紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置
【課題】 より高い精度で紙葉類の検査を行う事ができる安定して判定を行うことができる紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 紙葉類検査装置は、紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、前記紙葉類に対して光を投光する光源部と、前記紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、を具備する。
【解決手段】 紙葉類検査装置は、紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、前記紙葉類に対して光を投光する光源部と、前記紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類を検査する紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の種々の紙葉類の検査を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、紙葉類検査装置を有する。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類検査装置に搬送する。
【0003】
紙葉類検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。例えば、紙葉類検査装置は、紙葉類の種類判定、真偽判定、及び再流通が可能な紙葉類であるか否かの判定(正損判定)などを行う。紙葉類処理装置は、判定結果に基づいて紙葉類を区分して集積する。
【0004】
紙葉類処理装置により処理する紙葉類には、種々のセキュリティ印刷が施されている。例えば、紙葉類は、磁界が印加される場合に磁化される物体(磁性体)を含有する磁気インクにより印刷されるパターンを有する。紙葉類に塗布されている磁性体から磁性強度を検出する磁気ヘッドを備える紙葉類検査装置が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−347220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙葉類には、磁化特性の異なる複数の種類の磁気インクによりセキュリティ印刷が施される場合がある。複数種類の磁気インクによりセキュリティ印刷が施された紙葉類から磁性強度を検出する場合、磁気ヘッドにより検出する磁性強度の値は、検出する領域に塗布されている磁気インクの磁化特性により異なる。
【0007】
また、紙葉類検査装置が備える磁気ヘッドは、紙葉類の搬送方向と直交する方向における検出幅を有する。この為、磁気ヘッドにより検出する磁性強度の値は、検出する領域に塗布されている磁気インク(磁性体)の量により異なる。
【0008】
この為、複数種類の磁気インクによりセキュリティ印刷が施された紙葉類から磁性強度を検出する場合、磁気インクの量によって磁気ヘッドが同じ磁性強度を検出する可能性があるという課題がある。
【0009】
そこで、より高い精度で紙葉類の検査を行う事ができる安定して判定を行うことができる紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に係る紙葉類検査装置は、紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、前記紙葉類に対して光を投光する光源部と、前記紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す紙葉類検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、磁気インクの例について説明する為の説明図である。
【図6】図6は、紙葉類の印刷パターンの例について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、紙葉類の印刷パターンの例について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、図4に示す紙葉類検査装置により検出する検出結果の例について説明する為の説明図である。
【図9】図9は、図4に示す紙葉類検査装置により検出する検出結果の例について説明する為の説明図である。
【図10】図10は、図8及び図9に示す検出結果を正規化する処理について説明する為の説明図である。
【図11】図11は、磁気インクの種別を判別する処理について説明する為の説明図である。
【図12】図12は、紙葉類検査装置の他の構成例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0014】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0015】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0016】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0017】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0018】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0019】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び紙葉類検査装置135を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを検査する。
【0020】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0021】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0022】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0023】
紙葉類検査装置135は、搬送される紙葉類7から画像を取得する。また、紙葉類検査装置135は、搬送される紙葉類の磁気的な特徴情報(磁性強度)を検出する。紙葉類検査装置135は、検出した画像、及び磁性強度に基づいて紙葉類7の真正性、及び種類などを判別する。
【0024】
主制御部151は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、及び紙葉類検査装置135などによる検出結果に基づいて、紙葉類7の種類判定、真偽判定、正損判定、及び排除券であるかの判定などを行う。
【0025】
主制御部151は、各部の検出結果に基づいて、紙葉類7の真偽を判定する。主制御部151は、予め設定されるパラメータに適合する紙葉類7を真券(legal sheet)、不適合な紙葉類7を偽券(illegal sheet)と判定する。
【0026】
また、主制御部151は、各部の検出結果と予め設定されるパラメータとに基づいて、紙葉類7の券種を判定する。
【0027】
またさらに、主制御部151は、各部の検出結果と予め設定されるパラメータとに基づいて、紙葉類7が再流通に適した紙葉類7であるか否かの判定(正損判定)を行う。即ち、主制御部151は、予め設定されるパラメータに適合する紙葉類7を正券(fit sheet)、不適合な紙葉類7を損券(unfit sheet)と判定する。
【0028】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0029】
また、主制御部151は、2枚取り券などの紙葉類7、折れまたは破れなどが存在する紙葉類7、券種が不明な紙葉類7、及び偽券などを排除券(rejected sheet)と判定する。主制御部151は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送するように各部を制御する。
【0030】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0031】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、主制御部151は、排除券と判定した紙葉類7を排除搬送路126に搬送するようにゲート120を制御する。
【0032】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、排除券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0033】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。また、紙葉類処理装置100は、図示しない大束結束部により、所定枚数毎で結束した紙葉類7を複数集積し、結束する。
【0034】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133とスタッカ134とが配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。スタッカ134は、搬送される紙葉類7を集積する。主制御部151は、損券であると判定した紙葉類7をゲート125に搬送するようにゲート121乃至124を制御する。
【0035】
外部から入力される操作により損券裁断モードが選択されている場合、主制御部151は、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0036】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【0038】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0039】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0040】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7の券種、枚数、正損判別レベル、供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0041】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、紙葉類検査装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0042】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0043】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、各種の判定を行う。
【0044】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、紫外画像取得部などである。紫外画像取得部は、搬送路115を搬送される紙葉類7に紫外線を照射し、紙葉類7に塗布されている蛍光体から発せられる励起光を検出する。
【0045】
紙葉類検査装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7から画像と磁性強度とを検出する。
【0046】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、紙葉類検査装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果の統合を行う。CPU155は、各部の検査結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類7の種類、正損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0047】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0048】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0049】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0050】
図4は、図2及び図3に示す紙葉類検査装置135の構成例について説明するための説明図である。紙葉類検査装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
紙葉類検査装置135は、制御部10、センサ部11、信号処理部15、及び判別部16を備える。
【0051】
制御部10は、紙葉類検査装置135の各部を動作を制御する。制御部10は、図3に示すCPU155に接続されている。制御部10は、紙葉類処理装置100の主制御部151の制御に基づいて紙葉類検査装置135の制御を行う。
【0052】
センサ部11は、光源12と、光学センサ13と、磁気センサ14とを備える。
光源12は、制御部10の制御に基づくタイミングにおいて、搬送される紙葉類7に対して光を投光する。光源12は、例えば、赤外波長光を紙葉類7に照射する。
【0053】
光学センサ13は、紙葉類7の光学的特徴情報(光学画像)を検出する。光学センサ13は、光源12から紙葉類7に照射された光の反射光を受光し、画像を取得する。
【0054】
光学センサ13は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子を備える。受光素子は、受光した光を電気信号に変換する。即ち、光学センサ13は、受光素子により画像を取得する。光学センサ13は、紙葉類7の搬送方向aと直交する方向に複数配列される受光素子を備える。即ち、光学センサ13は、ラインイメージセンサを備える。
【0055】
光学センサ13は、1タイミングにおいて、搬送路115により搬送される紙葉類7の1ライン分の画像を読み取る。光学センサ13は、搬送される紙葉類7から連続して画像を取得することにより、紙葉類7の全体の画像を取得する。
【0056】
光学センサ13は、フォトダイオードなどの単一の光センサにより、搬送方向aの一次元信号パターンを取得する構成であってもよい。
【0057】
一般的に、紙葉類7に塗布される磁気インクに含有される磁性体は、近赤外の波長帯域の光を吸収する特性を有する。この為、光源12から紙葉類7に対して赤外線を照射する場合、光学センサ13は、磁気インクにより形成される印刷パターンの画像を取得することができる。
【0058】
磁気センサ14は、搬送される紙葉類7に塗布されている磁気インクに含有される磁性体から磁性強度を検出する。磁気センサ14は、コイルを有する。磁気センサ14は、コイルに電流を印加する事により、コイルの近傍に磁界を発生させる。
【0059】
磁性体に磁界を印加する場合、磁性体が磁化される。磁性体は、磁化される場合、磁界の強度Hに応じた磁束密度Bで磁束を発生させる。
【0060】
コイルにより発生する磁界中に紙葉類7が搬送される場合、紙葉類7上の磁性体に磁界が印加する。この場合、コイルの近傍の磁束が変化する。この結果、コイルを流れる電流の値が変化する。磁気センサ14は、この電流値の変化に基づいて、磁性強度を検出する。
【0061】
なお、磁界の強度Hと磁束密度Bとの関係は、磁性体の磁化特性固有のものである。即ち、同じ強度の磁界を印加する場合であっても、磁性体の磁化特性が異なる場合、磁性体から発生する磁束の磁束密度が異なる。
【0062】
図5は、磁気インクの例について説明する為の説明図である。
図5に示すグラフ51は、第1の磁気インクに含有される第1の磁性体の磁化特性を示す。また、グラフ52は、第2の磁気インクに含有される第2の磁性体の磁化特性を示す。
【0063】
例えば、第1の磁性体に強度Heの磁界を印加する場合、第1の磁性体は、磁束密度Baの磁束を発生させる。また、第2の磁性体に強度Heの磁界を印加する場合、第1の磁性体は、磁束密度Bbの磁束を発生させる。このように、磁化特性が異なる場合、同じ強度の磁界を印加したとしても、発生する磁束の磁束密度は異なる。
【0064】
なお、磁気センサ14は、コイルにより磁性強度を検出する構成として説明したが、磁性強度を検出する構成は、磁気抵抗素子方式など、他の如何なる方式によるものであってもよい。
【0065】
信号処理部15は、光学センサ13により検出する信号、及び磁気センサ14により検出する信号の処理を行う。例えば、信号処理部15は、磁気センサ14により検出する信号を、光学センサ13により検出する信号を用いて正規化する処理を行う。なお、正規化処理については後述する。
【0066】
判別部16は、信号処理部15から送信される信号と、予め記憶部16aに記憶される基準データとを比較することにより、紙葉類7の真偽を判別する。さらに、記憶部16aに券種毎に基準データが記憶されている場合、判別部16は、信号処理部15から送信される信号と、予め記憶部16aに記憶される基準データとを比較することにより、紙葉類7の券種を判別することもできる。
【0067】
図6及び図7は、紙葉類7の印刷パターンの例について説明する為の説明図である。
図6は、紙葉類7の赤外画像を示す。図6に示すように、紙葉類7は、磁気インクにより印刷された印刷パターン71と印刷パターン72とを有する。矢印aは、紙葉類7の搬送方向を示す。また、矢印Hは、光学センサ13及び磁気センサ14の走査方向を示す。
【0068】
光学センサ13は、検出幅Dの範囲を検出領域として画像を取得し、1スキャン(ライン)の濃度の和を濃度信号として検出する。
【0069】
また、磁気センサ14は、検出幅Dの範囲を検出領域として磁性強度を取得する。この場合、磁気センサ14は、検出領域内から発せられる磁束の総和を磁性強度の値として検出する。即ち、検出領域に塗布されている磁気インクの量が多い場合、磁気センサ14は、高い値を検出する。
【0070】
印刷パターン71は、一定の光学濃度で印刷されている。また、印刷パターン72は、紙葉類7上の位置に応じて徐々に光学濃度が高くなるようにグラデーション印刷が施されている。
【0071】
図7は、各印刷パターンを形成する磁気インクの種別を示す。図7に示すように、印刷パターン71は、第1の磁性体を含有する第1の磁気インクにより印刷が施された領域71aと、第2の磁性体を含有する第2の磁気インクにより印刷が施された領域71bと、を有する。なお、領域71a及び領域71bは、同一のレベルの光学濃度で印刷が施されている。
【0072】
また、印刷パターン72は、領域71aと同じ磁気インクにより印刷が施されている。
【0073】
図7において示す領域X1乃至領域X8は、それぞれ光学センサ13及び磁気センサ14の検知領域である。領域X1は、磁気インクにより印刷が施された領域を含んでいない。領域X2及び領域X3は、第1の磁気インクにより印刷が施された領域71aの一部を含む。領域X4及び領域X5は、第2の磁気インクにより印刷が施された領域71bの一部を含む。領域X6は、磁気インクにより印刷が施された領域を含んでいない。領域X7は、第1の磁気インクによりグラデーション印刷が施された印刷パターン72の一部を含む。領域X8は、磁気インクにより印刷が施された領域を含んでいない。
【0074】
図8は、磁気センサ14による磁性強度の検出結果を示す図である。ここでは、図5及び図6に示す紙葉類7における検出結果を示す。
【0075】
磁気センサ14は、上記したように、磁気インクが多く存在する領域において、高い値の磁性強度を検出する。また、磁気センサ14は、磁気インクの量が少ない領域において、極めて低い値の磁性強度を検出する。
【0076】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X1において、磁気センサ14は、磁性強度として低い値を検出する。
【0077】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X2において、磁気センサ14は、磁性強度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて増えるように分布している為、磁気センサ14により検出する磁性強度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0078】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X3において、磁気センサ14は、高い値の磁性強度M1を検出する。
【0079】
第2の磁気インクにより印刷が施された領域X4において、磁気センサ14は、磁性強度M1よりも低い値の磁性強度M2を検出する。
【0080】
第2の磁気インクにより印刷が施された領域X5において、磁気センサ14は、磁性強度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて減るように分布している為、磁気センサ14により検出する磁性強度も磁性体の量に応じて徐々に減少する。
【0081】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X6において、磁気センサ14は、磁性強度として極めて低い値を検出する。
【0082】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X7において、磁気センサ14は、磁性強度を検出する。なお、上記したように領域X7は、第1の磁気インクによりグラデーション印刷が施された印刷パターン72の一部を含む。この為、領域X7に存在する磁性体の量は、紙葉類7の搬送距離に応じて増加する。この結果、磁気センサ14により検出する磁性強度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0083】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X8において、磁気センサ14は、磁性強度として極めて低い値を検出する。
【0084】
この場合、領域X4の中の点Aと、領域X7の中の点Bにおいて同じ磁性強度M2を検出する。しかし、領域X4は、第2の磁気インクにより印刷が施された領域であり、領域X7は、第1の磁気インクにより印刷が施された領域である。
【0085】
即ち、磁性強度のみを検出する場合、紙葉類処理装置は、同じ値の磁性強度が検出された複数の領域が、同一の磁気インクにより同じ濃度で印刷が施された領域であるのか、異なる磁気インクにより異なる濃度で印刷された領域であるのかを判別することが出来ない。この結果、紙葉類の真偽及び種類を正しく判別することができない場合がある。
【0086】
図9は、光学濃度の検出結果を示す図である。ここでは、図5及び図6に示す紙葉類7における検出結果を示す。
【0087】
光学センサ13は、光源12から紙葉類7に照射された光の反射光を取得し、光学画像を検出する。信号処理部15は、光学センサ13により検出する1ライン分の光学画像、即ち1走査当たりの光学画像に基づいて、光学濃度を算出する。例えば、信号処理部15は、光学センサ13により検出する1ライン分の光学画像の各画素の濃度の和を光学濃度として算出する。
【0088】
なお、磁性体は、赤外帯域の光を吸収する。この為、光学センサ13及び信号処理部15は、上記したように、磁気インクが存在する箇所を黒点、即ち、濃度が高い箇所として検出する。
【0089】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X1において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度として低い値を検出する。
【0090】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X2において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて増えるように分布している為、光学センサ13及び信号処理部15により検出する光学濃度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0091】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X3及びX4において、光学センサ13及び信号処理部15は、高い値の光学濃度を検出する。
【0092】
第2の磁気インクにより印刷が施された領域X5において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて減るように分布している為、光学センサ13及び信号処理部15により検出する光学濃度も磁性体の量に応じて徐々に減少する。
【0093】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X6において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度として低い値を検出する。
【0094】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X7において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度を検出する。なお、上記したように領域X7は、第1の磁気インクによりグラデーション印刷が施された印刷パターン72の一部を含む。この為、領域X7に存在する磁性体の量は、紙葉類7の搬送距離に応じて増加する。この結果、光学センサ13及び信号処理部15により検出する光学濃度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0095】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X8において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度として低い値を検出する。
【0096】
紙葉類検査装置135の信号処理部15は、光学濃度と、磁気センサ14により検出する磁性強度とに基づいて正規化処理を行う。即ち、紙葉類検査装置135は、図8に示す磁性強度の信号出力と、図9に示す光学濃度の信号出と力を関連付けることにより、磁気インクの種別の判別を行う。
【0097】
具体的には、信号処理部15は、磁気センサ14により検出する磁性強度を光学濃度で除算する。これにより、信号処理部15は、光学濃度当たりの磁性強度(正規化磁性強度)を算出する。信号処理部15は、図8に示す磁性強度の信号出力と、図9に示す光学濃度の信号出力とに基づいて、図10に示す正規化磁性強度のグラフを算出する。
【0098】
図10は、信号処理部15により算出した正規化磁性強度を示すグラフである。
領域X7には磁気インクによりグラデーション印刷が施されている為、図8及び図9に示すように、領域X7の磁性強度及び光学濃度は、紙葉類7の搬送距離に応じて供に徐々に増加している。この為、磁性強度を光学濃度で除算する場合、信号処理部15は、図10に示すように磁気インクの種類に応じた一定の値の磁性強度を算出する。
【0099】
信号処理部15は、算出した正規化磁性強度を逐次判別部16に送信する。
判別部16は、信号処理部15から送信される正規化磁性強度と、予め記憶部16aに記憶される基準データとを比較することにより、紙葉類7の真偽を判別する。
【0100】
例えば、判別部16は、記憶部16aに基準データとして基準磁性強度を記憶する。判別部16は、信号処理部15から送信される正規化磁性強度と基準磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値以上である場合、紙葉類7を真券であると判定する。また、判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値未満である場合、紙葉類7を偽券であると判定する。
【0101】
また、記憶部16aが券種ごとに複数の基準磁性強度を記憶している場合、判別部16は、各基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、最も類似度の高い基準磁性強度を特定することにより、紙葉類7の券種を判別することができる。
【0102】
なお、判別部16は、基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する構成として説明したが、この構成に限定されない。判別部16は、紙葉類7上において予め設定される領域の正規化磁性強度に基づいて真偽を判定する構成であってもよい。
【0103】
また、記憶部16aは、各領域ごとに基準値を基準データとして記憶する。基準値は、例えば許容範囲を有するデータである。判別部16は、信号処理部15から受信する正規化磁性強度の各領域の値と、記憶部16aに記憶されている基準データとに基づいて紙葉類7の真偽を判定する。即ち、判別部16は、正規化磁性強度の値が基準データが示す許容範囲内であるか否かを領域ごとに判別する。判別部16は、正規化磁性強度の値が基準データが示す許容範囲内である場合、紙葉類7を真券と判別する。
【0104】
また、上記した実施形態では、紙葉類検査装置135は、磁性強度と光学濃度とに基づいて正規化磁性強度を取得する構成として説明したが、この構成に限定されない。紙葉類検査装置135は、磁性強度と黒画素数とに基づいて正規化磁性強度を取得する構成であってもよい。
【0105】
例えば、信号処理部15は、光学センサ13により検出する1ラインの光学画像、即ち1走査当たりの光学画像に基づいて、予め設定される値未満の画素値を有する画素の数を黒画素数としてカウントする。
【0106】
信号処理部15は、磁気センサ14により検出する磁性強度を光学センサ13により検出する光学画像から取得する黒画素数で除算する。これにより、信号処理部15は、黒画素数当たりの磁性強度(正規化磁性強度)を算出することができる。
【0107】
また、信号処理部15は、予め設定される閾値T1及びT2に基づいて、正規化磁性強度を簡易化する構成であってもよい。この場合、信号処理部15は、閾値T1及びT2を保持するメモリを備える。
【0108】
信号処理部15は、メモリに記憶される閾値T1及びT2と正規化磁性強度とを比較する。信号処理部15は、閾値T1及びT2に基づいて、正規化磁性強度を量子化し、図11に示す信号を取得する。
【0109】
例えば、信号処理部15は、正規化磁性強度の値がT1以上の場合、正規化磁性強度をM1に設定する。また、信号処理部15は、正規化磁性強度の値がT1未満で且つT2以上である場合、正規化磁性強度をM2に設定する。また、信号処理部15は、正規化磁性強度の値がT2未満である場合、正規化磁性強度を0に設定する。
【0110】
例えば、判別部16は、記憶部16aに基準データとして基準磁性強度を記憶する。判別部16は、信号処理部15から送信される正規化磁性強度と基準磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値以上である場合、紙葉類7を真券であると判定する。また、判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値未満である場合、紙葉類7を偽券であると判定する。
【0111】
また、記憶部16aが券種ごとに複数の基準磁性強度を記憶している場合、判別部16は、各基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、最も類似度の高い基準磁性強度を特定することにより、紙葉類7の券種を判別することができる。
【0112】
なお、判別部16は、基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する構成として説明したが、この構成に限定されない。判別部16は、紙葉類7上において予め設定される領域の磁性インクの種別に基づいて真偽を判定する構成であってもよい。
【0113】
判別部16は、正規化磁性強度の値がM1である領域を第1の磁気インクにより印刷が施された領域であり、正規化磁性強度の値がM2である領域を第2の磁気インクにより印刷が施された領域であり、正規化磁性強度の値が0である領域を磁気インクによる印刷が施されていない領域であると容易に判別することができる。
【0114】
判別部16は、各領域毎に磁気インクの種別を判別する。また、記憶部16aは、各領域ごとに磁気インクの種類を示す情報を基準データとして記憶する。判別部16は特定した磁気インクの種類と、記憶部16aに記憶されている基準データとに基づいて紙葉類7の真偽を判定する。即ち、判別部16は、判別部16は特定した磁気インクの種類と、記憶部16aに記憶されている基準データとが一致する場合、紙葉類7を真券と判別する。
【0115】
この場合、比較に用いられる領域は、図7及び8に示す領域に限定されるものではなく、磁性強度に基づいて紙葉類7の真偽、または種別を判別することができる位置であれば如何なる位置で設定されていてもよい。
【0116】
上記したように、紙葉類検査装置135は、磁気センサ14により検出する磁性強度を光学センサ13の検出結果に基づいて正規化し、正規化磁性強度を取得する。これにより、紙葉類検査装置135は、磁気インクにより印刷されたパターンの形状、及びグラデーションなどに係らず、磁気インクの濃度当たりの磁性強度を算出することができる。この結果、紙葉類検査装置135は、より高い精度で紙葉類の検査を行う事ができる安定して判定を行うことができる紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0117】
上記した実施形態では、紙葉類検査装置135は、光源12から投光される赤外波長光の反射光を光学センサ13により検出する構成として説明したがこの構成に限定されない。例えば、紙葉類検査装置135は、光源12から投光される赤外波長光の透過光を光学センサ13により検出する構成であってもよい。
【0118】
図12は、紙葉類検査装置135の他の構成例について説明するための説明図である。なお、図4に示す構成と同様の構成には同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0119】
光源12と光学センサ13とは、搬送路115を挟んで互いに対向するように配置される。この場合、光学センサ13は、光源12から放射されて紙葉類7を透過した透過光を受光し、画像を取得する。
【0120】
図12に示す紙葉類検査装置135は、図4に示す例と同様に、光学センサ13の検出結果と、磁気センサ14の検出結果とに基づいて、正規化磁性強度を取得する。紙葉類検査装置135は、正規化磁性強度に基づいて、紙葉類7の真偽、及び/または種別を判別することができる。
【0121】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0122】
7…紙葉類、10…制御部、11…センサ部、12…光源、13…光学センサ、14…磁気センサ、15…信号処理部、16…判別部、16a…記憶部、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、135…紙葉類検査装置、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、155…CPU、156…裁断制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類を検査する紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣等の種々の紙葉類の検査を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、紙葉類検査装置を有する。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類検査装置に搬送する。
【0003】
紙葉類検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。例えば、紙葉類検査装置は、紙葉類の種類判定、真偽判定、及び再流通が可能な紙葉類であるか否かの判定(正損判定)などを行う。紙葉類処理装置は、判定結果に基づいて紙葉類を区分して集積する。
【0004】
紙葉類処理装置により処理する紙葉類には、種々のセキュリティ印刷が施されている。例えば、紙葉類は、磁界が印加される場合に磁化される物体(磁性体)を含有する磁気インクにより印刷されるパターンを有する。紙葉類に塗布されている磁性体から磁性強度を検出する磁気ヘッドを備える紙葉類検査装置が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−347220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙葉類には、磁化特性の異なる複数の種類の磁気インクによりセキュリティ印刷が施される場合がある。複数種類の磁気インクによりセキュリティ印刷が施された紙葉類から磁性強度を検出する場合、磁気ヘッドにより検出する磁性強度の値は、検出する領域に塗布されている磁気インクの磁化特性により異なる。
【0007】
また、紙葉類検査装置が備える磁気ヘッドは、紙葉類の搬送方向と直交する方向における検出幅を有する。この為、磁気ヘッドにより検出する磁性強度の値は、検出する領域に塗布されている磁気インク(磁性体)の量により異なる。
【0008】
この為、複数種類の磁気インクによりセキュリティ印刷が施された紙葉類から磁性強度を検出する場合、磁気インクの量によって磁気ヘッドが同じ磁性強度を検出する可能性があるという課題がある。
【0009】
そこで、より高い精度で紙葉類の検査を行う事ができる安定して判定を行うことができる紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に係る紙葉類検査装置は、紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、前記紙葉類に対して光を投光する光源部と、前記紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示す紙葉類検査装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、磁気インクの例について説明する為の説明図である。
【図6】図6は、紙葉類の印刷パターンの例について説明する為の説明図である。
【図7】図7は、紙葉類の印刷パターンの例について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、図4に示す紙葉類検査装置により検出する検出結果の例について説明する為の説明図である。
【図9】図9は、図4に示す紙葉類検査装置により検出する検出結果の例について説明する為の説明図である。
【図10】図10は、図8及び図9に示す検出結果を正規化する処理について説明する為の説明図である。
【図11】図11は、磁気インクの種別を判別する処理について説明する為の説明図である。
【図12】図12は、紙葉類検査装置の他の構成例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0014】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類7を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類7をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0015】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類7がスタックされる集積部から紙葉類7を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0016】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0017】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類7を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類7を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類7一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7は、搬送路115に導入される。
【0018】
搬送路115は、紙葉類7を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類7を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0019】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び紙葉類検査装置135を備えている。検査部116は、紙葉類7の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを検査する。
【0020】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類7の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0021】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0022】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類7の2枚取りを検出する。
【0023】
紙葉類検査装置135は、搬送される紙葉類7から画像を取得する。また、紙葉類検査装置135は、搬送される紙葉類の磁気的な特徴情報(磁性強度)を検出する。紙葉類検査装置135は、検出した画像、及び磁性強度に基づいて紙葉類7の真正性、及び種類などを判別する。
【0024】
主制御部151は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、及び紙葉類検査装置135などによる検出結果に基づいて、紙葉類7の種類判定、真偽判定、正損判定、及び排除券であるかの判定などを行う。
【0025】
主制御部151は、各部の検出結果に基づいて、紙葉類7の真偽を判定する。主制御部151は、予め設定されるパラメータに適合する紙葉類7を真券(legal sheet)、不適合な紙葉類7を偽券(illegal sheet)と判定する。
【0026】
また、主制御部151は、各部の検出結果と予め設定されるパラメータとに基づいて、紙葉類7の券種を判定する。
【0027】
またさらに、主制御部151は、各部の検出結果と予め設定されるパラメータとに基づいて、紙葉類7が再流通に適した紙葉類7であるか否かの判定(正損判定)を行う。即ち、主制御部151は、予め設定されるパラメータに適合する紙葉類7を正券(fit sheet)、不適合な紙葉類7を損券(unfit sheet)と判定する。
【0028】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類7を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類7を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0029】
また、主制御部151は、2枚取り券などの紙葉類7、折れまたは破れなどが存在する紙葉類7、券種が不明な紙葉類7、及び偽券などを排除券(rejected sheet)と判定する。主制御部151は、排除券と判定した紙葉類7を排除集積部127に搬送するように各部を制御する。
【0030】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類7を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0031】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、主制御部151は、排除券と判定した紙葉類7を排除搬送路126に搬送するようにゲート120を制御する。
【0032】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、排除券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類7は、取出口139から取り出すことができる。
【0033】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類7が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類7を所定枚数毎に結束して格納する。また、紙葉類処理装置100は、図示しない大束結束部により、所定枚数毎で結束した紙葉類7を複数集積し、結束する。
【0034】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133とスタッカ134とが配設されている。裁断部133は、紙葉類7を裁断して収納する。スタッカ134は、搬送される紙葉類7を集積する。主制御部151は、損券であると判定した紙葉類7をゲート125に搬送するようにゲート121乃至124を制御する。
【0035】
外部から入力される操作により損券裁断モードが選択されている場合、主制御部151は、紙葉類7を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類7をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0036】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類7の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類7の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0037】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【0038】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0039】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0040】
例えば、操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類7の券種、枚数、正損判別レベル、供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0041】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、紙葉類検査装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0042】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類7の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類7に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0043】
主制御部151は、紙葉類7の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類7から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、各種の判定を行う。
【0044】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類7の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、紫外画像取得部などである。紫外画像取得部は、搬送路115を搬送される紙葉類7に紫外線を照射し、紙葉類7に塗布されている蛍光体から発せられる励起光を検出する。
【0045】
紙葉類検査装置135は、上記したように、搬送される紙葉類7から画像と磁性強度とを検出する。
【0046】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、紙葉類検査装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果の統合を行う。CPU155は、各部の検査結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類7の種類、正損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0047】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類7の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類7の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0048】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類7の集積、及び結束の制御を行なう。
【0049】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類7の裁断を行う。
【0050】
図4は、図2及び図3に示す紙葉類検査装置135の構成例について説明するための説明図である。紙葉類検査装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。
紙葉類検査装置135は、制御部10、センサ部11、信号処理部15、及び判別部16を備える。
【0051】
制御部10は、紙葉類検査装置135の各部を動作を制御する。制御部10は、図3に示すCPU155に接続されている。制御部10は、紙葉類処理装置100の主制御部151の制御に基づいて紙葉類検査装置135の制御を行う。
【0052】
センサ部11は、光源12と、光学センサ13と、磁気センサ14とを備える。
光源12は、制御部10の制御に基づくタイミングにおいて、搬送される紙葉類7に対して光を投光する。光源12は、例えば、赤外波長光を紙葉類7に照射する。
【0053】
光学センサ13は、紙葉類7の光学的特徴情報(光学画像)を検出する。光学センサ13は、光源12から紙葉類7に照射された光の反射光を受光し、画像を取得する。
【0054】
光学センサ13は、例えば、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子を備える。受光素子は、受光した光を電気信号に変換する。即ち、光学センサ13は、受光素子により画像を取得する。光学センサ13は、紙葉類7の搬送方向aと直交する方向に複数配列される受光素子を備える。即ち、光学センサ13は、ラインイメージセンサを備える。
【0055】
光学センサ13は、1タイミングにおいて、搬送路115により搬送される紙葉類7の1ライン分の画像を読み取る。光学センサ13は、搬送される紙葉類7から連続して画像を取得することにより、紙葉類7の全体の画像を取得する。
【0056】
光学センサ13は、フォトダイオードなどの単一の光センサにより、搬送方向aの一次元信号パターンを取得する構成であってもよい。
【0057】
一般的に、紙葉類7に塗布される磁気インクに含有される磁性体は、近赤外の波長帯域の光を吸収する特性を有する。この為、光源12から紙葉類7に対して赤外線を照射する場合、光学センサ13は、磁気インクにより形成される印刷パターンの画像を取得することができる。
【0058】
磁気センサ14は、搬送される紙葉類7に塗布されている磁気インクに含有される磁性体から磁性強度を検出する。磁気センサ14は、コイルを有する。磁気センサ14は、コイルに電流を印加する事により、コイルの近傍に磁界を発生させる。
【0059】
磁性体に磁界を印加する場合、磁性体が磁化される。磁性体は、磁化される場合、磁界の強度Hに応じた磁束密度Bで磁束を発生させる。
【0060】
コイルにより発生する磁界中に紙葉類7が搬送される場合、紙葉類7上の磁性体に磁界が印加する。この場合、コイルの近傍の磁束が変化する。この結果、コイルを流れる電流の値が変化する。磁気センサ14は、この電流値の変化に基づいて、磁性強度を検出する。
【0061】
なお、磁界の強度Hと磁束密度Bとの関係は、磁性体の磁化特性固有のものである。即ち、同じ強度の磁界を印加する場合であっても、磁性体の磁化特性が異なる場合、磁性体から発生する磁束の磁束密度が異なる。
【0062】
図5は、磁気インクの例について説明する為の説明図である。
図5に示すグラフ51は、第1の磁気インクに含有される第1の磁性体の磁化特性を示す。また、グラフ52は、第2の磁気インクに含有される第2の磁性体の磁化特性を示す。
【0063】
例えば、第1の磁性体に強度Heの磁界を印加する場合、第1の磁性体は、磁束密度Baの磁束を発生させる。また、第2の磁性体に強度Heの磁界を印加する場合、第1の磁性体は、磁束密度Bbの磁束を発生させる。このように、磁化特性が異なる場合、同じ強度の磁界を印加したとしても、発生する磁束の磁束密度は異なる。
【0064】
なお、磁気センサ14は、コイルにより磁性強度を検出する構成として説明したが、磁性強度を検出する構成は、磁気抵抗素子方式など、他の如何なる方式によるものであってもよい。
【0065】
信号処理部15は、光学センサ13により検出する信号、及び磁気センサ14により検出する信号の処理を行う。例えば、信号処理部15は、磁気センサ14により検出する信号を、光学センサ13により検出する信号を用いて正規化する処理を行う。なお、正規化処理については後述する。
【0066】
判別部16は、信号処理部15から送信される信号と、予め記憶部16aに記憶される基準データとを比較することにより、紙葉類7の真偽を判別する。さらに、記憶部16aに券種毎に基準データが記憶されている場合、判別部16は、信号処理部15から送信される信号と、予め記憶部16aに記憶される基準データとを比較することにより、紙葉類7の券種を判別することもできる。
【0067】
図6及び図7は、紙葉類7の印刷パターンの例について説明する為の説明図である。
図6は、紙葉類7の赤外画像を示す。図6に示すように、紙葉類7は、磁気インクにより印刷された印刷パターン71と印刷パターン72とを有する。矢印aは、紙葉類7の搬送方向を示す。また、矢印Hは、光学センサ13及び磁気センサ14の走査方向を示す。
【0068】
光学センサ13は、検出幅Dの範囲を検出領域として画像を取得し、1スキャン(ライン)の濃度の和を濃度信号として検出する。
【0069】
また、磁気センサ14は、検出幅Dの範囲を検出領域として磁性強度を取得する。この場合、磁気センサ14は、検出領域内から発せられる磁束の総和を磁性強度の値として検出する。即ち、検出領域に塗布されている磁気インクの量が多い場合、磁気センサ14は、高い値を検出する。
【0070】
印刷パターン71は、一定の光学濃度で印刷されている。また、印刷パターン72は、紙葉類7上の位置に応じて徐々に光学濃度が高くなるようにグラデーション印刷が施されている。
【0071】
図7は、各印刷パターンを形成する磁気インクの種別を示す。図7に示すように、印刷パターン71は、第1の磁性体を含有する第1の磁気インクにより印刷が施された領域71aと、第2の磁性体を含有する第2の磁気インクにより印刷が施された領域71bと、を有する。なお、領域71a及び領域71bは、同一のレベルの光学濃度で印刷が施されている。
【0072】
また、印刷パターン72は、領域71aと同じ磁気インクにより印刷が施されている。
【0073】
図7において示す領域X1乃至領域X8は、それぞれ光学センサ13及び磁気センサ14の検知領域である。領域X1は、磁気インクにより印刷が施された領域を含んでいない。領域X2及び領域X3は、第1の磁気インクにより印刷が施された領域71aの一部を含む。領域X4及び領域X5は、第2の磁気インクにより印刷が施された領域71bの一部を含む。領域X6は、磁気インクにより印刷が施された領域を含んでいない。領域X7は、第1の磁気インクによりグラデーション印刷が施された印刷パターン72の一部を含む。領域X8は、磁気インクにより印刷が施された領域を含んでいない。
【0074】
図8は、磁気センサ14による磁性強度の検出結果を示す図である。ここでは、図5及び図6に示す紙葉類7における検出結果を示す。
【0075】
磁気センサ14は、上記したように、磁気インクが多く存在する領域において、高い値の磁性強度を検出する。また、磁気センサ14は、磁気インクの量が少ない領域において、極めて低い値の磁性強度を検出する。
【0076】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X1において、磁気センサ14は、磁性強度として低い値を検出する。
【0077】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X2において、磁気センサ14は、磁性強度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて増えるように分布している為、磁気センサ14により検出する磁性強度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0078】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X3において、磁気センサ14は、高い値の磁性強度M1を検出する。
【0079】
第2の磁気インクにより印刷が施された領域X4において、磁気センサ14は、磁性強度M1よりも低い値の磁性強度M2を検出する。
【0080】
第2の磁気インクにより印刷が施された領域X5において、磁気センサ14は、磁性強度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて減るように分布している為、磁気センサ14により検出する磁性強度も磁性体の量に応じて徐々に減少する。
【0081】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X6において、磁気センサ14は、磁性強度として極めて低い値を検出する。
【0082】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X7において、磁気センサ14は、磁性強度を検出する。なお、上記したように領域X7は、第1の磁気インクによりグラデーション印刷が施された印刷パターン72の一部を含む。この為、領域X7に存在する磁性体の量は、紙葉類7の搬送距離に応じて増加する。この結果、磁気センサ14により検出する磁性強度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0083】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X8において、磁気センサ14は、磁性強度として極めて低い値を検出する。
【0084】
この場合、領域X4の中の点Aと、領域X7の中の点Bにおいて同じ磁性強度M2を検出する。しかし、領域X4は、第2の磁気インクにより印刷が施された領域であり、領域X7は、第1の磁気インクにより印刷が施された領域である。
【0085】
即ち、磁性強度のみを検出する場合、紙葉類処理装置は、同じ値の磁性強度が検出された複数の領域が、同一の磁気インクにより同じ濃度で印刷が施された領域であるのか、異なる磁気インクにより異なる濃度で印刷された領域であるのかを判別することが出来ない。この結果、紙葉類の真偽及び種類を正しく判別することができない場合がある。
【0086】
図9は、光学濃度の検出結果を示す図である。ここでは、図5及び図6に示す紙葉類7における検出結果を示す。
【0087】
光学センサ13は、光源12から紙葉類7に照射された光の反射光を取得し、光学画像を検出する。信号処理部15は、光学センサ13により検出する1ライン分の光学画像、即ち1走査当たりの光学画像に基づいて、光学濃度を算出する。例えば、信号処理部15は、光学センサ13により検出する1ライン分の光学画像の各画素の濃度の和を光学濃度として算出する。
【0088】
なお、磁性体は、赤外帯域の光を吸収する。この為、光学センサ13及び信号処理部15は、上記したように、磁気インクが存在する箇所を黒点、即ち、濃度が高い箇所として検出する。
【0089】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X1において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度として低い値を検出する。
【0090】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X2において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて増えるように分布している為、光学センサ13及び信号処理部15により検出する光学濃度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0091】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X3及びX4において、光学センサ13及び信号処理部15は、高い値の光学濃度を検出する。
【0092】
第2の磁気インクにより印刷が施された領域X5において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度を検出する。なお、紙葉類7に塗布されている磁性体の量が紙葉類7の搬送距離に応じて減るように分布している為、光学センサ13及び信号処理部15により検出する光学濃度も磁性体の量に応じて徐々に減少する。
【0093】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X6において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度として低い値を検出する。
【0094】
第1の磁気インクにより印刷が施された領域X7において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度を検出する。なお、上記したように領域X7は、第1の磁気インクによりグラデーション印刷が施された印刷パターン72の一部を含む。この為、領域X7に存在する磁性体の量は、紙葉類7の搬送距離に応じて増加する。この結果、光学センサ13及び信号処理部15により検出する光学濃度も磁性体の量に応じて徐々に増加する。
【0095】
磁気インクによる印刷が施されていない領域X8において、光学センサ13及び信号処理部15は、光学濃度として低い値を検出する。
【0096】
紙葉類検査装置135の信号処理部15は、光学濃度と、磁気センサ14により検出する磁性強度とに基づいて正規化処理を行う。即ち、紙葉類検査装置135は、図8に示す磁性強度の信号出力と、図9に示す光学濃度の信号出と力を関連付けることにより、磁気インクの種別の判別を行う。
【0097】
具体的には、信号処理部15は、磁気センサ14により検出する磁性強度を光学濃度で除算する。これにより、信号処理部15は、光学濃度当たりの磁性強度(正規化磁性強度)を算出する。信号処理部15は、図8に示す磁性強度の信号出力と、図9に示す光学濃度の信号出力とに基づいて、図10に示す正規化磁性強度のグラフを算出する。
【0098】
図10は、信号処理部15により算出した正規化磁性強度を示すグラフである。
領域X7には磁気インクによりグラデーション印刷が施されている為、図8及び図9に示すように、領域X7の磁性強度及び光学濃度は、紙葉類7の搬送距離に応じて供に徐々に増加している。この為、磁性強度を光学濃度で除算する場合、信号処理部15は、図10に示すように磁気インクの種類に応じた一定の値の磁性強度を算出する。
【0099】
信号処理部15は、算出した正規化磁性強度を逐次判別部16に送信する。
判別部16は、信号処理部15から送信される正規化磁性強度と、予め記憶部16aに記憶される基準データとを比較することにより、紙葉類7の真偽を判別する。
【0100】
例えば、判別部16は、記憶部16aに基準データとして基準磁性強度を記憶する。判別部16は、信号処理部15から送信される正規化磁性強度と基準磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値以上である場合、紙葉類7を真券であると判定する。また、判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値未満である場合、紙葉類7を偽券であると判定する。
【0101】
また、記憶部16aが券種ごとに複数の基準磁性強度を記憶している場合、判別部16は、各基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、最も類似度の高い基準磁性強度を特定することにより、紙葉類7の券種を判別することができる。
【0102】
なお、判別部16は、基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する構成として説明したが、この構成に限定されない。判別部16は、紙葉類7上において予め設定される領域の正規化磁性強度に基づいて真偽を判定する構成であってもよい。
【0103】
また、記憶部16aは、各領域ごとに基準値を基準データとして記憶する。基準値は、例えば許容範囲を有するデータである。判別部16は、信号処理部15から受信する正規化磁性強度の各領域の値と、記憶部16aに記憶されている基準データとに基づいて紙葉類7の真偽を判定する。即ち、判別部16は、正規化磁性強度の値が基準データが示す許容範囲内であるか否かを領域ごとに判別する。判別部16は、正規化磁性強度の値が基準データが示す許容範囲内である場合、紙葉類7を真券と判別する。
【0104】
また、上記した実施形態では、紙葉類検査装置135は、磁性強度と光学濃度とに基づいて正規化磁性強度を取得する構成として説明したが、この構成に限定されない。紙葉類検査装置135は、磁性強度と黒画素数とに基づいて正規化磁性強度を取得する構成であってもよい。
【0105】
例えば、信号処理部15は、光学センサ13により検出する1ラインの光学画像、即ち1走査当たりの光学画像に基づいて、予め設定される値未満の画素値を有する画素の数を黒画素数としてカウントする。
【0106】
信号処理部15は、磁気センサ14により検出する磁性強度を光学センサ13により検出する光学画像から取得する黒画素数で除算する。これにより、信号処理部15は、黒画素数当たりの磁性強度(正規化磁性強度)を算出することができる。
【0107】
また、信号処理部15は、予め設定される閾値T1及びT2に基づいて、正規化磁性強度を簡易化する構成であってもよい。この場合、信号処理部15は、閾値T1及びT2を保持するメモリを備える。
【0108】
信号処理部15は、メモリに記憶される閾値T1及びT2と正規化磁性強度とを比較する。信号処理部15は、閾値T1及びT2に基づいて、正規化磁性強度を量子化し、図11に示す信号を取得する。
【0109】
例えば、信号処理部15は、正規化磁性強度の値がT1以上の場合、正規化磁性強度をM1に設定する。また、信号処理部15は、正規化磁性強度の値がT1未満で且つT2以上である場合、正規化磁性強度をM2に設定する。また、信号処理部15は、正規化磁性強度の値がT2未満である場合、正規化磁性強度を0に設定する。
【0110】
例えば、判別部16は、記憶部16aに基準データとして基準磁性強度を記憶する。判別部16は、信号処理部15から送信される正規化磁性強度と基準磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値以上である場合、紙葉類7を真券であると判定する。また、判別部16は、算出した類似度が予め設定される基準値未満である場合、紙葉類7を偽券であると判定する。
【0111】
また、記憶部16aが券種ごとに複数の基準磁性強度を記憶している場合、判別部16は、各基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する。判別部16は、最も類似度の高い基準磁性強度を特定することにより、紙葉類7の券種を判別することができる。
【0112】
なお、判別部16は、基準磁性強度と正規化磁性強度との類似度を算出する構成として説明したが、この構成に限定されない。判別部16は、紙葉類7上において予め設定される領域の磁性インクの種別に基づいて真偽を判定する構成であってもよい。
【0113】
判別部16は、正規化磁性強度の値がM1である領域を第1の磁気インクにより印刷が施された領域であり、正規化磁性強度の値がM2である領域を第2の磁気インクにより印刷が施された領域であり、正規化磁性強度の値が0である領域を磁気インクによる印刷が施されていない領域であると容易に判別することができる。
【0114】
判別部16は、各領域毎に磁気インクの種別を判別する。また、記憶部16aは、各領域ごとに磁気インクの種類を示す情報を基準データとして記憶する。判別部16は特定した磁気インクの種類と、記憶部16aに記憶されている基準データとに基づいて紙葉類7の真偽を判定する。即ち、判別部16は、判別部16は特定した磁気インクの種類と、記憶部16aに記憶されている基準データとが一致する場合、紙葉類7を真券と判別する。
【0115】
この場合、比較に用いられる領域は、図7及び8に示す領域に限定されるものではなく、磁性強度に基づいて紙葉類7の真偽、または種別を判別することができる位置であれば如何なる位置で設定されていてもよい。
【0116】
上記したように、紙葉類検査装置135は、磁気センサ14により検出する磁性強度を光学センサ13の検出結果に基づいて正規化し、正規化磁性強度を取得する。これにより、紙葉類検査装置135は、磁気インクにより印刷されたパターンの形状、及びグラデーションなどに係らず、磁気インクの濃度当たりの磁性強度を算出することができる。この結果、紙葉類検査装置135は、より高い精度で紙葉類の検査を行う事ができる安定して判定を行うことができる紙葉類検査装置、及び紙葉類検査装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0117】
上記した実施形態では、紙葉類検査装置135は、光源12から投光される赤外波長光の反射光を光学センサ13により検出する構成として説明したがこの構成に限定されない。例えば、紙葉類検査装置135は、光源12から投光される赤外波長光の透過光を光学センサ13により検出する構成であってもよい。
【0118】
図12は、紙葉類検査装置135の他の構成例について説明するための説明図である。なお、図4に示す構成と同様の構成には同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0119】
光源12と光学センサ13とは、搬送路115を挟んで互いに対向するように配置される。この場合、光学センサ13は、光源12から放射されて紙葉類7を透過した透過光を受光し、画像を取得する。
【0120】
図12に示す紙葉類検査装置135は、図4に示す例と同様に、光学センサ13の検出結果と、磁気センサ14の検出結果とに基づいて、正規化磁性強度を取得する。紙葉類検査装置135は、正規化磁性強度に基づいて、紙葉類7の真偽、及び/または種別を判別することができる。
【0121】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0122】
7…紙葉類、10…制御部、11…センサ部、12…光源、13…光学センサ、14…磁気センサ、15…信号処理部、16…判別部、16a…記憶部、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、135…紙葉類検査装置、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、155…CPU、156…裁断制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、
前記紙葉類に対して光を投光する光源部と、
前記紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、
前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、
前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、
を具備する紙葉類検査装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記紙葉類に対して赤外光を投光し、
前記光学検出部は、少なくとも赤外光を受光して光学画像を取得する、
請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記光学検出部により検出する光学画像に基づいて光学濃度を算出し、算出した光学濃度で前記磁気検出部により検出する磁性強度を除算して正規化磁性強度を算出する請求項2に記載の紙葉類検査装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記光学検出部により検出する光学画像に基づいて黒画素数を算出し、算出した黒画素数で前記磁気検出部により検出する磁性強度を除算して正規化磁性強度を算出する請求項2に記載の紙葉類検査装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとの類似度を算出し、類似度が予め設定される閾値以上である場合、前記紙葉類が真券であると判別する請求項3または4に記載の紙葉類検査装置。
【請求項6】
前記判別部は、前記算出部により算出する正規化磁性強度の前記紙葉類上の予め設定される領域における値が予め設定される許容範囲内である場合、前記紙葉類が真券であると判別する請求項3または4に記載の紙葉類検査装置。
【請求項7】
前記光学検出部は、前記光源部から前記紙葉類に対して投光される光の反射光を受光して光学画像を検出する請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項8】
前記光学検出部は、前記光源部から前記紙葉類に対して投光される光の透過光を受光して光学画像を検出する請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項9】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類に対して光を投光する光源部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、
前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、
前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備する紙葉類処理装置。
【請求項1】
紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、
前記紙葉類に対して光を投光する光源部と、
前記紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、
前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、
前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、
を具備する紙葉類検査装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記紙葉類に対して赤外光を投光し、
前記光学検出部は、少なくとも赤外光を受光して光学画像を取得する、
請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記光学検出部により検出する光学画像に基づいて光学濃度を算出し、算出した光学濃度で前記磁気検出部により検出する磁性強度を除算して正規化磁性強度を算出する請求項2に記載の紙葉類検査装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記光学検出部により検出する光学画像に基づいて黒画素数を算出し、算出した黒画素数で前記磁気検出部により検出する磁性強度を除算して正規化磁性強度を算出する請求項2に記載の紙葉類検査装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとの類似度を算出し、類似度が予め設定される閾値以上である場合、前記紙葉類が真券であると判別する請求項3または4に記載の紙葉類検査装置。
【請求項6】
前記判別部は、前記算出部により算出する正規化磁性強度の前記紙葉類上の予め設定される領域における値が予め設定される許容範囲内である場合、前記紙葉類が真券であると判別する請求項3または4に記載の紙葉類検査装置。
【請求項7】
前記光学検出部は、前記光源部から前記紙葉類に対して投光される光の反射光を受光して光学画像を検出する請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項8】
前記光学検出部は、前記光源部から前記紙葉類に対して投光される光の透過光を受光して光学画像を検出する請求項1に記載の紙葉類検査装置。
【請求項9】
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類から磁性強度を検出する磁気検出部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類に対して光を投光する光源部と、
前記搬送部により搬送される紙葉類から光を受光して光学画像を検出する光学検出部と、
前記磁気検出部により検出する磁性強度と、前記光学検出部により検出する光学画像とに基づいて正規化磁性強度を算出する算出部と、
前記算出部により算出する正規化磁性強度と、予め設定される基準データとに基づいて前記紙葉類の真偽を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備する紙葉類処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−43361(P2012−43361A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186315(P2010−186315)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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