説明

紙葉類集積装置、現金自動入出金装置及び紙葉類集積方法

【課題】従来よりも多くの枚数の紙幣を一時的に集積することができ、かつ、集積の乱れを防止することが可能な、新規かつ改良された紙葉類集積装置等を提供する。
【解決手段】紙幣集積装置4は、紙幣が投入される集積領域8と、集積領域8の下端面を開閉する開閉部14と、紙幣を開閉部14の上方で保持する保持状態と、集積領域8の外部に退避する退避状態とのいずれかの状態を取りうる保持部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類集積装置、現金自動入出金装置及び紙葉類集積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等に設置される現金自動入出金装置には、紙幣を一時的に集積する装置や機構が内蔵されており、このような装置や機構が特許文献1,2に記載されている。特許文献1に記載の紙幣収納機構は、現金自動入出金装置に投入された紙幣を一時的に集積する一時保留部と、一時保留部に集積した紙幣を受け入れる紙幣庫とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−191767号公報
【特許文献2】特開平5−12533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の紙幣収納機構は、一時保留部に集積可能な枚数よりも多い枚数の紙幣が現金自動入出金装置に投入された場合に、紙幣を一時保留部に一時集積する処理を複数回に分けて行う必要があった。したがって、特許文献1記載の紙幣収納機構には、一時保留部に集積可能な枚数よりも多くの枚数の紙幣が現金自動入出金装置に投入された場合に、処理時間が長くなるという問題があった。この問題を解決する方法として、一時保留部の集積領域を広く取るということも考えられる。しかし、この方法では、現金自動入出金装置に投入された紙幣が少数である場合に、紙幣が一時保留部内で移動できる空間が広くなるので、紙幣の集積が乱れやすくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来よりも多くの枚数の紙幣を一時的に集積することができ、かつ、集積の乱れを防止することが可能な、新規かつ改良された紙葉類集積装置、現金自動入出金装置及び紙葉類集積方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙葉類が投入される集積領域と、集積領域の下端面を開放することで、集積領域内の紙葉類である投入紙葉類が集積領域の下方に設けられる収納領域に移動可能となる下端面開放状態と、集積領域の下端面を閉塞する下端面閉塞状態とのいずれかの状態を取りうる開閉部と、投入紙葉類を開閉部の上方の位置である上方位置で保持する保持状態と、集積領域の外部に退避する退避状態とのいずれかの状態を取りうる保持部と、を備えることを特徴とする、紙葉類集積装置が提供される。
【0007】
ここで、保持部は、上方位置から集積領域の上端面までの範囲内で設定される基準位置に達するまで、保持状態を維持し、投入紙葉類が基準位置に達した後に、退避状態となり、開閉部は、保持部が前記退避状態となるまでに、下端面閉塞状態となるようにしてもよい。
【0008】
さらに、開閉部は、保持部が退避状態となってから、投入紙葉類が再び基準位置に達するまで、下端面閉塞状態を維持し、投入紙葉類が基準位置に達した後に、下端面開放状態となるようにしてもよい。
【0009】
さらに、集積領域の側面のうち、投入紙葉類の長辺に対向する長辺対向面を開放することで、操作者が投入紙葉類を集積領域から取出し可能となる側面開放状態と、長辺対向面を閉塞する側面閉塞状態とのいずれかの状態を取りうる返却部を備え、保持部は、返却部に設けられるようにしてもよい。
【0010】
さらに、保持部は、返却部が側面開放状態となる際に、返却部の内部に収納されるようにしてもよい。
【0011】
さらに、保持部を返却部の内部に収納するための収納用駆動力を力学的に発生させ、返却部が側面開放状態となる際に、収納用駆動力により、保持部を返却部の内部に収納する収納用駆動部を備えるようにしてもよい。
【0012】
さらに、集積領域の外部に設けられ、保持部が動作するための動作駆動力を保持部に伝達する伝達部を備えるようにしてもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、紙葉類が投入される集積領域と、集積領域内の紙葉類である投入紙葉類を集積領域内の第1の保持位置で保持する第1の保持状態と、投入紙葉類を集積領域内の位置のうち、第1の保持位置よりも下方の第2の保持位置で保持する第2の保持状態とのいずれかの状態を取りうる保持部と、を備えることを特徴とする、紙葉類集積装置が提供される。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記に記載の紙葉類集積装置を備え、前記紙葉類として紙幣の入出金が可能であることを特徴とする、現金自動入出金装置が提供される。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、紙葉類を集積領域に投入するステップと、集積領域内の紙葉類である投入紙葉類を、保持部により集積領域の下端面よりも上方の位置である上方位置で保持するステップと、投入紙葉類が上方位置から集積領域の上端面までの範囲内で設定される基準位置に達した後に、保持部を集積領域の外部に退避させるステップと、保持部が退避状態となるまでに、集積領域の下端面を開閉部により閉塞するステップと、を含むことを特徴とする、紙葉類集積方法が提供される。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、紙葉類を集積領域に投入するステップと、集積領域内の紙葉類である投入紙葉類を集積領域内の第1の保持位置で保持するステップと、投入紙葉類が第1の保持位置から集積領域の上端面までの範囲内で設定される基準位置に達した後に、投入紙葉類を集積領域内の位置のうち、第1の保持位置よりも下方の第2の保持位置で保持するステップと、を含むことを特徴とする、紙葉類集積方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明は、保持部が開閉部の上方で紙幣を保持するので、保持部が紙幣を保持している間は、保持部の下方の集積領域に紙幣が集積されないようにすることができる。すなわち、本発明は、集積領域の一部だけを用いて紙幣を集積することができるので、紙幣が集積領域内で移動できる空間を制限することができる。したがって、本発明は、集積領域を広くとっても、集積領域の一部だけを用いて紙幣を集積することができるので、従来よりも多くの紙幣を一時的に集積することができ、かつ、集積の乱れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る現金自動入出金装置の概略を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る紙幣集積装置及び紙幣収納装置を示す側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る伝達部等を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る伝達部等を図3と異なる視点で示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る伝達部の動作を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る伝達部の動作を示す側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る現金自動入出金装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る紙幣集積装置及び紙幣収納装置が紙幣収納時に行う動作を示す側断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る紙幣集積装置が紙幣返却時に行う動作を示す側断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る紙幣集積装置が紙幣返却時に行う動作を示す側断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る紙幣集積装置及び紙幣収納装置を示す側断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る伝達部等を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る伝達部及び収納アーム部等を示す斜視図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る伝達部及び収納アーム部等を示す平面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る現金自動入出金装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態に係る紙幣集積装置及び紙幣収納装置が紙幣収納時に行う動作を示す側断面図である。
【図17】本発明の実施形態に係る紙幣集積装置が紙幣返却時に行う動作を示す側断面図である。
【図18】本発明の実施形態に係る紙幣集積装置が紙幣返却時に行う動作を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
[本実施形態が解決しようとする課題]
本実施形態(第1の実施形態及び第2の実施形態)では、上述した課題のほか、以下の課題を解決することも目的とする。すなわち、特許文献2記載の紙幣処理装置は、現金自動入出金装置に投入された紙幣を一時的に集積する一時集積部と、一時集積部に集積した紙幣を受け入れる収納部とを有する。この紙幣処理装置では、集積領域の側面のうち、紙幣の長辺に対向する長辺対向面に、柱状の側壁が複数設けられている。したがって、この部分に返却扉を設けることができないので、引用文献2では、集積領域の側面のうち、紙幣の短辺に対向する短辺対向面に返却扉を設けている。しかし、短辺対向面は、長辺対向面よりも狭いので、この構造には、操作者が集積領域に手を入れづらいという問題、すなわち、操作者が集積領域から紙幣を取り出しにくいという問題があった。さらに、特許文献2記載の紙幣処理装置は、アクチュエータを多数使用しており、集積領域内で紙幣を載せる一時集積受板もアクチュエータを用いて作動させていたので、停電等によって電気系統が異常停止した時に、一時集積受板が集積エリア内で停止してしまう。このため、電気系統の異常停止時には、一時集積受板が紙幣取り出しの邪魔になってしまい、この点でも、操作者が集積領域から紙幣を取り出しにくくなっていた。そこで、本実施形態は、操作者が返却扉から紙幣を取り出しやすい紙幣集積装置を提供することも目的とする。
【0021】
<第1の実施形態>
[現金自動入出金装置の構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る現金自動入出金装置1の概略構成について説明する。現金自動入出金装置1は、本体1a、紙幣入金口2、紙幣鑑別部3、紙幣集積装置4、紙幣収納装置5、紙幣リジェクト口6、及び紙幣搬送路7を備える。
【0022】
本体1aは、紙幣入金口2、紙幣鑑別部3、紙幣集積装置4、紙幣収納装置5、紙幣リジェクト口6、及び紙幣搬送路7を内蔵する。紙幣入金口2は、紙幣の投入を受け付ける部分であり、操作者は、紙幣入金口2から紙幣を投入する。紙幣入金口2から投入された紙幣は、紙幣搬送路7を通って紙幣鑑別部3に搬送される。
【0023】
紙幣鑑別部3は、紙幣の種類を判別する。さらに、紙幣鑑別部3は、種類が判別できた紙幣について、表裏を判別し、枚数をカウントする。紙幣搬送路7は、紙幣鑑別部3を抜けた後に2つに分岐している。紙幣搬送路7の一方の分岐路は、紙幣リジェクト口6に繋がっており、他方の分岐路は、紙幣集積装置4に繋がっている。紙幣鑑別部3を抜けた紙幣のうち、紙幣鑑別部3により種類が判別されなかったものは、紙幣搬送路7の一方の分岐路を通って紙幣リジェクト口6から操作者に返却される。紙幣鑑別部3を抜けた紙幣のうち、紙幣鑑別部3により種類が判別されたものは、紙幣搬送路7の他方の分岐路を通って紙幣集積装置4に投入される。
【0024】
紙幣集積装置4は、紙幣鑑別部3から搬送された紙幣を集積し、紙幣収納装置5は、紙幣集積装置4が集積した紙幣を収納する。詳細は後述する。
【0025】
[紙幣集積装置4の構成]
次に、図1〜図6に基づいて、紙幣集積装置4の構成について説明する。図2、5に示すように、紙幣集積装置4は、集積領域8と、ローラ対9と、側壁10と、プッシャ11と、返却用内扉12(返却部)と、返却用外扉13と、開閉部14と、センサ15と、保持部16と、伝達部18と、駆動モータ27と、制御部28とを備える。紙幣集積装置4は、本体1aのフレームの一部であるフレーム1b上に設けられる。
【0026】
集積領域8は、紙幣が投入される領域であり、側壁10、プッシャ11、返却用内扉12、及び開閉部14により囲まれる。したがって、側壁10、プッシャ11、返却用内扉12、及び開閉部14は、紙幣を集積領域8に案内するためのガイドの役割も果たす。集積領域8は直方体となっており、その平断面は、紙幣1枚とほぼ同じ大きさとなっている。
【0027】
ローラ対9は、図示しない駆動装置により駆動されて回転する。これにより、ローラ対9は、紙幣搬送路7を通ってきた紙幣を集積領域8に投入する。すなわち、紙幣搬送路7を通ってきた紙幣は、ローラ対9の間を通って、集積領域8に投入される。なお、紙幣は、図2の手前側に短辺が、図2の左右方向に長辺がそれぞれ向くように投入される。
【0028】
側壁10は、集積領域8の長辺対向面(紙幣の長辺に対向する側面)のうち、一方の面を閉塞する。なお、側壁10の下端部には空間が形成されており、この空間に右側保持部16bが配置される。これにより、側壁10と右側保持部16bとが干渉しないようになっている。
【0029】
プッシャ11は、プッシャ本体11aと、プッシャ軸11bとを備える。プッシャ本体11aは、平板構造となっており、プッシャ軸11bに連結されている。プッシャ軸11bは、図示しない駆動装置によって駆動され、上下に(矢印A方向に)移動する。これにより、プッシャ本体11aも上下に移動する。プッシャ本体11aは、下方に移動することで、集積領域8内の紙幣を下方に押し込む。
【0030】
返却用内扉12は、図2、図3に示すように、返却用内扉本体12aと、返却用内扉補助体12b、12cと、軸12dとを備える。返却用内扉本体12aは長方形となっており、長辺の長さが集積領域8の長辺の長さとほぼ同じになっている。返却用内扉本体12aは、軸12dを介して、本体1aの図示しないフレームに設けられている。返却用内扉本体12aは、軸12dを回転軸として回転することで、集積領域8の長辺対向面のうち、他方の面を開放する側面開放状態と、当該他方の面を閉塞する側面閉塞状態とのいずれかの状態をとりうる。返却用内扉補助体12b、12cは、返却用内扉本体12aの長さ方向両端部に設けられ、返却用内扉本体12aに対して垂直になっている。返却用内扉補助体12b、12cは、返却用内扉本体12aが側面閉塞状態となった際に、集積領域8の短辺対向面(紙幣の短辺に対向する面)の一部を閉塞する。なお、図2〜図4では、返却用内扉本体12aが側面閉塞状態となっている。
【0031】
図2に示す返却用外扉13は、返却用外扉本体13aと、軸13b、13d、13eと、連結部材13cとを備える。返却用外扉本体13aは長方形となっており、図1に示すように、現金自動入出金装置1の外壁に設けられる。返却用外扉本体13aは、軸13bを介して本体1aの図示しないフレームに設けられており、軸13bを回転軸として回転自在となっている。
【0032】
連結部材13cは、軸13d、13eを介して返却用内扉本体12a及び返却用外扉本体13aに接続されており、軸13d、13eをそれぞれ回転軸として回転可能となっている。連結部材13cにより、返却用内扉12と返却用外扉13とは連動して開閉動作が可能となる。すなわち、返却用外扉13が開けられる(すなわち、図2において、返却用外扉13が左側に倒される)と、これに連動して、返却用内扉12が側面開放状態となり(図9参照)、返却用外扉13が閉じられる(すなわち、図2において、返却用外扉13が垂直に立てられる)と、これに連動して、返却用内扉12が側面閉塞状態となる(図2参照)。
【0033】
開閉部14は、左側トレイ14aと、右側トレイ14bとを備える。左側トレイ14a、及び右側トレイ14bは、図示しない駆動装置により駆動されて、左右に(矢印B方向に)移動可能となっている。これにより、開閉部14は、集積領域8の下端面を開放する下端面開放状態と、集積領域8の下端面を閉塞する下端面閉塞状態とのいずれかの状態を取りうる。開閉部14が下端面開放状態となっている場合、左側トレイ14aと右側トレイ14bとの間には、紙幣が通過可能な空間が形成され、開閉部14が下端面閉塞状態となっている場合、左側トレイ14aと右側トレイ14bとが接触する。
【0034】
センサ15は、集積領域8の上端面8aの近傍に設けられ、紙幣が上端面8aに達した際に、その旨の検知情報を制御部27に出力する。
【0035】
保持部16は、左側保持部16aと、右側保持部16bとを備える。左側保持部16a及び右側保持部16bは、後述するように、駆動モータ26の駆動力が伝達部18により伝達されて駆動し、集積領域8の内部に同時に突出する状態(図2参照)と、集積領域8の外部に同時に退避する状態(図8(b)参照)とのいずれかの状態を取りうる。ここで、左側保持部16a及び右側保持部16bが同時に集積領域8の内部に突出した場合、左側保持部16a及び右側保持部16bによって紙幣を保持することが可能となる。したがって、保持部16は、紙幣を開閉部14の上方で保持する保持状態と、集積領域8の外部に退避する退避状態とのいずれかの状態をとりうる。なお、保持部16が保持状態となった場合に、左側保持部16aの上端面と右側保持部16bの上端面とは、同一水平面上に配置される。これにより、保持部16は、紙幣を水平に保持することができる。保持部16は、紙幣が集積領域8の上端面8aに達するまで、紙幣を保持することができる。保持部16が保持することができる紙幣の枚数は任意であるが、例えば100枚程度としてもよい。保持部16が退避状態となることで、紙幣が落下する。本実施形態では、保持部16が退避状態となるまでに、開閉部14が下端面閉塞状態となっているので、落下した紙幣は、開閉部14によって保持される。左側保持部16は、退避状態となることで、返却用内扉12の内部に収納される。
【0036】
伝達部18は、左側保持部16a及び右側保持部16bを駆動させるための駆動力を左側保持部16a及び右側保持部16bに伝達する。これにより、左側保持部16a及び右側保持部16bが動作する(すなわち、状態を変化させる)。伝達部18は、図3〜図6に示すように、左側第1リンク部材19と、左側保持部固定軸20と、左側第2リンク部材21と、右側第1リンク部材22と、右側保持部固定軸23と、右側第2リンク部材24と、カム25と、カム駆動部26とを備える。伝達部13の構成要素は、すべて集積領域8の外部に配置されている。なお、図3や図4では、保持部16は保持状態となっている。
【0037】
左側第1リンク部材19は、リンク本体19aと、軸19bと、コロ19cと、バネ19d(収納用駆動部)とを備える。
【0038】
リンク本体19aは、返却用内扉補助体12bに軸19bを介して設けられ、軸19bを回転軸として回転可能となっている。コロ19cは、リンク本体19aの上端部に設けられ、カム本体25aに接触している。バネ19dは、コロ19cが常にカム本体25aに接触するように、矢印Cの方向の力(収納用駆動力)を発生する。したがって、カム本体25aが回転すると、コロ19cがカム本体25aに接触するように移動するので、これに応じて、リンク本体19aが回転する。
【0039】
左側保持部固定軸20は、左側第1リンク部材19のリンク本体19aと、左側第2リンク部材21のリンク本体21aとに固定されており、これらのリンク本体19a、21aと一体となって動作する。左側保持部固定軸20には、複数個の左側保持部16aが間隔を開けて設けられている。左側保持部16aは、左側保持部固定軸20に固定されており、左側保持部固定軸20と一体となって動作する。
【0040】
左側第2リンク部材21は、リンク本体21aと、軸21bとを備える。リンク本体21aは、返却用内扉補助体12cに軸21bを介して設けられ、軸21bを回転軸として回転可能となっている。なお、軸21bは、左側第1リンク部材19の軸19bと同軸上に設けられる。
【0041】
したがって、左側保持部16aは、左側保持部固定軸20、左側第1リンク部材19、及び左側第2リンク部材21を介して、返却用内扉12に設けられることとなる。
【0042】
右側第1リンク部材22は、リンク本体22aと、軸22bと、コロ22cと、バネ22d(収納用駆動部)とを備える。
【0043】
リンク本体22aは、本体1aの図示しないフレームに軸22bを介して設けられ、軸22bを回転軸として回転可能となっている。軸22bは、左側第1リンク部材19の軸19bと同一水平面上に設けられる。コロ22cは、リンク本体22aの上端部に設けられ、カム本体25aに接触している。バネ22dは、コロ22cが常にカム本体25aに接触するように、矢印Dの方向の力(収納用駆動力)を発生する。したがって、カム本体25aが回転すると、コロ22cがカム本体25aに接触するように移動するので、これに応じて、リンク本体22aが回転する。
【0044】
右側保持部固定軸23は、右側第1リンク部材22のリンク本体22aと、右側第2リンク部材24のリンク本体24aとに固定されており、これらのリンク本体22a、24aと一体となって動作する。右側保持部固定軸23には、複数個の右側保持部16bが間隔を開けて設けられている。右側保持部16bは、右側保持部固定軸23に固定されており、右側保持部固定軸23と一体となって動作する。なお、右側保持部16bは、左側保持部16aに対向する位置に設けられている。また、右側保持部固定軸23は、保持部16が保持状態となった際に、左側保持部固定軸20と同一水平面上に配置される。
【0045】
右側第2リンク部材24は、リンク本体24aと、軸24bとを備える。リンク本体24aは、本体1aの図示しないフレームに軸24bを介して設けられ、軸24bを回転軸として回転可能となっている。なお、軸24bは、右側第1リンク部材22の軸22bと同軸上に設けられる。
【0046】
カム25は、カム本体25aと、回転伝達部25bと、軸25cとを有する。カム本体25aは、カム形状となっており、軸25cを回転軸として右方向に(矢印E方向に)回転可能となっている。なお、軸25cと、左側第1リンク部材19の軸19bと、右側第1リンク部材22の軸22bとは、同一平面状に配置される。回転伝達部25bは、カム本体25aと一体となっており、軸25cを回転軸として回転する。
【0047】
カム駆動部26は、駆動ギア26a、26bを有する。駆動ギア26aは、駆動モータ27により駆動されて、回転する。駆動ギア26bは、駆動ギア26a及び回転伝達部25bにかみ合っており、駆動ギア26aの回転を回転伝達部25bに伝達する。これにより、駆動モータ27が駆動すると、駆動モータ27の駆動力がカム駆動部26及び回転伝達部25bを介してカム本体部25aに伝達される。これにより、カム本体部25aが回転する。上述したように、保持部16は、カム本体部25aの回転に連動して動作する。したがって、伝達部18は、駆動モータ27の駆動力を保持部16に伝達することとなる。
【0048】
駆動モータ27は、制御部28による制御を受けて駆動し、駆動ギア26aを回転させる。制御部28は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信装置等のハードウェア構成を有し、紙幣集積装置4及び紙幣収納装置5の各構成要素を駆動する駆動装置(例えば、駆動モータ27)を制御する。
【0049】
[紙幣収納装置の構成]
次に、図2に基づいて、紙幣収納装置5の構成を説明する。紙幣収納装置5は、カセットカバ40と、シャッタ41と、側壁42と、収納アーム部43と、ステージ44と、収納領域45とを備える。
【0050】
カセットカバ40は、シャッタ41、側壁42、収納アーム部43、ステージ44、及び収納領域45を上方から覆う。なお、カセットカバ40の上端面及び右側面には、それぞれ空間が形成されており、上端面の空間を紙幣が通過し、右側面の空間をシャッタ41が通過するようになっている。
【0051】
シャッタ41は、図示しない駆動装置により駆動されて、左右方向に(矢印F方向に)移動可能となっている。これにより、シャッタ41は、側壁42、収納アーム部43、ステージ44、及び収納領域45を上方から覆う上方閉塞状態と、側壁42、収納アーム部43、ステージ44、及び収納領域45の上方を開放する上方開放状態とのいずれかの状態を取りうる。なお、図2では、シャッタ41は上方閉塞状態となっている。
【0052】
側壁42は、上下端面が開口した筒形状の部材であり、側壁42の内部に紙幣が収納される。すなわち、側壁42の内部の空間が収納領域45となっている。側壁42の平断面は、紙幣とほぼ同じ大きさの長方形となっている。また、側壁42の一部は開閉部材で構成され、この開閉部材を開けることで、収納領域45に収納された紙幣を取り出すことが可能となっている。
【0053】
収納アーム部43は、左側収納アーム本体43aと、右側収納アーム本体43cと、軸43b、43dとを備える。
【0054】
左側収納アーム本体43aは、軸43bを回転軸として矢印G方向に回転可能となっており、右側収納アーム本体43cは、軸43dを回転軸として矢印H方向に回転可能となっている。これにより、収納アーム部43は、収納領域45の上端面を開放する収納領域開放状態と、収納領域45の上端面を閉塞する収納領域閉塞状態とのいずれかの状態をとりうる。軸43b、43dは、図示しない駆動装置により駆動される。なお、図2では、収納アーム部43は収納領域閉塞状態となっている。
【0055】
トレイ44は、側壁42の下端面を閉塞する一方で、図示しない駆動手段により駆動されて、上下に移動することが可能になっている。なお、トレイ44は、図2の位置に配置されているときに、収納領域45の下端面を閉塞することとなる。
【0056】
収納領域45は、紙幣が収納される領域であり、側壁42の内部に形成される。なお、図2では、収納領域45に紙幣M1の束が収納されている。
【0057】
[伝達部及び保持部の動作]
次に、伝達部18及び保持部16の動作を図5及び図6に基づいて説明する。図5では、保持部16は保持状態となっている。カム本体25aが図5に示す位置から矢印E方向に回転すると、コロ22cがカム本体25aによって押されるので、リンク本体22aが左回転する。一方、コロ19cがバネ19dによってカム本体25a側に押されるので、リンク本体19aが右回転する。その後、カム本体25cが図6に示す位置(図5に示す位置からほぼ180度回転した位置)に来た際に、保持部16は退避状態となる。カム本体25aが図6に示す位置からさらに矢印E方向に回転すると、コロ19cがカム本体25aによって押されるので、リンク本体19aが左回転する。一方、コロ22cがバネ22dによってカム本体25a側に押されるので、リンク本体22aが右回転する。カム本体25cが図5に示す位置に戻ると、保持部16も保持状態に戻る。
【0058】
[紙幣収納時の動作]
次に、現金自動入出金装置1に紙幣が投入されてから紙幣が紙幣収納装置5に収納されるまでに現金自動入出金装置1が行う一連の動作を、図1、図5、図7〜図9に基づいて説明する。なお、ここでは、制御部28が行う処理を中心に説明する。また、紙幣M1は、すでに収納領域45に収納された紙幣であり、紙幣M2は、新たに集積、収納される紙幣を示す。
【0059】
操作者が紙幣入金口2から紙幣M2を投入すると、その紙幣M2は紙幣搬送路7を通って、紙幣鑑別部3に送られる。紙幣鑑別部3は、紙幣M2の種類を判別する。さらに、紙幣鑑別部3は、種類が判別できた紙幣M2について、表裏を判別し、枚数をカウントする。紙幣鑑別部3は、処理結果に関する処理結果情報を制御部28に出力する。その後、種類が判別された紙幣M2は紙幣集積装置4へ、種類が判別されなかった紙幣M2は紙幣リジェクト口6へ、それぞれ搬送される。
【0060】
なお、制御部28は、紙幣M2が投入される前に、紙幣集積装置4及び紙幣集積装置5を初期状態にセットする。具体的には、制御部28は、図8(a)に示すように、保持部16を保持状態に、開閉部14を下端面閉塞状態にそれぞれセットする。さらに、制御部28は、プッシャ本体11aの下端面がローラ対9の間(すなわち、紙幣M2が集積領域8に投入される部分)とほぼ同一水平面上に配置されるように、プッシャ本体11aの位置を調整する。また、制御部28は、シャッタ41を上方閉塞状態に、収納アーム部43を収納領域閉塞状態にそれぞれセットする。さらに、制御部28は、紙幣M1の上端面が収納領域45の上端面に一致するように、トレイ44の位置を調整する。なお、制御部28は、収納領域45に紙幣M1が収納されていない場合、トレイ44の上端面が収納領域45の上端面に一致するように、トレイ44の位置を調整する。
【0061】
制御部28は、処理結果情報を受信すると、図7に示すステップS1にて、紙幣M2の集積を開始する。具体的には、制御部28は、ローラ対9を回転させる。これにより、紙幣集積装置4に搬送された紙幣M2は、ローラ対9の間を通って、集積領域8に投入される。投入された紙幣M2は、返却用内扉12等にガイドされて落下し、図8(a)に示すように、保持部16上に集積される。すなわち、保持部16は、集積領域8内の紙幣M2である投入紙幣を、開閉部14の上方の位置である上方位置で保持する。
【0062】
ステップS2にて、制御部28は、集積領域8への紙幣M2の投入が終了したかを判定し、終了したと判定した場合には、ステップS7に進み、終了したと判定しない場合には、ステップS3に進む。なお、制御部28は、例えば、紙幣M2が所定時間ローラ対9を通過しなかった場合に、集積領域8への紙幣M2の投入が終了したと判定する。
【0063】
ステップS3にて、制御部28は、センサ15から検知情報を受信したかを判定し、受信したと判定した場合には、ステップS4に進み、受信したと判定しない場合には、ステップS2に戻る。ここで、紙幣M2が集積領域8の上端面8aに達すると、センサ15が検知情報を制御部28に出力する。例えば、図8(a)では、紙幣M2が上端面8aに達しているので、センサ15は、検知情報を制御部28に出力する。
【0064】
ステップS4にて、制御部28は、図8(b)に示すように、保持部16を退避状態とする。これにより、紙幣M2の束が開閉部14上に落下する。保持部16が退避状態となった後は、開閉部14が紙幣M2を保持する。なお、紙幣M2の束が開閉部14上に落下することで、紙幣M2の束の上端面と集積領域8の上端面8aとの間に空間が形成される。したがって、図8(c)に示すように、紙幣M2をさらに集積領域8に集積することが可能となる。
【0065】
ステップS5にて、制御部28は、集積領域8への紙幣の投入が終了したかを判定し、終了したと判定した場合には、ステップS7に進み、終了したと判定しない場合には、ステップS6に進む。
【0066】
ステップS6にて、制御部28は、センサ15から検知情報を受信したかを判定し、受信したと判定した場合には、ステップS7に進み、受信したと判定しない場合には、ステップS5に戻る。
【0067】
ステップS7にて、制御部28は、ローラ対9を停止する。これにより、制御部28は、集積を終了する。
【0068】
このように、紙幣集積装置4は、紙幣M2を2段階に分けて集積する。すなわち、紙幣集積装置4は、1段階目では、保持部16を保持状態とすることで、保持部16上に紙幣M2を集積する。このとき、保持部16の下方の集積領域8には紙幣M2が集積されないので、紙幣集積装置4は、集積領域8の一部だけを使用して紙幣M2を集積することになる。このように、紙幣集積装置4は、1段階目、すなわち紙幣M2の量が少ない段階では、集積領域8の一部だけを使用することで、紙幣M2が集積領域8で移動できる空間を制限する。そして、紙幣集積装置4は、2段階目、すなわち紙幣M2の量が増えてきた段階で、保持部16を退避状態とする。これにより、紙幣集積装置4は、集積領域8全体を使用して、紙幣M2を集積する。したがって、1段階目、すなわち紙幣M2の枚数が少ない段階では、集積領域8の一部だけが使用されるので、従来よりも集積領域8を広くしても、集積の乱れが防止される。
【0069】
ステップS8にて、制御部28は、処理結果情報に基づいて、入金された金額を算出し、図示しないディスプレイに表示する。
【0070】
ステップS9にて、制御部28は、操作者による選択を受け付ける。これに応じて、操作者は、入金するか入金を取り消すかを図示しない操作装置(タッチパネル等)を用いて選択する。
【0071】
ステップS10にて、制御部28は、操作者が入金を選択したかを判定し、入金を選択したと判定した場合には、ステップS11に進み、入金を選択したと判定しない場合には、ステップS12に進む。
【0072】
ステップS11にて、制御部28は、収納処理を行う。具体的には、制御部28は、図8(d)に示すように、プッシャ本体11aを下げ、紙幣M2に接触させる。ついで、制御部28は、図8(e)に示すように、シャッタ41を上方開放状態に、収納アーム部43を収納領域開放状態に、それぞれセットする。
【0073】
ついで、制御部28は、図8(f)に示すように、トレイ44を受渡位置まで上昇させる。具体的には、制御部28は、紙幣M1の束が開閉部14の直下に配置されるように、トレイ44の位置を調整する。なお、制御部28は、トレイ44に紙幣M1が載っていない場合、トレイ44が開閉部14の直下に配置されるように、トレイ44の位置を調整する。
【0074】
ついで、制御部28は、図8(g)に示すように、開閉部14を下端面開放状態とする。ついで、制御部28は、図8(h)に示すように、プッシャ11aを用いて、集積領域8内の紙幣M2を押し下げ、トレイ44に載せる。
【0075】
ついで、制御部28は、図8(i)に示すように、紙幣M2の束の上端面が収納領域45の上端面に一致するまで、トレイ44を下方に移動させる。ついで、制御部28は、図8(j)に示すように、収納アーム部43を収納領域閉塞状態にセットする。このとき、収納アーム部43の収納アーム本体43a、43cは、プッシャ本体11aの下端面に貼りついた紙幣M2を掻き落としながら、収納領域閉塞状態に戻る。ついで、制御部28は、図8(j)に示すように、シャッタ41を上方閉塞状態にセットする。
【0076】
ついで、制御部28は、図8(k)に示すように、プッシャ本体11aを初期状態の位置に戻し、図8(l)に示すように、開閉部14を下端面閉塞状態に、保持部16を保持状態にそれぞれセットする。これにより、収納処理が終了する。
【0077】
一方、制御部28は、ステップS12にて、返却処理を行う。すなわち、制御部28は、保持部16を強制的に退避状態とする。その後、図9に示すように、操作者100は、返却用外扉13の図示しないロックを外して、返却用外扉13を開ける。これにより、返却用外扉13に連結されている返却用内扉12も開けられ、側面開放状態となる。ここで、返却用内扉12に設けられている左側保持部16aも、返却用内扉12と一体となって移動する。左側保持部16aは、すでに退避状態とされ、かつ、バネ19dによって矢印C方向の力が作用しているので、移動後も退避状態(ここでは、返却用内扉12の内部に収納される状態)を維持している。したがって、紙幣M2の返却時に左側保持部16aが操作者100の邪魔にならないので、操作者100は従来よりも容易に紙幣M2を取り出すことができる。なお、返却用内扉12は、側面開放状態となった際に、下端部が紙幣M2の束を持ち上げるので、この点でも、操作者100は紙幣M2の束を取りやすくなっている。
【0078】
制御部28は、操作者が紙幣M2を取り出し、返却用外扉13を閉めた後に、紙幣集積装置4及び紙幣収納装置5を初期状態に戻す。これにより、返却処理が終了する。
【0079】
[異常停止時の動作]
次に、現金自動入出金装置1の電気系統が停電等により異常停止した場合に行う動作について説明する。
【0080】
図10に示すように、操作者100は、返却用外扉13の図示しないロックを外して、返却用外扉13を開ける。これにより、返却用外扉13に連結されている返却用内扉12も開けられ、側面開放状態となる。ここで、返却用内扉12に設けられている左側保持部16aも、返却用内扉12と一体となって移動する。左側保持部16aは、返却用内扉12が開けられる前は、保持状態となっている。しかし、左側保持部16aは、返却用内扉12と一体となって移動すると、コロ19cがカム本体25aから離れる。その後、左側保持部16aは、バネ19dによる矢印C方向の力により、同方向に回転する。これにより、左側保持部16aは、上述した返却処理のときと同様に、退避状態となる。したがって、紙幣M2の返却時に左側保持部16aが操作者100の邪魔にならないので、操作者100は従来よりも容易に紙幣M2を取り出すことができる。なお、返却用内扉12は、側面開放状態となった際に、下端部が紙幣M2の束を持ち上げるので、この点でも、操作者100は紙幣M2の束を取りやすくなっている。
【0081】
以上により、本実施形態に係る紙幣集積装置4は、集積を2段階で行うので、従来よりも集積領域8を広くしても、集積の乱れを防止することができる。したがって、紙幣集積装置4は、従来よりも多くの枚数の紙幣を一時的に集積することができ、かつ、集積の乱れを防止することができる。
【0082】
具体的には、紙幣集積装置4は、紙幣M2が基準位置(ここでは集積領域8の上端面8a)に達するまで、保持部16を用いて紙幣M2を保持し、その後、開閉部14を用いて紙幣M2を保持することができる。なお、この基準位置は、保持部16が紙幣M2を保持する位置である上方位置から上端面8aまでの範囲内であれば、任意で設定可能である。
【0083】
さらに、左側保持部16aは、返却用内扉12に設けられているので、返却用内扉12が側面開放状態となる際に、返却用内扉12と一体となって移動する。したがって、紙幣集積装置4は、紙幣M2の返却時に左側保持部16aが操作者の邪魔にならないようにすることができるので、操作者は、従来よりも紙幣M2を取り出しやすくなる。
【0084】
さらに、左側保持部16aは、返却用内扉12が側面開放状態となる際に、返却用内扉12の内部に収納される。したがって、紙幣集積装置4は、この点においても、紙幣M2の返却時に左側保持部16aが操作者の邪魔にならないようにすることができる。
【0085】
さらに、左側保持部16aは、返却用内扉12が側面開放状態となる際に、バネ19dによる矢印C方向の力により、同方向に回転する。これにより、左側保持部16aは、返却用内扉12の内部に収納される。ここで、バネ19dによる力は、力学的に発生するものであるので、現金自動入出金装置1の電気系統が異常停止しても失われることがない。したがって、左側保持部16aは、現金自動入出金装置1の電気系統が異常停止しても、返却用内扉12が側面開放状態となる際に、返却用内扉12の内部に収納される。
【0086】
さらに、伝達部18の構成要素は、集積領域8の外側に配置されるので、紙幣集積装置4は、伝達部18が紙幣集積の妨げにならないようにすることができる。
【0087】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態との主な相違点は、保持部16の代わりに保持部200を備えること、開閉部14を備えていないことである。以下、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点を説明し、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0088】
[紙幣集積装置4の構成]
まず、図11及び図12等に基づいて、紙幣集積装置4の構成について説明する。図11に示すように、紙幣集積装置4は、集積領域8と、ローラ対9と、側壁10と、プッシャ11と、返却用内扉12(返却部)と、返却用外扉13と、センサ15a、15bと、保持部200と、伝達部210と、駆動モータ220と、制御部230とを備える。紙幣集積装置4は、本体1aのフレームの一部であるフレーム1b上に設けられる。
【0089】
側壁10は、集積領域8の長辺対向面(紙幣の長辺に対向する側面)のうち、一方の面を閉塞する。なお、側壁10には上下方向に切り欠きが形成されており、この切り欠きに右側保持部202が配置される。これにより、側壁10と右側保持部202とが干渉しないようになっている。
【0090】
返却用内扉12は、返却用内扉本体12aと、返却用内扉補助体12b、12c(図3参照)とを備え、左側保持部固定軸211を回転中心として回転可能となっている。後述するように、左側保持部固定軸211は、左側保持部201の回転軸となっている。即ち、第2の実施形態では、左側保持部固定軸211は、返却用内扉12と左側保持部201との共通の回転軸となっている。ただし、左側保持部固定軸211は、スラスト方向のみ返却用内扉12に規制され、返却用内扉12に対して自由に回転可能となっている。即ち、返却用内扉12と左側保持部201とは互いに自由に回転可能となっている。
【0091】
返却用内扉本体12aは長方形となっており、長辺の長さが集積領域8の長辺の長さとほぼ同じになっている。返却用内扉本体12aは、左側保持部固定軸211を回転軸として回転することで、集積領域8の長辺対向面のうち、他方の面を開放する側面開放状態と、当該他方の面を閉塞する側面閉塞状態とのいずれかの状態をとりうる。
【0092】
センサ15a、15bは、集積領域8の上端面8aの近傍に設けられ、紙幣が上端面8aに達した際に、その旨の検知情報を制御部230に出力する。即ち、センサ15aは、返却用内扉12の上側に設けられ、センサ15bは、ローラ対9の下方に設けられる。センサ15aは、検知用の光線15cを、集積領域8の上端面8aに向けて照射し、センサ15bは、光線15cを受信する。この光線15cは、紙幣が集積領域8の上端面8aに達した際に、投入紙葉類によって遮られる。センサ15bは、光線15cを受信できなくなった際、即ち、紙幣が上端面8aに達した際に、その旨の検知情報を制御部230に出力する。
【0093】
保持部200は、図11及び図12に示すように、左側保持部201と、右側保持部202とを備える。左側保持部201は、第1の保持面201aと、第2の保持面201bとを有する。これらの保持面201a、201bがなす角α1は、90度以上であることが望ましい。角α1をこのように設定することで、左側保持部固定軸211を集積領域8の外部に配置することができるからである。左側保持部201は、左側保持部固定軸211に固定されており、左側保持部固定軸211と一体となって矢印201c方向に回転可能となっている。
【0094】
一方、右側保持部202は、第1の保持面202aと、第2の保持面202bと、凹部202dとを有する。これらの保持面202a、202bがなす角α2は、90度以上であることが望ましい。角α2をこのように設定することで、右側保持部固定軸212を集積領域8の外部に配置することができるからである。右側保持部202は、右側保持部固定軸212に固定されており、右側保持部固定軸212と一体となって矢印202c方向に回転可能となっている。また、凹部202dは、左側保持部201に対向している。
【0095】
左側保持部固定軸211及び右側保持部固定軸212は、後述するように、駆動モータ220の駆動力により回転する。これにより、左側保持部201及び右側保持部202が回転することができる。左側保持部201及び右側保持部202は、図11に示すように、第1の保持面201a、202aが集積領域8の内部に突出し、かつ、同一水平面上に配置される第1の保持状態となりうる。第1の保持状態では、左側保持部201及び右側保持部202は、集積領域8内の第1の保持位置(即ち、第1の保持面201a、202aの位置)で紙幣を水平に保持することができる。また、凹部202dは、左側保持部201に対向しているので、第1の保持面202aの間に第1の保持面201aが配置される。言い換えれば、第1の保持面202aによる保持力が弱くなる箇所に第1の保持面201aが配置される。したがって、左側保持部201及び右側保持部202は、紙幣を安定して保持することができる。
【0096】
左側保持部固定軸211及び右側保持部固定軸212は、紙幣が集積領域8の上端面8aに達するまで、紙幣を保持することができる。保持部16が保持することができる紙幣の枚数は任意であるが、例えば100枚程度としてもよい。
【0097】
紙幣が集積領域8の上端面8aに達した際、左側保持部201及び右側保持部202は、図16(b)に示すように、第2の保持面201b、202bが集積領域8の内部に突出し、かつ、同一水平面上に配置される第2の保持状態となりうる。第2の保持面201b、202bが形成する水平面は、第1の保持状態の水平面よりも下方に配置される。即ち、第2の保持状態では、左側保持部201及び右側保持部202は、紙幣を集積領域8内の位置のうち第1の保持位置よりも下方の第2の保持位置(即ち、第2の保持面201b、202bの位置)で保持することができる。なお、第2の保持面201b、202bが形成する水平面は、本第2の実施形態では、集積領域8の下端面となる。これにより、紙幣の束の上端面と集積領域8の上端面8aとの間に空間が形成されるので、集積領域8に新たな紙幣を集積させることができる。
【0098】
さらに紙幣が集積領域8の上端面8aに達した後、左側保持部201及び右側保持部202は、図16(g)に示すように、集積領域8の外部に同時に退避する状態になりうる。これにより、集積領域8内の紙幣が下方に落下する。
【0099】
伝達部210は、左側保持部201及び右側保持部202を駆動させるための駆動力を左側保持部201及び右側保持部202に伝達する。これにより、左側保持部202及び右側保持部202が動作する(すなわち、状態を変化させる)。伝達部210は、図11〜図12に示すように、左側保持部固定軸211と、右側保持部固定軸212と、駆動ギア213、214とを備える。
【0100】
左側保持部固定軸211は、駆動ギア213の回転軸となっており、駆動ギア213と一体となって回転する。右側保持部固定軸212は、駆動ギア214の回転軸となっており、駆動ギア214と一体となって回転する。駆動ギア214は、駆動ギア213と駆動モータ220の駆動ギア220aとに咬み合っている。駆動ギア213、214は、集積領域8の外部に配置される。
【0101】
駆動モータ220は、駆動ギア220aを備え、制御部230による制御を受けて駆動ギア220aを駆動する。これにより、駆動モータ220は、駆動ギア213、214を駆動させる。制御部230は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信装置等のハードウェア構成を有し、紙幣集積装置4及び紙幣収納装置5の各構成要素を駆動する駆動装置(例えば、駆動モータ220)を制御する。
【0102】
[紙幣収納装置の構成]
次に、図11、図13、14等に基づいて、紙幣収納装置5の構成を説明する。紙幣収納装置5は、カセットカバ40と、シャッタ41と、側壁42と、収納アーム部43と、ステージ44と、収納領域45とを備える。
【0103】
収納アーム部43は、左側収納アーム本体43aと、右側収納アーム本体43cと、軸43b、43dとを備える。
【0104】
左側収納アーム本体43aは、軸43bを回転軸として矢印G方向に回転可能となっており、右側収納アーム本体43cは、軸43dを回転軸として矢印H方向に回転可能となっている。これにより、収納アーム部43は、収納領域45の上端面を開放する収納領域開放状態と、収納領域45の上端面を閉塞する収納領域閉塞状態とのいずれかの状態をとりうる。軸43b、43dは、図示しない駆動装置により駆動される。なお、図11では、収納アーム部43は収納領域閉塞状態となっている。
【0105】
また、図13に示すように、左側収納アーム部材43aには、凹部43eが形成されており、凹部43eが右側収納アーム部材43cに対向している。したがって、左側収納アーム部材43aの間に右側収納アーム部材43cが配置される。言い換えれば、左側収納アーム部材43aによる保持力が弱くなる箇所に右側収納アーム部材43cが配置される。したがって、左側収納アーム部材43a及び右側収納アーム部材43cは、紙幣を安定して保持することができる。
【0106】
また、図14に示すように、左側収納アーム部材43aの凹部43eの上側に左側保持部201が配置され、右側収納アーム部材43cの上側に右側保持部202の凹部202dが配置される。即ち、これらの構成要素は互いにスラスト方向の位相が異なる。これにより、これらの構成要素は、回転動作時に互いに干渉しないこととなる。
【0107】
[紙幣収納時の動作]
次に、現金自動入出金装置1に紙幣が投入されてから紙幣が紙幣収納装置5に収納されるまでに現金自動入出金装置1が行う一連の動作を、図11、図15〜図16に基づいて説明する。なお、ここでは、制御部230が行う処理を中心に説明する。また、紙幣M1は、すでに収納領域45に収納された紙幣であり、紙幣M2は、新たに集積、収納される紙幣を示す。
【0108】
操作者が紙幣入金口2から紙幣M2を投入すると、その紙幣M2は紙幣搬送路7を通って、紙幣鑑別部3に送られる。紙幣鑑別部3は、紙幣M2の種類を判別する。さらに、紙幣鑑別部3は、種類が判別できた紙幣M2について、表裏を判別し、枚数をカウントする。紙幣鑑別部3は、処理結果に関する処理結果情報を制御部230に出力する。その後、種類が判別された紙幣M2は紙幣集積装置4へ、種類が判別されなかった紙幣M2は紙幣リジェクト口6へ、それぞれ搬送される。
【0109】
なお、制御部230は、紙幣M2が投入される前に、紙幣集積装置4及び紙幣集積装置5を初期状態にセットする。具体的には、制御部230は、図16(a)に示すように、保持部200を第1の保持状態にセットする。また、制御部230は、シャッタ41を上方閉塞状態に、収納アーム部43を収納領域閉塞状態にそれぞれセットする。さらに、制御部230は、紙幣M1の上端面が収納領域45の上端面に一致するように、トレイ44の位置を調整する。なお、制御部230は、収納領域45に紙幣M1が収納されていない場合、トレイ44の上端面が収納領域45の上端面に一致するように、トレイ44の位置を調整する。
【0110】
制御部230は、処理結果情報を受信すると、図15に示すステップS20にて、紙幣M2の集積を開始する。具体的には、制御部230は、ローラ対9を回転させる。これにより、紙幣集積装置4に搬送された紙幣M2は、ローラ対9の間を通って、集積領域8に投入される。投入された紙幣M2は、返却用内扉12等にガイドされて落下し、図16(a)に示すように、保持部200上に集積される。すなわち、保持部200は、集積領域8内の紙幣M2である投入紙幣を、第1の保持位置で保持する。
【0111】
ステップS21にて、制御部230は、集積領域8への紙幣M2の投入が終了したかを判定し、終了したと判定した場合には、ステップS26に進み、終了したと判定しない場合には、ステップS22に進む。なお、制御部230は、例えば、紙幣M2が所定時間ローラ対9を通過しなかった場合に、集積領域8への紙幣M2の投入が終了したと判定する。
【0112】
ステップS22にて、制御部230は、センサ15bから検知情報を受信したかを判定し、受信したと判定した場合には、ステップS23に進み、受信したと判定しない場合には、ステップS21に戻る。ここで、紙幣M2が集積領域8の上端面8aに達すると、センサ15bが検知情報を制御部230に出力する。例えば、図16(a)では、紙幣M2が上端面8aに達しているので、センサ15は、検知情報を制御部230に出力する。
【0113】
ステップS23にて、制御部230は、図16(b)に示すように、保持部200を第2の保持状態とする。これにより、保持部200は、第1の保持位置よりも下方の第2の保持位置にて紙幣M2の束を保持する。また、紙幣M2の束の上端面と集積領域8の上端面8aとの間に空間が形成される。したがって、図16(c)に示すように、紙幣M2をさらに集積領域8に集積することが可能となる。
【0114】
ステップS24にて、制御部230は、集積領域8への紙幣の投入が終了したかを判定し、終了したと判定した場合には、ステップS26に進み、終了したと判定しない場合には、ステップS25に進む。
【0115】
ステップS25にて、制御部230は、センサ15bから検知情報を受信したかを判定し、受信したと判定した場合には、ステップS26に進み、受信したと判定しない場合には、ステップS24に戻る。
【0116】
ステップS26にて、制御部230は、ローラ対9を停止する。これにより、制御部230は、集積を終了する。
【0117】
このように、紙幣集積装置4は、紙幣M2を2段階に分けて集積する。すなわち、紙幣集積装置4は、1段階目では、保持部200を第1の保持状態とすることで、紙幣M2を第1の保持位置で集積する。このとき、第1の保持位置の下方の集積領域8には紙幣M2が集積されないので、紙幣集積装置4は、集積領域8の一部だけを使用して紙幣M2を集積することになる。このように、紙幣集積装置4は、1段階目、すなわち紙幣M2の量が少ない段階では、集積領域8の一部だけを使用することで、紙幣M2が集積領域8で移動できる空間を制限する。そして、紙幣集積装置4は、2段階目、すなわち紙幣M2の量が増えてきた段階で、保持部200を第2の保持状態とする。これにより、紙幣集積装置4は、集積領域8全体を使用して、紙幣M2を集積する。したがって、1段階目、すなわち紙幣M2の枚数が少ない段階では、集積領域8の一部だけが使用されるので、従来よりも集積領域8を広くしても、集積の乱れが防止される。
【0118】
ステップS27にて、制御部230は、処理結果情報に基づいて、入金された金額を算出し、図示しないディスプレイに表示する。
【0119】
ステップS28にて、制御部230は、操作者による選択を受け付ける。これに応じて、操作者は、入金するか入金を取り消すかを図示しない操作装置(タッチパネル等)を用いて選択する。
【0120】
ステップS29にて、制御部230は、操作者が入金を選択したかを判定し、入金を選択したと判定した場合には、ステップS30に進み、入金を選択したと判定しない場合には、ステップS31に進む。
【0121】
ステップS30にて、制御部230は、収納処理を行う。具体的には、制御部230は、図16(d)に示すように、プッシャ本体11aを下げ、紙幣M2に接触させる。ついで、制御部230は、図16(e)に示すように、シャッタ41を上方開放状態に、収納アーム部43を収納領域開放状態に、それぞれセットする。
【0122】
ついで、制御部230は、図16(f)に示すように、トレイ44を受渡位置まで上昇させる。具体的には、制御部230は、紙幣M1が収納アーム部43の近傍に配置されるように、トレイ44の位置を調整する。なお、制御部230は、トレイ44に紙幣M1が載っていない場合、トレイ44を収納アーム部43の近傍に配置する。
【0123】
ついで、制御部230は、図16(g)に示すように、保持部200を待避状態とする。ついで、制御部230は、図16(h)に示すように、プッシャ11aを用いて、集積領域8内の紙幣M2を押し下げ、トレイ44に載せる。
【0124】
ついで、制御部230は、図16(i)に示すように、紙幣M2の束の上端面が収納領域45の上端面に一致するまで、トレイ44を下方に移動させる。ついで、制御部230は、図16(j)に示すように、収納アーム部43を収納領域閉塞状態にセットする。このとき、収納アーム部43の収納アーム本体43a、43cは、プッシャ本体11aの下端面に貼りついた紙幣M2を掻き落としながら、収納領域閉塞状態に戻る。
【0125】
ついで、制御部230は、図16(k)に示すように、プッシャ本体11aを初期状態の位置に戻し、図16(l)に示すように、シャッタ41を上方閉塞状態に、保持部200を保持状態にそれぞれセットする。これにより、収納処理が終了する。
【0126】
一方、制御部230は、ステップS31にて、返却処理を行う。すなわち、制御部230は、保持部200を強制的に第2の保持状態とする。その後、図17に示すように、操作者100は、返却用外扉13の図示しないロックを外して、返却用外扉13を開ける。これにより、返却用外扉13に連結されている返却用内扉12も開けられ、側面開放状態となる。ここで、返却用内扉12は左側保持部201とは無関係に自由に回転可能なので、返却用内扉12が回転しても、左側保持部201は第2の保持状態を維持する。したがって、紙幣M2の返却時に左側保持部201が操作者100の邪魔にならないので、操作者100は従来よりも容易に紙幣M2を取り出すことができる。なお、返却用内扉12は、側面開放状態となった際に、下端部が紙幣M2の束を持ち上げるので、この点でも、操作者100は紙幣M2の束を取りやすくなっている。
【0127】
制御部230は、操作者が紙幣M2を取り出し、返却用外扉13を閉めた後に、紙幣集積装置4及び紙幣収納装置5を初期状態に戻す。これにより、返却処理が終了する。
【0128】
[異常停止時の動作]
次に、現金自動入出金装置1の電気系統が停電等により異常停止した場合に行う動作について説明する。
【0129】
図18に示すように、操作者100は、返却用外扉13の図示しないロックを外して、返却用外扉13を開ける。これにより、返却用外扉13に連結されている返却用内扉12も開けられ、側面開放状態となる。ここで、返却用内扉12は左側保持部201とは無関係に自由に回転可能なので、返却用内扉12が回転しても、左側保持部201は第1の保持状態を維持する。したがって、紙幣M2の返却時に左側保持部201が操作者100の邪魔にならないので、操作者100は従来よりも容易に紙幣M2を取り出すことができる。
【0130】
以上により、第2の実施形態に係る紙幣集積装置4は、集積を2段階で行うので、従来よりも集積領域8を広くしても、集積の乱れを防止することができる。したがって、紙幣集積装置4は、従来よりも多くの枚数の紙幣を一時的に集積することができ、かつ、集積の乱れを防止することができる。特に、第2の実施形態では、保持部200自身が集積を2段階で行うので、開閉部14が不要となる。
【0131】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0132】
例えば、上記実施形態では、保持部16を左側保持部16a、右側保持部16bで構成したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、より複数の保持部を設けてもよい。
【0133】
本発明は、紙葉類を集積する装置であれば、どのようなものにでも適用される。
【符号の説明】
【0134】
4 紙幣集積装置
5 紙幣収納装置
8 集積領域
12 返却用内扉
14 開閉部
15 センサ
16、200 保持部
16a、201 左側保持部
16b、202 右側保持部
18、210 伝達部
28、230 制御部
45 収納領域



【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類が投入される集積領域と、
前記集積領域の下端面を開放することで、前記集積領域内の紙葉類である投入紙葉類が前記集積領域の下方に設けられる収納領域に移動可能となる下端面開放状態と、前記集積領域の下端面を閉塞する下端面閉塞状態とのいずれかの状態を取りうる開閉部と、
前記投入紙葉類を前記開閉部の上方の位置である上方位置で保持する保持状態と、前記集積領域の外部に退避する退避状態とのいずれかの状態を取りうる保持部と、
を備えることを特徴とする、紙葉類集積装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記上方位置から前記集積領域の上端面までの範囲内で設定される基準位置に達するまで、前記保持状態を維持し、前記投入紙葉類が前記基準位置に達した後に、前記退避状態となり、
前記開閉部は、前記保持部が前記退避状態となるまでに、前記下端面閉塞状態となることを特徴とする、請求項1に記載の紙葉類集積装置。
【請求項3】
前記開閉部は、前記保持部が前記退避状態となってから、前記投入紙葉類が再び前記基準位置に達するまで、前記下端面閉塞状態を維持し、前記投入紙葉類が前記基準位置に達した後に、前記下端面開放状態となることを特徴とする、請求項2記載の紙葉類集積装置。
【請求項4】
前記集積領域の側面のうち、前記投入紙葉類の長辺に対向する長辺対向面を開放することで、操作者が前記投入紙葉類を前記集積領域から取出し可能となる側面開放状態と、前記長辺対向面を閉塞する側面閉塞状態とのいずれかの状態を取りうる返却部を備え、
前記保持部は、前記返却部に設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類集積装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記返却部が前記側面開放状態となる際に、前記返却部の内部に収納されることを特徴とする、請求項4記載の紙葉類集積装置。
【請求項6】
前記保持部を前記返却部の内部に収納するための収納用駆動力を力学的に発生させ、前記返却部が前記側面開放状態となる際に、前記収納用駆動力により、前記保持部を前記返却部の内部に収納する収納用駆動部を備えることを特徴とする、請求項5記載の紙葉類集積装置。
【請求項7】
前記集積領域の外部に設けられ、前記保持部が動作するための動作駆動力を前記保持部に伝達する伝達部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙葉類集積装置。
【請求項8】
紙葉類が投入される集積領域と、
前記集積領域内の紙葉類である投入紙葉類を前記集積領域内の第1の保持位置で保持する第1の保持状態と、前記投入紙葉類を前記集積領域内の位置のうち、前記第1の保持位置よりも下方の第2の保持位置で保持する第2の保持状態とのいずれかの状態を取りうる保持部と、
を備えることを特徴とする、紙葉類集積装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙葉類集積装置を備え、前記紙葉類として紙幣の入出金が可能であることを特徴とする、現金自動入出金装置。
【請求項10】
紙葉類を集積領域に投入するステップと、
前記集積領域内の紙葉類である投入紙葉類を、保持部により前記集積領域の下端面よりも上方の位置である上方位置で保持するステップと、
前記投入紙葉類が前記上方位置から前記集積領域の上端面までの範囲内で設定される基準位置に達した後に、前記保持部を前記集積領域の外部に退避させるステップと、
前記保持部が前記退避状態となるまでに、前記集積領域の下端面を開閉部により閉塞するステップと、
を含むことを特徴とする、紙葉類集積方法。
【請求項11】
紙葉類を集積領域に投入するステップと、
前記集積領域内の紙葉類である投入紙葉類を前記集積領域内の第1の保持位置で保持するステップと、
前記投入紙葉類が前記第1の保持位置から前記集積領域の上端面までの範囲内で設定される基準位置に達した後に、前記投入紙葉類を前記集積領域内の位置のうち、前記第1の保持位置よりも下方の第2の保持位置で保持するステップと、
を含むことを特徴とする、紙葉類集積方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−64198(P2012−64198A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120509(P2011−120509)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】