説明

紙葉類搬送装置

【課題】紙葉類を空気流で搬送する紙葉類搬送装置の稼働率を向上することのできる技術を提供する。
【解決手段】回収装置は分離部50に配設され、紙葉類を検知する紙葉類検知センサ42と、紙葉類検知センサ42に対して所要上流側に配設され、紙葉類を検知する紙葉類検知センサ43と、紙葉類検知センサ42のみで紙葉類が検知されたときには詰まりと判定せず、紙葉類検知センサ42および紙葉類検知センサ43で紙葉類が検知されたときには詰まりと判定する制御部49とを有する。紙葉類検知センサ42は、その検出光が分離部50の搬送ベルト51間を通過するように、分離部50の側面に形成された貫通孔50aに配設され、紙葉類検知センサ43は、送風管10の側面から内壁に突出するリブ11間に形成された貫通孔10bに配設されている。
【選択図】図4

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を空気流で搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場などで紙幣を搬送する場合、従来からベルトやローラを用いて搬送する搬送装置が用いられている。しかし、このような搬送装置では、面積が広い遊技場などでは装置全体が大型化してしまい、またベルトやローラを駆動するためのランニングコストも非常に高額になってしまう。
【0003】
そこで、本発明者は、空気流を用いて紙幣などの紙葉類を搬送させる紙葉類搬送装置を提案している(特許文献1)。このような空気流を用いた紙葉類搬送装置によれば、ベルトやローラを用いた搬送装置と比較して、装置の小型化を図ることができ、またランニングコストを低額に抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4130697号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示された紙葉類搬送技術は、紙葉類の搬送方向後端部に変形部(屈曲又は湾曲部)を形成し、その変形部に風圧を作用させるものである。これにより紙葉類が推進力を得て、変形部が形成された状態で紙葉類は送風管内を流れるように搬送される。搬送先の回収装置内に回収される際には、分離部によって紙葉類と空気流が分離され、紙葉類はその変形部が矯正部によって矯正されて平坦となった状態で収納部に収納される。
【0006】
しかしながら、分離部から矯正部へ搬送される前に、紙葉類が空気流と分離されて分離部で滞留してしまう場合がある。このような場合、さらに後続で搬送されてくる紙葉類が重なることにより、分離部で滞留群(詰まり)が生じ、紙葉類が回収できない状態となってしまう。このため、紙葉類搬送装置の稼働を停止させて、滞留している紙葉類を取り除く必要が生じる。
【0007】
本発明の目的は、紙葉類を空気流で搬送する紙葉類搬送装置の稼働率を向上することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における紙葉類搬送装置では、送風管と、紙葉類の後端部に変形部を形成して前記送風管内に紙葉類を送り込む送り込み装置と、紙葉類の変形部に風圧を作用させて紙葉類を前記送風管内で搬送する空気流を生じさせる空気流発生装置と、前記送風管の終端部に配設され、前記送風管内を搬送されてくる紙葉類を回収する回収装置とを有するものである。前記回収装置は前記送風管内を搬送されてきた紙葉類と空気流とを分離する分離部を含んで構成されている。ここで、前記紙葉類搬送装置は、前記分離部に配設され、紙葉類を検知する第1センサと、前記第1センサに対して所要上流側に配設され、紙葉類を検知する第2センサと、前記第1センサのみで紙葉類が検知されたときには詰まりと判定せず、前記第1センサおよび前記第2センサで紙葉類が検知されたときには詰まりと判定する制御部とを有する。前記第1センサは、その検出光が前記分離部の搬送ベルト間を通過するように、前記分離部の側面に形成された貫通孔に配設され、前記第2センサは、前記送風管の側面から内壁に突出するリブ間に形成された貫通孔に配設されているまた、前記紙葉類は、紙幣であることを特徴とする。
前記分離部内での紙葉類の通路は、前記搬送ベルトと、該搬送ベルトに対向して配設され、突起部を有するスキージとによって形成されており、前記スキージは、前記突起部からY字状に分岐されており、前記第1センサの検出光は、前記突起部からY字状に分岐した枝間を通過することを特徴とする。また、前記紙葉類は、紙幣であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すると、紙葉類を空気流で搬送する紙葉類搬送装置の稼働率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】紙葉類搬送装置の概要を説明するための図である。
【図2】紙葉類の搬送方法を説明するための図である。
【図3】回収装置の概要を説明するための図である。
【図4】送風管の終端部と回収装置の分離部とが接続された状態の上面図である。
【図5】送風管の終端部の斜視図である。
【図6】分離部の要部の斜視図である。
【図7】紙葉類が搬送される様子を説明するための図である。
【図8】紙葉類が搬送される様子を説明するための図である。
【図9】紙葉類が搬送される様子を説明するための図である。
【図10】紙葉類検知センサの位置関係を説明するための図である。
【図11】位置調整機能を有する紙葉類検知センサが取り付けられた送風管の側面図である。
【図12】図11のX−X線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0012】
(実施の形態1)
まず、図1に示すような紙葉類搬送装置1を概略して説明する。なお、この紙葉類搬送装置1については、本発明者が提案した特許文献1に記載の技術も参照することができる。
【0013】
紙葉類搬送装置1は、送風管10と、紙葉類の後端部に変形部を形成して送風管10内へ紙葉類を送り込む送り込み装置20と、紙葉類の変形部に風圧を作用させて紙葉類を送風管10内に空気流を生じさせる空気流発生装置30と、送風管10の終端部に配設され、送風管10内を搬送されてくる紙葉類を回収する回収装置40とを有している。紙葉類搬送装置1では、例えばブロワー等の空気流発生装置30で発生した空気流が、送出管31、連結管32、送風管10、回収装置40、戻り管33を介して循環するように構成されている。送風管10には、循環路を構成するためにU字状に曲げられた曲折部10aが形成されている。また、戻り管33には、外部空気の取り入れ口34が開口されている。これにより、戻り空気と共に外部空気が取り入れられて、再度空気流発生装置30から送風管10内に送風されるようになっている。
【0014】
送り込み装置20は、紙葉類搬送装置1において、送風管10の適所に所要複数配設される。送り込み装置20は、送り込み手前側に配設される紙幣識別装置21と、奥側に配設され、送風管10と連結された曲げ装置22とを有している。
【0015】
このうち、曲げ装置22は、図2に示すような、紙葉類2の搬送方向先端部の平面部2aに対して、搬送方向後端部にジグザグ状の変形部2b(屈曲部となっている)を形成するものである。この変形部2bに、送風管10内を流れる空気流(図2中、ハッチングを付した矢印で示す)からの風圧が作用し、紙葉類2は送風管10内で搬送される。本実施の形態では、紙葉類2の変形部2bをジグザグ状に形成した場合を示すが、これに限らず、変形部2bは、空気流の風圧が作用する形状であれば、L字状もしくはアール状に屈曲又は湾曲形に変形しても良い。すなわち、曲げ装置22は、送り込み装置20に配設され、紙葉類2の後端部(変形部2b)を屈曲又は湾曲形に変形する(屈曲又は湾曲部とする)ものである。
【0016】
図3は回収装置40の概要を説明するための図である。なお、図3では、紙葉類2が搬送される方向(図3においては右方向)に対して、回収装置40を構成する部品(装置)が配置されている様子を模式的に示している。紙葉類搬送装置1が有する回収装置40は、図3に示すように、送風管10の終端部側から搬送方向に順に配設された分離部50、矯正部70、および収納部90を含んで構成されている。この回収装置40は、送風管10の終端に着脱自在に取付けられ、送風管10内を搬送されてくる紙葉類2を回収するものである。
【0017】
まず、回収装置40の分離部50について説明する。分離部50は、送風管10内を搬送されてきた紙葉類2と、紙葉類2に推進力を与えてきた空気流とを分離するものである。なお、図4には送風管10の終端部と回収装置40の分離部50とが接続された状態の上面図、図5には送風管10の斜視図、および図6には分離部50の要部の斜視図を示している。
【0018】
分離部50は、無端ベルトである搬送ベルト51と、搬送ベルト51が掛かる駆動プーリ52および受動プーリ53との組を4組有して、それぞれが搬送方向(x方向)に延在するように回収装置40に配設されている。4本の搬送ベルト51は、紙葉類2を回収装置40の内部(矯正部70)側へ搬送するものである。
【0019】
また、分離部50は、4つの駆動プーリ52とそれぞれ対向する位置に4つのローラ54を有している。4つのローラ54は、4つの駆動プーリ52(搬送ベルト51)と共に紙葉類2を挟圧し、矯正部70へ送り込むために配設されている。このように回収装置40に配設される駆動プーリ52とローラ54は、搬送されてきた紙葉類2を回収装置40の内部側へ搬送する送り体である。
【0020】
図6に示すように、駆動プーリ52は同心のギヤ57と接続され、ローラ54は同心のギヤ58と接続されている。ギヤ57とギヤ58同士が噛合しており、ギヤ57、58を回転駆動する分離部モータ45(図3参照)によって、駆動プーリ52およびローラ54は同期して回転する。これにより、図7に示すように、駆動プーリ52とローラ54との間で紙葉類2を挟圧しながら、矯正部70へ送り込むことができる。なお、図7では、紙葉類2にハッチングを付している。
【0021】
本実施の形態では、例えば図4に示すように、送り体である駆動プーリ52とローラ54の手前に、分離部50内での紙葉類2の詰まりの判定に用いるために、紙葉類2を検知する紙葉類検知センサ42、43を配設している。第1の紙葉類検知センサ42は、駆動プーリ52、ローラ54から送風管10側(上流側)への距離D1の位置であって分離部50に配設されている。また、第2の紙葉類検知センサ43は、駆動プーリ52およびローラ54から送風管10側(上流側)への距離が距離D1よりも長い距離D2の位置であって、紙葉類検知センサ42に対して所要上流側の送風管10に配設されている。また、これら紙葉類検知センサ42、43などを制御する制御部49(図7参照)を紙葉類搬送装置1は備えている。これら紙葉類検知センサ42、43、制御部49については、後に詳細に説明する。
【0022】
分離部50内での紙葉類2の通路は、図4に示すように、搬送ベルト51と、搬送ベルト51に対向して配設され、突起部55aを有するスキージ55とによって形成されている。このスキージ55は、送風管10側から矯正部70側へ向かって配設されているガイド板56に取り付けられている。また、スキージ55は、図3に示すように、側面が内部(矯正部70)側に向かって広がるY字状に形成されており、その分岐する位置で突起部55aを有している。
【0023】
分離部50において、図4に示すように、搬送ベルト51の裏面側に搬送ベルト51と対向する排出口を有し、搬送されてくる紙葉類2を搬送ベルト51に当接するように空気流(ハッチングを付した矢印で示す)を排出する排出管41を配設している。この排出管41の排出口には、無端ベルトである搬送ベルト51で囲まれた空間部を貫通する、複数の開口(角穴)56aを有する格子板56(図6参照)を配設している。格子板56の開口56aを通過させて空気流を排出することによって、搬送されてきた紙葉類2を、空気流と分離される前に、搬送ベルト51に当接することができる。搬送ベルト51に当接された紙葉類2は、搬送ベルト51の摩擦力を受け、搬送ベルト51によって搬送されて矯正部70の手前に配置されているローラ54と駆動プーリ52(搬送ベルト51)に引き継がれる。
【0024】
次に、回収装置40の矯正部70について説明する。図3に示すように、矯正部70は、分離部50と収納部90との間に配設され、紙葉類2の変形部2bを矯正するものである。矯正部70は、4本の矯正ローラ71を有している。この矯正部70内において、4本の矯正ローラ71が隣接するものとの間で、紙葉類2を通過させることができるだけの隙間を存して配設されている。この各矯正ローラ71の外周面との間に一定の空間が形成されるように、各矯正ローラ71の外周を覆って断面円弧状のガイド板(図示せず)が配設されている。
【0025】
矯正部70の入口に配設された入口センサ44によって紙葉類2が検出されると、分離部モータ45は停止され、矯正部モータ46が駆動されて4本の矯正ローラ71が回転される。矯正ローラ71を駆動するための駆動モータである矯正部モータ46の回転軸、および4本の矯正ローラ71の各回転軸に固定されたギヤが順次噛合することによって、各隣接する矯正ローラ71が互いに逆方向に回転される。これにより、矯正ローラ71間に進入した紙葉類2は、ジグザグ状に搬送されて順次逆方向に屈曲され、曲げ(変形)が矯正されて収納部90の入口側に送り込まれる。なお、終端検出スイッチ47によって紙葉類2の終端が検出されると矯正部モータ46は停止される。また、駆動プーリ52やローラ54と、終端検出スイッチ47との間の距離が近い場合などの状況により、入口センサ44は省略することができる。
【0026】
次に、回収装置40の収納部90について説明する。収納部90は、矯正部70によって、変形部2bの変形が矯正されて、伸びた状態(平坦となった状態)の紙葉類2を収納するものである。図3に示すように、収納部90の入口には、終端検出スイッチ47が配設されている。この終端検出スイッチ47にはフォトインタラプタを用いており、搬送されてきた紙葉類2がレバーを押して、そのレバーの先端でフォトインタラプタが反応するものである。
【0027】
また、収納部90内には、収納部モータ48によって移動可能なプレス板91と、紙葉類2を受ける受板(図示せず)が配設されている。収納部90に紙葉類2が搬入され、終端検出スイッチ47によって紙葉類2の終端が通過したことが検出されると収納部モータ48が駆動する。この収納部モータ48の駆動によりプレス板91が受板に向かって移動し、紙葉類2はプレス板91と受板との間で押し付けられて収容される。
【0028】
ところで、このような回収装置40において、分離部50の搬送ベルト51の摩擦力を充分に得られないことがあり、搬送されてきた紙葉類2を空気流と分離して駆動プーリ52とローラ54に引き渡すことができない場合がある。この場合では、図8、図9に示すように、搬送ベルト51の途中付近に紙葉類2(ハッチングを付している)が滞留する。また、滞留によっては、搬送されてくる紙葉類2が順次重なって滞留群(詰まり)が発生し、回収装置40や送風管10を分解するなど大がかりな復旧作業(手作業)を要し、これにより紙葉類搬送装置1の稼働率が低下してしまう場合もある。
【0029】
そこで、本実施の形態における紙葉類搬送装置1は、分離部50に配設され、紙葉類2を検知する紙葉類検知センサ42と、この紙葉類検知センサ42に対して所要上流側に配設され、紙葉類2を検知する紙葉類検知センサ43と、紙葉類検知センサ42のみで紙葉類2が検知されたときには詰まりと判定せず、紙葉類検知センサ42および紙葉類検知センサ43で紙葉類2が検知されたときには詰まりと判定する制御部49(図8、図9参照)とを有している。なお、紙葉類検知センサ42、43は、例えば受発光透過型とした場合、受発光軸のズレを防止するため、位置固定式であって且つ位置決めボス付センサとして配設される。
【0030】
具体的には、第1の紙葉類検知センサ42は最初の紙葉類2の滞留を検出できる位置に配設し、また紙葉類検知センサ43は最初の滞留に続いて2枚又はそれ以上の滞留により、後方に滞留群が延びて限度枚数に到達したとき、滞留群の最後部の紙葉類2の後端を検出できる位置に第2の紙葉類検知センサ43を設置すれば良い。
【0031】
第1の紙葉類検知センサ42は、図4に示すように、分離部50の側面に形成された貫通孔50aに配設され、搬送方向(x方向)と交差する方向(y方向)、すなわち搬送されてくる紙葉類2の裏表面でセンサ光が透過する方向で、紙葉類2を検出(監視)するものである。なお、紙葉類検知センサ42の検出光は、例えば図6に示す分離部50の側面から、格子板56の開口56aの一つ(ハッチングを付している角穴)を光が通過するようになっており、また、搬送ベルト51によっては遮られないように上下(z方向)の搬送ベルト51間を通過する。また、紙葉類検知センサ42の検出光は、スキージ55によって遮られないように、突起部55aからY字状に分岐した枝間を通過する。言い換えると、スキージ55を、突起部55aからY字状に分岐して形成することによって、紙葉類検知センサ42の検出光を遮らないようにすることができる。
【0032】
また、第2の紙葉類検知センサ43は、図4、図5に示すように、送風管10の側面に形成された貫通孔10bに配設され、搬送方向(x方向)と交差する方向(y方向)、すなわち搬送されてくる紙葉類2の裏表面でセンサ光が透過する方向で、紙葉類2を検出(監視)するものである。なお、貫通孔10bが送風管10の内壁に突出するリブ11間に形成されている。
【0033】
このように、2つの紙葉類検知センサ42、43を配設することにより、紙葉類検知センサ42のみで紙葉類2が検知されるとき(図8参照)は、例えばCPUなどを含んで構成される制御部49によって、深刻な滞留(詰まり)とは判定せず単なる軽度の滞留信号に止めて、別段の作業を行うことを要しなくすることができる。例えば、紙葉類2の滞留が有っても滞留する紙葉類2が少なくて、第1の紙葉類検知センサ42で検知されるものの、第2の紙葉類検知センサ43が検知しない間は、滞留をランプやディスプレイで表示するのみとし、紙葉類搬送装置1は稼働を継続する。
【0034】
また、2つの紙葉類検知センサ42、43を配設することにより、紙葉類検知センサ42と紙葉類検知センサ43が同時に滞留を検知しているとき(図9参照)を、制御部49によって、深刻な滞留(詰まり)と判定して滞留警報を発するとともに、紙葉類搬送装置1の一部停止等の必要な動作を行うようにする。例えば、紙葉類2の滞留が3枚から4枚以上となったとき、紙葉類搬送装置1のうち、収納部90の動作と空気流発生装置30からの空気流を停止させ、他は稼働状態で警報を出すようにしている。
【0035】
このように本実施の形態における紙葉類搬送装置1では、分離部50に配設された紙葉類検知センサ42と、この紙葉類検知センサ42に対して所要上流側に配設された紙葉類検知センサ43と、これらを用いて紙葉類2の詰まりを判定する制御部49とによって、滞留限度を監視している。この監視によって、滞留による稼働停止の回数を低減し、紙葉類搬送装置1の稼働率を向上することができる。
【0036】
なお、図8、図9で示した紙葉類検知センサ43を設けず、紙葉類検知センサ42のみを用いて、紙葉類検知センサ42の位置(図8、図9参照)に紙葉類2が滞留したときから一定時間を経過しても詰まりが解消しない場合、警告信号を発し、回収装置40を停止させて、手作業により滞留群(詰まり)を解消させることもできる。しかしながら、この方法では紙葉類2が連続して一定時間の間隔で送り込まれる場合は有効であるが、送り込み時間の間隔が不規則でランダムな場合、詰まり枚数の推定には正確さが欠けるので、適当とは言えない。
【0037】
以下に、紙葉類検知センサ42と紙葉類検知センサ43を配設するにあたり、それらの位置関係の一例について図10を参照して説明する。なお、図10では、駆動プーリ52とローラ54が配設されている位置を符号Aとして示している。
【0038】
図10は紙葉類検知センサ42、43の位置関係を説明するための図であり、送風管10と分離部50で滞留する紙葉類2の3つの状態(2A、2B、2C)が示されている。ここで、紙葉類2Aは分離部50内で最も先に搬送されて滞留する紙葉類2であり、紙葉類2Bは紙葉類検知センサ43に係らないで滞留する最後部の紙葉類2であり、また、紙葉類2Cは紙葉類検知センサ43に係って滞留する紙葉類2である。
【0039】
まず、実験から紙葉類2の平均滞留位置を求め、それを基準として、限度枚数(滞留限度)になると推定される第2の紙葉類検知センサ43の位置を最初に決定する。ここで、限度枚数(滞留限度)とは、復旧作業を必要とせず滞留が解消される紙葉類2の枚数である。
【0040】
本実施の形態で示す紙葉類搬送装置1では、滞留を解消できる滞留限度は、3枚程度であると推定している。この滞留限度は、滞留が解消される直前の、滞留枚数の平均値は2枚に集中していること、後に搬送されてくる紙葉類2の追突による衝撃力で、3枚までの紙葉類2の滞留であれば、滞留をほぼ解消できること、4枚以上の滞留が起きた場合、5枚目以降の後続の追突衝撃は4枚以上で滞留する紙葉類2に吸収され、滞留が上流側に延びるだけで、滞留が解消することはほとんどなくなったこと、から3枚程度と推定している。
【0041】
なお、この滞留限度の数値は、回収装置40の大きさ・設計値を変更することにより増加又は減少するため、前述した枚数(3枚程度)に限定されるものではない。また、紙葉類2の見かけ上の長さは、投入直後の紙葉類2の変形部2bが搬送中に延びることもあれば逆に縮むこともあり数mmから10数mmの間で長さが変化するため、紙葉類検知センサ42、43から見る見かけ上の紙葉類2の全長が変化してばらつくことになる。このため、滞留限度の数値は期待値でもある。
【0042】
このように実験から求めた滞留限度から、図10で示す符号Dの位置に第2の紙葉類検知センサ43が配設される。次いで、この紙葉類検知センサ43が配設される位置Dから、変形した紙葉類2Bの見かけ上の(平均的な)先端位置を符号Bとして示す。また、仮に同形状のまま搬送された紙葉類2Aが駆動プーリ52、ローラ54(位置A)の手前で滞留したとき、その見かけ上の(平均的な)後端位置を符号Cとして示す。
【0043】
第1の紙葉類検知センサ42は、紙葉類2Bの先端を検知するか、または紙葉類2Aの後端を検知することで、紙葉類2の詰まりを判定する役割をすることができる。また、滞留実験により位置Cが変化し、また滞留実験および搬送中の紙葉類2の伸縮(特に変形部2bにおける伸縮)により位置Bが変化するため、位置B、位置Cに紙葉類検知センサ42を配設したのでは、実験から求めた平均滞留位置からずれてしまい、紙葉類2の詰まりを検知する精度が低下してしまう。したがって、紙葉類検知センサ42が配設される位置は、位置Bから位置Cまでの間であって、安全マージンを考慮した範囲内であれば、どこに配設されても良いことになる。
【0044】
本実施の形態では、図4に示したように、駆動プーリ52とローラ54の位置(図10の位置A)から送風管10側(上流側)へ、紙葉類2の長さより短い距離D1の位置(図10の位置Bから位置Cの間)に紙葉類2を検知する第1の紙葉類検知センサ42を配設し、距離D1よりも長い距離D2の位置(図10の位置D)に紙葉類2を検知する第2の紙葉類検知センサ43を配設している。
【0045】
このような紙葉類搬送装置1において、例えば、大きさを76mm×150mm(2004年11月1日発行の日本銀行千円券と同じ大きさ)とした紙葉類2を用いることができる。また、紙葉類検知センサ42から紙葉類検知センサ43までの距離(紙葉類検知センサ42と紙葉類検知センサ43の間隔)を、搬送されてくる紙葉類2の長さと同じ150mmとしたところ、紙葉類2が3枚から4枚滞留したときに紙葉類検知センサ43が検知する確率をほぼ100%とすることができる。
【0046】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、位置固定式であって且つ位置決めボス付センサとして紙葉類検知センサを配設し、また部品精度によって、紙葉類検知センサを送風管、分離部へ取り付けた後には位置調整を不要としている。ところで、紙葉類として、例えば、紙幣は額や国によって種々の大きさのものがあり、また伝票類等は規格長さがタイプにより変わるものがある。このような紙葉類の大きさ毎に対応した紙葉類搬送装置を用意したのでは、それぞれの大きさに合わせた部品が必要となってくる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、紙葉類の種々の大きさに対応できる位置調整機能を付加した紙葉類検知センサについて図11、図12を参照して説明する。なお、前記実施の形態1とは、紙葉類検知センサに位置調整機能を付加した構成のみ異なり、他の構成は同様であるので、それら説明は省略する場合がある。また、本実施の形態では、送風管に取り付けられる第2の紙葉類検知センサに適用して説明し、分離部に配設される第1の紙葉類検知センサについても同様に位置調整機能を付加することができるので、その説明は省略する。
【0048】
図11は位置調整機能を有する紙葉類検知センサが取り付けられた送風管の側面図であり、図12は図11のX−X線の断面図である。なお、図11では、ブラケット100、接続体101にはハッチングを付しており、発光部43bおよび送風管10に形成されているセンサ用長穴10cを透視した状態を示している。
【0049】
図11および図12に示すように、紙葉類検知センサ43として、受発光透過型センサを適用した場合、発光部43a、受光部43bはブラケット100に取り付けられて、y方向に対向する送風管10の両側面に配設されている。送風管10の内壁には突出するリブ11があるので、リブ11間を利用すれば紙葉類検知センサ43が多少、送風管10内に突出しても紙葉類2の搬送を妨げることがない。
【0050】
これら発光部43aと受光部43bは、接続体101を介して送風管10の外側を跨いで一体的に接続されている。受発光透過型センサは、発光部43aと受光部43bの位置ズレにより機能が低下してしまう。そこで、本実施の形態では、発光部43aと受光部43bとを接続体101を介して一体的に接続している。
【0051】
また、送風管10の両側面には、図11に示すように、紙葉類2の搬送方向(x方向)に沿って長いセンサ用長穴10cが形成されている。このセンサ用長穴10cを塞ぐようにブラケット100が配設されている。このブラケット100には、紙葉類2の搬送方向に沿って長い固定用ネジ穴102が形成されており、この固定用ネジ穴102の搬送方向の範囲内で、固定用ネジ穴102を貫くボルト103と座金(図示しない)で送風管10の管壁を挟んでボルト103により管路外側から管壁に固定される。すなわち、固定用ネジ穴102の範囲内でブラケット100はスライド可能となっている。
【0052】
また、送風管10のセンサ取付け位置の管壁に、紙葉類2の搬送方向である管路の上流から下流に向けて調節したい長さ(x方向)で、所定幅(z方向)のセンサ用長穴10cが紙葉類検知センサ43より広く形成されている。よって、ブラケット100に取り付けられた紙葉類検知センサ43は、センサ用長穴10c内でスライド可能である。このため、センサ用長穴10cの長さ範囲で紙葉類検知センサ43の位置を調整できるようにしておけば、駆動プーリ52、ローラ54から送風管10側への距離D2(図4参照)も調整することができる。
【0053】
また、ブラケット100の外形形状は、送風管10に形成したセンサ用長穴10cより幅(z方向)と、スライドする調整長さ分を加えた長さ(x方向)より大きいものとする。これにより、送風管10のセンサ用長穴10cを管路内壁側からブラケット100により完全に覆うことにより、空気流と外気との遮蔽ができる。
【0054】
このように、紙葉類2の搬送方向(x方向)に沿ってスライド可能なブラケット100に紙葉類検知センサ43を取り付けることによって、例えば紙葉類2の種々の大きさに対応させて、紙葉類検知センサ43の位置の調整を行うことができる。すなわち、位置調整機能により最適な位置に配設された紙葉類検知センサ42と、紙葉類検知センサ43とで滞留限度を監視することによって、滞留による稼働停止の回数を低減し、紙葉類搬送装置1の稼働率を向上することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、受発光透過センサを構成する発光部43aと受光部43bとを接続体101を介して一体的に接続している。このため、スライド調整時の受発光軸のズレを防止することができるので、搬送されてきた紙葉類2の検知を正確に行うことができる。
【0056】
なお、ブラケット100を送風管10に取り付けるには、別の方法で行っても良い。例えば、送風管10の管壁にセンサ用長穴10cと複数の取付けネジ穴を設け、ブラケット100に取付けネジ穴の数と位置に対応した調節長さを持った長穴を設け、ブラケット100を送風管10の管路外壁と座金で挟んでボルト103で締め付けても良い。これにより紙葉類検知センサ43の露出を送風管10の管路内壁より管路内壁の厚さ分後退させることができるので送風管10の管路のどの面に設置しても、紙葉類検知センサ43の先端が管路内壁より突出しないように設置できるので紙葉類の流れを妨げることがない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、紙葉類搬送方法を用いた紙葉類搬送装置の製造業に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 紙葉類搬送装置
2、2A、2B、2C 紙葉類
2a 平面部
2b 変形部
10 送風管
10a 曲折部
10b 貫通孔
10c センサ用長穴
11 リブ
20 送り込み装置
21 紙幣識別装置
22 曲げ装置
30 空気流発生装置
31 送出管
32 連結管
33 戻り管
34 取り入れ口
40 回収装置
41 排出管
42 紙葉類検知センサ(第1センサ)
43 紙葉類検知センサ(第2センサ)
43a 発光部
43b 受光部
44 入口センサ
45 分離部モータ
46 矯正部モータ
47 終端検出スイッチ
48 収納部モータ
49 制御部
50 分離部
50a 貫通孔
51 搬送ベルト
52 駆動プーリ
53 受動プーリ
54 ローラ
55 スキージ
55a 突起部
56 格子板
56a 開口
57、58 ギヤ
70 矯正部
71 矯正ローラ
90 収納部
91 プレス板
100 ブラケット
101 接続体
102 固定用ネジ穴
103 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風管と、
紙葉類の後端部に変形部を形成して前記送風管内に紙葉類を送り込む送り込み装置と、
紙葉類の変形部に風圧を作用させて紙葉類を前記送風管内で搬送する空気流を生じさせる空気流発生装置と、
前記送風管の終端部に配設され、前記送風管内を搬送されてくる紙葉類を回収する回収装置とを有する紙葉類搬送装置であって、
前記回収装置は前記送風管内を搬送されてきた紙葉類と空気流とを分離する分離部を含んで構成されており、
前記分離部に配設され、紙葉類を検知する第1センサと、
前記第1センサに対して所要上流側に配設され、紙葉類を検知する第2センサと、
前記第1センサのみで紙葉類が検知されたときには詰まりと判定せず、前記第1センサおよび前記第2センサで紙葉類が検知されたときには詰まりと判定する制御部とを有し、
前記第1センサは、その検出光が前記分離部の搬送ベルト間を通過するように、前記分離部の側面に形成された貫通孔に配設され、
前記第2センサは、前記送風管の側面から内壁に突出するリブ間に形成された貫通孔に配設されていることを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記分離部内での紙葉類の通路は、前記搬送ベルトと、該搬送ベルトに対向して配設され、突起部を有するスキージとによって形成されており、
前記スキージは、前記突起部からY字状に分岐されており、
前記第1センサの検出光は、前記突起部からY字状に分岐した枝間を通過することを特徴とする請求項1記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記紙葉類は、紙幣であることを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−241596(P2010−241596A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158075(P2009−158075)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【分割の表示】特願2009−90579(P2009−90579)の分割
【原出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【特許番号】特許第4426636号(P4426636)
【特許公報発行日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(397011111)株式会社ウインテック (87)
【Fターム(参考)】