説明

紙粉除去装置

【課題】帯状の包材を筒状にし液体食品を連続充填して紙容器を製造する紙容器成形工程における紙粉除去装置を提供する
【解決手段】紙粉除去装置8は、帯状の包材5の両端部5aに付着する紙粉の掻き出し手段11と、掻き出した紙粉の収集手段12と、掻き出し手段11と収集手段12を結ぶ連結管13と、で形成され、紙粉収集手段12はバキューム式である。掻き出し手段11は断面凹状で、帯状の包材5の端部5aを覆う一対の側板と底板が長さLで深さWに形成される。ブラシは深さWの略50%の長さW/2で底面に植毛され、ブラシの先端を帯状の包材5に重ね代を持って押し付ける。連結管13は長さLの一対の側板に対して上流側から略0.9Lに位置し、一対の側板とブラシで囲まれた空間領域に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体食品を充填する紙容器の紙粉除去装置に関し、詳しくは帯状の包材を用いて液体食品を連続充填して紙容器を製造する紙容器充填装置に設ける紙粉除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジュース、牛乳等の液体食品などを充填する紙容器充填装置の紙粉除去装置に関する従来技術として特許文献1の内容が知られている。特許文献1によれば、充填機において帯状の包材を用いて、長手方向に縦シール部を形成して成るチューブ状包材に内容液を充填し所定間隔毎に横シール部で密封且つ切断して紙容器が形成される。
【0003】
包材が帯電すると静電気力によって紙粉の付着力が大きくなるので紙粉を除去するのが困難であるという問題があった。そこで、図8に示すように、紙粉除去装置35は包材30の表側及び裏側を除電する除電装置31、32と、除電した包材30に付着している紙粉を除去する集塵装置33を備え、集塵装置33には集塵ノズル34を備える。除電装置31、32は直流型のイオナイザの場合、図示しない正電極針及び負電極針から成る放電針、各放電針に高電圧を印加するための高圧電源を備え、高電圧が印加されて放電針から放出されたイオンが包材30に照射される。これによって包材30の除電が行われるので静電気力が小さくなり、包材30に付着している紙粉の付着力が小さくなるので集塵効果が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−256674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包材30の端部に付着した紙粉を除電によって確実に除去するのは難しく、ガイドローラーやクリーンチャンバー内が紙粉汚染して稀であるが紙容器に紙粉が混入する可能性があった。このため、目視やサンプリング等による紙粉混入検査を実施する場合には費用が嵩むので紙容器の製造コストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の紙容器充填装置に設ける紙粉除去装置の問題点を解決して、紙容器への紙粉混入を確実に防止し、紙容器の製造コストを低減することができる紙粉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、熱可塑性樹脂を両面に備える紙基材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を連続形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み熱圧着で頂面と底面を形成する紙容器成形装置に設ける紙粉除去装置である。この紙粉除去装置は前記紙基材の両端部に付着する紙粉の掻き出し手段と掻き出した紙粉の収集手段とが連結管を介して連結され、前記掻き出し手段は前記紙基材の両端部に接触するブラシで前記紙粉収集手段はバキューム式であることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の紙粉除去装置であって、前記紙基材の両端部が前記ブラシと共に一対の側板で覆われることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙粉除去装置であって、前記連結管は前記ブラシの中間領域に連結されることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の紙粉除去装置であって、前記一対の側板の内側に前記紙基材の両面と接触する補助ブラシを備えることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載の紙粉除去装置であって、前記掻き出し手段は前記紙基材の一端部に跨って接触するブラシが環状に形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、この紙粉除去装置は前記紙基材の両端部に付着する紙粉の掻き出し手段と掻き出した紙粉の収集手段とが連結管を介して連結され、前記掻き出し手段は前記紙基材の両端部に接触するブラシで前記紙粉収集手段はバキューム式である。
このため、前記紙基材の両端部を前記掻き出し手段であるブラシが直接接触するので、このブラシによって両端部に付着する紙粉を物理的に掻き出して、紙粉を前記紙粉収集手段のバキューム力で確実に収集することができるので、紙容器内に紙粉が混入するのを確実に防止することができる。
【0013】
前記紙基材の両端部の紙粉をブラシで掻き出す簡単な構造なので製作コストが安価である。さらに、目視やサンプリング等による紙粉混入検査を実施する必要がないので作業が簡素化するので、紙容器の歩留りが向上すると同時に紙容器の製造コストを低減できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、前記紙基材の両面端部が前記ブラシと共に一対の側板で覆われるので、ブラシで掻き出された紙粉が一対の側板でガイドされて飛散することなく前記紙粉収集手段のバキューム力で確実に収集できるので、請求項1の効果と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、前記連結管は前記ブラシの中間領域に連結されるので、ブラシで掻き出された紙粉が前記ブラシに囲まれて中間領域から飛散することなくバキューム力で収集されるので、請求項2の効果と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、前記一対の側板の内側に前記紙基材の両面と接触する補助ブラシを備えるので、紙基材の両端部近傍に付着した紙粉を掻き出すことができるので、紙基材の紙粉収集効果を更に向上することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、前記掻き出し手段は前記紙基材の一端部に跨って接触するブラシが環状に形成されるので、請求項1の効果と同様の効果とともに、ガイドローラー等の紙粉が発生しやすい箇所にスポット的に設置することができるので機動性に優れ、紙紛収集効果が更に確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態における、帯状の包材5が連続的に繰出され、両側の端部5aを縦シールS1して筒状部6を形成し、充填パイプ7を介して内容液Nを充填して紙容器10が形成される紙容器成形装置1において、帯状の包材5に紙粉除去装置8が設置された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、帯状の包材5の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、紙粉除去装置8の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における、図3のB−B断面図で、紙粉の掻き出し手段11と連結管13の状態を示す図である。
【図5】本発明の第一の実施形態における、紙粉の掻き出し手段11の状態を示す詳細断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態における、紙粉の掻き出し手段11の状態を示す詳細断面図である。
【図7】本発明の第三の実施形態における、紙粉の掻き出し手段17がパイプ18の先端にブラシ16を環状に形成し、連結管13でバキューム式の紙粉収集手段12に連結された状態を示す斜視図である。
【図8】従来例における、包材30の表側及び裏側を除電する除電装置31、32と、除電した紙粉を除去する集塵装置33と、で構成された紙粉除去装置35の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本発明の第一の実施形態>
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
<紙粉除去装置の構成>
【0020】
図1、図2に示すように、紙容器成形装置1において、紙基材2に熱可塑性材料層3とバリヤー層4を備えてロール状に形成された帯状の包材5が図示しない繰出機から連続的に繰出される。帯状の包材5は図示しない複数のガイドローラーに案内されて、上方から下方に下降しながら両側の端部5aを矢印Aに示すように両側から寄せ重ねて熱圧着で縦シールS1して筒状部6を形成し、この筒状部6に充填パイプ7を介して連続的に内容液Nが充填される。
【0021】
繰出機から繰出された帯状の包材5には詳細後述する紙粉除去装置8が設置される。なお、この紙容器成形装置1は図示しないクリーンチャンバー内に設置される。
【0022】
筒状部6は紙容器一個分に相当する位置において遂次横シールS2で密封形成され、この横シールS2を横切断して二分割することで連続的に枕状の原型容器9が形成される。この原型容器9の二対のフラップ部9a、9bを折込んで熱圧着により頂面10aと底面10bを形成し、他の四組の側面10cと共で外形直方体形状の紙容器10が形成される。なお、筒状部6の縦シール部S1における内側の端部5aは熱圧着により図示しないストリップテープで覆われるので内容液Nに触れることはない。
【0023】
帯状の包材5には紙容器10を成型容易とするため、図示しない折り目が、縦方向、横方向、斜め方向に形成されているので、この折り目を折込むことで矩形の頂面10a、底面10b、四側面10cから成る直方体形状の紙容器10が容易に形成される。
【0024】
上記、帯状の包材5の構成は紙基材2に熱可塑性材料層3とバリヤー層4を備えて形成される。より詳しくは、帯状の包材5の外側から内側にかけて順に、外側層3a、紙基材2、接着層3b、バリヤー層4、二層の内側層3c、3dから成り、紙基材2の外側面にデザイン等2aが予め印刷される。外側層3a、内側層3dは低密度ポリエチレン樹脂、内側層3cはポリエチレン或いはエチレン共重合体等の樹脂、バリヤー層4はアルミ箔等で形成される。なお、頂面10aに図示しない内容液注出用の開口予定部が帯状の包材5の紙基材2だけを部分削除して形成される。
【0025】
帯状の包材5は幅広の包材を図示しない裁断装置で所定幅に裁断して形成され、裁断時に発生する紙粉は図示しない集塵機で集塵されるが、僅かであるが帯状の包材5の両端部5aに紙粉が残って付着している場合がある。なお、紙基材2の紙粉には、熱可塑性材料層3であるポリエチレン等の樹脂粉、バリヤー層4のアルミニウム等の箔粉が含まれるので、以下の説明において、これらを総称して紙粉と表現する。
【0026】
図3、図4、図5に示すように、紙粉を除去するための紙粉除去装置8が、帯状の包材5の端部5aに付着する紙粉の掻き出し手段11と、掻き出した紙粉の収集手段12と、掻き出し手段11と紙粉収集手段12を結ぶ連結管13と、で形成される。なお、紙粉収集手段12はバキューム式である。
【0027】
掻き出し手段11は断面凹状で、帯状の包材5の端部5aを覆う一対の側板14と底板15が長さLで深さWに形成される。ブラシ16は底板15の底面15aに深さWの50%に相当する長さ=W/2で植毛される。ブラシ16の長さ及び硬さや植毛密度は帯状の包材5の材質等に対応して適宜設定され、ブラシ16の先端は帯状の包材5の端部5aに重ね代Kで接触するが、重ね代Kは端部5aに物理的な影響を与えない範囲で紙粉が効率よくの除去できるように設定される。
【0028】
ここで、連結管13は掻き出し手段11の長さL方向の中間領域である上流側から略90%(L1≒0.9L)の位置で、一対の側板14とブラシ16で囲まれた空間領域Sに対応して底板15を貫通し底面15aに至るように配置される。
<紙粉除去装置の作用>
【0029】
帯状の包材5の端部5aに接触するブラシ16によって帯状の包材5の端部5aに付着する紙粉を確実に掻き出すことができる。掻き出した紙粉は紙粉収集手段12のバキュームで確実に収集できるので紙容器10内に紙粉が混入することがない。連結管13は一対の側板14の長さL方向の中間領域である上流側から略90%(L1≒0.9L)の位置に、一対の側板14とブラシ16で囲まれた空間領域Sに対応して配置されるので、端部5aから掻き出された紙粉が離散することなく連結管13で紙粉収集手段12に確実に除去できる。
【0030】
このため、ブラシ16で掻き出された紙粉が浮遊して再度帯状の包材5に付着し紙容器10に混入する恐れがなくなるので、紙粉の影響による接着不良の影響も発生しない。紙粉の付着状態、混入状態等の監視を目視、抜取検査等によって行う必要がなくなるので作業を簡素化できる。そして、紙粉によるトラブルの減少により充填装置の稼働率が向上するので歩留りが良くなり、紙容器のコストを低減することができる。紙粉除去装置8の構造がシンプルなので廉価に製作できる。小型の装置で構成可能であり、スポットの配管だけで狭い場所でも設置可能である。
<本発明の第二の実施形態>
【0031】
本発明の第二の実施形態を図6に基づいて説明するが、図5と同様の構成に関しては同符号を用いて重複する説明を省く。
【0032】
図6に示すように、ブラシ16に追加して、一対の側板14に紙基材5の両面5bに接触する補助ブラシ16aを幅T=W/4で備える。このため、紙粉が包材5の両端部5aの近傍に巻き込まれて付着した場合でも、この補助ブラシ16aによって紙粉を掻き出し連結管13で確実に排出できるので紙容器10の紙粉混入を更に確実に防止することができる。
<本発明の第三の実施形態>
【0033】
図7に示すように、掻き出し手段17は樹脂又は金属性のパイプ18の先端にブラシ16が環状に形成され、連結管13でバキューム式の紙粉収集手段12に連結される。この掻き出し手段17であれば、紙基材5の端部5aに加えて、ガイドローラーやガイド部材等の紙粉が発生しやすい場所にブラシ16を接触させて紙粉を確実に掻き出しバキュームで吸い込み除去することができる。
【0034】
スポット的に設置できるので汎用性に優れて機動性が向上し紙紛収集効果が確実に得られる。長時間の製造によって紙粉が紙基材5の端部5aやガイドローラー等に付着する箇所が生じた場合でも、この掻き出し手段17によって紙容器に紙粉が混入することを確実且つ迅速に回避できる。このため、紙粉によるトラブルが減少するので充填装置の歩留まりが向上すると同時に稼動性が向上する。さらに、装置がシンプルなので安価で且つ小型化可能で持運びし易く狭い場所でも設置できるので汎用性に優れる。
【0035】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。たとえば、紙基材5の両面5bに接触する補助ブラシ16aの幅TはW/4より長くても短くても構わず、状況に応じて決められる。連結管13は一対の側板14の長さL方向の下流端の位置に配置することもできる。紙粉除去装置8は一組の掻き出し手段11に対応して一組の収集手段12を備える構成でもよい。本発明と合わせて除電装置を設けると、紙粉が紙基材から離反しやすいので紙粉の収集効果が更に向上する。
【0036】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、液体食品の包装充填の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
5 包材
5a 端部
8 紙粉除去装置
11 掻き出し手段
12 収集手段
13 連結管
14 側板
15 底板
16 ブラシ
K 重ね代
L 長さ
S 空間領域
W 深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を両面に備える紙基材を縦シール部で筒状にして内容液を充填し、横シール部でシール且つ切断して枕状の原型容器を連続形成し、この原型容器の一対のフラップ部を折込み熱圧着で頂面と底面を形成する紙容器成形装置に設ける紙粉除去装置であって、
この紙粉除去装置は前記紙基材の両端部に付着する紙粉の掻き出し手段と掻き出した紙粉の収集手段とが連結管を介して連結され、前記掻き出し手段は前記紙基材の両端部に接触するブラシで前記紙粉収集手段はバキューム式であることを特徴とする紙粉除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙粉除去装置であって、前記紙基材の両端部が前記ブラシと共に一対の側板で覆われることを特徴とする紙粉除去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の紙粉除去装置であって、前記連結管は前記ブラシの中間領域に連結されることを特徴とする紙粉除去装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の紙粉除去装置であって、前記一対の側板の内側に前記紙基材の両面と接触する補助ブラシを備えることを特徴とする紙粉除去装置。
【請求項5】
請求項1に記載の紙粉除去装置であって、前記掻き出し手段は前記紙基材の一端部に跨って接触するブラシが環状に形成されることを特徴とする紙粉除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−140162(P2012−140162A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294608(P2010−294608)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】