説明

紙葉類検出器、紙葉類処理装置

【課題】紙葉類検出器および紙葉類処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る紙葉類検出器は、紙葉類の搬送経路に配置された発光部と、発光部からの光を受光する受光部と、搬送経路の上下の少なくとも一方に配置され、発光部からの光を受光部へと導入する反射部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種帳票や各種用紙などの紙葉類の存在の有無を検出する紙葉類検出器、および該紙葉類検出器を具備する紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙葉類検出器は、発光部および受光部を有する透過型の光センサを用いて、搬送される各種帳票や各種用紙等(以下、統一して帳票と呼ぶ)の有無を検出していた(特許文献1参照)。帳票の搬送経路の上下に発光部、受光部が配置され、発光部から受光部に出力される光が搬送された帳票によって遮断されると帳票の存在(有無)を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−157084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、破れ等による穴が存在する帳票がセンサ上を通過すると、帳票が発光部からの光を遮ることが出来ず、帳票が存在しないと判定したり、1枚の帳票を2枚と判定する等の問題が発生する。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、穴のある帳票でも、該帳票の有無を検出できる紙葉類検出器および紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る紙葉類検出器は、紙葉類の搬送経路に配置された発光部と、発光部からの光を受光する受光部と、搬送経路の上下の少なくとも一方に配置され、発光部からの光を受光部へと導入する反射部と、を具備する。
【0006】
本発明の一態様に係る紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送経路へ取り込む取込ローラと、搬送経路上に配置され、取り込まれた紙葉類を搬送する搬送ローラと、搬送経路に配置された発光部、発光部からの光を受光する受光部、および搬送経路の上下の少なくとも一方に配置され発光部からの光を受光部へと導入する反射部、を有する紙葉類検出部と、紙葉類検出部で検出された紙葉類を振り分ける振り分け部と、振り分け部で振り分けられた紙葉類が積載されるスタッカ部と、を具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、穴のある帳票でも、該帳票の有無を検出できる紙葉類検出器および紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図3A】第1の実施形態に係る帳票検出部の構成を示す側面図である。
【図3B】第1の実施形態に係る帳票検出部の構成を示す平面図である。
【図3C】第1の実施形態に係る帳票検出部の動作を説明する図である。
【図3D】第1の実施形態に係る帳票検出部の動作を説明する図である。
【図4A】比較例に係る帳票検出部の構成を示す側面図である。
【図4B】比較例に係る帳票検出部の動作を説明する図である。
【図4C】比較例に係る帳票検出部の動作を説明する図である。
【図5】その他の実施形態に係る紙葉類処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る紙葉類処理装置1の構成を示す図である。図2は、紙葉類処理装置1の制御系を示すブロック図である。紙葉類処理装置1は、ホッパ11、取込ローラ12、搬送経路13、搬送ローラ14、帳票検出部15(紙葉類検出器)、帳票読取部16、分岐ゲート17(振り分け部)、排出ローラ18、スタッカ部19、制御部21、および図示しない各部の駆動部等を備え、ホッパ11に積載された帳票Aを読みとり、読みとった画像データ(イメージファイル)を制御ホスト200へ転送する。
【0010】
ホッパ11上には、読み取りの対象である帳票A(帳票束)が積載される。ホッパ11は、積載された帳票Aが所定の位置(取込ローラ12の取込位置)となるまで上方へ移動する。ホッパ11は、積載された帳票Aが取込ローラ12により搬送経路13へ取り込まれると、積載された帳票Aが所定の位置となるよう上方向へ駆動される。取込ローラ12は、回転動作により、ホッパ11上に積載された帳票Aを所定の間隔で搬送経路13へ取り込む。搬送経路13は、取込ローラ12により取り込まれた帳票Aをスタッカ部19まで搬送する経路である。
【0011】
搬送ローラ14は、搬送経路13上に複数配置される。搬送ローラ14は、駆動ローラと従動ローラとを備え、この紙葉類処理装置1で処理される帳票Aのうち最も小さい大きさ(最小サイズ)の帳票Aを搬送できる間隔で搬送経路13上に配置される。搬送ローラ14が回転動作すると、駆動ローラと従動ローラとの間を帳票Aが搬送される。搬送ローラ14は、帳票Aを順次指定されたスタッカ部19に搬送する。どのスタッカ部19に排出するかは、例えば、帳票読取部16で読み取られた画像の認識処理結果に基づいて決定される。
【0012】
帳票検出部15は、搬送経路13上、および分岐ゲート17の後段にそれぞれ配置され、帳票Aを検出する。帳票検出部15は、発光部および受光部を有する光センサである。発光部からの赤外光を受光部で受光することで帳票Aの存在の有無を検出する。帳票検出部15については、図3Aないし3Dを参照して後述する。
【0013】
帳票読取部16は、搬送経路13上を搬送される帳票Aを読みとる(スキャンする)。読みとった画像データは、イメージファイルとして制御ホスト200に転送される。分岐ゲート17は、搬送経路13と各スタッカ部19との分岐位置に設けられている。分岐ゲート17は駆動機構としてロータリーソレノイドを持ち、ソレノイドに流す電流をドライバ38で制御することにより、軸を中心にその先端部が2点の位置間で可動する構造になっている。分岐ゲート17は、先端部が移動した位置に応じて搬送されてくる帳票Aの搬送方向を切り替えるためのゲート機能を持つ。
【0014】
排出ローラ18は、分岐ゲート17の後段に設けられる。排出ローラ18は、一方向に回転し、分岐ゲート17で振り分けられた帳票Aをスタッカ部19に排出する。スタッカ部19には、排出ローラ18により排出された帳票Aが積載される。
【0015】
制御部21は、制御ホスト200からの指示に基づいて、紙葉類搬送装置1の動作を制御する。制御部21は、ホッパ11、取込ローラ12、搬送経路13、搬送ローラ14、帳票検出部15、帳票読取部16、分岐ゲート17、排出ローラ18、および図示しない各部の駆動部等を制御して、ホッパ11に積載された帳票Aの画像を読みとり、スタッカ部19へと搬送する。
【0016】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)21a、ROM(Read Only Memory)21b、RAM(Random Access Memory)21c、NVRAM(Non Volatile RAM)21dなどを具備する。ROM21bは、CPU21aの動作コードを格納する。RAM21cは、CPU21aの作業領域として使用される。NVRAM21dは、紙葉類搬送装置10の制御に必要なプログラム(ファームウェア)等を保持する。CPU21aは、NVRAM21dに保持されているファームウェアをRAM21cにロードして実行することにより紙葉類処理装置1を制御する。
【0017】
制御ホスト200は、文字認識のアプリケーションソフトウェアプログラムを実装する。そして、帳票Aから読み取られた画像の文字認識処理結果に基づいて、帳票Aの排出先のスタッカ指定が、読み取り処理された帳票A毎に行われるように、制御部21に指示を与える。この指示に基づいて、制御部21が各種ドライバの動作制御を行なう。なお、制御部21が、この文字認識のアプリケーションソフトウェアプログラムを実装して、上述した画像の認識処理を行なうようにすることも可能である。
【0018】
図3A,3Bは、それぞれ第1の実施形態に係る帳票検出部15の構成を示す側面図および平面図である。帳票検出部15は、発光部15a、受光部15b、反射部15c,15dを具備する。発光部15aは、赤外光Iを発光する。反射部15c,15dは、発光部15aから発光された赤外光Iを受光部15bへと導入する鏡である。反射部15c,15dは、それぞれ搬送経路13の上下に搬送経路13を挟むように対向して配置される。受光部15bは、発光部15aからの赤外光Iを受光する。発光部15aから発光された赤外光Iは、反射部15c,15dの間を複数回反射した後、受光部15bへ導入される。
【0019】
発光部15aは、制御部21の制御により赤外光Iを発光する。受光部15bは、発光部15aからの赤外光Iを受光すると信号を制御部21へ入力する。制御部21は、受光部15bから入力される信号により帳票Aの有無を検出する。具体的には、制御部21は、受光部15bから信号が入力されると帳票A無し、受光部15bから信号が入力されないと帳票A有り、と判定する。
【0020】
発光部15aと受光部15bは、配置位置が逆であってもよい。受光部15bは、発光部15aからの赤外光Iを受光していない場合に信号を制御部21へ入力するよう構成してもよい。この場合、制御部21は、受光部15bから信号が入力されると帳票A有り、受光部15bから信号が入力されないと帳票A無し、と判定する。
【0021】
さらに、反射部15c,15dのいずれか一方のみを配置し、発光部15aからの赤外光Iを受光部15bへ導入するように構成してもよい。この場合、発光部15aからの赤外光Iは、反射部15cまたは反射部15dで一度だけ反射して、受光部15bへ導入される。
【0022】
図3C,3Dは、第1の実施形態に係る帳票検出部15の動作を説明する図である。
図3C,3Dに示すように、帳票Aに破れ等による穴Bが存在する場合であっても、帳票検出部15は、発光部15aから発光された赤外光Iを反射部15c,15dで複数回反射させた後、受光部15bへ導入しているので、発光部15aから発光された赤外光Iは、反射部15c,15dで反射させる過程で帳票Aにより遮られる(遮光される)。
【0023】
(比較例)
図4Aは、比較例に係る帳票検出部25の構成を示す側面図である。帳票検出部25は、発光部25a、受光部25bを具備する。発光部25a,受光部25bは、それぞれ搬送経路13の上下に搬送経路13を挟むように対向して配置される。発光部25aは、赤外光Iを発光する。受光部25bは、発光部25aからの赤外光Iを受光する。なお、この比較例の場合、図3A,3Bで説明した帳票検出部15と異なり、反射部15c,15dを具備しない。
【0024】
発光部25aは、図示しない制御部の制御により赤外光Iを発光する。受光部25bは、発光部25aからの赤外光Iを受光すると信号を制御部へ入力する。制御部は、受光部25bから入力される信号により帳票Aの有無を検出する。具体的には、制御部は、受光部25bから信号が入力されると帳票A無し、受光部25bから信号が入力されないと帳票A有り、と判定する。
【0025】
図4B,4Cは、比較例に係る帳票検出部25の動作を説明する図である。
図4Bに示すように、帳票Aに破れ等による穴Bが存在する場合、この穴Bが帳票検出部25の発光部25aと受光部25bとの間を通過すると、発光部25aから発光された赤外光Iが帳票Aで遮光されずに受光部25bで受光される。このため、制御部は、帳票Aが存在しないと判定したり、1枚の帳票Aを2枚と判定してしまう。
【0026】
以上のように、この第1の実施形態に係る紙葉類処理装置1の帳票検出部15は、発光部15aから発光された赤外光Iを、それぞれ搬送経路13の上下に搬送経路13を挟むように対向して配置された反射部15c,15dで複数回反射させた後、受光部15bと導入している。
【0027】
このため、破れ等による穴が存在する帳票Aが搬送経路13上に配置された帳票検出部15を通過した場合でも、発光部15aから発光された赤外光Iは、反射部15c,15dで反射させる過程で帳票Aにより遮光される。その結果、帳票Aが存在しないと判定したり、1枚の帳票Aを2枚と判定することを効果的に抑制できる。
【0028】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、図5に示すように、取込ローラ12の最も近くに帳票検出部15を配置し、その他の搬送経路13上、および分岐ゲート17の後段に帳票検出部25を配置する。帳票Aが搬送されると、一番初めに帳票検出部15で帳票Aが検出される。この際、帳票検出部15からの信号の入力時間を計測する(以下、検出時間)。
【0029】
その後、帳票Aは、搬送経路13上に配置された帳票検出部25でも検出されるが、この際に、帳票検出部15で計測した検出時間を使用して、帳票Aを検出する。具体的には、制御部21は、帳票検出部15から信号が入力されると、先に計測した検出時間内は、帳票検出部15からの信号入力の有無を検出しない。そして、検出時間経過後に、再度帳票検出部15からの信号入力の有無の検出を開始する。
【0030】
このように構成すれば、帳票Aの穴Bが帳票検出部25の発光部25aと受光部25bとの間を通過した場合でも、帳票Aが存在しないと判定したり、1枚の帳票Aを2枚と判定することを効果的に防止できる。さらに込ローラ12の最も近い帳票検出部だけを帳票検出部15として、その他の帳票検出部を帳票検出部25としたので、第1の実施形態に係る紙葉類処理装置1に比べて安価に構成できる。
【符号の説明】
【0031】
1…紙葉類処理装置、11…ホッパ、12…取込ローラ、13…搬送経路、14…搬送ローラ、15…帳票検出部、16…読取部、17…分岐ゲート、18…排出ローラ、19…スタッカ部、21…制御部、200…制御ホスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の搬送経路に配置された発光部と、
前記発光部からの光を受光する受光部と、
前記搬送経路の上下の少なくとも一方に配置され、前記発光部からの光を前記受光部へと導入する反射部と、
を具備することを特徴とする紙葉類検出器。
【請求項2】
紙葉類を搬送経路へ取り込む取込ローラと、
前記搬送経路上に配置され、取り込まれた紙葉類を搬送する搬送ローラと、
前記搬送経路に配置された発光部、前記発光部からの光を受光する受光部、および前記搬送経路の上下の少なくとも一方に配置され前記発光部からの光を前記受光部へと導入する反射部、を有する紙葉類検出部と、
前記紙葉類検出部で検出された紙葉類を振り分ける振り分け部と、
前記振り分け部で振り分けられた紙葉類が積載されるスタッカ部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−53914(P2011−53914A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202258(P2009−202258)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】