説明

紙製マット

【課題】本発明は、紙シートを丸めた後、捩じり、縒った紙製素材を挟持部材に挟持させて作製された紙製マットに関するものである。
【解決手段】本発明の紙製マットは、紙製素材と、紙製素材が挟持された挟持部材と、前記挟持部材が平面状に展開されている面状領域とから少なくとも構成されている。前記紙製素材は、始め、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体のものを捻じった後に、縒られたものである。前記挟持部材は、前記紙製素材が複数束ねられて挟持されている。前記面状領域は、紙製素材が挟持された複数の挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように平面状に展開されている。前記挟持部材は、固定部材により固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙シートを丸めた後、捩じり、縒った紙製素材を挟持部材に挟持させて作製された紙製マットに関するものである。本発明は、紙独特の柔らかさ、捻じりと縒りによる先端部の柔らかさ、弾力等を有するものであり、軽量で、クッション性が良く、一部が磨り減って廃棄処分を行う際に、環境を破壊する物質を排出しない紙製マットに関するものである。本発明は、たとえば、紙製靴拭きマット、紙製足拭きマット、紙製テーブルマット、紙製物置きマット等に関するものである。なお、本明細書において、「紙シートを丸めた後、捩じり、これらを縒った紙製素材」を「捻じり縒り紙製素材」と記載する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−159315号公報、特開平9−41641号公報、あるいは特開平8−333875号公報に記載されているマットは、合成樹脂製の部材が植設されている。前記公報に記載されたマットは、いずれも合成樹脂製素材の固さにより性能が決められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−159315号公報
【特許文献2】特開平9−41641号公報
【特許文献3】特開平8−333875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記合成樹脂製マットは、植設された合成樹脂製部材の固さを前記合成樹脂の種類を選択することにより、変えることができる。しかし、前記合成樹脂製には、柔らかいものもあるが、紙の柔らかさおよび質感を求めることができなかった。前記合成樹脂製マットは、廃棄する際に、多量のガスを排出するため、環境を害する恐れがあった。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、薄い紙シートを丸め、捩じり、縒りを加えることにより、紙独特の柔らかさ、弾力、腰の強さ等を持つ紙製マットを提供することを目的とする。また、本発明の捻じり縒り紙製素材は、網状に編んで作製することにより、編み目の先端部あるいは編み目の側部において、紙製品として独特の柔らかさ、弾力、腰の強さ、紙独特の質感を有する紙製マットを提供することを目的とする。本発明は、合成樹脂製には無い、軽さ、柔軟性、および環境に優しい紙製マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の紙製マットは、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製素材と、前記紙製素材が複数束ねられて挟持される挟持部材と、前記紙製素材を挟持した複数の挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている面状領域とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の紙製マットは、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製素材と、前記紙製素材が複数束ねられて挟持される挟持部材と、前記紙製素材を挟持した複数の挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている面状領域と、前記面状領域となる挟持部材の周囲を囲むものであり、芯線の間に前記紙製素材を挟み、捻じって作製された捻じり部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の紙製マットは、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製素材と、前記紙製素材が複数束ねられて挟持される第1挟持部材と、前記紙製素材を挟持した複数の第1挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている面状領域と、前記面状領域となる第1挟持部材の周囲を囲む他の紙製素材を挟持した第2挟持部材とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の紙製マットは、前記紙製素材の複数本が網状に編まれて一つになっていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明の紙製マットは、前記挟持部材が断面コ字状からなる紙製部材であることを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明の紙製マットは、前記紙製素材が接着剤を染み込ませることにより、所望の固さおよび形状に成形されていることを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明の紙製マットは、前記薄い紙シートの端部から丸められた棒状体の中心に前記紙シートより硬い芯が少なくとも一本巻き込まれていることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明の紙製マットは、前記挟持部材どうしが複数の連結部材によって少なくとも一部を挟持しているとともに、互いに連結されていることを特徴とする。
【0014】
(第9発明)
第9発明の紙製マットは、前記挟持部材において、紙製素材と反対側の少なくとも一部に滑り止め部材が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、紙を原料とする紙製素材は、ひげのような細い繊維からなるとともに、厚さに濃淡があるものもあり、捻じりと縒りを加えることにより、紙独特の感触、柔軟性、および強度を有するものとすることができるため、軽量であり、廃棄する際に有毒ガスを排出することがなく、紙独特のクッション性を有する。また、前記紙製素材は、腰の長さ、および腰の固さを自由に選択することができるため、各種の目的に合った紙製マットを作製することができる。
【0016】
本発明によれば、紙製シートを丸め、捩じり、縒った後、網状に編み込んだ紙製素材とすることにより、紙独特の柔らかさ、弾性、バネ性、あるいクッション性が向上し、腰部分の強度も強いだけでなく、合成樹脂部材にない独特の感触を有する紙製マットとすることができる。
【0017】
本発明によれば、前記紙製素材に接着剤を適度に染み込ませることにより、前記柔らかい紙製素材に弾力と強度を持たせることができるため、所望の柔らかさ、弾力、強度、耐水性を持たせることができる。また、前記紙製素材は、接着剤により、先端部を金型等により所望の形状に容易に成形できる。
【0018】
本発明によれば、紙シートを丸める際に、より硬い紙製素材を芯線として巻き込むことにより、紙製素材の腰の強度を調整することができ、使用目的に合った紙製マットを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(イ)から(ヘ)は本発明の実施例である捻じり縒り紙製素材の作製方法を順次説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】(イ)から(ハ)は本発明に使用する捻じり縒り紙製素材から紙製挟持部材を作製する状態を説明するための模式図である。
【図3】(イ)から(ハ)は本発明の捻じり縒り紙製素材を束ねた紙製挟持部材から紙製マットを作製する第1実施例を説明するための平面図、側面図、および裏面図である。
【図4】本発明の捻じり縒り紙製素材から第2実施例である紙製マットを説明するための平面図である。(実施例2)
【図5】(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製素材を使用した第3実施例を説明するための平面図および断面図である。(実施例3)
【図6】(イ)は本発明の捻じり縒り紙製素材を使用した挟持部材の連結部材を説明するための斜視図、(ロ)は挟持部材を挟持した状態を説明するための断面図である。
【図7】(イ)および(ロ)は本発明の紙製マットの裏側に取り付ける滑り止め部材を説明するための斜視図および断面図である。
【図8】(イ)から(ニ)は本発明の紙製マットの基になる捻じり部材の作製を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1発明)
第1発明の紙製マットは、紙製素材と、紙製素材が挟持された挟持部材と、前記挟持部材が平面状に展開されている面状領域とから少なくとも構成されている。前記紙製素材は、始め、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体のものを捻じった後に、これらを縒ることにより作製される。前記挟持部材は、前記紙製素材が複数束ねられて挟持されている。また、前記挟持部材は、紙製、金属製、合成樹脂製とすることができるが、紙製とすることが望ましい。前記挟持部材は、紙製とした場合、紙製素材に接着剤等を染み込ませることにより、所望の強度を得ることができる。
【0021】
前記面状領域は、紙製素材が挟持された複数の挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように平面状に展開されている。前記挟持部材は、たとえば、波形、ジグザグ状、あるいは平行等に複数が配置され、その間に複数個の空間部を形成している。また、前記波形の挟持部材は、渦巻きのように巻きながら網状に形成することもできる。前記平面状の領域は、紙製マットの使用目的によって、空間部の形状および大きさが異なる。
【0022】
前記薄い紙シートは、たとえば、ケナフまたは楮のような和紙を原料とすることができる。和紙からなる紙シートは、ひげのような細い繊維からなるとともに、厚さに濃淡があり、捻じりと縒りを加えることにより、紙独特の柔軟性および強度を有するものとすることができる。前記紙製マットは、軽量であり、廃棄する際に有毒ガスを排出すことがなく、紙独特のクッション性を有する。
【0023】
また、通常使用される木材パルプは、和紙と比較して強度がやや落ちる。さらに、洋紙、古紙、牛乳パック、段ボール等は、和紙と異なる独特の柔らかさと硬さを有し、合成樹脂製部材と異なる独特の柔軟性を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、紙製素材として使用する際に、用途および目的に合ったものを選択することができる。前記紙製マットは、紙製素材自体の柔軟性と、捻じり、縒り具合による隙間との状態により、他種類の目的および用途に合わせることが可能である。
【0024】
前記捻じられた棒状体は、捩じりおよび縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、紙の捩じりおよび縒りから生じる摩擦力、およびこれらによる独特の強度を持ち、腰が強く、かつ、柔軟性の優れた紙製素材となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製素材となる。前記柔軟性の高い紙製素材は、挟持部材に植え込まれる。また、前記紙製素材の腰の強さは、合成樹脂製等に無い、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特のものであり、長さを調整することにより容易に変えられる。前記挟持部材の断面は、前記紙製素材が植え込まれることができれば、特に、限定されない。
【0025】
前記紙製マットは、紙製シートを丸めた後、捻じり、さらに、縒っているため、先端部の柔らかさ、摩擦力、弾力、腰の強さ等が紙独特のものからなり、水に対する耐候性が高く、強度も高い。また、前記紙製マットは、紙独特の弾力および腰の強さにより、マットにした場合、合成樹脂に無い独特のクッション性を与える。前記紙製素材は、さらに、耐水性を向上させるために、接着剤を染み込ませることができる。
【0026】
前記紙製素材は、少なくとも1本に対してカバーリングを行うことができる。前記カバーリングは、紙製であることが望ましいが、他の部材とすることもできる。また、前記カバーリングを施した紙製部材は、挟持部材に挟持されて、紙製マットとなった場合、前記カバーリングを施さないものと比較して、腰の強度を増加させることができる。前記紙製素材は、合成樹脂素材と異なり、着色製が良く、カラフルな紙製マットを得ることができる。
【0027】
(第2発明)
第2発明の紙製マットは、面状に展開された前記面状領域となる挟持部材の周囲を芯線の間に前記紙製素材を挟み、捻じって作製された捻じり部材によって囲まれている点で、第1発明と異なっている。前記紙製マットは、前記挟持部材の周囲を前記捻じり部材によって囲まれているため、靴を拭く足拭きマットとした場合、経年変化によっても、形崩れがし難い。前記捻じり部材は、前記紙製素材を芯線に挟み、捻じることにより作製することができる。前記捻じり部材は、たとえば、2本以上の金属からなる芯線の間に前記紙製素材をそれぞれ挟んで作製されるが、金属線の代わりに、合成樹脂製または紙製とすることができる。紙製の芯線は、接着剤を染み込まることが望ましい。
【0028】
(第3発明)
第3発明の紙製マットは、第2発明の捻じり部材の代わりに、面状領域を形成している挟持部材と同じ挟持部材によって、前記面状領域の周囲が囲まれている。すなわち、前記紙製マットは、前記紙製素材が複数束ねられて挟持される第1挟持部材と、第1挟持部材の周囲を囲む他の紙製素材を挟持した第2挟持部材とから構成されている点で、第2発明と異なっている。前記面状領域は、前記第2発明と同様に、前記紙製素材を挟持した複数の第1挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている。第3発明の紙製マットは、前記面状領域と周囲とが同じ挟持部材から構成されているため、これらの連結部材の形状をほぼ同じようにすることができるとともに、長期間使用しても、型崩れのし難いものとなる。
【0029】
(第4発明)
第4発明の紙製マットは、前記紙製素材の少なくとも一本が編み機(公知の編み機)により網状に編み込んだ状態になっている。前記編み込まれた紙製素材は、その端面または側面を紙製マットとすることができる。前記編み込まれた紙製素材は、合成樹脂製素材より、軽く、腰が柔らかい、紙独特の性質を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、使用する際の用途により、目的に合った紙の種類を選択することができる。
【0030】
(第5発明)
第5発明の挟持部材は、断面をコ字状からなる紙製部材からなる。前記紙製挟持部材は、ほとんどを紙製品から構成されるため、軽量であるだけでなく、廃棄する際に、燃焼しても、有毒ガスが排出されないので、環境に優しい紙製マットとなる。
【0031】
(第6発明)
第6発明の紙製マットは、前記紙製素材またはその先端部近傍に接着剤を染み込ませる。その後、前記紙製素材は、乾燥され、半乾き状態にする。半乾き状態にした前記紙製素材は、金型等によって所望の形状に成形することができる。たとえば、前記紙製素材は、その先端部近傍から先端に向かって尖らしたり、あるいは先端部を球状等にすることができる。前記紙製素材の先端部の形状は、前記以外に所望により、金型の形状を変えれば、任意の形状に成形することができる。
【0032】
前記紙製素材は、前記接着剤の種類あるいは濃度を調整することにより、形状以外に固さも調整することができる。前記接着剤が染み込んだ紙製素材は、接着剤の種類および濃度、紙の種類、捩じり、および縒りから生じる独特の柔らかさを持たせることができる。
【0033】
(第7発明)
第7発明の紙製マットは、薄い紙シートの端部から丸められた棒状体として形成した紙製素材の中心に前記紙シートより硬い芯が少なくとも一本巻き込まれている。前記棒状体は、少なくとも1本の金属線、動植物製部材を巻き込むことができるが、環境に優しくするためには紙製素材をより強くするための紙製品とすることが望ましい。
【0034】
前記紙製マットは、紙製または紙製で芯が入った棒状体を捻じり、縒った紙製素材に接着剤により、砥粒を接着させることができる。前記砥粒は、たとえば、シリコンカーバイト、アルミナ、ジルコニア、ダイアモンド、エメリー、酸化セリウム、金属砥粒等のうちの少なくとも一つであり、ペースト状接着剤により、所定量が接着される。前記砥粒およびペースト状接着剤の量は、紙製マットの使用目的および使用場所によって任意に選択できる。さらに、前記砥粒およびペースト状接着剤の入れる場所は、前記同様に、紙製マットの使用目的および使用場所によって任意に選択できる。
【0035】
(第8発明)
本発明の紙製マットは、前記挟持部材どうしが、複数の連結部材によって少なくとも一部を挟持するとともに、互いに連結されている。前記連結部材は、紙製部材を接着剤により固くしたものとすることができるが、その他の部材とすることも可能である。前記連結部材の形状は、紙製マットの形状によって任意に変えることができる。
【0036】
(第9発明)
第9発明の紙製マットは、紙製素材と反対側の前記挟持部材に、滑り止め部材が設けられている。前記滑り止め部材は、前記挟持部材の紙製素材と反対側のほぼ全面、四隅、対向辺とすることができる。前記滑り止め部材は、たとえば、ゴムあるいはゴム質系の部材で、滑り止めとなるものであれば、特に、限定されない。前記滑り止め部材と前記挟持部材との連結は、紙製マットの形状に基づく紙製または金属製の取付部を任意に変えることができる。
【実施例1】
【0037】
図1(イ)から(ヘ)は本発明の実施例である捻じり縒り紙製素材の作製方法を順次説明するための模式図である。本発明の紙製素材は、図1(イ)に示されたような薄い紙製シート11から作製される。前記紙製シート11は、一端から丸められ、丸い棒状体12となる。前記棒状体12は、図(ハ)に示されているように、捻じられられた状態13となる。前記薄い紙製シートを丸めた棒状体12は、捻じられた後、さらに、たとえば、2本を縒ることにより、捻じり縒り紙製素材14が作製される。前記紙製シート11は、和紙の場合、濃淡のある(透けて見える所がある)ものとなる。また、前記紙製シート11は、和紙、洋紙、厚紙、リサイクル用紙等、被研磨面、あるいは研磨目的によって、種々の品種のものを選択することができる。前記紙製シート11は、古紙、牛乳パック、段ボール等を基にしたものを使用することもできる。
【0038】
図1(ホ)および(ヘ)は、捻じり縒り紙製素材の他の例で、前記捻じり縒り紙製素材の少なくとも一本を編み機(図示されていない公知の編み機)により、網状に編み込んだ状態にしたもの15を巻回15′する。前記巻回した網は、たとえば、図(ヘ)に示されているように、取付部材152に一方が取り付けられて網目を有する紙製素材となる。前記紙製素材は、その端面151または側面により、紙製マットの端面とすることできる。前記合成樹脂製素材より、全体および腰が柔らかく、紙独特の性質を得ることができる。前記紙の種類は、多数あり、紙製素材として使用する際の用途により、目的に合った紙の種類を選択することができる。前記各種紙製シートは、材料が異なっても、同様に、薄いシートを丸めて棒状体とした後、捻じられる。
【0039】
前記捻じられた棒状体は、縒ることにより、紙の種類から生じる独特の柔らかさ、および紙の捩じりおよび縒りから生じる隙間により、柔らかさおよび腰の強さに独特の強度を持ち、かつ、柔軟性の優れた紙製素材となる。前記捩じりおよび縒られた棒状体は、少なくとも1本または複数本が集合されて紙製素材となる。前記柔軟性の高い紙製素材は、挟持部材のような植え込み部材に植え込まれる。
【0040】
前記捻じり縒り紙製素材は、さらに、図1(ホ)に示されているように、図示されていない公知の編み機によって網状に編まれる。前記捻じり縒り紙製素材の編み方は、図示以外に、公知の各種方法を採用することができる。前記網状に編まれた紙製素材は、先端、側端、側面をマット面として使用できる。前記網の編み方は、紙の材質以外に、交差部、結び目、編み目の大小、編み目の密度等によって質感を変えることができる。前記網状に編まれた紙製素材は、捩じり縒りだけの場合と比較して、より多くの隙間を有するため、柔軟性以外に、振動を吸収することができる。
【0041】
図2(イ)から(ハ)は本発明に使用する捻じり縒り紙製素材から紙製挟持部材を作製する状態を説明するための模式図である。図2(イ)において、作製された捻じり縒り紙製素材21は、少なくとも1本が半分に折られ、その中間部に芯線22を挟み、断面がコ字状挟持部材23に挟むことにより植設される。その後、前記コ字状挟持部材23は、両側から押され、紙製挟持部材が完成する。前記コ字状挟持部材23は、金属製または合成樹脂製とすることができるが、紙製とすることが望ましい。
【0042】
前記紙製のコ字状挟持部材23は、接着剤を染み込ませることにより、必要な強度を得る。前記紙製のコ字状挟持部材23は、接着剤を染み混ませた後、前記紙製素材を挟み、両側から圧力を掛けた状態で乾燥する。また、図2(ロ)に示す捻じり縒り紙製素材24は、半分に折るか、あるいは長さを一定にして、コ字状挟持部材25に植設される。その後、前記捻じり縒り紙製素材24は、前記コ字状挟持部材25に接着剤26を入れることにより、紙製挟持部材となる。
【0043】
図2(ハ)に示す紙製挟持部材は、前記図2(イ)および(ロ)に示す紙製挟持部材の側面図である。前記紙製挟持部材は、前記コ字状挟持部材の形状をいろいろな形状のものとすることができるだけでなく、紙の種類、捩じりおよび縒りによって生じる独特のものを作製することができる。また、前記挟持部材は、図において、断面がコ字状であるが、断面C型、断面U型、あるいは紙製素材を挟持できるものであれば、変形したものでもよい。
【0044】
図3(イ)から(ハ)は本発明の捻じり縒り紙製素材を束ねた紙製挟持部材から紙製マットを作製する第1実施例を説明するための平面図、側面図、および裏面図である。図3(イ)において、紙製マット31は、複数の波形挟持部材32が複数個、接近した状態になって面状領域を形成している。また、前記複数個の波形挟持部材32は、その周囲が、図3(ロ)に示す捻じり部材33によって囲まれている。前記捻じり部材33は、複数本の芯線34の間に紙製素材を挟み込みんだ後、前記芯線34を回転させることにより作製される。前記芯線34は、紙製素材が望ましいが、金属線とすることができる。前記紙製の芯線34は、接着剤を染み込ませ、適度の強度を得るように加工しておく。
【0045】
図3(ハ)は前記紙製マット31の裏側を見た裏面図である。図3(ハ)において、前記複数個の波形挟持部材32は、連結部材36、37により、互いに連結されている。前記波型紙製素材32は、捻じり縒り紙製素材35を束ね、これらを図示されていない被覆材(カバーリング)によって被覆することができる。前記複数個の波形挟持部材32は、波形の角度、個数、互いの空間間隔を使用目的によって任意にすることができる。
【0046】
紙製マットは、周囲を前記捻じり部材33で囲む代わりに、前記波形紙製素材32と同じようなものを直線部材として、囲むこともできる。
【実施例2】
【0047】
図4は本発明の捻じり縒り紙製素材から第2実施例である紙製マットを説明するための平面図である。第2実施例における紙製マット41は、第1実施例における周囲に捻じり部材を設けない場合である。前記紙製マット41は、裏面において、図3(ハ)と同様な連結部材37により、互いに連結される。前記連結部材37の形状は、前記捻じり縒り紙製素材の幅の大きさ、波形等の形状によってそれぞれ異なる。
【実施例3】
【0048】
図5(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製素材を使用した第3実施例を説明するための平面図および側面図である。図5(イ)および(ロ)に示す紙製マット41′は、複数個の直線紙製素材を直線挟持部材51に挟持して、これらを連続して固定する複数の連結部材53により、互いに連結する。前記紙製マット41′の周囲は、図3の捻じり部材または挟持部材によって囲まれ、あるいは周囲の部材を無くすこともできる。
【0049】
図6(イ)および(ロ)は本発明の捻じり縒り紙製素材を使用した挟持部材の連結部材を説明するための斜視図および断面図である。図6(イ)において、連結部材61は、T字状からなり、挟持部材614を一カ所で固定する第1固定部611と、二カ所で固定する第2固定部612と、連結部613とから構成されている。前記第1固定部611の形状は、U字型、C字型、コ字型等にし、前記挟持部材614を取り付けた後に、両側から圧力を掛けて固定する。
【0050】
前記第1固定部611は、たとえば、捩じり部材33(図3参照)を挟持する場合、幅が狭くなっている。また、前記第2固定部612は、二つの挟持部材を同時に固定できる形状となっている。前記連結部材61の形状は、T字状であるが、二カ所を固定する場合、両端に固定部を有する直線状の部材となる。前記固定部は、紙製マットの形状により、任意に変形することができる。
【0051】
図7(イ)および(ロ)は本発明の紙製マットの裏側に取り付ける滑り止め部材を説明するための平面図である。紙製マットは、たとえば、靴拭きとして使用する場合、移動することが多い。そこで、前記紙製マットの下部には、滑り止め部材を設けことができる。前記滑り止めは、図7に示すように、滑り止め部材71と、紙製マットの挟持部材を挟持できる爪721と、前記爪721の間で固定する突起部722がモールド成形、または張り合わせにより設けられている。
【0052】
前記滑り止め部材71は、紙製マットの下部に設けられ、4隅、平行、ほぼ全面に設けることができる。また、前記滑り止め部材71は、ゴムまたはゴム系の合成樹脂製とすることができるが、接着剤を染み込ませた紙製とすることもできる。前記接着剤は、摩擦に強い部材であることが必要である。
【0053】
本発明に使用する接着剤は、紙製マットの使用目的、使用場所等により、種類と濃度が異なる。前記接着剤は、水性接着剤、天然ゴム系接着剤、ニカワを主原料とする天然接着剤、ニカワと木質セルローズを含む接着剤、壁紙用天然接着剤等が使用される。
【0054】
図8(イ)から(ニ)は本発明の紙製マットの基になる捻じり部材の作製を説明するための図である。図8(イ)および(ロ)において、捻じり部材は、心および芯棒81、82の周囲に捻じり縒り紙製部材83が挟持された挟持部材84を巻回している。図8(ハ)および(ニ)は、紙製捻じり部材を説明するための図である。図8(ハ)および(ニ)において、芯線811および812の間に紙製捻じり部材815を挟み、前記芯線811および812を回転させて捻じる。前記捻じられた捻じり部材は、図8(ハ)の左側に示された状態になる。図8(ニ)は、芯線が4本の場合を示している。前記芯線の数は、前記捻じり部材の目的により、任意に増減できる。
【0055】
本発明の紙製素材からなる紙製マットは、たとえば、靴拭きマット以外、面状領域の空間を変えることにより、家の中で使用する布団用マット、座布団用マット、敷物マット、テーブルマット等応用することがきる。前記各種紙製マットは、軽く、弾力を持たせて作製することができるとともに、焼却の際に、有毒ガスを排出しないという効果を奏する。
【0056】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。紙製素材となる紙の種類、厚さ、透きかた、形状、密度、捩じり方、縒り方等は、任意に選択することができる。また、紙の捩じり、または縒り方は、従来から使用されている機械により作製することができる。さらに、本発明の紙製マットは、靴拭き用紙製マット、風呂場、玄関等の出入り口に置く室内用紙製マット、紙製テーブルマット、紙製物置き用マット等、使用目的によって、紙素材等を選択することにより、多方面にわたり適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
11・・・紙製シート
12・・・紙製シートを棒状にした状態
13・・・捻じった状態
14・・・捻じったものを縒った状態
15・・・捻じり縒り紙製部材を編んだもの
15′・・・捻じり縒り紙製部材を編んだものを巻回した状態のもの
151・・・端面
152・・・取付部材
21、24・・・捻じり縒り紙製素材
22・・・芯棒
23、25・・・挟持部材
26・・・接着剤
31、41、51・・・紙製マット
32・・・波形挟持部材
33・・・捻じり部材
34・・・芯線
36、37・・・連結部材
41、41′・・・紙製マット
52・・・捻じり部材
53・・・連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製素材と、
前記紙製素材が複数束ねられて挟持される挟持部材と、
前記紙製素材を挟持した複数の挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている面状領域と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製マット。
【請求項2】
薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製素材と、
前記紙製素材が複数束ねられて挟持される挟持部材と、
前記紙製素材を挟持した複数の挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている面状領域と、
前記面状領域となる挟持部材の周囲を囲むものであり、芯線の間に前記紙製素材を挟み、捻じって作製された捻じり部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製マット。
【請求項3】
薄い紙シートの端部から丸められた棒状体が捻じられるとともに、縒られた紙製素材と、
前記紙製素材が複数束ねられて挟持される第1挟持部材と、
前記紙製素材を挟持した複数の第1挟持部材どうしの間に所定の空間を有するように展開されている面状領域と、
前記面状領域となる第1挟持部材の周囲を囲む他の紙製素材を挟持した第2挟持部材と、
から少なくとも構成されていることを特徴とする紙製マット。
【請求項4】
前記紙製素材は、複数本が網状に編まれて一つになっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された紙製マット。
【請求項5】
前記挟持部材は、断面コ字状からなる紙製部材であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された紙製マット。
【請求項6】
前記紙製素材は、接着剤を染み込ませることにより、所望の固さおよび形状に成形されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された紙製マット。
【請求項7】
前記薄い紙シートの端部から丸められた棒状体は、中心に前記紙シートより硬い芯が少なくとも一本巻き込まれていることを特徴とする請求項請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された紙製マット。
【請求項8】
前記挟持部材どうしは、複数の連結部材によって少なくとも一部が挟持されているとともに、互いに連結されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された紙製マット。
【請求項9】
前記挟持部材は、紙製素材と反対側の少なくとも一部に滑り止め部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された紙製マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−188998(P2011−188998A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57841(P2010−57841)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】