説明

紙葉類識別装置

【課題】透過型ホトセンサを用いた紙幣識別装置において、走査ライン数よりも少ない個数の発光素子を用いて識別を行うことができ、発光素子および受光素子の位置ずれに起因する検出精度の低下も起きないようにすること。
【解決手段】紙幣識別装置1の透過型ホトセンサ11は、開閉ユニットに搭載されている3個の発光素子11a、12a、13aと本体ユニット2に搭載されている4個の受光素子11b〜14bとを備えている。紙幣搬送路10の中央に配置されている発光素子12aの射出光は光拡散機能を有するLEDカバー62によって拡散し、当該LEDカバーの先端面62aが均一に発光し、2個の受光素子12b、13bの受光領域を包含する搬送路部分を均一に照明する。よって、ここを通る紙幣Pが均一に照明され、受光素子12b、13bから精度良く紙幣Pの光学的情報が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣、商品券、クーポン券などの各種の紙葉類の種類、真偽を識別するために、透過型ホトセンサを用いて紙葉類に担持されている光学的情報を読み取る紙葉類識別装置に関する。さらに詳しくは、透過型ホトセンサの発光素子の数を削減でき、しかも、発光素子と受光素子の位置ずれに起因する識別精度の低下も発生しないようにした紙葉類識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型ホトセンサを備えた紙葉類識別装置、例えば、紙幣識別装置は、遊技店における遊技台の間に配置されている遊技台用台間機に搭載されている。遊技台用台間機は、遊技台で用いるパチンコ玉などの遊技媒体を貸し出すためのものであり、紙幣識別装置によって挿入された紙幣を識別して遊技媒体の貸し出し処理を行うことが出来るようになっている。紙幣識別装置では、搬送路に沿って送り込まれる紙幣に透過型ホトセンサの発光素子からの射出光を当て、紙幣からの透過光を受光素子で受け、受光量の変化(光学的情報)に基づき紙幣の真偽、種類を識別している。
【0003】
一般的に、紙幣の長辺方向に延びる複数の走査ラインに沿って紙幣の光学的情報を読み込み、これらに基づき識別が行われる。このため、搬送路上における各走査ラインに対応する位置に、発光素子および受光素子が対向配置される。特許文献1には、3本の走査ラインに対応して3組の発光素子および受光素子が配置された紙幣識別装置が開示されている。
【0004】
一方、紙幣識別装置では、搬送路に詰まった紙幣の取り出し作業などを簡単に行うことができるように、本体ユニットと、ここに開閉可能に取り付けた開閉ユニットとの間に搬送路が形成され、開閉ユニットを開くと、搬送路が開放状態に切り替わる構成のものが知られている。特許文献2には、このような開閉式の紙幣識別装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−187291号公報
【特許文献2】特開2007−94807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているように、従来の紙幣識別装置では、紙幣の光学的情報を読み取るための走査ライン数に対応する個数の発光素子および受光素子を配置する必要がある。また、特許文献2に開示されているように開閉式の搬送路を備えた紙幣識別装置では、発光素子および受光素子の一方が開閉ユニットに搭載され、他方が本体ユニットに搭載されるので、開閉ユニットの取り付け誤差などに起因して発光素子と受光素子の位置がずれ、受光素子の受光量が変動して検出精度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、走査ライン数よりも少ない個数の発光素子を用いて識別を行うことができ、発光素子および受光素子の位置ずれに起因する検出精度の低下も発生しないようにできる紙葉類識別装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の紙葉類識別装置は、
紙葉類を搬送するための搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類に担持されている光学的情報を読み取るための透過型ホトセンサと、
この透過型ホトセンサによって読み取られた光学的情報に基づき紙葉類の識別を行う識別手段とを有し、
前記透過型ホトセンサは、
1個または複数個の発光素子と、
前記搬送路を挟み前記発光素子に対向配置されている当該発光素子よりも多い個数の受光素子と、
前記発光素子および前記受光素子の間において、前記発光素子の側に配置されている発光側カバーおよび前記受光素子の側に配置されている受光側カバーとを備えており、
前記発光側カバーは、前記発光素子からの射出光を拡散して、各受光素子の受光領域を包含する領域を均一に照明するための光拡散板であることを特徴としている。
【0008】
本発明では、発光素子からの射出光が光拡散板である発光側カバーによって均一な照明光とされる。また、この照明光によって各受光素子の受光領域を包含する搬送路部分の領域が照明される。したがって、発光素子の個数を、紙葉類の光学的情報を読み取るための走査ライン数に対応した個数にする必要がなく、それよりも少ない個数にできる。例えば、走査ラインが2本の場合に、発光素子を1個とし、受光素子のみを各走査ラインに対応した位置に2個配置すればよい。
【0009】
また、光拡散板によって所定の広さの均一照明光が形成されるので、発光素子と受光素子を精度良く対向配置しておく必要がない。換言すると、これらの間の位置決め精度が検出精度の低下につながることがない。したがって、本発明の紙葉類識別装置は開閉式の搬送路を備えた紙葉類識別装置に用いるのに適している。
【0010】
すなわち、本発明は、本体ユニットと、この本体ユニットに開閉可能に取り付けた開閉ユニットとを有し、前記搬送路は、これら本体ユニットおよび開閉ユニットの間に形成されており、当該開閉ユニットを開くと開放状態になり、前記透過型ホトセンサにおける前記発光素子および前記発光側カバーは、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットのいずれか一方のユニットに搭載されており、前記受光素子および前記受光側カバーは他方のユニットに搭載されている構成の紙葉類識別装置に適用するのに適している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紙葉類識別装置では、搬送路を介して発光素子および受光素子を対向配置すると共に、発光素子の射出光を当該発光素子を覆っている発光側カバーによって拡散させて一定の広がりのある均一な照明光とし、当該照明光によって、複数の受光素子の受光領域を包含する搬送路部分を照明するようにしている。
【0012】
したがって、本発明によれば、発光素子を受光素子の数に対応させることなく、少ない個数にすることができる。よって、紙葉類識別装置の小型・コンパクト化および低コスト化に有利である。
【0013】
また、発光素子および受光素子を精度良く位置決めする必要がないので、これらの組み付け作業が簡単になる。特に、本発明を開閉式の搬送路を備えた紙葉類識別装置に適用すれば、開閉式の搬送路を介して対向配置される発光素子および受光素子の間を精度良く位置決めしておく必要がなくなるので、組み付け作業などが簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した紙葉類識別装置の実施の形態を説明する。
【0015】
(全体構成)
図1は本実施の形態に係る紙幣識別装置の斜視図であり、開閉ユニットを開けた状態を示してある。図2および図3は、それぞれ紙幣識別装置の平面図および概略断面図である。
【0016】
これらの図を参照して説明すると、紙幣識別装置1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2の表面に形成された装置前後方向に延びている凹部3に収納されている開閉ユニット4と、本体ユニット2の紙幣挿入口側の前端部に取り付けられている挿入口蓋ユニット5とを有している。開閉ユニット4は、その後端部両側に形成した支軸6a、6bを中心として、凹部3に収納された閉じ位置から所定の角度の範囲で開閉可能である。また、開閉ユニット4の前端部の両側に形成した係合レバー7a、7bが、本体ユニット2に形成された係合溝7c、7dに差し込まれており、これにより開閉ユニット4が閉じ位置にロックされている。左右の係合レバー7a、7bを内方に引き込むことにより、係合レバー7a、7bが係合溝7c、7dから外れて開閉ユニット4を開けることが可能になる。
【0017】
紙幣識別装置1の本体ユニット2の前面には紙幣挿入口8が形成されている。この紙幣挿入口8は、本体ユニット2の前端部と挿入口蓋ユニット5との間に形成されている紙幣挿入路9を介して、本体ユニット2と開閉ユニット4の間に形成されている紙幣搬送路10に通じている。紙幣搬送路10の後端は紙幣排出口10aとなっており、ここから排出された紙幣は不図示の紙幣収納部に収納される。また、本体ユニット2には制御基板40Aが搭載されている。
【0018】
紙幣挿入路9に続く紙幣搬送路10の上流側の部位には、本体ユニット2の側に、紙幣の挿入を検出するために左右一対の入口センサ9a、9bが配置されている。入口センサ9a、9bとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。これらの入口センサ9a、9bの下流側には、ソレノイド式の紙幣引き抜き防止機構20が本体ユニット2の側に組み込まれており、この紙幣引き抜き防止機構20は、紙幣搬送路10に出没して当該紙幣搬送路10を封鎖状態および開放状態に切り換えるシャッタ片20aを備えている。
【0019】
シャッタ片20aの下流側の紙幣搬送路10の部位には、当該紙幣搬送路10を搬送される紙幣の光学的特徴である光透過パターンを検出するための透過型ホトセンサ11が配置されている。透過型ホトセンサ11は、3個の発光素子11a、12aおよび13aと、4個の受光素子11b、12b、13bおよび14bを備えている。発光素子11a〜13aは開閉ユニット4に搭載され、受光素子11b〜14bは本体ユニット2に搭載されている。透過型ホトセンサ11については後述する。
【0020】
透過型ホトセンサ11の位置よりも下流側の紙幣搬送路10の部分には紙幣の磁気特性を検出するための磁気ヘッド15が配置されている。磁気ヘッド15は本体ユニット2に搭載されており、この磁気ヘッド15の検出面に紙幣を押し付けるための押圧ローラ16が開閉ユニット4に搭載されている。
【0021】
紙幣排出口10aの近傍における本体ユニット2の側には、排出される紙幣を検出するために左右一対の出口センサ17a、17bが配置されている。これら出口センサとしては、ホトカプラ、メカニカルスイッチを備えたものを用いることができる。
【0022】
紙幣を紙幣搬送路10に沿って搬送するための搬送機構はベルト・プーリ式のものであり、左右一対の駆動側プーリ21a、21bと、左右三対の従動側プーリ22a、22b、23a、23b、24a、24bと、これら駆動側プーリ21aおよび従動側プーリ22a〜24aの間、および駆動側プーリ21bおよび従動側プーリ22b〜24bの間にそれぞれ張架した左右一対の搬送ベルト25a、25bとを備えている。これらの各部は、本体ユニット2の側に搭載されており、駆動側プーリ21a、21bは紙幣搬送路10の下流端側に配置され、従動側プーリ22a、22b、23a、23bは、駆動側プーリ21a、21bと磁気ヘッド15の間に配置されており、従動側プーリ24a、24bは、発光素子11a〜13aよりも紙幣挿入口8の側に配置されている。
【0023】
また、搬送機構は、開閉ユニット4の側に搭載されている4組の左右一対の押圧ローラ31a、31b、32a、32b、33a、33bおよび34a、34bを備えている。これらは、上下方向にスライド可能、かつ、回転自在の状態で開閉ユニット4に搭載されており、それぞれ、搬送ベルト25a、25bの上から、駆動側プーリ21a、21b、従動側プーリ22a、22b、23a、23bおよび24a、24bにばね力によって押圧されている。
【0024】
さらに、搬送機構は、図2に示すように、本体ユニット2における凹部3の側方の部位に内蔵されている搬送用モータ26を備えている。この搬送用モータ26の回転力が、不図示の減速歯車列および駆動軸28を介して、駆動側プーリ21a、21bに伝達されるようになっている。
【0025】
(透過型ホトセンサの構造)
ここで、透過型ホトセンサ11は、紙幣搬送路10の幅方向に所定の間隔で配列されている3個の発光素子11a〜13aと、同じく紙幣搬送路10の幅方向に所定の間隔で配列されている4個の受光素子11b〜14bとを備えている。幅方向の両側に位置している発光素子11aおよび発光素子13aは、それぞれ、受光素子11bおよび受光素子14bに対して、紙幣搬送路10を挟み正対位置に配置されている。これに対して、残りの1個の発光素子12aは紙幣搬送路10の幅方向の中央に位置しており、ここからの射出光が、幅方向に一定の間隔で隣接配置されている2個の受光素子12b、13bによって受光されるようになっている。換言すると、受光素子12b、13bの受光位置によってそれぞれ規定される2本の紙幣走査ラインは、共通の発光素子12aによって照明される。
【0026】
図4は、発光素子12aと受光素子12b、13bが取り付けられている部分を示す説明図である。発光素子12aは、他の発光素子11a、13aと共にLED基板61に搭載されており、LED基板61は開閉ユニット4に取り付けられている。発光素子12aの光射出側は、光拡散板として機能する合成樹脂製のLEDカバー62(発光側カバー)によって覆われている。LEDカバー62の先端面62aは、紙幣搬送路10の幅方向に長い長円形をした平坦な面である(図1参照)。発光素子12aの射出光はLEDカバー62の内部に入射して拡散するので、先端面62aは全体として均一に発光する均一発光面として機能する。また、この先端面62aは紙幣Pから光学情報を読み取るための読み取り位置を規定する紙幣ガイド面としても機能する。
【0027】
この先端面62aには、一定の間隔を開けて、透明な合成樹脂製の受光側カバー63が対峙している。この受光側カバー63の裏面側には2個の受光素子12b、13bが紙幣搬送路10の幅方向に隣接配置されている。受光側カバー63の先端面63aは紙幣搬送路10の幅方向に長い長方形の平坦な面であり(図1参照)、LEDカバー62の先端面62a(均一発光面)を包含する大きさとされている。この先端面63aは、先端面62aと共に、紙幣から光学情報を読み取るための読み取り位置を規定する紙幣ガイド面として機能する。ここで、LEDカバー62の先端面62aは、2個の受光素子12b、13bのそれぞれの受光領域を包含する大きさとされている。
【0028】
このように、本例の透過型ホトセンサ11においては、紙幣搬送路10の幅方向の中央部分において隣接配置されている2個の受光素子12b、13bによる受光位置によって規定される紙幣Pの走査ラインが、単一の発光素子12aからの射出光によって照明される。発光素子12aからの射出光は、これを覆っている光拡散板として機能するLEDカバー62内を通過する間に拡散される。この結果、LEDカバー62における双方の受光素子12b、13bの受光位置を包含する長円形の先端面62aが均一に発光し、各受光素子12b、13bの受光位置を通過する紙幣Pの部分が均一に照明される。
【0029】
この結果、各受光素子12b、13bにおいて、通過する紙幣Pの光透過特性に対応した透過光が検出され、これらの受光素子12b、13bの検出信号に基づき、紙幣Pの中央部分における2本の長さ方向の走査ラインに沿った光学的情報を精度良く検出できる。また、発光素子12aは、紙幣搬送路10の幅方向において2個の受光素子12b、13bの間に位置するように配置されるが、この位置が幅方向および紙幣搬送方向に僅かにずれたとしても、LEDカバー62の先端面62aが全体として均一に発光するので、位置ずれが検出精度に悪影響を及ぼすこともない。
【0030】
なお、両側の受光素子11b、14bにおいては、従来と同様に、一対一に対応している発光素子11a、13aから射出されて紙幣Pを透過した光が受光され、紙幣Pの両側の2本の走査ラインに沿った光学的情報が検出される。これら4本の走査ラインに沿った光学的情報に基づき、紙幣Pの種類、真偽が識別される。
【0031】
(制御系)
図5は紙幣識別装置1の制御系を示す概略ブロック図である。制御系は、本体ユニット2の制御基板40Aに搭載されており、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータを中心に構成された制御部40を備えている。制御部40は、挿入された紙幣Pの搬送制御を行う搬送制御部41、透過型ホトセンサ11の各発光素子11a〜13aの発光制御を行う発光制御部42、および、透過型ホトセンサ11の各受光素子11b〜14b、磁気ヘッド15からの検出信号に基づき挿入された紙幣Pの真偽、種類を識別する識別部43を備えている。また、各種の情報が記憶保持されているメモリ45と、メモリ45の記憶内容を更新するための更新部46とを備えている。
【0032】
搬送制御部41は、入口センサ9a、9bによって紙幣Pが挿入されたことを検出すると、紙幣引き抜き防止機構20のソレノイド20bを励磁してシャッタ片20aを開かせる。同時に、モータドライバ50を介して搬送用モータ26を駆動し、挿入された紙幣Pの搬送を開始させる。発光制御部42は、紙幣Pの搬送が開始されると、透過型ホトセンサ11の各発光素子11a〜13aをドライバ51〜53を介して駆動して発光させる。透過型ホトセンサ11の各受光素子11b〜14bの検出信号および磁気ヘッド15の検出信号は、それぞれ、信号処理回路55〜59を介して、識別部43に入力される。
【0033】
識別部43は、メモリ45に記憶保持されている光透過パターン、磁気パターンに基づき、挿入された紙幣Pの識別を行う。搬送制御部41は、紙幣Pの送り込み動作を継続させ、予め定められている送り込み位置(エスクロ位置)まで送り込む。送り込み位置は、図3に示すように、送り込まれた紙幣Pの後端PBが磁気ヘッド15の検出位置を通過し終えた位置である。
【0034】
搬送制御部41は、紙幣Pが送り込み位置に送り込まれると、当該紙幣Pを送り込み位置に一時保留し、シャッタ片20aを閉じる。この後に、識別部43は、透過型ホトセンサの各受光素子11b〜14bの各検出信号および磁気ヘッド15の検出信号と、メモリ45の内容とに基づき、紙幣Pの真偽、種類を識別する。真札であり、受け入れ可能な金種の紙幣である場合には、搬送制御部41は、搬送用モータ26を駆動して、送り込み位置に保留されている紙幣Pを紙幣排出口10aから不図示の紙幣収納部に送り込み、そこに収納させる。偽札、あるいは受け入れ不可の金種の紙幣である場合には、搬送制御部41は、搬送用モータ26を逆回転させて、送り込み位置に保留されている紙幣Pを紙幣挿入口8に向けて送り出し、当該紙幣挿入口8から排出して、紙幣挿入者に返却する。
【0035】
次に、更新部46は、発光制御部42によって、透過型ホトセンサ11の各受光素子11b〜14bの検出信号レベルが基準値となるように3個の発光素子11a〜13aに流す発光電流を調整させ、調整後の各発光電流の値で、メモリ45の検出用発光電流の値を更新する。
【0036】
例えば、更新部46は、電源投入時の初期化処理の終了後の時点と、紙幣が投入されたことが入口センサ9a、9bによって検出された後の時点において、検出用発光電流の値の更新処理を行えば良い。更新部46によって検出用の発光電流の値を更新することにより、紙幣識別装置1の周囲環境、透過型ホトセンサ11の発光素子11a〜13aおよび受光素子11b〜14bの劣化などに起因して検出特性が変動しても、紙幣の識別精度を良好な状態に維持できる。
【0037】
(その他の実施の形態)
上記の例は本発明を紙幣識別装置に適用したものであるが、本発明は、チケット、クーポン券などの紙幣以外の紙葉類を識別するための紙葉類識別装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を適用した紙幣識別装置の平面図である。
【図2】開閉ユニットを開いた状態の紙幣識別装置の斜視図である。
【図3】紙幣識別装置の内部構成図である。
【図4】透過型ホトセンサの構成を示す説明図である。
【図5】紙幣識別装置の制御系の主要部分を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
1 紙幣識別装置
2 本体ユニット
3 凹部
4 開閉ユニット
5 挿入口蓋ユニット
6a、6b 支軸
7a、7b 係合レバー
7c、7d 係合溝
8 紙幣挿入口
9 紙幣挿入路
9a、9b 入口センサ
10 紙幣搬送路
10a 紙幣排出口
11 透過型ホトセンサ
11a〜13a 発光素子
11b〜14b 受光素子
15 磁気ヘッド
16 押圧ローラ
17a、17b 出口センサ
20 紙幣引き抜き防止機構
20a シャッタ片
20b ソレノイド
21a、21b 駆動側プーリ
22a〜24a、22b〜24b 従動側プーリ
25a、25b 搬送ベルト
26 搬送用モータ
28 駆動軸
31a〜34a、31b〜34b 押圧ローラ
40 制御部
40A 制御基板
41 搬送制御部
42 発光制御部
43 識別部
45 メモリ
46 更新部
50 モータドライバ
51〜53 ドライバ
55〜59 信号処理回路
61 LED基板
62 LEDカバー
62a 先端面
63 受光側カバー
63a 先端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送するための搬送路と、
この搬送路に沿って搬送される紙葉類に担持されている光学的情報を読み取るための透過型ホトセンサと、
この透過型ホトセンサによって読み取られた光学的情報に基づき紙葉類の識別を行う識別手段とを有し、
前記透過型ホトセンサは、
1個または複数個の発光素子と、
前記搬送路を挟み前記発光素子に対向配置されている当該発光素子よりも多い個数の受光素子と、
前記発光素子および前記受光素子の間において、前記発光素子の側に配置されている発光側カバーおよび前記受光素子の側に配置されている受光側カバーとを備えており、
前記発光側カバーは、前記発光素子からの射出光を拡散して、各受光素子の受光領域を包含する領域を均一に照明するための光拡散板であることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類識別装置において、
本体ユニットと、
この本体ユニットに開閉可能に取り付けた開閉ユニットとを有し、
前記搬送路は、これら本体ユニットおよび開閉ユニットの間に形成されており、当該開閉ユニットを開くと開放状態になり、
前記透過型ホトセンサにおける前記発光素子および前記発光側カバーは、前記本体ユニットおよび前記開閉ユニットのいずれか一方のユニットに搭載されており、前記受光素子および前記受光側カバーは他方のユニットに搭載されていることを特徴とする紙葉類識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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