説明

紙葉類取扱装置における作業命令の実行

【課題】保守作業員の作業負担を軽減し、簡便に紙葉類取扱装置からデータを取得する技術を提供する。
【解決手段】メモリカード200に作業命令を記した作業命令ファイル210を設定する。紙幣鑑別装置100のCPU40は、メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続されると、作業命令ファイル210に記された作業命令を実行し、データファイル記憶部230にデータファイルを保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣と有価証券などの紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置における作業命令の実行に関する。
【背景技術】
【0002】
自動取引装置(以下、ATM:Automated Teller Machinesと呼ぶ)の紙幣鑑別装置は、入金紙幣の特徴をセンサで読み取ることで紙幣の特徴を示す紙幣特徴データを取得し、該紙幣特徴データに基づいて入金紙幣の鑑別を行なっている。紙幣鑑別装置は、このような紙幣特徴データ以外にも種々のデータを、紙幣鑑別装置の保守点検のために記憶している。これらのデータをネットワークで送信することはセキュリティ上問題があるので、ATMの保守作業員は、紙幣鑑別装置の保守作業を行なう場合、鑑別装置内の機密情報を管理できる人のみで現地までコンピュータを持参し、コンピュータをATMに接続して、作業環境を構築して、該データをコンピュータに移動させる作業を行なっていた。また、地域によって、流通される紙幣の汚れや印刷のばらつきによる紙幣特徴データのばらつきが大きくなるが、サンプルとして入手できる紙幣はごく一部でしかない。設計者は、その限られたサンプル紙幣の特徴データから、紙幣鑑別アルゴリズムの設計を行っていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−298771号公報
【特許文献2】特開2002−150362号公報
【特許文献3】特開2004−94624号公報
【特許文献4】特開平6−150114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各地に点在するATMまでコンピュータを持参し、コンピュータをATMに接続し、作業環境を構築して保守作業を行なうことは、保守作業員の大きな労力を必要とする。また、作業に際して、保守作業員は、様々な作業命令をATMに実行させる必要がある場合があり、保守作業員に高い技術を要求することもあった。また、鑑別装置部の保守は機密性があるため、保守員に対するセキュリティをもたせた状態での保守作業の簡易化が必要となる。さらに、紙幣鑑別の信頼性を上げるため、より多くの紙幣特徴ばらつきデータを採集するには、人手をかけて広い地域に流通する様々な状態の紙幣を借用させてもらうことが必要となる。
【0005】
このような問題は、ATMに限らず、紙幣と有価証券などの紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置の保守作業に共通する問題であった。なお、保守作業員が紙葉類取扱装置から取得するデータは、保守作業のためのデータに限らず、記憶容量の制限のために紙葉類取扱装置で記憶しておくことができないデータを取得する場合もある。
【0006】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、保守作業員や設計者の作業負担を軽減し、簡便に紙葉類取扱装置からデータを取得する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による紙葉類取扱システムは、紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置を備えた紙葉類取扱システムであって、前記紙葉類取扱装置は、前記紙葉類取扱装置に着脱可能な携帯型記憶媒体を制御する制御装置を備え、前記携帯型記憶媒体は、1以上の作業命令を記憶しており、前記制御装置は、前記携帯型記憶媒体が前記紙葉類取扱装置に取り付けられている取付状態であるか否かを検知する検知部と、前記検知部が前記取付状態であると検知している場合に、前記1以上の作業命令を実行し、該1以上の作業命令の実行により得られる実行結果データを出力する作業命令実行部と、前記実行結果データを前記携帯型記憶媒体に記録する記録部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、携帯型記憶媒体を制御装置に取り付けることにより、簡便に紙葉類取扱装置からデータ(実行結果データ)を取得することができる。
【0009】
前記実行結果データは、前記紙葉類取扱装置の保守又は前記紙葉類取扱装置の稼働地で流通する紙葉類の調査に利用されることを特徴とするものであっても良い。
【0010】
前記1以上の作業命令のうち少なくとも1つの作業命令は、前記紙葉類取扱装置の稼動特性を試験的に変更することを指示するものであり、前記実行結果データは、前記稼動特性の変動に関する検証に利用されることを特徴とするものとしても良い。
【0011】
これによれば、携帯型記憶媒体を制御装置に取り付けることにより、稼動特性の変動に関する検証に利用されるデータを取得することができる。
【0012】
前記紙葉類取扱装置は、更に、前記紙葉類の特徴を読み取るセンサを備え、前記実行結果データは、前記センサの出力を表わすデータであり、前記紙葉類取扱システムは、更に、前記実行結果データに関連付けて、前記センサの不具合の程度を示すセンサ状態を記憶する記憶部と、前記携帯型記憶媒体に保存された前記実行結果データに関連付けられた前記センサ状態を前記記憶部から取得し、表示するセンサ状態表示部とを備えるものとしても良い。
【0013】
これによれば、センサ状態が出力されるので、利用者はセンサの不具合の程度を知ることができる。
【0014】
前記紙葉類取扱装置は、更に、前記紙葉類の特徴を読み取り、該特徴に基づく特徴データを出力するセンサと、前記特徴データに基づき、前記紙葉類の種別と真偽と再利用の可否の少なくとも1つを識別するための識別データを生成する識別データ生成部とを備え、前記センサは、該センサの所定の標準状態の出力を示すセンサデータを出力可能であり、前記実行結果データは、前記特徴データと、前記識別データと、前記センサデータのうちの少なくとも1つを含むものとしても良い。
【0015】
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、紙葉類取扱方法または紙葉類取扱装置またはそれらの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、紙幣と有価証券を含む紙葉類を取り扱う紙葉類取扱システム10000を示す説明図である。紙葉類取扱システム10000は、保守作業員が紙幣鑑別装置100の保守作業を実行する際、メモリカード200を使用して簡便に作業を行なうことを可能とするシステムである。本実施例では、紙葉類は紙幣であるものとして説明する。
【0017】
紙葉類取扱システム10000は、自動取引を可能とするATM(Automated Teller Machines)1000と、メモリカード200と、保守用コンピュータ300を備える。ATM1000は、ホストコンピュータ2000に接続されており、ホストコンピュータ2000との通信を実行したり、取引のために利用者から紙幣を取得したりする。ATM1000は、紙幣鑑別装置100を備える。紙幣鑑別装置100は、本発明の紙葉類取扱装置と制御装置に相当する。
【0018】
紙幣鑑別装置100は、利用者がATM1000に投入した紙幣を鑑別する。また、本実施例の紙幣鑑別装置100は、メモリカード200に記憶されている作業命令を実行する機能を有している。作業命令について詳しくは後述する。紙幣鑑別装置100は、メモリカード制御部10と、フラッシュメモリ20と、CPU40と、SDRAM50と、メモリカードコネクタ60と、センサ部70と、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)80を備える。CPU40は、本発明の作業命令実行部と、記録部に相当する。フラッシュメモリ20は、紙幣鑑別装置100を動作させるための各種プログラムを記憶している。
【0019】
メモリカード200はメモリカードコネクタ60に取り付けられる。メモリカード制御部10は、メモリカード200がメモリカードコネクタ60に取り付けられたことを検知し、CPU40はメモリカードコネクタ60に取り付けられたメモリカード200からの作業命令ファイル210の読み出しと、メモリカード200のデータファイル記憶部230へのデータファイル231,232の保存を実行する。作業命令ファイル210とデータファイル231,232について、詳しくは後述する。メモリカード制御部10は、CPU40がメモリカード200からのデータの読み出しとメモリカード200へのデータの書き込みを実行できる環境を設定したり、また、データの暗号、復号などのデータ変換処理なども実行できる回路であり、本発明の検知部に相当する。
【0020】
メモリカード制御部10は、CPU40が解釈可能なようにメモリカード200の作業命令ファイル210のデータ形式を変換する。メモリカード200に保存されている作業命令ファイル210が暗号化されている場合は、暗号を解読してからCPU40に出力する。更に、メモリカード制御部10は、CPU40が出力するデータファイル231,232をメモリカード200に保存するデータ形式に変換する処理も実行する。CPU40がデータファイルの暗号化要求を付帯してデータファイル231,232を出力した場合は、メモリカード制御部10は、出力されたデータファイルを暗号化してメモリカードコネクタ60に出力する。なお、ここではメモリカード制御部10で暗号化または暗号の解読を行なうものとして説明したが、これらの処理はCPU40で行なうものとしても良い。
【0021】
図2は、CPU40と、SDRAM50と、センサ部70の機能を示す説明図である。センサ部70は、複数のセンサ1〜センサnを備えている。センサ部70は、利用者によりATM1000に投入され、搬送路(図示せず)を搬送されている紙幣の特徴を読み取る。紙幣の特徴とは、例えば紙幣の外形や、絵柄や、厚みや、磁気パターンを意味する。そして、センサ部70は、読み取った特徴を紙幣特徴データとしてCPU40に出力する。
【0022】
図3は、1紙幣分の紙幣特徴データDtを示す説明図である。紙幣特徴データDtは、センサ1〜センサnの各々が紙幣の特徴を読み取り、出力したデータである。センサ1が読み取った紙幣特徴データDt0〜Dt3は、各々異なる特徴を読み取ったデータ値を示す。センサ1〜センサnには各々複数のチャンネル(例えばR,G,Bの3チャンネル)が存在し、複数のチャンネルが各々データを出力する。例えばセンサ1について、紙幣特徴データDt0〜Dt3毎にデータを出力するチャンネル数が異なる数に予め設定されているので、紙幣特徴データDt0〜Dt3のデータ数は各々異なる。
【0023】
図2のセンサ部70は、更に、搬送路に紙幣が搬送されていない状態で定期的に読み取りを実行し、センサデータを出力する。該センサデータは、センサ部70の所定の標準状態の出力である標準出力を示す。図4は、センサ部70が読み取った一回分のセンサデータSdを示す説明図である。センサデータSdの構成は、紙幣特徴データDtの構成と同じである。なお、センサ部70の標準出力を示すセンサデータSdは、サンプルとなる紙をセンサ部70が読み取り、出力するデータであっても良い。
【0024】
図2のCPU40は、作業命令実行部41と、識別データ生成部42と、紙幣判定部43を備える。作業命令実行部41は、メモリカード制御部10から作業命令ファイル210を受信すると、作業命令ファイル210に記載された作業命令を実行する。作業命令について詳しくは後述する。識別データ生成部42は、紙幣特徴データDtを所定の複数の演算式で演算することにより、識別データを生成する。識別データは、紙幣の種別と真偽と再利用の可否を識別するためのデータである。図5は、識別データJudを示す説明図である。識別データJudはデータJud0〜Judnを含み、紙幣ごとに生成される。
【0025】
図2の紙幣判定部43は、識別データJudに基づき、紙幣の種別と真偽と再利用の可否を判定する。CPU40は、紙幣特徴データDtと、識別データJudと、センサデータSdをSDRAM50に保存する。SDRAM50には、紙幣鑑別装置100の起動後に取得された紙幣特徴データDtと、識別データJudと、センサデータSdが保存される。しかし、これに限らず、SDRAM50には最新の紙幣に関する紙幣特徴データDtと、識別データJudのみ保存するものとしても良いし、最新の1取引分の紙幣特徴データDtと識別データJudを保存するものとしても良い。また、SDRAM50には最も新しくセンサ部70が読み取った1回分のセンサデータSdのみ保存されるものとしても良い。
【0026】
図1のLED80は、メモリカード200を紙幣鑑別装置100から取り外し可能か否かを利用者に示すライトである。図6は、LED80のステータスの種類を示す説明図である。LED80のステータスは、以下、単にLEDステータスと呼ぶ。LEDステータスには、Toffと、BL500と、Tonと、BL100が存在する。LEDステータスは、CPU40がメモリカード200の検知状態に応じて変更する。検知状態には、「メモリカード無し」と、「メモリカード認識中・抜き取り可能」と、「メモリカード認識中・抜き取り不可」と、「メモリカード記憶エリア満杯/作業終了」とが存在する。
【0027】
メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続されていない「メモリカード無し」という検知状態では、CPU40はLED80を消灯させる。このLEDステータスをToffと呼ぶ。メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続されているが、メモリカード200に紙幣鑑別装置100がアクセスしておらず、メモリカード200を抜き取り可能である「メモリカード認識中・抜き取り可能」状態では、CPU40はLED80を500ms周期で点滅させる。このLEDステータスをBL500と呼ぶ。メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続されており、メモリカード200に紙幣鑑別装置100がアクセス中で、メモリカード200を抜き取り不可とする「メモリカード認識中・抜き取り不可」状態では、CPU40はLED80を点灯させる。このLEDステータスをTonと呼ぶ。メモリカード200の記憶エリアが満杯である状態、またはCPU40が作業命令ファイル210の作業命令の実行を終了した「メモリカード記憶エリア満杯/作業終了」状態では、CPU40はLED80を100ms周期で点滅させる。このLEDステータスをBL100と呼ぶ。
【0028】
メモリカード200は、作業命令ファイル210と、追番管理ファイル220とチェンジプログラム240を記憶しており、また、これらとは別にデータファイル記憶部230を備えている。作業命令ファイル210は、作業命令を記憶している。
【0029】
図7は、作業命令の種類と内容を示す説明図である。作業命令には、紙幣特徴データ保存命令Save.datと、識別データ保存命令Save.judと、センサデータ保存命令Monitor.sdと、動作不良時実行命令Survey.jud_sdと、再利用不可紙幣検出時実行命令Trace.datと、チェンジプログラム実行命令Change.progとが存在する。
【0030】
作業命令が紙幣特徴データ保存命令Save.datである場合は、CPU40は、SDRAM50に保存されている紙幣特徴データDtをメモリカード200のデータファイル記憶部230にデータファイル231として保存する。紙幣特徴データDtを保存する際のファイル名は、紙幣特徴データ保存命令Save.datの引数で指定するものとする。ここではデータファイルのファイル名はDatafile−xxxとする。ここで、「xxx」はファイルを識別するための追番である。データファイルは、SDRAM50に保存されている1紙幣分の紙幣特徴データDtごとに作成され、000〜999の追番が000から順に付される。
【0031】
例えば、データファイル記憶部230に紙幣特徴データ保存命令Save.dat実行開始後最初に保存されるデータファイルのファイル名は、Datafile―000となる。紙幣特徴データ保存命令Save.datの引数には、ファイル名以外にも、保存するデータファイルのファイル数を指定することができる。例えば、引数が20であれば、CPU40は、20個のデータファイルを保存する。また、引数がallであれば、CPU40は、メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続される直前にSDRAM50に保存された1紙幣分の紙幣特徴データDtと、メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続されている間にSDRAM50に新たに保存した紙幣特徴データDtを全てデータファイルとしてデータファイル記憶部230に保存する。なお、ここでは、引数がallであれば、CPU40は、メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続される直前にSDRAM50に保存された1紙幣分の紙幣特徴データDtをデータファイルとして保存するものとしたが、メモリカード200を接続した時点でSDRAM50に記憶されている全ての紙幣特徴データDtをデータファイルにして保存するものとしても良い。また、データファイルは、ここでは、1紙幣毎に生成するものとしたが、これに限らず、例えば1取引毎に生成するものとしても良い。
【0032】
作業命令が識別データ保存命令Save.judである場合は、CPU40は、SDRAM50に保存されている識別データJudをメモリカード200のデータファイル記憶部230にデータファイルとして保存する。ファイルは、SDRAM50に保存されている1紙幣分の識別データJudごとに作成される。識別データJudを保存する際のファイル名はJudfile−xxxとする。データファイルへの追番の付し方や識別データ保存命令Save.judの引数の設定の仕方は、作業命令Save.datの場合と同じである。
【0033】
作業命令がセンサデータ保存命令Monitor.sdである場合は、CPU40は、SDRAM50に保存されているセンサデータSdをメモリカード200のデータファイル記憶部230にデータファイルにして保存する。ファイルは、SDRAM50に保存されているセンサ部70が読み取った1回分のセンサデータSdごとに作成される。センサデータSdを保存する際のファイル名はSdfile−xxxとする。ファイルへの追番xxxの付し方やセンサデータ保存命令Monitor.sdの引数の設定の仕方は、紙幣特徴データ保存命令Save.datの場合と同じである。センサデータSdは定期的に生成され、CPU40は、センサデータSdが生成されると、データファイルとしてメモリカード200に保存する。
【0034】
作業命令が動作不良時実行命令Survey.jud_sdである場合は、CPU40は、紙幣鑑別装置100に動作不良が生じた際にSDRAM50に保存されていた識別データJudとセンサデータSdを、各々ファイル名をSuvjudfile−xxxとSuvsdfile−xxxとしてメモリカード200のデータファイル記憶部230に保存する。つまり、CPU40は、紙幣鑑別装置100に動作不良が生じることをトリガとして、識別データJudとセンサデータSdの保存を行なう。動作不良とは、例えば、1取引中連続して再利用不可及び偽の紙幣と判定される場合などである。ファイルへの追番xxxの付し方は、作業命令Save.datの場合と同じである。保守作業中に動作不良が生じたか否かの判断は保守作業員が行なうものとしても良い。この場合は、動作不良が生じた際に、保守作業員が動作不良時実行命令Survey.jud_sdが保存されたメモリカード200をメモリカードコネクタ60に接続する。これにより、CPU40は動作不良時実行命令Survey.jud_sdを実行する。つまり、識別データJudとセンサデータSdをデータファイルとしてメモリカード200に保存する。また、場合によっては、紙幣特徴データDtの少なくとも一部を保存することができる。
【0035】
作業命令が再利用不可紙幣検出時実行命令Trace.datである場合は、CPU40は、紙幣判定部43が紙幣は再利用不可であると判定した際にSDRAM50に保存されていた再利用不可と判定された紙幣に関する紙幣特徴データDtを、ファイル名をTrcdatfile−xxxとしてメモリカード200のデータファイル記憶部230に保存する。つまり、CPU40は、紙幣判定部43が紙幣は再利用不可であると判定することをトリガとして、紙幣特徴データDtの保存を行なう。ファイルへの追番xxxの付し方は、作業命令Save.datの場合と同じである。
【0036】
なお、ここでは紙幣判定部43が、紙幣が再利用不可であると判定した際に、CPU40が再利用不可紙幣検出時実行命令Trace.datを実行するものとしたが、紙幣判定部43が、紙幣が偽の紙幣であると判定した際に、CPU40は再利用不可紙幣検出時実行命令Trace.datを実行するものとしても良い。
【0037】
作業命令がチェンジプログラム実行命令Change.progである場合は、CPU40は、メモリカード200に記憶されているチェンジプログラム240を実行する。チェンジプログラム240は、引数で指定された変更率でセンサ部70の入出力特性(ゲイン)を変更するためのプログラムである。引数が指定されなければ、所定値でゲインを変更する。
【0038】
チェンジプログラム実行命令Change.progの内容はこれに限らず、作業命令がチェンジプログラム実行命令Change.progである場合は、CPU40は、センサ部70の制御プログラムをチェンジプログラム240に変更するというようにしても良い。チェンジプログラム実行命令Change.progで変更される特性やプログラムは、チェンジプログラム実行命令Change.progの引数で指定可能であるものとしても良い。
【0039】
作業命令の引数には、上記したものの他に、各種データファイルを暗号化することを示す引数をつけることができる。該引数が指定されている場合は、CPU40は、データファイルの暗号化要求を付帯してデータファイルを出力し、メモリカード制御部10がデータファイルの暗号化を実行して、暗号化したデータファイルをメモリカード200に保存する。
【0040】
図8は、追番管理ファイル220を示す説明図である。追番管理ファイル220では、各データファイルDatafile,Judfile,Sdfile,Suvjudfile,Suvsdfile,Trcdatfileに付す追番を管理している。CPU40は、新規にファイルを生成する際、追番管理ファイル220が記憶している追番をファイル名に付し、追番管理ファイル220の追番を1増加させる。例えば、追番管理ファイル220が図8の状態である場合、新規にDatafileを生成する場合は、ファイル名をDatafile−001とし、追番管理ファイル220のDatafileの追番を002とする。
【0041】
図9は、作業命令ファイル210の内容を示す説明図である。図9(a)は、図1の作業命令ファイルAaa.cmd211であり、図9(b)は、図1の作業命令ファイルBbb.cmd212である。作業命令ファイルAaa.cmd211では、センサデータSdをメモリカード200に保存し(コマンド1)、次にセンサ部70のゲインを変更し(コマンド2)、そしてセンサデータSdをメモリカード200に保存する(コマンド3)ことが指定されている。点線の下線が引いてある部分は引数であり、センサデータ保存命令Monitor.sdの第1の引数では、データファイルのファイル名が指定されており、第2の引数では生成するデータファイル数が指定されている。チェンジプログラム実行命令Change.progの引数ではゲインの変更率が指定されている。図のmは正の定数である。
【0042】
作業命令ファイルAaa.cmd211の実行結果により得られたセンサデータSdは、チェンジプログラム実行命令Change.progによりセンサ部70の経年劣化や環境変化を模擬的に実現したものであり、コマンド1の実行により得られるセンサデータSdとコマンド3の実行により得られるセンサデータSdを比較することにより、稼働地流通券を用いて経年劣化時や環境変化時のセンサ部70の入出力特性の補正を検討するためのデータとなる。なお、チェンジプログラム実行命令Change.progが、センサ部70の制御プログラムをチェンジプログラム240に変更するものである場合は、コマンド1,コマンド3の実行により得られたセンサデータSdは、制御仕様の変更について検討するためのデータとなる。
【0043】
作業命令ファイルBbb.cmd212では、センサ部70のゲインを変更し(コマンド4)、紙幣特徴データDtをメモリカードに保存し(コマンド5)、再度センサ部70のゲインを変更する(コマンド6)。チェンジプログラム実行命令Change.progの引数ではゲインの変更率が指定されている。図のkは正の定数である。紙幣特徴データ保存命令Save.datの第1の引数では、データファイルのファイル名が、第2の引数では生成するデータファイル数が指定されている。作業命令ファイルBbb.cmd212の実行結果により得られた紙幣特徴データDtは、例えば、センサ出力劣化による紙幣識別能力の限界値を稼働地流通券を用いて検討するためのデータとなる。
【0044】
CPU40は、作業命令ファイル210が複数存在する場合は、それらを順番に実行する。例えば、ここでは作業命令ファイルAaa.cmd211と、作業命令ファイルBbb.cmd212を順に実行する。図10は、CPU40が作業命令ファイルAaa.cmd211,Bbb.cmd212を順に実行する際のセンサ部70のゲインの変動を示す説明図である。点線は通常時のゲインを示す。作業命令ファイルAaa.cmd,Bbb.cmdを実行することにより、ゲインは試験的に変更され、再度通常値に戻る。このように、作業命令ファイルAaa.cmd211,Bbb.cmd212は、ATM1000の紙幣鑑別装置100を試験的に動作させることを指示するものであり、作業命令ファイルAaa.cmd211,Bbb.cmd212を実行することにより得られたデータは、紙幣鑑別装置100の保守に利用される。
【0045】
作業命令ファイル210の内容は、図9で示したものに限らず、図7の作業命令を組み合わせることにより、様々に設定可能である。また、作業命令ファイル210の数も2つに限らず、1以上で様々に設定することができる。更に、作業命令ファイル210は暗号化することも可能である。
【0046】
図11は、保守作業の実行手順を示すフローチャートである。保守作業の開始以前は、LEDステータスはToffである。保守作業員は、作業命令ファイル210が設定されたメモリカード200を持参し、ATM1000の設置場所に行き、メモリカード200を紙幣鑑別装置100のスロット(図示せず)に挿入する。これにより、メモリカード200がメモリカードコネクタ60に接続される。メモリカードコネクタ60にメモリカード200が接続されると(ステップS100)、CPU40は、メモリカードアクセス準備中でメモリカード200を抜き取り不可であることを示すために、LEDステータスをTonとする(ステップS200)。次に、CPU40は、作業命令実行処理を行なう(ステップS300)。
【0047】
図12は、作業命令実行処理を示すフローチャートである。メモリカード200のデータファイル記憶部230に空きエリアが存在しない場合は(ステップS301:NO)、CPU40は、LEDステータスをBL100とする(ステップS302)。この場合は、保守作業員はメモリカード200を紙幣鑑別装置100から取り出す(ステップS303)。メモリカード200が取り出されると、CPU40はLEDステータスをToffとする(ステップS304)。なお、作業命令ファイル210に記載された作業命令がチェンジプログラム実行命令Change.progのみである場合は、ステップS301の処理を省略するものとしても良い。
【0048】
データファイル記憶部230に空きエリアが存在する場合は(ステップS301:YES)、CPU40は作業命令ファイルAaa.cmd211を読み込み(ステップS305)、LEDステータスをBL500とする(ステップS306)。そして、CPU40はLEDステータスをTonにして作業命令を実行する(ステップS307)。
【0049】
作業命令を実行する際には、途中トリガ待ちをする場合がある。CPU40はトリガ待ちの間はLEDステータスをBL500とする。例えば、作業命令が、動作不良時実行命令Survey.jud_sdや再利用不可紙幣検出時実行命令Trace.datである場合は、トリガとして動作不良や再利用不可紙幣が検出されてから、作業命令が実行される。また、作業命令が紙幣特徴データ保存命令Save.datである場合は、SDRAM50に既に保存されている紙幣特徴データDtをデータファイルにする場合以外は、SDRAM50に紙幣特徴データDtが記録されるまで待機する。つまり、SDRAM50に紙幣特徴データDtが記録されることをトリガとする。識別データ保存命令Save.judやセンサデータ保存命令Monitor.sdに関しても紙幣特徴データ保存命令Save.datの場合と同様である。
【0050】
なお、保守作業員は、サンプルとなる紙幣の紙幣特徴データDtを取得することを目的としている場合は、メモリカード200を接続した後、ATM1000で入金取引を実行し、サンプル紙幣をATM1000の紙幣投入口に投入して、センサ部70にサンプル紙幣の特徴を読み取らせる。これにより、SDRAM50にサンプル紙幣の紙幣特徴データDtが保存される。CPU40は、紙幣特徴データ保存命令Save.datに従い、SDRAM50に保存された紙幣特徴データDtをデータファイルに保存してデータファイル記憶部230に保存する。
【0051】
また、CPU40は、作業命令実行中にデータファイル記憶部230に空きエリアがなくなった場合は、作業命令実行中であってもLEDステータスをBL100とし、処理を終了するものとしても良い。
【0052】
なお、CPU40は、メモリカード200へのデータファイルの保存は、ATM1000の取引動作が行なわれていない間に実行する。但し、メモリカード200にデータファイルを保存している間にATM1000で取引動作を開始しようとした場合は、取引動作の開始を一時停止し、データファイルの保存が終了するまで待機する。
【0053】
1つ目の作業命令の実行を終了すると、CPU40は次の作業命令の実行に移行し(ステップS308)、次の作業命令が存在する場合は、ステップS301〜S307の処理を繰り返す。1つ目の作業命令ファイルAaa.cmd211の作業命令を全て終了すると(ステップS308:NO)、次の作業命令ファイル210が存在するか否か調べる(図11のステップS400)。次の作業命令ファイル(例えば作業命令ファイルBbb.cmd212)が存在する場合は、再度作業命令実行処理を行なう(ステップS300)。次の作業命令ファイル210が存在しない場合は、LEDステータスをBL100とする(ステップS500)。この場合は、保守作業員はメモリカード200を紙幣鑑別装置100から取り出す(ステップS600)。メモリカード200が取り出されると、CPU40はLEDステータスをToffとする(ステップS700)。
【0054】
作業命令実行処理により、識別データJudとセンサデータSd(SuvjudfileとSuvsdfile)がメモリカード200に保存された場合は、保守作業員は、図1の保守用コンピュータ300に、該識別データJudとセンサデータSdに基づいてセンサ状態を判定させることができる。センサ状態について詳しくは後述する。
【0055】
保守用コンピュータ300は、記憶部310と、センサ状態判定部320を備える。記憶部310は、図13の識別データ判定基準テーブル311と、図14のセンサデータ判定基準テーブル312を記憶している。センサ状態判定部320は、識別データJudと、識別データ判定基準テーブル311を比較し、更に、センサデータSdと、センサデータ判定基準テーブル312を比較し、センサ状態を判定する。センサ状態判定部320は、本発明のセンサ状態表示部に相当する。
【0056】
図15は、センサ状態判定部320のセンサ状態判定処理を示すフローチャートである。センサ状態判定部320は、まず、識別データJudにより識別データ判定基準テーブル311を検索し、判定結果を取得する(ステップS10)。具体的には、識別データJudには、図5で示したように複数のデータが存在する。センサ状態判定部320は、個々のデータについてセンサ状態を判定する。例えば、Jud0のデータ値が○○〜△△の間であれば、「1.良好」と判定し、Jud1の2番目のデータ(識別データ判定基準テーブル311ではJud1−2と示す)のデータ値が○×〜××の間であれば、「3.警告」と判定する。更に、Jud0〜Judnは、紙幣ごとに存在するので、全ての紙幣に関するJud0〜Judnについて個別にセンサ状態を判定する。センサ状態判定部320は、このように複数のデータ各々についてセンサ状態を判定して導き出した複数のセンサ状態のうち、センサ状態の前に付されている数値が最も大きいセンサ状態を、判定結果として取得する。つまり、複数のセンサ状態が「1.良好」と、「2.注意」と、「3.警告」である場合は、3.警告を判定結果として取得する。なお、複数のセンサ状態全てを判定結果として取得するものとしても良い。このような判定を行えば、センサ出力の劣化により識別データが紙幣の真偽判定をする為のしきい値に近づいている場合に、注意を促すことができる。また、稼働地流通券を用いて識別データがしきい値に近づくような流通券を調査することができる。
【0057】
次に、センサ状態判定部320は、センサデータSdにより、センサデータ判定基準テーブル312を検索し、判定結果を取得する(ステップS20)。具体的な判定方法は識別データJudの場合と同じであるので詳しい説明は省略する。但し、センサデータ判定基準テーブル312は、センサ1〜センサn別に記憶されており、センサ1に関するセンサデータSd0〜Sdnについては、センサ1に関するセンサデータ判定基準テーブル312を使用し、センサ状態を判定する。また、センサ1〜センサnについて、別個に判定結果を取得する。
【0058】
そして、センサ状態判定部320は、ステップS10,S20で取得した判定結果を、センサ状態として保守用コンピュータ300のモニタ画面に表示する(ステップS30)。
【0059】
本実施例の紙葉類取扱システム10000によれば、メモリカード200を紙幣鑑別装置100に取り付けることにより、保守作業員は、簡便にATM1000の紙幣鑑別装置100から各種データを取得することができる。メモリカード200は持ち運びも容易である。作業命令ファイル210に予め作業内容を設定しておくことができ、メモリカード200を紙幣鑑別装置100のスロットに挿入すれば作業が進行するので、保守作業員は特別な技術を必要としないで保守作業を行なうことができる。特に、作業命令ファイルAaa.cmd211,Bbb.cmd212を実行することにより、センサ部70の入出力特性を変更し、保守のためのデータを取得することができる。また、動作不良時実行命令Survey.jud_sdや再利用不可紙幣検出時実行命令Trace.datを実行してデータを取得することにより、異常が起きた時点や再利用不可紙幣が発見された時点でのデータを即座にメモリカード200に保存することができるので、ATM1000の動作不良時の調査や、再利用不可の紙幣の調査、ATM1000の稼働地で流通する紙幣の調査を効率的に行なうことができる。また、稼働機にて多量の流通券による識別データを蓄積することで、紙幣の真偽判定のしきい値の見直し調査などができる。さらに、紙幣偽造者による偽券の入金テストなどが行われた場合、再利用不可及び偽の紙幣と判定されて入金受付拒否が1取引で50%以上発生したときに紙幣特徴データDtを取得する様にしておけば、偽造者が持ち帰る偽券のデータを残しておくことができる。
【0060】
また、保守用コンピュータ300からセンサ状態が出力されるので、利用者はセンサの不具合の程度を知ることができる。更に、LED80を備え、メモリカード200へのアクセス状況などに応じてLEDステータスを変更するので、利用者はメモリカード200を紙幣鑑別装置100から取り外し可能か否か知ることができる。
【0061】
また、本実施例の紙葉類取扱システム10000によれば、紙幣特徴データDtや識別データJudやセンサデータSdの取得作業をメモリカード200のみで運用することができるので、ネットワーク経由の遠隔操作でデータ取得作業をしたり、ホストコンピュータ2000などにデータ送信することもないので、セキュリティが保たれる。データファイル231,232や作業命令ファイル210を暗号化することにより、更にセキュリティが向上する。暗号化されたデータファイル231,232の解読は特定の管理者のみが実行可能であるものとしても良い。また、暗号化された作業命令ファイル210の解読は、メモリカード制御部10または作業命令ファイル210の作成者のみが実行可能であるものとしても良い。
【0062】
また、本実施例の紙葉類取扱システム10000によれば、記憶容量の制限のためにATM1000で記憶しておくことのできないデータをメモリカード200に保存することも可能である。また、通信時間などの制約があり、紙幣鑑別装置100の上位装置であるATM1000に紙幣特徴データDtなどを送信できない場合にも、本実施例のメモリカード200を利用することができる。
【0063】
その他の実施例:
(1)上記実施例では、メモリカード200の記憶エリアが満杯の場合と、作業終了時のLEDステータスを同じであるものとしたが、別個のステータスにしても良い。例えば、作業終了時のLEDステータスは、200ms間隔でLED80が点滅するものとしても良い。
【0064】
(2)上記実施例では、センサ状態判定部320は、識別データJudとセンサデータSdに基づいてセンサ状態を判定して出力するが、紙幣特徴データDtを取得する作業命令を備え、紙幣特徴データDtに基づいてセンサ状態を出力するものとしても良い。
【0065】
(3)上記実施例では、センサ部70は、定期的にセンサデータSdを出力するものとして説明したが、これに限らず、センサデータ保存命令Monitor.sdが出された場合に、CPU40がセンサ部70にセンサデータSdを出力する指示を出し、センサ部70がセンサデータSdを出力するようになるものとしても良い。この場合、センサデータ保存命令Monitor.sdの引数で、センサデータSdを出力する間隔を指定可能とするものとしても良い。この場合、引数で指定された回数分センサデータSdが出力されると、CPU40は、センサ部70にセンサデータSdを出力することを停止する指示を出す。また、上記実施例では、作業命令がチェンジプログラム実行命令Change.progである場合は、センサ部70の入出力特性(ゲイン)、即ちセンサ特性を変更するものとして説明しているが、変更するのはセンサ特性に限らず、ATM1000や紙幣鑑別装置100の他の稼動特性を変更するようにしても良い。
【0066】
(4)上記実施例では、センサ状態の判定を保守用コンピュータ300で実行しているが、ATM1000や紙幣鑑別装置100で実行するものとしても良い。紙幣鑑別装置100で実行する場合は、識別データがしきい値ギリギリの「注意」や「警告」が出た場合に、その紙幣特徴データDtをメモリカード200に取得しておくこともできる。また、センサ劣化による故障モードになる前に上位制御部110又はATM1000に対してアラームを上げることが可能になる。
【0067】
(5)上記実施例では、紙葉類取扱装置はATM1000であるものとして説明したが、紙葉類取扱装置はこれに限らず、自動販売機や現金自動支払機(Cash Dispenser)や発券装置であるものとしても良い。
【0068】
(6)上記実施例では、携帯型記憶媒体はメモリカード200であるものとして説明したが、メモリカード200に限らず、ハードディスクやDVD−RAMなどの他の記憶媒体を用いた携帯型記憶媒体であっても良い。
【0069】
以上、実施例に基づき本発明に係る紙葉類取扱システム,紙葉類取扱装置,紙葉類取扱方法および紙葉類取扱装置の機能を実現させるためのプログラムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】紙幣と有価証券を含む紙葉類を取り扱う紙葉類取扱システム10000を示す説明図である。
【図2】CPU40とSDRAM50とセンサ部70を詳細に示す説明図である。
【図3】1紙幣分の紙幣特徴データDtを示す説明図である。
【図4】センサ部70が読み取った一回分のセンサデータSdを示す説明図である。
【図5】識別データJudを示す説明図である。
【図6】LED80のステータスの種類を示す説明図である。
【図7】作業命令の種類と内容を示す説明図である。
【図8】追番管理ファイル220を示す説明図である。
【図9】作業命令ファイル210を示す説明図である。
【図10】CPU40が作業命令ファイルAaa.cmd211,Bbb.cmd212を順に実行する際のセンサ部70のゲインの変動を示す説明図である。
【図11】保守作業の実行手順を示すフローチャートである。
【図12】作業命令実行処理を示すフローチャートである。
【図13】識別データ判定基準テーブル311を示す説明図である。
【図14】センサデータ判定基準テーブル312を示す説明図である。
【図15】センサ状態判定部320のセンサ状態判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
10…メモリカード制御部
20…フラッシュメモリ
40…CPU
41…作業命令実行部
42…識別データ生成部
43…紙幣判定部
50…SDRAM
60…メモリカードコネクタ
70…センサ部
80…LED
100…紙幣鑑別装置
200…メモリカード
210…作業命令ファイル
211…作業命令ファイルAaa
212…作業命令ファイルBbb
220…追番管理ファイル
230…データファイル記憶部
231,232…データファイル
240…チェンジプログラム
300…保守用コンピュータ
310…記憶部
320…センサ状態判定部
311…識別データ判定基準テーブル
312…センサデータ判定基準テーブル
1000…ATM
2000…ホストコンピュータ
10000…紙葉類取扱システム
Datafile…データファイル
Dt…紙幣特徴データ
Jud…識別データ
Sd…センサデータ
Save.dat…紙幣特徴データ保存命令
Save.jud…識別データ保存命令
Monitor.sd…センサデータ保存命令
Survey.jud_sd…動作不良時実行命令
Trace.dat…再利用不可紙幣検出時実行命令
Change.prog…チェンジプログラム実行命令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置を備えた紙葉類取扱システムであって、
前記紙葉類取扱装置は、前記紙葉類取扱装置に着脱可能な携帯型記憶媒体を制御する制御装置を備え、
前記携帯型記憶媒体は、1以上の作業命令を記憶しており、
前記制御装置は、
前記携帯型記憶媒体が前記紙葉類取扱装置に取り付けられている取付状態であるか否かを検知する検知部と、
前記検知部が前記取付状態であると検知している場合に、前記1以上の作業命令を実行し、該1以上の作業命令の実行により得られる実行結果データを出力する作業命令実行部と、
前記実行結果データを前記携帯型記憶媒体に記録する記録部と、
を備える紙葉類取扱システム。
【請求項2】
請求項1記載の紙葉類取扱システムであって、
前記実行結果データは、前記紙葉類取扱装置の保守又は前記紙葉類取扱装置の稼働地で流通する紙葉類の調査に利用されることを特徴とする、
紙葉類取扱システム。
【請求項3】
請求項1記載の紙葉類取扱システムであって、
前記1以上の作業命令のうち少なくとも1つの作業命令は、前記紙葉類取扱装置の稼動特性を試験的に変更することを指示するものであり、
前記実行結果データは、前記稼動特性の変動に関する検証に利用されることを特徴とする、
紙葉類取扱システム。
【請求項4】
請求項1記載の紙葉類取扱システムであって、
前記紙葉類取扱装置は、更に、前記紙葉類の特徴を読み取るセンサを備え、
前記実行結果データは、前記センサの出力を表わすデータであり、
前記紙葉類取扱システムは、更に、
前記実行結果データに関連付けて、前記センサの不具合の程度を示すセンサ状態を記憶する記憶部と、
前記携帯型記憶媒体に保存された前記実行結果データに関連付けられた前記センサ状態を前記記憶部から取得し、表示するセンサ状態表示部と、
を備える紙葉類取扱システム。
【請求項5】
請求項1記載の紙葉類取扱システムであって、
前記紙葉類取扱装置は、更に、
前記紙葉類の特徴を読み取り、該特徴に基づく特徴データを出力するセンサと、
前記特徴データに基づき、前記紙葉類の種別と真偽と再利用の可否の少なくとも1つを識別するための識別データを生成し、出力する識別データ生成部と、
を備え、
前記センサは、該センサの所定の標準状態の出力を示すセンサデータを出力可能であり、
前記実行結果データは、前記特徴データと、前記識別データと、前記センサデータのうちの少なくとも1つを含む、
紙葉類取扱システム。
【請求項6】
紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置における紙葉類取扱方法であって、
1以上の作業命令を記憶している携帯型記憶媒体が前記紙葉類取扱装置に取り付けられている取付状態であるか否かを検知する工程と、
前記取付状態であると検知している場合に、前記1以上の作業命令を実行し、該1以上の作業命令の実行により得られる実行結果データを出力する工程と、
前記実行結果データを前記携帯型記憶媒体に記録する工程と、
を備える紙葉類取扱方法

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−102659(P2007−102659A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294378(P2005−294378)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】