説明

紙製ダミー展示箱

【課題】商品の実物を展示しているように見せて訴求性を確保することができ、かつ、展示に要するコストも抑制できるようにする。
【解決手段】底壁3の周囲に側壁4及び端壁5を立設した身箱1と、商品を立体的に模ったダミー部材2とから成り、身箱1にダミー部材2を内装して展示するダミー展示箱において、紙シート製のダミー部材2を曲げて模擬商品部21を形成し、身箱1の底壁3から保持片13を起こし、ダミー部材2の表面側から見て窪んだ凹壁部22と保持片13の溝部15とを噛み合わせることにより、ダミー部材2を保形すると共に、身箱1にダミー部材2を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、缶入り飲料等のギフト商品の展示見本として、紙製の模擬商品を使用したダミー展示箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、中元や歳暮の季節になると、ギフト商品として、ビール等の飲料の缶を箱詰めしたものが店頭で展示される。この際、商品の実物を身箱に詰めたものを展示しようとすると、非常に重くなって展示作業に支障を来たすおそれがあり、展示期間終了後に商品が無駄になるという不都合もある。
【0003】
また、実物に代えて、商品の外観を印刷した平板状の紙シートを身箱に内装して展示する場合もあるが、この場合、展示物と実際のギフト商品のイメージが乖離し、消費者への訴求力が低下するおそれがある。
【0004】
その対策として、下記特許文献1に記載されたように、模擬商品を使用したダミー展示箱を展示することが考えられている。
【0005】
このダミー展示箱は、図13に示すように、身箱51とこれに内装されるダミー部材52とから成り、身箱51は、底壁53の周囲に各一対の側壁54及び端壁55を立設したトレー状とされ、ダミー部材52は、商品であるビールの缶を立体的に模った形状となるように、プラスチックシートを塑性変形させて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−288452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようなダミー展示箱では、ダミー部材の成型や印刷に多額のコストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、商品の実物を展示しているように見せて訴求性を確保することができ、かつ、展示に要するコストも抑制できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明は、底壁の周囲に側壁及び端壁を立設した身箱と、商品を立体的に模ったダミー部材とから成り、身箱にダミー部材を内装して展示するダミー展示箱において、紙シート製のダミー部材を曲げて模擬商品部を形成したのである。
【0010】
また、上記ダミー展示箱において、身箱の底壁から保持片を起こし、ダミー部材の表面側から見て窪んだ凹壁部と保持片の溝部とを噛み合わせることにより、ダミー部材を保形すると共に、身箱にダミー部材を固定したのである。
【0011】
なお、上記ダミー部材に代えて、模擬商品部を形成するために筒状に曲げた紙シート製のダミー部材の両端部を貼り合わせ、ダミー部材を保形した状態で、身箱にダミー部材を収納してもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るダミー展示箱では、模擬商品部が商品を模ったように保形されるので、模擬商品を形成するダミー部材を成型する必要がなく、ダミー部材への印刷も容易であるので、商品の実物を展示しているように立体的に見せて訴求性を確保しつつ、展示に要するコストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る紙製ダミー展示箱の平置き展示状態を示す斜視図
【図2】同上の組立過程を示す分解斜視図
【図3】同上の組立過程を示す分解斜視図
【図4】同上の身箱とダミー部材の係止部を示す一部拡大縦断側面図
【図5】同上の起立展示状態を示す後方からの斜視図
【図6】同上の身箱のブランクを示す図
【図7】同上のダミー部材のブランクを示す図
【図8】第2実施形態に係る紙製ダミー展示箱の平置き展示状態を示す斜視図
【図9】同上の組立過程を示す分解斜視図
【図10】同上の起立展示状態を示す後方からの斜視図
【図11】同上の身箱のブランクを示す図
【図12】同上のダミー部材のブランクを示す図
【図13】従来のダミー展示箱を示す(A)平面図、(B)側壁間の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、この発明の第1実施形態を図1乃至図7に基づいて説明する。
【0015】
このダミー展示箱は、図1及び図2に示すように、ギフト商品であるビールの缶の展示に使用するものであり、身箱1と2個のダミー部材2とから構成される。身箱1は段ボールシートを材料とし、ダミー部材2は、板紙シートを材料として形成される。
【0016】
図6に示す身箱1のブランクでは、底壁3の周囲に各一対の側壁4及び端壁5がそれぞれ連設され、二重構造とする各側壁4及び一方の端壁5は、外面板6、頂板7及び内面板8を底壁3側から順次設けたものとされている。他方の端壁5は一重構造とされ、その先端には商品のPR用のデザインを印刷した表示板9が連設されている。
【0017】
一方の端壁5の内面板8の両側には突起8aが、両側壁4の内面板8の一側には切欠部8bがそれぞれ設けられている。一方の端壁5の外面板6及び他方の端壁5の両側には、折曲片10が連設され、側壁4には折畳線4aが斜めに入れられている。表示板9の両側には差込片11が連設され、側壁4の頂板7には差込穴12が設けられている。
【0018】
底壁3の中間部と一方の端壁5寄り部分には、横方向に延びる2個の保持片13が切込により形成され、保持片13は、折目線をヒンジとして引き起こし可能とされている。保持片13には、5個の半円弧状の当接縁14と、隣り合う当接縁14の間の溝部15と、溝部15の下方に位置する貫穴16とが設けられている。
【0019】
底壁3の他方の端壁5寄りの部分には、一対のスタンド板17が切込により形成され、その内側部分には、固定片18が切込により形成されている。
【0020】
スタンド板17の内側縁及び固定片18の先端縁には、それぞれ切込17a,18aが形成され、スタンド板17の外側縁沿い及び固定片18の先端縁には、それぞれ指入穴17b,18bが設けられている。
【0021】
図7に示す2個のダミー部材2のブランクでは、ビールの缶のデザインと同様のデザインを印刷した模擬商品部21が3列又は2列それぞれ設けられ、各列の模擬商品部21には、缶のデザインが3個ずつ直列に印刷されている。
【0022】
各ダミー部材2のブランクの両側部及び隣り合う模擬商品部21の間には、凹壁部22が設けられ、隣り合う模擬商品部21の間の凹壁部22と、身箱1への内装時に隣り合うブランクの一側部の凹壁部22には、スリット23が2本ずつ設けられている。各スリット23には、突起24が設けられている。
【0023】
このようなブランクからダミー展示箱を組み立てるには、図2及び図3に示すように、身箱1において、底壁3から端壁5を起こし、折曲片10を内側へ折り曲げ、側壁4を起こして、頂板7を内側へ、内面板8を下方へ折り曲げ、側壁4の外面板6と内面板8の間に折曲片10を挟み込み、突起8aと切欠部8bとを係合させる。
【0024】
なお、身箱1は、折曲片10の表面と側壁4の裏面の折畳線4aよりも外側の部分とを貼り付け、内面板8を跳ね上げ、折畳線4aに沿って側壁4を谷折りし、側壁4及び端壁5を底壁3に折り重ねておくことにより、嵩張らない状態で保管しておくことができ、その折畳状態から側壁4及び端壁5を起立させて、迅速に組み立てることができる。
【0025】
また、各ダミー部材2において、模擬商品部21を半円筒状に折り曲げ、隣り合う凹壁部22同士を重ねて貼り合わせる。
【0026】
次に、身箱1の保持片13を底壁3から起立させ、保持片13の溝部15にダミー部材2の凹壁部22を差し込んで、溝部15とスリット23とを噛み合わせ、側壁4の内面と保持片13の側縁との間に外側の凹壁部22を差し込む。
【0027】
このとき、図4に示すように、保持片13の貫穴16にスリット23の突起24が嵌り込み、溝部15から凹壁部22が抜け止めされる。
【0028】
そして、図1に示すように、表示板9を折り曲げて、身箱1の開口面の一部を覆い、差込片11を差込穴12に差し込むと、ダミー展示箱が完成する。
【0029】
上記のようなダミー展示箱では、保持片13の当接縁14が模擬商品部21の裏面に沿い、模擬商品部21が商品の缶を模ったように保形されるので、ダミー部材2をプレス等により成型する必要がなく、ダミー部材2が紙シート製であることから、ダミー部材2への印刷も容易であり、商品の実物を展示しているように立体的に見せて訴求性を確保しつつ、展示に要するコストを抑制できる。
【0030】
また、図1に示す平置き状態だけでなく、図5に示すように、底壁3からスタンド板17及び固定片18を順次起こして、切込17a,18aを係合させることにより、身箱1を上方へかけて後傾した起立状態に保持して、展示することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、模擬商品部21を、ビールの缶を模ったものとしたが、模擬商品部21は、飲料のパックや海苔、サラダ油等の缶、和菓子の紙箱等、角張った商品を模ったものとすることもできる。
【0032】
次に、この発明の第2実施形態を図8乃至図12に基づいて説明する。
【0033】
このダミー展示箱もまた、図8乃至図10に示すように、ギフト商品であるビールの缶を店頭で展示する際に使用するものであり、身箱1と4個のダミー部材2とから構成される。身箱1は段ボールシートを材料とし、ダミー部材2は、板紙シートを材料として形成される。
【0034】
なお、この実施形態では、図11に示すブランクから形成される身箱1の構成が、5列ではなく4列の模擬商品部21に対応するものとなっていることを除き、上記第1実施形態のものと同様であることから、身箱1についての説明を省略する。
【0035】
図12に示すダミー部材2のブランクでは、ビールの缶のデザインと同様のデザインを印刷した模擬商品部21が1列のみ設けられ、模擬商品部21には、缶のデザインが3個直列に印刷されている。模擬商品部21の両側には凹壁部22が連設され、一方の凹壁部22には模擬商品部21の反対側に底壁部25及び継代片26が順次連設されている。
【0036】
底壁部25には、折目線をヒンジとして引き起こし可能な一対の保持片27が切込により設けられ、その先端側に半円弧状の当接縁28が形成されている。底壁部25の両端には、補強片25aが連設されている。
【0037】
このようなブランクからダミー部材2を組み立てるには、図9に示すように、模擬商品部21を半円筒状に折り曲げ、継代片26を反対側の凹壁部22の内面に貼り合わせ、補強片25aを折り曲げて底壁部25の内面に貼り合わせた後、保持片27を底壁部25から起立させ、当接縁28を模擬商品部21の裏面に当接させる。
【0038】
そして、このように組み立てたダミー部材2を、図8に示すように、身箱1に4個並べて収納し、身箱1の周壁に隙間なく内接させると、ダミー部材2は、身箱1内での移動が阻止され、安定した状態でセットされる。
【0039】
この第2実施形態に係る展示箱では、上記第1実施形態に係るもののように、身箱1の保持片13とダミー部材2とを噛み合わせることなく、ダミー部材2を身箱1にセットできるので、容易に組み立てて、上記第1実施形態のものと同様、商品の実物を展示しているように立体的に見せて展示することができる。
【0040】
また、図8に示す平置き状態だけでなく、図10に示すように、底壁3からスタンド板17及び固定片18を順次起こして、切込17a,18aを係合させることにより、身箱1を上方へかけて後傾した起立状態に保持して、展示することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 身箱
2 ダミー部材
3 底壁
4 側壁
4a 折畳線
5 端壁
6 外面板
7 頂板
8 内面板
8a 突起
8b 切欠部
9 表示板
10 折曲片
11 差込片
12 差込穴
13 保持片
14 当接縁
15 溝部
16 貫穴
17 スタンド板
17a 切込
17b 指入穴
18 固定片
18a 切込
18b 指入穴
21 模擬商品部
22 凹壁部
23 スリット
24 突起
25 底壁部
25a 補強片
26 継代片
27 保持片
28 当接縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(3)の周囲に側壁(4)及び端壁(5)を立設した身箱(1)と、商品を立体的に模ったダミー部材(2)とから成り、身箱(1)にダミー部材(2)を内装して展示するダミー展示箱において、紙シート製のダミー部材(2)を曲げて模擬商品部(21)を形成したことを特徴とする紙製ダミー展示箱。
【請求項2】
前記身箱(1)の底壁(3)から保持片(13)を起こし、ダミー部材(2)の表面側から見て窪んだ凹壁部(22)と保持片(13)の溝部(15)とを噛み合わせることにより、ダミー部材(2)を保形すると共に、身箱(1)にダミー部材(2)を固定したことを特徴とする請求項1に記載の紙製ダミー展示箱。
【請求項3】
前記模擬商品部(21)を形成するために筒状に曲げた紙シート製のダミー部材(2)の両端部を貼り合わせ、ダミー部材(2)を保形した状態で、身箱(1)にダミー部材(2)を収納したことを特徴とする請求項1に記載の紙製ダミー展示箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−128388(P2012−128388A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55376(P2011−55376)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】