説明

紙葉類識別機

【課題】紙幣識別機における開閉ユニットを開閉可能に支持している軸支機構を少ない部品点数で簡単な構造にすること。
【解決手段】紙幣識別機1は、本体ユニット2の凹部3に収納された開閉ユニット4を備え、開閉ユニット4は開閉可能であり、全開位置4Bにおいて本体ユニット2から取り外し可能である。開閉ユニット4の軸支機構では、開閉ユニット4の左右に形成した支軸43、44が、本体ユニット2の凹部3の左右の側板部分31、32に形成した軸穴33、34に対して、当該側板部分を外方に撓めることにより差し込まれている。軸穴33、34に連続する部位および支軸43、44の先端面にそれぞれ支軸案内面36〜39、傾斜面43a、44aが形成され、開閉ユニット4を全開位置まで開くと、その取り外し方向における支軸43、44の差し込み量が少なくなり、支軸43、44を小さな力で簡単に軸穴33、34から外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技台用台間機、自動販売機、発券機などに搭載される紙幣識別機などの紙葉類識別機に関し、特に、その本体ユニットに開閉可能に取り付けられている開閉ユニットを開くと、紙葉類が搬送される搬送路が開放状態になる紙葉類識別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技店などにおける遊技台の間には、遊技台で用いるパチンコ玉などの遊技媒体を貸し出すための遊技台用台間機が配置されている。遊技台用台間機には、一般に、挿入された紙幣を識別して、対応する金額の遊技媒体の貸し出しを行うことが出来るように、紙幣識別機が搭載されている。紙幣識別機は例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
紙幣識別機においては、内部に詰まった紙幣などを取り出す作業が必要になる場合がある。また、長期使用の間に、紙幣挿入口などを介して外部から侵入した埃が、内部の紙幣搬送路部分、紙幣搬送機構の構成部品(ローラ、ベルト等)に付着して堆積する。したがって、定期的に、あるいは必要に応じて保守点検、クリーニング作業が必要である。このような作業を簡単に行うことができるようにするために、紙幣識別機では、その本体ユニットに開閉ユニットが開閉可能な状態で取り付けられ、本体ユニットと開閉ユニットの間に紙幣搬送路が形成され、開閉ユニットを開くと紙幣搬送路が開放される構造が採用されている。
【特許文献1】特開2000−285274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような開閉型の紙幣識別機では、開閉ユニットの両側面に形成した左右の支軸が、本体ユニットに形成されている左右の軸穴に差し込まれており、支軸を中心として開閉ユニットが開閉可能となっている。この場合、一方の軸穴には半径方向に貫通した支軸挿入部を形成しておき、支軸を支軸挿入部を通して軸穴に挿入した後に、固定部材によって支軸挿入部を封鎖して支軸が外れないようにしている。このような軸支機構では、軸穴に支軸挿入部を形成し、この支軸挿入部を封鎖するための固定部材が必要である。
【0005】
一方、開閉型の紙幣識別機では、開閉ユニットを閉じ状態にロックするためのロック機構が配置されている。ロック機構は、開閉ユニットの側にスライド可能に取り付けたロックレバーと本体ユニットの側に形成したロック溝から構成されており、ロックレバーはばね部材によって常にロック溝に差し込まれたロック位置に保持されるようになっている。ロックレバーをばね力に逆らってロック溝から抜く方向にスライドさせることによりロックが解除され、開閉ユニットを開けることが可能になる。
【0006】
このような従来のロック機構においては、ロックレバーおよびばね部材が必要であり、また、ロックレバーをスライド可能な状態で支持する支持構造を開閉ユニットあるいは本体ユニットに形成しておく必要がある。
【0007】
本発明の課題は、紙葉類識別機における開閉ユニットを開閉可能に支持している軸支機構を少ない部品点数で簡単な構造にすることである。
【0008】
また、本発明の課題は、紙葉類識別機における開閉ユニットを閉じ状態にロックするためのロック機構を少ない部品点数で簡単な構造にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、本体ユニットに、軸支機構を介して、開閉ユニットが開閉可能に取り付けられており、当該開閉ユニットを開けると、これらのユニットの間に形成されている紙葉類の搬送路が開放状態になる紙葉類識別装置において、
前記軸支機構は、軸穴と、この軸穴に回転可能な状態で差し込まれている支軸とを備えており、
前記軸穴は、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットの一方における側面に形成されており、
前記支軸は、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットの他方における前記側面に対峙する対峙側面から突出する状態に形成されており、
前記側面および前記対峙側面の一方あるいは双方を、相互に離れる方向に弾性変位させることにより、前記支軸を前記軸穴に対して着脱できることを特徴としている。
【0010】
本発明の紙葉類識別機における開閉ユニットの軸支機構では、支軸あるいは軸穴が形成されている部分を弾性変形させることにより、支軸が軸穴に差し込まれた構造となっている。軸穴に対する支軸の差し込み量は、これらが形成されている部分が元の状態に弾性復帰することにより確保されるので、支軸が軸穴から外れることがない。よって、軸支機構を少ない部品点数で簡単に構成することができる。
【0011】
ここで、本発明では、前記本体ユニットは、閉じた状態の前記開閉ユニットが収容される装置前後方向に延びる凹部と、この凹部の左右の内側面にそれぞれ形成された前記軸穴と、前記支軸を前記軸穴に案内するために、各内側面において前記凹部の開口縁から前記軸穴の縁部分にまで延びている支軸案内面とを備えており、前記開閉ユニットは、前記凹部の各内側面に一定の間隔で対峙している左右の外側面と、これらの外側面からそれぞれ突出している前記支軸とを備えており、前記支軸案内面は、前記軸穴の縁部分から前記凹部の開口縁に向けて横方に徐々に広がっていることを特徴としている。
【0012】
開閉ユニットの左右の外側側面から突出している左右の支軸を、本体ユニットの凹部の左右の内側側面に形成されている軸穴側案内面に沿って当該凹部の深さ方向に押し込むと、当該軸穴案内面が一時的に左右に広がる方向に撓み、左右の支軸を左右の軸穴に差し込むことができる。軸穴案内面を形成しておくことにより、支軸を軸穴に差し込む操作を簡単に行うことができ、また、支軸を軸穴に差し込む際に本体ユニットおよび開閉ユニットに無理な応力が生ずることもない。
【0013】
また、本発明では、前記開閉ユニットの前記支軸の先端面における少なくとも前記凹部の深さ方向の下側部分には、下方に向けて内側に後退している傾斜面が形成されており、前記開閉ユニットを前記支軸を中心として所定角度だけ回転すると、前記傾斜面が前記支軸案内面に対峙する角度位置に到り、前記軸穴に対する前記支軸の差し込み量が、前記凹部の開口縁側の部分において減少することを特徴としている。
【0014】
支軸の先端面にも案内面を形成しておくことにより、支軸を軸穴に差し込む操作を、無理な応力を発生させることなく簡単に行うことができる。
【0015】
また、開閉ユニットを所定角度だけ回転するまで開くと、凹部の開口側における支軸の軸穴への差し込み量が少なくなる。したがって、この状態のままで開閉ユニットを凹部から引き上げると、支軸と軸穴の引掛かり量が僅かであるので、小さな操作力で簡単に開閉ユニットを本体ユニットから外すことができる。
【0016】
次に、本発明の紙葉類識別機は、
前記開閉ユニットを閉じ位置に保持するためのロック機構を有しており、
このロック機構は、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットの一方に形成したロック溝と、これらのユニットの他方に形成され、前記ロック溝に差し込まれているロックレバーとを備えており、
前記ロックレバーは、前記本体ユニットあるいは前記開閉ユニットの構成部品の一部に一体形成され、前記ロック溝に差し込まれたロック位置から、当該ロック溝から引き抜かれたアンロック位置まで弾性変形可能であることを特徴としている。
【0017】
ロックレバーが、本体ユニットあるいは開閉ユニットの構成部品の一部に一体形成されており、しかも、当該ロックレバーを弾性変形させてロック位置およびアンロック位置に移動させるようにしているので、ロックレバーをスライド可能に支持するためのスライド機構、ロックレバーをロック位置に付勢するためのばね部材などが不要となり、部品点数の少ない簡単な構造のロック機構を実現できる。
【0018】
ここで、前記本体ユニットに装置前後方向に延びる凹部が形成され、ここに、前記開閉ユニットが収納されるようになっている場合には、前記凹部の左右の内側面に前記ロック溝を形成し、前記開閉ユニットにおける前記内側面に対峙している左右の外側面から、前記ロックレバーの先端部分を外方に突出させて各ロック溝に差し込まれた構成とすればよい。
【0019】
また、前記開閉ユニットが板状のユニットカバーを備えている場合には、このユニットカバーに前記ロックレバーを一体形成すればよい。
【0020】
さらに、前記凹部の左右の内側面に、前記ロックレバーの先端を前記ロック溝に案内するための傾斜案内面を形成しておけば、開いている開閉ユニットを閉じてロック状態にする操作を小さな力で円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の紙葉類識別機では、軸穴および支軸が形成されている部分を弾性変形させることにより支軸が軸穴から外れないように差し込まれた軸支機構が構成されている。したがって、部品点数が少なく、構造が簡単な軸支機構を実現できる。
【0022】
また、本発明では、軸穴に連続する部位および支軸の先端面にそれぞれ案内面を形成し、開閉ユニットを所定角度回転させると、開閉ユニットの取り外し方向における軸穴に対する支軸の差し込み量が少なくなるように構成されている。この構成によれば、支軸を小さな力で簡単に軸穴から外すことができるので、本体ユニットに対する開閉ユニットの取り外し作業を小さな力で簡単に行うことができ、本体ユニットおよび開閉ユニットに無理な応力が発生することもないという効果が得られる。
【0023】
次に、本発明では、開閉ユニットを閉じ状態にロックするためのロック機構に、ロック位置およびアンロック位置に弾性変形可能なロックレバーを用いるようにしている。ロックレバーをスライドさせる場合に比べて部品点数が少なく簡単な構造のロック機構を実現できる。
【0024】
特に、弾性変形可能なロックレバーを、開閉ユニットにおける板状のユニットカバーに一体形成した場合には、部品点数が少なく極めて簡単な構造のロック機構を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙幣識別機の実施の形態を説明する。
【0026】
(全体構成)
図1は本発明を適用した紙幣識別機を示す斜視図であり、図2はその平面図であり、図3はその概略断面図である。紙幣識別機1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2に形成された装置前後方向に延びている凹部3に収納されている開閉ユニット4とを有している。開閉ユニット4は、図3に示すように、後述の軸支機構を介して本体ユニット2に軸支されており、その後端部を中心として、凹部3の収納された閉じ位置4Aと180度開いた全開位置4Bの間で開閉可能であり、全開位置4Bにおいて本体ユニット2から取り外し可能である。また、開閉ユニット4は、その前端部に形成した後述のロック機構によって、閉じ位置4Aにロックされている。
【0027】
紙幣識別機1の本体ユニット2の前面には紙幣挿入口5が形成されており、この紙幣挿入口5は、本体ユニット2の前端部の内部に形成されている紙幣挿入路6を介して、本体ユニット2と開閉ユニット4の間に形成されている紙幣搬送路7に通じている。紙幣搬送路7の後端は紙幣排出口7aとなっており、ここから排出された紙幣Pは不図示の紙幣収納部に収納される。
【0028】
紙幣挿入路6には、紙幣Pの挿入を検出するために左右一対のホトセンサ8、9が配置されている。紙幣搬送路7の上流側の部位には、当該紙幣搬送路7に沿って搬送される紙幣Pの光学的特徴である光透過パターンを検出するための3組の透過型ホトセンサ11、12、13が幅方向に等間隔で配置されている。これらの透過型ホトセンサ11〜13の発光素子11a〜13aは開閉ユニット4に搭載され、受光素子11b〜13bは本体ユニット2に搭載されている。これらの設置位置よりも下流側の紙幣搬送路7の部分には紙幣Pの磁気特性を検出するための磁気ヘッド14が配置されている。磁気ヘッド14は本体ユニット2に搭載されており、この磁気ヘッド14の検出面に紙幣Pを押し付けるための押圧ローラ15が開閉ユニット4に搭載されている。
【0029】
紙幣Pを紙幣搬送路7に沿って搬送するための搬送機構はベルト・プーリ式のものであり、本体ユニット2に搭載された左右一対の駆動側プーリ16a、16b、これらの駆動側プーリ16a、16bに対峙している左右一対の押圧ローラ17a、17b、左右一対のガイドプーリ18a、18b、左右一対の従動側プーリ19a、19b、および、駆動側プーリ16a、16bと従動側プーリ19a、19bに架け渡した左右一対の搬送ベルト20a、20bを備えている。また、開閉ユニット4に搭載された2組の左右一対の押圧ローラ21a、21b、および、22a、22bとを備えている。押圧ローラ21a、21b、22a、22bは、それぞれ、搬送ベルト20a、20bの上からガイドプーリ18a、18bおよび従動側プーリ19a、19bに押圧されており、搬送ベルト20a、20bの移動に伴って連れ回りする。
【0030】
ホトセンサ8、9によって紙幣が紙幣挿入口5から挿入されたことを検出すると、搬送機構が駆動され、挿入された紙幣Pが紙幣挿入路6から紙幣搬送路7に送り込まれる。紙幣搬送路7に沿って搬送される紙幣Pは、その光透過パターンが3組の透過型ホトセンサ11〜13によって読み取られ、その磁気パターンが磁気ヘッド14によって読み取られる。読み取られた紙幣情報に基づき紙幣Pの種類および真偽の識別が行われる。受け入れ可能な紙幣Pであると識別された場合には、紙幣搬送路7の下流端の紙幣排出口7aから不図示の紙幣収納部に紙幣が送り込まれる。受け入れ不可の紙幣、あるいは偽札であると識別された場合には、そのような紙幣は逆送りされ、紙幣挿入口5から排出される。
【0031】
紙幣Pが紙幣搬送路7に詰まった場合、紙幣搬送機構の保守点検作業を行う場合などにおいては開閉ユニット4が開けられる。後述のようにロック機構を解除して開閉ユニット4を開くと、紙幣搬送路7が開放状態になる。すなわち、本体ユニット2の側の左右一対の搬送ベルト20a、20bを介してガイドプーリ18a、18bおよび従動側プーリ19a、19bに押圧されている押圧ローラ21a、21b、22a、22bが搬送ベルト20a、20bから離れ、これらの間に規定される紙幣搬送路7が開放状態になる。
【0032】
(開閉ユニットの軸支機構)
図4は、開閉ユニット4を全開位置4Bまで開いた状態および、その全開位置4Bから開閉ユニット4を本体ユニット2から取り外した状態を示す説明図である。この図に示すように、開閉ユニット4は本体ユニット2に対して開閉可能および着脱可能な状態で取り付けられている。
【0033】
図5は外した開閉ユニット4を再び本体ユニット2に取り付ける場合の取り付け方向を示す説明図である。開閉ユニット4を本体ユニット2に取り付ける場合には、開閉ユニット4を閉じ位置4Aと同一の姿勢とし、本体ユニット2の凹部3の上方から凹部3に押し込む。この結果、開閉ユニット4が再び本体ユニット2に開閉可能に取り付けられた状態が形成される。
【0034】
図6は、本体ユニット2に対して開閉ユニット4を開閉可能および着脱可能な状態で取り付けるための軸支機構を示す説明図であり、図7は軸支機構の断面図である。
【0035】
本例の軸支機構は、本体ユニット2の凹部3における左右の内側面31a、32aに形成した円形の軸穴33、34と、開閉ユニット4の左右の外側面41a、42aから外方に突出する状態に形成された円筒状の支軸43、44とを備えている。軸穴33には支軸43が回転可能な状態で差し込まれており、軸穴34には支軸44が回転可能な状態で差し込まれている。
【0036】
詳細に説明すると、本体ユニット2はプラスチック製のユニットケース35を備えており、このユニットケース35には凹部3が一体形成されている。凹部3の左右の側板部分31、32における内側面31a、32aの後端部には円形の軸穴33、34が形成されている。これらの軸穴33、34における凹部開口縁3a側の半円形の縁部分は、上方に向けて左右に後退している支軸案内面36、37(図においては支軸案内面37のみを示す。)上に位置している。また、これらの支軸案内面36、37の上端縁には、これらよりも大きな角度で横方に後退している支軸案内面38、39(図においては支軸案内面39のみを示す。)が連続しており、これらの支軸案内面38、39の上端縁がユニットケース35の上面35aに繋がっている。
【0037】
開閉ユニット4は、プラスチック製のユニットケース45と、ここに取り付けたプラスチック製の板状のケースカバー46を備えている。ユニットケース45における左右の側板部分41、42の外側面41a、42aの後端部からは、円筒状の支軸43、44が側方に突出している。これらの支軸43、44の根元部分を取り囲む状態に円環状突起47、48(図においては円環状突起48のみを示す。)が形成されており、これらの表面が本体ユニット2の内側面31a、32aとの当接面とされている。支軸43、44の先端部の下半部分は、下方(凹部3の深さ方向)に向けて内側に傾斜した傾斜面43a、44aとなっている。
【0038】
なお、本体ユニット2の凹部3における左右の内側面31a、32aの下端縁部分には一定の高さの支持枠部分31b、32b(図においては支持枠部分32bのみを示す。)が形成されており、これらの上面に、開閉ユニット4の左右の側板部分41、42の下端縁が着座するようになっている。
【0039】
開閉ユニット4を本体ユニット2に取り付ける場合には、図6(c)に示すように、本体ユニット2の凹部3の上方において、開閉ユニット4の支軸43、44を本体ユニット2の支軸案内面38、39に位置決めする。この状態で支軸43、44を支軸案内面38、39に上側から押し付けて下方に押し込む。支軸案内面38、39が形成されているユニットケース45の側板部分41、42はプラスチック製であり横方に弾性変形可能である。支軸43、44を押し込むと、側板部分41、42が横方に撓み、支軸43、44が支軸案内面38、39から下側の支軸案内面36、37に案内される。更に、これらの支軸案内面36、37に沿って支軸43、44が案内されて軸穴33、34に差し込まれた状態が形成される。
【0040】
図7(a)に示すように、支軸43、44が軸穴33、34に差し込まれると、横方に撓んでいた側板部分41、42が弾性復帰して元の位置に戻る。この結果、支軸43、44の軸穴33、34に対する差し込み量が確保される。よって、開閉ユニット4を開閉しても、支軸43、44が軸穴33、34から外れることが無い。また、支軸43、44の先端に形成した傾斜面43a、44aが、支軸案内面38、39から支軸案内面36、37に案内されるので、支軸43、44の差し込み操作を比較的小さな力で円滑に行うことができ、側板部分31、32、41、42に損傷を与えることが無い。
【0041】
次に、開閉ユニット4を本体ユニット2から取り外す場合には、図4に示すように、まず、開閉ユニット4を全開位置4Bまで開ける。この状態では、図7(b)に示すように、軸穴33、34の支軸案内面36、37に、支軸43、44の先端の傾斜面43a、44aが対峙した角度位置関係になる。この状態においては、支軸案内面36、37と、傾斜面43a、44aとが、相互に離れる方向に傾斜しているので、支軸43、44の軸穴33、34に対する差し込み量が少ない。したがって、この状態において開閉ユニット4を凹部3から引き上げると、小さな力で支軸43、44を軸穴33、34から外すことができる。この結果、開閉ユニット4を外す際に、側板部分31、32、41、42に無理な応力が発生して、これらの部分に損傷を与えることも無い。
【0042】
このように、本例の軸支機構では、本体ユニット2の側板部分31、32の撓みを利用して、それらに形成した軸穴33、34に、開閉ユニット4の側の支軸43、44を差し込むようにしている。したがって、軸穴に支軸を半径方向から差し込むための支軸挿入部を開けておき、支軸を挿入した後に固定部材を取り付けて支軸が外れないようにしていた従来の軸支機構に比べて、構造が簡単になり、部品点数も少なくて済む。
【0043】
また、支軸43、44の着脱も小さな力で簡単に行うことができ、着脱時に、本体ユニット2あるいは開閉ユニット4に無理な応力が作用することがなく、また、これらに傷が付くことも無い。
【0044】
なお、本例では支軸43、44を開閉ユニット4の側に形成し、軸穴33、34を本体ユニット2の側に形成してある。この代わりに、支軸43、44を本体ユニット2の側に形成し、軸穴33、34を開閉ユニット4の側に形成することもできる。
【0045】
(開閉ユニットのロック機構)
図8(a)はロック機構が組み込まれている開閉ユニット4の前端部を示す部分斜視図であり、図8(b)はそのb−b線で切断した部分を示す横断面図である。
【0046】
先に述べたように、開閉ユニット4はプラスチック製のユニットケース45とケースカバー46を備えている。ユニットケース45は本体ユニット2の凹部3に対応する矩形の底板部分45aと、この底板部分45aの四周縁から直角に起立している左右の側板部分41、42および前後の端板部分49、50(図5参照)とを備えている。ケースカバー46はユニットケース45の開口側を覆う状態に当該ユニットケース45に取り付けられている。
【0047】
ユニットケース45には、左右の側板部分41、42の前端側の部位において横方向に架け渡された仕切り板部分51が形成されている。この仕切り板部分51と前側の端板部分49の間に位置しているケースカバー46の前端部分は、他のケースカバー46の部分と同一面上に位置している中央板部分52と、この中央板部分52の左右から下方に折れ曲がっている傾斜板部分53、54と、これら傾斜板部分53、54の下端からユニットケース45の底板部分45aに沿って左右に延びているロックレバー部分55、56とを備えている。
【0048】
左右のロックレバー部分55、56の先端部分55a、56aは、左右の側板部分41、42に形成した貫通穴57、58を貫通して横方に突出している。また、これらの貫通穴57、58に対峙している本体ユニット2の側板部分31、32の部位には、ロックレバー部分55、56の先端部分55a、56aを差し込み可能なロック溝61、62が形成されている。これらのロック溝61、62に、先端部分55a、56aが差し込まれている。これら左右のロックレバー部分55、56とロック溝61、62によってロック機構が構成されている。
【0049】
ここで、ロックレバー部分55、56の根元側の傾斜板部分53、54の内側には、透過型ホトセンサ11〜13の支持枠の左右の側面64、65が位置している。これらの側面64、65は底板部分45aに直交する方向に延びている。したがって、傾斜板部分53、54は、側面64、65に当る位置まで内側に撓めることが可能である。傾斜板部分53、54を内側に撓めると、傾斜板部分53、54から左右に延びているロックレバー部分55、56が内方に移動して、それらの先端部分55a、56aが本体ユニット2側のロック溝61、62から内方に引き抜かれて外れる。この結果、ロック機構が解除され、開閉ユニット4を開けることが可能になる。
【0050】
また、貫通穴57、58が形成されている左右の側板部分41、42の部位の断面形状は、貫通穴57、58に向かうに連れて厚くなっている。したがって、貫通穴57、58は、内側に撓めたロックレバー部分55、56の先端部分55a、56aが内方に外れることの無いように、十分な長さを備えている。よって、アンロック時にロックレバー部分55、56の先端部分55a、56aが貫通穴57、58から内側に外れることが無い。
【0051】
次に、本体ユニット2の側板部分31、32におけるロック溝61、62が形成されている部分には、傾斜案内面66、67が形成されている。これらの傾斜案内面66、67は、ロック溝61、62から凹部3の開口縁側に向けて横方に広がる方向に傾斜しており、それらの上端縁が本体ユニット2のユニットケース35の上面35aに繋がっている。したがって、開いた状態の開閉ユニット4を閉じ位置に押し込む際には、左右のロックレバー部分の先端部分55a、56aが左右の傾斜案内面66、67によって案内されながら徐々に内方に押し込まれる。よって、開閉ユニット4を閉じ状態に押し込み、その位置にロックする操作を、小さな力で円滑に行うことができる。また、その際に、側板部分31、32、ロックレバー部分55、56に無理な応力が作用せず、これらの部位を損傷することもない。
【0052】
このように、本例のロック機構では、開閉ユニット4のケースカバー46に左右のロックレバー部分55、56を一体形成してある。したがって、ロックレバーを別部材として製作する必要がない。また、ロックレバー部分55、56はケースカバー46の弾性変形を利用してロック位置およびアンロック位置に移動させるようにしている。したがって、ロックレバーをスライド可能に支持して、ばね部材などをロック位置に付勢していた従来のロック機構に比べて、構造が簡単になり、部品点数も少なくて済む。
【0053】
なお、本例では、開閉ユニット4の側にロックレバー部分を形成し、本体ユニット2の側にロック溝を形成してある。開閉ユニット4の側にロック溝を形成し、本体ユニット2のユニットケース35にロックレバー部分を一体形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した紙幣識別機の斜視図である。
【図2】紙幣識別機の平面図である。
【図3】紙幣識別機の概略断面図である。
【図4】紙幣識別機の開閉ユニットを開いて取り外す動作を示す説明図である。
【図5】紙幣識別機の開閉ユニットを本体ユニットに取り付ける動作を示す説明図である。
【図6】紙幣識別機の開閉ユニットの軸支機構を示す図であり、(a)は支軸の側を示す説明図、(b)は軸穴の側を示す説明図、および、(c)はそれらの断面図である。
【図7】支軸が軸穴に差し込まれている状態を示す部分断面図であり、(a)は開閉ユニットが閉じ位置にある状態を示し、(b)は開閉ユニットが全開位置にある状態を示す。
【図8】紙幣識別機の開閉ユニットのロック機構を示す図であり、(a)は紙幣識別機の前端部分の部分斜視図であり、(b)はそのb−b線で切断した部分の断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 紙幣識別機
2 本体ユニット
3 凹部
3b 底板部分
4 開閉ユニット
5 紙幣挿入口
6 紙幣挿入路
7 紙幣搬送路
8、9 ホトセンサ
11〜13 透過型ホトセンサ
14 磁気ヘッド
15 押圧ローラ
16a、16b 駆動側プーリ
17a、17b 押圧ローラ
18a、18b ガイドプーリ
19a、19b 従動側プーリ
20a、20b 搬送ベルト
21a、21b、22a、22b 押圧ローラ
31、32 側板部分
31a、32a 内側面
31b、32b 支持枠部分
33、34 軸穴
35 ユニットケース
35a 上面
36、37、38、39 支軸案内面
41、42 側板部分
41a、42a 外側面
43、44 支軸
43a、44a 傾斜面
45 ユニットケース
45a 底板部分
46 ケースカバー
47、48 円環状突起
49、50 端板部分
51 仕切り板部分
52 中央板部分
53、54 傾斜板部分
55、56 ロックレバー部分
55a、56a 先端部分
57、58 貫通穴
61、62 ロック溝
64、65 側面
66、67 傾斜案内面
P 紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットに、軸支機構を介して、開閉ユニットが開閉可能に取り付けられており、当該開閉ユニットを開けると、これらのユニットの間に形成されている紙葉類の搬送路が開放状態になる紙葉類識別機において、
前記軸支機構は、軸穴と、この軸穴に回転可能な状態で差し込まれている支軸とを備えており、
前記軸穴は、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットの一方における側面に形成されており、
前記支軸は、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットの他方における前記側面に対峙する対峙側面から突出する状態に形成されており、
前記側面および前記対峙側面の一方あるいは双方を、相互に離れる方向に弾性変位させることにより、前記支軸を前記軸穴に対して着脱できることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項2】
請求項1において、
前記本体ユニットは、閉じた状態の前記開閉ユニットが収容される装置前後方向に延びる凹部と、この凹部の左右の内側面にそれぞれ形成された前記軸穴と、前記支軸を前記軸穴に案内するために、各内側面において前記凹部の開口縁から前記軸穴の縁部分にまで延びている支軸案内面とを備えており、
前記開閉ユニットは、前記凹部の各内側面に一定の間隔で対峙している左右の外側面と、これらの外側面からそれぞれ突出している前記支軸とを備えており、
前記支軸案内面は、前記軸穴の縁部分から前記凹部の開口縁に向けて横方に徐々に広がっていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項3】
請求項2において、
前記開閉ユニットの前記支軸の先端面における少なくとも前記凹部の深さ方向の下側部分には、下方に向けて内側に後退している傾斜面が形成されており、
前記開閉ユニットを前記支軸を中心として所定角度だけ回転すると、前記傾斜面が前記支軸案内面に対峙する角度位置に到り、前記軸穴に対する前記支軸の差し込み量が、前記凹部の開口縁側の部分において減少することを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項4】
請求項1において、
前記開閉ユニットを閉じ位置に保持するためのロック機構を有しており、
このロック機構は、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットの一方に形成したロック溝と、これらのユニットの他方に形成され、前記ロック溝に差し込まれているロックレバーとを備えており、
前記ロックレバーは、前記本体ユニットあるいは前記開閉ユニットの構成部品の一部に一体形成され、前記ロック溝に差し込まれたロック位置から、当該ロック溝から引き抜かれたアンロック位置まで弾性変形可能であることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項5】
請求項4において、
前記本体ユニットは装置前後方向に延びる凹部を備え、
前記開閉ユニットは閉じ状態において前記凹部に収納されており、
前記凹部の左右の内側面には、前記ロック溝が形成されており、
前記開閉ユニットにおける前記内側面に対峙している左右の外側面からは、前記ロックレバーの先端部分が外方に突出して各ロック溝に差し込まれていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項6】
請求項5において、
前記開閉ユニットは板状のユニットカバーを備えており、
このユニットカバーに前記ロックレバーが一体形成されていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項7】
請求項6において、
前記凹部の左右の内側面には前記ロックレバーの先端を前記ロック溝に案内するための傾斜案内面が形成されていることを特徴とする紙葉類識別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−77457(P2008−77457A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256713(P2006−256713)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】