説明

紙製品を製造する方法

【課題】強さおよび/または剛性特性を実質的に維持しながら低密度の紙または板紙積層体製品をもたらす方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2の層を含む積層体紙製品を製造法であって、i)セルロース繊維を含む水性懸濁物を用意する段階、ii)該懸濁物にミクロフィブリル状多糖を約0.05〜約50重量%添加する段階、およびiii)その懸濁物を脱水、そして当該積層体紙製品が150〜500kg/mの密度を有する第一層を形成する段階を含む方法。少なくとも2の層を含む積層体紙製品を製造する方法で、上記i)、ii)およびiii)を続いて実施し、当該積層体を形成する段階において、少なくとも1が、段階ii)で得られたミクロフィブリル状多糖を含む水性懸濁物から形成される上記段階;そして当該これらの層を積層体製品が150〜800kg/mの密度になる様に接合する段階を含む方法。積層体紙製品、およびその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体紙製品、とりわけ板紙の積層体を製造する方法に関する。本発明は、該方法によって得られることができる積層体紙製品、およびその使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
今日、製紙産業内の開発は、紙製品または板紙製品の坪量を、その強さ特性を維持したまま低減することに焦点が当てられている。この傾向は、経済上および環境上の理由の双方から高い重要性を有する。より低い坪量を有する紙製品または板紙製品を製造するために、低密度繊維を使用することに関心が高い。しかし、これらのパルプ繊維の1の欠点は、これらが強い繊維−繊維結合を形成する能力が不十分なことであり、これは次なる結果として不十分な強さ特性をもたらす。
【0003】
特許文献1は、強さ特性を改良するために、バルク層中のバインダーとしてラテックスが使用される方法に関する。しかし、特許文献1は、必要とされる化学薬品の量が高いことならびにラテックスバインダーの施与に関連した不具合という問題を抱えている。例として、ラテックスがウェットエンド(湿潤最終工程)に添加されると、繊維上へのラテックスの保持の問題が、沈降物の問題ならびにウェットエンド化学のバランスのかく乱を引き起こすことがある。現行の装置を使用して、すでに形成された紙または板紙層にラテックスが添加されるならば、施与の問題も生じることがある。ラテックスは、再パルプ化性の問題ももたらすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第00/14333号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1の目的は、強さおよび/または剛性特性を実質的に維持しながら低密度の紙または板紙積層体製品をもたらす方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、慣用のリパルパーで問題を生じることなく再パルプ化されることができる、積層された紙または板紙製品を提供することである。さらなる目的は、少なくとも1の内層において繊維の改良された結合能力を有する紙または板紙積層体を製造する方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、改良された折り目性を有する紙または板紙積層体を提供することである。本発明のさらなる目的は、紙の少なくとも1の特性、たとえば圧縮強さ、過酸化水素についてのエッジウィック抵抗、曲げ抵抗指数、Z強さおよび引張剛性指数が改良されている紙または板紙積層体を提供することである。特に、積層された紙または板紙、とりわけ低密度積層体または少なくとも1の低密度板紙層を含んでいる積層体であって、改良された圧縮強さならびに曲げ剛性指数および/またはエッジウィック抵抗を有する積層体を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品を製造する方法であって、
i)セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、
ii)該懸濁物にミクロフィブリル(微細線維)状多糖を該セルロース繊維の重量当たり約0.05〜約50重量%もたらす量で添加する段階、および
iii)得られた懸濁物を脱水し、そして当該積層体紙製品の、約150〜約500kg/mの密度を有する第一の層を形成する段階
を含む方法に関する。
【0007】
本発明は、少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品を製造する方法であって、
i)セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、
ii)該懸濁物にミクロフィブリル状多糖を該セルロース繊維の重量当たり約0.05〜約50重量%もたらす量で添加する段階、および
iii)得られた懸濁物を脱水し、そして当該積層体の少なくとも第一および第二の層を形成する段階において、当該少なくとも第一および第二の層のうちの少なくとも1が、ミクロフィブリル状多糖を含んでいる、段階ii)で得られた水性懸濁物から形成される上記段階;そして当該これらの層を積層体製品が約150〜約800kg/mの密度を得るような様式で接合する段階、
を含む方法にも関する。
【0008】
形成された紙または板紙の層は、任意の慣用の方法、たとえば特許文献1に開示された方法によって接合されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
層を形成すること、たとえば当該第一の層を形成することは、形成された層を、たとえばプレスニップによって圧搾する段階を含み、これは層の密度を増加することができる。このようにして、圧搾は、製造された1または複数の層の密度を調節するために使用されることができる。また、適切なパルプの選択が、所望の密度を有する形成された層をもたらすために重要である。1の実施態様に従うと、少なくとも1の層が形成され、別の段階において圧搾され、そしてその後にさらなる層に積層されることができる。圧搾段階に続いて、積層体は慣用の乾燥装置、たとえばドライヤーワイヤ/フェルトを有するまたは有さないシリンダー乾燥機、空気乾燥機、金属ベルト等で乾燥されることができる。乾燥工程に続いてまたは乾燥工程の間に、積層体はさらなる層をコーティングされることができる。
【0010】
「積層体紙製品」の語は、少なくとも2の層の紙および/または板紙を意味する。しかし、積層体紙製品は、紙および/または板紙以外の他の物質のさらなる層、例として様々なポリマー、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルおよび/もしくはポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマーおよびセルロースエステルの膜を1以上の層で、ならびに/または金属層、たとえばアルミニウム膜、SiO(この式で、0<x<=2)を堆積されたポリマー膜、米国特許出願公開第2006/135676号にさらに開示されているような、シリカをブレンドされたポリビニルアルコール(PVOH)、またはガスバリアとして機能することができかつ水、水蒸気、二酸化炭素、および酸素の低い透過性を有するかもしくはまったく透過性を有しないことができる金属蒸着ポリマー膜を含有することもできる。好適な酸素バリアの例は、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、PAN(ポリアクリロニトリル)、アルミニウム、金属蒸着膜、たとえばポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートの膜、SiOを堆積された膜(この式で、0<x<=2)、無機板状鉱物をコンパウンドされたポリマー、たとえばクレーをコンパウンドされたポリマーを含む。
【0011】
「多糖」の語は、無制限に、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、グアーガム、ペクチン、アルギン酸塩、寒天、キサンタン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アルテルナン、ジェラン、ムタン、デキストラン、プルラン、フルクタン、ロカストビーンガム、カラギーナン、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、ムレイン、細菌莢膜多糖類、およびこれらの誘導体を包含する。多糖はそのまま使用されることができ、または繊維構造を生成しもしくは改良するためにスピニングが使用されることができる。
【0012】
ミクロフィブリル状セルロースが、最も普通に選択されるミクロフィブリル状多糖であろう。したがって、これは以下、本明細書においてより詳しく説明される。ミクロフィブリル状セルロースを調製するためのセルロースの源は以下を包含する。すなわち、(a)木質繊維、例として広葉樹および針葉樹から誘導されたもの、たとえば化学パルプ、機械パルプ、熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、再生繊維からのもの、(b)種子繊維、たとえば綿からのもの、(c)種子皮繊維、たとえば大豆皮、エンドウ豆皮、トウモロコシ皮からのもの、(d)鞘皮繊維、たとえば亜麻、麻、ジュート、ラミー、ケナフからのもの、(e)葉繊維、たとえばマニラ麻、サイザル麻からのもの、(f)柄またはわらの繊維、たとえばバガス、トウモロコシ、小麦からのもの、(g)草繊維、たとえば竹からのもの、(h)藻からのセルロース繊維、たとえばベロニア、(i)細菌または真菌、および(j)実質細胞、たとえば野菜および果物、ならびに特に甜菜、およびかんきつ類の果物、たとえばレモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツからのものである。微結晶形態のこれらのセルロース物質が使用されることもできる。セルロース源は、(1)亜硫酸、クラフト(硫酸塩)、または予め加水分解されたクラフトのパルプ化工程から製造された、精製された任意的に晒をされた木材パルプ、および(2)精製された綿くずを含む。セルロースの源は限定的ではなく、任意の源、たとえば合成セルロースまたはセルロース類似物が使用されることができる。1の実施態様に従うと、ミクロフィブリル状多糖、たとえばミクロフィブリル状セルロースが広葉樹および/または針葉樹から誘導される。
【0013】
本発明の目的のためには、多糖ミクロフィブリルとは、小直径の、高長さ−直径比の、大きさにおいて天然に存在するセルロースミクロフィブリルの大きさに相当する下位構造体をいう。本明細書はミクロフィブリルおよびミクロフィブリル化という語を使うけれども、これらの語は本明細書では(セルロース性のまたは他の)ナノメートルの大きさを有する(ナノ)フィブリルをも包含することを意味する。
【0014】
1の実施態様に従うと、ミクロフィブリル状多糖、たとえばミクロフィブリル状セルロースは、たとえばグラフト、架橋、化学酸化によって、例として過酸化水素、フェントン(Fenton)反応、および/またはTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル)の使用によって;物理修飾、たとえば吸着、例として化学吸着;および酵素修飾によって修飾される。組み合わされた技術が、ミクロフィブリル状セルロースを修飾するために使用されることもできる。
【0015】
セルロースは、組織および方位のいくつかの階層レベルにおいて自然界に認められることができる。セルロース繊維は層状二次壁構造を含んでおり、その内部にマクロフィブリルが配列されている。マクロフィブリルは多数のミクロフィブリルを含んでおり、これはさらに結晶質および非晶質領域に配列されたセルロース分子を含んでいる。セルロースミクロフィブリルは、植物の様々な種について直径において約5〜約100ナノメートルの範囲にあり、最も典型的には直径において約25〜約35ナノメートルの範囲にある。ミクロフィブリルは、非晶質ヘミセルロース(特にキシログルカン)、ペクチン質多糖、リグニン、およびヒドロキシプロリンに富んだ糖タンパク質(エクステンシンを包含する。)のマトリクス内を平行に走る束で存在する。ミクロフィブリルは約3〜4nmの間隔を空けて配置され、そのすき間は上に列挙されたマトリクス化合物によって占められている。マトリクス物質の特定の配置および位置ならびにこれらとセルロースミクロフィブリルとの相互作用の仕方はまだ完全にはわかっていない。
【0016】
1の実施態様に従うと、形成されたミクロフィブリル状多糖の(Micromeritics ASAP 2010計器を使用してBET法に従って177°KにおけるNの吸着によって測定された)最終比表面積が約1〜約100、たとえば約1.5〜約15、または約3〜約10m/gであるような程度まで、多糖は微細化されまたは層間剥離される。ミクロフィブリル状多糖の得られた水性懸濁物の粘度は、約200〜約4000、または約500〜約3000、または約800〜約2500mPa・秒であることができる。安定度は、懸濁物の沈降の程度の尺度であり、これは約60〜100、たとえば約80〜約100%であることができ、ここで100%は少なくとも6月間沈降がないことを表す。
【0017】
1の実施態様に従うと、ミクロフィブリル状多糖は約0.05〜約0.5、たとえば約0.1〜約0.4、または約0.15〜約0.3mmの算術繊維長さを有する。1の実施態様に従うと、ミクロフィブリル状多糖は、セルロース懸濁物にセルロース繊維の重量当たり約0.5〜約30、たとえば約1〜約15、たとえば約1〜約10、または約2〜10重量%をもたらす量で添加される。
【0018】
層間剥離されていない木材繊維、たとえばセルロース繊維は、ミクロフィブリル状繊維と区別できる。何故ならば、木材繊維の繊維長さは普通約0.7〜約3mmの範囲にあるからである。セルロース繊維の比表面積は普通約0.5〜約1.5m/gである。層間剥離は、多糖の繊維を層間剥離するのに適した各種の装置で実施されることができる。繊維を処理するための前提条件は、該装置が、フィブリルが繊維壁から引き離されるような様式で可動でありまたは制御されることである。繊維を、互いに、層間剥離が行われている装置の壁または他の部分に対して擦ることによって、これは達成されることができる。1の実施態様に従うと、ポンプ送り、混合、熱、水蒸気爆発、加圧−減圧サイクル、衝撃磨砕、超音波、マイクロ波爆発、粉砕、およびこれらの組み合わせによって、層間剥離は達成される。本明細書に開示された機械的操作のいずれにおいても、本明細書に定義されたミクロフィブリル状多糖をもたらすのに十分なエネルギーがかけられることが重要である。
【0019】
1の実施態様に従うと、ミクロフィブリル状多糖が添加される水性懸濁物は、化学パルプ、たとえば硫酸塩パルプおよび亜硫酸パルプ、オルガノソルブパルプ;再生繊維;および/または機械パルプ、たとえば叩解機械パルプ(RMP)、加圧叩解機械パルプ(PRMP)、前処理叩解化学アルカリ性過酸化物機械パルプ(P−RC APMP)、熱機械パルプ(TMP)、熱機械化学パルプ(TMCP)、高温度TMP(HT−TMP)、RTS−TMP、アルカリ性過酸化物パルプ(APP)、アルカリ性過酸化物機械パルプ(APMP)、アルカリ性過酸化物熱機械パルプ(APTMP)、熱パルプ、粉木パルプ(GW)、石粉木パルプ(SGW)、圧力粉木パルプ(PGW)、超圧力粉木パルプ(PGW−S)、熱粉木パルプ(TGW)、熱石粉木パルプ(TSGW)、化学機械パルプ(CMP)、化学叩解機械パルプ(CRMP)、化学熱機械パルプ(CTMP)、高温度CTMP(HT−CTMP)、亜硫酸修飾熱機械パルプ(SMTMP)、リジェクトCTMP(CTMP)、粉木CTMP(G−CTMP)、セミ化学パルプ(SC)、中性亜硫酸セミ化学パルプ(NSSC)、高収率亜硫酸パルプ(HYS)、バイオ機械パルプ(BRMP)、OPCO法、爆発パルプ化法、Bi−Vis法、希釈水スルホン化法(DWS)、スルホン化長繊維法(SLF)、化学処理長繊維法(CTLF)、長繊維CMP法(LFCMP)、ならびにこれらの変形物および組み合わせに従って製造されたパルプからのセルロース繊維を含有する。
【0020】
セルロース繊維は、広葉樹、針葉樹の生物種、および/または非木材から誘導されることができる。広葉樹および針葉樹の例は、カバ、ブナ、アスペン、たとえばヨーロッパアスペン、ハン、ユーカリ、カエデ、アカシア、混合熱帯広葉樹、マツ、たとえばテーダマツ、モミ、アメリカツガ、カラマツ、トウヒ、たとえばクロトウヒまたはドイツトウヒ、およびこれらの混合物を含む。非木材植物原料は、たとえば穀物のわら、小麦わら、クサヨシ、アシ、亜麻、麻、ケナフ、ジュート、ラミー、種子、サイザル麻、マニラ麻、コイア、竹、バガス、またはこれらの組み合わせからもたらされることができる。
【0021】
1の実施態様に従うと、水性懸濁物のセルロース繊維は、広葉樹および/または針葉樹の生物種から誘導される。
【0022】
1の実施態様に従うと、ミクロフィブリル状多糖が添加される水性懸濁物は、セルロース繊維を約0.01〜約50、たとえば約0.1〜約25、または約0.1〜約10、または約1〜約10重量%の量で含有する。
【0023】
1の実施態様に従うと、製造される積層体紙製品は、板紙、紙、または板紙と紙との層の組み合わせである。
【0024】
1の実施態様に従うと、少なくとも1の第二の層が当該第一の層に、たとえば互いに面している表面の実質的に全体にわたって直接的にまたは間接的に並べられまたは接合される。1の実施態様に従うと、積層体は、たとえば少なくとも3または4の層を含んでいることができる。これらの層の形成は、任意の慣用の技術によって実施されることができる。
【0025】
1の実施態様に従うと、2の層が、そのそれぞれが約400〜約1000、たとえば約510〜約770kg/mの密度を有し、当該第一の層にそのいずれの面上にも接合されて、当該積層体紙製品の外層を形成する。
【0026】
1の実施態様に従うと、第一の層は機械パルプから製造され、かつ外層は化学パルプから製造される。
【0027】
1の実施態様に従うと、第一の層は、普通には積層体の内層を構成し、約150〜約500、たとえば約200〜約450、たとえば約220〜約450、たとえば約250〜約400kg/mの密度を有する。
【0028】
1の実施態様に従うと、少なくとも1の外層は、本明細書に開示された方法のいずれかまたは化学パルプを得るための他の慣用の方法に従って得られた化学パルプから製造される。該パルプは晒パルプであっても未晒パルプであってもよい。
【0029】
1の実施態様に従うと、少なくとも3の層を含んでいることができる積層体紙製品、たとえば液体包装材板紙のような板紙が形成される場合において、ミクロフィブリル状多糖を含んでいる水性懸濁物から形成された内層と当該内層のそれぞれの面に接合されるさらなる層とを直接的にまたは間接的に接合することによって、該製品は得られ、当該さらなる層はミクロフィブリル状多糖を有しているかまたは有していない水性懸濁物から製造される。
【0030】
さらなる層、たとえばバリア層は、形成されそして上述の外層上に接合されることができる。該層のいずれもコーティングされて、たとえばエッジウィック抵抗および積層体の印刷性を改良することができる。1の実施態様に従うと、コーティングされたまたはコーティングされていないいずれの層も、次にプラスチックまたはポリマーの層をコーティングされることができる。このようなコーティングはさらに、液体の浸透を低減しかつ製品のヒートシール特性を改良することができる。
【0031】
1の実施態様に従うと、少なくとも1の層は約400〜約1000、たとえば約500〜約1000、たとえば約510〜約1000、たとえば約510〜約770、または約530〜約700、たとえば約590〜約670kg/mの密度を有する。
【0032】
1の実施態様に従うと、本明細書に開示された方法のいずれかまたはパルプを得るための他の慣用の方法に従って木材パルプまたは非木材パルプから得られた機械パルプおよび/または化学パルプから、第一の層は製造される。1の実施態様に従うと、第一の層は、合計パルプ重量当たり少なくとも約40、たとえば少なくとも約50、たとえば少なくとも約60、または少なくとも約75重量%の機械パルプから製造される。該パルプは晒パルプであっても未晒パルプであってもよい。
【0033】
1の実施態様に従うと、積層体の密度は約150〜約800、たとえば約150〜約700、または約200〜約640、または約250〜約600、たとえば約300〜約580、または約400〜約500kg/mの範囲にある。
【0034】
1の実施態様に従うと、積層体は、積層体の坪量が約80〜約1500、たとえば約150〜約1000、または約200〜約700kg/mの範囲にあるような様式で製造される。
【0035】
1の実施態様に従うと、水性懸濁物は慣用の種類の鉱物フィラー、たとえば例としてカオリン、クレー、二酸化チタン、石こう、タルク、ならびに天然および合成炭酸カルシウムの双方、たとえば例として白亜、粉砕石英、粉砕炭酸カルシウム、および沈降炭酸カルシウムも含有する。水性懸濁物は慣用の種類の製紙用添加剤、たとえば濾水性・歩留まり向上用化学薬品、湿潤および乾燥紙力増強剤、サイズ剤、たとえばロジン、ケテンダイマー、ケテンマルチマー、無水アルケニルコハク酸等に基づいたものを含有することもできる。
【0036】
1の実施態様に従うと、湿潤および乾燥紙力増強剤は約0.5〜約30kg/パルプトンの量で添加されることができる。1の実施態様に従うと、1または複数のサイズ剤は約0.5〜約10、たとえば約0.5〜約4kg/パルプトンの量で添加されることができる。さらなる紙用化学薬品が、慣用の様式および量で水性懸濁物に添加されることができる。
【0037】
1の実施態様に従うと、本発明は、木材を含有する紙もしくは板紙(中質紙)および/または再生繊維に基づいた紙もしくは板紙、様々な種類の書籍および新聞用紙を製造する抄紙機に、ならびに/または木材を含有しない印刷および筆記用紙(上質紙)を製造する抄紙機に適用される。
【0038】
本発明は、本明細書に開示された方法によって得られることができる積層体紙製品にも関する。本発明はさらに、以下のパラメータ、すなわち過酸化水素についてのエッジウィック抵抗、ショート圧縮試験(Short Compression Test,SCT)に従って測定された圧縮強さ、曲げ抵抗指数、引張剛性指数、およびZ強さのうちの少なくとも1に関して改良された特性を有する積層体紙製品に関する。積層体紙製品は、方法の部の実施態様に開示された任意の数の層を含んでいることができ、また上記の本明細書の方法の部において得られた密度、坪量等を含む特性のいずれをも保持することができる。
【0039】
特に、本発明は、少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品であって、
a)約150〜約800kg/mの範囲にある積層体の密度
b)6kg/m未満の、過酸化水素についてのエッジウィック試験(EWT)値、および
c)20〜約50Nm/gのショート圧縮試験(SCT)指数
を有する積層体紙製品に関する。
【0040】
本発明は、少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品であって、
a)約150〜約800kg/mの範囲にある積層体の密度
b)20〜約120Nm/kgの範囲にある曲げ抵抗指数、および
c)20〜約50Nm/gのショート圧縮試験(SCT)指数
を有する積層体紙製品にも関する。
【0041】
1の実施態様に従うと、積層体の層のうちの少なくとも1は、ミクロフィブリル状多糖をセルロース繊維の重量当たり約0.05〜約50、たとえば約0.5〜約30、または約1〜約15、たとえば約1〜約10、または約2〜約10重量%の量で含んでいる。
【0042】
しかし、また、積層体製品中のミクロフィブリル状多糖の合計量が、積層体製品中のセルロース繊維の重量当たり50重量%を超えない限り、積層体のいくつかの層が所定の量を含有することもできる。
【0043】
1の実施態様に従うと、積層体の過酸化水素についてのエッジウィック試験(EWT)値は6未満、たとえば5もしくは4.5未満、または4kg/m未満である。1の実施態様に従うと、EWT値(過酸化水素)は2.5または2.2未満、たとえば2未満、たとえば1.5または1kg/m未満である。1の実施態様に従うと、EWT値(過酸化水素)は少なくとも0.1kg/m、たとえば少なくとも0.2kg/mである。
【0044】
1の実施態様に従うと、積層体紙製品は約10〜約120、たとえば約14〜約40、たとえば約17〜約40、たとえば約20〜約40、または20〜約25、たとえば21〜24Nm/kgの範囲にある曲げ抵抗指数を有する。
【0045】
1の実施態様に従うと、積層体のZ強さは約150〜約500、たとえば約175〜約450、たとえば約185〜約400、または約190〜約350、または約200〜約320kPaの範囲にある。
【0046】
1の実施態様に従うと、積層体の引張剛性指数は約5〜約20、たとえば約5〜約15、または約5〜約10kNm/gである。
【0047】
1の実施態様に従うと、引張指数は約20〜約100、たとえば約30〜約70、または約40〜約60Nm/gである。
【0048】
1の実施態様に従うと、ショート圧縮試験(SCT)指数に従う、積層体の圧縮強さは20〜約50、たとえば20〜約40、たとえば20〜約30、または20.4〜約25Nm/gの範囲にある。
【0049】
1の実施態様に従うと、スコット結合(Scott Bond)は約50〜約500、たとえば約100〜約250、たとえば約130〜約220J/mの範囲にある。
【0050】
積層体紙製品は、さらなる層、たとえば紙または板紙の層上にコーティングされたプラスチックもしくはポリマーの層および/または本明細書に開示されたバリア層を含んでいることができる。
【0051】
特に、本発明は、包装材板紙として使用するために、特に(FDA 176.170および176.180における定義に従って)水性、脂肪性および/または乾燥食物用の保存容器として使用するために積層体紙製品を使用する方法に関する。このような食品は、ライス、シリアル(乾燥食物)、ならびにミルク、ジュース、熱い液体等(液体類)を包含することができる。積層体紙製品は、たとえばタバコ包装物、道具類(スペアパーツ)、医薬、せっけん等のために使用されることもできる。用途のさらなる例は、紙製品、たとえば多層の紙および/または板紙、工業物品またはこのような最終製品を製造するための中間製品のような物品のラッピング材料および包装材料、または他の積層体紙製品の製造を含む。包装物は、周囲の環境、たとえば取扱い、輸送および貯蔵の間の衝撃から、積み重ねの圧力および極端な温度および湿分から内容物を保護しなければならない。
【0052】
本発明はこのようにして記載されてきたが、同は多くの様式で変えられることができることはいうまでもないであろう。以下の実施例は、記載された本発明がいかに実施されることができるかを本発明の範囲を限定することなくさらに例示する。
【0053】
すべての部およびパーセントは、他様に述べられない限り重量部および重量パーセントをいう。ミクロフィブリル状多糖またはミクロフィブリル状セルロースの重量パーセントで示されたすべての量は、セルロース繊維の重量当たりである。
【0054】
以下の標準方法が、本明細書で定義された積層体の特性を明らかにするために使用され、以下の例も含まれる。

【0055】
折り目付け前およびその後の、ISO 2493:1992に従ってMD(機械方向)およびCD(横断方向)において測定された曲げ抵抗を比較することによって、相対折り目強さは得られる。
【0056】
紙製品のエッジウィック抵抗を測定するために、過酸化水素についてのエッジウィック試験法が用いられ、以下の手順に従って実施された。
【0057】
装置
水浴、金属箱、グリット、3Mスコッチテープ、テープ貼り付け器
【0058】
化学薬品
35%過酸化水素、最大+8℃において保存
【0059】
実験手順
1.紙サンプルは、23℃および相対湿度50%において少なくとも2時間、状態調整されなければならない。
2.サンプルの厚さは、ISO 534:1988に従って測定される。
3.サンプルは、テープ貼り付け器を使用してテープを貼られ、そして直列に25×75mmに裁断されて1点当たりサンプル5個を得る。
4.サンプルが秤量される。
5.サンプル5個が、35%過酸化水素を含有する金属箱に入れられる。
この前に金属箱は、+70℃(+−1.0℃)の温度にある水浴中に入れられる。その目的のために設計されたグリットが、サンプルを箱の底に保つために、箱内に入れられる。サンプルは、過酸化水素の表面の10cm下になければならない。サンプルが箱内に入れられた後に、蓋が閉じられそしてタイマーがセットされる。
6.10分間(+−15秒間)後、サンプルが箱から取り出され、そして吸い取り紙を使用して液体が吸い取られる。
7.サンプルが秤量される。
【0060】
計算および報告
=試験前の重量(mg)
=試験後の重量(mg)
t=厚さ(μm)=測定値5個の平均
O=外周=0.2m
n=サンプルの数=5
【0061】

【0062】
再現性
2.0kg/m未満のエッジウィック試験値を含む正確な結果が、とりわけ高度の疎水性における該方法から得られることができる。この限界未満において、2のサンプルは、実験室製シートについては+−10%を、および機械製シートについては+−5%を超えた値だけ相違してはならない。
【実施例1】
【0063】
A)ダイナミックシートフォーマー(Formette Dynamic、スウェーデン国、Fibertech社から納入された。)を使用して紙製品が製造され、この場合、広葉樹クラフトパルプ繊維(°SR 26)60%と針葉樹クラフトパルプ繊維(°SR 23)40%との混合物からの、60g/mの坪量を持つ表層および裏層が市販の板紙と同じ組成を有していた。ダイナミックシートフォーマーにおいて紙料(パルプ稠度:0.5%、電導度:1500μm/秒、pH7)を混合槽から横断ノズルを通って回転ドラム中に入れワイヤの表面上の水膜上へとポンプ送りし、紙料を濾水してシートを形成し、シートを搾水しそして乾燥することによって、紙シートが形成された。懸濁物に添加された化学薬品の(パルプ重量当たりの)量ならびにポンプ送りおよびシート形成の何秒間前に添加されたかの時間は、以下の通りであった。

【0064】
脱水時間は75秒間であった。紙シートは、ロールプレス中で3バールにおいて搾水され、その後105℃において8分間プレーン乾燥機(plane dryer)中で拘束乾燥された。
【0065】
B)以下の特性、すなわち算術繊維長さ0.25mm(Kajaani FS−100繊維サイズ分析器)、比表面積5m/g(Micromeritics ASAP 2010測定器を使用するBET法)、粘度1098mpa・秒(Brookfield粘度計、RV 3、12rpm)、安定度100%(0.5%パルプ懸濁物の沈降度)、水保持値(WRV)5.39(g/g)(SCAN:−C 62:00)を有するミクロフィブリル状セルロースを様々な量で添加したことを除いて、A)におけるのと同じように、板紙の、それぞれ、56g/mおよび53g/mの坪量を有する表層および裏層が調製された。
【0066】
A)およびB)に従って調製された表層および裏層が、それらの坪量、引張強さ、および引張剛性を分析された。表1から、ミクロフィブリル状セルロース3〜10%を添加された紙料から調製された板紙の引張強さは、坪量は53および56m/gである、すなわちミクロフィブリル状セルロースを添加されていない紙料から調製された板紙(60m/g)よりも低いけれども、この参照と同じかそれより高い引張強さを有していることがわかる(表1を見よ。)。

【実施例2】
【0067】
A)ダイナミックシートフォーマー(Formette Dynamic、スウェーデン国、Fibertech社から納入された。)を使用して紙製品が製造され、この場合、CTMPパルプ(CSF 400)、パルプ化ブロークおよび針葉樹クラフトパルプ(°SR 23)を様々な割合(A1〜A4、表2を参照せよ。)で有する混合物からの、130g/mの坪量を有する内層が市販の板紙と同じ組成を有していた。紙シートは実施例1におけるように形成された。懸濁物に添加された化学薬品の(パルプ化ブロークを含むパルプ重量当たりの)量ならびにポンプ送りおよびシート形成の何秒間前に添加されたかの時間は、AKDの0.35%を用いたことを除いて実施例1におけるのと同じであった。シートは濾水され、搾水され、そしてプレーン乾燥機中11分間の乾燥を用いたことを除いて実施例1におけるのと同じように乾燥された。

【0068】
B)板紙の、130g/mの坪量を有する内層がA)におけるのと同じように調製され、但しCTMPパルプ75%、パルプ化ブローク20%および針葉樹クラフト5%から成り、それにミクロフィブリル状セルロース2〜8%の量の添加が行われたパルプ混合物から調製されたことが異なっていた(B1〜B4)。
【0069】
C)板紙の、130g/mの坪量を有する内層がAにおけるのと同じように調製され、但しHT−CTMPパルプ(CSF 700)75%、パルプ化ブローク20%および針葉樹クラフト5%から成り、それにミクロフィブリル状セルロースの2〜8%の量の添加が行われたパルプ混合物から調製されたことが異なっていた(C1〜C4)。
【0070】
板紙の、A〜Cに従って調製された内層が、その引張指数およびZ強さの特性を分析された。CTMP、とりわけHT−CTMPの量の増加と組み合わせてミクロフィブリル状セルロースを添加して内層を形成することによって、参照Aの引張指数およびZ強さを実質的に維持しながら、板紙の内層の密度が低減されることができることが表3から明らかである。

【実施例3】
【0071】
A)ダイナミックシートフォーマーを使用して、250g/mの合計坪量を持つ、市販板紙と同じ組成を有する紙製品が製造された。それぞれ、60g/mの表層および底層が、広葉樹クラフトパルプ繊維(°SR 26)60%および針葉樹クラフトパルプ繊維(°SR 23)40%のパルプ混合物から調製された。130g/mの内層が、CTMP(CFS 400)60%、パルプ化ブローク20%および針葉樹クラフトパルプ繊維20%の混合物から調製された。ダイナミックシートフォーマーにおいて実施例1におけるのと同じように紙シートが形成されたが、紙料の濾水は別の層の形成の間に実施されなかった。懸濁物に添加された化学薬品の(パルプ重量当たりの)量ならびにポンプ送りおよびシート形成の何秒間前に添加されたかの時間は、実施例1および2におけるのと同じであった。3層の板紙の濾水時間は90秒間であった。紙シートは、ロールプレス中で3バールにおいて搾水され、その後105℃において15分間プレーン乾燥機中で拘束乾燥された。
【0072】
B)53g/mの坪量を有する表層および底層ならびに109g/mの坪量の内層である、215g/mの合計坪量を有する3層の板紙が、ミクロフィブリル状セルロースが添加されたことを除いてAにおけるのと同じように調製された。表層および底層に添加されたミクロフィブリル状セルロースの量は2%であり、他方、紙用化学薬品は実施例1のA)におけるのと同じように添加された。HT−CTMP(CSF 700)75%、パルプ化ブローク20%および針葉樹クラフトパルプ繊維5%を含んでおり、それにミクロフィブリル状セルロース3%が添加されたパルプから、内層は製造された。
【0073】
C)215g/mの合計坪量を有する3層の板紙がB)におけるのと同じように調製されたが、但しHT−CTMP(CSF 700)80%およびパルプ化ブローク20%の繊維混合物であり、それにミクロフィブリル状セルロース5%が添加されたものから、内層が調製されたことが異なっていた。
【0074】
A〜Cに従って製造された板紙が、その密度、引張強さ、Z強さおよび幾何学的曲げ抵抗を分析された(表4を参照せよ。)。

【0075】
サンプルBおよびCが参照Aよりもはるかに低い坪量および密度を有する事実にもかかわらず、参照Aと比較してサンプルBおよびCにおいて引張強さが本質的に維持されながら、幾何学的曲げ抵抗が本質的に維持されまたは改良されることを、表4に提示された結果は示す。
【0076】
A〜Cに従って製造された板紙が、コーティングされ(積層され)そしてその密度、曲げ抵抗指数、エッジウィック(過酸化水素)、および機械方向(MD)および横断方向(CD)における相対折り目強さを分析された。コーティングされたおよびコーティングされていないサンプルを比較することによって(表5を参照せよ。)、板紙をポリエチレンと積層すると密度が増加し、したがってすべての板紙について曲げ抵抗指数が低減されることがわかる。しかし、それでもなお、参照Aと比較して、紙料にミクロフィブリル状セルロースを添加することによって板紙BおよびCについて曲げ抵抗指数の増加が得られることができることが明らかである。さらにその上、本発明に従う積層化板紙の相対折り目強さおよびエッジウィックの特性の好ましい低減(表5)が認められることもできる。参照Aと比較して、エッジウィックが低減されると(BおよびC)、端部における液体への抵抗が強化される。

【実施例4】
【0077】
A)ダイナミックシートフォーマー(Formette Dynamic、スウェーデン国、Fibertech社から納入された。)を使用して、それぞれ、150、200、250および300g/mの合計坪量を有する積層体紙製品が製造された。広葉樹クラフトパルプ繊維(°SR 26)60%および針葉樹クラフトパルプ繊維(°SR 23)40%のパルプ混合物から、それぞれ55g/mの表層および底層が調製された。CTMP(CSF 400)70%および針葉樹クラフトパルプ繊維30%のパルプ混合物から、それぞれ、40、90、140および190g/mの内層が調製された。ダイナミックシートフォーマーにおいて実施例1および3におけるのと同じように紙シートが形成されたが、懸濁物に添加された化学薬品の(パルプ重量当たりの)量ならびにポンプ送りおよびシート形成何秒間前に添加されたかの時間は以下の通りであった。

【0078】
約600kg/mの密度値に到達するために、製品は以下、すなわち、150g/mの積層体は8.5バールにおいて5分間、200g/mの積層体は10バールにおいて5分間、250g/mの積層体は13バールにおいて5分間および300g/mの積層体は13バールにおいて7分間に従ってプレーンプレス中で搾水された。
【0079】
B)HT−CTMP(CSF 740)78%および針葉樹クラフトパルプ繊維22%の混合物から調製された(40、90、140および190g/mの)内層を有する、それぞれ、150、200、250および300g/mの合計坪量を有する紙製品が、A)におけるのと同じように製造された。内層に添加されたミクロフィブリル状セルロースの量は5%であり、他方、ウェットエンド化学薬品がA)におけるのと同じように添加された。紙製品はA)におけるのと同じように搾水された。
【0080】
C)それぞれ、150、200、250および300g/mの合計坪量を有する紙製品がB)におけるのと同じように製造されたが、但しHT−CTMP(CSF 740)83%および針葉樹クラフトパルプ繊維17%のパルプ混合物から調製された(40、90、140および190g/mの)内層を有することが異なっていた。中層に添加されたミクロフィブリル状セルロースの量は5%であり、他方、ウェットエンド化学薬品がA)におけるのと同じように添加された。紙製品はA)におけるのと同じように搾水された。
【0081】
A〜Cに従って製造された板紙が、その密度、引張指数、Z強さおよび曲げ抵抗指数を分析された(表6を参照せよ。)。

【0082】
サンプルBおよびCは参照Aよりも低い密度を有する事実にもかかわらず、参照Aと比較してサンプルBおよびCにおいて、引張強さが本質的に維持されながら、曲げ抵抗指数が本質的に改良されることを、表6に提示された結果は示す。
【実施例5】
【0083】
A)多層板紙パイロット機において紙製品が製造された。2の外層が2の長網抄紙機で製造され、内層がハブリッドフォーマーの前の二次ヘッドボックスを使用して製造された。試作の間に使用されたすべての3のヘッドボックスは、ハイドロリック型ヘッドボックスであった。圧搾区画の配置は、ダブルフェルト型ロールプレスおよびそれに続くダブルフェルト型シュープレスであった。圧搾区画の後で紙は巻かれ、そして次にオフラインの4のシリンダー乾燥機で3〜4時間乾燥された。
【0084】
晒針葉樹(°SR 23)60%および晒広葉樹(°SR 26)40%のパルプ混合物から、それぞれ55g/mの外層が調製された。シート形成の前に、以下の化学薬品がパルプ懸濁物に添加された。すなわち、Eka DR 28HF(AKD、アルキルケテンダイマー)0.2%、Perbond 970(カチオン性ポテトデンプン)0.6%、Eka NP 442(コロイドシリカゾル)0.03%。
【0085】
内層はCTMP(CSF 400)70%および針葉樹30%から成っていた。内層の坪量は約100g/mであった。シート形成の前に、以下のウェットエンド化学薬品が添加された。すなわち、Eka DR 28HF(AKD、アルキルケテンダイマー)0.5%、Perbond 970(カチオン性ポテトデンプン)1.0%、Eka NP 442(コロイドシリカゾル)0.03%。
【0086】
B)HT−CTMP(CSF 740)70%および針葉樹30%から成る内層を用いることを除いて、Aに従って紙製品が製造された。
【0087】
C)ウェットエンド化学薬品をA)で述べられたように添加する前にミクロフィブリル状セルロース2%を内層に添加することを除いて、Bに従って紙製品が製造された。
【0088】
D)ウェットエンド化学薬品をA)で述べられたように添加する前にミクロフィブリル状セルロース5%を内層に添加することを除いて、Bに従って紙製品が製造された。
【0089】
E)Dに従って紙製品が製造された。ウェットエンド化学薬品を添加する前に外層を形成するための水性懸濁物にミクロフィブリル状セルロース2%が添加された。外層に添加されたウェットエンド化学薬品の量は、Eka NP 442を0.06%用いたことを除いてAにおけるのと同じであった。
【0090】
A〜Eに従って製造された板紙が、その強さ特性および過酸化水素を使用してエッジウィックを分析された(表7を参照せよ。)。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品を製造する方法であって、
i)セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、
ii)該懸濁物にミクロフィブリル状多糖を該セルロース繊維の重量当たり約0.05〜約50重量%もたらす量で添加する段階、および
iii)得られた懸濁物を脱水し、そして当該積層体紙製品の、約150〜約500kg/mの密度を有する第一の層を形成する段階
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品を製造する方法であって、
i)セルロース繊維を含んでいる水性懸濁物を用意する段階、
ii)該懸濁物にミクロフィブリル状多糖を該セルロース繊維の重量当たり約0.05〜約50重量%もたらす量で添加する段階、および
iii)得られた懸濁物を脱水し、そして当該積層体の少なくとも第一および第二の層を形成する段階において、当該少なくとも第一および第二の層のうちの少なくとも1が、ミクロフィブリル状多糖を含んでいる、段階ii)で得られた水性懸濁物から形成される上記段階;そして当該層を積層体製品が約150〜約800kg/mの密度を得るような様式で接合する段階、
を含む方法。
【請求項3】
紙製品が板紙である、請求項1または2に従う方法。
【請求項4】
ミクロフィブリル状多糖が、懸濁物にセルロース繊維の重量当たり約1〜約15重量%をもたらす量で添加される、請求項1〜3のいずれか1項に従う方法。
【請求項5】
セルロース繊維が機械パルプから誘導される、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
第一の層が、約220〜約450kg/mの密度を有する、請求項1〜5のいずれか1項に従う方法。
【請求項7】
ミクロフィブリル状多糖が、ミクロフィブリル状セルロースである、請求項1〜6のいずれか1項に従う方法。
【請求項8】
ミクロフィブリル状セルロースが修飾される、請求項1〜7のいずれか1項に従う方法。
【請求項9】
ミクロフィブリル状セルロースが、グラフト、架橋、化学酸化、物理修飾および/または酵素修飾によって修飾される、請求項8に従う方法。
【請求項10】
ミクロフィブリル状多糖が、約1〜約100m/gの比表面積を有する、請求項1〜9のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
ミクロフィブリル状多糖が、約0.05〜約0.5mmの算術繊維長さを有する、請求項1〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
当該第一の層に第二の層を接合することを含む方法において、第二の層が約400〜約1000kg/mの密度を有する、請求項1〜11のいずれか1項に従う上記方法。
【請求項13】
当該第一の層に第二の層を接合することを含む方法において、第二の層が約510〜約1000kg/mの密度を有する、請求項1〜12のいずれか1項に従う上記方法。
【請求項14】
約400〜約1000kg/mの密度を有する2の層を、当該第一の層に該第一の層のいずれの面上にも接合させて、当該紙製品の外層を形成する、請求項1〜13のいずれか1項に従う方法。
【請求項15】
当該第一の層が機械パルプから製造され、かつ外層が化学パルプから製造される、請求項14に従う方法。
【請求項16】
ミクロフィブリル状セルロースが、セルロース繊維の重量当たり約1〜約10重量%をもたらすような量で添加される、請求項1〜15のいずれか1項に従う方法。
【請求項17】
積層体紙製品が、液体包装材板紙である、請求項1〜16のいずれか1項に従う方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に従う方法によって得られることができる積層体紙製品。
【請求項19】
少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品であって、
a)約150〜約800kg/mの範囲にある積層体の密度
b)6kg/m未満の、過酸化水素についてのエッジウィック試験(EWT)値、および
c)20〜約50Nm/gの範囲にあるショート圧縮試験(SCT)指数
を有する積層体紙製品。
【請求項20】
少なくとも2の層を含んでいる積層体紙製品であって、
a)約150〜約800kg/mの範囲にある積層体の密度
b)20〜約120Nm/kgの範囲にある曲げ抵抗指数、および
c)20〜約50Nm/gのショート圧縮試験(SCT)指数
を有する積層体紙製品。
【請求項21】
層のうちの少なくとも1が、ミクロフィブリル状多糖をセルロース繊維の重量当たり約0.05〜約50重量%の量で含んでいる、請求項19または20に従う積層体紙製品。
【請求項22】
層のうちの少なくとも1が、ミクロフィブリル状セルロースをセルロース繊維の重量当たり約1〜約15重量%の量で含んでいる、請求項19〜21のいずれか1項に従う積層体紙製品。
【請求項23】
曲げ抵抗指数が20〜約40Nm/kgである、請求項19〜22のいずれか1項に従う積層体紙製品。
【請求項24】
Z強さが約185〜約400kPaである、請求項19〜23のいずれか1項に従う積層体紙製品。
【請求項25】
積層体紙製品が、プラスチックまたはポリマーの層をさらに含んでいる、請求項19〜24のいずれか1項に従う積層体紙製品。
【請求項26】
積層体が、酸素バリア層をさらに含んでいる、請求項19〜25のいずれか1項に従う積層体紙製品。
【請求項27】
請求項19〜26のいずれか1項に従う積層体紙製品を、水性、脂肪性および/または乾燥食物の保存のために使用する方法。

【公開番号】特開2013−64222(P2013−64222A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−234708(P2012−234708)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2009−542716(P2009−542716)の分割
【原出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】