説明

紙葉類搬送装置、及び紙葉類搬送装置の媒体検出方法

【課題】より単純な構造で、内部に残留している媒体を検出する紙葉類搬送装置、及び紙葉類搬送装置の媒体検出方法を提供する。
【解決手段】紙葉類搬送装置は、媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部1を有する。この一部保留部1は、スリット13を有し、一部保留部1内を上下に可動するステージ11と、ステージ11を上下に可動するステージ駆動モータ16と、光軸15cがスリット13を通りかつステージ11に対して斜めに交差するよう配置される媒体検知センサ15a、15bとを有する。媒体検知センサ15a、15bは、ステージ駆動モータ16の駆動パルスに同期したタイミングで一部保留部1内の媒体センスを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を一時ステージ上に留保する一時留保部を有する紙葉類搬送装置、及び紙葉類搬送装置の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙等の紙葉類搬送装置としては、金融機関で用いられる自動取引装置に組み込まれる紙幣入出金機がある。ところが、従来の紙葉類搬送装置においては一時保留部の残留検知センサではセンサの光軸上のポイントに媒体がある場合に残留検出する。従って、従来の紙葉類搬送装置においては、次のような課題がある。
【0003】
第1の課題は、通常のサイズとは異なるジャム状態の紙幣を検出できない。第2の課題は、ジャム状態の紙幣の検出精度を上げるためにはセンサの数を増やさなければならず、コストがかかる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、媒体の処理途中で媒体を上下動可能な一時保留板上に一時保留し、その後、媒体を一時保留板上から繰り出す機能を有する媒体処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の紙媒体処理装置は、媒体を上下動可能であり、媒体を一時保留した後に繰り出す、一次保留板と、媒体検知用のセンサを有している。一時保留板は、紙幣の集積及び繰り出し方向に延びるスリットを設けている。そして、一時保留板のスリットに対して光軸が斜めに交差するように媒体検知用のセンサを前後方向に傾けて配置し、媒体の繰り出し終了後、一時保留板を下降させ、下降動作中にセンサの光をスリットに通過させて、残留媒体の有無を調べる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−362827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1に記載の技術では、上記の課題は解決できるものの、媒体の有無は確認できるが、媒体の大きさは確認できないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、媒体の有無を検出すると共にその媒体の位置を検出することができる紙葉類搬送装置、及び紙葉類搬送装置の媒体検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる紙葉類搬送装置は、媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部を有する媒体搬送装置であって、スリットを有し、前記一時保留部内を上下に可動するステージと、前記ステージを上下に可動するモータと、光軸が前記スリットを通りかつ前記ステージに対して斜めに交差するよう配置される媒体検知用のセンサとを有し、前記媒体検知用センサは、前記モータの駆動パルスに同期したタイミングで前記一時保留部内の媒体センスを行うものである。
【0010】
本発明にかかる紙葉類搬送装置の媒体検出方法は、スリットを有し、前記一時保留部内を上下に可動するステージと、前記ステージを上下に可動するモータと、光軸が前記スリットを通りかつ前記ステージに対して斜めに交差するよう配置される媒体検知用のセンサとを有し、媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部を有する媒体搬送装置の前記媒体の検出方法であって、前記媒体検知用センサにより、前記モータの駆動パルスに同期したタイミングで前記一時保留部内の媒体センスを行うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より単純な構造で、内部に残留している媒体を検出する紙葉類搬送装置、及び紙葉類搬送装置の媒体検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる紙幣搬送装置の一時保留部を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる紙葉類搬送装置の動作を示すタイミング波形を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる紙幣搬送装置の一時保留部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部を有する紙幣搬送装置に適用したものである。
【0014】
本発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる紙幣搬送装置の一時保留部を示す斜視図である。紙幣搬送装置は、媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部1を有する。一部保留部1は、図1に示すように、スリット13を有するステージ11、分離部14a、14b、センサ15a、15b、及びステージ駆動モータ16等を有する。
【0015】
ステージ11は、スリット13を有し、一時保留部1内を上下に可動する。ステージ駆動モータ16は、ステージ11を上下に可動する。センサ15a、15bは、光軸15cがスリット13を通りかつステージ11に対して斜めに交差するよう配置されるもので、残留紙幣の検知のために使用する。そして、この媒体検知用センサ15a、15bは、ステージ駆動モータ16の駆動パルスに同期したタイミングで一時保留部内1の媒体センスを行う。このことにより、残留媒体12がステージ11上のどの位置に残留しているかの位置を検出することができる。
【0016】
以下、本実施の形態について更に詳細に説明する。一時保留部1は紙葉類搬送装置において入金された紙幣を取引確定まで一時的に収納しておく部分であり、それ以外の場合には一時保留部に媒体(紙幣)が無い状態が通常の状態である。一時保留部1のステージ11をステージ駆動モータ16により上下させ、分離部14a、14bを使用して紙幣の集積及び分離動作を行う。
【0017】
ここで、本実施の形態においては、一部保留部1は、略直方体の形状であるとする。そして、図1において、一部保留部1の紙面上側の面を上面、下側の面を底面とする。また、紙面奥側を前側、手前側を後側とする。媒体検知センサ15a、15bは対となっており、両者の間に光軸15cを有する。本例においては、スリット13は、残留媒体12の長手方向に略直交する方向に、ステージ11上に設けられている。
【0018】
媒体検知センサ15a、15bは、それぞれ上面前側中央近傍、底面後側中央近傍に配置され(上面後側中央近傍、底面前側中央近傍でもよい。)、光軸15cがステージ11に対して斜めに横切るよう配置する。このとき、スリット13により、媒体検知センサ15aからの光はステージ11に遮られることなく、底面側に到達する。このスリット13上に残留媒体12があれば、センサ光の強度が下がるため、残留媒体12を検知することができる。
【0019】
このように、本実施の形態においては、一時保留部1内に設ける媒体検知センサ15a、15bを一時保留部1内のステージ11のスリット13を通過し、ステージ11の面に対して光軸15cが斜めになるよう配置させたので、ステージ11を上下に移動させることにより、媒体検知センサ15a、15bの光軸15c上にある媒体を検出することが可能となる。
【0020】
さらに、本実施の形態においては、ステージ駆動モータ16を駆動する駆動パルスに同期して残留媒体のセンスを実施することにより、残留媒体がステージ11のどの位置に位置するかを検出することができる。
【0021】
次に、本実施の形態にかかる紙葉類搬送装置の媒体検出方法について説明する。図2は、紙葉類搬送装置の動作を示すタイミング波形を示す図である。
【0022】
ステージ駆動モータ16は、ステッピングモータ又はエンコーダ付きのDCモータを使用する。これにより位置制御が可能となる。ステージ11の移動開始からステージ11の移動終了までのエンコーダパルス(駆動パルス)P1に同期したタイミング(図2においてはS1乃至S5)で一時保留部1内の媒体センスを行う。このことにより、ステージ11の移動距離及び媒体検知状態の変化により、残留している媒体の位置及びサイズを把握することができる。
【0023】
例えば、ステージ11を一番上の位置(上面側)から底面側まで下げていいき、媒体有を検出するまでのステージ11上での移動距離(L1)が、ステージ11の前側から残留媒体12までの距離となる。また、残留媒体12を検出している間のステージ11上での移動距離(L2)が、残留媒体12の前後方向(短手方向)のサイズである。残留媒体12を検知しなくなってステージ11が底面側に到達するまでのステージ11上での移動距離(L3+L4)が、ステージ11の後側から残留媒体12までの距離となる。
【0024】
また、媒体検知センサを左右方向にも配置することにより左右方向(長手方向)の残留媒体12の位置及びサイズの検出も可能となる。
【0025】
本実施の形態においては、光軸15cがスリット13を通りかつステージ11に対して斜めに交差するよう配置される媒体検知用のセンサ15a、15bを設けたため、簡単な機構で残留媒体の検出精度を向上できることができる。また、ステージ駆動モータ16の駆動パルスに同期したタイミングで一部保留部1内の媒体センスを行うことで、残留媒体12の位置及びサイズを検出することができ、残留媒体12の回収漏れを防止ができる。すなわち、本実施の形態においては、センサや新たな機構を追加せずに一時保留部の媒体残留検知精度を向上させ、より信頼性の高い紙葉類搬送装置を提供することができる。
【0026】
本発明の実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、本発明の実施の形態2にかかる紙幣搬送装置の一時保留部を示す斜視図である。実施の形態1では、スリット13を、ステージ11の、媒体の長手方向(紙面左右方向)に直交する方向(紙面前後方向)に設けるものとして説明したが、本実施の形態においては、スリット23は、ステージ11の中央部分でクロスするX状の形状を有する。そして、媒体検知センサは、略直方体の一時保留部1の対角線上に光軸が配置されるよう2組以上設ける。
【0027】
本実施の形態においては、左前上面部に媒体検知センサ25aを配置、右後底面部に媒体検知センサ25bを配置し、対角線上に光軸25cが配置されるようにする。そして、右前上面部に媒体検知センサ26aを配置、左後底面部に媒体検知センサ26bを配置し、対角線上に光軸26cが配置されるようにする。こうして、2組の媒体検知センサ25a、25bと、媒体検知センサ26a、26bと、を配置する。これにより、実施の形態1より更に広範囲にわたり残留媒体12を検出することができる。なお、4つの対角線上全てに光軸が配置されるよう4組の媒体検知センサを設けてもよく、また2組の媒体検知センサの配置の仕方は図2に限らない。
【0028】
残留媒体12の検出方法は、実施の形態1と同様であり、ステージ駆動モータ16を駆動する駆動パルスに同期して残留媒体のセンスを実施する。このとき、実施の形態1とは異なり、ステージ11の対角線方向の位置が検出され、残留媒体12の大きさも、残留媒体12を斜めに横切った大きさとして得られる。必要であれば、左右方向、前後方向の距離に換算すればよい。
【0029】
本実施の形態においても、ステージ11に対して斜めに2対の媒体検知センサを設けたため、簡単な機構で残留媒体の検出精度を向上できることができると共に、ステージ駆動モータ16の駆動パルスに同期したタイミングで一部保留部1内の媒体センスを行うことで、残留媒体12の位置及びサイズを検出することができ、残留媒体12の回収漏れを防止ができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、検出した残留媒体12の位置及びサイズの情報を係員に通知することにより、どの場所にどの様な状態で残留媒体12が残留しているか注意喚起を促すことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 一部保留部
11 ステージ
12 残留媒体
13 スリット
14a 分離部
14b 分離部
15a 媒体検知センサ
15b 媒体検知センサ
15c 光軸
16 ステージ駆動モータ
23 スリット
25a 媒体検知センサ
25b 媒体検知センサ
25c 光軸
26a 媒体検知センサ
26b 媒体検知センサ
26c 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部を有する紙葉類搬送装置であって、
スリットを有し、前記一時保留部内を上下に可動するステージと、
前記ステージを上下に可動するモータと、
光軸が前記スリットを通りかつ前記ステージに対して斜めに交差するよう配置される媒体検知用のセンサとを有し、
前記媒体検知用センサは、前記モータの駆動パルスに同期したタイミングで前記一時保留部内の媒体センスを行う、紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記スリットは、前記ステージの中央近傍であって、前記媒体の長手方法に略直交する方向に設けられ、
前記センサは、前記一時保留部の上面前側から底面後ろ側又は上面後ろ側から底面前側にかけて光軸が配置されるよう配置される請求項1記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記ステージの中央部分でクロスするX状のスリットであり、
前記センサは、略直方体の前記一時保留部の対角線上に光軸が配置されるよう2組以上設けられる請求項1記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
スリットを有し、前記一時保留部内を上下に可動するステージと、
前記ステージを上下に可動するモータと、
光軸が前記スリットを通りかつ前記ステージに対して斜めに交差するよう配置される媒体検知用のセンサとを有し、
媒体の処理途中で当該媒体を一時保留するための一時保留部を有する紙葉類搬送装置の前記媒体の検出方法であって、
前記媒体検知用センサにより、前記モータの駆動パルスに同期したタイミングで前記一時保留部内の媒体センスを行う、紙葉類搬送装置の媒体検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−206819(P2012−206819A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72938(P2011−72938)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】