説明

紙葉類取扱装置

【課題】定期点検等の保守の際、障害予測される部分を係員に知らせることができ、障害が発生する前の点検や保守を可能にして装置のダウン時間の低減を図る。
【解決手段】入出金部9と紙幣ボックス3〜6、リジェクト庫7および一時保管庫8との間で紙幣を搬送する搬送路10を備えた紙幣処理装置1であって、前記紙幣の通過を検知するセンサ31〜46を前記搬送路10に配設し、各センサ31〜46における前記紙幣の先端通過時刻と後端通過時刻とに基づいて搬送路10上の各センサ区間についての前記紙葉類の搬送状態を監視する搬送監視制御部213と、該搬送監視制御部213による監視結果を確認可能に出力する表示装置とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばカードや紙幣、明細票等の紙葉類を取り扱うような紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等に設置されて紙幣を取り扱う現金自動取引装置等、紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置が提供されている。この紙葉類取扱装置は、紙葉類を搬送する搬送路や、紙葉類の投入または/および排出を行う取扱口や、紙葉類を収納する収納部などに種々の駆動装置が設けられている。この駆動装置は、部品の磨耗や突発的な異変等により、正常動作できなくなる場合がある。このように駆動装置が正常動作できなくなると、紙葉類取扱装置は、障害が発生した状態となって障害を取り除かなければ運用を継続できなかった。
【0003】
これに対して、障害が発生した後の障害発生位置等を把握し、その障害発生位置を回避することで、運用を続ける事ができる自動取引システムが提案されている(特許文献1参照)。この自動取引システムは、障害発生位置を回避することで、自動取引装置のダウン率を低減できるとされている。
【0004】
しかし、前記自動取引システムは、回避することができない位置で障害が発生した場合、自動取引装置がダウンするという問題点があった。
【0005】
また、前記自動取引システムは、障害発生位置の復旧を障害が発生した後に行うものであるため、海外等のように保守拠点が遠い場合に不便であった。つまり、保守拠点が遠い場合、定期的な保守により障害が発生する前に不良部品や磨耗部品等を交換するといった事前保守が望ましいが、前記自動取引システムは、このような事前保守に役立つものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平08−077417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題点に鑑み、定期点検等の保守の際、障害予測される部分を係員に知らせることができ、障害が発生する前の点検や保守を可能にして装置のダウン時間の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、紙葉類の通過を検知するセンサを搬送路に複数配設し、各センサにおける前記紙葉類の先端通過時刻と後端通過時刻とに基づいて、搬送路上当該センサに至るセンサ区間についての前記紙葉類の搬送状態を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えた紙葉類取扱装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、定期点検等の保守の際、障害予測される部分を係員に知らせることができ、障害が発生する前の点検や保守を可能にして装置のダウン時間の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、現金自動取引装置等の自動機に搭載され、紙葉類としての紙幣の入出金に係わる制御をする紙幣処理装置の構成について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例による紙幣処理装置の概略図である。
図1において、1は紙葉類取扱装置としての紙幣処理装置、2は紙幣の金種、真偽を鑑別する鑑別部、3〜6は紙幣を分離またはスタック可能な紙幣ボックス、7はリジェクト紙幣を収納するためのリジェクト庫、8は紙幣を巻き取って一時的に保管する一時保管庫、9は利用者に対して紙幣の受け渡しを行う取扱口としての入出金部、10は装置内の各部へ紙幣を搬送する搬送路、21〜26は紙幣の搬送方向を切り替えるゲート、31〜46は紙幣の通過を検出するセンサである。
【0012】
センサ31〜46は、搬送路上のセンサであり、このうち35および36はスタック入口センサでもあり、31は分離出口センサでもある。また、34、42〜45は分離出口センサでもありスタック入口センサでもある。
【0013】
図2は紙幣処理装置1の制御部ブロック図である。
図2において、201は、紙幣処理装置1を搭載する現金自動取引装置などの上位装置である。
主制御部202は、紙幣処理装置1の主制御部である。
回線制御部203は、上位装置201と主制御部202間の情報の送受信を行う。
【0014】
搬送モータ制御部204は、搬送路10を駆動する図示されていない搬送モータに接続されており、搬送モータの制御を行う。また、搬送モータ制御部204は、搬送モータの移動量をカウントしてモータ時刻エリア205に登録するとともに、搬送モータの速度変化情報を搬送モータ速度変化情報エリア206に登録する。
【0015】
同じように、分離モータ制御部207は、収納部としての紙幣カセット3〜6にそれぞれ設けられた図示されていない分離モータに接続されており、分離モータの制御を行うと共に、分離モータ速度変化情報エリア208に分離モータの速度変化情報を登録する。
【0016】
スタックモータ制御部209は、紙幣ボックス3〜6およびリジェクト庫7にそれぞれ設けられた図示されていないスタックモータに接続されており、スタックモータの制御を行うと共に、スタックモータ速度変化情報エリア210にスタックモータの速度変化情報を登録する。
【0017】
センサ制御部211は、搬送路10上のセンサ31〜46の制御を行い、各センサの変化時刻をセンサ変化時刻登録エリア212に登録する。
判定手段としての搬送監視制御部213は、主制御部202の指示により搬送路10上のセンサ31〜46を使用して搬送紙幣の監視を行うとともに、搬送路10上のセンサ31〜46の検知に基づいて取得した搬送距離、紙幣長さ変化率を搬送状態情報エリア214に登録する。
【0018】
ゲート制御部215は、主制御部202の指示によりゲート21〜26をオンもしくはオフする。また、ゲート制御部215は、それぞれのゲート21〜26のオン起動時間およびオフ起動時間をゲート変化情報エリア216に登録するとともに、現在のゲート状態を定期的にチェックしてゲート状態をゲート状態情報エリア217に登録する。
【0019】
標準搬送情報エリア218は、標準搬送情報が出荷の際に登録されている。この標準搬送情報は、紙幣処理装置1と同様の複数の紙幣処理装置を用いて入出金等の処理における紙幣の搬送を事前に行い、その際の各紙幣処理装置1による紙幣搬送状態により、統計的な標準搬送状態を算出して得た情報である。
エラー特定部品情報エリア219は、エラー特定部品情報が出荷の際に登録されている。このエラー特定部品情報は、エラーの発生が予想される複数のエラー区間について、各エラー区間でチェックが必要な部品の情報である。
尚、この標準搬送情報エリア218およびエラー特定部品情報エリア219は、紙幣処理装置1の出荷後に部品変更や制御変更によって標準搬送情報やエラー特定部品情報の変更が必要となった場合に、上位装置201より回線制御部203を介して新しい標準搬送情報やエラー特定部品情報を各々再登録する事が可能である。したがって、回線制御部203、標準搬送情報エリア218およびエラー特定部品情報エリア219は、登録許容手段として機能する。
【0020】
次に、紙幣の搬送状態を判定する処理について、入金動作と出金動作を例にとって説明する。
図3(A)は、第1のセンサ31と搬送路10との構成を示す構成図、図3(B)は、各搬送路10上のセンサ31〜46の変化時刻を登録するセンサ変化時刻登録エリア212の登録説明図、図3(C)は、各搬送路10上のセンサ31〜46の変化時刻をセンサ変化時刻登録エリア212に登録する処理のフロー図である。
図4は、搬送先が1箇所の場合での搬送状態情報エリア214の搬送距離および紙幣長さ変化率算出時のフロー図である。
図5はゲートにより搬送先が振り分けられる場合での搬送状態情報エリア214の搬送距離および紙幣長さ変化率算出時のフロー図である。
【0021】
顧客により、入出金部9(図1参照)に紙幣がセットされると、主制御部202(図2参照)は、回線制御部203を介して上位装置201からの指示を受け、入金計数動作を実施する。
【0022】
主制御部202は、搬送モータ制御部204、分離モータ制御部207、スタックモータ制御部209、センサ制御部211、搬送監視制御部213、およびゲート制御部215に動作開始を連絡する。これにより、搬送モータ制御部204は、図示されていない搬送モータを正転方向に駆動するよう指示し、搬送路10を正転方向に回転させ、モータ時刻を随時モータ時刻エリア205に登録する。
また、センサ制御部211は、各センサの処理ポインタ312および格納ポインタ311を先頭位置に初期化する(ステップS313)。
【0023】
その後、主制御部202は、入出金部9(図1参照)の図示されていない分離モータを駆動するよう分離モータ制御部207に指示し、入出金部9から紙幣を1枚ずつ搬送路10へ向けて繰り出す。
【0024】
繰り出された紙幣は、搬送路10へ渡され、センサ31、32を通り、鑑別部2へ搬送される。鑑別部2は、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態を判別する。
【0025】
主制御部202は、リジェクト紙幣を入出金部9へ、正常紙幣を一時保管庫8というように、各紙幣の搬送先を決定する。決定した搬送先を元に、主制御部202は、紙幣搬送順に従ってゲート制御部215にゲート21のオン/オフ指示を発行する。
【0026】
正常紙幣の場合は、この正常紙幣をセンサ33、34に通過させて一時保管庫8に一時保管する。
リジェクト紙幣の場合は、このリジェクト紙幣をセンサ33、35に通過させて入出金部9の仕切板の後ろに順にスタックする。その際、センサ制御部211は、各センサのライトからダークおよびダークからライトの変化を監視するとともに、それぞれの変化時刻をモータ時刻エリア205の情報をもとにセンサ変化時刻登録エリア212に登録する。
【0027】
例えば、センサ31でライトからダークへの変化を検知した時は(ステップS314)、処理ポインタ312(図3(B))の指し示すエリアの先端時刻エリアに、ライトからダークに変化した際のモータ時刻エリア205の値を登録し(ステップS315)、処理ポインタ312をプラス1更新する(ステップS316)。
【0028】
次に、センサ31でダークからライトへの変化を検知した時は(ステップS317)、格納ポインタ311(図3(B))の指し示すエリアの後端時刻エリアにダークからライトに変化した際のモータ時刻エリア205の値を登録し(ステップS318)、格納ポインタ311をプラス1更新する(ステップS319)。
【0029】
このステップS314〜S319の処理は、全ての紙幣の搬送が終了する(ステップS320)まで、それぞれの紙幣の通過により実施する。
【0030】
また、このステップS313〜S320の制御は、入金収納動作時及び出金動作時の搬送路10上のセンサ32から46についても同様に実行する。つまり、センサ32から46のそれぞれの変化時刻を、モータ時刻エリア205の情報をもとに、各々のセンサ変化時刻登録エリア212に登録する。
【0031】
全ての紙幣を各々一時保管庫8および入出金部9に搬送終了した後、主制御部202は、搬送モータ制御部204に対して搬送モータの停止を指示するとともに、搬送監視制御部213に対して搬送状態情報の作成を指示する。搬送状態情報の作成を指示された搬送監視制御部213は、センサ変化時刻登録エリア212より搬送状態情報を作成し、搬送状態情報エリア214に登録する。
【0032】
次に、搬送状態情報の作成方法について、図4、図5のフロー図を使用し、説明する。
まず、センサ31〜センサ32のセンサ区間のように、ゲートによる紙幣の振り分けがなく1箇所に搬送される場合について、図4に示すフロー図を使用して説明する。この場合、搬送監視制御部213は、センサ31とセンサ32のそれぞれのセンサ変化時刻登録エリア212の先頭情報より処理ポインタ312および格納ポインタ311の指し示す情報まで使用し、搬送状態情報としての搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
【0033】
まず、1枚目より比較するため、N=1とし(ステップS403)、N枚目のセンサ31先端時刻(N枚目の紙幣の先端がセンサ31を通過した時刻)とN枚目のセンサ32先端時刻よりセンサ31〜センサ32搬送距離(センサ31からセンサ32までのセンサ区間で紙幣を搬送する距離)を算出する(ステップS404)。
【0034】
搬送監視制御部213は、算出した搬送距離が既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ31〜センサ32の搬送距離最大値より大きいか否か判定し(ステップS405)、大きい場合は搬送距離最大エリアにN枚目の搬送距離をセットする(ステップS406)。
また、搬送監視制御部213は、算出したN枚目の搬送距離を今回搬送時のセンサ31〜センサ32搬送距離合計エリアに加算する(ステップS407)。
【0035】
次に、N枚目のセンサ31先端時刻とN枚目のセンサ31後端時刻(N枚目の紙幣の後端がセンサ31を通過した時刻)により、搬送監視制御部213は、センサ31での紙幣長さを算出する(ステップS408)。同様に、センサ32での紙幣長さについても算出する(ステップS409)。
【0036】
搬送監視制御部213は、算出したN枚目のセンサ31とセンサ32の紙幣長さより、センサ31からセンサ32までのセンサ区間で紙幣長さが変化した率である紙幣長さ変化率を算出する(ステップS410)。この紙幣長さ変化率は、後段となるセンサ32の紙幣長さを前段となるセンサ31の紙幣長さで除算することで算出する。
【0037】
そして、搬送監視制御部213は、算出した紙幣長さ変化率が、既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ31〜センサ32の紙幣長さ変化率最大値より大きいか否か判定し(ステップS411)、大きい場合は紙幣長さ変化率最大エリアにN枚目の紙幣長さ変化率をセットする(ステップS412)。
【0038】
また、搬送監視制御部213は、算出したN枚目の紙幣長さ変化率を今回搬送時のセンサ31〜センサ32紙幣長さ変化率合計エリアに加算する(ステップS413)。この加算は、センサ31、センサ32のそれぞれの処理ポインタ312、格納ポインタ311の指し示す先端時刻および後端時刻までN枚目情報をプラス1更新し、実施する(ステップS414)。
【0039】
センサ31〜センサ32に搬送された全ての紙幣について処理が終了(処理ポインタ312、格納ポインタ311まで到達)すると(ステップS415)、今回搬送時のセンサ31〜センサ32搬送距離合計エリアの値を(N−1)枚で除算し、今回センサ31〜センサ32の搬送距離平均を算出し、既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ31〜センサ32の搬送距離平均より大きい場合のみ搬送状態情報エリア214の搬送距離平均エリアに登録する(ステップS416)。同様に、センサ31〜センサ32の紙幣長さ変化率平均についても算出し、セットする(ステップS417)。
【0040】
同様に、搬送区間であるセンサ32〜センサ33についても搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
このようにして、ゲートによる紙幣の振り分けがないセンサ32〜33についての搬送距離および紙幣長さ変化率を算出することができる。
【0041】
次に、センサ33〜センサ34、センサ33〜センサ35のようにゲートにより紙幣の振り分けがあり、2箇所に搬送される場合について図5のフロー図を使用して説明する。この場合、センサ33、センサ34、センサ35それぞれのセンサ変化時刻登録エリア212の先頭情報より処理ポインタ312および格納ポインタ311の指し示す情報まで使用し、搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
【0042】
まず、搬送監視制御部213は、それぞれの1枚目より比較するため、N=1、M=1、L=1とし(ステップS501)、N枚目の紙幣搬送先が一時保管庫8側か否か判定する(ステップS502)。
なお、Nは搬送する紙幣の全枚数を示し、M、Lは、対応する各センサを通過する紙幣の枚数を示している。この実施例では、Mはセンサ34を通過する紙幣の枚数を示し、Lはセンサ35を通過する紙幣の枚数を示している。
一時保管庫8側ならば、N枚目センサ33先端時刻とM枚目のセンサ34先端時刻よりセンサ33〜センサ34搬送距離を算出する(ステップS503)。
【0043】
搬送監視制御部213は、算出したM枚目の搬送距離が既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ33〜センサ34の搬送距離最大値より大きいか否か判定し(ステップS504)、大きい場合は搬送距離最大エリアにM枚目の搬送距離をセットする(ステップS505)。
また、搬送監視制御部213は、算出したM枚目の搬送距離を今回搬送時のセンサ33〜センサ34搬送距離合計エリアに加算する(ステップS506)。
【0044】
次に、搬送監視制御部213は、N枚目のセンサ33先端時刻とN枚目のセンサ33後端時刻によりセンサ33での紙幣長さを算出する(ステップS507)。同様に、搬送監視制御部213は、センサ34でのM枚目の紙幣長さについても算出する(ステップS508)。
【0045】
搬送監視制御部213は、算出したN枚目のセンサ33とM枚目のセンサ34の紙幣長さよりM枚目の紙幣長さ変化率を算出し(ステップS509)、既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ33〜センサ34の紙幣長さ変化率最大値より大きいか否か判定し(ステップS510)、大きい場合は紙幣長さ変化率最大エリアにM枚目の紙幣長さ変化率をセットする(ステップS511)。
【0046】
また、搬送監視制御部213は、算出したM枚目の紙幣長さ変化率を今回搬送時のセンサ33〜センサ34紙幣長さ変化率合計エリアに加算する(ステップS512)。この加算は、搬送先が一時保管庫8側の際、センサ34のそれぞれの処理ポインタ312、格納ポインタ311の指し示す先端時刻および後端時刻までM枚目情報をプラス1更新し(ステップS513)、また、N枚目情報をプラス1更新し(ステップS524)、実施する。
【0047】
前記ステップS502で、搬送先が一時保管庫8側ではなく入出金部9側の場合に、搬送監視制御部213は、N枚目のセンサ33先端時刻とL枚目のセンサ35先端時刻よりセンサ33〜センサ35搬送距離を算出する(ステップS514)。
【0048】
搬送監視制御部213は、算出したL枚目の搬送距離が既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ33〜センサ35の搬送距離最大値より大きいか否か判定し(ステップS515)、大きい場合は搬送距離最大エリアにL枚目の搬送距離をセットする(ステップS516)。また、搬送監視制御部213は、算出したL枚目の搬送距離を今回搬送時のセンサ33〜センサ35搬送距離合計エリアに加算する(ステップS517)。
【0049】
次に、搬送監視制御部213は、N枚目のセンサ33先端時刻とN枚目のセンサ33後端時刻によりセンサ33での紙幣長さを算出する(ステップS518)。同様に、センサ35でのL枚目の紙幣長さについても算出する(ステップS519)。
【0050】
搬送監視制御部213は、算出したN枚目のセンサ33とL枚目のセンサ35の紙幣長さよりL枚目の紙幣長さ変化率を算出し(ステップS520)、既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ33〜センサ35の紙幣長さ変化率最大値より大きいか否か判定し(ステップS521)、大きい場合は紙幣長さ変化率最大エリアにL枚目の紙幣長さ変化率をセットする(ステップS522)。
【0051】
また、搬送監視制御部213は、算出したL枚目の紙幣長さ変化率を今回搬送時のセンサ33〜センサ35紙幣長さ変化率合計エリアに加算する(ステップS522)。この加算は、搬送先が入出金部9側の際、センサ35のそれぞれの処理ポインタ312、格納ポインタ311の指し示す先端時刻および後端時刻までL枚目情報をプラス1更新し(ステップS523)、また、N枚目情報をプラス1更新し(ステップS524)、実施する。
【0052】
搬送監視制御部213は、センサ33〜センサ34、センサ33〜センサ35に搬送された全ての紙幣について処理が終了(それぞれの処理ポインタ312、格納ポインタ311まで到達)すると(ステップS526)、今回搬送時のセンサ31〜センサ32搬送距離合計エリアの値を(N−1)枚で除算し、今回センサ33〜センサ34およびセンサ33〜センサ35の搬送距離平均を算出し、既に搬送状態情報エリア214に登録されているセンサ33〜センサ34およびセンサ33〜センサ35のそれぞれの搬送距離平均と比較し、大きい場合のみ搬送状態情報エリア214の搬送距離平均エリアに登録する(ステップS527)。同様に、搬送監視制御部213は、センサ33〜センサ34およびセンサ33〜センサ35の紙幣長さ変化率平均についても算出し、セットする(ステップS527)。
【0053】
搬送状態情報の作成を終了した後、主制御部202は、回線制御部203を介して、上位装置201に対し、入金計数終了を連絡する。
【0054】
その後、上位装置201より、回線制御部203を介して入金収納指示を指示された際、主制御部202は、搬送モータ制御部204を指示し、図示されていない搬送モータを逆方向に駆動し、一時保管庫8に一時保管されている紙幣を1枚ずつ繰り出し、鑑別部2の結果に従い、各紙幣ボックス3、4、5または6および、リジェクトボックス7にスタックする。
【0055】
その際、センサ34〜センサ33、センサ33〜センサ32、センサ32〜センサ31、センサ31〜センサ36、センサ36〜センサ37、センサ41〜センサ42の各センサ区間については、図4で示したセンサ31〜センサ32の各センサ区間と同様に、各センサの変化時刻を元に搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
【0056】
また、センサ37〜センサ38、センサ37〜センサ46、センサ38〜センサ39、センサ38〜センサ45、センサ39〜センサ40、センサ39〜センサ44、センサ40〜センサ41、センサ40〜センサ43の各センサ区間については、それぞれ図5で示したセンサ33〜センサ34、センサ33〜センサ35の各センサ区間と同様に搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
【0057】
このようにして搬送状態情報の作成を終了した後、主制御部202は、回線制御部203を介して、上位装置201に対し、入金収納終了を連絡する。
【0058】
出金動作については、回線制御部203を介して上位装置201より出金指示を受けた主制御部202が実施する。出金を指示された主制御部202は、搬送モータ制御部204、分離モータ制御部207、スタックモータ制御部209、センサ制御部211、搬送監視制御部213、ゲート制御部215に、動作開始を連絡する。
【0059】
これにより、搬送モータ制御部204は、図示されていない搬送モータを正転方向に駆動するよう指示し、搬送路10を正転方向に回転させ、モータ時刻を随時モータ時刻エリア205に登録する。また、センサ制御部211は各センサの処理ポインタ312および格納ポインタ311を先頭位置に初期化する。
【0060】
その後、主制御部202は、当該金種が格納されている紙幣ボックス3、4、5または6の図示されていない分離モータを駆動するよう分離モータ制御部207に指示し、1枚ずつ当該金種が格納されている紙幣ボックスから紙幣を繰り出す。ここでは紙幣ボックス3から繰り出された場合を例にとって、説明する。
【0061】
繰り出された紙幣は、搬送路10へ渡され、センサ41、40、39、38、37、36、31、32を通り、鑑別部2に搬送される。鑑別部2は、搬送されて来た紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態を判定する。
【0062】
主制御部202は、リジェクト紙幣を一時保管庫8へ、正常紙幣を入出金部9へというように各搬送先を決定する。決定された搬送先を元に、主制御部202は、紙幣搬送順に従ってゲート制御部215にゲート21のオン/オフ指示を発行する。正常紙幣の場合は、この正常紙幣をセンサ33、35に通過させて入出金部9に順にスタックする。リジェクト紙幣の場合は、このリジェクト紙幣をセンサ33、34に通過させて一時保管庫8に一時保管する。
【0063】
主制御部202は、紙幣ボックス3から繰り出された全ての紙幣を、鑑別部2の判別に従ってそれぞれ入出金部9、一時保管庫8にスタックした後、搬送モータ制御部204に対し、搬送モータの駆動を停止させる。
【0064】
そして、各センサの変化時刻を元に、センサ41〜センサ40、センサ40〜センサ39、センサ39〜センサ38、センサ38〜センサ37、センサ37〜センサ36、センサ36〜センサ31、センサ31〜センサ32、センサ32〜センサ33の各センサ区間については、図4で示したセンサ31〜センサ32の各センサ区間と同様に搬送距離および紙幣長さ変化率を算出し、センサ33〜センサ34、センサ33〜センサ45の各センサ区間については、それぞれ図5で示したセンサ33〜センサ34、センサ33〜センサ35の各センサ区間の入金計数動作と同様に搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
【0065】
このようにして搬送状態情報の作成を終了した後、主制御部202は、一時保管庫8に一時保管したリジェクト紙幣をリジェクト庫7に収納するために、出金リジェクト収納を実施する。この出金リジェクト収納の際、主制御部202は、搬送モータ制御部204、分離モータ制御部207、スタックモータ制御部209、センサ制御部211、搬送監視制御部213、ゲート制御部215に対し、動作開始を連絡する。
【0066】
これにより、搬送モータ制御部204は、図示されていない搬送モータを逆転方向に駆動するよう指示し、搬送路10を逆転方向に回転させ、モータ時刻を随時モータ時刻エリア205に登録する。また、センサ制御部211は、各センサの処理ポインタ312および格納ポインタ311を先頭位置に初期化する。
【0067】
また、搬送モータ制御部204は、図示されていない搬送モータを逆方向に駆動した後、一時保管庫8に一時保管されている紙幣を1枚ずつ繰り出し、センサ34、33、32、31、36、37、46という順に搬送し、リジェクト庫7に収納する。
【0068】
一時保管庫8の全ての紙幣をリジェクト庫7に収納後、搬送モータ制御部204は、搬送モータの駆動を停止させる。そして、搬送監視制御部213は、各センサの変化時刻を元にセンサ34〜センサ33、センサ33〜センサ32、センサ32〜センサ31、センサ31〜センサ36、センサ36〜センサ37、センサ37〜センサ46の各センサ区間について、図4で示したセンサ31〜センサ32の各センサ区間と同様に搬送距離および紙幣長さ変化率を算出する。
【0069】
これにより、入金、出金の各々の動作での搬送距離、紙幣長さ変化率の最大値、平均を求めることができる。また、出荷後からのトータル情報、最近3ヶ月間(今月、先月、先々月)の情報と情報エリアを確保し、これによって搬送距離、紙幣長さ変化率を算出・登録して、この情報により装置の状態変化を確認することも可能である。
【0070】
出荷時においては、複数の同様の紙幣処理装置1で入金、出金動作を行い、最大紙幣搬送距離、最大紙幣長さ変化率、紙幣搬送距離平均、および紙幣長さ変化率平均を各々のセンサ区間により算出し、許容値を決定し、上位装置201より回線制御部203を介して、標準搬送情報エリア218に登録する。
【0071】
同様に、それぞれのエラー発生予測のセンサ区間毎に、故障が予測される部品情報および対処方法を決定し、上位装置201より回線制御部203を介して、エラー特定部品情報エリア219に登録する。
【0072】
なお、標準搬送情報エリア218には、紙幣のシフト、スキュー、紙幣間隔、搬送距離、長さ変化率のいずれかの情報をもとに、最大、最小、平均、標準偏差によるマハラノビス距離を算出し、算出したマハラノビス距離に基づいてMT法による単位空間を求め、この単位空間を登録することが好ましい。
【0073】
次に、障害発生の予想に用いる標準搬送情報と、不良が予測される部品についての部品情報であるエラー特定部品情報について説明する。
図6、図7、図8、図9は出荷時にあらかじめ登録された標準搬送情報エリア218の例である。
入金計数の場合に関しては、図6に示すように、標準搬送情報エリア218に、搬送距離についての許容最大値と許容平均値、紙幣長さ平均率についての許容最大値と許容平均値を関連するセンサ区間毎に記憶している。
【0074】
入金収納の場合に関しては、図7に示すように、標準搬送情報エリア218に、搬送距離についての許容最大値と許容平均値、紙幣長さ平均率についての許容最大値と許容平均値を関連するセンサ区間毎に記憶している。
【0075】
出金の場合に関しては、図8に示すように、標準搬送情報エリア218に、搬送距離についての許容最大値と許容平均値、紙幣長さ平均率についての許容最大値と許容平均値を関連するセンサ区間毎に記憶している。
【0076】
出金リジェクト収納の場合に関しては、図9に示すように、標準搬送情報エリア218に、搬送距離についての許容最大値と許容平均値、紙幣長さ平均率についての許容最大値と許容平均値を関連するセンサ区間毎に記憶している。
【0077】
図10は出荷時にあらかじめ登録されたエラー特定部品情報エリア219の例である。
【0078】
エラー特定部品情報エリア219には、エラー発生予測区間毎に、故障が予想される部品の部品情報と、対処方法が記憶されている。各エラー発生予測区間には、複数の部品情報が記憶されており、この部品情報1つ1つに対して対処方法が記憶されている。
【0079】
次に、障害予測を出力する動作について説明する。
図11は、障害予測を出力する動作を示すフロー図である。
図12、図13は、係員の操作により表示装置に表示する保守画面のひとつである事前エラー予測画面である。
【0080】
係員による定期点検等の際に、鍵スイッチなどの入力手段が入力操作され、紙幣処理装置1が点検モードに切り替えられると(ステップS601)、制御手段としての主制御部202は、標準搬送情報エリア218と搬送状態情報エリア214を比較し、障害予測を行う(ステップS602)。この障害予測で、主制御部202は、搬送状態情報エリア214の値が標準搬送情報エリア218の値に比べ、一定値以上の変動がある場合に、その搬送区間(センサ区間)を障害が予測される搬送区間とする。
【0081】
なお、一定値以上の変動の有無は、搬送距離や紙幣長さ変化率についてのマハラノビス距離を算出し、このマハラノビス距離が前述した単位空間内に収まるか否かによって判定することが好ましい。
【0082】
障害予測で、搬送状態情報エリア214の値が標準搬送情報エリア218の値に比べて一定値以上変動していた場合は(ステップS603)、主制御部202は、図示省略する出力手段としての表示装置に、図12に示すように、障害予測情報としての障害発生予測区間情報が含まれている保守画面701を表示する(ステップS604)。この保守画面701には、部品情報としての処置表示部702、「次のエラー発生予想区間表示」ボタン703、「この区間の詳細情報表示」ボタン704、「保守画面終了」ボタン705、および障害部分表示図706が設けられている。
【0083】
処置表示部702は、障害の発生が予測される部品(搬送路10の特定部分、鑑別部2、31〜46のうち特定のセンサ)を他の部品と異なる色(例えば赤色などの目立つ色)で点灯表示する。これにより、ローラの磨耗や異物の混入、ベルトの引っかかり等、障害発生に繋がる各種異変が生じている可能性の高い部品、すなわち障害発生が予測される部品を、係員に認識させるようにしている。
【0084】
係員により、障害発生予測区間表示画面の「この区間の詳細情報表示」ボタン704が押下されると(ステップS605)、主制御部202は、図13のように詳細情報表示画面を表示装置に表示させ、その障害発生予測区間の最大値および平均値を表示させる(ステップS606)。これにより、係員に、障害発生予測区間における搬送状態の確認を行わせることができる。
【0085】
この障害発生区間情報および障害発生区間詳細情報は、印刷手段により印刷可能とする。また、各装置の情報を採取し、障害予測区間の搬送状態を統計的に調査することにより、標準搬送情報エリア218の見直しを可能とする。また、その調査結果により、標準搬送情報エリア218の変更が必要な場合、上位装置201から回線制御部203を介して標準搬送情報エリア218を変更するまでの間、特定搬送区間において一定値以内の変動については係員による保守を防ぐ事も可能とする(紙幣要因、環境等のばらつきによる不要保守を防止)。
【0086】
前記ステップS603で、全ての搬送区間において変動が一定値以内の場合は、“正常”と画面に表示を行い(ステップS607)、係員に連絡する。
【0087】
以上の動作により、各センサによる搬送状態を監視し、搬送状態の変化を記録することができる。この搬送状態の変化は、ローラの磨耗やゲートの異常など、種々の原因によるものであるが、紙幣の搬送距離を測定し、正常時の搬送距離と比較することで、紙幣の搬送遅れやスキューなどによる搬送状態の変化を把握できる。そして、この搬送状態の変化から、障害発生が予測される搬送区間を特定し、この搬送区間を定期点検等する係員に事前に連絡することができる。係員は、定期点検等の際に表示される障害予測情報に基づいて消耗品の交換等の対策を行うことができ、障害発生前に障害を除去して、障害発生による装置ダウンを低減することができる。
【0088】
特に、各々のセンサ31〜46について、紙幣の先端通過時刻と後端通過時刻に基づく紙幣長さを算出することにより、紙幣長さが通常より長ければスキューであるといった判定をすることができ、当該センサに至るまでのセンサ区間で今後障害発生の原因となり得る異常が存在していることを係員に認識させることができる。
【0089】
また、隣り合うセンサ同士の間であるセンサ区間について、隣り合うセンサを紙幣が順番に通過した通過時刻(この実施例では先端通過時刻)により、当該センサ区間の紙幣の搬送距離を求め、この搬送距離が適正か否か判定するため、このセンサ区間で今後障害発生の原因となり得る異常が存在していることを係員に認識させることができる。
【0090】
また、障害予測情報を表示するため、係員はこの障害予測情報を確認して、実際に障害が発生する前に障害の原因を除去することができる。
また、マハラノビス距離による計算を行う場合には、より精度の高い障害予想を行うことができる。
【0091】
また、センサ区間と、そのセンサ区間で障害の発生が予測される部品とを対応させてエラー特定部品情報エリア219に記憶しており、これを登録許容して更新可能としているため、紙幣処理装置1のバージョンアップやソフト更新等に適切に対応することができる。
【0092】
また、障害予測情報は、係員による定期点検等の操作の際にしか表示されないため、一般利用者の利用時に障害予測情報を表示してしまうことがなく、一般利用者は安心して自動取引装置1による取引処理を実行することができる。
【0093】
また、紙幣搬送情報において、特定紙幣等によるジャム発生時の紙幣情報の登録を除外することにより、より正確な異常発生予測を行うことも可能である。また、このような情報をゲート状態、分離、スタック状態等の各ユニットにおいて適用することにより、障害発生予測を拡大することができる。これにより、係員に点検および事前保守を促して、障害発生による装置ダウンを低減することが可能である。
【0094】
また、障害予想だけでなく、実際に障害が発生した場合の停止、エラー報知も問題なく行うことができる。すなわち、センサ31〜46の監視により、一定時間変化が検知できなかった場合、主制御部202は、ジャム等による障害発生と判定し、分離モータ制御部207に繰り出し停止命令を渡し、搬送モータ制御部204に搬送停止命令を渡す。そして、回線制御部203を介して上位装置201にエラー情報を送信する。
【0095】
障害発生と判定するための一定時間は、搬送距離での許容最大値に対応する時間や、紙幣長さ変化率の許容最大値に対応する時間に比べて長く設定しているため、障害発生予想の検知と実際の障害発生の検知とを並存させることができる。
【0096】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】紙幣取扱装置の概略構成図。
【図2】紙幣取扱装置の制御ブロック図。
【図3】センサ変化時刻登録の処理の説明図。
【図4】搬送先が1箇所の場合の搬送距離、紙幣長さ変化率算出時のフロー図。
【図5】搬送先が2箇所の場合の搬送距離、紙幣長さ変化率算出時のフロー図。
【図6】入金計数時の標準搬送情報の説明図。
【図7】入金収納時の標準搬送情報の説明図。
【図8】出金(正方向搬送)時の標準搬送情報の説明図。
【図9】出金リジェクト収納時の標準搬送情報の説明図。
【図10】エラー特定部品情報の説明図。
【図11】障害予測の出力時のフロー図。
【図12】保守画面(エラー発生予測区間表示)のイメージ図。
【図13】保守画面(エラー発生予測区間詳細情報表示)のイメージ図。
【符号の説明】
【0098】
1…紙幣処理装置、2…鑑別部、3〜6…紙幣ボックス、7…リジェクト庫、8…一時保管庫、9…入出金部、10…搬送路、21〜26…ゲート、31〜46…センサ、201…上位装置、202…主制御部、203…回線制御部、204…搬送モータ制御部、205…モータ時刻エリア、206…搬送モータ速度変化情報エリア、207…分離モータ制御部、208…分離モータ速度変化情報エリア、209…スタックモータ制御部、210…スタックモータ速度変化情報エリア、211…センサ制御部、212…センサ変化時刻登録エリア、213…搬送監視制御部、214…搬送状態情報エリア、215…ゲート制御部、216…ゲート変化情報エリア、217…ゲート状態情報エリア、218…標準搬送情報エリア、219…エラー特定部品情報エリア、311…格納ポインタ、312…処理ポインタ、701…保守画面、702…処置表示部、703…「次のエラー発生予想区間表示」ボタン、704…「この区間の詳細情報表示」ボタン、705…「保守画面終了」ボタン、706…障害部分表示図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取扱口と収納部との間で紙葉類を搬送する搬送路を備えた紙葉類取扱装置であって、
前記紙葉類の通過を検知するセンサを前記搬送路に複数配設し、
各センサにおける前記紙葉類の先端通過時刻と後端通過時刻とに基づいて、搬送路上当該センサに至るセンサ区間についての前記紙葉類の搬送状態を判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えた
紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記複数のセンサのうち、前記搬送路上で隣り合うセンサが順番に検知した紙葉類の通過時刻に基づいて、搬送路上隣り合うセンサのセンサ区間についての前記紙葉類の搬送状態をさらに判定する
請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記先端通過時刻、前記後端通過時刻、前記通過時刻、またはこれらの複数に基づいて距離を求め、予め定めた基準範囲内に前記距離が収まっていない場合に、該当するセンサ区間の搬送状態が正常ではないと判定し、
前記出力手段は、搬送状態が正常ではないと判定したセンサ区間に関して障害の発生を予測する障害予測情報を前記判定結果として出力する
請求項1または2記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記先端通過時刻、前記後端通過時刻、前記通過時刻、またはこれらの複数に基づいて距離または距離変化率を求め、該距離または距離変化率に基づいてマハラノビス距離を求め、MT法によって予め定めた単位空間内に前記マハラノビス距離が収まらなかった場合に、該当するセンサ区間の搬送状態が正常ではないと判定し、
前記出力手段は、搬送状態が正常でないと判定したセンサ区間に関して障害の発生を予測する障害予測情報を前記判定結果として出力する
請求項1または2記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
前記出力手段は、センサ区間の搬送状態に対して不良が予測される部品についての部品情報を前記判定結果として出力する構成とし、
前記部品情報を前記センサ区間と対応させて登録許容する登録許容手段を備えた
請求項1から4のいずれか1つに記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
前記出力手段は、
画像を表示する表示手段と、
係員による保守画面への移行入力を許容する入力手段と、
保守画面へ移行した際に前記表示手段に前記判定結果を出力させる制御手段とで構成した
請求項1から5のいずれか1つに記載の紙葉類取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−141049(P2007−141049A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335703(P2005−335703)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】