線に沿って開口予定部12は箱本体11からスムーズに切り離されてゆき、ギザギザのない綺麗な開口縁が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙箱に関する。
詳しくは、その表面に設けられた特殊な破断予定線により箱本体と開口予定部とに区画され、この破断予定線を破断して開口予定部の少なくとも一部を箱本体から切り離すことで表面に開口を形成可能な紙箱に関する。
また、この発明は、前記特殊な破断予定線を形成するためのトムソン刃に関する。
【背景技術】
【0002】
ボール紙、板紙、段ボールなどの厚紙類からなる紙箱について、その表面に開口を形成し、この開口から収納物を取り出し可能としたものが、キッチンペーパー収納箱やティッシュペーパー収納箱などに汎用されている。
具体的には、実施形態の図1を用いて説明すると、この種の紙箱では、その表面に設けられたミシン目14により箱本体11と開口予定部12とに区画され、このミシン目14を破断して開口予定部12の少なくとも一部を箱本体11から切り離すことで、表面に開口を形成可能となっている。
【0003】
よく知られているように、ミシン目14は、紙の厚み方向に貫通するカット部と、紙をそのまま残したタイ部とが交互に多数連続する構造になっている。
そして、箱本体11を押えて開口予定部12を持ち上げると、その荷重が弱め線であるミシン目14に集中することで、タイ部が切断され、その切断箇所が後続するカット部に連通する。さらに開口予定部12を持ち上げると、このカット部に後続するタイ部が切断され、その切断箇所がさらに後続するカット部に連通し、と連続的にタイ部が切断されてカット部へ連通してゆくことで、ミシン目14全体が破断するしくみになっている。
【0004】
ところで、ミシン目14のタイ部が切断する詳しいメカニズムは、図9(a)のように、厚紙は薄い紙の層が厚み方向に多層積層された構造をなしているところ、ミシン目14に荷重が付与されることで、まず同図(b)のように、ひずみ応力によりその層間に剥離が生じて各層が分離される。ついで同図(c)のように、分離されて引き裂き容易となった薄い紙の層が順番に引き裂かれる。これらは実際にはほぼ同時に行われる。
【0005】
ここで、同図(b)の矢印で示すように、ミシン目14の一側である箱本体11側には上から押さえつけることで下向きの力が作用し、ミシン目14の他側である開口予定部12側には持ち上げることで上向きの力が作用している。
そのため、ミシン目14への荷重は斜め方向に作用しており、タイ部の切断に寄与する垂直分力(紙箱の表面に対して垂直に作用する分力)だけでなく、タイ部の切断に何ら寄与しない水平分力(紙箱の表面に対して水平に作用する分力)が負荷されることになる。
同図(c)の矢印で示すように、その水平分力の方向は、紙箱の外面側においては箱本体11方向に作用し、紙箱の内面側においては開口予定部12方向に作用する。
【0006】
したがって、タイ部の切断方向が、紙箱の外面の層においてはミシン目14から箱本体11側にずれて剥離しやすく、また紙箱の内面の層においてはミシン目14から開口予定部12側にずれて剥離しやすくなっている。
このため、特に乱暴に開口予定部12を持ち上げた場合などには、タイ部の切断剥離の方向のミシン目からのずれが大きくなって後続するカット部に連通しないことがある。このようにタイ部の切断剥離の方向がずれると、ミシン目14がスムーズに破断されない問題がある。
また、箱外面においては、上述のようにタイ部の切断剥離の方向がミシン目14から箱本体11側にずれがちであるため、箱本体11の外面の層が広範囲にはがれてしまうなどして外観が悪くなってしまう問題がある。
【0007】
そこで、ミシン目を内側と外側の二重にして、内側ミシン目のタイ部の切断剥離の方向が外側にずれると外側ミシン目に連通し、外側ミシン目のタイ部の切断剥離の方向が内側にずれると内側ミシン目に連通することで、ずれの拡大を防止する試みもなされている(特許文献1の特許請求の範囲の記載および図面参照)。
しかし、特許文献1の紙箱の場合も、内側ミシン目のタイ部の切断剥離の方向が内側にずれたり、外側ミシン目のタイ部の切断剥離の方向が外側にずれたりした場合には効果がない。そのため、上述したのと同様に、破断がスムーズになされない問題、また開口が綺麗に形成されない問題が、完全には解消されていない。
【0008】
ちなみに、破断予定線を箱の内外面にそれぞれ切り込みにより形成されたハーフカット線のみから構成し、その外ハーフカット線を内ハーフカット線よりも内側に配置したものも考案されている(特許文献2の特許請求の範囲および図面参照)。
この場合、開口予定部を持ち上げると、荷重が破断予定線近辺に集中して、ハーフカット線を起点に紙の層間に剥離が生じる。その剥離の方向は、図9で述べた原理から、紙箱の外面では箱本体方向(外側)となり、紙箱の内面では開口予定部方向(内側)であるため、これら層間剥離が中間地点で合流することでハーフカット線同士が連通し、開口予定部は箱本体から切り離されることになる。
【0009】
しかし、この場合に、内外ハーフカット線の切り込み深さが浅く、内外ハーフカット線を起点とする内側からの剥離層と外側からの剥離層が紙の厚み方向の上下にずれていると、両者は行き違いになって合流しない。そのため、ハーフカット線を連通させることができず、きれいに開口を形成することができない。
したがって、実用上は、ハーフカット線の切り込みの深さを紙の厚みの1/4〜3/4とかなり深く設定し、かつ切り込み深さの合計が紙の厚みを超えるようにして、内側からの剥離層と外側からの剥離層とが確実に合流できるようにしておくことが必須となる(特許文献2の段落0020、図3等参照)。
【0010】
また、内外ハーフカット線間の距離が近すぎると、紙箱の運搬中などに衝撃が加わってわずかな層間剥離が生じても不用意に開封されてしまう。したがって、実用上は、多少の層間剥離が生じても内外ハーフカット線が連通しないように両者の距離を2〜7mmと一定程度離しておくことが必須となる(特許文献2の段落0020、図2等参照)。
【0011】
このように内外ハーフカット線の切り込みが深いと、紙箱にわずかな衝撃が加わると不用意に孔が開いたり、開口予定部が切り離されたりするおそれがあるため、紙箱の耐強度に問題がある。また内外ハーフカット線の距離が離れていると、開口予定部を切り離した際に、開口縁に剥離した層が比較的大きな幅で露出するため、体裁が悪い問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3422856号公報
【特許文献2】特開2006−89070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、この発明の解決すべき課題は、表面に設けられた破断予定線により箱本体と開口予定部とに区画され、この破断予定線を破断して開口予定部の少なくとも一部を箱本体から切り離すことで開口を形成可能な紙箱について、破断予定線の破断をスムーズにし、開口予定部を切り離した際の開口縁の美観を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決するため、この発明の紙箱においては、その破断予定線を、カット部とタイ部が交互に連続するミシン目と、内外ハーフカット線の、3つの要素から構成したのである。
ここで、外ハーフカット線は、前記ミシン目上または前記ミシン目よりも箱本体寄りにおいて、前記ミシン目と平行に配置され、外面から紙の厚みの半分未満に切り込んで形成されている。
また、内ハーフカット線は、前記ミシン目上または前記ミシン目よりも開口予定部寄りにおいて、前記ミシン目と平行に配置され、内面から紙の厚みの半分未満に切り込んで形成されている。
【0015】
開口予定部を持ち上げてミシン目のタイ部を切断する際には、上述のように紙箱の外面の層では切断箇所がミシン目から箱本体側にずれて剥離しやすく、内面の層では切断箇所がミシン目から開口予定部側にずれて剥離しやすくなっている。
しかし、それぞれ内外面には、ずれが生じる方向に先行してハーフカット線が形成されているため、タイ部の切断剥離の方向がミシン目からずれてもこれらハーフカット線に連通し、ここでずれが止まる。そのため、それ以上切断や剥離が箱本体や開口予定部にまで及んでこれらを破損することが防がれる。
そして、タイ部の切断剥離の箇所がハーフカット線に連通した以降は、ハーフカット線に沿って開口予定部は箱本体からスムーズに切り離されていくため、ギザギザのない綺麗な開口が形成される。
【0016】
ここで、内外ハーフカット線の切り込み深さを、それぞれ0.05mm〜0.15mmとするのが好ましく、0.05mm〜0.1mmとするのがより好ましい。
このように切り込み深さを浅くすると、紙箱に衝撃が加わってもハーフカット線が紙の厚み方向に貫通して紙箱に孔が開いたり、不用意に開口予定部が切り離されたりすることがなく、紙箱の耐衝撃性が良好である。
【0017】
また、ミシン目と前記内外ハーフカット線との間隔を、それぞれ0mm〜1.5mmとするのが好ましく、0mm〜1.0mmとするのがより好ましい。
このように両ハーフカット線をミシン目に近接させると、開口予定部を切り離した際の開口縁に剥離層がほとんど現れず、特に体裁がよい。
【0018】
内外ハーフカット線のいずれかがミシン目上にあるときは、ミシン目のカット部を形成するための長刃と、ミシン目のタイ部上のハーフカット線を形成するための短刃とが、長さ方向に交互に連続するトムソン刃を用いると、ミシン目とミシン目上にあるハーフカット線とを同時に形成できるため好ましい。
【発明の効果】
【0019】
紙箱の破断予定線を以上のように構成したので、開口予定部をスムーズに切り離すことができ、その開口縁が綺麗に形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態の紙箱の斜視図
【図2】実施形態の紙箱の透視平面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】開口予定部の他の例を示す紙箱斜視図
【図5】他の実施形態の紙箱の斜視図
【図6】図5のB−Bの断面図
【図7】破断予定線の形成に用いるトムソン刃の正面図
【図8】他の例のトムソン刃の正面図
【図9】紙の切断メカニズムの概略を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつこの発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1から図3に示す実施形態の紙箱10は、ボール紙、板紙、段ボールなどの厚紙類からなる。
紙箱10の表面には、特殊な構造の破断予定線13が設けられ、これにより紙箱10は開口予定部12と箱本体11とに区画されている。開口予定部12を持ち上げると破断予定線13が破断してゆき、開口予定部12の一部が箱本体11から切り離されることで、開口が形成される。この開口からクッキングペーパー、ティッシュペーパーなどの収納物を取り出すことができる。
破断予定線13の特殊な構造のために、この紙箱10は耐衝撃性が良好であり、また開口予定部12をスムーズに切り離すことができ、かつ開口縁が綺麗に形成されるようになっている。
【0023】
具体的には、実施形態の紙箱10は、上下に対向する方形の天面および底面と、左右に対向する一対の方形の側面と、前後に対向する一対の方形の端面と、からなる直方体形状をなしており、これら六面に囲まれる内部空間に収納物を収納可能になっている。
【0024】
紙箱10の天面には、略方環形で一部が開環した破断予定線13が設けられており、天面の破断予定線13に囲まれる略方形の部分が開口予定部12を構成している。また、天面の破断予定線の外側の部分と、底面と、側面および端面と、が箱本体11を構成している。
開口予定部12には、端面に延出されたタブ12aが付属し、また破断予定線13の開環部分には罫線17が付されている。
【0025】
詳細には、実施形態の紙箱10における特殊構造の破断予定線13は、ミシン目14と、外ハーフカット線15と、内ハーフカット線16の、3つの要素から構成される。
ミシン目14については、従来と同様に、天面の紙の厚み方向に貫通するカット部14aと、天面の紙の厚みをそのまま残したタイ部14bとが交互に多数連続する構造になっている。すなわち、カット部14aに限ると、断続的に形成されていることになる。
ここで、カット部14aとタイ部14bの長さの比は特に限定されないが、タイ部14bの長さを1とすると、カット部14aの長さは1〜5であるのが好ましい。
【0026】
一方、外ハーフカット線15は、天面の外面から紙の厚みの半分未満に切り込んで形成されており、その位置はミシン目14に近接し、かつミシン目14よりも外側(箱本体側)に若干ずらして配置されている。
また、内ハーフカット線16は、天面の内面から紙の厚みの半分未満に切り込んで形成されており、その位置はミシン目14に近接し、かつミシン目14よりも内側(開口予定部側)に若干ずらして配置されている。
したがって、天面を上から透視すると、ミシン目14は内外ハーフカット線15、16の間に挟まれた位置関係にある。
図示のように、内外ハーフカット線15、16は、それぞれミシン目14と平行にかつ破断予定線13の全周にわたって連続的に形成されている。
【0027】
このように内外ハーフカット線15、16の切込みが浅いため、紙箱10の耐衝撃性が十分に担保されている。ここで、内外ハーフカット線15、16の切り込み深さは、ともに紙の厚みの半分未満であれば特に限定されないが、紙の厚みの1/3以下であるのが好ましく、さらには0.05mm〜0.15mmであるのが特に切込みが浅く、耐衝撃性がよいためなお好ましい。なお、ハーフカット線15、16の幅は特に限定されない。
【0028】
実施形態の紙箱10の構成は以上のようであり、次にその開封作業時の破断予定線13の作用について説明する。
【0029】
まず、開口予定部12に付属するタブ12aをつまんで引っ張ると、開口予定部12が持ち上げられて破断予定線13のうち一番強度の弱いミシン目14に荷重が集中し、段落0003で述べたような作用により、タイ部14bの切断とカット部14aへの連通が連続的に生じて破断してゆく。
【0030】
このとき、段落0005および0006で述べたように、荷重の水平分力がミシン目14に作用し、その方向は、天面の外面では外側(箱本体11側)に、また天面の内面では内側(開口予定部12側)になる。
そのため、天面の外面においてはタイ部14bの切断方向はミシン目14より外側にずれて外面層が剥離しがちであり、天面の内面においてはタイ部14bの切断方向はミシン目14より内側にずれて内面層が剥離しがちである。
【0031】
ここで、タイ部14bの切断剥離箇所のずれる方向に、上述のようにあらかじめ内外ハーフカット線15、16が配置されているため、ずれが一定程度大きくなると、外面の層においてはタイ部14bの切断剥離箇所は外ハーフカット線15に連通し、内面の層においてはタイ部14bの切断剥離箇所が内ハーフカット線16に連通する。
そのため、タイ部14bの切断剥離箇所がそれ以上箱本体11や開口予定部12にまで拡大することはなく、これらが引き裂かれて外観が損なわれるのが防止されている。
【0032】
また、タイ部14bの切断剥離箇所が内外ハーフカット線15、16に連通すると、以後はハーフカット線15、16に沿って開口予定部12は箱本体11からスムーズに切り離されていく。したがって、紙箱10に開口が容易に形成されることになる。
このように破断予定線13の構造に基づいて、開口予定部12が箱本体11からスムーズに切り離されるため、複雑な形状の開口、例えば図4に示す略星型の開口予定部12など、が形成可能となる。
【0033】
また、ミシン目14と外ハーフカット線15とが近接しているため、開口縁に露出するミシン目14から外ハーフカット線15にかけての剥離層の幅が非常に狭いものとなっている。そのため、剥離層が目立たず、またギザギザもないため開口縁が綺麗に見える。
なお、内外ハーフカット線15、16とミシン目14との距離は特に限定されないが、1.5mm以下とすると、特に剥離層が目立たないため好ましい。
【0034】
なお、開口予定部12は、切り離した後も、上述した罫線17が付された部分が箱本体11に連結されたままとなっている。このため、この罫線17部分を中心に回動させて、開口を開閉することが可能となっている。
【0035】
図5および図6に示す他の実施形態の紙箱10では、ミシン目14と、外ハーフカット線15と、内ハーフカット線16との位置が一致している。すなわち、天面を上から透視すると、これらの線14、15、16がすべて重なり合っている。
その他の構成については、先の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0036】
この実施形態での破断予定線13は、図6のように、ミシン目14のカット部14aについては、そのフルカットとハーフカット線15、16のハーフカットとが重なり合うので先の実施形態と構造は変わらない。
【0037】
一方、ミシン目14のタイ部14bについては、内外からそれぞれ連続するハーフカット線15、16により、ハーフカットされた構造になっている。ちなみに、ハーフカット線15、16は、それぞれ切り込みの深さが紙の厚みの半分未満であるため、タイ部14bを切断してしまうことはない。
この場合は、タイ部14bの切断箇所がずれて剥離しかけると同時に内外ハーフカット線15、16に連通するため、切り裂きが、箱本体11や開口予定部12に一切拡大しないようになっている。
また、ミシン目14とハーフカット線15、16の位置が一致しているため、剥離層が開口縁にほとんど現れず、先の実施形態よりも一層審美性が高まっている。
【0038】
このような他の実施形態の破断予定線13を形成するための抜き刃としては、図7のように、ミシン目14のカット部14aを形成する長刃t1と、内外一方のハーフカット線15、16を形成する短刃t2とが、交互にかつ等間隔に連続する方環状の特殊なトムソン刃Tが例示できる。
ここで長刃t1は、紙を厚み方向に貫通するのに十分な長さに設定されており、長刃t1より短い短刃t2は、紙を厚みの半分未満に切り込む長さに設定されている。
【0039】
この特殊なトムソン刃Tと、内外他方のハーフカット線15、16を形成する全周が短刃のみからなる相似形の方環状のトムソン刃とを準備し、上下に対向させ、位置あわせした状態で抜き型、面版にそれぞれ固定して加工を行うと、このような特殊な破断予定線13を一回の加工で形成することができる。
ちなみに、この特殊なトムソン刃Tでミシン目14と外ハーフカット線15とを形成してもよいし、ミシン目14と内ハーフカット線16とを形成してもよい。前者の場合は、全周が短刃のトムソン刃で内ハーフカット線16を形成し、後者の場合は、全周が短刃のトムソン刃で外ハーフカット線15を形成することは無論である。
【0040】
図7のトムソン刃Tにより形成される、ハーフカット線15、16の切り込みの深さは一定であるが、ハーフカット線15、16の切り込みの深さは紙の厚みの半分未満であれば一定でなくともよい。
例えば、図8のトムソン刃Tのように短刃t2が凹円弧形のものを用いて、ハーフカット線の切り込みの深さが、タイ部14bの長さ方向の両端部においては切り込みが深く、タイ部14bの長さ方向の中央部においては切込みが浅く形成してもよい。
【0041】
逆に短刃t2が凸円弧形のトムソン刃Tを用いて、ハーフカット線の切り込みの深さが、タイ部14bの長さ方向の両端部においては切り込みが浅く、タイ部14bの長さ方向の中央部においては切込みが深く形成してもよい。
その他、短刃t2は波形等にしてもよいことは無論である。また、長刃t1も紙を貫通しさえすればよいので、凸円弧形、凹円形形、波形等、形状は特に限定されない。
【0042】
以上の実施形態から、今回発案された紙箱10における破断予定線13は、外ハーフカット線15が、ミシン目14上かミシン目14より外側にあり、内ハーフカット線16が、ミシン目14上かミシン目14より内側にあればよいことが理解される。
したがって、外ハーフカット線15はミシン目14上にあり内ハーフカット線16はミシン目14より内側にある態様や、外ハーフカット線15はミシン目14より外側にあり内ハーフカット線16はミシン目14上にある態様も本発明に包含される。
また、ハーフカット線15、16は全周にわたり連続しているのが好ましいが、ミシン目14のカット部14aと同様に断続的に形成してもよい。
【0043】
また、破断予定線13がミシン目14と内外ハーフカット線15、16とからなる構造以外については、以上の実施形態はあくまでも例示であり、紙箱10の形状、開口予定部12の形状、位置、数等は任意に変更可能である。
例えば紙箱10の平面視形状や開口予定部12の形状を、円形、楕円形、多角形としてもよい。また開口予定部12を紙箱10の側面、端面、底面に設けてもよいし、これらの複数個所に設けてもよい。さらに、開口予定部12は、実施形態と異なり、箱本体11から完全に切り離して分離するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 実施形態の紙箱
11 箱本体
12 開口予定部
12a タブ
13 破断予定線
14 ミシン目
14a カット部
14b タイ部
15 外ハーフカット線
16 内ハーフカット線
17 罫線
T トムソン刃
t1 長刃
t2 短刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に設けられた破断予定線13により箱本体11と開口予定部12とに区画され、この破断予定線13を破断して開口予定部12の少なくとも一部を箱本体11から切り離すことで開口を形成可能な紙箱10であって、
前記破断予定線13が、
紙の厚み方向に貫通するカット部14aと、紙がそのまま残ったタイ部14bとが交互に連続するミシン目14と、
前記ミシン目14上または前記ミシン目14よりも箱本体11寄りに配置され、外面から紙の厚みの半分未満に切り込んで形成された外ハーフカット線15と、
前記ミシン目14上または前記ミシン目14よりも開口予定部12寄りに配置され、内面から紙の厚みの半分未満に切り込んで形成された内ハーフカット線16と、からなる紙箱。
【請求項2】
前記内外ハーフカット線15、16の切り込み深さが、それぞれ0.05mm〜0.15mmである請求項1に記載の紙箱。
【請求項3】
前記ミシン目14と前記内外ハーフカット線15、16との間隔が、それぞれ0mm〜1.5mmである請求項1または2に記載の紙箱。
【請求項4】
紙の厚み方向に貫通するカット部14aと紙がそのまま残ったタイ部14bとが交互に連続するミシン目14と、
このミシン目14上に配置され、紙を厚みの半分未満に切り込んで形成するハーフカット線15、16と、を一体に形成するためのトムソン刃Tであって、
ミシン目14のカット部14aを形成するための長刃t1と、ミシン目14のタイ部14b上にハーフカット線15、16を形成するための短刃t2とが、長さ方向に交互に連続するトムソン刃。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−6125(P2011−6125A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153305(P2009−153305)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【特許番号】特許第4445031号(P4445031)
【特許公報発行日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(505217516)
【Fターム(参考)】