説明

紙葉類処理装置と紙葉類処理方法

【課題】 紙葉類を処理するための種々の処理プログラムの実行に伴って、処理効率が低下することを抑制することができ、紙葉類を効率的に処理できる紙葉類処理装置あるいは郵便物区分装置を提供できる。
【解決手段】 処理対象とする紙葉類Sから特徴量を含む情報をセンサ部11により検知し、前記センサ部11により検知された情報から当該紙葉類Sを処理するための情報を得るための複数の命令からなる種々の処理プログラムが予め記憶されている外部メモリ33から前記処理プログラムを処理プログラム単位で選択的に高速CPU31の内部メモリ42にロードし、前記処理プログラム単位で選択的に内部メモリ42にロードされた処理プログラムを高速CPU31のCPUコア41が実行し、前記処理プログラムの処理結果に基づいて紙葉類を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙葉類から特徴量を含む情報を検知し、この検知した情報に基づいて前記紙葉類を検査し、この検査結果に応じて紙葉類を処理する紙葉類処理装置および紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類から画像データなどの特徴量を含む情報をセンサにより検知し、前記センサにより検知した情報に基づいて前記紙葉類を検査し、その検査結果に応じて紙葉類を処理する紙葉類処理装置及び紙葉類処理方法が実用化されている。
【0003】
上記のような紙葉類処理装置では、前記センサにより検知した情報から紙葉類を処理するための情報を得るための検査部が設けられている。このような検査部では、CPUが予めメモリなどに記憶されている処理プログラムを実行することにより前記センサにより検知した情報を処理するようになっている。また、上記紙葉類処理装置では、複数種類の特徴を判定したり、複数の段階からなる処理を行ったりするために、複数の処理プログラムがメモリに記憶されている。
【0004】
しかしながら、上記紙葉類処理装置に用いられる複数の処理プログラムは、全体としてはデータ量が多い。このため、上記各処理プログラムは、実際に処理を実行するCPUの外部に設けられたメモリに記憶される。このような構成では、通常、実際に処理を実行するCPUは、各処理プログラムを構成する1つの命令単位ごとに内部メモリにロードされるデータ(処理プログラムにおける1つの命令)を実行する。この結果として、高速な処理が可能なCPUであっても、外部のメモリに記憶されている処理プログラムを実行するには時間がかかってしまう。さらに、上記のような紙葉類処理装置では、検査部による処理速度が装置全体の処理効率に影響する。このため、上記紙葉類処理装置全体としても、処理プログラムが複雑になればなるほど、処理効率が低下してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2001−216551号公報
【非特許文献1】トランジスタ技術2002年10月号 (第150頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の一形態は、上記のような問題を解決するものであり、紙葉類を処理するための処理プログラムの実行に伴って、処理効率が低下することを抑制することができる紙葉類処理装置及び紙葉類処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を処理するものであって、処理対象とする紙葉類の特徴量を含む情報を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された情報を処理するための複数の命令からなる種々の処理プログラムが予め記憶されている外部記憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶されている種々の処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードする第1の処理手段と、前記第1の処理手段により各処理プログラム単位で選択的にロードされ、内部記憶手段に記憶された処理プログラムを実行する第2の処理手段と、前記第2の処理手段により実行された処理プログラムの処理結果に基づいて紙葉類を処理する紙葉類処理手段とを有する。
【0007】
この発明の一形態としての紙葉類処理方法は、紙葉類を処理する方法であって、処理対象とする紙葉類から特徴量を含む情報を検知するステップと、処理対象とする紙葉類から検知された特徴量を含む情報から当該紙葉類を処理するための情報を得るための複数の命令からなる種々の処理プログラムが予め記憶されている外部記憶手段から前記処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードするステップと、前記処理プログラム単位で選択的にロードされた処理プログラムを実行するステップと、前記処理プログラムの処理結果に基づいて紙葉類を処理するステップとを有する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の一形態によれば、紙葉類を処理するための処理プログラムの実行に伴って処理効率が低下することを抑制することができる紙葉類処理装置及び紙葉類処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、検知対象物(紙葉類)Sを処理する検知対象物の処理装置(紙葉類処理装置)の概略構成を示す図である。
上記検知対象物の処理装置1は、供給部2、搬送路3、検査装置4、搬送制御部5および集積部6などにより構成される。また、上記検査装置4は、複数のセンサ部11、分配器12、検知処理部13、データ蓄積部14、統括部15、および、モード設定部16などにより構成される。
【0010】
上記供給部2には、検知対象物としての紙葉類Sがセットされる。上記供給部2は、検知対象物としての紙葉類Sを1つずつ上記搬送路3へ供給する。上記搬送路3は、上記供給部2から供給される紙葉類Sを個別に搬送する。
上記検査装置4は、上記搬送路3を搬送される紙葉類Sを検査するものである。上記検査装置4では、上記検査装置4では、紙葉類Sの種々の物理特性(特徴量)を検出することにより、紙葉類Sの状態などを検査するようになっている。また、上記検査装置4では、各紙葉類Sの検査結果に基づいて、各紙葉類Sの搬送先(集積先)などを判定するようになっている。
【0011】
上記搬送制御部5は、上記検査装置4による検査結果に基づいて各紙葉類Sに対する搬送制御を行う。上記搬送制御部5では、図示しないゲートなどの駆動を制御することにより、上記検査装置4による検査結果に基づく集積先に各紙葉類Sを集積するように搬送制御を行う。
上記集積部6は、複数の保管庫6a、…により構成される。各保管庫6a、…には、集積する紙葉類Sの種類あるいは状態などが設定される。従って、各保管庫6a、…には、上記検査装置4による検査結果としての紙葉類の種類あるいは状態などに基づいて区分された各紙葉類Sが集積される。
【0012】
次に、上記検査装置4の構成例について概略的に説明する。
図2は、上記検査装置4の構成例を示す図である。
図1及び図2に示すように、上記検査装置4は、複数のセンサ部11、分配器12、検知処理部13、データ蓄積部14、中央演算部(統括部)15、および、モード設定部16などにより構成される。
【0013】
各センサ部11は、上記搬送路3によって搬送されている紙葉類Sから種々の物理特性を電気信号として検知するものである。たとえば、上記センサ部11には、紙葉類Sの表面における画像データを可視光で光学的に読取るためのスキャナ(券面画像、形状、あるいは、搬送状態を検知するためのセンサ)、紙葉類Sに含まれている磁気情報を検知するための磁気検知センサ(磁性を検知するためのセンサ)、紙葉類Sの表面に特殊なインクで形成されている画像データを赤外光で光学的に読取るための赤外線センサ(特殊インクを検知するためのセンサ)、あるいは、紙葉類Sの厚さを検知するための厚さ検知センサなどが用いられる。
【0014】
また、各センサ部11は、図2に示すように、センサ11a、アンプ11b、および、A/D変換器11cなどにより構成される。上記センサ11aは、上記搬送路3によって搬送されている紙葉類Sから種々の物理特性を示す電気信号を検知するものである。上記アンプ11bは、上記センサ11aにより検知された電気信号を増幅するものである。上記A/D変換器11cは、上記アンプ11bにより増幅された上記センサ11aにより検知されたアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換するものである。
【0015】
上記分配器12は、各センサ部11による検知信号を上記検知処理部13へ出力するものである。上記分配器12は、各センサ部11により検知された電気信号を後述する検知処理部13内の複数の検知処理器13aへ分配するものである。なお、上記分配器12は、データバス17により各検知処理器13aおよびデータ蓄積部14に接続されている。
【0016】
上記分配器12は、非同期でかつ並列に供給される各センサ部11、…からの検知信号に識別情報を付与する。上記分配器12は、上記識別情報を付与した各検知信号を直列の出力データに置換する。上記分配器12は、直列の出力データに置換したデータを各検知処理器13aに出力する。また、上記分配器12では、上記統括部(中央演算器)15から供給される水平同期信号と基準クロックとを用いて上記置換を行うようになっている。
【0017】
図3は、上記分配器12から各検知処理器13aへ出力されるデータの構成例を示す図である。なお、上記分配器12から各検知処理器13aへ出力されるデータの幅は、データバス17のビット幅に応じて設定される。図3に示す例では、上記分配器12から各検知処理器13aへ出力されるデータは、12ビットとなっている。また、図3に示す例では、分配器12から各検知処理器13aへ出力されるデータは、各センサ部11で検知された検知信号の実体部分として8ビットのデータと、その8ビットのデータに対応する4ビットの識別情報(識別子)とにより構成されている。
【0018】
上記識別情報は、紙葉類Sあるいはセンサ部11を特定するための情報である。上記識別情報は、たとえば、上記中央演算部15により与えられる。また、上記識別情報としては、当該紙葉類処理装置の起動時を’0’として、順次、搬送路3上を搬送される紙葉類S毎にシリアルのナンバが付与される。このような識別情報は、紙葉類あるいはセンサなどを特定するために用いられる。
【0019】
上記分配器12では、各センサ部11によりデジタル化された種々の物理特性を示す電気信号に識別情報を付与して検知処理部13内の複数の検知処理器13aへ分配する。また、上記分配器12は、識別情報を付与した各センサ部11からの信号を各検知処理器13aへ供給するとともに、上記データ蓄積部14にも供給する。したがって、上記データ蓄積部14には、識別情報が付与された上記センサ部11により検知された情報が蓄積される。
【0020】
上記検知処理部13は、図2に示すように、複数の検知処理器13aおよび共有メモリ13bなどから構成される。各検知処理器13aには、ぞれぞれ各共有メモリ13bが対応している。検知処理器13aおよび共有メモリ13bからなる各ユニットは、それぞれが上記センサ部11により検知された電気信号を処理するための処理部として機能する。各検知処理器13aに対応する各共有メモリ13bは、それぞれデータバス18を介して接続される。また、各共有メモリ13bは、上記データバス18を介してデータ蓄積部14および中央演算部15にも接続されている。
【0021】
各検知処理器13aは、後述するような構成により各センサ部11により検知された電気信号を処理する。上記共有メモリ13bは、上記検知処理器13aのインターフェースとして機能する。各検知処理器13aは、処理対象となった情報(センサ部により検知された情報)の識別情報を処理済みの情報(検査処理結果)に付与し、上記共有メモリ13bを介して上記中央演算部(統括部)15へ供給する。また、各検知処理器13aは、識別情報を付与した検査処理結果を上記データ蓄積部14にも供給する。したがって、上記データ蓄積部14には、各検知処理部13により処理された情報(識別情報が付与された検査処理結果)が蓄積される。
【0022】
上記データ蓄積部14は、データ蓄積器14aおよび共有メモリ14bにより構成される。上記データ蓄積器14aは、データを記憶するための記憶装置により構成される。また、上記共有メモリ14bは、データを入出力を行うインターフェースとして機能する。上記データ蓄積器14aには、上述したように、上記分配器12から供給される情報(識別情報が付与されている各センサ部11で検知された情報)、および、各検知処理器13aで処理された情報(識別情報が付与されている検査処理結果の情報)が記憶される。従って、上記識別情報をキーに、上記データ蓄積器14aに蓄積されているセンサが検知した情報(センサ部が検知した情報および検査処理結果)は、上記識別情報をキーに検索することができるようになっている。
【0023】
上記中央演算部15は、各検知処理器13aにより処理された情報を各共有メモリ13bから収集し、各紙葉類Sに対する総合的な検査結果を判定する。また、上記中央演算部15は、各紙葉類Sの検査結果と上記モード設定部16により設定されている動作モードとに基づいて各紙葉類Sを搬送すべき場所(保管庫6a、…)などを上記搬送制御部5に対して通知する。
【0024】
上記モード設定部16は、当該紙葉類処理装置の動作モードをオペレータ等による指示に応じて設定するものである。また、上記モード設定部16では、動作モードとして、各保管庫6a、…に集積すべき紙葉類Sの種類あるいは状態などが設定される。また、上記モード設定部16では、動作モードとして、紙葉類Sの搬送状態(スキュー、ショートピッチ、スライド等)、紙葉類Sの種類(券種)、あるいは、紙葉類の状態(正券、損券、リジェクト券)などを、上記中央演算部15が判定するための基準などを設定されるようにしても良い。
【0025】
また、上記のように構成される検査装置4では、各紙葉類Sに対する検査結果を所定の時間内に判定するようになっている。たとえば、上記検査装置4では、上記搬送路3を搬送される紙葉類Sが各保管庫6a、…に振り分けるまでの時間内で検査結果が判定されるように設定されている。つまり、上記検査装置4では、各紙葉類Sがセンサ部11、…を通過してから各保管庫6a、…への振り分けゲートに到達するまでの搬送時間内(検知処理時間の制約)に検査結果を得るようになっている。
【0026】
次に、各検知処理器13aの構成例について詳細に説明する。
図3は、各検知処理器13aの構成例を示す図である。
図3に示すように、各検知処理器13aは、高速CPU31、低速CPU32、外部RAM(外部メモリ)33などを有している。
上記高速CPU31は、CPUコア41、内蔵RAM(内部メモリ)42、DMA(Direct Memory Access)43などにより構成されている。上記CPUコア41は、演算処理を行うプロセッサである。上記CPUコア41は、上記内蔵RAM42にロードされたプログラムに基づいて上記内蔵RAM42に記憶されたデータに対する演算処理を行う。また、上記CPUコア41は、上記内蔵RAM42に演算処理の結果を記憶する。
【0027】
上記内蔵RAM42は、上記CPUコア41が実行すべきプログラム、および、データなどが記憶される。上記内蔵RAM42は、上記CPUコア41による高速なアクセスが可能なメモリである。上記内蔵RAM42は、図4に示すように、制御プログラム記憶領域42a、処理プログラム記憶領域42b、センサデータ記憶領域42c、および、処理結果記憶領域42dなどを有している。これらの記憶領域については、後で詳細に説明する。
【0028】
上記低速CPU32は、上記高速CPU31からの要求に応じて動作するものである。上記低速CPU32は、上記外部ROM33に対するアクセス制御を行う。上記低速CPU32は、上記高速CPU31からの処理プログラムのダウンロード要求(処理プログラムの書き換え要求)に基づいて、外部ROM33に記憶されている処理プログラムを読出し、上記高速CPU131に出力する。
【0029】
上記外部ROM33は、上記高速CPU31にダウンロードする制御プログラム及び種々の処理プログラムなどを記憶している。図3に示す構成例では、上記外部ROM33は、種々の処理プログラムを記憶するための記憶領域33a1、33a2、…、33anと制御プログラムを記憶するための記憶領域33bを有している。上記記憶領域33a1、33a2、…、33anに記憶される各処理プログラムは、上記センサデータに基づいて特定の検査結果を得るための処理を行うプログラムである。たとえば、上記記憶領域33a1、33a2、…、33anに記憶される各処理プログラムとしては、各処理プログラム形状検知処理のための処理プログラム、券種検知処理のための処理プログラム、あるいは、磁性検知処理のための処理プログラムなどがある。ここでは、特定の検査結果を得るための処理を行うための種々の命令からなるアルゴリズムを処理プログラムと呼ぶこことする。
【0030】
次に、上記内蔵RAM42内の構成例について説明する。
図5は、上記内蔵RAM42内の構成例を示す図である。
上記内蔵RAM42には、図5に示すように、制御プログラム記憶領域42a、処理プログラム記憶領域42b、センサデータ記憶領域42c、および、処理結果記憶領域42dなどを有している。
【0031】
上記制御プログラム記憶領域42aは、制御プログラムがロードされる記憶領域である。上記制御プログラム記憶領域42aにロードされる制御プログラムは、当該検知処理器13aの基本的な動作を司るものである。つまり、各検知処理器13aでは、上記制御プログラム記憶領域42aに記憶される制御プログラムをCPUコア41が実行することにより、後述するような各種の処理プログラムによる処理が実現される。
【0032】
上記処理プログラム記憶領域42bは、種々の処理プログラムがロードされる記憶領域である。本紙葉類処理装置では、上記処理プログラム記憶領域42bには、処理プログラム単位で、順次、各種の処理プログラムがロードされる。また、上記処理プログラム記憶領域42bに記憶される処理プログラムは、上記センサデータ記憶領域42cに記憶されるセンサ部11により検知した情報(センサデータ)を処理するためのプログラムである。また、上記処理プログラムでは、適宜、上記処理結果記憶領域42dに記憶される前段の処理での処理結果を用いて処理を実行するようになっている。
【0033】
上記センサデータ記憶領域42cは、上記センサ部11により検知した情報(センサデータ)が記憶される記憶領域である。上記処理結果記憶領域42dは、処理結果が記憶される記憶領域である。つまり、一連の処理に用いられる種々の処理プログラムによる処理結果としてのデータは、上記処理結果記憶領域42dに蓄積される。また、上記処理プログラム記憶領域42bは、上記内蔵RAM42における開始アドレスが固定されている。上記センサデータ記憶領域42cも、上記内蔵RAM42における記憶位置が固定されている。
【0034】
次に、上記のように構成される検知処理器13aの動作例について説明する。
図6は、上記検知処理器13aの動作例を説明するためのフローチャートである。ここでは、各検知処理器13aがそれぞれ1つの紙葉類に対する検査結果を出力するものとする。これは、各検知処理器13aが、特定の紙葉類から各センサ部11、…が検出した種々のデータに対する処理を実行することにより、特定の紙葉類における種々の特徴を検査結果として中央演算部15へ出力する処理である。この場合、各検知処理器13aには、上記分配器12から識別情報で識別される特定の紙葉類から各センサ部11が検知した情報(センサデータ)が分配される。なお、各検知処理器13aでは、特定のセンサ部11が検知した情報が分配されるようにしても良い。これは、各検知処理器13aが、特定のセンサ部が検出したデータに対する処理を実行することにより、各紙葉類についての特定の特徴を検査結果として中央演算部15へ出力する処理形態である。
ここでは、ある検知処理器13aが、特定の紙葉類に対する検査処理を実行するものとする。また、当該検知処理器13aには、特定の紙葉類から各センサ部11、…が検知した種々のデータが供給され、上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cに記憶されているものとする。
【0035】
まず、上記高速CPU31のCPUコア41は、内蔵RAM42の制御プログラム記憶領域42aに記憶されている制御プログラムに基づいて高速CPU31内の初期化処理を行う(ステップS1)。これとともに、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記制御プログラムに基づいて上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bにダウンロードすべき処理プログラムを判定する(ステップS2)。この判定では、少なくとも複数の命令単位からなるプログラムごとにダウンロードすべき処理プログラムとして判定される。ここでは、各処理に対応する各処理プログラム単位でダウンロードすべき1つの処理プログラムが判定されるものとする。
【0036】
ただし、1つの処理に対応する1つの処理プログラムが内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに収まりきらないデータサイズである場合、上記CPUコア41は、1つの処理に対応する1つの処理プログラムを分割した各プログラムを1回のダウンロード処理でダウンロードすべき処理プログラムとして判定するようにしても良い。また、複数の処理に対応する複数の処理プログラムが内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに収まるデータサイズである場合、上記CPUコア41は、複数の処理に対応する複数の処理プログラムを1回のダウンロード処理でダウンロードすべき処理プログラムとして判定するようにしても良い。
【0037】
上記判定によりダウンロードすべき処理プログラムを判定すると、上記高速CPU31のCPUコア41は、当該処理プログラムのダウンロードを要求するダウンロード要求(処理プログラムの書き換え要求)を上記低速CPU32に出力する(ステップS3)。
【0038】
このようなダウンロード要求を受信した低速CPU32では、上記高速CPU31からの要求に応じた処理プログラムのダウンロード処理(処理プログラムの転送処理)を実行する。すなわち、上記ダウンロード要求を受けた低速CPU32は、上記外部ROM33に記憶されている処理プログラムのうち上記高速CPU31からダウンロードが要求された処理プログラムを選択的に読み出す。処理プログラムを読み出すと、上記低速CPU32は、上記高速CPU31に対して当該処理プログラムをダウンロードする。
【0039】
上記低速CPU32により要求した処理プログラムのダウンロードが開始されると、上記高速CPU31では、転送(ダウンロード)されてくる処理プログラムを上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに格納する(ステップS4)。この際、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに格納されていたデータ(実行済みの処理プログラム)は、消去される。つまり、上記ステップS4では、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに格納される処理プログラムが書き換えられるようになっている。
【0040】
上記低速CPU32によりダウンロードされる処理プログラム全体を上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに格納した場合、つまり、上記低速CPU32からの処理プログラムのダウンロードが完了した場合(ステップS5、YES)、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記低速CPU32に対してダウンロードが完了したことを示すダウンロード完了通知を出力する(ステップS6)。
【0041】
また、処理プログラムのダウンロードが完了すると、上記高速CPU31のCPUコア41は、処理対象となるセンサデータが取得済みであるか否かを判断する(ステップS7)。この判断では、少なくともダウンロードした処理プログラムで処理すべきセンサ部11からのデータが上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cに記憶されているか否かを判断する。なお、ここでは、各検知処理器13aでは、特定の紙葉類から各センサ部11、…が検知した種々のデータに対する処理を実行する。このため、特定の紙葉類から各センサ部11、…が検知した種々のデータが上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cに記憶されているか否かを判断するようにしても良い。
【0042】
上記判断により処理対象となるセンサデータが取得済みであると判断した場合(ステップS7、YES)、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶した処理プログラムを実行することにより上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cに記憶されているデータを処理する(ステップS8)。また、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶されている処理プログラムを実行した結果(処理結果)を上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶する(ステップS9)。
【0043】
上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶される処理プログラムによる処理が完了すると、上記高速CPU31のCPUコア41は、一連の処理全体(実行すべき全ての処理プログラムによる処理)が完了したか否かを判断する(ステップS10)。この判断では、上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cに記憶しているセンサデータに対して実行すべき全ての処理プログラムによる処理が完了したか否かを判断する。言い換えると、上記判断では、続いて実行すべき処理プログラムが存在するか否かを判断する。
【0044】
上記判断により一連の処理全体が完了したと判断した場合(ステップS10、YES)、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに格納している処理結果に識別情報を付与した情報を上記共有メモリ13bを介して上記中央演算部15へ出力する。また、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに格納している処理結果に識別情報を付与した情報は、上記共有メモリ13bを介して上記データ蓄積部14にも供給される。
【0045】
なお、ここでは、各検知処理器13aでは、1つの紙葉類から種々のセンサ部11が検知した種々の情報を処理するものとしている。このため、上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cに記憶されているセンサデータに対する一連の処理全体が完了した場合(ステップS10、YES)、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに格納されている処理結果は、識別情報で特定される紙葉類に対する検査結果となっている。従って、上記ステップS11では、識別情報で特定される紙葉類に対する検査結果が検知処理器13aから共有メモリ13bを介して上記中央演算部15および上記データ蓄積部14に供給される。
【0046】
また、上記判断により一連の処理全体が完了していないと判断した場合、つまり、続いて実行すべき処理プログラムが存在すると判断した場合(ステップS10、NO)、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記ステップS2へ戻り、上記ステップS2〜S10の処理を再度行う。この場合、上記高速CPU31では、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶されている処理プログラムが次の処理プログラムに書き換えられ、次の処理プログラムによる処理が実行される。
【0047】
次に、各処理プログラムにより実行される各処理例について説明する。
図7、図8、図9は、それぞれ1つの処理プログラムにより実行される処理の例を説明するためのフローチャートである。図7は、1つの処理プログラムにより実行される1つの処理例としての形状検知処理を説明するためのフローチャートである。図8は、1つの処理プログラムにより実行される処理例としての券種検知処理を説明するためのフローチャートである。図9は、1つの処理プログラムにより実行される処理例としての磁気検知処理を説明するためのフローチャートである。また、これらの各処理は、上記形状検知処理、上記券種検知処理、上記磁気検知処理の順に実行される処理であることを想定している。
【0048】
まず、上記形状検知処理について説明する。
【0049】
上記形状検知処理は、紙葉類上の画像を光学的に読取った画像データに基づいて実行される。従って、センサ部11のうちの1つは、紙葉類上の画像を光学的に読取るスキャナにより構成されるものとする。また、上記センサ部11としてのスキャナは、CCDラインセンサにより構成される。上記センサ部11としてのスキャナは、上記CCDラインセンサが搬送路3を搬送される紙葉類の主走査方向を読取るように設置される。このため、上記センサ部11としてのスキャナにより読取られた画像データは、紙葉類の搬送方向に直交する方向を主走査方向とし、紙葉類の搬送方向を副走査方向と定義するものとする。
【0050】
また、上記検知処理器13aにおける上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cには、上記センサ部11としてのスキャナにより読取った紙葉類上の画像(画像データ)が記憶されているものとする。また、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bには、後述する形状検知処理を実行するための処理プログラム(形状検知処理用の処理プログラム)がロードされているものとする。
【0051】
この状態において、当該検知処理器13aにおける高速CPU31のCPUコア41は、図7に示すように、まず、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶されている形状検知処理用の処理プログラムに従って、紙葉類の全体の形状を検知するための全体形状の検知処理を行う(ステップS21)。この全体形状の検知処理では、上記センサ部11としてのスキャナにより読取った画像データにおいて紙葉類らしい領域を検知する。この検知結果としては、当該画像データにおける紙葉類全体の形状を示す情報が得られる。ここでは、紙葉類が矩形の形状であることを前提とする。この場合、紙葉類全体の形状を示す情報は、当該画像データにおける、主走査方向の始点と終点の座標値、および、副走査方向の始点と終点の座標値により示されるものとする。つまり、全体形状の検知処理の結果としては、主走査方向の始点と終点の座標値、および、副走査方向の始点と終点の座標値が検知結果(処理結果)として上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0052】
上記全体形状の検知処理が完了すると、上記高速CPU31のCPUコア41は、全体形状の検知処理の処理結果として得られた、主走査方向の始点及び終点の座標値と、副走査方向の始点及び終点の座標値とを読み込む処理を行う(ステップS22)。
上記画像データにおける主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値(全体形状の検知処理の処理結果)を読み込むと、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記形状検知処理用の処理プログラムに従って、当該紙葉類の長手方向の大きさと当該紙葉類の幅方向の大きさとを判定する大きさ検知処理を行う(ステップS23)。この大きさ検知処理は、上記全体形状の検知結果としての主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値に基づいて実行される。また、この大きさ検知処理の結果は、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0053】
上記大きさ検知処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記形状検知処理用の処理プログラムに従って、搬送方向に対する当該紙葉類のスライド及びスキュー(傾き)を検知する搬送状態の検知処理を行う(ステップS24)。この搬送状態の検知処理は、上記全体形状の検知結果としての主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値に基づいて実行される。また、この搬送状態の検知処理の結果も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0054】
上記搬送状態の検知処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記形状検知処理用の処理プログラムに従って、当該紙葉類における孔の数とそれらの面積とを検知する孔検知処理を行う(ステップS25)。この孔検知処理は、上記全体形状の検知結果としての主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値により規定される領域において当該紙葉類における孔を全て検知し、それらの孔の面積を算出することにより実行される。また、この孔検知処理の結果も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0055】
上記孔検知処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記形状検知処理用の処理プログラムに従って、当該紙葉類における破れ面積を検知する破れ検知処理を行う(ステップS26)。この破れ検知処理は、上記全体形状の検知結果としての主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値により規定される領域において当該紙葉類における破れ領域を検知し、それらの破れ領域の面積を算出することにより実行される。また、この破れ検知処理の結果も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0056】
上記破れ検知処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記形状検知処理用の処理プログラムに従って、当該紙葉類における折れ面積を検知する折れ検知処理を行う(ステップS24)。この折れ検知処理は、上記全体形状の検知結果としての主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値により規定される領域において当該紙葉類における折れ領域を検知し、それらの折れ領域の面積を算出することにより実行される。また、この折れ検知処理の結果も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0057】
上記のような1つの処理プログラムにより実現される形状検知処理では、1つの紙葉類に関する検査結果として、全体形状、大きさ、搬送状態、孔、破れ、および、折れなどが検知され、それらの結果が上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0058】
次に、上記券種検知処理について説明する。
【0059】
上記券種検知処理は、紙葉類上の画像を光学的に読取った画像データに基づいて実行される。また、上記券種検知処理は、上記形状検知処理の次に実行されるものとする。従って、上記券種検知処理を実行する場合、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dには、上記形状検知処理の処理結果が記憶されている。このため、上記券種検知処理を実現する処理プログラムは、上記形状検知処理の処理結果を適宜参照するようにプログラミングされている。
【0060】
また、以下の説明では、上記検知処理器13aにおける上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cには、上記センサ部11としてのスキャナにより読取った紙葉類上の画像(画像データ)が記憶されているものとする。また、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bには、後述する券種検知処理を実行するための1つの処理プログラム(券種検知処理用の処理プログラム)がロードされているものとする。ここでは、上記券種検知処理は、形状検知処理の次に実行されることを想定している。このため、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶される処理プログラムは、形状検知処理用の処理プログラムから券種検知処理用の処理プログラムに書き換えられているものとする。
【0061】
この状態において、当該検知処理器13aにおける高速CPU31のCPUコア41は、図8に示すように、まず、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶されている券種検知処理用の処理プログラムに従って、上記形状検知処理により得られている主走査方向における始点と終点との座標値、及び、副走査方向における始点と終点との座標値を上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dから読み込む処理を行う(ステップS31)。
【0062】
上記画像データにおける主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値を読み込むと、上記高速CPU31のCPUコア41は、それらの座標値から想定される紙葉類の画像において、券種を検知するための画像の領域を決定する券種検知領域の決定処理を行う(ステップS32)。この券種検知領域の決定処理は、上記全体形状の検知結果としての主走査方向の始点と終点との座標値および副走査方向の始点と終点との座標値に基づいて規定される紙葉類全体の領域に対して、券種を検知するための特徴的な画像が存在すると予測される領域を決定する処理である。また、この券種検知領域の決定処理の結果は、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0063】
上記券種検知領域の決定処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記券種検知処理用の処理プログラムに従って、上記券種検知領域の決定処理による処理結果としての券種検知領域の画像からサンプルパターンを作成するサンプルパターン作成処理を行う(ステップS33)。このサンプルパターン作成処理の結果も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0064】
上記サンプルパターン作成処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記券種検知処理用の処理プログラムに従って、上記サンプルパターンと券種を特定するための所定の種々のパターン(各券種の標準パターン)とのパターンマッチングを行うマッチング処理を行う(ステップS34)。このマッチング処理では、上記サンプルパターン作成処理の処理結果としてのサンプルパターンと所定の各券種の標準パターンと類似度を算出する。さらに、このマッチング処理では、当該紙葉類が、算出した各類似度のうち最も類似度が大きい券種であることを判定する処理である。また、このマッチング処理の結果(当該紙葉類の券種を示す情報)も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0065】
上記のような1つの処理プログラムにより実現される券種検知処理では、1つの紙葉類に関する検査結果として券種が検知され、それらの結果が上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。また、上記券種検知処理では、上記形状検知処理の処理結果を参照して券種が判定される。
【0066】
次に、上記磁気検知処理について説明する。
【0067】
上記磁気検知処理は、紙葉類における磁気の分布を示す磁気情報に基づいて実行される。従って、上記センサ部11のうちの1つは、紙葉類における磁気を検知するための複数の磁気ヘッドからなる磁気検知センサにより構成されるものとする。たとえば、上記センサ部11としての磁気センサは、各磁気ヘッドが搬送方向に対して直交する方向に並べられている。また、上記センサ部11としての磁気検知センサにより検知される磁気情報(紙葉類における磁気の分布を示す情報)は、上記センサ部11としてのスキャナと同様に、紙葉類の搬送方向に直交する方向を主走査方向とし、紙葉類の搬送方向を副走査方向と定義するものとする。
【0068】
また、上記磁気検知処理は、上記形状検知処理及び上記券種検知処理の次に実行されるものとする。従って、上記磁気検知処理を実行する場合、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dには、上記形状検知処理の処理結果と上記券種検知処理の処理結果が記憶されている。このため、上記磁気検知処理を実現する処理プログラムは、上記形状検知処理の処理結果あるいは上記券種検知処理の処理結果を適宜参照するようにプログラミングされている。
【0069】
また、以下の説明では、上記検知処理器13aにおける上記内蔵RAM42のセンサデータ記憶領域42cには、上記センサ部11としてのスキャナにより読取った画像データのほかに、上記センサ部11としての磁気検知センサにより検知した磁気情報が記憶されているものとする。また、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bには、後述する磁気検知処理を実行するための1つの処理プログラム(磁気検知処理用の処理プログラム)がロードされているものとする。ここでは、上記磁気検知処理は、券種検知処理の次に実行されることを想定している。このため、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶される処理プログラムは、券種検知処理用の処理プログラムから磁気検知処理用の処理プログラムに書き換えられているものとする。
【0070】
この状態において、当該検知処理器13aにおける高速CPU31のCPUコア41は、図9に示すように、まず、上記内蔵RAM42の処理プログラム記憶領域42bに記憶されている磁気検知処理用の処理プログラムに従って、上記形状検知処理により得られている主走査方向における始点の座標値、及び、副走査方向における始点の座標値を上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dから読み込む処理を行う(ステップS41)。
【0071】
上記紙葉類の形状を示す主走査方向における始点の座標値および副走査方向における始点の座標値を読み込むと、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記磁気検知処理用の処理プログラムに従って、上記センサ部11としての磁気センサを構成する各磁気ヘッドが検出する磁気情報をチャンネルごとに全体積分する全体積分処理を行う(ステップS42)。このチャンネルごとの全体積分処理は、上記形状検知処理の結果としての主走査方向における始点の座標値および副走査方向における始点の座標値に基づいて規定される紙葉類全体において各チャンネルごとの全体積分量(磁気量)を検出する処理である。また、このチャンネルごとの全体積分処理の結果は、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0072】
上記全体積分処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記磁気検知処理用の処理プログラムに従って、上記センサ部11としての磁気センサを構成する各磁気ヘッドが検出する磁気情報をチャンネルごとに部分積分する部分積分処理を行う(ステップS43)。このチャンネルごとの部分積分処理は、上記形状検知処理の結果としての主走査方向における始点の座標値および副走査方向における始点の座標値に基づいて規定される紙葉類全体において各チャンネルごとの特定の部分について積分量(磁気量)を検出する処理である。また、このチャンネルごとの部分積分処理の結果は、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0073】
上記チャンネルごとの部分積分処理に続いて、上記高速CPU31のCPUコア41は、上記磁気検知処理用の処理プログラムに従って、上記チャンネルごとの比較処理を行う(ステップS44)。この比較処理では、上記全体積分処理の処理結果及び上記部分積分処理の処理結果に基づいて、当該紙葉類が有する磁気情報としての特徴が上記券種検知処理により判定された券種が有する磁気情報としての特徴を有しているか否かを判定する処理である。また、この比較処理の結果(当該紙葉類の磁気情報が正常か否かを示す情報)も、上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。
【0074】
上記のような1つの処理プログラムにより実現される磁気検知処理では、1つの紙葉類に関する検査結果として券種が検知され、それらの結果が上記内蔵RAM42の処理結果記憶領域42dに記憶される。また、上記磁気検知処理では、上記形状検知処理の処理結果を参照して当該紙葉類が上記券種検知処理で判定された券種の磁気情報としての特徴を有しているが否かが判定される。
【0075】
これらのような処理例では、各処理の処理結果を参照して次の処理が実行される。このような場合、本紙葉類処理装置の検査処理部では、高速CPUの内部メモリに、実行すべき各処理ごとに対応する各処理プログラムを処理プログラム単位で書き換えるだけでなく、前段の処理結果をメモリに保持する。このため、各センサ部が検知した情報を効率に処理することができる。また、この結果として、本紙葉類処理装置全体としても、紙葉類の効率的な処理が実現できる。
【0076】
次に、第2の実施の形態について説明する。
上記第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態で説明した検査処理部と同様な基本構成の住所読取部(文字認識部)を有する郵便物区分装置(紙葉類処理装置)について説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る郵便物区分装置100の概略的な構成例を示す図である。また、図11は、図10に示す郵便物区分装置100における制御系統の構成を概略的に示す図である。
【0077】
図10に示すように、郵便物区分装置100は、処理対象となる紙葉類(郵便物)が収容される供給部102が設けられている。上記供給部102に収容される紙葉類(郵便物)には、その第1面に宛先情報に対応した文字情報(郵便番号、住所、宛名等)が記載されている。上記供給部102には、第1面が同一方向を向くように後端を揃えて立位で複数の郵便物が収容される。上記供給部102には、収容されている各郵便物を所定の取出位置へ順次供給するようになっている。この郵便物の取出位置には、供給部102に収容されている郵便物を主搬送路103に沿って一通づつ取出す取出部104が配設されている。尚、供給部102には、取出位置に供給された場合に、郵便番号が上方に位置し、且つ、第1面が取出部104に向うように整列して郵便物が配置される。
【0078】
上記取出部104により取出された郵便物は、一定速度で走行する搬送ベルトを有する主搬送路103を介して搬送される。主搬送路103上には、郵便物に異物が含まれている場合に、その異物を検知したり、郵便物自体の硬さを検知したりする異物・硬さ検知部105が設けられている。異物・硬さ検知部105の下流側で主搬送路103から分岐された搬送路上には、異物・硬さ検知部105により機械処理が不可能と判断された郵便物を排除する排除集積部105aが設けられている。
異物・硬さ検知部105の下流側の主搬送路103上には、郵便物に記載されている宛先情報を判別する住所読取部106が設けられている。上記住所読取部106では、郵便物の第1面の画像を読取り、その読取った郵便物の第1面の画像に基づいて宛先情報を認識し、その認識した宛先情報に基づいて当該郵便物の区分先(区分集積部107における区分ポケット108)を判定する。
【0079】
上記住所読取部106の下流側の主搬送路103の終端には、郵便物を所定の区分ポケット(区分先)へ区分して集積する区分集積部107(区分集積手段)が接続されている。尚、区分先とは、郵便物が区分集積される区分ポケットの位置をいうものとする。上記区分集積部107は、複数の段および複数の列に区画された複数の区分ポケット108を有している。たとえば、8段25列の200個の区分ポケット108、…により構成されている。各区分ポケット108の上方には、各々区分ゲート(図示しない)が設けられている。これらの区分ゲートを選択的に切換えることにより、郵便物は、所定の区分ポケット108に区分されるようになっている。なお、郵便物の区分制御は、上記住所読取部106による判別結果に基づいて後述する制御部112により制御される。
【0080】
また、図10に示す構成例では、区分集積部107に向う主搬送路103の終端近くには、区分集積部107の各段パス部109に対応した複数の切換ゲート110が設けられている。各切換ゲート110を選択的に切換えることにより、上記主搬送路103は、各段パス部109を通じて複数の段のうちいずれかに選択的に接続されるようになっている。
更に、郵便物区分装置100の図中左側前面には、係員による各種入力操作が成される操作パネル111が設けられている。上記郵便物区分装置100の図中右側には、郵便物区分装置100の区分動作を制御する制御部112が設けられている。
【0081】
次に、上記住所読取部106の構成について説明する。
図12は、上記住所読取部106の構成例を示す図である。
図12に示す構成例は、上記第1の実施の形態で説明した紙葉類処理装置1の検知処理器13aの構成と類似している。
上記住所読取部106は、スキャナ121、前処理部122、および、判別部123を有している。上記スキャナ121は、郵便物の第1面の画像を光学的に読取り、画像データに変換するものである。上記スキャナ121は、CCDセンサおよびA/D変換器などにより構成される。上記CCDセンサは、宛先情報が記載されている郵便物の第1面を光学的に走査し、電気信号に変換するものである。上記CCDセンサにより読取った画像データとしての電気信号は、A/D変換器へ供給される。A/D変換器は、CCDセンサからの画像データをビットマップデータ等のデジタルデータに変換する。このA/D変換器によりデジタルに変換された画像データは、前処理部122へ供給される。
上記前処理部122は、上記スキャナ121により読取った画像データに前処理を施すものである。上記前処理部122では、上記スキャナ121から供給される画像データの正規化等の前処理を行う。上記前処理部122は、前処理を施した画像データを上記判別部123へ供給する。
上記判別部123は、郵便物の第1面の画像から宛先情報としての文字情報を認識する。上記判別部123では、認識した宛先情報としての文字情報に基づいて当該郵便物の区分先を判定する。上記判別部123による判定結果は、上記制御部112へ供給されるようになっている。なお、上記判別部123は、当該郵便物区分装置100内に複数個、設けられるように構成しても良い。この場合、上記スキャナ121により読取った郵便物の画像データが各判別部123に分配されるようにすれば良い。
【0082】
上記判別部123は、図3に示す検知処理器13aと同様に、高速CPU131、低速CPU132、および、外部RAM(外部メモリ)133などを有している。
上記高速CPU131は、上記高速CPU31と同様に、CPUコア141、内蔵RAM(内部メモリ)142、DMA(Direct Memory Access)143などにより構成されている。上記CPUコア141は、演算処理を行うプロセッサである。上記CPUコア141は、上記内蔵RAM142にロードされたプログラムに基づいて上記内蔵RAM142に記憶されたデータに対する演算処理を行う。また、上記CPUコア141は、上記内蔵RAM142に演算処理の結果を記憶する。
【0083】
上記内蔵RAM142は、上記CPUコア141が実行すべきプログラム、および、データなどが記憶される。上記内蔵RAM142は、上記CPUコア141による高速なアクセスが可能なメモリである。上記内蔵RAM142は、図12に示すように、制御プログラム記憶領域142a、処理プログラム記憶領域142b、センサデータ記憶領域142c、および、処理結果記憶領域142dなどを有している。
なお、図12に示す制御プログラム記憶領域142a、処理プログラム記憶領域142b、センサデータ記憶領域142c、および、処理結果記憶領域142dは、それぞれ、図5に示す制御プログラム記憶領域42a、処理プログラム記憶領域42b、センサデータ記憶領域42c、および、処理結果記憶領域42dと同様な機能を有している。このため、詳細な説明は省略する。
【0084】
上記低速CPU132は、上記高速CPU131からの要求に応じて動作するものである。上記低速CPU132は、上記外部ROM133に対するアクセス制御を行う。上記低速CPU132は、上記高速CPU131からの処理プログラムのダウンロード要求(処理プログラムの書き換え要求)に基づいて、外部ROM133に記憶されている処理プログラムを読出し、上記高速CPU131に出力する。
【0085】
上記外部ROM133は、上記高速CPU131にダウンロードする制御プログラム及び種々の処理プログラムなどを記憶している。図12に示す構成例では、上記外部ROM133は、種々の処理プログラムを記憶するための記憶領域133a1、133a2、…、133anと制御プログラムを記憶するための記憶領域133bを有している。上記記憶領域133a1、133a2、…、133anに記憶される各処理プログラムは、上記センサデータに基づいて特定の検査結果を得るための処理を行うプログラムである。
たとえば、上記記憶領域133a1、133a2、…、133anに記憶される各処理プログラムとしては、文字が記載されている領域を検出する処理(文字領域検出処理)のための処理プログラム、文字行を検出する処理(行検出処理)のための処理プログラム、個々の文字を検出する処理(文字検出処理)のための処理プログラム、文字を認識する処理(文字認識処理)のための処理プログラムなどがある。ここでは、特定の処理結果を得るための処理を行うための種々の命令からなるアルゴリズムを処理プログラムと呼ぶこことする。また、文字領域検出処理は、スキャナ121により読取った郵便物の画像データから宛先情報としての文字情報が記載されている領域(文字領域)を検出する処理である。上記行検出処理は、スキャナ121により読取った画像データ内の上記文字領域から宛先情報としての文字情報を行単位で検出する処理である。上記文字検出処理は、検出した文字行から各文字を1文字ずつ検出する処理である。また、上記文字検出処理では、検出した各文字(文字パターン)を正規化する。上記文字認識処理は、検出した1文字ずつの文字パターンを辞書の基準パターンとのマッチング法などによって文字を認識するものである。さらに、上記文字認識処理では、認識した各文字からなる単語と住所として使用される単語が登録されている辞書とを比較することにより宛先情報を認識するようにしても良い。
【0086】
次に、上記のように構成される判別部123の動作例について説明する。
図13は、上記判別部123の動作例を説明するためのフローチャートである。ここでは、上記判別部123には、上記スキャナ121により読取った各郵便物の画像データが上記前処理部122を介して供給される。このため、上記判別部123には、上記スキャナ121が読取った郵便物の画像データが上記内蔵RAM142のセンサデータ記憶領域142cにセンサデータとして記憶される。
【0087】
まず、上記高速CPU131のCPUコア141は、内蔵RAM142の制御プログラム記憶領域142aに記憶されている制御プログラムに基づいて高速CPU131内の初期化処理を行う(ステップS101)。これとともに、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記制御プログラムに基づいて上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに、一連の処理(区分先の判別処理)における最初にダウンロードすべき処理プログラムとして、第1の処理としての文字領域検出処理用の処理プログラムをダウンロードする旨のダウンロード要求を上記低速CPU132に出力する(ステップS102)。
【0088】
このようなダウンロード要求を受信した低速CPU132では、上記高速CPU131からの要求に応じて、文字領域検出処理用の処理プログラムのダウンロード処理(処理プログラムの転送処理)を実行する。すなわち、上記ダウンロード要求を受けた低速CPU132は、上記外部ROM133に記憶されている処理プログラムのうち文字領域検出処理用の処理プログラムを選択的に読み出す。当該処理プログラムを読み出すと、上記低速CPU132は、上記高速CPU131に対して当該処理プログラムをダウンロードする。
【0089】
上記低速CPU132により要求した文字領域検出用の処理プログラムのダウンロードが開始されると、上記高速CPU131では、転送(ダウンロード)されてくる処理プログラムを上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに格納する(ステップS103)。
上記低速CPU132によりダウンロードされる文字領域検出処理用の処理プログラム全体を上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに格納した場合、つまり、上記低速CPU132からの処理プログラムのダウンロードが完了した場合(ステップS104、YES)、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記低速CPU132に対してダウンロードが完了したことを示すダウンロード完了通知を出力する(ステップS105)。
【0090】
また、文字領域検出処理用の処理プログラムのダウンロードが完了すると、上記高速CPU131のCPUコア141は、処理対象となる郵便物の画像データが取得済みであるか否かを判断する(ステップS106)。この判断では、上記スキャナ121により読取った郵便物の画像データが上記内蔵RAM142のセンサデータ記憶領域142cに記憶されているか否かを判断する。
【0091】
上記判断により処理対象となる画像データが取得済みであると判断した場合(ステップS106、YES)、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに記憶した処理プログラムを実行する(ステップS107)。ここでは、上記処理プログラム記憶領域142bには、文字領域検出処理用の処理プログラムが格納されている。このため、上記CPUコア141は、上記センサデータ記憶領域142cに記憶している画像データから文字領域を検出を処理を実行する。また、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに記憶されている文字領域検出処理用の処理プログラムを実行した結果(処理結果)を上記内蔵RAM142の処理結果記憶領域142dに記憶する(ステップS108)。
【0092】
上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bにロードされた処理プログラムによる処理が完了すると、上記高速CPU131のCPUコア141は、一連の処理全体(実行すべき全ての処理プログラムによる処理)が完了したか否かを判断する(ステップS109)。この判断では、上記内蔵RAM142のセンサデータ記憶領域142cに記憶している郵便物の画像データに対して実行すべき全ての処理プログラムによる処理が完了したか否かを判断する。言い換えると、上記判断では、続いて実行すべき処理プログラムが存在するか否かを判断する。
【0093】
上記判断により一連の処理全体が完了したと判断した場合(ステップS109、YES)、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記内蔵RAM142の処理結果記憶領域142dに格納している処理結果に識別情報(郵便物を特定するための情報)を付与した情報を上記制御部112へ出力する。
【0094】
また、上記判断により一連の処理全体が完了していないと判断した場合、つまり、続いて実行すべき処理プログラムが存在すると判断した場合(ステップS109、NO)、上記高速CPU131のCPUコア141は、次にダウンロードすべき処理プログラムを判定する(S111)。この判定では、少なくとも複数の命令単位からなるプログラムごとにダウンロードすべき処理プログラムとして判定される。ここでは、各処理に対応する各処理プログラム単位でダウンロードすべき1つの処理プログラムが判定されるものとする。
【0095】
なお、上述した第1の実施の形態と同様に、1つの処理に対応する1つの処理プログラムが内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに収まりきらないデータサイズである場合、上記CPUコア141は、1つの処理に対応する1つの処理プログラムを分割した各プログラムを1回のダウンロード処理でダウンロードすべき処理プログラムとして判定するようにしても良い。また、複数の処理に対応する複数の処理プログラムが内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに収まるデータサイズである場合、上記CPUコア141は、複数の処理に対応する複数の処理プログラムを1回のダウンロード処理でダウンロードすべき処理プログラムとして判定するようにしても良い。
【0096】
上記判定によりダウンロードすべき処理プログラムを判定すると、上記高速CPU131のCPUコア141は、当該処理プログラムのダウンロードを要求するダウンロード要求(処理プログラムの書き換え要求)を上記低速CPU132に出力する(ステップS112)。
このようなダウンロード要求を受信した低速CPU132では、上記高速CPU131からの要求に応じた処理プログラムのダウンロード処理(処理プログラムの転送処理)を実行する。すなわち、上記ダウンロード要求を受けた低速CPU132は、上記外部ROM133に記憶されている処理プログラムのうち上記高速CPU131からダウンロードが要求された処理プログラムを選択的に読み出す。処理プログラムを読み出すと、上記低速CPU132は、上記高速CPU131に対して当該処理プログラムをダウンロードする。
【0097】
上記低速CPU132により要求した処理プログラムのダウンロードが開始されると、上記高速CPU131では、転送(ダウンロード)されてくる処理プログラムを上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域42bに格納する(ステップS113)。この際、上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに格納されていたデータ(実行済みの処理プログラム)は、消去される。つまり、上記ステップS113では、上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに格納される処理プログラムが書き換えられるようになっている。
【0098】
上記低速CPU132によりダウンロードされる処理プログラム全体を上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに格納した場合、つまり、上記低速CPU132からの処理プログラムのダウンロードが完了した場合(ステップS114、YES)、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記低速CPU132に対してダウンロードが完了したことを示すダウンロード完了通知を出力する(ステップS115)。
【0099】
また、当該処理プログラムのダウンロードが完了すると、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記ステップS107と同様に、上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域42bに記憶した処理プログラムを実行する(ステップS107)。この場合、上記高速CPU131のCPUコア141は、前段の処理で得られた処理結果も参照して上記処理プログラム記憶領域142bに記憶した処理プログラムを実行する。たとえば、第2の処理として文字行検出処理を行う場合、当該処理プログラムでは、上記処理結果記憶領域142dに記憶されている第1の処理としての文字領域の検出処理による処理結果(文字領域を示す情報)を参照して、文字行を検出するようになっている。
【0100】
また、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記ステップS108と同様に、上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに記憶されている処理プログラムを実行した結果(処理結果)を上記内蔵RAM142の処理結果記憶領域142dに記憶する(ステップS108)。
【0101】
上記内蔵RAM142の処理プログラム記憶領域142bに記憶される処理プログラムによる処理が完了すると、上記高速CPU131のCPUコア141は、一連の処理全体(実行すべき全ての処理プログラムによる処理)が完了したか否かを判断する(ステップS109)。上記判断により一連の処理全体が完了したと判断した場合(ステップS109、YES)、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記内蔵RAM142の処理結果記憶領域142dに格納している処理結果に識別情報を付与した情報を上記制御部112へ出力する。
【0102】
また、上記判断により一連の処理全体が完了していないと判断した場合、つまり、続いて実行すべき処理プログラムが存在すると判断した場合(ステップS10、NO)、上記高速CPU131のCPUコア141は、上記ステップS111へ戻り、上記ステップS111〜S115及びS107〜S108の処理を再度行う。この場合、上記高速CPU31では、上記内蔵RAM42の処理プログラム42bに記憶されている処理プログラムが次の処理プログラムに書き換えられ、次の処理プログラムによる処理が実行される。
【0103】
上記郵便物区分装置100では、高速CPU131が区分先を判別するための区分先の判別処理として実行される種々の処理に対応する複数の処理プログラムを各処理プログラム単位で外部メモリから高速CPU内の内蔵RAMにローディングするようにしたものである。これにより、区分先の判別処理全体の処理速度を向上させることができる。さらに、この結果として、上記郵便物区分装置100における紙葉類に対する処理を効率化することができる。
上記第1、第2の実施の形態による効果としては、たとえば、高速CPU内の内部メモリに記憶されている場合、上記高速CPUが5msecで処理する処理プログラムは、高速CPUが外部メモリに記憶されている処理プログラムを各命令単位で読み込んで処理する場合には10msec程度の処理時間が必要となる。さらに、高速CPU内の内部メモリに対する処理プログラムの書換えに要する時間が数μsecであるとすれば、上記紙葉類処理装置あるいは上記郵便物区分装置が20msec程度で行う複数の処理プログラムからなる一連の処理は、外部メモリの処理プログラムを各命令単位でロードして処理する装置では、35msec程度の処理時間が必要となる。
【0104】
上述したように、第1の実施の形態で説明した紙葉類処理装置、あるいは、第2の実施の形態で説明した郵便物区分装置では、紙葉類を処理するための種々の処理プログラムの実行に伴って、処理効率が低下することを抑制することができる。この結果として、上記紙葉類処理装置あるいは上記郵便物区分装置では、紙葉類を効率的に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施の形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】紙葉類処理装置の検査処理部の構成例を示す図である。
【図3】分配器から分配されるセンサデータの構成例を示す図である。
【図4】検査処理器の構成例を示す図である。
【図5】高速CPU内の内蔵RAM内の構成例を示す図である。
【図6】検査処理器の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】1つの処理プログラムにより実行される処理例としての形状検知処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】1つの処理プログラムにより実行される処理例としての券種検知処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】1つの処理プログラムにより実行される処理例としての磁気検知処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る郵便物区分装置の概略構成を示す図である。
【図11】郵便物区分装置の制御系統の構成例を示す図である。
【図12】住所読取部内の判別部の構成例を示す図である。
【図13】判別部の動作例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
S…検知対象物(紙葉類、郵便物)、1…紙葉類処理装置、100…郵便物区分装置(紙葉類処理装置)、3、103…搬送路(搬送手段)、4…検査装置(検査手段)、106…住所読取部(検査手段)、5…搬送制御部(紙葉類処理手段)、107…区分集積部(紙葉類処理手段)、11…センサ部(検知手段)、121…スキャナ(検知手段)、13…検知処理部(検査手段)、13a…検知処理器(検査手段)、123…判別部、15…中央演算部(紙葉類処理手段)、112…制御部(紙葉類処理手段)、31、131…高速CPU(第2の処理手段)、32、132…低速CPU(第1の処理手段)、33、133…外部ROM(外部記憶手段)、41、141…CPUコア(演算処理手段)、42、142…内蔵RAM(内部記憶手段)、42a、142a…制御プログラム記憶領域、42b、142b…処理プログラム記憶領域(第2の記憶領域)、42c、142c…センサデータ記憶領域(第1の記憶領域)、42d、142d…処理結果記憶領域(第3の記憶領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を処理する紙葉類処理装置であって、
処理対象とする紙葉類の特徴量を含む情報を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された情報を処理するための複数の命令からなる種々の処理プログラムが予め記憶されている外部記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されている種々の処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードする第1の処理手段と、
前記第1の処理手段により各処理プログラム単位で選択的にロードされ、内部記憶手段に記憶された処理プログラムを実行する第2の処理手段と、
前記第2の処理手段により実行された処理プログラムの処理結果に基づいて紙葉類を処理する紙葉類処理手段と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記第2の処理手段は、
前記検知手段により検知された情報を格納する第1の記憶領域と前記第1の処理手段により各処理プログラム単位で選択的にロードされた処理プログラムを格納する第2の記憶領域とを有する内部記憶手段と、
前記内部記憶手段の前記第2の記憶領域に格納されている処理プログラムを実行することにより前記第1の記憶領域に記憶されている前記検知手段により検知された情報を処理する演算処理手段と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記内部記憶手段は、さらに、前記演算処理手段により実行された処理結果を格納するための第3の記憶領域を有し、
前記演算処理手段は、前記内部記憶手段の前記第3の記憶領域に格納されている処理結果を参照して前記内部記憶手段の前記第2の記憶領域に格納されている処理プログラムを実行することにより、前記第1の記憶領域に記憶されている前記検知手段により検知された情報を処理する、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記第2の処理手段は、前記検知手段により検知された情報に対する処理状況に応じて前記第1の処理手段に所望の処理プログラムを要求し、
前記第1の処理手段は、前記第2の処理手段からの要求に応じて前記外部記憶手段に記憶されている処理プログラムを前記第2の処理手段へロードする、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記外部記憶手段には、前記紙葉類処理手段が紙葉類を処理するために必要な情報を得るための一連の複数の処理プログラムが記憶され、
前記第2の処理手段は、前記内部記憶手段にロードした処理プログラムが終了するごとに次の処理プログラムを前記第1の処理手段に要求し、前記内部記憶手段の第2の記憶領域に記憶されている処理プログラムを前記要求に応じて前記第1の処理手段からロードされた処理プログラムに書き換える、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
紙葉類を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される紙葉類から特徴量を含む情報を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された情報に基づいて前記紙葉類を検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果に応じて前記搬送手段により搬送されている紙葉類を処理する紙葉類処理手段と、を有する紙葉類処理装置であって、
前記検査手段は、
前記検知手段により検知された情報に基づいて紙葉類を区分するための検査結果を得るための複数の命令からなる種々の処理プログラムが予め記憶されている外部記憶手段と、
前記外部記憶手段に記憶されている種々の処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードする第1の処理手段と、
前記第1の処理手段により各処理プログラム単位で選択的にロードされ、内部記憶手段に記憶された処理プログラムを実行する第2の処理手段と、を有する、
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記第2の処理手段は、
前記検知手段により検知された情報を格納する第1の記憶領域と前記第1の処理手段により各処理プログラム単位で選択的にロードされた処理プログラムを格納する第2の記憶領域とを有する内部記憶手段と、
前記内部記憶手段の前記第2の記憶領域に格納されている処理プログラムを実行することにより前記第1の記憶領域に記憶されている前記検知手段により検知された情報を処理する演算処理手段と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項6に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記内部記憶手段は、さらに、前記演算処理手段により実行された処理結果を格納するための第3の記憶領域を有し、
前記演算処理手段は、前記内部記憶手段の前記第3の記憶領域に格納されている処理結果を参照して前記内部記憶手段の前記第2の記憶領域に格納されている処理プログラムを実行することにより、前記第1の記憶領域に記憶されている前記検知手段により検知された情報を処理する、
ことを特徴とする前記請求項7に記載の紙葉類処理装置。
【請求項9】
前記第2の処理手段は、前記検知手段により検知された情報に対する処理状況に応じて前記第1の処理手段に所望の処理プログラムを要求し、
前記第1の処理手段は、前記第2の処理手段からの要求に応じて前記外部記憶手段に記憶されている処理プログラムを前記第2の処理手段へ出力する、
ことを特徴とする前記請求項7に記載の紙葉類処理装置。
【請求項10】
前記外部記憶手段には、前記紙葉類処理手段が紙葉類を処理するために必要な情報を得るための一連の複数の処理プログラムが記憶され、
前記第2の処理手段は、前記内部記憶手段にロードした処理プログラムが終了するごとに次の処理プログラムを前記第1の処理手段に要求し、前記内部記憶手段の第2の記憶領域に記憶されている処理プログラムを前記要求に応じて前記第1の処理手段からロードされた処理プログラムに書き換える、
ことを特徴とする前記請求項9に記載の紙葉類処理装置。
【請求項11】
紙葉類を処理する紙葉類処理方法であって、
処理対象とする紙葉類から特徴量を含む情報を検知するステップと、
処理対象とする紙葉類から検知された特徴量を含む情報から当該紙葉類を処理するための情報を得るための複数の命令からなる種々の処理プログラムが予め記憶されている外部記憶手段から前記処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードするステップと、
前記処理プログラム単位で選択的にロードされた処理プログラムを実行するステップと、
前記処理プログラムの処理結果に基づいて紙葉類を処理するステップと、
を有することを特徴とする紙葉類処理方法。
【請求項12】
さらに、処理対象とする紙葉類から検知された特徴量を含む情報を内部記憶手段における第1の記憶領域に記憶するステップと、
前記処理プログラム単位で選択的にロードされた処理プログラムを前記内部記憶手段における第2の記憶領域に記憶するステップと、を有し、
前記処理プログラムを実行するステップは、前記内部記憶手段の前記第1の記憶領域に記憶した処理対象とする紙葉類から検知された特徴量を含む情報を参照して前記内部記憶手段の前記第2の記憶領域に格納されている処理プログラムを実行する、
ことを特徴とする前記請求項11に記載の紙葉類処理方法。
【請求項13】
さらに、前記内部記憶手段における第3の記憶領域に実行された処理結果を記憶するステップを有し、
前記処理プログラムを実行するステップは、前記内部記憶手段の前記第3の記憶領域に格納されている処理結果と、前記内部記憶手段の前記第1の記憶領域に記憶した処理対象とする紙葉類から検知された特徴量を含む情報とを参照して、前記内部記憶手段の前記第2の記憶領域に格納されている処理プログラムを実行する、
ことを特徴とする前記請求項12に記載の紙葉類処理方法。
【請求項14】
前記処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードするステップは、前記処理対象とする紙葉類から検知された特徴量を含む情報に対する処理状況に応じた処理プログラムを前記外部記憶手段からロードする、
ことを特徴とする前記請求項12に記載の紙葉類処理方法。
【請求項15】
前記外部記憶手段には前記紙葉類を処理するために必要な情報を得るための一連の複数の処理プログラムが記憶されており、
前記処理プログラムを処理プログラム単位で選択的にロードするステップは、前記内部記憶手段の第2の記憶領域にロードされている処理プログラムが終了するごとに次の処理プログラムをロードし、前記処理プログラムを前記内部記憶手段の第2の記憶領域に記憶するステップは、前記内部記憶手段の第2の記憶領域に記憶されている処理プログラムを前記ロードされた処理プログラムに書き換える、
ことを特徴とする前記請求項14に記載の紙葉類処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−293992(P2006−293992A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39353(P2006−39353)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】