説明

紙葉類鑑別システム、紙葉類鑑別方法及び紙葉類処理装置

【課題】マスタテンプレートの更新を容易に行うことができる。
【解決手段】紙幣の鑑別を行う紙幣鑑別システム1は、受け入れた紙幣の状態を読み取り、受け入れた紙幣の特性を表す特性情報を生成するセンサ部33を有する紙幣処理装置3と、紙幣処理装置3と通信可能に接続され、紙幣ごとの特性を表し、センサ部33で生成された特性情報と照合され、紙幣処理装置3が受け入れた紙幣の状態の鑑別に用いられるマスタテンプレートを有するホストコンピュータ2とを有する。マスタテンプレートに更新の必要が生じた場合には、ホストコンピュータ2に格納されているマスタテンプレートを更新するだけでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別システム、紙葉類鑑別方法、当該紙葉類鑑別システムに用いられる、紙葉類の受け入れ及び払い出しを行う紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関には、ATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)またはCD(Cash Dispenser:現金自動支払い機)等の紙幣処理装置が設置されている。
当該紙幣処理装置では、ユーザによって任意の紙幣が紙幣投入口から投入されると、当該紙幣の全面が読み取られて、画像情報が生成される。そして、当該画像情報と、予め用意されている真券の紙幣の金種毎の画像情報(マスタテンプレート)(例えば、特許文献1参照)とを比較して、投入された紙幣の金種、真贋等が鑑別される。
【0003】
そして、当該紙幣処理装置では、鑑別結果を総合的に踏まえて、正常なものとして取り扱うべきと判断された紙幣は、所定の金種のスタッカに搬送される。その他の紙幣は、所定のスタッカまたは紙幣投入口からユーザに返却される。
【0004】
このようにして紙幣処理装置に投入された紙幣の金種、真贋等の判定にはマスタテンプレートが用いられている。また、紙幣が刷新された場合には、当該紙幣に応じてマスタテンプレートの情報を更新して、新たな紙幣に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−51041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、マスタテンプレートの情報を更新する場合には、ATM及びCD等に対して人手によって最新情報を導入しており、更新作業が煩雑であるという問題があった。また、近年、ATM及びCD等は、24時間営業の小売店、デパートまたは駅等の様々な場所に設置されるようになっており、更新作業がさらに煩雑になっている。
【0007】
特に、更新作業が煩雑であるために、ATM及びCD等にそれぞれ導入されているマスタテンプレートが最新版に更新されるまでに時間を要する。このため、例えば、新たな偽札が出回って緊急の対処が必要な場合には、マスタテンプレートの更新までに時間がかかり対応が遅れ、多大な損害を受けてしまうという問題もあった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、マスタテンプレートの更新を容易に行うことができる紙葉類鑑別システム、紙葉類鑑別方法、及び紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別システムが提供される。
このような紙葉類鑑別システムは、受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成するセンサ部を有する紙葉類処理装置と、前記紙葉類処理装置と通信可能に接続され、紙葉類ごとの特性を表し、前記センサ部で生成された前記特性情報と照合され、前記紙葉類処理装置が受け入れた前記紙葉類の状態の鑑別に用いられるマスタテンプレートを有するホストコンピュータと、を有する。
【0010】
このような紙葉類鑑別システムによれば、ホストコンピュータは、紙葉類処理装置と通信可能に接続され、紙葉類ごとの特性を表し、紙葉類処理装置のセンサ部で生成された特性情報と照合され、紙葉類処理装置が受け入れた紙葉類の状態の鑑別に用いられるマスタテンプレートを有する。
【0011】
また、上記目的を達成するために、紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別方法が提供される。
このような紙葉類鑑別方法は、紙葉類処理装置は、受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成し、受け入れた前記紙葉類の状態の鑑別要求と前記特性情報とを送信し、ホストコンピュータは、前記鑑別要求と前記特性情報とを受信すると、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、前記紙葉類処理装置が受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する。
【0012】
また、上記目的を達成するために、紙葉類の受け入れ及び払い出しを行う紙葉類処理装置が提供される。
このような紙葉類処理装置は、受け入れた前記紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成するセンサ部と、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートを有し、前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別するホストコンピュータに、前記鑑別要求と前記特性情報とを送信する通信部と、を有する。
【0013】
このような紙葉類鑑別方法及び紙葉類鑑別装置によれば、紙葉類処理装置により、受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた紙葉類の特性を表す特性情報が生成され、受け入れた紙葉類の状態の鑑別要求と特性情報とが送信され、ホストコンピュータにより、鑑別要求と特性情報とが受信されると、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートと特性情報とが照合され、紙葉類処理装置が受け入れた紙葉類の状態が鑑別される。
【0014】
また、上記目的を達成するために、紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別方法が提供される。
このような紙葉類鑑別方法は、ホストコンピュータは、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートを有し、紙葉類処理装置は、受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成し、前記ホストコンピュータから前記マスタテンプレートを取得し、取得した前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する。
【0015】
また、上記目的を達成するために、紙葉類の受け入れ及び払い出しを行う紙葉類処理装置が提供される。
このような紙葉類処理装置は、受け入れた前記紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成するセンサ部と、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートを有するホストコンピュータから前記マスタテンプレートを取得し、取得した前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する鑑別部と、を有する。
【0016】
このような紙葉類鑑別方法及び紙葉類鑑別装置によれば、紙葉類処理装置により、受け入れた紙葉類の状態が読み取られ、受け入れた紙葉類の特性を表す特性情報が生成され、ホストコンピュータからマスタテンプレートが取得され、取得されたマスタテンプレートと特性情報とが照合され、受け入れた紙葉類の状態が鑑別される。
【発明の効果】
【0017】
上記紙葉類鑑別システム、紙葉類鑑別方法及び紙葉類処理装置では、マスタテンプレートの更新及び管理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ホストコンピュータ及び紙幣処理装置がネットワークで通信可能に接続された紙幣鑑別システムを説明するための図である。
【図2】第1の実施の形態におけるホストコンピュータ及び紙幣処理装置の機能を示すそれぞれのブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における紙幣鑑別システムで行われる紙幣の鑑別処理を示すフローチャートである。
【図4】紙幣鑑別システムで行われる紙幣の画像情報の読み取り処理を説明するための図である。
【図5】紙幣鑑別システムで行われる紙幣の画像処理を説明するための図である。
【図6】第2の実施の形態におけるホストコンピュータ及び紙幣処理装置の機能を示すそれぞれのブロック図である。
【図7】第2の実施の形態における紙幣鑑別システムで行われる紙幣の鑑別の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、紙葉類の一例として紙幣を例に挙げているが、紙葉類は有価証券や小切手等を含むものであり、紙幣に限定されるものではない。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は、ホストコンピュータ及び紙幣処理装置がネットワークで通信可能に接続された紙幣鑑別システムを説明するための図である。
【0021】
紙幣鑑別システム1は、図1に示されるように、ホストコンピュータ2と、当該ホストコンピュータ2と、例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワーク4で接続された複数の紙幣処理装置3とを有する。
【0022】
ホストコンピュータ2は、ネットワーク4の中心となるコンピュータである。例えば、銀行、郵便局等においては、ネットワーク4に接続されている端末から演算またはデータベースの検索等の処理要求を受け付けて、金融取引の処理等を実行する機能等を有する。また、顧客(ユーザ)の口座、ID等の個人情報等のデータベースを管理する。
【0023】
紙幣処理装置3は、銀行、郵便局等の場合を例に挙げれば、各支店だけではなく、小売店等の商業施設または駅等の公共施設に設置されている。当該紙幣処理装置3は、ホストコンピュータ2、並びに他の同じ機能を備えた紙幣処理装置3と相互にネットワーク4で通信可能に接続されている。
【0024】
また、紙幣処理装置3は、図1に示されるように、表示入力画面3a、硬貨が投入される硬貨投入口3b、紙幣が投入される紙幣投入口3c、通帳及びカードがそれぞれ投入される通帳投入口3d及びカード投入口3eがそれぞれ配置されている。
【0025】
表示入力画面3aは、取引対象の金額、口座番号及び取引処理内容等を表示する表示部と、金額、口座番号等の入力及び所定の処理の操作が行われるタッチパネル等の入力部とで構成されている。例えば、所定の金額を指定の口座に振り込む場合には、ユーザによりタッチパネルで所定の金額及び口座番号が入力されると、表示部にこれらの金額及び口座番号が表示される。ユーザは表示された取引内容を確認して間違いがなければ、タッチパネルで当該取引を進めることができる。間違いがあればタッチパネルで金額及び口座番号を再入力することができる。
【0026】
硬貨投入口3bは、ユーザによって硬貨が入金されて、紙幣処理装置3内で、入金された硬貨の金種、真贋等が鑑別される。真贋鑑別の結果に応じて、真である硬貨は、紙幣処理装置3の内部に配置された所定金種の硬貨収納庫に搬送される。偽である硬貨は硬貨投入口3bからユーザに返却される。また、ユーザの表示入力画面3aを介した操作入力に応じて、所望の金額の硬貨が硬貨投入口3bからユーザに返却される。
【0027】
紙幣投入口3cは、ユーザによって紙幣が投入されると、紙幣処理装置3内で、投入された紙幣の金種、真贋等が鑑別される。鑑別結果に応じて、真である紙幣は紙幣処理装置3の紙幣処理装置3内に配置された所定のスタッカに金種毎に搬送される。偽である紙幣は紙幣投入口3cからユーザに返却される。なお、紙幣の状態の鑑別処理については後述する。また、ユーザの表示入力画面3aを介した操作入力に応じて、所望の金額の紙幣がスタッカから搬送されて紙幣投入口3cからユーザに返却される。
【0028】
通帳投入口3dは、ユーザによって通帳が投入されて、紙幣処理装置3内の所定の領域に搬送されて、取引履歴等が印字される。また、印字が完了した通帳は通帳投入口3dからユーザに返却される。
【0029】
カード投入口3eは、ユーザによってカードが投入されて、取引履歴が磁気的に書き込まれ、または読み込まれる。また、取引履歴の更新等が完了したカードはカード投入口3eからユーザに返却される。
【0030】
次に、紙幣鑑別システム1を構成するホストコンピュータ2及び紙幣処理装置3の各機能について説明する。
図2は、第1の実施の形態におけるホストコンピュータ及び紙幣処理装置の機能を示すそれぞれのブロック図である。
【0031】
まず、ホストコンピュータ2は、格納部21、通信部22、鑑別部23及びCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)24を具備している。
格納部21には、マスタテンプレートが予め格納されている。マスタテンプレートは、真券の紙幣の金種毎の外形、印刷模様の形状及び濃淡等の特性から構成されている。例えば、紙幣のマスタテンプレートは、紙幣処理装置3に対して、表裏・上下(天地)のそれぞれの4つの投入方向の場合の真券の紙幣において、縦及び横の長さ(または正規化された縦及び横の長さ。なお正規化については後述)、紙幣の全体を微小領域に分けた各領域における階調度、紙幣1枚の厚さ等の特性により構成されている。なお、流通している紙幣は同金種であっても外形、印刷模様の形状及び濃淡等の特性値にばらつきがある。マスタテンプレートを真券のみに厳格に対応させてしまうと、後述するマスタテンプレートを利用した鑑別方法では、真券と同金種であっても、正しく鑑別されない場合が生じてしまう。そこで、マスタテンプレートを構成する各特性値には許容範囲で、例えば正規分布のように、幅を持たせている。このようなマスタテンプレートが、千円紙幣、五千円紙幣、壱万円紙幣にそれぞれ対応して用意されている。また、格納部21に格納されているマスタテンプレートは必要に応じて更新することができる。
【0032】
通信部22は、紙幣処理装置3と通信可能なネットワーク4で接続されており、紙幣処理装置3に対して、情報の送受信を行う。
鑑別部23は、格納部21に格納されているマスタテンプレートと、紙幣処理装置3から通信部22を介して受信した紙幣の特性とを比較して、当該紙幣の状態を鑑別する。
【0033】
CPU24は、ホストコンピュータ2が具備する通信部22及び鑑別部23等の動作を制御する。
一方、紙幣処理装置3は、保持部31、紙幣検知部32、センサ部33、増幅部34、A/D変換部35、画像処理部36、通信部37及びCPU38を具備している。
【0034】
保持部31は、当該紙幣処理装置3内の処理の過程で生成された、受け入れた紙幣の特性情報を含有する画像情報及び画像処理後の正規化画像情報等を保持する。
紙幣検知部32は、ユーザによって紙幣処理装置3の紙幣投入口3cから投入された紙幣が所定の搬送路に搬送されたことを検知して、当該検知をCPU38に通知する。
【0035】
センサ部33は、紙幣の搬送の検知が通知されたCPU38から受信した動作命令に応じて、搬送される紙幣の全面から紙幣の寸法及び外形、印刷模様の形状及び濃淡、厚さ等の特性を読み取る。そして、センサ部33は読み取った紙幣の特性から画像情報を生成する。また、センサ部33を、読み取る特性に応じて、光センサ、厚さセンサ及び磁気センサ等から構成させることができる。なお、光センサは搬送される紙幣に照射した光の透過光及び反射光により紙幣の画像情報を生成し、厚さセンサは搬送される紙幣による厚さ方向の変位量から厚さを検出し、磁気センサは搬送される紙幣の磁気画像を生成する。なお、センサ部33による紙幣の読み取りについては後に具体例を挙げて再び説明する。
【0036】
増幅部34はセンサ部33で生成された紙幣の画像情報を増幅する。
A/D変換部35は増幅部34で増幅された画像情報をデジタル情報に変換する。
画像処理部36は、デジタル情報に変換された画像情報に対して、座標変換(傾き補正)、濃度補正等の画像処理を行う。
【0037】
通信部37は、ホストコンピュータ2と通信可能なネットワーク4で接続されており、ホストコンピュータ2に対して、情報の送受信を行う。
CPU38は、ユーザの操作入力に応じて、紙幣処理装置3における紙幣の搬送機構を制御する。また、CPU38は、紙幣処理装置3が具備する紙幣検知部32、センサ部33、増幅部34、A/D変換部35、画像処理部36及び通信部37等の動作を制御する。特に、CPU38は、紙幣検知部32からの検知が通知されると、センサ部33に動作命令を送信してセンサ部33を動作させる。また、CPU38は、画像処理部36で画像処理された画像情報を通信部37からホストコンピュータ2に送信させる。さらに、CPU38は、ホストコンピュータ2における鑑別結果に応じて、紙幣処理装置3における紙幣の搬送機構を制御する。
【0038】
このような構成をそれぞれ具備するホストコンピュータ2及び紙幣処理装置3を有する紙幣鑑別システム1で行われる、紙幣処理装置3に投入された紙幣の鑑別方法について説明する。
【0039】
図3は、第1の実施の形態における紙幣鑑別システムで行われる紙幣の鑑別処理を示すフローチャートである。また、図4は、紙幣鑑別システムで行われる紙幣の画像情報の読み取り処理を説明するための図、図5は、紙幣鑑別システムで行われる紙幣の画像処理を説明するための図である。
【0040】
なお、図3は、ステップS11〜S13の処理は紙幣処理装置3で、ステップS14〜S17の処理はホストコンピュータ2でそれぞれ実行される。図4は、紙幣Qが回転してX方向に搬送路331を搬送されている場合を表している。また、図5(A)はセンサ部33で読み取られて生成された紙幣Qの全面の画像を、図5(B)は当該紙幣Qの全面に対して画像処理が行われた画像をそれぞれ表している。
【0041】
以下、図2並びに図3〜図5を参照しながら説明する。
まず、紙幣処理装置3の紙幣投入口3cから投入された紙幣Qは、図4に示されるように、紙幣処理装置3の内部に配置されている搬送路331を搬送する。なお、紙幣Qの搬送路331の搬送は、紙幣処理装置3の内部に設置した図示しない搬送機構によって実行される。
【0042】
搬送路331は、位置センサ334a〜334d、光センサ332が配置されている。なお、紙幣投入口3cからユーザにより投入された紙幣Qは搬送路331をX方向に向けて搬送する。
【0043】
位置センサ334a〜334dは紙幣検知部32の構成要素の一部である。位置センサ334a,334bは、紙幣Qが光センサ332に搬送される前の搬送路331の搬送面内に配置され、紙幣Qの光センサ332への搬送を検知する。この検知結果はCPU38に通知される。また、位置センサ334c,334dは、紙幣Qが光センサ332から搬出された後の搬送路331の搬送面内に配置されて、紙幣Qの光センサ332からの搬出を検知する。
【0044】
光センサ332はセンサ部33の構成要素の一部であって、搬送路331を上下に挟んで発光部及び受光部(共に図示を省略)がそれぞれ対向配置されている。光センサ332は、位置センサ334a,334bからの紙幣Qの検知が通知されたCPU38からの動作命令を受信すると、搬送路331を搬送する紙幣Qの面に光を照射し、そのときの紙幣Qの全面における透過光等から、紙幣Qの寸法及び外形、印刷模様の形状及び濃淡等の特性を読み取る。読み取った特性から紙幣Qの画像情報を生成する(図3:ステップS11)。
【0045】
光センサ332によって読み取られ生成された紙幣Qの画像情報は搬送状態に基づいており、図5(A)に示されるように、Y方向(X方向に対して垂直方向)に対して回転角θで回転している。なお、図5(A)に示されるように、紙幣Qの左上の頂点を点Aとする。
【0046】
画像処理部36は、センサ部33で生成された紙幣Qの画像情報から、その点Aの座標、及びY方向に対する回転角θを検出する。画像処理部36は、図5(B)に示されるように、回転角θに基づいて、画像情報を回転処理して、紙幣Qの画像情報をX方向及びY方向に対して平行にする。さらに、画像処理部36は、点Aの座標が原点(左上隅の座標O)に来るように移動処理する。
【0047】
このように、紙幣Qの画像情報をX方向及びY方向に対して平行にし、その点Aを、原点Oとする画像処理(正規化処理)により、紙幣Qの正規化画像情報が得られる(図3:ステップS12)。
【0048】
このようにして得られた紙幣Qの正規化画像情報は紙幣処理装置3の保持部31に保持される。そして、紙幣処理装置3の通信部37からホストコンピュータ2に対して、投入された紙幣Qの鑑別要求と共に、当該正規化画像情報が通知される(図3:ステップS13)。
【0049】
ホストコンピュータ2の通信部22は、紙幣処理装置3から当該正規化画像情報と共に紙幣Qの鑑別要求を受信する。すると、ホストコンピュータ2の鑑別部23は、格納部21に格納しているマスタテンプレートに基づいて、紙幣Qの状態について以下の鑑別処理を実行する。
【0050】
まず、紙幣Qの金種について鑑別する。紙幣Qの正規化画像情報に基づき、紙幣Qの寸法及び外形、印刷模様の形状及び濃淡等の特性と適合するマスタテンプレートを特定する。紙幣Qの金種は、適合した当該マスタテンプレートで示される金種であると鑑別する(図3:ステップS14)。
【0051】
紙幣Qの金種が鑑別されなかった場合には、ホストコンピュータ2での以後の処理を停止して、鑑別不可であった旨を紙幣処理装置3に通知する。鑑別不可が通知された紙幣処理装置3では当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0052】
次いで、紙幣Qの損傷状態を鑑別する。特定したマスタテンプレートと、紙幣Qの正規化画像情報とを比較して、紙幣Qの外形の折れ、穴、破れ等の欠損部分の数及び各欠損部分の面積から欠損部分の総面積を特定し、紙幣Qの損傷状態(損傷量)を鑑別する(図3:ステップS15)。
【0053】
鑑別した損傷量が所定量以上である場合、または損傷量を鑑別できない場合には、ホストコンピュータ2での以後の処理を停止して、損傷量が所定量以上、または鑑別不可であった旨を紙幣処理装置3に通知する。当該通知を受けた紙幣処理装置3では当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0054】
次いで、紙幣Qの真贋について鑑別する。特定したマスタテンプレートと、紙幣Qの正規化画像情報とを照合して、紙幣Qの真贋を鑑別する(図3:ステップS16)。
正規化画像情報とマスタテンプレートとが適合しない場合には、ホストコンピュータ2での以後の処理を停止して、マスタテンプレートと適合しなかった旨を紙幣処理装置3に通知する。当該通知を受けた紙幣処理装置3では当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0055】
最後に、紙幣Qの搬送状態を鑑別する。特定したマスタテンプレートと、紙幣Qの正規化画像情報とを比較して、紙幣Qの外形、厚さ等から、紙幣Qの重送、傾斜等の搬送状態を鑑別する(図3:ステップS17)。
【0056】
紙幣Qが重送、傾斜等の正常ではない状態で搬送されていると鑑別した場合、または搬送状態を鑑別できない場合には、正常でない状態で搬送されていること、または鑑別不可であった旨を紙幣処理装置3に通知する。当該通知を受けた紙幣処理装置3では当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0057】
以上のステップS14〜S17の鑑別処理が終了すると、ホストコンピュータ2の通信部22から紙幣処理装置3に紙幣Qの鑑別結果(金種、真券、損傷少、正常搬送)が通知される。紙幣処理装置3は当該鑑別結果に応じて、紙幣Qを対応する金種のスタッカに搬送する。
【0058】
このように、紙幣処理装置3に通信可能に接続されたホストコンピュータ2に紙幣の金種毎のマスタテンプレートを格納させ、ホストコンピュータ2で当該マスタテンプレートに基づいた、紙幣処理装置3に投入された紙幣Qの状態の鑑別を行った。
【0059】
したがって、当該マスタテンプレートに更新の必要が生じた場合には、ホストコンピュータ2に格納されているマスタテンプレートを更新するだけでよい。このため、様々な場所に配置された各紙幣処理装置3に対する更新作業が不要になり、マスタテンプレートの管理及び更新作業が容易になる。
【0060】
また、ホストコンピュータ2には常に最新のマスタテンプレートが格納されているため、誤って古いマスタテンプレートを利用して紙幣Qの鑑別を行うことが防止される。
上記の場合では、真券のマスタテンプレートを用いた場合を説明した。以下では、偽券のマスタテンプレートを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0061】
<実施例1>
再び、図3及び図4を参照しながら説明する。
新たに偽札が出回り、当該偽札を紙幣処理装置3で利用できないようにするために、マスタテンプレートの更新が緊急に必要になった場合に、当該偽札の特徴として、当該偽札の記番号をホストコンピュータ2の格納部21のマスタテンプレートに新たに追加して更新する。
【0062】
なお、記番号とは、図4に示される紙幣QのQ1及びQ2の位置に各紙幣固有の番号として割り当てられているものである。また、紙幣Qの特徴としては、記番号の他に、例えば、所謂透かし絵等がある。透かし絵は、図4に示される紙幣QのQ3の位置に作りこまれたものであり、Q3の位置を周囲よりもより明るくすることで区別される画像または模様である。
【0063】
このようにマスタテンプレートの更新後、紙幣処理装置3に紙幣Qが投入されると、図3のステップS11において、光センサ332に加えて、例えば、文字センサが追加されたセンサ部33により、紙幣Qの記番号も読み取られる。
【0064】
図3のステップS12〜S15の所定の処理後、マスタテンプレートの偽券の記番号と、紙幣Qの記番号とを照合する。
照合の結果、適合しない場合には、紙幣Qは偽札ではないため、通常の鑑別処理が行われる。
【0065】
一方、適合する場合には、ホストコンピュータ2での以後の処理を停止して、マスタテンプレートと適合した旨を紙幣処理装置3に通知する。また、同時に、紙幣鑑別システム1全体を管理するシステム管理者等に通知するようにしても良い。なお、当該通知を受けた紙幣処理装置3では当該紙幣Qをユーザに返却せずに、紙幣処理装置3内部の所定のスタッカに取り込む。
【0066】
このように、新たに偽札が出回り、当該偽札を紙幣処理装置3で利用できないようにするために、マスタテンプレートの更新が緊急に必要になった場合でも、ホストコンピュータ2に格納されているマスタテンプレートのみを更新することで、迅速、かつ確実に対応することが可能となる。
【0067】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、ホストコンピュータ2に格納したマスタテンプレートを利用して、ホストコンピュータ2で紙幣の鑑別処理を行った場合について説明した。
【0068】
一方、第2の実施の形態では、ホストコンピュータ2に格納したマスタテンプレートを紙幣処理装置3に送信して、紙幣処理装置3で紙幣の鑑別処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0069】
第2の実施の形態でも同様に、紙幣鑑別システムは、ホストコンピュータと、当該ホストコンピュータと、ネットワークで接続された複数の紙幣処理装置とを有する。なお、紙幣処理装置も、第1の実施の形態の紙幣処理装置3と同様に、表示入力画面3a、硬貨が投入される硬貨投入口3b、紙幣が投入される紙幣投入口3c、通帳及びカードがそれぞれ投入される通帳投入口3d及びカード投入口3eがそれぞれ配置されている。
【0070】
次に、紙幣鑑別システムを構成するホストコンピュータ及び紙幣処理装置の構成について説明する。
図6は、第2の実施の形態におけるホストコンピュータ及び紙幣処理装置の機能を示すそれぞれのブロック図である。
【0071】
紙幣鑑別システム11は、ホストコンピュータ12と紙幣処理装置13とが通信可能なネットワーク14で接続されて構成されている。
まず、ホストコンピュータ12は、第1の実施の形態のホストコンピュータ2と同様に、格納部21、通信部22及びCPU24を具備している。また、ホストコンピュータ12は、新たに、送信指示部25を具備している。
【0072】
送信指示部25は、CPU24の命令に応じて、通信部22を介して、格納部21に格納されているマスタテンプレートを紙幣処理装置13に送信する。
なお、当該マスタテンプレートは真券の紙幣の特性により構成されている。
【0073】
一方、紙幣処理装置13は、第1の実施の形態の紙幣処理装置3と同様に、保持部31、紙幣検知部32、センサ部33、増幅部34、A/D変換部35、画像処理部36、通信部37及びCPU38を具備している。また、紙幣処理装置13は、新たに、鑑別部39を具備している。
【0074】
鑑別部39は、ホストコンピュータ12から送信されたマスタテンプレートと、紙幣処理装置13内の所定の処理を経て生成された紙幣の正規化画像情報とから紙幣の状態の鑑別処理を行う。また、鑑別部39は、CPU38の制御に応じて紙幣の当該鑑別処理を行う。
【0075】
なお、保持部31は、第1の実施の形態と異なり、CPU38及び鑑別部39と接続している。保持部31は、紙幣処理装置13内で生成された紙幣の画像情報及び画像処理後の正規化画像情報等をCPU38から移送されて保持する。また、保持部31は、ホストコンピュータ12から送信されたマスタテンプレートを保持する。
【0076】
このような構成をそれぞれ具備するホストコンピュータ12及び紙幣処理装置13を有する紙幣鑑別システム11で行われる、紙幣処理装置3に投入された紙幣の鑑別方法について説明する。
【0077】
図7は、第2の実施の形態における紙幣鑑別システムで行われる紙幣の鑑別の処理を示すフローチャートである。
以下、図6及び図7、並びに図4を参照しながら説明する。
【0078】
まず、紙幣処理装置13の紙幣投入口3cから投入された紙幣Qは、図4に示されるように、紙幣処理装置13の内部に配置されている搬送路331を搬送する。
位置センサ334a,334bによって紙幣Qの光センサ332への搬送が検知されると、紙幣検知部32からCPU38に当該検知が通知される。当該通知により、CPU38はホストコンピュータ12にマスタテンプレートの送信要求を通信部37を介して通知する。
【0079】
ホストコンピュータ12は、当該送信要求が通知されると、送信指示部25が格納部21に格納されているマスタテンプレートを通信部22を介して紙幣処理装置13に送信する。
【0080】
そして、送信されたマスタテンプレートは紙幣処理装置13の通信部37で受信されて、CPU38により保持部31に移送され、保持される(図7:ステップA)。
次いで、光センサ332は、CPU38からの動作命令を受信すると、図3のステップS11と同様に、紙幣Qの寸法及び外形、印刷模様の形状及び濃淡等の特性を読み取る。読み取った特性から紙幣Qの画像情報を生成する(図7:ステップS21)。
【0081】
次いで、光センサ332によって読み取り生成された紙幣Qの画像情報を、図3のステップS12と同様に、X方向及びY方向に対して平行にし、その点Aを、原点Oとする画像処理(正規化処理)により、紙幣Qの正規化画像情報が得られる(図7:ステップS22)。
【0082】
次いで、紙幣処理装置13の鑑別部39は、保持部31に保持しているマスタテンプレート及び紙幣Qの正規化画像情報を用いて、紙幣Qの状態について以下の鑑別処理を実行する。なお、以下の鑑別処理のステップS23〜S26は図3のステップS14〜S17にそれぞれ対応している。
【0083】
まず、紙幣Qの金種について鑑別する。紙幣Qの正規化画像情報に基づき、紙幣Qの寸法及び外形、印刷模様の形状及び濃淡等の特性と適合するマスタテンプレートを特定する。紙幣Qの金種は、適合した当該マスタテンプレートで示される金種であると鑑別する(図7:ステップS23)。
【0084】
紙幣Qの金種が鑑別されなかった場合には、紙幣処理装置13での以後の処理を停止して、紙幣処理装置13は当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
次いで、紙幣Qの損傷状態を鑑別する。特定したマスタテンプレートと、紙幣Qの正規化画像情報とを比較して、紙幣Qの外形の折れ、穴、破れ等の欠損部分の数及び各欠損部分の面積から欠損部分の総面積を特定し、紙幣Qの損傷状態(損傷量)を鑑別する(図7:ステップS24)。
【0085】
鑑別した損傷量が所定量以上である場合、または損傷量を鑑別できない場合には、紙幣処理装置13での以後の処理を停止して、紙幣処理装置13は当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0086】
次いで、紙幣Qの真贋について鑑別する。特定したマスタテンプレートと、紙幣Qの正規化画像情報とを照合して、紙幣Qの真贋を鑑別する(図7:ステップS25)。
正規化画像情報とマスタテンプレートとが適合しない場合には、紙幣処理装置13での以後の処理を停止して、紙幣処理装置13は当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0087】
最後に、紙幣Qの搬送状態を鑑別する。特定したマスタテンプレートと、紙幣Qの正規化画像情報とを比較して、紙幣Qの外形、厚さ等から、紙幣Qの重送、傾斜等の搬送状態を鑑別する(図7:ステップS26)。
【0088】
紙幣Qが重送、傾斜等の正常ではない状態で搬送されていると鑑別した場合、または搬送状態を鑑別できない場合には、紙幣処理装置13は当該紙幣Qを紙幣投入口3cからユーザに返却する。
【0089】
以上のステップS23〜S26の鑑別処理が終了すると、紙幣処理装置13は紙幣Qの鑑別結果(金種、真券、損傷少、正常搬送)に応じて、紙幣Qを対応する金種のスタッカに搬送する。
【0090】
このように、紙幣処理装置13に通信可能に接続されたホストコンピュータ12に紙幣の金種毎のマスタテンプレートを格納させ、紙幣処理装置13で紙幣Qの鑑別を行う際には、ホストコンピュータ12からマスタテンプレートを紙幣処理装置13に送信させて、紙幣処理装置13で紙幣Qの状態の鑑別を行った。
【0091】
したがって、当該マスタテンプレートに更新の必要が生じた場合には、ホストコンピュータ12に格納されているマスタテンプレートを更新するだけでよい。このため、様々な場所に配置された各紙幣処理装置13に対する更新作業が不要になり、マスタテンプレートの管理及び更新作業が容易になる。
【0092】
また、ホストコンピュータ12には常に最新のマスタテンプレートが格納されているため、誤って古いマスタテンプレートを利用して紙幣Qの鑑別を行うことが防止される。
なお、上記では、紙幣処理装置13がホストコンピュータ12からマスタテンプレートを受信するステップAをステップS21の前に行う場合について説明した。当該ステップAは、ステップS23が実行される前のタイミングであればいつでも構わない。当該ステップAを実行するために、例えば、ユーザによる紙幣処理装置13の操作の開始時、ステップS22で画像処理終了後、等のタイミングが考えられる。
【0093】
上記の場合では、真券のマスタテンプレートを用いた場合を説明した。以下では、偽券のマスタテンプレートを用いた場合を例に挙げて説明する。
<実施例2>
再び、図7及び図4を参照しながら説明する。
【0094】
まず、実施例1と同様に、新たに偽札が出回り、当該偽札を紙幣処理装置13で利用できないようにするために、マスタテンプレートの更新が緊急に必要になった場合に、当該偽札の特徴として、当該偽札の記番号をホストコンピュータ12の格納部21のマスタテンプレートに新たに追加して更新する。
【0095】
ホストコンピュータ12に格納されているマスタテンプレートの更新後、紙幣処理装置13の紙幣投入口3cから投入された紙幣は、図4に示されるように、紙幣処理装置13の内部に配置されている搬送路331を搬送する。
【0096】
位置センサ334a,334bによって紙幣Qの光センサ332への搬送が検知されると、紙幣検知部32からCPU38に当該検知が通知される。当該通知により、CPU38はホストコンピュータ12にマスタテンプレートの送信要求を通信部37を介して通知する。
【0097】
ホストコンピュータ12は、当該送信要求が通知されると、送信指示部25が格納部21に格納されている偽券のマスタテンプレートを通信部22を介して紙幣処理装置13に送信する。
【0098】
送信されたマスタテンプレートは紙幣処理装置13の通信部37で受信して、CPU38により保持部31に移送され、保持される(図7:ステップA)。
次いで、CPU38からの動作命令を受信すると、光センサ332に加えて、例えば、文字センサを追加されたセンサ部33により、紙幣Qの記番号も読み取られる。読み取った特性から紙幣Qの特性を含む画像情報を生成する(図7:ステップS21)。
【0099】
この後、図7のステップS22〜S24における処理が同様に行われる。
次いで、紙幣Qの真贋について鑑別する。偽札の記番号が更新されたマスタテンプレートと、紙幣Qの記番号とを照合して、紙幣Qの真贋を鑑別する(図7:ステップS25)。
【0100】
照合の結果、適合しない場合には、紙幣Qは偽札ではないため、ステップS26に鑑別処理が進められる。
一方、適合する場合には、紙幣処理装置13での以後の処理を停止し、紙幣処理装置13は当該紙幣Qをユーザに返却せずに、紙幣処理装置3内部の所定のスタッカに取り込む。また、同時に、システム管理者等に通知するようにしても良い。
【0101】
このように、新たに偽札が出回り、当該偽札を紙幣処理装置3で利用できないようにするために、マスタテンプレートの更新が緊急に必要になった場合でも、ホストコンピュータ12に格納されているマスタテンプレートのみを更新することで、迅速、かつ確実に対応することが可能となる。
【0102】
なお、実施例2でも、実施例1の場合と同様に、当該ステップAは、ステップS23が実行される前のタイミングであればいつでも構わない。当該ステップAを実行するために、例えば、ユーザによる紙幣処理装置13の操作の開始時、ステップS22で画像処理終了後、等のタイミングが考えられる。
【0103】
また、実施例2では、偽札の特徴として記番号の場合を例に挙げて説明したが、実施例1と同様に、偽札の特徴として記番号に限らず、透かし絵等でも構わない。
【符号の説明】
【0104】
1,11 紙幣鑑別システム
2,12 ホストコンピュータ
3,13 紙幣処理装置
3a 表示入力画面
3b 硬貨投入口
3c 紙幣投入口
3d 通帳投入口
3e カード投入口
4,14 ネットワーク
21 格納部
22,37 通信部
23,39 鑑別部
24,38 CPU
25 送信指示部
31 保持部
32 紙幣検知部
33 センサ部
34 増幅部
35 A/D変換部
36 画像処理部
331 搬送路
332 光センサ
334a,334b,334c,334d 位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別システムにおいて、
受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成するセンサ部を有する紙葉類処理装置と、
前記紙葉類処理装置と通信可能に接続され、紙葉類ごとの特性を表し、前記センサ部で生成された前記特性情報と照合され、前記紙葉類処理装置が受け入れた前記紙葉類の状態の鑑別に用いられるマスタテンプレートを有するホストコンピュータと、
を有することを特徴とする紙葉類鑑別システム。
【請求項2】
前記紙葉類処理装置は、受け入れた前記紙葉類の状態の鑑別要求と前記特性情報とを前記ホストコンピュータに送信する通信部を有し、
前記ホストコンピュータは、前記紙葉類処理装置から前記鑑別要求と前記特性情報とを受信すると、前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、前記紙葉類処理装置が受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する鑑別部を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類鑑別システム。
【請求項3】
前記紙葉類処理装置は、
前記ホストコンピュータから前記マスタテンプレートを取得する通信部と、
取得した前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する鑑別部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の紙葉類鑑別システム。
【請求項4】
紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別方法において、
紙葉類処理装置は、受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成し、受け入れた前記紙葉類の状態の鑑別要求と前記特性情報とを送信し、
ホストコンピュータは、前記鑑別要求と前記特性情報とを受信すると、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、前記紙葉類処理装置が受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する、
ことを特徴とする紙葉類鑑別方法。
【請求項5】
紙葉類の鑑別を行う紙葉類鑑別方法において、
ホストコンピュータは、紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートを有し、
紙葉類処理装置は、受け入れた紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成し、前記ホストコンピュータから前記マスタテンプレートを取得し、取得した前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する、
ことを特徴とする紙葉類鑑別方法。
【請求項6】
紙葉類の受け入れ及び払い出しを行う紙葉類処理装置において、
受け入れた前記紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成するセンサ部と、
紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートを有し、前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別するホストコンピュータに、前記鑑別要求と前記特性情報とを送信する通信部と、
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項7】
紙葉類の受け入れ及び払い出しを行う紙葉類処理装置において、
受け入れた前記紙葉類の状態を読み取り、受け入れた前記紙葉類の特性を表す特性情報を生成するセンサ部と、
紙葉類ごとの特性を表すマスタテンプレートを有するホストコンピュータから前記マスタテンプレートを取得し、取得した前記マスタテンプレートと前記特性情報とを照合し、受け入れた前記紙葉類の状態を鑑別する鑑別部と、
を有することを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−76244(P2011−76244A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225242(P2009−225242)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】