説明

紙葉類測定装置及び画像形成装置

【課題】光学手段を用いて搬送路の被測定物の搬送特性に関連する測定値を定量的に評価するときの、ばらつきが大きい測定値に対しても適用範囲の広い測定を可能とした紙葉類測定装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送路R1の記録シートPに対し光を投射する発光ダイオード34と投射手段から投射された被測定物からの光を測定する受光素子35を備え、受光手段が出力する測定値のばらつきを測定することで被測定物の搬送特性を確認する紙葉類測定装置において、受光手段が出力する測定値の上限値Unまたは下限値Dnをあらかじめ設定し、受光手段の測定値が設定上限値uを超えるとその測定値を設定上限値uで置き換え、測定値が設定下限値uを下回るとその測定値を設定下限値dで置き換えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類測定装置に係り、特に、搬送される被測定物の撓み等の搬送特性を測定する機能を有する紙葉類測定装置及び該紙葉類測定装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年複写機、ファックス、プリンタ、スキャナー等の画像形成装置に使用されるシート状媒体の種類や画像生成条件の多様化と専属の操作担当者の減少とに伴い、操作に精通しないユーザでも明確的に要求した品質の画像生成物を得ることができる画像形成装置が望まれている。しかしながら、画像形成装置は前述の生成条件の多様化に対応すべくますますその操作設定が多岐に渡っている。このため画像形成に先立ち、転写紙設定や操作方法の習得に手間暇をとられるうえ、設定ミスに伴う損失の発生頻度も増加している。
【0003】
そこで、複写機やスキャナ等の原稿読取装置として、原稿搬送路を通過する原稿に発光ダイオードより光を投射し、その原稿からの反射光と原稿からの透過光をそれぞれ受光手段で測定し、透過光量及び反射光量の変化に応じて原稿の重送を検知する原稿読取装置が特許文献1に開示されている。更に、複写機やプリンタ等のシート材搬送装置として、発光素子及び受光素子を利用し、複数の光の検知タイミングに基づいてシート材の搬送速度を求め、シート材の安定した搬送速度を確保し、カラー画像形成装置における各色間のズレを防止するシート材搬送装置が特許文献2に開示されている。
【0004】
更に、画像形成装置で使用するシート状媒体である転写紙の搬送特性を自動的に判別することで、使用する転写紙に最適な条件で処理を行うことで上述の問題に解決しようと試みられている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−137457号公報
【特許文献2】特開2001−88984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、シート状媒体である転写紙の搬送特性を検知するのに光学手段を用いて測定値を定量的に評価するとき、限定された転写紙を対象とせず汎用的なものを対象とすれば市場に出回る低価格ではあるが低品質であったり、品質のばらつきが大きいものを扱わねばならす、操作が正常であっても品質のばらつきに拠る誤検知の発生が懸念される。
【0007】
品質のばらつきが原因となる問題は大別して種類ごとのばらつきと単一種内のばらつきに拠るものが考えられるが、単一種内のばらつきが大きいと搬送特性の判別の確実性が低下し、実用化が難しくなる。
本発明では、光学手段を用いて搬送路の被測定物の搬送特性に関連する測定値を定量的に評価するときの、ばらつきが大きい測定値に対しても適用範囲の広い測定を可能とした紙葉類測定装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記課題を達成するため以下の構成とした。
【0009】
本発明の第1の手段は、搬送路の被測定物に対し光を投射する投射手段と投射手段から投射された前記被測定物からの光を測定する受光手段を備え、前記受光手段が出力する測定値のばらつきを測定することで前記被測定物の搬送特性を確認する紙葉類測定装置において、前記受光手段が出力する測定値の上限値または下限値をあらかじめ設定し、前記受光手段の測定値が設定上限値を超えるとその測定値を設定上限値で置き換え、測定値が設定下限値を下回るとその測定値を設定下限値で置き換えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
第2の手段は、第1の手段の紙葉類測定装置において、前記設定上下限値は検出条件によって異なる値が設定されることを特徴とする(請求項2)。
【0011】
第3の手段は、第1もしくは第2の手段の紙葉類測定装置において、非連続に測定しその出力を比較する際に、測定値のばらつきが大きい条件では限度値の置き換えを行い、測定値のばらつきの小さい条件下では置き換えは行わないことを特徴とする(請求項3)。
【0012】
第4の手段は、第1の手段の紙葉類測定装置において、前記被測定物はシート状媒体であり、前記搬送特性はシート状媒体の撓み特性であることを特徴とする(請求項4)。
【0013】
第5の手段は、第1乃至第4の何れか一つに記載の紙葉類測定装置を具備したことを特徴とする画像形成装置(請求項5)。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、搬送路の被測定物に対し光を投射する投射手段とこれによる透過光または反射光を測定する受光手段を持ち、受光手段の測定値のばらつきを測定することで紙葉類の搬送特性を確認する測定装置において、あらかじめ受光手段の測定値の上限値または下限値を設定しておき、受光手段が出力する測定値が設定上限値を越えるかまたは設定下限値を下回る場合、そのときの測定値を設定上限値または設定下限値で置き換えることを特徴とした紙葉類測定装置なので、外部ノイズにより被測定物から出力される測定値が一定値を超えるというような受光手段の誤測定を避けることができ、投射手段と受光手段の装着におけるレイアウト上の自由度を確保できる。
【0015】
また、本発明では、検出条件を考慮して設定上限値や設定下限値を設定するので、各紙葉類の光特性がまったく異なっていても、適正な各紙葉類の搬送特性の判別を行うことができる。
【0016】
より具体的には、非連続に受光手段による測定値の測定を行い、その出力を比較する際に、測定値のばらつきが大きい条件では限度値である設定上限値や設定下限値の置き換えを行い、測定値のばらつきの小さい条件下では置き換えは行なわないため、ばらつきの少ない条件ではより高精度の紙葉体の判別が可能となる。
【0017】
また、本発明では、シート状媒体からの光を受ける受光手段の測定値のばらつきを測定することで、搬送路のシート状媒体の搬送特性である紙厚等を測定でき、この測定値を用いて、搬送路に対設される画像形成補助装置、例えば、定着装置の分離爪等のセット力を適正状態に切り換え調整できる。
【0018】
さらにまた、本発明では、請求項1乃至4の何れか一つに記載の紙葉類測定装置を備えた画像形成装置を容易に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0020】
最初に、本発明における紙葉類測定装置を備えた画像形成装置を説明する。
この画像形成装置は電子写真プロセスを利用するカラープリンタ11である。図1においてカラープリンタ11は、画像形成部11Aが縦方向の中央部に位置し、その下方には給紙部11Bが、さらに画像形成部11Aの上方には原稿載置台11C1を備えた原稿走査部11Cがそれぞれ配置されている。
画像形成部11Aには、水平方向に展張面を有する中間転写体としての中間転写ベルト12が配置されており、中間転写ベルト12の上位には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。
【0021】
画像形成部11Aには、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による画像を担持可能な感光体13B、13Y、13C、13Mが中間転写ベルト12の展張面に沿って並置されている。なお、以下の説明において、全ての感光体に共通する内容の場合には感光体を符号13により示す。
【0022】
各感光体13B、13Y、13C、13Mは、それぞれ同じ方向(図1では、反時計方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周辺には、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置14,書き込み装置15,現像装置16,1次転写装置17,およびクリーニング装置18が配置されている(便宜上、感光体13Bを対象として、各装置の符号にBを付して示してある)。
【0023】
中間転写ベルト12は、各感光体を備えた作像ユニットからの可視像を順次転写される1次転写部に相当しており、複数のローラ12A〜12Cに掛け回されて感光体との対峙位置において同方向に移動可能な構成を備え、展張面を構成するローラ12A、12Bとは別のローラ12Cは、中間転写ベルト12を挟んで2次転写装置19に対峙している。なお、図1中、符号20は、中間転写ベルト12のクリーニング装置を示している。
【0024】
2次転写装置19は、帯電駆動ローラ19Aおよび従動ローラ19Bに掛け回されて2次転写装置19が位置する2次転写位置において中間転写ベルト12と同方向に移動可能な転写ベルト19Cを備えており、転写ベルト19Cを帯電駆動ローラ19Aにより帯電させることで記録シートを静電吸着しながら搬送する過程で中間転写ベルト12に重畳された多色画像を一括転写によってあるいは担持されている単一色の画像をそれぞれ記録シートPに転写することができる。
2次転写位置には給紙部11Bから記録シートPが給送されるようになっている。
【0025】
給紙部11Bは、複数の給紙カセット11B1と、給紙カセット11B1から繰り出されるシート状媒体である記録シートP(転写紙)を2次転写位置に導く搬送路R1と、搬送路R1に配置された複数の搬送ローラ11B2と、2次転写位置の前方の搬送路R1上に位置するレジストローラ11B3と、レジストローラ11B3の前方の合流部rで搬送路R1に合流する補助搬送路R2とを備えている。
【0026】
給紙部11Bには、給紙トレイ11B1から繰り出される記録シートPの搬送路R1に加えて給紙カセット11B1内に収容されていない種類の記録シートPを2次転写位置に向け給送できる構成が備えられており、この構成は、画像形成部11Aの壁面の一部を起倒可能に設けた手差しトレイ11A1と繰り出しコロ11A2と同コロからの記録シートPをレジストローラ11B3に導く補助搬送路R2を備えている。いずれの搬送路R1,R2から給送される記録シートPもレジストローラ11B3によってレジストタイミングが設定されるようになっている。
【0027】
図2に示すように、レジストローラ11B3の前方の合流部rは上下の合流ガイド板31a,31bの対向空間として形成され、ここには主路ガイド板32a、32b間の主搬送路R1と補助路ガイド板33a,33b間の補助搬送路R2とが合流している。これら上下の合流ガイド板31a,31bの対向空間はレジストローラ11B3に近づくほど上下間隔が狭まるよう形成され、いずれの搬送路からの記録シートPもレジストローラ11B3にスムーズに送り込まれるように形成されている。
【0028】
上合流ガイド板31aの背面である上壁面には合流部rの略中央位置と対向するように投射手段である発光ダイオード34が取り付けられ、下合流部rガイド板の背面である下壁面には合流部rの略中央位置と対向するように受光手段である受光素子35が取り付けられ、発光ダイオード34と受光素子35とは相互に光軸が一致するように配設される。
【0029】
ここで搬送路R1の合流部rが紙厚検知位置を成し、紙厚検知位置に対設された発光ダイオード34と受光素子35が透過型センサによる紙厚検知部36を成し、発光ダイオード34と受光素子35は制御装置37に接続され、これらが紙葉類測定装置を構成している。なお、この紙葉類測定装置の機能は後述する。
書き込み装置15(図1では、便宜上、符号15Bで示してある)は、原稿走査部11Cに有する原稿載置台11C1上の原稿を走査することにより得られる画像情報あるいは図示しないコンピュータから出力される画像情報により書き込み光が制御されて感光体13B、13Y、13C、13Mに対して画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0030】
原稿走査部11Cには、原稿載置台11C1上の原稿を露光走査するスキャナ11C2が備えられており、さらに原稿載置台11C1の上面には、自動原稿給送装置11C3が配置されている。自動原稿給送装置11C3は、原稿載置台11C1上に繰り出される原稿を反転可能な構成を備え、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。
【0031】
書き込み装置15により形成された感光体13(図1において符号13B、13Y、13C、13Mで示す部材)上の静電潜像は、現像装置16(図1では、便宜上、符号16Bで示してある)によって可視像処理され、中間転写ベルト12に1次転写される。中間転写ベルト12に対して各色毎のトナー像が重畳転写されると、2次転写装置19により記録シートPに対して一括して2次転写される。
2次転写された記録シートPは、表面に担持している未定着画像を定着装置21によって定着される。
【0032】
定着装置21は、図5に示すように定着ヒータ21hが配置された定着ローラ21Aと、加圧ローラ21Bを備え、定着ローラ21Aと加圧ローラ21Bのニップ部にて記録シートPを加圧搬送して熱定着を行う。定着ローラ21Aにはシリコーンオイル等を塗布する塗布ローラ21Cが接触回転している。定着ローラ21Aと加圧ローラ21Bの各定着ヒータ21hは不図示の定着温調回路に接続され、不図示の定着ローラサーミスタの温度情報に応じて、設定温度に制御されている。加圧ローラ21Bには分離爪21Dが対設され、定着ローラ21A通過後の記録シートPをローラ表面より分離せしめる。この分離爪21Dはブラケット21Eに枢支ピン21Fを介して枢支され、枢支ピン21Fの下方側の揺動端側にバネ21Gの引っ張り力と、駆動ソレノイド21Jの可動片の押圧力がそれぞれ加わるように形成される。図3に示すように、駆動ソレノイド21Jは後述するドライバ37jを介し制御装置37側に接続される。
【0033】
駆動ソレノイド21Jはこれが非通電状態にあると、図5に2点差線で示すように、可動片が突出し位置e1にあり、バネ21Gの引っ張り力は働かず、分離爪21Dは加圧ローラ21B表面より退却し、通電状態にあると、図5に実線で示すように、可動片が退却位置e2にあり、バネ21Gの引っ張り力で分離爪21Dを加圧ローラ21B表面に摺接させる。ここでの制御装置37は、図4に示すように、分離爪制御手段38としての機能を備える。分離爪制御手段38は後述の紙厚検知手段39からの紙厚信号Stを受け、図6に示すように、紙厚が厚紙判定値としてのt2(例えば150μm程度)を下回る場合には、分離爪21Dの駆動条件を満たしているとして、駆動ソレノイド21Jを駆動し、分離爪21Dを加圧ローラ21B表面に摺接させ、比較的薄く、コシの弱い記録シートPが加圧ローラ21B表面に巻き付くことを防止する。紙厚がt2以上の厚紙であると、駆動ソレノイド21Jを非励磁とし、分離爪21Dを加圧ローラ21B表面より離脱させ、加圧ローラ21Bの耐久性を確保することができる。
【0034】
次に、本実施形態における紙葉類測定装置の紙厚検知手段39と、同紙厚検知手段39の出力する紙厚信号Stに基づき定着装置21の分離爪21Dを制御する分離爪制御手段38との両機能を備えた制御装置37を説明する。
図3に示すように、制御装置37には全体の制御を受けもつマイクロコンピュータ37aが設けられている。マイクロコンピュータ37aは、演算装置であるマイクロプロセッサ(CPU)と、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)がそれぞれバスを介して接続された構成となっている。
【0035】
また、制御装置37は発光ダイオード34の駆動用I/F37c及びドライバ37dを備え、受光素子35からの紙厚検知信号を受信するための紙厚検出用インターフェイス(I/F)37bを備えている。紙厚検出用I/F37bの出力は、バス37fを介してマイクロコンピュータ37aに入力される。この紙厚検出用I/F37bは受光素子35からの透過光量信号のレベルをパルス数として計数する図示しないカウンタを備えており、これにより透過光量qの信号がデジタル値に変換される。また、制御装置37にはクロックカウンタ37gが設けられており、カウントしたクロック数をバスを介してマイクロコンピュータ37aに出力する。更に、紙種入力スイッチ40より普通紙、トレーシングペーパー、フィルムの紙種選択信号が紙種入力用インターフェイス(I/F)37iを介してマイクロコンピュータ37aに入力される。更に、駆動ソレノイド21Jがドライバ37j、ソレノイド用インターフェイス(I/F)37kを介し制御装置37に接続される。
【0036】
次に、制御装置37が備える機能の一つである紙厚検知手段39が合流部rで行う紙厚検知制御について説明する。特に、ここでの記録シートPの紙厚検知は合流部rにおいてレジストタイミング調整のため一時停止した間の設定時間幅Taで透過光量qを測定することとなる。この場合、合流部rの記録シートPを透過して受光素子35に受光される透過光量qの測定値のばらつきを概念的に示すと、図6に示すような特性となる。
【0037】
図6において、記録シートPが普通紙N1の場合、薄厚域(t0〜t1)にあると透過光量qが比較的大きく、変動幅n1b1も比較的大きい。シート厚さが通常厚域(t1〜t2)では透過光量qがやや低減し、変動幅n1b2も比較的小さくなる。シート厚さが厚紙領域(t2以上)にあると、透過光量q及びその変動幅n1b3も極めて小さくなる。このように、比較的広い搬送路である合流部rでの普通紙N1は、その湾曲状態や発光ダイオード34や受光素子35に対する接離状態や対向角度にばらつきが生じ、しかも、紙質による反射光量の変動等も起因して、透過光量qは上述のような特性で変動する。
【0038】
記録シートPがトレーシングペーパN2である場合、普通紙N1より厚さ当たりの透過率が全体に大きくなり、シート厚さが薄厚域(t0〜t1)、通常厚域(t1〜t2)、厚紙域(t2以上)での各透過光量qは比較的大きくなる。また、各領域でのばらつき幅である変動幅n2b1〜n2b3はトレーシングペーパN2の湾曲状態や反射光量の変動に起因して比較的大きい。更に、記録シートPがフィルムN3の場合では厚さの変化にあまりかかわらず、透過光量レベルが格段と大きく、変動幅n3b1〜n3b3は比較的小さい。
【0039】
図6に示すように、合流部rで一時停止する記録シートPより設定時間幅Taの間、受光素子35が透過光量qを測定すると、その値は変動する。そこで、これらばらつき特性を考慮したうえで、制御装置37が紙厚検知手段39として機能する際に用いる紙厚演算マップを図7(a)〜(c)に示すような特性値としてあらかじめ設定した。
【0040】
ここで、図7(a)は普通紙用の設定上下限値演算マップ、図7(b)はトレーシングペーパー用の設定上下限値演算マップ、図7(c)はフィルム用の設定上下限値演算マップを示す。ここでは薄厚域(t0〜t1)と通常厚域(t1〜t2)と厚紙域(t2以上)とに区分して各設定上下限値u,dが設定された。
【0041】
このように紙厚検知手段39は、記録シートPの紙質、紙厚に応じた光の透過率の変動や合流部rでの記録シートPの湾曲状態等に起因する検出光の乱反射等の要因で受光素子35の測定値がばらつくことを考慮し、合流部rで一時停止する記録シートPからの透過光を受光素子35で受け、その測定値を設定時間取り込み、そのときの最大測定値Unと最小測定値Dnを求め、最大最小測定値Un,Dnのばらつき域を求める。更に、その測定値である最大最小測定値Un,Dnのばらつき域と、設定上下限値演算マップで求めた紙種に応じた設定上限値u及び設定下限値dとを比較し、記録シートPの紙厚を求める。
【0042】
次に、図8のフローチャートを参照して紙厚検知手段39及び分離爪制御手段の制御動作を説明する。ここでは記録シートPの種類として、普通紙N1、トレーシングペーパーN2、フィルムN3の3種が選択的に使用され、紙厚がt2(150μm)以上の厚紙領域の場合と、t2(150μm)未満の普通及び薄紙領域の場合とで定着装置21の分離爪21Dの接離状態を切り換えるという制御例を説明する。なお、この分離爪21Dの接離状態を切り換える閾値は、厚紙の判定値t2に代えて上述のt1に設定する構成を採ることも可能である。
【0043】
図8の紙厚検知及び分離爪制御ルーチンのステップs1に達すると、記録シートPが合流部rに達したか否かを不図示の用紙検知フォトセンサで検知するのを待ち、ステップs2でレジストローラ11B3の停止を待ち、停止時にはステップs3で現在選択されている紙種信号を読み取りステップs4に進む。なお、ステップs1、s2でNoの判断ではこの回の制御を終了する。
【0044】
ステップs4では発光ダイオード34を駆動させ、設定時間カウント用のタイマーをスタートさせ、ステップs5では受光素子35による記録シートPからの透過光量qの読み取りを継続し,順次データを記憶処理する。ステップ6でタイマがカウントアップするとステップs7で設定時間内の透過光量の最大値と最小値を演算し、記憶処理する。
【0045】
ステップs8では透過光量の最大最小測定値Un,Dnからなるばらつき領域を求め、ステップs9では、現在の紙種、例えば、普通紙であると図7(a)の普通紙用の設定上下限値演算マップの設定上限値u及び設定下限値dを比較し、最大最小測定値Un,Dnいずれもが設定上限値u及び設定下限値d内にあればステップs10に進むが、そうでなく、測定値ばらつきが大きい場合には、ステップs11においてデータ補正処理を行う。
【0046】
ステップs11のデータ補正処理では、最大最小測定値Un,Dnのうち、設定上限値u及び設定下限値dの領域内、外にある両測定値のデータを求める。次いで、それらの測定値の(Un―d)=|e|(例えば図7(a)のUn1),あるいは、(Dn―u)=|e|(例えば図7(a)のDn1)を求める。それらの絶対量|e|が最も大きくなる部位の紙厚値tをもとめる。更に、その位置での何れか他方の領域外の測定値(例えば図(a)のDn1)を設定上限値uまたは設定下限値dで置き換え、測定値である最大最小測定値Un,Dnのいずれもが設定上限値u及び設定下限値d内に入るように補正する。
ステップs11のデータ補正処理の後は、再度、ステップs9に進んで、Yes側のステップs10に進む。ステップs10では、今回の紙厚値が厚紙領域の厚紙ではステップs12に、普通及び薄紙領域の普通及び薄紙ではステップs13に進む。
【0047】
厚紙でステップs12に達すると、駆動ソレノイド21Jを非励磁に保持し、分離爪21Dを加圧ローラ21Bの表面より退却させ、加圧ローラ21Bの耐久性確保に寄与することができる。一方、普通及び薄紙でステップs13に達すると、駆動ソレノイド21Jを励磁に切り換え、分離爪21Dを加圧ローラ21Bの表面に摺接させ、加圧ローラ21Bに巻き付き易い普通及び薄紙を加圧ローラ21Bの表面より確実に分離させることができる。このように搬送路上の記録シートPの搬送特性である紙厚やコシ等を測定することで、この測定値を用いて、分離爪21Dを加圧ローラ21Bの表面に容易に摺接させ加圧ローラ21Bの耐久性を確保できる。これらステップs12、s13により今回の紙厚検知及び分離爪21D制御処理を終了する。
【0048】
このように、図1の紙葉類測定装置を備えた画像形成装置は上述のように的確に作動できる。更に、あらかじめ設定された受光素子35の測定値の設定上限値u及び設定下限値d内に測定値の最大最小測定値Un,Dnのいずれもが設定上限値u及び設定下限値d内にない場合には、ステップs11において何れか一方が設定上限値u及び設定下限値d内にある部位をもとめ、何れか他方の測定値を設定上限値uまたは設定下限値dで置き換えるというデータ補正処理を行うので、外部ノイズにより測定値が一定値を超えるというような誤測定を避けることができ、すなわち、光学手段を用いて搬送路の記録シートPの搬送特性に関連する紙厚値を定量的に評価するときの、ばらつきが大きい測定値に対しても適用範囲の広い測定を可能にできる。
【0049】
このため、本来、発光ダイオード34と受光素子35とからなるが透過型センサによる紙厚検知部36を用いての紙厚検知には搬送路R1が狭く、発光ダイオード34と受光素子35の対向空間が狭いことが測定値のばらつきを排除する上で好ましい。しかし、コスト増を抑えるため紙厚検知部36を1つだけ用いるとした場合、全ての記録シートPが通過する合流部rに紙厚検知部36を装着することが有効と成る。そのような条件下で合流部rに発光ダイオード34と受光素子35からなる紙厚検知部36を配備した場合、発光ダイオード34の投射光が記録シートPの変形や位置ずれに伴い乱反射して透過光量qにばらつきが生じる。しかし、本発明では上述の紙厚検知及び分離爪制御ルーチンのステップs11のデータ補正処理を行うので、誤測定を避け、的確な紙厚検知部36を行え、その紙厚信号Stに応じて普通及び薄紙の場合にのみ分離爪21Dによる分離処理を行うこととして、加圧ローラ21Bの耐久性確保を図ることができる。
【0050】
また、ステップs8において現在の紙種に応じた設定上下限値演算マップ(図7(a)〜(c)参照)を用いるので、各紙葉類の光特性がまったく異なっていても、外部ノイズによる画像形成補助装置の誤制御を防止して適正な各紙葉類の紙厚(搬送特性)の判別を行うことができる。
更にまた、ステップs4、s5で設定時間幅Taだけ受光素子35による記録シートPからの透過光量qの取り込みを行い、その上でステップs9において測定値のばらつきが大きい条件では測定値のデータ補正処理を行い、測定値ばらつきの小さい条件下では置き換えは行わない。このため、測定値ばらつきの少ない条件ではより高精度の記録シートPの搬送特性である紙厚の判別が可能となる。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の第2の実施例を示す紙葉類測定装置を備えた画像形成装置であるカラーレーザプリンタ50(以下、「レーザプリンタ」という)を説明する。
図9に示すレーザプリンタ50は箱状の装置本体51を備え、その内部には、複数個の像担持体ユニットとしての感光体ユニット2Y、2M、2C、2Bkがそれぞれ着脱可能に装着されている。ここで、各符号の数字の後に付されたY,M,C,Bkは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。
【0052】
装置本体51内の中央部には、記録シートPの担持体としての転写ベルト3が、装置本体51の対角線方向に斜めに配置されている。転写ベルト3は、その一つに回転駆動力が伝達される複数のローラに架け渡されて矢印Aで示す方向に回転駆動可能に設けられている。転写搬送ベルト装置20に設けられている無端ベルト状の転写ベルト3は、駆動ローラ22、従動ローラ23及びテンションローラ24,25に張架されている。転写ベルト3の上部走行面の内側には、各色作像ユニット2Y,2M,2C,2Bkの感光体ドラム4Y,4M,4C,4Bkにそれぞれ対向する位置に、転写手段を構成する転写ブラシあるいは転写ローラ等を用いた転写バイアス部材(図1では、便宜上、転写ベルト3を挟んで感光体ドラムに対峙する転写ローラが示されている)28が配置されている。この転写バイアス部材28には、トナーの帯電極性(本発明の実施例ではマイナス極性)とは逆極性(プラス極性)の転写バイアスが印加される。また、従動ローラ23の上部には、転写ベルト3を挟んで紙吸着ローラ27が設けられている。記録紙は、従動ローラ23と吸着ローラ27の間から転写ベルト3上に送り出され、吸着ローラ27に印加されたバイアス電圧によって静電的に転写ベルト3上に吸着された状態で搬送される。
【0053】
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体4Y、4M、4C、4Bkを有し、各感光体の表面が転写ベルト3と接触するように、同ベルトの上方に配設されている。
感光体ユニット2Y、2M、2C、2Bkは、感光体4Y、4M、4C、4Bk上にY、M、C、Bk各色のトナー像を形成するためのユニットであり、これらは同一構造を採り、それぞれの色のトナーとキャリアを有する2成分現像剤を感光体4Y上の静電潜像に供給して各静電潜像を現像するものである。なお、これらの構成については周知であるので詳細な説明は省略する。
【0054】
転写ベルト3には給紙部51Bから記録シートPが給送され、定着処理後の記録シートPは従動ローラ23側より後述の定着装置60に搬送され、そこで定着処理後に排紙処理される。なお、定着装置60通過後の記録シートPが、両面反転ユニット54に導入され、そこで表裏が反転され、両面搬送ユニット55を介し再度レジストローラ51B3に戻され、両面に画像形成処理されるよう搬送することもできる。
【0055】
装置本体51内の下部には給紙部11Bが配備される。この給紙部11Bは、複数の給紙カセット51B1と、給紙カセット51B1から繰り出されるシート状媒体である記録シートP(転写紙)を転写ベルト3に導く搬送路R1と、搬送路R1に配置された複数の搬送ローラ51B2と、2次転写位置の前方の搬送路R1上に位置するレジストローラ51B3と、レジストローラ51B3の前方の合流部rで搬送路R1に合流する補助搬送路R2とを備え、実施例1とほぼ同様の構成を採る。
【0056】
補助搬送路R2は、実施例1の図2と同様の構成を採り、画像形成部51Aの壁面の一部を起倒可能に設けた手差しトレイ51A1(起立状態で示した)に連結され、ここには繰り出しコロ51A2が配備される。ここではいずれの搬送路R1,R2から給送される記録シートPもレジストローラ51B3によってレジストタイミングが設定されるようになっている。
【0057】
搬送路R1上の合流部rは上下の合流ガイド板の対向空間として形成され、ここでは主路ガイド板の対向空間である主搬送路R1と補助搬送路R1とが合流している。この合流部rには図2で示したと同様の構成の発光ダイオード34と受光素子35を備えた紙厚検知部36が配備される。ここでは同一部材には同一符号を付し、図2を参照して、重複説明を簡略化する。
【0058】
上合流部ガイド板31aの上壁面には合流部rの略中央位置と対向するように発光ダイオード34が取り付けられ、下合流部ガイド板31bの下壁面には合流部rの略中央位置と対向するように受光素子35が取り付けられ、発光ダイオード34と受光素子35とは相互に光軸が一致するように配設される。
ここで発光ダイオード34と受光素子35が紙厚検知部36を成し、図10の制御装置37’に接続され、これらが紙葉類測定装置を構成している。なお、この紙葉類測定装置は実施例1のものと同様に機能し、重複説明を略す。
【0059】
次に、転写搬送ベルト装置20から排出される記録シートPにトナー像を定着させるベルト定着方式を採用した定着装置60について説明する。図11に示すように、定着装置60は基枠体61内にバックアップローラ62と加熱ローラ63とにトナーを担持している記録シートPを搬送するための無端状の定着ベルト64が巻き掛けられた構成となっている。定着ベルト64は、記録シートP上に担持されているトナーに対面して加熱する側の加熱部材を構成している。バックアップローラ62と加圧ローラ65は、定着ベルト64を介して互いに圧接しており、定着ニップを形成している。加熱ローラ63及び加圧ローラ65にはそれぞれヒータ66、67が内蔵されている。また、定着ベルト64の温度管理のために加熱ローラ63の表面温度を検知するサーミスタ等の不図示の温度検知部材、定着される記録シートPを定着部に向けて案内するガイド68等が設けられている。さらに、定着ベルト64上には、オフセット防止用のオイルを塗布する手段としての塗布ローラ69、トナーがベルト上に付着した場合に備えてのクリーニングローラ70とが対設されている。
【0060】
定着ベルト64に適当な所定の張力を与えるため、加熱ローラ63は、バネなどの図示しない弾性体により、加熱ローラ63をバックアップローラ62から離間させる向きに付勢されている。
加圧ローラ65は、その左右端に軸受け部71を突設しており、この軸受け部71は不図示のブラケット側に突設される縦長軸受け部材72の縦長穴73に上下動可能に支持されている。縦長軸受け部材72は縦長穴73の下部と対向する位置にレール部材74を設け、そこに駆動ソレノイド75によりスライド可能なかむ板76を取り付ける。かむ板76のカム面には縦長穴に摺動可能に嵌着されたバネ受け79の下面が当接し、バネ受け79の上面には圧縮バネ77を介して軸受け部71が当接する。かむ板76はレール部材74上で駆動ソレノイド75に連結されている。この駆動ソレノイド75は非励磁に可動片が突出し、かむ板76が定常位置p1に保持される。この状態において、かむ板76は不図示のバネにより定常位置側に押圧力を受けている。ここで、バネ受け79と軸受け部71の間隔は定常値に保持され、この際、記録シートPとして薄紙あるいは普通紙が通過すると適正定着力を確保できる。一方、励磁作動時には可動片が退却し、かむ板76は退却位置p2に移動保持され、バネ受け79と軸受け部71の間隔は定常値より広がり(図11の2点差線参照)、この際、記録シートPとして厚紙が通過すると適正定着力を確保できるよう設定される。
【0061】
図10に示すように、ここでの制御装置37’のハード構成は図3に示した制御装置37における駆動ソレノイド21Jに代えて駆動ソレノイド75を置き換えた点以外は同様であり、重複説明を略す。更に、この制御装置37’はその制御機能として、上述の分岐爪制御手段38に代えて定着力制御手段38’としての機能を備える。定着力制御手段38’は後述の紙厚検知手段39からの紙厚信号Stを受け、紙厚が厚紙判定値としてのt2(例えば150μm程度)を下回る場合には定常定着条件を満たしているとして、駆動ソレノイド75を非駆動に保持する。これにより、かむ板76は定常位置p1に保持され、圧縮バネ77の弾性力が加圧ローラ65よりバックアップローラ62側に加えられ、薄紙、定常紙に適した定着力を確保できる。一方、後述の紙厚検知手段39からの紙厚信号Stを受けると、紙厚が厚紙判定値としてのt2(例えば150μm程度)を上回る場合には厚紙定着条件を満たしているとして駆動ソレノイド75が駆動し、かむ板76を退却位置p2に移動する。これにより、かむ板76上のバネ受け79は下方にずれ、即ち、バネ受け79は普通紙に対する紙厚の紙厚増加分相当退却する。これにより、圧縮バネ77の弾性力は厚紙通過時における紙厚増加による過度な定着力の増加を抑えられ、適正定着力を確保でき、ずれ画像の発生や、定着ベルト64へのトナーの付着を防止できる。
【0062】
次に、本実施形態におけるレーザプリンタ50が備える紙葉類測定装置の紙厚検知手段39と、同紙厚検知手段39の出力する紙厚信号Stに基づき定着装置60の定着力を制御する定着力制御手段との両機能を備えた制御装置37’を説明する。
制御装置37’が備える機能の一つである紙厚検知手段39が合流部rで行う紙厚検知制御は、実施例1で説明したと同様の制御が成され、ここでは重複説明を略し、概略説明とする。ここでの制御装置37’は合流部rで一時停止する記録シートPより設定時間幅Taの間、受光素子35が透過光量を測定し、制御装置37’が紙厚検知手段39として機能する際に、実施例1で説明した図7(a)の普通紙用の設定上下限値演算マップ、図7(b)のトレーシングペーパー用の設定上下限値演算マップ、図7(c)のフィルム用の設定上下限値演算マップを用いた。この紙厚検知手段39も、合流部rで一時停止する記録シートPからの透過光を受光素子35で受け、その測定値を設定時間Taに取り込み、そのときの最大測定値Unと最小測定値Dnを求め、最大最小測定値のばらつき領域を求める。更に、その測定値である最大最小測定値Un,Dnのばらつき領域と、設定上下限値演算マップで求めた紙種に応じた設定上限値u及び設定下限値dとを比較し、記録シートPの紙厚を求める。
【0063】
次に、図12のフローチャートを参照して紙厚検知手段39及び定着力制御手段の制御動作を説明する。ここでは記録シートPの種類として、普通紙、トレーシングペーパー、フィルムの3種が選択的に使用され、紙厚がt2(150μm)以上の厚紙領域の場合と、t2(150μm)未満の普通及び薄紙領域の場合とで定着装置21の定着力を適正状態に保持する例を説明する。なお、本実施例での紙厚検知及び定着力制御ルーチンでのステップa1〜ステップa9は実施例1の紙厚検知及び定着力制御ルーチンにおけるステップs1〜ステップs9と同様の処理であるので、説明を簡略化する。
【0064】
まず、紙厚検知及び定着力制御ルーチンのステップa1に達すると、記録シートPが合流部rに達するのを待ち、ステップa2でレジストローラ11B3の停止を待ち、停止時にはステップa3で現在の紙種信号を読み取り、ステップa4に進む。なお、ステップa1、a2でNOではこの回の制御を終了する。
【0065】
ステップa4では発光ダイオード34を駆動させ、設定時間カウント用のタイマーをスタートさせ、ステップa5では記録シートPからの透過光量を測定し、順次データを取り込む。ステップa6でタイマがカウントアップするとステップa7で設定時間Ta内の透過光量の最大値Unと最小値Dnを演算し、記憶処理する。ステップa8では最大最小測定値Un,Dnからなるばらつき幅を求め、ステップa9では、現在の紙種、例えば、普通紙であると図7(a)の普通紙用の設定上下限値演算マップの設定上限値u及び設定下限値dを比較し、最大最小測定値Un,Dnいずれもが設定上限値u及び設定下限値d内にあればステップa10に進むが、そうでなく、測定値のばらつきが大きい場合には、ステップa11においてデータ補正処理を行う。
【0066】
ステップa11のデータ補正処理では、最大最小測定値Un,Dnのうち、設定上限値u及び設定下限値dの領域内、外にある両測定値を求め、測定値の(Un―d)=|e|,あるいは、(Dn―u)=|e|を求める。次いで、絶対量|e|が最も大きくなる部位の紙厚値tをもとめる。更に、その位置での何れか領域外の測定値(例えば図7(a)のDn1)を設定上限値uまたは設定下限値dで置き換え、測定値である最大最小測定値のいずれもが設定上限値u及び設定下限値d内に入るように補正する。ステップa11のデータ補正処理後は、再度、ステップa9に戻り、Yes側のステップa10に進む。
【0067】
ステップa10では、今回の紙厚値が厚紙領域の厚紙ではステップa12に、普通及び薄紙領域の普通及び薄紙ではステップa13に進む。
厚紙でステップa12に達すると、駆動ソレノイド75を励磁に切り換え、かむ板76を定常位置p1から退却位置p2に移動し、バネ受けと軸受け部71の間隔は定常値より広がり、記録シートPとしての厚紙が通過すると適正定着力を確保できる。これにより、圧縮バネ77の弾性力は厚紙通過時における紙厚増加による過度な定着力の増加を抑えられ、適正定着力を確保でき、ずれ画像の発生や、定着ベルト64へのトナーの付着を防止できる。
【0068】
一方、普通及び薄紙でステップs12に達すると、駆動ソレノイド75を非励磁に切り換え、かむ板76を退却位置p2から定常位置p1に移動し、バネ受け79と軸受け部71の間隔を定常値に戻し、記録シートPとしての普通及び薄紙が通過すると適正定着力を確保できる。これにより、圧縮バネの弾性力は普通及び薄紙通過時における安定した適正定着力を確保でき、ずれ画像の発生や、定着ベルト64へのトナーの付着を防止できる。
【0069】
このように、図9の紙葉類測定装置を備えた画像形成装置は上述のように的確に作動できる。更に、測定値の最大最小測定値Un,Dnのいずれもが設定上限値u及び設定下限値d内にない場合には、何れか一方が設定上限値u及び設定下限値d内にある部位をもとめ、何れか他方の測定値を設定上限値uまたは設定下限値dで置き換えるというデータ補正処理を行うので、外部ノイズにより測定値が一定値を超えるというような誤測定を避けることができる。
【0070】
このため、本来、測定値のばらつきを排除することが容易でない、合流部rにおいてもステップa11のデータ補正処理を行うので、誤測定を避け、的確な紙厚検知部36を行え、その紙厚信号Stに応じて記録シートPが厚紙の場合の過度の定着力の増加による、ずれ画像の発生や、定着ベルト64へのトナーの付着を防止できる。
【0071】
なお、上述の実施例1、2の画像形成装置では合流部の記録シートPの搬送特性として紙厚を検知するに際し、透過光量を検知するという構成を採っていた。これに代えて記録シートPの反射光量を検知することで記録シートPの搬送特性としての紙種を求め、紙種に適した画像形成制御処理を行うというように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一の実施例を示す紙葉類測定装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す紙葉類測定装置に用いられる紙厚検知手段の要部断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の制御装置のブロック図である。
【図4】図1に示す紙葉類測定装置の制御機能ブロック図である。
【図5】図1に示す画像形成装置が用いる定着装置の概略構成図である。
【図6】図1に示す紙葉類測定装置で採用された紙種別透過光量測定値ばらつき概念図である。
【図7】図1に示す紙葉類測定装置で用いる紙厚設定マップで、(a)は普通紙、(b)はトレーシングペーパー、(c)はフィルムの各紙厚設定マップである。
【図8】図1に示す画像形成装置が用いる紙厚検知及び分離爪制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】本発明の第二の実施例を示す紙葉類測定装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第二の実施例に示す紙葉類測定装置の制御機能ブロック図である。
【図11】本発明の第二の実施例を示す画像形成装置が用いる定着装置の概略構成図である。
【図12】本発明の第二の実施例を示す画像形成装置が用いる紙厚検知及び定着力制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
11 カラープリンタ(画像形成装置)
50 レーザプリンタ(画像形成装置)
u 設定上限値
d 設定下限値
Un 測定値の上限値
Dn 測定値の下限値
34 発光ダイオード(投射手段)
35 受光素子(受光手段)
P 記録シートP(被測定物
R1 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路の被測定物に対し光を投射する投射手段と投射手段から投射された前記被測定物からの光を測定する受光手段を備え、前記受光手段が出力する測定値のばらつきを測定することで前記被測定物の搬送特性を確認する紙葉類測定装置において、
前記受光手段が出力する測定値の上限値または下限値をあらかじめ設定し、前記受光手段の測定値が設定上限値を超えるとその測定値を設定上限値で置き換え、測定値が設定下限値を下回るとその測定値を設定下限値で置き換えることを特徴とした紙葉類測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の紙葉類測定装置において、
前記設定上下限値は検出条件によって異なる値が設定されることを特徴とする紙葉類測定装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2記載の紙葉類測定装置において、
非連続に測定しその出力を比較する際に、測定値のばらつきが大きい条件では限度値の置き換えを行い、測定値ばらつきの小さい条件下では置き換えは行わないことを特徴とする紙葉類測定装置。
【請求項4】
請求項1記載の紙葉類測定装置において、
前記被測定物はシート状媒体であり、前記搬送特性はシート状媒体の撓み特性であることを特徴とする紙葉類測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の紙葉類測定装置を具備したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−256808(P2006−256808A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77581(P2005−77581)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】