説明

紙製ブラシ毛作製方法および紙製ブラシ毛

【課題】本発明は、紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布し、丸めまたは丸めた後、捩じり、縒った紙製ブラシ毛の周囲をカバーリングした紙製ブラシ毛作製方法および紙製ブラシ毛に関するものである。
【解決手段】本発明は、紙シートに接着剤を塗布した後、前記紙シートが丸められて棒状体とする。前記棒状体は、その周囲がカバーリングによって囲まれる。前記棒状体は、少なくとも1本である。また、前記カバーリングは、少なくとも一重とすることができる。また、前記紙製ブラシ毛作製方法は、粉状あるいは粒状の砥粒を紙シートの繊維に振りかけた後、紙繊維の間に埋め込め込まれる。前記砥粒の入った紙シートは、丸められた少なくとも1本の棒状体が紙製ブラシ毛となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布し、丸めまたは丸めた後、捩じり、縒った紙製ブラシ毛の周囲をカバーリングした紙製ブラシ毛作製方法および紙製ブラシ毛に関するものである。本発明は、合成樹脂製ブラシ毛等にない、紙独特の柔らかさ、捻じりと縒りによる先端部の柔らかさ、摩擦力、弾力等を有するものであり、ブラシ毛としての腰の強さ、長さを調整することによる異なった品質にすることが容易にできる紙製ブラシ毛作製方法および紙製ブラシ毛に関するものである。なお、本明細書において、「紙シートを丸めた後、捩じり、これらを縒ったブラシ毛」を「捻じり縒りブラシ毛」と記載する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−021014号公報に記載されているブラシは、熱溶着性を有する複数本のブラシ毛を長尺チャンネル部材内において、互いに熱溶着された状態で植え込まれ、前記長尺チャンネル部材の開口面から突出して長手方向に連続した状態で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−021014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、チャンネル型ブラシは、ブラシ毛のほぼ中央部を二つに折り曲げ、断面コ字状の細長いチャンネル部材の間に挿入し、両側から圧力をかけて、一体とすることにより作製される。しかし、前記チャンネル型ブラシは、ブラシ毛が金属線または金属線を含む場合、前記金属線の根本または途中から折れて、周囲に飛び散り、作業者を傷つけるという問題があった。また、前記金属線または合成樹脂製ブラシ毛を使用たブラシは、液晶表示画面、ガラス、レンズ等のように、表面の柔らかい部分を上手に磨くことができなかった。紙製の製品は、水に弱いため、紙コップ、紙皿のように成形したもの以外、使用が制限されていた。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、紙シートに接着剤および/または砥粒を入れた後、丸め、捩じり、縒りを加えるとともに、これらの周囲にカバーリングを施すことにより、合成樹脂製あるいは金属にない、被研磨面が紙独特の柔らかさ、摩擦力、弾力、腰の強さ、耐久性等を持つ紙製ブラシ毛作製方法および紙製ブラシ毛を提供することを目的とする。また、本発明の接着剤および/または砥粒を入れた後、丸め、捻じり縒りブラシ毛は、編み目を有するカバーリングで周囲を覆うことにより、編み目の先端部あるいは編み目の側部において、紙製品として独特の柔らかさ、摩擦力、弾力、腰の強さ等、紙独特の性質を有する紙製ブラシ毛作製方法および紙製ブラシ毛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の紙製ブラシ毛作製方法は、紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布する工程と、前記接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートの端部から丸めて棒状体を作製する工程と、接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートにより前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲むカバーリングを行う工程とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の紙製ブラシ毛作製方法は、紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布する工程と、前記接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートの端部から丸めて棒状体を作製する工程と、前記丸められた棒状体を捻じる工程と、前記捻じられた棒状体を縒る工程と、接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートにより前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲むカバーリングを行う工程とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の紙製ブラシ毛作製方法において、前記接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つは、前記棒状体の周囲を囲むカバーリングであることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の紙製ブラシ毛作製方法において、前記棒状体は、中心に紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明の紙製ブラシ毛は、接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められた棒状体と、前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲む接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つからなるカバーリングとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明の紙製ブラシ毛は、接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められ、捻じられるとともに、縒られた棒状体と、前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲む接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つからなるカバーリングとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明の紙製ブラシ毛において、前記カバーリングされた棒状体は、中心に紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明の紙製ブラシ毛において、前記カバーリングの材料は、紙シートまたは合成樹脂製シートとしたことを特徴とする。
【0014】
(第9発明)
第9発明の紙製ブラシ毛において、前記カバーリングは、紙製および/または合成樹脂製の網であることを特徴とする。
【0015】
(第10発明)
第10発明の紙製ブラシ毛において、前記カバーリングは、太さあるいは材料を表す色が付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、紙製シートに接着剤および/または砥粒を染み込ませ、これを丸め、捩じり、縒った紙製ブラシ毛とし、その周囲をカバーリングして紙製ブラシ毛を構成しているため、紙の性質、捻じり、縒り独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分の強度も強い紙製ブラシ毛を作製することができる。
【0017】
本発明によれば、接着剤および/または砥粒が染み込んだ紙製シートを丸め、捩じり、縒った後、編み込んだ紙製カバーリングを施すことにより、紙独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分の強度も強いだけでなく、編み込みの先端部分、交差部、結び目、または側面をブラシ毛とすることができ、使用目的にあった柔らかい研磨が可能になる。
【0018】
本発明によれば、前記紙製ブラシ毛に接着剤および/または砥粒を適度に染み込ませることにより、前記柔らかいブラシ毛に弾力と強度を持たせることができるため、所望の柔らかさ、弾力、強度を持たせることができる。また、前記紙製ブラシ毛は、接着剤の種類または濃度により、先端部を金型等により所望の形状に容易にできる。
【0019】
本発明によれば、接着剤および/または砥粒が染み込んだ紙シートを丸める際に、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛を芯線として巻き込むことにより、ブラシ毛の腰の強度を調整することができ、使用目的に合った紙製ブラシ毛を作製することができる。
【0020】
本発明によれば、紙製ブラシ毛に施されたカバーリングに色および/またはコードを付けることにより、ブラシ素材の太さあるいは材料が何であるかを一目で判るようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例であり、紙製シートを丸めたブラシ毛の作製方法を順次説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ホ)は本発明の第2実施例であり、紙製シートを丸めた後、捻じり縒り紙製ブラシ毛を作製する状態を説明するための模式図である。(実施例2)
【図3】(イ)から(ホ)は本発明の第3実施例であり、紙製シートを幾重にか折り畳んだ紙製ブラシ毛を説明するための模式斜視図である。(実施例3)
【図4】(イ)および(ロ)は本発明の第4実施例であり、カバーリングおよび芯線となるブラシ毛の実施例を説明するための模式図である。(実施例4)
【図5】(イ)から(ホ)は本発明の第5実施例であり、紙製シートに複数の芯線を入れた紙製ブラシ毛を説明するための模式斜視図である。(実施例5)
【図6】(イ)から(ホ)は本発明の第6実施例であり、網製カバーリング、紙素材カバーリング、砥粒入カバーリングを説明するための図である。
【図7】(イ)から(ハ)は金属線の周囲を紙製カバーリングおよび/または樹脂製カバーリングを行った例を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例であり、カバーリングの内部に入るブラシ毛の断面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1発明)
第1発明の紙製ブラシ毛作製方法は、紙シートに接着剤を塗布した後、前記接着剤を塗布した紙シートが丸められて棒状体とする。前記棒状体は、その周囲がカバーリングによって囲まれる。前記棒状体は、少なくとも1本である。また、前記カバーリングは、少なくとも一重とすることができる。また、前記紙製ブラシ毛作製方法は、粉状あるいは粒状の砥粒を紙シートの繊維に振りかけた後、紙繊維の間に埋め込め込まれる。前記砥粒の紙シートに対する埋め込みは、押圧または紙繊維を水分等で膨張させた後に押圧等を行うことにより達成できる。前記砥粒の入った紙シートは、丸められた少なくとも1本の棒状体が紙製ブラシ毛となる。さらに、前記紙シートは、接着剤を塗布した後、前記粉状あるいは粒状の砥粒が散布される。前記紙シートは、丸められて少なくとも1本の棒状体がブラシ毛となる。前記棒状体およびカバーリングの作製は、基本的に同じ手段により作製される。
【0023】
前記紙シートは、たとえば、ケナフまたは楮のような和紙を原料とすることができる。和紙からなる紙シートは、ひげのような細い繊維からなるとともに、厚さに濃淡があり、先端部が紙独特の柔軟性を有し、たとえば、液晶表示画面等表面の比較的柔らかいものを拭く紙製ブラシを作製することができる。また、前記紙シートは、和紙に限らず、あらゆる紙を使用することができ、使用する紙の種類により、ブラシ毛の独特の柔らかさが生じる。
【0024】
また、通常使用される木材パルプは、和紙と比較して強度がやや落ちる。さらに、洋紙、古紙、牛乳パック、段ボール等は、和紙と異なる独特の柔らかさを有し、合成樹脂製ブラシ毛と異なる独特の柔軟性を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、接着剤および/または砥粒の種類および大きさと合わせて、紙製ブラシ毛として使用する際に、用途および目的に合ったものを選択することができる。
【0025】
前記砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属砥粒等のうちの少なくとも一つであり、接着剤により、所定量が接着される。前記砥粒および接着剤の量は、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒および接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。
【0026】
前記接着剤は、特に限定されるものではないが、天然の糊材、合成樹脂系、ゴム系のものが水、アルコール、無機系、有機樹脂系の溶媒に溶け込ませたものが良く、研磨の目的に従って前記溶媒の濃度を調整することにより、所望の硬さのブラシ素材を得ることができる。本発明でいう接着剤は、紙素材を接着させるものであるから、水も含むものとする。本発明の接着剤は、紙に塗布すると記載されていても、塗布以外に、吹き付け、浸す等幅広い手段で紙材に対して付着されるものとする。
【0027】
(第2発明)
第2発明における紙製ブラシ毛作製方法は、紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布する工程と、紙シートを丸めて棒状体を作製する工程と、前記紙製シートを丸めた棒状体を捻じる工程と、前記捻じられた棒状体を縒る工程と、前記縒られた棒状体を一本または複数本を集合して紙製ブラシ毛とする工程と、前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲むカバーリングを行う工程とから少なくとも構成されている。
【0028】
前記捻じられた棒状体は、これらを縒ることに加えて、周囲をカバーリングすることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、紙の捩じりおよび縒りから生じる摩擦力、およびこれらをカバーリングすることによる独特の強度を持ち、腰が強く、かつ、軽量で柔軟性の優れた紙製ブラシ毛となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、植え込み部材に植え込まれる。また、前記紙製ブラシ毛の腰の強さは、合成樹脂製等に無い、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特のものであり、長さを適宜調整することにより容易に変えられる。前記植え込み部材は、デッキ、筒体、チャンネル等がある。
【0029】
前記紙製ブラシ毛作製方法は、接着剤および/または砥粒が塗布された紙製シートを丸めた後、捻じり、さらに、縒っているため、先端部の柔らかさ、摩擦力、弾力、腰の強さ等が紙独特のものからなり、研磨ブラシとして、従来にない独特の特性を持つだけでなく、水に対する耐候性が高く、強度も高い。前記作製方法で作製された紙製ブラシ毛は、たとえば、液晶表示装置の画面、ガラス部材(特に、レンズの表面研磨)、セラミック部材の表面を磨くのに適した紙の種類、捩じりおよび縒りから生じる独特の柔らかさ、強度、および柔軟性を兼ね備えている。
【0030】
また、前記捩じりおよび縒られた紙製ブラシ毛素材は、捩じりおよび縒り部において、紙独特の柔らかさに加えて隙間ができるだけでなく、カバーリングに接着剤および/または砥粒も入り込むため、研磨面の振動を吸収することができ、表面の柔らかい部材から比較的硬い部材の研磨に独特の効果を発揮する。
【0031】
前記紙製ブラシ毛の用途は、前記部材の表面を磨く以外に、通常のヘアーブラシ、歯間ブラシ等に利用することもできる。前記ヘアーブラシおよび歯間ブラシは、紙製ブラシ毛以外に、柄の部分を紙製部材とすることで、全体の重さを軽く作製できるとともに、焼却の際に、有毒ガスを排出することがないという効果を奏する。
【0032】
前記紙製ブラシ毛作製方法は、薄い紙シートを丸めて棒状体にし、捻じった後にこれらを縒る。前記縒られた棒状体は、網状に編み込んで網状態の紙製ブラシ毛とする。前記網状態の紙製ブラシ毛は、束ねられて、先端部または側面部が紙製ブラシとなる。前記編み込みは、結節網(本目網、蛙又網)、無結節網(無結節網、ラッセル網)、織網、あるいは捩じり網等、いろいろな網方とすることができる。
【0033】
これらの網状態の紙製ブラシ毛は、結束された際の先端部、あるいは側部がブラシ面となる。紙を捩じった後、これらを縒ったものからなる網状態のブラシ毛先端部は、柔らかい割りに強度が強い。また、結束された側面部は、網方により、各種の研磨面を作製することができる。さらに、前記網状態の紙製ブラシ毛から作製された紙製ブラシは、網の交差部が緩いものと、交差部が動き難く固いもの等、いろいろな変形をしたものを作製することができ、使用目的に合った紙製ブラシを作製することができる。前記紙製網状態からなるブラシの先端部または側面部は、合成樹脂製ブラシにない、紙の種類、捩じりおよび縒りから生じる独特の摩擦面を持たせることができる。
【0034】
前記紙製ブラシ毛作製方法は、前記紙製ブラシ毛の先端部近傍に接着剤を染み込ませ、あるいは砥粒を付着させる。前記紙製ブラシ毛は、必要に応じて、金型等によって所望の形状に成形することができる。たとえば、前記紙製ブラシ毛は、先端部近傍から先端に向かって尖らしたり、あるいは先端部を球状にすることができる。前記紙製ブラシ毛の先端部の形状は、前記以外に所望により、金型の形状を変えれば、任意の形状に成形することができる。
【0035】
前記紙製ブラシ毛の先端部は、前記接着剤の種類あるいは濃度を調整することにより、形状以外に固さも調整することができる。前記接着剤が染み込んだ紙製ブラシ毛は、接着剤の種類および濃度、紙の種類、捩じり、および縒りから生じる独特の柔らかさを持たせることができる。また、前記紙製ブラシ毛は、網状体をカバーリングとすることもできるが、接着剤および/または砥粒を入れた紙製シートでカバーリングを行うこともできる。
【0036】
(第3発明)
第3発明の紙製ブラシ毛作製方法は、第1発明および第2発明におけるカバーリング材として、接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つとすることができる。前記紙製ブラシ毛作製方法は、紙素材、接着剤、砥粒、カバーリングの厚さおよび/または材質の選択により、目的にあった硬さのブラシ毛とすることが容易である。
【0037】
(第4発明)
第4発明における紙製ブラシ毛作製方法において、紙製の中に接着剤および/または砥粒の入った棒状体は、その中心に少なくとも1本の紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛のいずれかを芯とすることができる。前記紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛は、材質および/または本数を任意に選択することにより、所望の強度および柔軟性(研磨面および腰)を得ることができる。
【0038】
前記紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の太さおよび柔軟度は、紙の種類、接着剤、砥粒の種類大きさにより、独特の柔らかさと硬さを有するとともに、芯線の固さとの組み合わせを巧みに使用することができる。特に、本発明の紙製ブラシ毛作製方法は、素材、芯線、接着剤、砥粒、カバーリングを所望のものに選択することにより、幅の広い用途に合ったブラシ毛を作製することができる。
【0039】
(第5発明)
第5発明の紙製ブラシ毛は、接着剤を塗布した紙シートが端部から丸められた棒状体と、前記棒状体を囲むカバーリングとから構成されている。前記カバーリングがされた棒状体は、ブラシ毛として、デッキまたはチャンネルに植え込まれてブラシとなる。また、紙製ブラシ毛は、接着剤および/または砥粒が紙シートに塗布された状態で丸められた棒状体にカバーリングが施される。前記カバーリングされた紙製ブラシ毛は、所望のデッキまたはチャネル等に植え込まれてブラシとなる。
【0040】
(第6発明)
第6発明の紙製ブラシ毛は、丸められた棒状体に捻じりおよび縒りが加えられている点で第5発明と異なっている。
【0041】
(第7発明)
第7発明の紙製ブラシ毛は、接着剤および/または砥粒が入った棒状体の中心に、紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つを巻き込んだものとなっている。また、前記紙製ブラシ毛は、棒状体の中心に巻き込んだ紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが真っ直ぐ、縦および横方向に並べるもの、あるいは縦および横方向を斜めにするもの等がある。さらに、前記芯線を中心に巻き込んだブラシ毛は、その周囲が接着剤および/または砥粒が入ったカバーリングによって周囲が巻かれている。
【0042】
(第8発明)
第8発明の紙製ブラシ毛は、カバーリングの材料にある。すなわち、前記紙製ブラシ毛は、合成樹脂製シートまたは紙製シートによって紙製ブラシ毛をカバーリングしている。第7発明および第8発明の紙製ブラシ毛は、紙素材、芯素材、組み込み部材、カバーリングの素材、あるいは紙素材および芯素材の長さ、接着剤の量、接着箇所等により、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特の柔軟性、研磨面の柔らかさ、腰の強さ、全体の強度等を任意に制御することができる。
【0043】
(第9発明)
第9発明の紙製ブラシ毛は、紙製および/または合成樹脂製の網によってカバーリングされている。前記紙製および/または合成樹脂製の網は、紙製シートと比較して、網とする手間がかかるわりに、材料が少なく、網の部分が紙と違ったブラシ毛となる。
【0044】
(第10発明)
第10発明の紙製ブラシ毛は、前記カバーリングに色および/またはコードが付けられている。前記色および/またはコードは、ブラシ素材の太さあるいは材料が一目で判るようになっているため、目的に合った研磨を確実に行うことが可能である。
【実施例1】
【0045】
図1(イ)から(ホ)は本発明の第1実施例であり、紙製シートを丸めたブラシ毛の作製方法を順次説明するための模式図である。図1において、本発明の紙製ブラシは、薄い紙製シート11から作製される。前記紙製シート11は、接着剤111および/または砥粒112が塗布または吹き付けられる。前記紙製シート11は、一端から丸められ、丸い棒状体12、16となる。前記丸い棒状体12、16に成形された後、前記接着剤111は、自然に蒸発するもの、乾燥により蒸発するもの等がある。前記棒状体16は、少なくとも1本の上にカバーリング17が施されてブラシ毛となる。
【0046】
前記紙製シート11は、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙製シートは、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙製シートは、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【実施例2】
【0047】
図2(イ)から(ホ)は本発明の第2実施例であり、紙製シートを丸めた後、捻じり縒り紙製ブラシ毛を作製する状態を説明するための模式図である。図2において、図(イ)および(ロ)は、図1と同じである。図2(ハ)において、前記丸められた棒状体12は、捻じられた棒状体13となる。その後、図2(ニ)において、前記棒状態13は、複数本が縒られた棒状体14となる。図2(ホ)において、前記捻じられ縒られた棒状体14は、少なくとも1本が紙製シート15によってカバーリングされる。
【0048】
前記カバーリングされた紙製ブラシ毛は、少なくとも一本を編み機(公知の編み機)により網状に編み込んだ状態にしたものとすることができる。カバーリングされた紙製ブラシ毛は、合成樹脂製ブラシ毛より、研磨面および腰が柔らかい、紙独特の性質を得ることができる。前記紙製ブラシ毛およびカバーリングに使用する紙の種類は、多数あり、紙製ブラシ毛として使用する際の用途により、目的に合った紙の種類を選択することができる。前記各種紙製シートは、薄いシートを丸めて棒状体とした後、捻じられる。
【0049】
前記捻じられた棒状体は、縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、および紙の捩じりおよび縒りから生じる隙間により、摩擦力および腰の強さに独特の強度を持ち、かつ、柔軟性の優れた紙製ブラシ毛となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製ブラシ毛となる。前記柔軟性の高い紙製ブラシ毛は、植え込み部材に植え込まれる。
【0050】
また、前記捻じり縒り紙製ブラシ毛は、公知の編み機によって網状に編まれる。前記捻じり縒り紙製ブラシ毛の編み方は、図示以外に、公知の各種方法を採用することができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、先端、側端、側面をブラシ面として使用できる。前記網の編み方は、紙の材質以外に、交差部、結び目、編み目の大小、編み目の密度等によって研磨具合を変えることができる。前記網状に編まれた紙製ブラシ毛は、捩じり縒りだけの場合と比較して、より多くの隙間を有するため、柔らかい研磨以外に、振動を吸収しながらの研磨することができる。
【実施例3】
【0051】
図3(イ)から(ホ)は本発明の第3実施例であり、紙製シートを幾重にか折り畳んだ紙製ブラシ毛を説明するための模式斜視図である。図3(イ)から(ホ)において、紙シート11は、半分に接着剤111および砥粒112が塗布または付着させられる。図3(ロ)において、図3(イ)の接着剤111および砥粒112が塗布された紙シート11は、半分に折り畳まれる。
【0052】
図3(ハ)において、図3(ロ)を半分に折り畳まれたものは、さらに、同じ方向に折り畳まれる。次に、図3(ニ)おいて、前記複数回折り畳まれたものは、さらに、半分に接着剤を塗布または吹きつけし、順次所望の幅になるまで縦方向に半分に折り畳み、たとえば、棒状体を成形することができる。前記棒状体31の少なくとも1本は、図3(ホ)に示すように、カバーリング32によって周囲を囲む。前記カバーリング32は、紙製シートに砥粒を入れることもできる。紙製シートの代わりに、合成樹脂製、布、革、不織布、または金属製とすることもできる。前記カバーリング32は、網状とすることもできる。
【0053】
図3に示す紙製シートは、一方向に折り畳み棒状体としたが、折る方向を交互に変えて、石鹸状、柱形のブラシを作製することもできる。
【実施例4】
【0054】
図4(イ)および(ロ)は本発明の第4実施例であり、カバーリングおよび芯線となるブラシ毛の実施例を説明するための模式図である。図4(イ)および(ロ)において、紙製シート11は、接着剤111および/または砥粒112を塗布し、棒状体41とする。前記棒状体41の少なくとも1本は、カバーリング42が施されて棒状体42となる。前記棒状体42は、さらに、カバーリング43が施される。前記カバーリング42、43は、必要に応じて、接着剤および/または砥粒が塗布または吹き付けられる。
【実施例5】
【0055】
図5(イ)から(ホ)は本発明の第5実施例である紙製シートにブラシ毛を入れ、丸め、縒りおよび/または縒って作製されたブラシ毛の例を説明するための模式図である。図5(イ)から(ハ)において、紙製シート11は、ブラシ毛素材51、、52、、53、54が接着剤(図示されていない)により接着されている。前記ブラシ毛素材51、、52、、53、54が巻き込まれた紙製シート11は、必要に応じて丸められ、図5(ニ)に示されているように、棒状体55となる。
【0056】
前記棒状体55は、ブラシ毛として、チャンネル部材またはデッキ等に植え込まれて、ブラシとなる。前記棒状体55は、図示されていない砥粒を必要に応じて、入れることができる。前記ブラシ毛素材51、、52、、53、54が巻き込まれた紙製シートは、丸められて図5(ニ)に示す棒状体55となる。また、前記棒状体55は、周囲にカバーリング56が施されたブラシ毛となる。
【実施例6】
【0057】
図6(イ)から(ホ)は本発明の第6実施例であり、網製カバーリング、紙素材カバーリング、砥粒入カバーリングを説明するための図である。図6(イ)および(ロ)において、ブラシ毛61は、紙製棒状体、砥粒入り、紙製棒状体に従来のブラシ毛を芯線として入れたもの等が少なくとも1本からなる。図6(ハ)において、少なくとも1本の前記ブラシ毛61は、紙製ブラシ毛を捻じり縒りしたものにより編んだカバーリング62で周囲が覆われている。図6(ニ)おいて、前記ブラシ毛61は、紙製シートからなるカバーリング63で周囲が覆われている。図6(ホ)において、前記ブラシ毛61は、紙に砥粒112が入れられたカバーリング64で周囲が覆われている。
【0058】
図7(イ)から(ハ)は金属線の周囲を紙製カバーリングおよび/または樹脂製カバーリングを行った例を説明するための図である。図7(イ)において、金属線71の表面に砥粒72が電着されている。図7(ロ)において、前記砥粒が電着された金属線71は、紙製シート73で周囲が覆われている。図7(ハ)において、前記砥粒が電着された金属線71は、紙製シート73で周囲を覆い、さらに、合成樹脂製シート74で周囲が覆われている。前記カバーリングは、合成樹脂製のみ、紙製シートのみ、あるいは両方でも良い。また、前記カバーリングは、必要に応じて、砥粒をいれることができる。
【0059】
図8は本発明の実施例であり、カバーリングの内部に入るブラシ毛の断面を説明するための図である。図8において、紙製シート(接着剤および/または砥粒入り)を丸め、成形することにより、(イ)から(ト)に示す形状にすることができる。また、前記形状は、基本的なものであり、これらを変形させることもできる。
【0060】
本発明のブラシ毛に使用する接着剤は、使用目的等により、種類を選択し、濃度を調整することにより、形状以外に固さも調整することができる。前記接着剤が染み込んだ捻じり縒り紙製ブラシ毛は、接着剤の種類および濃度、紙の種類、捩じり、および縒りから生じる独特の柔らかさおよび軽さを持たせることができる。前記接着剤は、水性接着剤、天然ゴム系接着剤、無機系接着剤、有機系接着剤、ニカワを主原料とする天然接着剤、ニカワと木質セルローズを含む接着剤、壁紙用天然接着剤等が使用される。
【0061】
また、紙製ブラシ毛の中心に入れる材料は、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物製ブラシ毛とすることができる。また、砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属等のうちの少なくとも一つの砥粒が接着剤により、所定量だけ取り付けることができる。前記砥粒の種類、大きさ、および接着剤の量は、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く対象物によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒およびペースト状接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製ブラシの使用目的および紙製ブラシで拭く(磨く)対象物によって、先端部の一部、先端部から中間部まで、あるいは全体といったように任意に選択できる。
【0062】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。ブラシ毛となる紙の種類、厚さ、透きかた、形状、密度、捩じり方、縒り方等は、任意に選択することができる。また、紙の捩じり、または縒り方は、従来から使用されている機械により作製することができる。
【符号の説明】
【0063】
11・・・紙製シート
111・・・接着剤
112・・・砥粒
12・・・棒状体
13・・・捻じった状態
14・・・捻じったものを縒った状態
15・・・カバーリング
16・・・棒状体
17・・・カバーリング
31・・・折り畳んだ棒状体
32・・・カバーリング
41・・・芯材
42・・・カバーリング
43・・・カバーリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布する工程と、
前記接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートの端部から丸めて棒状体を作製する工程と、
接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートにより前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲むカバーリングを行う工程と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製ブラシ毛作製方法。
【請求項2】
紙シートに接着剤および/または砥粒を塗布する工程と、
前記接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートの端部から丸めて棒状体を作製する工程と、
前記丸められた棒状体を捻じる工程と、
前記捻じられた棒状体を縒る工程と、
接着剤および/または砥粒が塗布された紙シートにより前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲むカバーリングを行う工程と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製ブラシ毛作製方法。
【請求項3】
接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つは、前記棒状体の周囲を囲むカバーリングであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された紙製ブラシ毛作製方法。
【請求項4】
前記棒状体は、中心に紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された紙製ブラシ毛作製方法。
【請求項5】
接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められた棒状体と、
前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲む接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つからなるカバーリングと、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製ブラシ毛。
【請求項6】
接着剤および/または砥粒が塗布されている紙シートの端部から丸められ、捻じられるとともに、縒られた棒状体と、
前記棒状体の少なくとも1本の周囲を囲む接着剤および/または砥粒が塗布された紙シート、合成樹脂、不織布、スポンジ、布、革の中の少なくとも一つからなるカバーリングと、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製ブラシ毛。
【請求項7】
前記カバーリングされた棒状体は、中心に紙製素材、金属線、合成樹脂製ブラシ毛、動植物ブラシ毛の少なくとも一つが巻き込まれていることを特徴とする請求項6に記載された紙製ブラシ毛。
【請求項8】
前記カバーリングの材料は、紙シートまたは合成樹脂製シートとしたことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載された紙製ブラシ毛。
【請求項9】
前記カバーリングは、紙製および/または合成樹脂製の網であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載された紙製ブラシ。
【請求項10】
前記カバーリングは、太さあるいは材料を表す色が付けられていることを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載された紙製ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−239928(P2011−239928A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114367(P2010−114367)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】