説明

紙葉類取扱装置

【課題】取り扱い可能な金種数を減らすことなく、最適な性質の紙幣を入出金させることが可能な紙葉類取扱装置を提供する。
【解決手段】入出金口1と、紙葉類を種別以外の要素で分類した場合における紙葉類の種類を示す性質が異なるそれぞれの紙葉類を収納可能な複数の収納部を有したカセット4a〜4dと、入出金口から入金された紙葉類の種別および性質を識別するための識別部2と、搬送路21〜25と、紙葉類の収納状態である収納部収納状態と、複数の収納部を有したカセット全体における紙葉類の収納状態であるカセット収納状態とを対応付けて記憶する記憶部と、記憶部が記憶する収納部収納状態とカセット収納状態とに基づいて紙葉類の入出金処理を実行し、実行させた後の収納部収納状態とカセット収納状態とを記憶部に記憶させ、記憶させた収納部収納状態とカセット収納状態とを紙葉類取扱装置を管理する上位装置に報告する主制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金融機関などで使用される現金自動取引装置に実装されるような紙葉類取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関などで使用される現金自動取引装置では、特定の金種(紙幣に記載された金額で分類した場合の紙幣の種類)の紙幣について、例えば、特定の性質の紙幣(紙幣を金種以外の要素で分類した場合の紙幣の種類)のみを出金しようとする場合、紙葉類取扱装置において出金する金種と性質の組み合わせの数の出金可能な紙幣収納部を用意する。そして、各紙幣収納部で取り扱う金種および性質を決定し、現金自動取引装置が出金する紙幣収納部を指定することによって、特定の金種の特定の性質の紙幣を出金している(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願平10−71690号公報
【特許文献2】特願2000−189241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、特定の金種の出金に加え特定の性質の紙幣を出金しようとした場合、取り扱い可能な金種数を維持するならば、出金する金種と性質の組み合わせの数だけ収納部を必要とするために収納部の数が増えてしまう。その結果、紙葉類取扱装置や自動取引装置に、より大きな空間が必要となり、装置自体が大きくなってしまうという問題がある。このような事情は、紙幣を出金する場合に限らず、紙幣を入金する場合も同様に問題となる。また、そのような空間を確保することが可能となった場合であっても、紙葉類取扱装置と上位システム(現金自動取引装置等)との間で同期をとるため、収納部の数を増やしたことに対応して、上位システムからの各収納部に対する設定や情報取得などの収納部操作に変更を加える必要がある。
【0005】
一方、収納部の数を維持しようとするならば、取扱う金種毎に取扱う性質の数の収納部が必要となるため、取り扱い可能な金種数が減ることになってしまう。このように、従来技術では、取り扱い可能な金種数を減らすことなく、また上位システムの変更をすることなく、最適な性質の紙幣を入出金させることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、取り扱い可能な金種数を減らすことなく、また上位システムの変更をすることなく、最適な性質の紙幣を入出金させることが可能な紙葉類取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる紙葉類取扱装置は、顧客との間で紙葉類に関する取引を行う紙葉類取扱装置であって、前記紙葉類を入出金するための入出金口と、前記紙葉類の価値に基づいて分類した場合における前記紙葉類の種類を示す種別ごとに設けられた複数のカセットであって、前記複数のカセットのそれぞれは前記紙葉類を前記種別以外の要素で分類した場合における前記紙葉類の種類を示す性質が異なるそれぞれの紙葉類を収納可能な複数の収納部を有したカセットと、前記入出金口と前記複数のカセットとの間に設けられ、前記入出金口から入金された前記紙葉類の種別および性質を識別するための識別部と、前記入出金口と前記識別部と前記収納部のそれぞれとの間をつなぐ搬送路と、前記複数の収納部のそれぞれについての前記紙葉類の収納状態である収納部収納状態と、前記複数の収納部を有した前記カセット全体における前記紙葉類の収納状態であるカセット収納状態とを対応付けて記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記収納部収納状態と前記カセット収納状態とに基づいて前記紙葉類の入出金処理を実行し、実行させた後の前記収納部収納状態と前記カセット収納状態とを前記記憶部に記憶させ、記憶させた前記収納部収納状態と前記カセット収納状態とを前記紙葉類取扱装置を管理する上位装置に報告する主制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取り扱い可能な金種数を減らすことなく、また上位システムの変更をすることなく、最適な性質の紙幣を入出金させることが可能な紙葉類取扱装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における紙葉類取扱装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示した紙葉類取扱装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1における記憶部が記憶する状態テーブルの例を示す図である。
【図4】実施例1における紙葉類取扱装置で行われる出金処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例2における紙葉類取扱装置で行われる入金処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例2における記憶部が記憶する状態テーブルの例を示す図である。
【図7】実施例3における紙葉類取扱装置で行われる入金処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施例3における記憶部が記憶する状態テーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる紙葉類取扱装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、本発明にかかる紙葉類取扱装置を、金融機関に採用されているATM(Automated teller machine)に適用した場合について説明しているが、紙幣や証券等の識別情報を有した紙葉類を排出して顧客との取引を行う機能を有しているものであれば、特にこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
本実施例では、紙葉類取扱装置が備えるカセット内の紙幣収納部が上段および下段の2段を有し、上段では官封券、下段では流通券を取り扱い、出金紙幣として官封券が指定され、指定された官封券を出金する場合について説明する。なお、以下では、紙幣に記載された紙幣の金額(価値)で分類した場合の紙幣の種類を紙幣の金種(種別)と呼び、紙幣を金種以外の要素で分類した場合の紙幣の種類を紙幣の性質と呼ぶこととする。また、「官封券」とは発行後に一度も使用されていない紙幣であり、「流通券」とは発行後に1度でも使用された紙幣を示すものである。
【0012】
図1は、本実施の形態における紙葉類取扱装置1000の構成を示す概略図である。図1に示すように、紙葉類取扱装置1000は、利用者が紙幣の預け入れや払い出しを行う入出金口1と、紙幣の金種・性質などを判別する識別部2と、計数した紙幣を一時的に集積する一時保留部3と、紙幣を金種別に集積するカセット4a〜4dと、識別部2によってリジェクトされた紙幣を集積するリジェクトカセット5と、利用者が取り忘れた紙幣を集積する取忘回収庫6と、紙幣の通過を検出する通過センサ11と、紙幣の搬送ルートを切り替えるゲート12、13と、上述した各部に紙幣を搬送する搬送路21〜25と、を有している。
【0013】
カセット4a〜4dは、上段および下段に分けられた2つの紙幣収納部を有している。また、カセット4a〜4dには、カセット内で紙幣の搬送先を切り替えるカセット内部ゲート40と、上段の紙幣収納部が空になったことを検出する上段収納部空検知センサ41と、上段の紙幣収納部が満杯になったことを検出する上段収納部満杯検知センサ42と、下段の紙幣収納部が空になったことを検出する下段収納部空検知センサ43と、下段の紙幣氏収納部が満杯になったことを検出する下段収納部満杯検知センサ44と、を含んで構成されている。なお、各カセットのそれぞれは、紙葉類取扱装置に着脱可能であって、種別に応じて分けられた紙幣の大きさ(1万円や5千円等の紙幣サイズ)にあわせて設けられているものとする
図2は、図1に示した紙葉類取扱装置1000の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、紙葉類取扱装置1000は、機能的には、紙葉類取扱装置1000とは別のユニットであって、例えば、金融機関に設置される自動取引装置(ATM)の本体制御部である紙葉類取扱装置1000の上位に位置づけられる上位装置101と通信するための回線制御部102と、搬送路駆動モータを制御する搬送モータ制御部103と、搬送路の移動量を計数する搬送路移動量計数部104と、紙幣の通過を検出する通過センサ等のセンサを制御するセンサ制御部105と、紙幣を所定の集積先に搬送するようにゲートを切り替えるゲート制御部106と、入出金口からの紙幣の分離、入出金口への紙幣の集積などを制御する入出金口制御部107と、一時保留部からの紙幣の分離、一時保留部への紙幣の集積など制御する一時保留部制御部108と、各カセットからの紙幣の分離、各収納庫への紙幣の集積などを制御するカセット制御部109と、カセットに蓄積される紙幣の状態を示す状態テーブル等、後述する各処理を行うための種々の情報を記憶する記憶部110と、紙葉類取扱装置1000を構成する各部位を制御する主制御部111と、紙幣の識別結果を主制御部111に報告する識別制御部112と、識別制御部112からの識別結果を元に、主制御部111により決定した集積先情報と、センサ制御部105からのセンサ情報を元に、繰出しから集積まで搬送路上の紙幣が正しく搬送されていることを監視し、搬送異常を検出した場合は主制御部111に報告する紙幣搬送監視部113と、を有している。
【0014】
図3は、記憶部110が記憶する状態テーブルの例を示す図である。図3に示すように、状態テーブルは、紙幣収納部の紙幣の状態を識別するためのステータス番号と、上段の紙幣収納部の紙幣量と、下段の紙幣収納部の紙幣量と、そのカセット全体の紙幣量とが対応付けて記憶されている。なお、以下の例では、上段の紙幣収納部は出金処理専用であり、下段の紙幣収納部は入金処理および出金処理に併用されるものとする。
【0015】
図3に示す例では、上段の紙幣収納部の紙幣量、および下段の紙幣収納部の紙幣量がいずれも「空」である場合(ステータス番号1)、主制御部111は、そのカセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する。これと同様に、上段の紙幣収納部の紙幣量が「空」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」である場合(ステータス番号2)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。上段の紙幣収納部が「空」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、下段の紙幣収納部に収納されている「流通券」によって出金が可能なためである。ただし、このとき、出金処理においてATMの利用者から入出金操作を受け付けるタッチパネル等から構成される操作表示部(不図示)が、「流通券」を出金しない旨(すなわち「官封券」を出金させる旨)の指示を受け付けた場合、あるいはあらかじめ記憶部110に出金紙幣として「官封券」のみを出金させる旨が記憶されている場合には、主制御部111は、下段の紙幣収納部が「紙幣有」の状態であっても、カセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する。
【0016】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「空」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」である場合(ステータス番号3)、そのカセット全体の紙幣量が「満杯」の状態であると判定する。上段の紙幣収納部が「空」の状態であっても、カセット全体として「満杯」の状態であると判定する理由は、入金処理で下段の紙幣収納部に紙幣を収納できないためである。ただし、このとき、出金処理において上述した操作表示部(不図示)が、「流通券」を出金しない旨(すなわち「官封券」を出金させる旨)の指示を受け付けた場合、あるいはあらかじめ記憶部110に出金紙幣として「官封券」のみを出金させる旨が記憶されている場合には、主制御部111は、上述した場合と同様に、下段の紙幣収納部が「紙幣有」の状態であっても、カセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する。
【0017】
さらに、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「空」である場合(ステータス番号4)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。下段の紙幣収納部が「空」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、上段の紙幣収納部に収納されている「官封券」によって出金が可能なためである。ただし、このとき、出金処理では上段の紙幣収納部からのみ出金可能とする。
【0018】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部および下段の紙幣収納部のいずれも「紙幣有」の状態である場合(ステータス番号5)、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定し、上段の紙幣収納部が「満杯」の状態であり、下段の紙幣収納部が「紙幣有」の状態である場合(ステータス番号8)、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する。これらの状態の場合には入金処理および出金処理のいずれの処理も可能なためである。
【0019】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部が「紙幣有」の状態であり、下段の紙幣収納部が「満杯」の状態である場合(ステータス番号6)、カセット全体として「満杯」の状態であると判定する。上段の紙幣収納部が「紙幣有」の状態であっても、カセット全体として「満杯」の状態であると判定する理由は、上述したステータス番号3の場合と同様の理由のためである。
【0020】
さらに、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「空」である場合(ステータス番号7)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。下段の紙幣収納部が「空」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、上述したステータス番号4の場合と同様の理由によるためである。なお、上段の紙幣収納部の紙幣量および下段の紙幣収納部の紙幣量がいずれも「満杯」である場合(ステータス番号9)、そのカセット全体の紙幣量が「満杯」の状態であると判定する。
【0021】
このように、主制御部111は、入金処理や出金処理を行うごとに、記憶部110に記憶された状態テーブルを更新し、その状態を記憶させている。そして、主制御部111は、状態テーブルを更新すると、上位装置101に更新した状態テーブルを送信することにより、その内容を報告する。
【0022】
なお、本実施の形態においては、記憶部110は主制御部111の外部に設けられたメモリ等の記憶媒体である前提で説明しているが、主制御部111の内部に設けられた内部メモリであってもよい。また、主制御部111(単に制御部とも言う)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成され、不図示のROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを不図示のRAM(Random Access Memory)にロードすることにより、後述する各種の処理を実行し、利用者との間の取引を実行させる。続いて、紙葉類取扱装置1000で行われる出金処理について説明する。
【0023】
図4は、紙葉類取扱装置1000で行われる出金処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理では、上段の紙幣収納部は官封券を取り扱うため出金専用の収納部であり、下段の紙幣収納部は流通券を取り扱うため入出金可能な収納部であるとして説明している。主制御部111は、図3に示した状態テーブルを参照して出金専用収納部の紙幣量と入金専用収納部の紙幣量からカセット全体の紙幣量を決定し、上位装置101に各カセット毎の紙幣量として決定したカセット全体の紙幣量を報告する。以下に示す処理を行うことによって、上位装置101は、主制御部111から報告された各カセット毎の紙幣量が、空の場合そのカセットが入金可能・出金不可、紙幣有の場合そのカセットが入金可能・出金可能、満杯の場合そのカセットが入金不可・出金可能であることを知ることが出来る。
【0024】
図4に示すように、上位回線制御部102を介して上位装置101から出金指示を受けると、主制御部111は、搬送路21〜25を起動してカセット4a〜4dから入出金口1方向に回転させ(ステップ401)、ゲート12を紙幣カセット4a〜4dから識別部2への搬送方向に切替え(ステップ402)、紙幣搬送監視部113に紙幣監視指示を出す(ステップ403)。
【0025】
そして、主制御部111は、入出金口制御部107に対して入出金口1の集積準備を指示し(ステップ404)、カセット制御部109にリジェクトカセット5の集積準備を指示し(ステップ405)、識別制御部112に識別部2の起動を指示する(ステップ406)。
【0026】
その後、主制御部111は、例えば、両替処理であるか否か、不図示の操作表示部から官封券を出金する旨の指示を受けたか否かを判定することにより、上位装置101からの出金指示が両替出金等の官封券が好ましい出金であるか否かを判定し(ステップ407)、官封券が好ましい出金であると判定した場合(ステップ407;Yes)、さらに、図3に示した状態テーブルを参照し、出金可能な上段の紙幣収納部からの出金を指示し、指定された金種の格納されたカセットから指定枚数の紙幣を1枚ずつ分離させる(ステップ408)。
【0027】
主制御部111は、官封券が好ましい出金ではないと判定した場合(ステップ407;No)、出金可能な下段の紙幣収納部からの出金を指示し、指定された金種の格納されたカセットから指定枚数の紙幣を1枚ずつ分離させる(ステップ409)。
【0028】
その後、紙幣カセットから繰出された紙幣は搬送路24,21を通り、識別部2で紙幣の真偽・正損・金種・搬送状態が判別され、識別結果は識別制御部112から主制御部111に報告されると共に主制御部111は識別結果をもとに正常券又はリジェクト券を決定し、正常券を入出金口1またはリジェクトカセット5に集積する(ステップ410)。なお、正常券とは、実施例3にて後述するように、汚損が少なく流通に適した紙幣である。
【0029】
主制御部111は、指定金額の紙幣を入出金口1に集積された後、搬送モータ制御部103に搬送路21〜25の停止を指示し、上位回線制御部102を介して、上位装置101に出金正常終了、および出金後のカセットの状態を報告する(ステップ411)。このステップ412の処理が終了すると、図4に示した出金処理の全ての処理が終了する。
【0030】
このようにして、主制御部111がカセット内の複数の紙幣収納部の紙幣量と入出金の可否を元にカセット全体の紙幣量を決定し、上位装置101に対してカセット全体の紙幣量を報告することで、上位装置101は従来のカセット毎に1つの収納部を持つ紙幣取扱装置を取り扱うのと同じ方法で、取扱金種を減らすことなく、官封券出金を実現する。
【実施例2】
【0031】
本実施例では一例として、カセット内の紙幣収納部が上下2段の場合において、上段の紙幣収納部で表向きの紙幣を取り扱い、下段に紙幣収納部で裏向きの紙幣を取り扱い、紙幣の表裏を揃えた入出金をする場合を説明する。まず、図1、2、5を用いて紙幣取扱装置1000における紙幣の収納取引(入金処理)の処理手順を説明する。ここで、「表向きの紙幣」とは、識別部通過時に肖像面が上面となる向きの紙幣であり、「裏向きの紙幣」とは、識別部通過時に肖像面が下面となる向きの紙幣を示すものである。
【0032】
なお、主制御部111は図6に示す状態テーブル(後述)を参照して出金専用収納部の紙幣量と入金専用収納部の紙幣量からカセット全体の紙幣量を決定し、上位装置101に各カセット毎の紙幣量として決定したカセット全体の紙幣量を報告する。以下に示す処理を行うことによって、上位装置101は主制御部111から報告された各カセット毎の紙幣量が、空の場合そのカセットが入金可能・出金不可、紙幣有の場合そのカセットが入金可能・出金可能、満杯の場合そのカセットが入金不可・出金可能であることを知ることが出来る。また、紙幣取扱装置1000の構成については、実施例1の場合と同様であるため、ここではその説明を省略している。また、以下では、操作表示部(不図示)から紙幣の入金を受け付けた状態にあるものとする。
【0033】
図5に示すように、主制御部111は、上位装置101より上位回線制御部102を介して収納指示を受けると、搬送路21〜25を収納部へ集積方向に回転させると共に(ステップ511)、ゲート13を一時保留部3から識別部2への搬送方向に切替え(ステップ512)、紙幣搬送監視部113に紙幣監視指示を出す(ステップ513)。
【0034】
主制御部111は、収納庫制御部109に紙幣カセット4a〜4dおよびリジェクトカセット5の集積準備を指示し(ステップ514)、識別制御部112に識別部2の起動を指示すると共に(ステップ515)、一時保留部制御部108に一時保留部3からの分離指示を発行して、操作表示部(不図示)が受け付けて一時保留部3に蓄えられた紙幣を1枚ずつ分離させる(ステップ516)。
【0035】
その後、一時保留部3から繰出された紙幣は搬送路23を通り、識別部2が紙幣の真偽・正損・金種・搬送状態・表裏を判別し、識別結果は識別制御部112から主制御部111に報告される(ステップ517)。
【0036】
ここで、実施例2における状態テーブルについて説明する。図6は実施例2における状態テーブルの例を示す図である。図6に示すように、実施例2における状態テーブルは、実施例1の場合と同様に、紙幣収納部の紙幣の状態を識別するためのステータス番号と、上段の紙幣収納部の紙幣量と、下段の紙幣収納部の紙幣量と、そのカセット全体の紙幣量とが対応付けて記憶されている。なお、以下の例では、上段および下段の紙幣収納部は、いずれも入金処理および出金処理に併用されるものとする。
【0037】
図6に示す例では、上段の紙幣収納部の紙幣量、および下段の紙幣収納部の紙幣量がいずれも「空」である場合(ステータス番号1)、主制御部111は、そのカセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する。これと同様に、上段の紙幣収納部の紙幣量が「空」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」である場合(ステータス番号2)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。
【0038】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「空」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」である場合(ステータス番号3)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。上段の紙幣収納部が「空」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、入金処理で上段の紙幣収納部に紙幣を収納可能なためである。ただし、このとき、主制御部111は、上述した操作表示部(不図示)が、正常裏向き券を受け付けたと判定した場合には、その正常裏向き券をリジェクトカセット5に搬送させる。
【0039】
さらに、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「空」である場合(ステータス番号4)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。また、主制御部111は、上段の紙幣収納部および下段の紙幣収納部のいずれも「紙幣有」の状態である場合(ステータス番号5)、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する。これらの場合にカセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、これらの状態の場合には上段および下段の紙幣収納部のいずれにも入金が可能なためである。
【0040】
さらに、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」である場合(ステータス番号6)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。下段の紙幣収納部が「満杯」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、上段の紙幣収納部に紙幣の入金が可能なためである。ただし、このとき、主制御部111は、上述した操作表示部(不図示)が、正常裏向き券を受け付けたと判定した場合には、その正常裏向き券をリジェクトカセット5に搬送させる。
【0041】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「空」である場合(ステータス番号7)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定し、上段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」である場合(ステータス番号8)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。これらの場合に、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、下段の紙幣収納部に紙幣の入金が可能なためである。ただし、このとき、主制御部111は、上述した操作表示部(不図示)が、正常表向き券を受け付けたと判定した場合には、その正常表向き券をリジェクトカセット5に搬送させる。なお、上段の紙幣収納部の紙幣量および下段の紙幣収納部の紙幣量がいずれも「満杯」である場合(ステータス番号9)、そのカセット全体の紙幣量が「満杯」の状態であると判定する。続いて、図5に戻り、ステップS518以降の処理について説明する。
【0042】
そして、主制御部111は、識別結果にしたがって、その紙幣が正常表向き券であるか否かを判定し(ステップ518)、その紙幣が正常表向き券であると判定した場合(ステップ518;Yes)、図6に示した状態テーブルを参照し、入金可能な上段の紙幣収納部への入金を指示し、その紙幣の金種を取り扱う紙幣カセット4a〜4dの上段収納部に集積し(ステップ519)、ステップ523に進む。
【0043】
一方、主制御部111は、その紙幣が正常表向き券でないと判定した場合(ステップ518;No)、さらに、その紙幣が正常裏向き券であるか否かを判定し(ステップ520)、その紙幣が正常裏向き券であると判定した場合(ステップ520;Yes)、その紙幣の金種を取り扱う紙幣カセット4a〜4dの下段収納部に集積し(ステップ521)、ステップ523に進む。
【0044】
一方、主制御部111は、その紙幣が正常裏向き券でないと判定した場合(ステップ520;No)、リジェクト券と判定し、リジェクトカセット5に集積する。(ステップ522)。そして、主制御部111は、一時保留部3の紙幣が紙幣カセット4a〜4dまたは回収部5に集積されると、搬送モータ制御部103に搬送路21〜25の停止を指示し、上位回線制御部102を介して、上位装置101に入金正常終了、および入金後のカセットの状態を報告する(ステップ523)。このステップ523の処理が終了すると、図5に示した入金処理の全ての処理が終了する。
【0045】
なお、上述した実施例2では、入金処理を例に説明しているが、出金処理の場合には、図4に示した実施例1における出金処理のうち、ステップ401〜406までの各処理は、実施例1の場合と同様の処理を行い、ステップ407において、主制御部111が、実施例1の場合と同様に、両替処理であるか否か等を判定することにより、上位装置101からの出金指示が両替出金等の正常表向き券が好ましい出金であるか否かを判定し、さらに、正常表向き券が好ましい出金であると判定した場合、さらに、ステップ408において、図6に示した状態テーブルを参照し、出金可能な上段の紙幣収納部からの出金を指示し、指定された金種の格納されたカセットから指定枚数の紙幣を1枚ずつ分離させる。
【0046】
一方、ステップ407において、主制御部111は、官封券が好ましい出金ではないと判定した場合、ステップ409において、出金可能な下段の紙幣収納部からの出金を指示し、指定された金種の格納されたカセットから指定枚数の紙幣を1枚ずつ分離させる。その後、図4に示した実施例1における出金処理のステップ410、411の各処理を行って、出金処理を終了させる。実施例1の場合と同様に、このステップ411の処理が終了すると、実施例2における出金処理の全ての処理が終了する。
【0047】
このようにして、主制御部111がカセット内の複数の紙幣収納部の紙幣量と入出金の可否を元にカセット全体の紙幣量を決定し、上位装置101に対してカセット全体の紙幣量を報告することで、上位装置101は従来のカセット毎に1つの収納部を持つ紙幣取扱装置を取り扱うのと同じ方法で、取扱金種を減らすことなく、表裏を揃えた出金を実現する。
【実施例3】
【0048】
本実施例では一例として、カセット内の紙幣収納部が上下2段の場合において、上段の紙幣収納部で正常券を取扱い、下段に紙幣収納部で損券を取扱い、正常券と損券を金種カセットで取扱い、正常券のみを出金する場合を説明する。まず、図1、2、7を用いて紙幣取扱装置1000における紙幣の収納取引(入金処理)の処理手順を説明する。なお、「正常券」とは汚損が少なく流通に適した紙幣を示し、「損券」とは汚損が多く流通に適さない紙幣を示すものとする。
【0049】
なお、主制御部111は、図8に示す状態テーブル(後述)を参照して出金専用収納部の紙幣量と入金専用収納部の紙幣量からカセット全体の紙幣量を決定し、上位装置101に各カセット毎の紙幣量として決定したカセット全体の紙幣量を報告する。以下に示す処理を行うことによって、上位装置101は主制御部111から報告された各カセット毎の紙幣量が、空の場合そのカセットが入金可能・出金不可、紙幣有の場合そのカセットが入金可能・出金可能、満杯の場合そのカセットが入金不可・出金可能であることを知ることが出来る。また、以下では、操作表示部(不図示)から紙幣の入金を受け付けた状態にあるものとする。さらに、紙幣取扱装置1000の構成については、実施例1、実施例2の場合と同様であるため、ここではその説明を省略し、ステップ711〜717までの各処理は、図5に示した実施例2の場合におけるステップ511〜517までの各処理と同様であるため、ここではその説明を省略している。
【0050】
図7に示すように、ステップ717において、一時保留部3から繰出された紙幣は搬送路23を通り、識別部2が紙幣の真偽・正損・金種・搬送状態・表裏を判別し、識別結果は識別制御部112から主制御部111に報告されると、主制御部111は、識別結果をもとに正常券であるか否かを判定する(ステップ718)。
【0051】
ここで、実施例3における状態テーブルについて説明する。図8は実施例3における状態テーブルの例を示す図である。図8に示すように、実施例3における状態テーブルは、実施例1、実施例2の場合と同様に、紙幣収納部の紙幣の状態を識別するためのステータス番号と、上段の紙幣収納部の紙幣量と、下段の紙幣収納部の紙幣量と、そのカセット全体の紙幣量とが対応付けて記憶されている。なお、以下の例では、上段の紙幣収納部は入金処理および出金処理に併用され、下段の紙幣収納部は入金処理専用であるものとする。
【0052】
図8に示す例では、上段の紙幣収納部の紙幣量、および下段の紙幣収納部の紙幣量がいずれも「空」である場合(ステータス番号1)、上段の紙幣収納部の紙幣量が「空」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」である場合(ステータス番号2)、主制御部111は、そのカセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する。下段の紙幣収納部が「紙幣有」であっても、カセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する理由は、上段の紙幣収納部が「空」の状態であり、紙幣の出金が不可能であるためである。
【0053】
これと同様に、上段の紙幣収納部の紙幣量が「空」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」である場合(ステータス番号3)、そのカセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する。下段の紙幣収納部が「満杯」であっても、カセット全体の紙幣量が「空」の状態であると判定する理由は、上述したステータス番号2の場合と同様の理由によるためである。ただし、このとき、主制御部111は、上述した操作表示部(不図示)が、損券を受け付けたと判定した場合には、その損券をリジェクトカセット5に搬送させる。
【0054】
さらに、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「空」である場合(ステータス番号4)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。また、主制御部111は、上段の紙幣収納部および下段の紙幣収納部のいずれも「紙幣有」の状態である場合(ステータス番号5)、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する。これらの場合にカセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、これらの状態の場合には上段および下段の紙幣収納部のいずれにも入金が可能であり、上段の紙幣収納部からの出金も可能なためである。
【0055】
さらに、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」である場合(ステータス番号6)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。下段の紙幣収納部が「満杯」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、上段の紙幣収納部に紙幣の入金が可能であり、上段の紙幣収納部からの出金も可能なためである。ただし、このとき、主制御部111は、上述した操作表示部(不図示)が、損券を受け付けたと判定した場合には、その損券をリジェクトカセット5に搬送させる。
【0056】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「空」である場合(ステータス番号7)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。上段の紙幣収納部が「満杯」の状態であっても、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、下段の紙幣収納部に紙幣の入金が可能なためである。ただし、このとき、主制御部111は、上述した操作表示部(不図示)が、正常券または損券のいずれを受け付けたか否かにかかわらず、その正常券または損券を下段の紙幣収納部に搬送させる。
【0057】
また、主制御部111は、上段の紙幣収納部の紙幣量が「満杯」であり、下段の紙幣収納部の紙幣量が「紙幣有」である場合(ステータス番号8)、そのカセット全体の紙幣量が「紙幣有」の状態であると判定する。これらの場合に、カセット全体として「紙幣有」の状態であると判定する理由は、下段の紙幣収納部に紙幣の入金が可能なためである。ただし、このとき、主制御部111は、ステータス番号7の場合と同様に、上述した操作表示部(不図示)が、正常券または損券のいずれを受け付けたか否かにかかわらず、その正常券または損券を下段の紙幣収納部に搬送させる。なお、上段の紙幣収納部の紙幣量および下段の紙幣収納部の紙幣量がいずれも「満杯」である場合(ステータス番号9)、そのカセット全体の紙幣量が「満杯」の状態であると判定する。続いて、図7に戻り、ステップS718以降の処理について説明する。
【0058】
そして、主制御部111は、正常券であると判定した場合(ステップ718;Yes)、図8に示した状態テーブルを参照し、入金可能な上段の紙幣収納部への入金を指示し、その紙幣の金種を取り扱う紙幣カセット4a〜4dの上段収納部に集積し(ステップ719)、ステップ721に進み、実施例2の場合と同様の処理を行う。
【0059】
一方、主制御部111は、正常券ではないと判定した場合(ステップ718;No)、損券であると判定し、その紙幣の金種を取り扱う紙幣カセット4a〜4dの下段収納部に集積し(ステップ720)、ステップ721に進み、実施例2の場合と同様の処理を行う。
【0060】
なお、上述した例では、主制御部111は、リジェクト券か否かの判定を行っていないが、リジェクト券の判定を行う場合には、ステップS718において、さらに紙幣がリジェクト券であるか否かを判定し、紙幣がリジェクト券であると判定した場合、その紙幣をリジェクトカセット5に収納させることも可能である。
【0061】
なお、上述した実施例3では、入金処理を例に説明しているが、出金処理の場合には、図4に示した実施例1における出金処理のうち、ステップ401〜406までの各処理は、実施例1の場合と同様の処理を行い、ステップ407において、主制御部111が、実施例1の場合と同様に、両替処理であるか否か等を判定することにより、上位装置101からの出金指示が両替出金等の正常券が好ましい出金であるか否かを判定し、さらに、正常券が好ましい出金であると判定した場合、さらに、ステップ408において、図8に示した状態テーブルを参照し、出金可能な上段の紙幣収納部からの出金を指示し、指定された金種の格納されたカセットから指定枚数の紙幣を1枚ずつ分離させる。
【0062】
一方、ステップ407において、主制御部111は、正常券が好ましい出金ではないと判定した場合、ステップ409において、出金可能な下段の紙幣収納部からの出金を指示し、指定された金種の格納されたカセットから指定枚数の紙幣を1枚ずつ分離させる。その後、図4に示した実施例1における出金処理のステップ410、411の各処理を行って、出金処理を終了させる。実施例1の場合と同様に、このステップ411の処理が終了すると、実施例3における出金処理の全ての処理が終了する。
【0063】
このようにして、主制御部111がカセット内の複数の紙幣収納部の紙幣量と入出金の可否を元にカセット全体の紙幣量を決定し、上位装置101に対してカセット全体の紙幣量を報告することで、上位装置101は従来のカセット毎に1つの収納部を持つ紙幣取扱装置を取り扱うのと同じ方法で、取扱金種を減らすことなく、正常券と損券を金種カセットで取扱い、正常券のみを出金することを実現する。
【0064】
以上、実施例1〜実施例3に示したように、入出金可能な複数の紙幣収納部と入出金する紙幣収納部を切り替えるゲートと紙幣の出入り口1つを有した還流カセットを用い、カセット内の全ての紙幣収納部で同一の金種を取り扱い、カセット内の各紙幣収納部でそれぞれ異なる性質の紙幣を取り扱い、紙葉類取扱装置を使用する上位システム(現金自動取扱装置等)に対してはカセット全体を1つの収納部として操作させ、上位システムから特定金種の出金指示があった際に、紙葉類取扱装置の制御部において出金可能な紙幣性質の中から最適な紙幣性質を決定し、出金指示のあった金種を取り扱うカセットの最適な紙幣性質を取り扱う紙幣収納部から紙幣を出金する。したがって、取り扱い可能な金種数を減らすことなく、また上位システムの変更をすることなく、紙葉類取扱装置の変更のみで最適な性質の紙幣の出金するサービスを提供することができる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0066】
1…入出金口、2…識別部、3…一時保留部、4a〜4d…カセット、5…リジェクトカセット、6…取忘回収庫、11…通過センサ、12〜13…ゲート、21〜25…搬送路、40…カセット内部ゲート、41…上段収納部空検知センサ、42…上段収納部満杯検知センサ、43…下段収納部空検知センサ、44…下段収納部満杯検知センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客との間で紙葉類に関する取引を行う紙葉類取扱装置であって、
前記紙葉類を入出金するための入出金口と、
前記紙葉類の価値に基づいて分類した場合における前記紙葉類の種類を示す種別ごとに設けられた複数のカセットであって、前記複数のカセットのそれぞれは前記紙葉類を前記種別以外の要素で分類した場合における前記紙葉類の種類を示す性質が異なるそれぞれの紙葉類を収納可能な複数の収納部を有したカセットと、
前記入出金口と前記複数のカセットとの間に設けられ、前記入出金口から入金された前記紙葉類の種別および性質を識別するための識別部と、
前記入出金口と前記識別部と前記収納部のそれぞれとの間をつなぐ搬送路と、
前記複数の収納部のそれぞれについての前記紙葉類の収納状態である収納部収納状態と、前記複数の収納部を有した前記カセット全体における前記紙葉類の収納状態であるカセット収納状態とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する前記収納部収納状態と前記カセット収納状態とに基づいて前記紙葉類の入出金処理を実行し、実行させた後の前記収納部収納状態と前記カセット収納状態とを前記記憶部に記憶させ、記憶させた前記収納部収納状態と前記カセット収納状態とを前記紙葉類取扱装置を管理する上位装置に報告する主制御部と、
を備えたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記カセットが有する前記収納部のそれぞれに前記紙葉類を集積して入金させ、または前記カセットのそれぞれから前記紙葉類を分離して出金させるための切り替えゲートを、前記カセットごとにさらに備え、
前記主制御部は、前記切り替えゲートを切り替えて前記入出金処理を実行させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記カセットのそれぞれは、前記紙葉類取扱装置に着脱可能であって、前記種別の紙葉類の大きさにあわせて設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
それぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部は、前記紙葉類として、一の収納部には前記紙葉類が発行後に一度も使用されていない官封券を集積し、他の収納部には前記紙葉類が発行後に一度でも使用された流通券を集積し、
前記主制御部は、前記官封券での入出金が必要であるか否かを判定することにより、それぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部から前記官封券または前記流通券を出金させ、またはそれぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部に前記官封券または前記流通券を入金させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
それぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部は、前記紙葉類として、一の収納部には前記紙葉類のうち汚損が少なく流通に適した正常券を集積し、他の収納部には前記紙葉類のうち汚損が多く流通に適さない損券を集積し、
前記主制御部は、前記正常券での入出金が必要であるか否かを判定することにより、それぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部から前記正常券を出金させ、またはそれぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部に前記正常券を入金させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
それぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部は、前記紙葉類として、一の収納部には前記紙葉類のうち前記識別部通過時に肖像面が上面となる向きの表向き券を集積し、他の収納部には前記紙葉類のうち前記識別部通過時に肖像面が下面となる向きの裏向き券を集積し、
前記主制御部は、前記表向き券での入出金が必要であるか否かを判定することにより、それぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部から前記表向き券または前記裏向き券を出金させ、またはそれぞれの前記カセットが有するそれぞれの前記収納部に前記表向き券または前記裏向き券を入金させる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
前記主制御部は、前記官封券および前記流通券、または前記正常券および前記損券、または前記表向き券および前記裏向き券のいずれにも該当しないと判定した場合に、前記カセットとは別に設けられたリジェクトカセットに集積させる、
ことを特徴とする請求項4または5または6に記載の紙葉類取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221123(P2012−221123A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84855(P2011−84855)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】