説明

紙葉類識別機

【課題】回路基板の反り、変形に影響されずにホトセンサを正確な位置に取り付けることのできる紙葉類識別機を提案すること。
【解決手段】紙幣識別機1の紙幣搬送路には、この紙幣搬送路に沿って搬送される紙幣の光学的情報を読み取るための透過型ホトセンサが配置されている。透過型ホトセンサの受光素子11b〜13bは、センサ保持部材50に接着固定されている。各受光素子11b〜13bから引き出されているリード端子11c〜13cは、可撓性のリード線33aを介して回路基板33に電気的に接続されている。回路基板33に反り、変形が生じても、受光素子11b〜13bの位置にズレが生ずることがなく、識別精度の低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホトセンサを用いて紙幣などの紙葉類の光学的情報を読み取り、読み取った光学的情報に基づき紙葉類の識別を行う紙葉類識別機に関し、特に、ホトセンサの位置ずれ、ホトセンサの検出位置を通過する紙葉類の位置ずれを防止して、精度良く識別動作を行うことのできる紙葉類識別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技店などにおける遊技台の間には、遊技台で用いるパチンコ玉などの遊技媒体を貸し出すための遊技台用台間機が配置されている。遊技台用台間機には、挿入された紙幣を識別して、対応する金額の遊技媒体の貸し出しを行うことが出来るように、紙幣識別機が搭載されている。紙幣識別機としては、透過型あるいは反射型のホトセンサを用いて紙幣の光学的情報を読み取り、これに基づき挿入された紙幣の真偽などを識別するものが知られている。
【0003】
ホトセンサを用いる場合には、ホトセンサの取り付け位置にバラツキがあると、紙幣識別精度が低下してしまう。特に、ホトセンサの発光素子および受光素子が搭載される回路基板に反り、変形があると、そこに搭載された発光素子および受光素子の相対位置にズレが生ずる。また、これらの素子と通過紙幣の相対位置にもズレが生ずる。よって、紙幣識別精度の低下を無視できない。
【0004】
また、ホトセンサを用いた紙幣識別機では、ホトセンサによる検出位置を通過する紙幣の位置が変動すると、識別精度が低下するおそれがある。特許文献1においては、反射型ホトセンサによる検出位置を通過する紙幣の搬送方向を搬送ローラによって規定し、これによって、検出位置における紙幣の通過位置のバラツキを防止している。しかしながら、紙幣には折り目が付いたものや皺が付いたものがある。このような紙幣が挿入された場合には、搬送ローラによって紙幣の搬送方向を規定しても、折り目、皺などに起因して紙幣とホトセンサの相対位置にバラツキが生じ、紙幣識別精度の低下を防止できない。
【特許文献1】特開2005−18177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、回路基板の反り、変形に影響されずにホトセンサを正確な位置に取り付けることのできる紙葉類識別機を提案することにある。
【0006】
また、本発明の課題は、ホトセンサと、その検出位置を通過する紙葉類との相対位置のバラツキを確実に防止することのできる紙葉類識別機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の紙葉類識別機は、
紙葉類を搬送するための搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類の光学的情報を読み取るためのホトセンサと、
このホトセンサが搭載される回路基板と、
前記ホトセンサを定まった位置に保持しているセンサ保持部材と、
前記ホトセンサおよび前記回路基板の間を相対移動可能な状態で電気的に接続している接続部材とを有していることを特徴としている。
【0008】
本発明では、ホトセンサを回路基板に直接に搭載せずに、センサ保持部材によってホトセンサを保持している。また、ホトセンサと回路基板の間は相対移動が可能な状態で電気的に接続されている。したがって、回路基板に反り、変形が生じても、ホトセンサの位置にズレが生ずることがない。
【0009】
前記ホトセンサが、前記搬送路を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備えた透過型ホトセンサである場合には、前記回路基板として、前記搬送路を挟み、前記発光素子の側に配置された発光側回路基板と、前記受光素子の側に配置された受光側回路基板とが配置される。また、前記センサ保持部材として、前記発光素子を保持している発光素子保持部材と、前記受光素子を保持している受光素子保持部材とが配置される。さらに、前記接続部材として、前記発光素子および前記発光側回路基板を電気的に接続している発光側接続部材と、前記受光素子および前記受光側回路基板を電気的に接続している受光側接続部材とが配置される。
【0010】
次に、本発明の紙葉類識別機は、
紙葉類を搬送するための搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類の光学的情報を読み取るためのホトセンサと、
このホトセンサの発光面および/または受光面を覆っており、前記搬送路に直交する方向に移動可能なセンサカバーと、
前記搬送路を挟み、前記センサカバーに対峙した定位置に配置されているガイド板と、
前記センサカバーを前記ガイド板に付勢している付勢部材とを有し、
紙葉類は、前記センサカバーによって前記ガイド板に押し付けられながら、これらの間を通って搬送されることを特徴としている。
【0011】
本発明では、ホトセンサによる検出位置、すなわち、センサカバーとガイド板の間を通過する紙葉類は、ガイド板によってセンサカバーに押し付けられた状態で搬送される。したがって、紙葉類の搬送位置のバラツキが防止される。また、ガイド板によって押し付けられながら搬送されるので、紙葉類は、そこに付いている折り目、皺などが除去された状態で搬送される。よって、ホトセンサと通過する紙葉類との相対位置のバラツキが防止される。また、センサカバー、ガイド板の表面が紙葉類によってクリーニングされ、異物などが除去されるという効果も得られる。
【0012】
前記ホトセンサが、前記搬送路を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備えた透過型ホトセンサの場合には、前記センサカバーを、前記発光素子の発光面を覆う発光側センサカバーとし、前記ガイド板は、前記受光素子の受光面を覆う受光側センサカバーとすればよい。
【0013】
また、付勢部材によって付勢されているセンサカバーおよびガイド板の間に円滑に紙葉類を通すためには、前記センサカバーの表面を、平坦面と、この平坦面における紙葉類搬送方向の前後の端部に形成されたテーパ面とを備えた形状とし、前記ガイド板の表面を、前記平坦面に面接触可能な平坦面と、この平坦面における紙葉類搬送方向の前後の端に形成されたテーパ面とを備えた形状としておけばよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の紙葉類識別機では、ホトセンサを回路基板に直接に搭載せずに、センサ保持板によって定まった位置に保持し、ホトセンサと回路基板の間は相対移動可能な状態で電気的な接続をとっている。したがって、回路基板に反り、変形が発生していても、それに影響されてホトセンサの取り付け位置にズレが生ずることがない。よって、ホトセンサの位置ズレに起因する識別精度の低下を防止できる。
【0015】
また、本発明の紙葉類識別機では、ホトセンサの検出位置を通過する紙葉類を、センサカバーおよびガイド板の間に押し付けた状態で搬送している。したがって、検出位置を通過する紙葉類の通過位置が一定になる。また、紙葉類は、折り目、皺などが伸ばされた状態で検出位置を通過する。よって、検出位置におけるホトセンサと紙葉類の相対位置のバラツキが防止され、識別精度が向上する。これに加えて、搬送される紙葉類によって、センサカバーおよびガイド板の表面がクリーニングされるという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙幣識別機の実施の形態を説明する。
【0017】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は本発明を適用した紙幣識別機を示す斜視図であり、図2はその開閉ユニットを開けた状態を示す斜視図である。紙幣識別機1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2の表面に形成された装置前後方向に延びている凹部3に収納されている開閉ユニット4とを有している。開閉ユニット4は、その後端部両側に形成した支軸5a、5bを中心として、凹部3に収納された閉じ位置4Aと180度開いた全開位置4Bの間で開閉可能である。また、開閉ユニット4の前端部の両側に形成した係合レバー6a、6bが、本体ユニット2に形成された係合溝6c、6dに差し込まれており、これにより開閉ユニット4が閉じ位置4Aにロックされている。左右の係合レバー6a、6bの根元側の段差部を指などによって内方に撓めると、係合レバー6a、6bが係合溝6c、6dから外れて開閉ユニット4を開けることが可能になる。
【0018】
図3は紙幣識別機1の平面図であり、図4はそのA−A線で切断した部分を示す概略縦断面図であり、図5はそのB−B線で切断した部分を示す概略横断面図である。これらの図も参照して説明すると、紙幣識別機1の本体ユニット2の前面には紙幣挿入口7が形成されており、この紙幣挿入口7は、本体ユニット2の前端部の内部に形成されている紙幣挿入路8を介して、本体ユニット2と開閉ユニット4の間に形成されている紙幣搬送路10に通じている。紙幣搬送路10の後端は紙幣排出口10aとなっており、ここから排出された紙幣は不図示の紙幣収納部に収納される。
【0019】
紙幣挿入路8には、紙幣の挿入を検出するために左右一対の入口センサ9a、9bが配置されている。入口センサ9a、9bは、それぞれ、紙幣挿入路8に下側から突出している検出レバー91を備え、紙幣Pが挿入されると検出レバー91が紙幣Pによって押されて紙幣挿入路8から退避する。これらの検出レバー91の移動に基づき紙幣が挿入されたことが検出されるようになっている。入口センサ9a、9bとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。
【0020】
紙幣挿入路8に続く紙幣搬送路10の上流側の部位には、当該紙幣搬送路10を搬送される紙幣の光学的特徴である光透過パターンを検出するための3組の透過型ホトセンサ11〜13が幅方向に等間隔で配置されている。これらの透過型ホトセンサ11〜13の発光素子11a〜13aは開閉ユニット4に搭載され、受光素子11b〜13bは本体ユニット2に搭載されている。これらの設置位置よりも下流側の紙幣搬送路10の部分には紙幣Pの磁気特性を検出するための磁気ヘッド14が配置されている。磁気ヘッド14は本体ユニット2に搭載されており、この磁気ヘッド14の検出面に紙幣Pを押し付けるための押圧ローラ15が開閉ユニット4に搭載されている。
【0021】
紙幣Pを紙幣搬送路10に沿って搬送するための搬送機構はベルト・プーリ式のものであり、左右一対の駆動側プーリ16a、16b(図にはプーリ16aのみを示す。)と、左右一対の従動側プーリ17a、17b(図にはプーリ17aのみを示す。)、これら駆動側プーリ16aおよび従動側プーリ17aの間、および駆動側プーリ16bおよび従動側プーリ17bの間にそれぞれ架け渡した左右一対の搬送ベルト18a、18b(図4において太い一点鎖線で示してある。)とを備えている。これらの各部は、本体ユニット2の側に搭載されており、駆動側プーリ16a、16bは紙幣搬送路10の下流端側に配置され、従動側プーリ17a、17bは発光素子11a〜13aの下流側に配置されている。本例では、従動側プーリ17a、17bの下流側に、左右一対のガイドプーリ19a、19b(図にはプーリ19aのみを示す。)が配置されている。
【0022】
また、搬送機構は、開閉ユニット4の側に搭載されている3組の左右一対の押圧ローラ20a、20b、21a、21bおよび22a、22bを備えている。これらは、上下方向にスライド可能、かつ、回転自在の状態で開閉ユニット4に搭載されており、それぞれ、搬送ベルト18a、18bの上から、駆動側プーリ16a、16b、従動側プーリ17a、17b、およびガイドプーリ19a、19bにばね力によって押圧されている。
【0023】
さらに、搬送機構は、本体ユニット2における凹部3の側方の部位に内蔵されている駆動モータ23を備えている。この駆動モータ23の回転力が、ウォーム歯車およびハスバ歯車を備えた減速歯車列24を介して、駆動側プーリ16a、16bに伝達されるようになっている。
【0024】
入口センサ9a、9bによって紙幣が紙幣挿入口7から挿入されたことを検出すると、搬送機構が駆動され、挿入された紙幣Pが紙幣挿入路8から紙幣搬送路10に送り込まれる。紙幣搬送路10に沿って搬送される紙幣Pは、その光透過パターンが3組の透過型ホトセンサ11〜13によって読み取られ、その磁気パターンが磁気ヘッド14によって読み取られる。読み取られた紙幣情報に基づき紙幣Pの種類および真偽の識別が行われる。受け入れ可能な紙幣Pであると識別された場合には、紙幣搬送路10の下流端の紙幣排出口10aから不図示の紙幣収納部に紙幣が送り込まれる。受け入れ不可の紙幣、あるいは偽札であると識別された場合には、そのような紙幣は逆送りして、紙幣挿入口7から排出される。
【0025】
紙幣Pが紙幣搬送路10に詰まった場合、紙幣搬送機構の保守点検作業を行う場合などにおいては開閉ユニット4が開けて、紙幣搬送路10を開放状態にする。すなわち、本体ユニット2の側の左右一対の搬送ベルト18a、18bの上から駆動側プーリ16a、16bおよびガイドプーリ19a、19bに押圧されている押圧ローラ20a、20b、22a、22bが搬送ベルト18a、18bから離れ、これらの間に規定される紙幣搬送路10が開放状態になる。
【0026】
(ホトセンサ取り付け構造)
図6は図5における一点鎖線Cで囲んである部分を拡大して示す部分拡大断面図である。図4〜図6を参照してホトセンサ11〜13の取り付け構造を説明する。
【0027】
まず、開閉ユニット4は、上方に開口している矩形のユニットケース41と、このユニットケース41の開口を封鎖している板状のケースカバー42を備えている。ユニットケース41の底板部分43には基板支持部44が形成されており、基板支持部44に対峙しているケースカバー42の側の部位には基板押え45が形成されている。これら基板支持部44および基板押え45の間に回路基板46(発光側回路基板)が保持されている。回路基板46には発光素子11a〜13aが直接に搭載されている。これらの発光素子11a〜13aの発光面には、ユニットケース41の底板部分43に開けた円形開口部43a〜43cが対峙しており、発光素子11a〜13aからの射出光が各円形開口部43a〜43cから射出される。
【0028】
本体ユニット2は、図4〜6に示すように、ユニットケース31と、この下側開口を封鎖しているシャーシ32とを備えており、これらの内部には、回路基板33(受光側回路基板)がシャーシ32とほぼ平行に配置されている。ユニットケース31は凹部3が形成されている表面板部分34を備えており、この表面板部分34の裏面から下方に垂直に延びている左右の内側の側板部分35、36の下端面に回路基板33が取り付けられている。また、表面板部分34における発光素子11a〜13aに対峙している部位の裏面側には、受光素子保持部材50によって保持された受光素子11b〜13bが配置されている。
【0029】
受光素子保持部材50は、図6に示すように、紙幣識別機1の幅方向に延びるベース板部分51と、このベース板部分51から垂直に起立している3つの円筒部52〜54と、ベース板部分51の両端から上方に折れ曲がって延びている取り付け用フランジ55、56とを備えている。左右の取り付け用フランジ55、56は、ユニットケース31の表面板部分34の裏面に固定ネジ57、58によって固定されている。
【0030】
3つの円筒部52〜54の先端部分には受光素子11b〜13bの取り付け座52a〜54aがそれぞれ形成されており、これらに受光素子11b〜13bが上向きに接着固定されている。各受光素子11b〜13bから引き出されているそれぞれ3本ずつのリード端子11c〜13cは、それぞれ、取り付け座52a〜54aに形成した貫通穴を通って回路基板33の位置まで引き出されている。これらのリード端子11c〜13cの下端は回路基板表面に沿って延びる複数本の可撓性のリード線33aにそれぞれ接続されており、リード線33aの先端は半田付けなどによって回路基板表面の配線パターン(図示せず)に接続されている。
【0031】
ここで、受光素子保持部材50によって保持されている受光素子11b〜13bの受光面は、センサカバー60によって覆われている。センサカバー60は、各受光素子11b〜13bを覆っている円錐台状のカバー本体部分61〜63と、これらのカバー本体部分61〜63を連結している連結板部分64、65を備えている。本例では、図4に示すように、紙幣搬送機構を構成している本体ユニット2の側の部品を取り付けるための取り付け部材66に、センサカバー60が一体形成されている。この取り付け部材66は、複数本の固定ネジ67によって本体ユニット2の表面板部分34の裏面に固定されている。
【0032】
本体ユニット2の表面板部分34には、図6に示すように、開閉ユニット側の円形開口部43a〜43cに対峙する部位に円形開口部34a〜34cが形成されている。各カバー本体部分61〜63の円形先端面61a〜63aは、裏面側からこれらの円形開口部34a〜34cに装着されており、これら円形先端面61a〜63aは円形開口部34a〜34cの表面側の端面と同一平面上に位置している。
【0033】
このように、本例の紙幣識別機1においては、受光素子11b〜13bの側に配置されている寸法の大きな回路基板33には受光素子11b〜13bが直接搭載されておらず、本体ユニット2のユニットケース31に固定された受光素子保持部材50に固定され、それらの位置決めが行われている。また、各受光素子11b〜13bから引き出されているリード端子11c〜13cの下端は、可撓性のリード線33aを介して回路基板33に電気的に接続されている。
【0034】
受光素子11b〜13bが回路基板33に直接に搭載されておらず、また、受光素子11b〜13bと回路基板33は相対移動可能な状態で電気的に接続されているので、回路基板33に反り、変形が発生していても、それに起因して、受光素子11b〜13bに位置ズレが生ずることが無い。また、回路基板33が変形しても、可撓性のリード線33aによって変形が吸収されるので、受光素子11b〜13bの側に変形による不要な応力が作用することもない。
【0035】
なお、本例では、発光素子11a〜13aが搭載されている回路基板46は小さな寸法のものであり、実用上において、その反り、変形に起因する発光素子11a〜13aの位置ズレは無視し得るものである。しかしながら、発光素子11a〜13aも、受光素子11b〜13bと同様に、保持部材によって保持し、発光素子11a〜13aと回路基板46の間を、相対移動可能な状態で電気的に接続することも可能である。
【0036】
また、発光素子あるいは受光素子と回路基板の間の電気的な接続は、可撓性のあるリード線、フレキシブル基板、コネクタを用いて形成することができる。
【0037】
なお、本例は透過型ホトセンサを用いた紙幣識別機に関するものである。反射型ホトセンサを用いた場合にも本発明を同様に適用できる。反射型ホトセンサを用いた場合には、搬送路の一方の側に発光素子および受光素子が配置されるので、これらを素子保持部材によって保持し、これらと回路基板の間を相対移動可能な状態で電気的に接続すればよい。
【0038】
[実施の形態2]
図7は実施の形態2に係る紙幣識別機におけるホトセンサ配置部分の横断面図である。図8は図7のD−D線で切断した部分を示す部分断面図であり、(a)は紙幣が通過していない状態を示す説明図であり、(b)は紙幣通過時の状態を示す説明図であり、(c)はその説明図である。本例の紙幣識別機100の基本構成は図1〜6に示す紙幣識別機1と同様であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略するものとする。
【0039】
本例の紙幣識別機100では、透過型ホトセンサ11〜13による検出位置において、発光素子側のスライド式センサカバー70と受光素子側の固定側センサカバー60の間に挟みこんだ状態で紙幣Pを搬送させるように構成されている。
【0040】
すなわち、発光素子11a〜13aの発光面がスライド式センサカバー70によって覆われており、このスライド式センサカバー70は、下側が封鎖された円筒状のカバー本体部分71〜73と、これらのカバー本体部分71〜73を連結している連結板部分74、75とを備えている。各カバー本体部分71〜73は、開閉ユニット4のユニットケース41の底板部分43に開けた円形開口部43a〜43cの内周面にそって上下方向に移動可能な状態で、ユニットケース41に保持されている。また、連結板部分74、75と、回路基板46のとの間にはコイルバネ76、77が装着されており、スライド式センサカバー70は全体として発光素子11a〜13aの発光面から離れる方向に付勢されている。
【0041】
円形開口部43a〜43cに対峙している本体ユニット2の側の表面板部分34は円形開口部34a〜34cが形成されており、ここには、受光素子側の固定側センサカバー60のカバー本体部分61〜63の円形先端面61a〜63aが露出している。したがって、スライド式センサカバー70のカバー本体部分71〜73の先端面71a〜73aは、バネ力によってセンサカバー60の側の円形先端面61a〜63aに押し付けられた状態となっている。
【0042】
本例では、図8(c)に示すように、スライド式センサカバー70の平坦な円形の先端面71a〜73aは、その外周縁部分がテーパ面71b〜73bとされている。同様に、固定側センサカバー60の平坦な円形先端面61a〜63aも、その外周縁部分がテーパ面61b〜63bとされている。
【0043】
本例の紙幣識別機100において、紙幣Pが挿入される前においては、図8(a)に示すように、スライド式センサカバー70の先端面71a〜73aが固定側センサカバー60の円形先端面61a〜63aにバネ力によって押し付けられている。
【0044】
紙幣Pが紙幣挿入口7から挿入され紙幣挿入路8に沿って内部に案内され、紙幣搬送路10に沿って搬送されると、当該紙幣Pの先端がスライド式センサカバー70の先端面71a〜73aと、固定側センサカバー60の円形先端面61a〜63aに横方向から当る。スライド式センサカバー70を付勢しているコイルバネのばね力は、搬送される紙幣Pによってスライド式センサカバー70を押し上げ可能な強さに調節されている。また、双方の円形先端面61a〜63aと先端面71a〜73aの外周縁部分はテーパ面61b〜63b、71b〜73bとされており、紙幣Pがこれらの間を円滑に導入されるようになっている。
【0045】
したがって、紙幣Pは、スライド式センサカバー70を押し上げて、これらのセンサカバー70、60の間を通って搬送される。これらのセンサカバー70、60の間を通過する紙幣Pの部分は、ばね力によって平坦な円形先端面61a〜63a、先端面71a〜73aの間に挟まれた状態で搬送される。したがって、紙幣Pの通過位置が固定側のセンサカバー60の円形先端面61a〜63aによって規定される。また、紙幣Pに折り目、皺などが付いていた場合には、ばね力によって平坦に伸ばされた状態で通過する。
【0046】
この結果、発光素子11a〜13aから紙幣Pまでの距離、および紙幣Pから受光素子11b〜13bまでの距離が一定に保持される。よって、透過型ホトセンサ11〜13による識別精度を高めることができる。また、双方のセンサカバーの円形先端面61a〜63aおよび先端面71a〜73aは紙幣Pによってクリーニングされるので、異物などが除去されるという効果も得られる。
【0047】
なお、本例では、発光素子側のセンサカバーをスライド式とし、受光素子側のセンサカバーを固定している。これとは逆に発光素子側のセンサカバーを固定し、受光素子側のセンサカバーをスライド式とすることも可能である。
【0048】
また、本例は透過型ホトセンサを用いた紙幣識別機に関するものである。反射型ホトセンサを用いた場合にも本発明を同様に適用できる。反射型ホトセンサを用いた場合には、搬送路の同一の側に発光素子および受光素子が配置されるので、例えば、搬送路の一方の側に発光素子および受光素子の固定側センサカバーを配置し、他方の側にスライド式のガイド板を対向配置し、バネ力によってガイド板をセンサカバーの側に押し付けるようにすればよい。
【0049】
(その他の実施の形態)
上記の各例は紙幣識別機に関するものであるが、本発明は、チケット、クーポン券など紙幣以外の紙葉類を識別するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1に係る紙幣識別機の斜視図である。
【図2】開閉ユニットを開けた状態の紙幣識別機の斜視図である。
【図3】紙幣識別機の平面図である。
【図4】図3のA−A線で切断した部分を示す紙幣識別機の概略縦断面図である。
【図5】図3のB−B線で切断した部分を示す紙幣識別機の概略横断面図である。
【図6】図5の一点鎖線Cで囲まれた部分の拡大部分断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る紙幣識別機におけるホトセンサ配置部分を示す概略横断面図である。
【図8】図7のD−D線で切断した部分を示す部分断面図であり、(a)は紙幣が通過していない状態を示す説明図であり、(b)は紙幣通過時の状態を示す説明図であり、(c)はその部分説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 紙幣識別機
2 本体ユニット
3 凹部
4 開閉ユニット
4A 閉じ位置
4B 全開位置
5a、5b 支軸
6a、6b 係合レバー
6c、6d 係合溝
7 紙幣挿入口
8 紙幣挿入路
9a、9b 入口センサ
91 検出レバー
10 紙幣搬送路
10a 紙幣排出口
11〜13 透過型ホトセンサ
11a〜13a 発光素子
11b〜13b 受光素子
11c〜13c リード端子
14 磁気ヘッド
15 押圧ローラ
16a、16b 駆動側プーリ
17a、17b 従動側プーリ
18a、18b 搬送ベルト
19a、19b ガイドプーリ
20a、20b、21a、21b、22a、22b 押圧ローラ
23 駆動モータ
24 減速歯車列
31 ユニットケース
32 シャーシ
33 回路基板
33a リード線
34 表面板部分
34a〜34c 円形開口部
35、36 側板部分
41 ユニットケース
42 ケースカバー
43 底板部分
43a〜43c 円形開口部
44 基板支持部
45 基板押え
46 回路基板
50 受光素子保持部材
51 ベース板部分
52〜54 円筒部
52a〜54a 取り付け座
55、56 取り付け用フランジ
57、58 固定ネジ
60 センサカバー
61 カバー本体部分
61a〜63a 円形先端面
61b〜63b テーパ面
64、65 連結板部分
66 取り付け部材
67 固定ネジ
70 スライド式センサカバー
71〜73 カバー本体部分
71a〜73a 先端面
71b〜73b テーパ面
74、75 連結板部分
76、77 コイルバネ
P 紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送するための搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類の光学的情報を読み取るためのホトセンサと、
このホトセンサが搭載される回路基板と、
前記ホトセンサを定まった位置に保持しているセンサ保持部材と、
前記ホトセンサおよび前記回路基板の間を相対移動可能な状態で電気的に接続している接続部材とを有していることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項2】
請求項1において、
前記ホトセンサは、前記搬送路を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備えた透過型ホトセンサであり、
前記回路基板として、前記搬送路を挟み、前記発光素子の側に配置された発光側回路基板と、前記受光素子の側に配置された受光側回路基板とを備えており、
前記センサ保持部材として、前記発光素子を保持している発光素子保持部材と、前記受光素子を保持している受光素子保持部材とを備えており、
前記接続部材として、前記発光素子および前記発光側回路基板を電気的に接続している発光側接続部材と、前記受光素子および前記受光側回路基板を電気的に接続している受光側接続部材とを備えていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項3】
請求項1において、
前記ホトセンサの発光面および/または受光面を覆っており、前記搬送路に直交する方向に移動可能なセンサカバーと、
前記搬送路を挟み、前記センサカバーに対峙した定位置に配置されているガイド板と、
前記センサカバーを前記ガイド板に付勢している付勢部材とを有し、
紙葉類は、前記センサカバーによって前記ガイド板に押し付けられながら、これらの間を通って搬送されることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項4】
請求項3において、
前記ホトセンサは、前記搬送路を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備えた透過型ホトセンサであり、
前記センサカバーは、前記発光素子の発光面を覆う発光側センサカバーであり、
前記ガイド板は、前記受光素子の受光面を覆う受光側センサカバーであることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項5】
請求項4において、
前記センサカバーの表面は、平坦面と、この平坦面における紙葉類搬送方向の前後の端部に形成されたテーパ面とを備えており、
前記ガイド板の表面は、前記平坦面に面接触可能な平坦面と、この平坦面における紙葉類搬送方向の前後の端に形成されたテーパ面とを備えていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項6】
紙葉類を搬送するための搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類の光学的情報を読み取るためのホトセンサと、
このホトセンサの発光面および/または受光面を覆っており、前記搬送路に直交する方向に移動可能なセンサカバーと、
前記搬送路を挟み、前記センサカバーに対峙した定位置に配置されているガイド板と、
前記センサカバーを前記ガイド板に付勢している付勢部材とを有し、
紙葉類は、前記センサカバーによって前記ガイド板に押し付けられながら、これらの間を通って搬送されることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項7】
請求項6において、
前記ホトセンサは、前記搬送路を挟み、対向配置された発光素子および受光素子を備えた透過型ホトセンサであり、
前記センサカバーは、前記発光素子の発光面を覆う発光側センサカバーであり、
前記ガイド板は、前記受光素子の受光面を覆う受光側センサカバーであることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項8】
請求項7において、
前記センサカバーの表面は、平坦面と、この平坦面における紙葉類搬送方向の前後の端部に形成されたテーパ面とを備えており、
前記ガイド板の表面は、前記平坦面に面接触可能な平坦面と、この平坦面における紙葉類搬送方向の前後の端に形成されたテーパ面とを備えていることを特徴とする紙葉類識別機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−77455(P2008−77455A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256711(P2006−256711)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】