説明

紙葉類識別機

【課題】ベルト・プーリ式の搬送機構を備えた紙幣識別機の搬送ベルトを簡単に交換可能にすること。
【解決手段】紙幣識別機1の搬送機構は、駆動プーリ21a、21b、従動プーリ22a〜24a、22b〜24b、これらのプーリに架け渡されている搬送ベルト25a、25bとを備えたカートリッジ式搬送ユニット40を備えている。本体ユニット2には、当該カートリッジ式搬送ユニット40を取り外し可能な状態で装着できる搬送ユニット装着部50が形成されている。開閉ユニット4を開くと、固定ねじ46a、46bが露出するので、これを外せば、カートリッジ式搬送ユニット40を本体ユニット2の後端から後方に引き出して外すことができる。新たなカートリッジ式搬送ユニット40を搬送ユニット装着部50に挿入し、固定ねじ46a、46bで本体ユニット2に固定して、搬送ベルトの交換作業が終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト・プーリ式の搬送機構を用いて識別対象の紙幣などの紙葉類を搬送路に沿って搬送する紙葉類識別機に関し、特に、ベルト・プーリ式の搬送機構におけるベルト交換作業を簡単に行うことのできる紙葉類識別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技店などにおける遊技台の間には、遊技台で用いるパチンコ玉などの遊技媒体を貸し出すための遊技台用台間機が配置されている。遊技台用台間機には、挿入された紙幣を識別して遊技媒体の貸し出しを行うことが出来るように、紙幣識別機が搭載されている。紙幣識別機としては、ベルト・プーリ式の搬送機構を用いて、挿入された紙幣を搬送路に沿って搬送し、搬送路上に配置されている透過型あるいは反射型のホトセンサを用いて紙幣の光学的情報を読み取り、これに基づき挿入された紙幣の真偽などを識別するものが知られている。
【0003】
ベルト・プーリ式の搬送機構を備えた紙幣識別機では、経時変化により搬送ベルトが劣化すると紙幣搬送能力が低下するので、ベルト交換が定期的に行われる。ベルト交換作業においては搬送機構の機械部分の分解、組立に多くの工数が必要である。また、正規製造ライン以外で分解、組立が行われるので、組立不良などを招くおそれがある。
【0004】
特許文献1においては、搬送ベルトの交換を簡単に行うことができるようにするために、搬送ベルトが取り付けられている紙幣識別装置の部分を開閉式としている。この部分を開くと、搬送ベルトが紙幣識別装置から露出状態になるので、搬送機構を紙幣識別装置かから取り外す作業、搬送ベルト交換後に再び取り付ける作業が不要となり、搬送ベルトの交換作業が簡単になる。
【特許文献1】特開平8−7148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の機構では、紙幣識別装置から搬送機構を取り外すことなく搬送ベルトの交換を行うことができる。しかしながら、紙幣識別装置に搬送機構が組付けられた状態のままで搬送ベルトの交換作業を行う必要がある。このため、作業場所を選ぶことができず、また、紙幣識別装置の搬送機構の部位を搬送ベルトの交換作業に適した姿勢に変更することもできないので、作業が極めて不便な場合がある。さらに、搬送ベルト交換後におけるベルト張り具合の検査、調整なども同様の理由により不便な場合がある。さらには、搬送ベルト交換時の分解作業中に取り外した部品の紛失、破損などのおそれもある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、搬送ベルトの交換作業を簡単に行うことができ、交換作業中の部品の紛失、破損、交換後の搬送ベルトの張力調整作業が不要な紙葉類識別機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の紙葉類識別機は、識別機ケース内に形成された搬送路に沿って紙葉類を搬送するためのベルト・プーリ式の搬送ユニットと、前記識別機ケースに形成した搬送ユニット装着部とを有し、前記搬送ユニットは、前記搬送ユニット装着部に着脱可能な状態で装着されているカートリッジ式搬送ユニットであり、当該搬送ユニットは、少なくとも、駆動プーリ、従動プーリおよび、これらに架け渡されている搬送ベルトを備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明では、搬送ベルトが取り付けられている部分を、カートリッジ式搬送ユニットとして、識別機ケースに対して着脱可能としてある。したがって、搬送ベルトの交換時には、当該カートリッジ式搬送ユニットを取り外して、新しいカートリッジ式搬送ユニットを装着するだけでよい。
【0009】
ここで、本発明では、前記搬送ユニットは、前記駆動プーリおよび前記従動プーリが取り付けられているユニットベースを備え、このユニットベースは、前記駆動プーリおよび前記従動プーリが着脱可能および回転可能な状態で装着される軸受け用の溝を備え、前記識別機ケースの前記搬送ユニット装着部は、当該搬送ユニット装着部に装着された前記搬送ユニットの各溝内から前記駆動プーリおよび前記従動プーリが抜け出ないように保持するための保持部を備えていることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、搬送ユニット装着部から取り外したカートリッジ式搬送ユニットから、簡単に、駆動プーリおよび従動プーリを外すことができる。換言すると、これらに架け渡されている交換対象の搬送ベルトを簡単に取り外すことができる。したがって、搬送ベルトのみを交換し、ユニットベース、駆動プーリおよび従動プーリを再利用することも極めて簡単である。
【0011】
また、本発明では、前記搬送ユニットは、前記駆動プーリが同軸状態に固定されている駆動軸と、この駆動軸の一方の軸端部に同軸状態に固定されている着脱側歯車とを備えており、前記識別機ケースは、前記搬送ユニット装着部に装着された前記搬送ユニットの前記着脱側歯車に噛み合う位置に配置されている固定側歯車と、この固定側歯車を回転駆動するための搬送用モータとを備えていることを特徴としている。
【0012】
カートリッジ式搬送ユニットを搬送ユニット装着部に装着すると、識別機ケース側の搬送用モータから、搬送ユニット側の駆動プーリに対する駆動力伝達経路が形成された状態になる。よって、搬送ベルトの交換作業が簡単になる。
【0013】
さらに、本発明では、前記搬送ユニットは、前記搬送路の一部を形成しているユニットベースを備えていることを特徴としている。
【0014】
次に、本発明では、前記搬送ユニットは、ねじ挿入穴を備えたユニットベースを備えており、前記識別機ケースは、装着された前記搬送ユニットの前記ねじ挿入穴に対峙する部位に形成したねじ穴を備えており、前記搬送ユニット装着部に装着された前記搬送ユニットは、固定ねじによって前記識別機ケースに固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の紙葉類識別機では、紙葉類を搬送路に沿って搬送するための搬送機構における搬送ベルトが取り付けられている部分を、カートリッジ式搬送ユニットとしてある。したがって、搬送ベルトの交換時においては、搬送ユニットを識別機ケースから取り外し、新たなカートリッジ式搬送ユニットを装着するだけでよい。よって、本発明によれば、搬送ベルトの交換作業を簡単かつ効率良く行うことができ、また、搬送機構の組立・調整の工数も大幅に削減できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙幣識別機の実施の形態を説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は本発明を適用した紙幣識別機を示す平面図であり、図2は開閉ユニットを開けた状態での紙幣識別機の斜視図である。
【0018】
紙幣識別機1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2の表面に形成された装置前後方向に延びている凹部3に収納されている開閉ユニット4と、本体ユニット2の紙幣挿入口側の前端部に取り付けられている挿入口蓋ユニット5とを有している。開閉ユニット4は、その後端部両側に形成した支軸6a、6bを中心として、凹部3に収納された閉じ位置から所定の角度の範囲で開閉可能である。また、開閉ユニット4の前端部の両側に形成した係合レバー7a、7bが、本体ユニット2に形成された係合溝7c、7dに差し込まれており、これにより開閉ユニット4が閉じ位置にロックされている。左右の係合レバー7a、7bを内方に引き込むことにより、係合レバー7a、7bが係合溝7c、7dから外れて開閉ユニット4を開けることが可能になる。
【0019】
図3は紙幣識別機1の内部構成を示す説明図であり、図4は本体ユニット2の平面図である。これらの図も参照して紙幣識別機1の内部構成を説明する。
【0020】
紙幣識別機1の本体ユニット2の前面には紙幣挿入口8が形成されており、この紙幣挿入口8は、本体ユニット2の前端部と挿入口蓋ユニット5との間に形成されている紙幣挿入路9を介して、本体ユニット2と開閉ユニット4の間に形成されている紙幣搬送路10に通じている。紙幣搬送路10の後端は紙幣排出口10aとなっており、ここから排出された紙幣は不図示の紙幣収納部に収納される。
【0021】
紙幣挿入路9に続く紙幣搬送路10の上流側の部位には、本体ユニット2の側に、紙幣の挿入を検出するために左右一対の入口センサ9a、9bが配置されている。入口センサ9a、9bとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。これらの入口センサ9a、9bの下流側には、紙幣搬送路10に出没可能なシャッタ片20aを備えたシャッタ機構20が本体ユニット2の側に配置されている。
【0022】
シャッタ片20aの下流側の紙幣搬送路10の部位には、当該紙幣搬送路10を搬送される紙幣の光学的特徴である光透過パターンを検出するための4組の透過型ホトセンサ11〜14が幅方向に配置されている。これらの透過型ホトセンサ11〜14の発光素子11a〜14aは開閉ユニット4に搭載され、受光素子11b〜14bは本体ユニット2に搭載されている。これらの設置位置よりも下流側の紙幣搬送路10の部分には紙幣の磁気特性を検出するための磁気ヘッド15が配置されている。磁気ヘッド15は本体ユニット2に搭載されており、この磁気ヘッド15の検出面に紙幣を押し付けるための押圧ローラ16が開閉ユニット4に搭載されている。
【0023】
紙幣排出口10aの近傍における本体ユニット2の側には、排出される紙幣を検出するために左右一対の出口センサ17a、17bが配置されている。これら出口センサとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。
【0024】
紙幣を紙幣搬送路10に沿って搬送するための搬送機構はベルト・プーリ式のものであり、左右一対の駆動プーリ21a、21bと、左右三対の従動プーリ22a、22b、23a、23b、24a、24bと、これら駆動プーリ21aおよび従動プーリ22a〜24aの間、および駆動プーリ21bおよび従動プーリ22b〜24bの間にそれぞれ張架した左右一対の搬送ベルト25a、25bとを備えている。これらの各部は、本体ユニット2の側に搭載されており、駆動プーリ21a、21bは紙幣搬送路10の下流端側に配置され、従動プーリ22a、22b、23a、23bは、駆動プーリ21a、21bと磁気ヘッド15の間に配置されており、従動プーリ24a、24bは、発光素子11a〜14aの上流側に配置されている。
【0025】
また、搬送機構は、開閉ユニット4の側に搭載されている4組の左右一対の押圧ローラ31a、31b、32a、32b、33a、33bおよび34a、34bを備えている。これらは、上下方向にスライド可能、かつ、回転自在の状態で開閉ユニット4に搭載されており、それぞれ、搬送ベルト25a、25bの上から、駆動プーリ21a、21b、従動プーリ22a、22b、23a、23bおよび24a、24bにばね力によって押圧されている。
【0026】
さらに、搬送機構は、図4に示すように、本体ユニット2における凹部3の側方の部位に内蔵されている搬送用モータ26を備えている。この搬送用モータ26の回転力が、ウォーム歯車27aおよびウォームホイール27bを備えた減速歯車列27および駆動軸28を介して、駆動プーリ21a、21bに伝達されるようになっている。
【0027】
入口センサ9a、9bによって紙幣が紙幣挿入口8から挿入されたことを検出すると、搬送機構が駆動され、挿入された紙幣が紙幣挿入路9から紙幣搬送路10に送り込まれる。紙幣搬送路10に沿って搬送される紙幣は、その光透過パターンが4組の透過型ホトセンサ11〜14によって読み取られ、その磁気パターンが磁気ヘッド15によって読み取られる。読み取られた紙幣情報に基づき紙幣の種類および真偽の識別が行われる。受け入れ可能な紙幣であると識別された場合には、紙幣搬送路10の下流端の紙幣排出口10aから不図示の紙幣収納部に紙幣が送り込まれる。受け入れ不可の紙幣、あるいは偽札であると識別された場合には、そのような紙幣は逆送りして、紙幣挿入口8から返却される。
【0028】
紙幣が紙幣搬送路10に詰まった場合、紙幣搬送機構の保守点検作業を行う場合などにおいては開閉ユニット4を開けて、紙幣搬送路10を開放状態にする。すなわち、本体ユニット2の側の左右一対の搬送ベルト25a、25bの上から駆動プーリ21a、21bおよび従動プーリ22a〜24a、22b〜24bに押圧されている押圧ローラ31a、31b、32a〜34a、32b〜34bが搬送ベルト25a、25bから離れ、これらの間に規定される紙幣搬送路10が開放状態になる。
【0029】
(搬送機構のカートリッジ式搬送ユニット)
本例の搬送機構では、その本体ユニット2の側に搭載されている部品がユニット化され、本体ユニット2に取り外し可能な状態で装着されているカートリッジ式搬送ユニットとなっている。図5は紙幣識別機に対するカートリッジ式搬送ユニットの着脱方向を示す斜視図であり、図6(a)、(b)および(c)は、カートリッジ式搬送ユニットの平面図、左側面図および右側面図である。
【0030】
図4、図5および図6を参照して説明すると、カートリッジ式搬送ユニット40は、例えばプラスチック成形品からなるユニットベース41を備えており、このユニットベース41には、一定の間隔で前後方向に平行に延びている一対のプーリ取付部42、43と、これらプーリ取付部42、43の後端側の部位を連結しているガイド板部分44とが形成されている。プーリ取付部42には、駆動プーリ21aおよび従動プーリ22a〜24aが取り付けられ、これらに搬送ベルト25aが張架されている。他方のプーリ取付部43には、駆動プーリ21bおよび従動プーリ22b〜24bが取り付けられており、これらに搬送ベルト25bが張架されている。
【0031】
ガイド板部分44の裏面には、駆動プーリ21a、21bを貫通して駆動軸28が延びており、ガイド板部分44の一方の側面から突出している駆動軸28の一方の軸端部にはウォームホイール(着脱側歯車)27bが同軸状態に固定されている。また、ガイド板部分44の裏面には、出口センサ17aおよび17bが取り付けられている。
【0032】
本体ユニット2の側には、その後端面からカートリッジ式搬送ユニット40を前方に向けて差し込み可能な搬送ユニット装着部50が形成されている。搬送ユニット装着部50は、カートリッジ式搬送ユニット40の左右のプーリ取付部42、43が挿入される一対の細長い挿入溝52、53と、カートリッジ式搬送ユニット40のガイド板部分44が挿入される挿入部54とを備えている。これら挿入溝52、53および挿入部54は、本体ユニット2における紙幣搬送路10の一方のガイド面を規定しているガイド板部分55を切り欠くことにより形成されたものである。
【0033】
カートリッジ式搬送ユニット40を搬送ユニット装着部50に装着すると、カートリッジ式搬送ユニット40のガイド板部分44によって、紙幣搬送路10の排出口側のガイド面部分が規定される。また、カートリッジ式搬送ユニット40のウォームホイール(着脱側歯車)27bが、本体ユニット2の側の減速歯車列27のウォーム歯車(固定側歯車)27aに噛み合った状態になる。この結果、搬送用モータ26から駆動プーリ21a、21bへの動力伝達経路が形成される。
【0034】
ここで、カートリッジ式搬送ユニット40のガイド板部分44には、プーリ取付部42、43の外側の部位に、ねじ挿入穴45a、45bが形成されている。これらのねじ挿入穴45a、45bに対峙する本体ユニット2の部位にはねじ穴56a、56b(図2参照)が形成されている。カートリッジ式搬送ユニット40は搬送ユニット装着部50に挿入された後に、固定ねじ46a、46b(図4参照)によって、本体ユニット2の側に固定されている。なお、カートリッジ式搬送ユニット40を本体ユニット2の側に固定するための構造としては、スナップフィット式の嵌め込み構造、その他の構造を採用することができ、固定ねじに限定されるものではない。
【0035】
図7は、駆動プーリおよび従動プーリの取付状態を示す説明図である。この図を参照して、プーリの構造およびプーリ取付部に対する取付状態を説明する。
【0036】
まず、駆動プーリ21a、21bおよび従動プーリ22a、22b、23a、23b、24a、24bは同一構造および同一大きさのものである。従動プーリ22aを例に挙げて説明すると、このプーリ22aは、円形外周面が凹凸状になっているプーリ本体211と、この中心を貫通して延びる十文字状断面の中心穴212と、プーリ本体の両端面から側方に突出している軸端部213、214と、プーリ本体211の一方の端面側に形成されている円盤状のフランジ215とを備えている。軸端部213、214は、円形外周面を備えた4個の突出片によって規定されている。
【0037】
この構造の従動プーリ22aは、カートリッジ式搬送ユニット40のプーリ取付部42に上側から着脱可能な状態で装着されている。プーリ取付部42は上方に開口している一定幅の溝形断面をしており、左右の側板部分42a、42bには、従動プーリ22aの軸端部213,214を上から着脱可能かつ回転可能な状態で受け入れる円弧溝42c、42dが形成されている。駆動プーリ21aおよび、残りの従動プーリ23a、24aも同様にプーリ取付部42に着脱可能な状態で上から装着されている。他方の駆動プーリ21b、従動プーリ22b〜24bも同様にプーリ取付部43に取り付けられている。
【0038】
ここで、本体ユニット2の搬送ユニット装着部50における挿入溝52、53は、図4から分かるように、各プーリ21a〜24a、21b〜24bが位置する部位が狭い幅となっている。カートリッジ式搬送ユニット40を装着した状態においては、当該狭い溝幅の部分を規定しているガイド板部分55の部位(保持部)によって、各プーリの軸端部が円弧溝42c、42dから上方に抜け出ないように、円弧溝42c、42dの上端開口が封鎖された状態となっている。
【0039】
また、図7に示すように、駆動プーリ21aおよび従動プーリ22a〜24aは、フランジ215が交互に反対側の端に位置するように配置されている。これにより、これらに架け渡した搬送ベルト25aが横方向に外れることが防止されている。他方の駆動プーリ21bおよび従動プーリ22b〜24bにおいても同様な配列状態とされている。フランジ215を各プーリの両端に形成しておけばよいが、射出成形によりプーリを成形する場合には、両端に大径のフランジが付いている場合には成形金型から抜くことができない。あるいは、成形金型が複雑な形状になってしまう。本例の形状のプーリは、簡単に射出成形することができ、また、それらを交互に逆向きに配列することにより、搬送ベルトの外れも防止できる。
【0040】
(本実施の形態の作用効果)
本実施の形態に係る紙幣識別機1では、交換が定期的に必要になる搬送ベルト25a、25bが取り付けられている部分を、本体ユニット2に対して着脱可能なカートリッジ式搬送ユニット40として構成してある。搬送ベルト25a、25bの交換時には、開閉ユニット4を開き、露出した固定ねじ46a、46bを外し、しかる後に、カートリッジ式搬送ユニット40を本体ユニット2から後方に引き出して本体ユニット2から外す。この後、新たなカートリッジ式搬送ユニット40を挿入して再び固定ねじ46a、46bで本体ユニット2に固定すればよい。よって、交換作業が簡単になる。また、張力調整などが行われた後のカートリッジ式搬送ユニット40を装着すればよいので、組み付け後の調整作業なども不要になる。さらに、固定ねじ46a、46bのみを取り外せばよいので、取り外した部品の紛失、破損のおそれも少ない。
【0041】
さらには、取り外したカートリッジ式搬送ユニット40では、各プーリをユニットベース41のプーリ取付部43、44の円弧溝42c、42dから上方に取り外し可能である。したがって、取り外した後のカートリッジ式搬送ユニット40において、摩耗した搬送ベルト25a、25bを外して、新品の搬送ベルトに交換する作業も簡単に行うことができる。
【0042】
(その他の実施の形態)
上記の例は本発明を紙幣識別機に適用したものであるが、本発明は、チケット、クーポン券などの紙幣以外の紙葉類を識別するための紙葉類識別機としても用いることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用した紙幣識別機の平面図である。
【図2】開閉ユニットを開いた状態の紙幣識別機の斜視図である。
【図3】紙幣識別機の内部構成を示す説明図である。
【図4】紙幣識別機の本体ユニットの平面図である。
【図5】カートリッジ式搬送ユニットの着脱方向を示す説明図である。
【図6】カートリッジ式搬送ユニットの平面図および左右の側面図である。
【図7】カートリッジ式搬送ユニットのプーリの形状と取付状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 紙幣識別機
2 本体ユニット
3 凹部
4 開閉ユニット
5 挿入口蓋ユニット
6a、6b 支軸
7a、7b 係合レバー
7c、7d 係合溝
8 紙幣挿入口
9 紙幣挿入路
9a、9b 入口センサ
10 紙幣搬送路
10a 紙幣排出口
11〜14 透過型ホトセンサ
11a〜14a 発光素子
11b〜14b 受光素子
15 磁気ヘッド
16 押圧ローラ
17a、17b 出口センサ
20 シャッタ機構
20a シャッタ片
21a、21b 駆動プーリ
22a〜24a、22b〜24b 従動プーリ
25a、25b 搬送ベルト
26 搬送用モータ
27 減速歯車列
27a ウォーム歯車
27b ウォームホイール
28 駆動軸
31a〜34a、31b〜34b 押圧ローラ
40 カートリッジ式搬送ユニット
41 ユニットベース
42、43 プーリ取付部
42a、42b 側板部分
42c、42d 円弧溝
44 ガイド板部分
45a、45b ねじ挿入穴
46a、46b 固定ねじ
50 搬送ユニット装着部
52、53 挿入溝
54 挿入部
55 ガイド板部分
56a、56b ねじ穴
211 プーリ本体
212 中心穴
213、214 軸端部
215 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別機ケース内に形成された搬送路に沿って紙葉類を搬送するためのベルト・プーリ式の搬送ユニットと、
前記識別機ケースに形成した搬送ユニット装着部とを有し、
前記搬送ユニットは、前記搬送ユニット装着部に着脱可能な状態で装着されているカートリッジ式搬送ユニットであり、
当該搬送ユニットは、少なくとも、駆動プーリ、従動プーリおよび、これらに架け渡されている搬送ベルトを備えていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類識別機において、
前記搬送ユニットは、前記駆動プーリおよび前記従動プーリが取り付けられているユニットベースを備えており、
このユニットベースは、前記駆動プーリおよび前記従動プーリが着脱可能および回転可能な状態で装着される軸受け用の溝を備えており、
前記識別機ケースの前記搬送ユニット装着部は、当該搬送ユニット装着部に装着された前記搬送ユニットの各溝内から前記駆動プーリおよび前記従動プーリが抜け出ないように保持するための保持部を備えていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の紙葉類識別機において、
前記搬送ユニットは、前記駆動プーリが同軸状態に固定されている駆動軸と、この駆動軸の一方の軸端部に同軸状態に固定されている着脱側歯車とを備えており、
前記識別機ケースは、前記搬送ユニット装着部に装着された前記搬送ユニットの前記着脱側歯車に噛み合う位置に配置されている固定側歯車と、この固定側歯車を回転駆動するための搬送用モータとを備えていることを特徴とする紙葉類識別機。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の紙葉類識別機において、
前記搬送ユニットは、前記搬送路の一部を形成しているユニットベースを備えていることを特徴とする紙葉類識別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−42946(P2009−42946A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205998(P2007−205998)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】