素早く変形する複合的な壁を備えた流体用の容器
本開示は、可撓性の壁を有する採集バッグを対象としている。採集バッグは、形状記憶要素を含む素早く変形する壁を含むことができる。形状記憶要素は、採集バッグをその最初の形状に戻す傾向がある。様々な採集方法でこのような採集バッグを使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、35 U.S.C.第119の下、2010年2月16日に提出された米国仮特許出願第61/304,904号に対する優先権を主張しており、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明の実施形態は、流体のための容器に関し、より詳細には素早く変形する壁を備えた流体容器に関する。この素早く変形する壁は、流体の容器を最初の形状に戻す傾向のある形状記憶を有する構成要素を備えている。例えば、産業衛生用途で周辺環境の試料採集のために、この採集バッグを使用することができる。
【背景技術】
【0003】
従来の流体用の容器は恐らく、剛性の壁または可撓性の壁を有している。剛性の壁を有する容器は、流体を収容するために規定された不変の容積を有しており、可撓性の壁を有する容器は、可変のまたは変更可能な容積を有する。従来の容器には、これに限定するものではないが、瓶、キャニスタおよびバッグが含まれる。このような容器は様々な目的で使用することができ、この目的には、流体試料を手に入れ保持すること、および分析用の装備を較正するのに使用され得る標準的な気体混合物を収容することが含まれる。本明細書で使用されるように、「流体」との用語には、気体および/または液体が含まれる。特定の用途のために開発され特化されてきたこのような容器には多くの構成がある。
【0004】
加圧下にある気体混合物は、標準的な流体混合物を、産業用の量で、好ましくはキャリア流体中の比較的高濃度の1つ(または複数)の成分を使用して準備するのに有効である。高圧下の気体混合物は典型的には、剛性の壁を有する容器の中に保管される。研究所で使用する場合、このような気体混合物は、特定の成分が所望される濃度になるまで他のキャリア流体によって希釈され、標準的な混合物を準備することができる。このような標準的な混合物を搬送、保存および利用することを目的とした従来の容器は、自力では動かない、浸透性の低い材料でできた可撓性の壁を有する容器であってよい。中に含まれる構成要素のために壁に使用される吸着性の低い材料は、この混合物の完全性を高めるのに好ましい。可撓性の壁を有する容器は、採集バッグとも呼ばれ、流体の採集、空気の採集および液体の採集に広く使用されている。カイナー(Kynar)やテドラー(Tedlar)などの材料が、このような容器を作製するのに広く使用されている。
【0005】
代表的な試料を得るため、あるいは正確な標準的な混合物を準備する目的で、容器を充填する前に適切に準備を整える必要がある。典型的にはバッグは、中性ガスで洗われ、強力な真空ポンプを使用して高真空を受けることで、実質的に全ての流体を容器から取り出す。バッグを一掃し、洗い流すことで、いかなる残留物も脱離させるべきであり、その容積は、略ゼロまで縮小すべきである。何らかの吸着した残留物または残留ガスが、任意の準備された流体混合物を、あるいは準備が不十分なバッグの中に置かれた流体試料を汚染する恐れがある。
【0006】
剛性の壁を有する容器と可撓性の壁を有する容器には、それぞれ独自の利点と欠点がある。剛性の壁を有する容器の欠点は、それらが極めて高額であり、メンテナンスに費用がかかること、すなわち、それらが大きくて扱いにくいことから容器を保管、搬送および郵送するコストが高くなるため、ガス蒸気または気体混合物を送り届ける必要がある場合、それらを過剰に加圧し、流体採集に使用する前に完全に真空状態にする必要があることである。
【0007】
剛性の壁を有する容器による採集作業の別の欠点は、容器から試料の一部を取り出した後、キャニスタ内の圧力が大気圧を下回るまで下がる可能性があり、別のキャリアガス(例えば希ガス)を追加して、大気圧に戻るまで圧力を上げることがある点である。この工程は、試料や標準的な混合物を希釈し、分析するには、この追加のキャリアガスを補償する必要がある。
【0008】
剛性の壁を有する容器を充填する1つの方法は、容器の中に真空状態を形成することである。流体を容器の中に押しやる力は、この真空状態によって形成される。小さな採集ポンプでは、容器の中に十分な真空状態を形成することができないため、強力な特化された真空ポンプが必要となる。
【0009】
剛性の壁を有する容器の代替形態は、可撓性の壁を有する容器またはバッグである。可撓性の壁を有する容器の場合、2つの充填方法が知られており、広く利用されている。(OSHA技術マニュアル−指示番号:08−05(TED 01),有効期日6/24/2008)。
【0010】
最初の方法は、流体または流体試料、例えば産業用の周囲空気を、外部ポンプによってバッグの中に送るステップを含む。この方法の概略が、図8に表されている。この採集方法には、バッグ40と、バッテリ52によって動力を与えられるポンプ50と、ポンプ50とバッグ40をつなぐ配管44が含まれる。典型的な個人向けの採集ポンプが、この採集方法に適している。
【0011】
標準的な流体混合物の準備または試料採集をするのに、バッグを利用することができる。標準的な流体混合物を準備する場合、バッグは先ず、適切な測定済みの量のキャリア流体によって満たされる。典型的には図8に示されるように、ポンプまたは注射器によって汚染のないキャリアガスが一定量の流体に添加される。試料採集するために使用される場合、特定の環境の試料が、ポンプおよび配管を介してバッグの中に送られる。バッグはその後密閉され、分析するために研究所に送られる。
【0012】
採集バッグによるこの方法を使用するには利点と欠点がある。欠点には、コスト、不正確性、および外部ポンプを使用して流体混合物を送達し回収することによる汚染の可能性が含まれる。汚染または不正確性は、管の壁、ポンプの内部、フィルタ、配管および接続部にある気体混合物や試料の何らかの化学物質や成分が吸着および脱着することから生じる可能性がある。採集バッグの壁にある化学成分からも同様の問題が起こる。壁を洗浄したとしても、採集バッグをその後取り外し分析してみると、壁の能動的に吸着する箇所により、特定の化学物質の濃度が下がっている場合がある。このような吸着により、特定の化学成分の回収が15%まで低下する場合もある。この方法の回収率は、特に微量成分の試料採集の場合、高額な固定されたポンプと接続管を利用することによって改善させることができる。
【0013】
これらの方法はまた、異なる構成のポンプとこの採集バッグを使用することによって改善させることもできる、図9に示されるこの構成では、可撓性の採集バッグ40は、剛性の壁を有する外側容器60の中に気密式に密閉されている。外側容器からの空気は、ポンプ50によって配管44を介して汲み出される。ポンプには、バッテリ52によって動力を与えることができる。外側容器60の圧力が下がりバッグ40が拡張する際、周辺環境からバッグ40の中に空気が進入する。したがってバッグ40の外側、かつ容器60内の真空状態が、流体を採集するための原動力である。図9に示される実施形態では、採集バッグの入り口は、周囲の流体と直接つながっている。この方法は、図8に示される構成の主だった欠点の1つは受けない。図9の構成において手に入れた試料は、ポンプ50や配管44と接触していないため、配管44の壁、接続部、フィルタまたは採集ポンプ50の部品に吸着しないし、そこからの相互汚染もない。しかしながら、図8の構成の他の欠点は、図9の代替の構成にも依然として残っており、例えばこの構成要素が大きくて扱いにくく、重たいこと、装備が高価であること、ポンプにバッテリが必要であり、頻繁なメンテナンスが必要であること、バッグの壁に対する吸着は、上記に記載されるものと同様であるということである。
【0014】
このような方法の種々の実施形態は、米国特許に記載されている。例えば、特許文献1は、試料と不活性ガスが、気密式に密閉された容器の中の採集バッグに吸い込まれるシステムを記載している。特許文献2は、外側容器の構造の改良を記載している。特許文献3は、外側容器の中にある採集バッグを何度も一掃する方法を記載している。より高度になったデバイスが、特許文献4に開示されている。このデバイスは、極めて低い汚染レベルで試料を入手するために、システムの欠点を克服することに努めている。特許文献5は、この手法の汎用性を証明する液体を収集するための装置を記載している。もっと最近では特許文献6は、さらに外部の真空源に接続された1つのデバイスに組み込まれた装置を使用することを記載している。この方法によって提示される清浄度にも関わらず、この装置もまた重たく、大きくて扱いにくい高価な設備を使用するため、較正と、バッテリのメンテナンスの必要がある。
【0015】
特許文献7に、試料採集工程でポンプを使用することを避ける試みが開示されている。この特許は、大気空気試料を収集してその後で分析するための小さな(10ml)封筒状の袋を開示している。この袋は、ガスを通さない可撓性材料でできた第1および第2の対向するパネルで形成されており、これらのパネルは、周囲を密閉されることで収集チャンバを画定している。この袋は、例えば渦巻きバネまたは発泡樹脂製品などの拡張可能手段を中に収めている。この拡張可能手段が、保護板と大きな隔壁を介して壁に力を伝達する。これらの袋には、いくつかの欠点がある。例えば拡張可能手段は、試料採集された流体と接触することで、内部要素、すなわちばね、または特に任意の発泡樹脂製品による吸着の可能性が増す。さらに、拡張可能手段は、袋の内容物を完全に排出するのを阻止する。このように吸着する表面積が大きいことにより、容認できる回収率と正確性で、高濃度の化学成分のみを試料採集することができる。さらに、袋は再利用することができず、その理由は、袋を清浄するためにその採集容積を数回洗い清める必要があるが、袋の自動密閉式の隔壁によって、このような措置が不可能であるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3,866,474号
【特許文献2】米国特許第3,965,946号
【特許文献3】米国特許第5,437,201号
【特許文献4】米国特許第5,714,696号
【特許文献5】米国特許第6,338,282号
【特許文献6】米国特許第6,993,985号
【特許文献7】米国特許第4,546,659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
外部のエネルギー源、例えば圧力ポンプまたは真空ポンプなどがなくても、また剛性の壁を有する外側容器、管および管接続部がなくても、流体の送達や流体の採集ができる採集バッグに対する要望がある。さらに、試料を収集するのにその独自の原動力を生み出す採集バッグに対する要望がある。また、標準的な混合物または試料の外部汚染を抑える採集バッグに対する要望がある。
【0018】
さらに、別のキャリアガスの添加、および何らかの関連する濃度計算や、剛性の壁を有する容器の利用に関連する容積の補償を必要としない、標準的な混合物のための容器に対する要望がある。
【0019】
さらに、採集された体積の実質的に全てを利用することができる採集バッグに対する要望がある。費用が安く、製造しやすく、多様な用途のために設計されたデバイスを、特別に設計された採集バッグと、従来の採集バッグの両方と一緒に使用することができ、軽量で、扱いやすく、手で使用することが可能なデバイス、あるいは使用中自動的に作動し、搬送しやすくおよび/または本質的に安全であるデバイスに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この容器の実施形態は、可撓性の素早く変形する壁を備えている。この可撓性の採集バッグの壁は、容器を最初の構成に戻す性質を持っている。最初の構成は、略完全に容積が拡張した構成、略空の構成または部分的に容積が満たされた構成であってよい。素早く変形する壁は、採集バッグの外側に一定の力を加える、あるいは採集バッグの内側に一定の力を加えることによって最初の構成から変形させることができる。この力は手またはおもりであってよく、容器の片側または両側を押すことによって、バッグを最初の容積が拡張した構成(部分的に満たされた、あるいは略満たされた構成のいずれか)から、容積が縮小した構成に変形させることができる。力が解除されると、素早く変形する壁によって容器に加えられる付勢力により、容器はその最初の構成に戻る性質がある。大抵の場合、素早く変形する壁は、容器の内部容積が、容器の内側と外側で圧力を均一化することが可能な場合、容器を元の構成に戻す。素早く変形する壁は、採集バッグをその最初の構成に向けて付勢する形状記憶要素を備えた1つまたは複数の構成要素を備えることができる。
【0021】
容器の壁は、複数の層または構成要素を備えることができる。層は、バッグの壁の表面の略全体を覆っている完璧な層、あるいはバッグの一部のみを覆う部分的な層であってよい。該層は、拡張した金属、金属ワイヤ、板ばねまたは適切な形状と形状記憶性を有する他のこのような構造物で作製することができる。素早く変形する壁は、内蔵式の再生可能なエネルギー源を実現する。
【0022】
一実施形態において、容器は、複合的な壁を備える。複合的な壁は、複数の層を備えることができる。層は、内側層と、形状記憶層を含むことができる。内側層は、所望の用途に対して適切ないずれの層でもよく、採集容器の場合、内側層は、可撓性で、ガス抜けが低く、吸着性が極めて低いおよび/または不浸透性であってよい。内側層は、ポリオレフィンポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化プラスチック、PTFE、テフロン(登録商標)および他の同様の材料のうちの少なくとも1つを有することができる。複合的な壁の他の層は、構造体全体にさらなる特性を与える材料を有することができる。例えば第2の層は、内側層と比べて複合体に対する浸透性が小さくてよいことから、複合的な壁の不浸透性を高めることができる。別の層は、形状記憶要素を備えることができる。形状記憶要素は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、金属または金属合金、ならびに形状記憶性を有する他の材料から選択された少なくとも1つの材料を有することができる。いくつかの実施形態において、形状記憶要素を有する層は、複合体の他の層と比べて比較的厚みがあってよい。
【0023】
別の層または内側層は、例えばステンレス鋼、ニッケル、アルミニウムまたは可撓性であり十分に不浸透性である他の金属層など浸透性が極めて低い、あるいはゼロの材料を有する層であってよい。いくつかの実施形態において、特にこの層が内側層である実施形態では、金属層は、化学的に不活性の金属酸化物の薄い表面の下層、またはコーティングを備えることができる。この金属酸化物層はまた、シリコンで覆うこともできる。層は、複合的な壁に適切な機能を与えるためにその用途によって任意の適切な順序であってよい。
【0024】
別の任意選択の層は、例えば静的な放散、異なる材料への良好な密着、低い摩擦力および/または耐摩耗性など特定の性質を持つ材料を有する複合的な壁の外側層を含むことができる。このような外側層は、例えば金属化ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンを含む群から選択された少なくとも1つの材料を有することができる。
【0025】
特定の実施形態において、壁の形状記憶要素は、その最初の構成における容器の主な形状を画定し、柔軟な部分が、容器をうまく適合させて密閉する働きをする。
【0026】
容器の実施形態は、2つの典型的な最初の構成上の形状のうちの1つを有することができるが、他のものも可能である。
− 最初の平坦な構成で形状記憶要素を備える容器は、その最初の構成において壁の間の容積が略ゼロの容器になる。平坦な最初の構成を有する容器は、内部圧力が上がることによって拡張することができる。図1Aを参照。形状記憶要素は、最初の平坦な構成、あるいは弓形の最初の構成であってよい。形状記憶要素が、最初の弓形の構成の場合、この形状記憶要素を、凸面が互いに隣接するように配置することによって、平坦な最初の構成を有する容器を形成することができる。図1Aのa1を参照。その後形状記憶要素の縁部が、容器の他の層によって一緒に固定される。図1Aのa2を参照。流体が容器の内部容積に加えられた場合、形状記憶要素は、図1Aのa3に示されるように変形される。このような一実施形態では、容器は、形状記憶要素の性質により、収縮して最初の平坦な構成に戻ることになる。
− 2つの弓形の形状記憶要素を備えた膨張した最初の構成を有する容器の別の実施形態が、図1Bに示される。この実施形態では、弓形の形状記憶要素は、凹面が互いに面するように配置される。図1Bのb1を参照。図1Bのb2に示されるように、容器の外側に及ぼされる一定の力により、容器を収縮させることができる。容器は拡張する性質を有しているため、流体を容器の内部容積に引き込む。図1Bのb3を参照。
【0027】
最初に平坦な構成を有する壁を備えた容器の実施形態は、変形した後、平坦な構成に戻ろうとして内部容積にある流体に加圧する力を及ぼし、内部容積からゼロ量になるまで流体を追い出すことができる。このような実施形態を利用して、外部の装備に必要とされる流体の流れ、またはこの容積内にある流体の試料を供給することができる。−図1A、a1;a2;a3。
【0028】
容積が略完全に拡張した最初の構成、または一部が完全に拡張した構成の容器の実施形態を、内部容積が略ゼロの平坦な形状にすることができる。形状記憶要素を有する素早く変形する壁はその後、周辺環境と内部空間の間に圧力差を及ぼすことで、流体が容器の永続的に拡張される容積を満たすように何らかの原動力を与える。−図1B,b1;b2;b3。
【0029】
本発明の実施形態は、追加のデバイスがなくとも試料採集を可能にする採集バッグ、および自動的に採集することができる採集バッグの設計を提供する。本明細書で使用されるように、自動的な採集とは、試料を利用する人間が手助けしなくともいったん開始したら持続する採集作業を意味する。
【0030】
素早く変形する壁を備えた採集バッグの実施形態の他の態様および特徴は、本発明の特定の例示の実施形態の以下の記載を、図面と併せて再検討すれば、当業者に明らかになるであろう。特定の実施形態および図面に関連して特徴を考察することができるが、全ての実施形態は、本明細書で考察される特徴の1つまたは複数を含むことができる。1つまたは複数の特定の実施形態が特定の有利な特徴を有するように本明細書で考察される場合もあるが、このような特徴はそれぞれ、(このように統合することが、その他の特徴と適合しない場合は除いて)本発明の種々の他の実施形態に組み込むこともできる。同様にして、例示の実施形態は、以下で考察され得るが、このような例示の実施形態を多様なシステムおよび方法で実施することができることを理解されたい。さらに同一の発明者等の名前で2011年2月16日に提出されたタイトル「DEVICE FOR FLUID SAMPLING」という米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】組み立て前および組み立て後、ならびに素早く変形する壁によって力が及ぼされる前およびその後の、それぞれの記憶された一般的な形状を有する複合的な素早く変形する壁の概略図であり、位置a1; a2; a3;位置a1は組み立て前の壁の位置、位置a2は組み立てた後の壁の位置、位置a3は押し広げられた後の壁の位置の図である。
【図1B】位置b1, b2, b3; b1は組み立て前の壁の位置、b2は組み立て後の壁の位置、b3は素早く変形する壁によって不変の容積に拡張された壁の位置の図である。
【図2A】複合的な壁を有する容器の図であり、複合的な壁を有する容器の、平らになった位置に留まりチャンバ内に過圧状態を形成する不変の性質を示す図である。
【図2B】複合的な壁を有する容器の、膨らまされて輪郭を定める内部空間位置に留まり、チャンバ内に減圧状態を形成する永続的な性質を示す図である。
【図2C】2つの直線側と2つの曲線側を有する形状記憶要素を表す図である。
【図2D】図2Cの形状記憶要素を備える採集バッグの平坦な状態で示された図である。
【図2E】拡張または充填された状態で、形状記憶要素の設計により、採集バッグが「枕」のような形状になり、その側壁がピンと張られ、しわが少ない状態の図2Dに示される採集バッグの斜視図である。
【図3A】形状記憶性を有する材料を含む多層構造の素早く変形する壁の断面図であり、継ぎ目の断面図である。
【図3B】枢動式に接続された素早く変形する壁の図である。
【図3C】可撓性のヒンジとして薄くなった部分を有する素早く変形する壁の図である。
【図3D】縁部が外形を形成するスリーブ内で回転する素早く変形する壁の図である。
【図3E】縁部が輪によって接続された素早く変形する壁の図である。
【図4】採集管と流れ制御装置が一列に接続された容器の図である。
【図5】比色管が一列に接続された容器の図である。
【図6】インピンジャが一列に接続された容器の図である。
【図7】容器が、呼吸区域の個人の試料採集のためにベルトに掛けられ、採集デバイスが折襟のところにある図である。
【図8】ポンプと採集バッグを備えた直接的な採集の概略図である。
【図9】ポンプと採集バッグを備えた間接的な採集の概略図である。
【図10】長針駆動式の注射器式のポンプと、内部の採集バッグを備えた間接的な採集の概略図である。
【図11A】a−0.4Lの真空採集用の堅い壁の容器とキャニスタの図である。
【図11B】b−15.00Lの真空採集用の堅い壁の容器とキャニスタの図である。
【図12】内部が動く採集用のパウチの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
採集バッグの実施形態が、図1Aおよび1Bに示されている。この採集バッグの実施形態は、素早く変形する壁を備えている。この素早く変形する壁は、種々の実施形態における種々の構成に設置されており、それぞれ異なる力を与えることができる。素早く変形する壁は、採集バッグの壁に原動力を与える手段である。一実施形態において、素早く変形する壁は、少なくとも1つの形状記憶要素を備えることができる。形状記憶要素は、その最初の構成に向けて付勢力を与える構成要素、例えばパネルまたは板ばねなどの構成要素であってよい。特定の実施形態において、形状記憶要素は、容器の壁に内蔵される。いくつかの実施形態では、形状記憶要素が、容器の壁に内蔵されることができ、それによって、形状記憶要素が、容器内の流体と接触しなくなる。別の実施形態では、形状記憶要素が容器に内蔵され得ることで、形状記憶要素が、容器を収縮させるのを妨げることがなくなるため、容器の内部容積は、略ゼロになる。本明細書で使用されるように「略ゼロの内部容積」とは、内部容積が、容器の略完全に拡張した容積の全容積の5%未満まで圧縮され得ることを意味している。
【0033】
原動力、すなわち形状記憶要素は、所望される最初の構成、または容器に内蔵される際の形状記憶要素の「本来の」構成によって、壁を互いから離れるように、あるいは互いに向くように付勢することができる。形状記憶要素は、特定の力によって変形させることができる任意の構成要素であってよく、この力が解放されたとき、略その元の形状に戻る。形状記憶要素が略その元の形状に戻り、容器がその最初の構成に戻るとき、形状記憶要素を使用して、バッグ内の容積を拡大させたり縮小させたりすることができる。
【0034】
採集バッグの一実施形態が図1Aに示される。形状記憶要素10は、元々の湾曲した形状を有しており、凸面が互いに隣接するように配置されている。図には示されていないが、形状記憶要素は、矩形、正方形、三角形、円形、楕円形または他の形状を含めたいかなる形状でもよい。さらに、形状記憶要素はボウル型である場合もあり、それによって、ボウルの中心を力ずくで平らにし、この力を解放すると、形状記憶要素は、実質的にその元のボウル形状に戻る。例えば、図2に示される採集バッグ8の実施形態は、2つの概ね矩形の形状記憶要素10を備える。図2の実施形態では、形状記憶要素は、採集バッグ8の壁のほとんどの部分を占めている。あるいは、形状記憶要素は、開口、スラットまたはリブを備えてよい。
【0035】
図1Aに戻ると、形状記憶要素10は、可撓性の壁を有する容器の壁に内蔵されてよく、これにより形状記憶要素は、図1Aのa2に示されるように、互いに接触して平らになるように押しつけられる。容器の構成により、形状記憶要素が互いに対して平らになるように押しつけられたまま維持される。図1Aに示される容器が流体で満たされた場合、形状記憶性を有する素早く変形する複合壁は、図1Aのa1から図1Aのa3と比べてその元の形状とは反対向きに変形される。素早く変形する壁の形状記憶性により、形状記憶要素は、その元の形状に戻り、ノズル20を介して流体を容器から外に押し出す性質を持っている。容器のこのような実施形態は、標準的な気体または気体混合物の供給源が必要な場合に極めて有用であり、他の装置を較正する目的で気体混合物送達デバイスとして使用される場合もある。素早く変形する壁によって加えられる力によって移動する流体の方向は、矢印によって示されている。
【0036】
容器または採集バッグの別の実施形態が、図1Bに示される。この実施形態では、素早く変形する壁にある2つの形状記憶要素が、その凹面が互いに隣接するように配置されている。このような実施形態では、素早く変形する壁は、容器を開放するような傾向の機動力(agile forces)を行使し、それ故に、容器または採集バッグ内に適度な減圧状態を形成する。この適度な減圧状態は、流体が容器または採集バッグを充填する原動力を生み出し、外部エネルギー源を必要とせずに、試料採集を完了させる。素早く変形する壁によって発揮される力によって移動する流体の方向は、矢印によって示される。図1に描かれた実施形態は、容器と採集バッグの汎用性を実証しており、これらは、より複雑な流体移動システムの代わりに、その独自の特性を有する素早く変形する壁を備えるように設計することができる。素早く変形する壁の設計に起因する形状記憶要素の形状および形状記憶要素の動きの制限は、容積が一貫して完全に充填される採集バッグまたは容器を生み出す。
【0037】
図2Aは、図1Bに示されるものと同様の形状記憶要素を備えた採集バッグの一実施形態の斜視図を示している。素早く変形する壁を有するこの実施形態は、平らな位置にあり、これにより一定の力が、素早く変形する壁に作用している。採集バッグの素早く変形する壁10は、形状記憶要素を備える。図2Aの実施形態では、形状記憶要素は、素早く変形する壁の複合材料の内部に設置されており、平らになった壁の全領域を覆ってはいない。この図面では、この部材の2つの側部は、点線によって制限されており、他の2つ側部は、複合壁の他の部材と共通の継ぎ目12を有している。特定の実施形態において、形状記憶要素は、多層構造の素早く変形する壁の他の層の間に挟まれる。
【0038】
さらに図3では、形状記憶要素を含む継ぎ目のタイプ、あるいは形状記憶要素を含まない継ぎ目のタイプがより詳細に説明される。図2に示される実施形態の素早く変形する壁10の形状記憶要素15は、断面図で示されている。この実施形態の形状記憶要素15は、略矩形または同様の形状である。中に部材15を収容する壁10の2つの対向する側部は、継ぎ目12によって蝶番式に留められている、あるいは可動式に密閉されて接続されている。壁10の中に一部が含まれる記憶部材15の端部は、図2Aに点線によって示されている。したがって、デバイスの入り口/出口20が開放されたとき、形状記憶要素が動作することによって流体が進入し、デバイスの減圧された空間を満たすことができる。このような実施形態では、デバイスは、図2Bに示されるように略円筒形状を採る。形状記憶要素15を含まない側壁11が、この略円筒形の採集容積の他の2つの側部を形成する。壁10の機動力が、これら側壁をしっかりと伸ばすのを助け、それによって、デバイスが流体によって満たされる度に、略同一の復元可能容積を画定する。
【0039】
図2Bの素早く変形する壁を有する容器の実施形態は、開放状態で示されており、形状記憶要素は、「緩められた」または元の形状である。試料採集方法の一実施形態では、試料採集方法は、素早く変形する壁に対して力を加えるステップを含む。素早く変形する壁に対して一定の力が加えられると、採集バッグは平らになり、採集バッグの内部の容積は縮小される。十分な力が加えられると、採集バッグの容積は、ほとんどゼロまで縮小されてよく、採集バッグ内の流体は、実質的に外に流れ出る。この力を解放すると、素早く変形する壁はその元の形状に戻る。素早く変形する壁に力を加えたり、解放したりを繰り返すことで、採集バッグを略完全に平らにし、その後拡張させることで、以前からある流体内容物からのいかなる汚染物質も一掃することができる。
【0040】
内容物を繰り返し一掃することにより、内壁における採集された流体混合物の動的な平衡状態を実現し、採集バッグの内壁に吸着したいかなる化合物も排除することができる。このような平衡状態は、従来の採集バッグのためのいかなる従来の採集システムまたは方法でも達成することはできない。従来の採集バッグは、全ての周知なグラブ採集方法によって一度に充填される。
【0041】
図2のデバイスの実施形態は、一般的な入り口/出口20を備えるように示されているが、当業者は、何らかの入り口/出口20の代わりを使用することもできることを理解することができる。容器または採集バッグの実施形態の入り口/出口は、いかなる所望の設計でもよい。容器または採集バッグの実施形態は、多種多様な入り口/出口を有することができる。入り口/出口は、特化された弁22、24であってよく、あるいは例えば図面に示されるように、特定の要望に使用される場合もある。
【0042】
図1A、1B、2Aおよび2Bに示される実施形態などの容器または採集バッグの実施形態は、極めて簡素であり、空気などの流体の直接的なグラブ採集が必要とされる場合に確実である。採集した流体によってデバイスを数回流し洗いできることは、既存の方法およびデバイスと比べて甚大な利点を有する。既知のデバイスで使用される吸着性の低い材料による初期状態の壁は、吸着可能な有効な場所の大きさが狭いが、それらは、標的物質(汚染物質)の濃度が比較的低い場合、例えばパーツパーミリオン(PPM)またはパーツパービリオン(PPB)範囲内である場合に重要である。壁を通り抜けて拡散しないと想定される新たに満たされた採集バッグの場合でも、その回収率は、採集バッグを最初に充填する際に壁に対して吸着するため、恐らく85−90%になる。回収率は、採集環境における実際の化合物の量と比べて、分析によって示される化合物のパーセンテージ量として定義される。したがって本発明に対する設計が使用され、採集された流体による数回の流し洗いを終えたとき、これは、たとえ低濃度であっても、所与の濃度に対する100%に近い高い回収率につながる。図2Eでは、形状記憶要素の一実施形態が描かれている。機動力を表す部材15(図2C)は、2つの平行な対向する側部を有する「枕」に似た形状である。この形状が、バッグ40が完全に膨張したとき、その柔軟な側壁11を、しわをよせずにピンと張らせるのを助け、これにより高度に復元可能な容積を画定する。復元可能な容積を有するバッグは、このバッグが適度な減圧状態を形成するための駆動力として機能することを意図される際に必要となる。このような形状は、有利であり、図4、5、6および7に示される実施形態に採り入れることができる。
【0043】
先に述べたように、デバイスは、簡素な入り口/出口20を備えるように示されており、この入り口/出口20は、図4から7に示されるように、適切な弁22または24ならびに/あるいはコネクタまたは接続ライン44によって置き換えることができる。入り口/出口20を、事前設定された流れ特性を有する、あるいは流れを調整および調節することができる適切な弁22または24(構造上以後考察しない)と置き換えることは、例えば15、30、60分または8時間などの長時間の採集などの重要な機能を与え、弁またはそのキャップの中に直接設置された隔壁によって試料を回収することを可能にする。このような弁は、開/閉機能を有するものとして、および/または流体の流れを調整する手段として想定される。このような弁は、弁と一体化されてよく、または異なる流速について交換可能であってよい。
【0044】
素早く変形する壁10の一部の様々な実施形態が、図3に示される。本発明に対する素早く変形する壁の図3aにおけるその断面は、平坦な形状記憶要素15と、部材15を含む対向する壁10の2つの対向する側部の間にある側部継ぎ目12と、を備える。他の側部も同一タイプの継ぎ目を有することができる、あるいは形状記憶要素15の間に直接の接続部を含むことができる。図3bおよび3cに示される素早く変形する壁の一部の実施形態は、形状記憶要素の間に直接の接続部を有する。このような直接の接続部は、図3cに示される同一の可撓性材料でできた薄くなった部分を備えることができ、図3bに示される形状記憶性を有する材料の縁部の枢動式の接続、別の接続手段、あるいは接続手段の組み合わせなどを提供することができる。これらの実施形態では、形状記憶要素15は、複合的な素早く変形する壁10の他の部材の間に挟まれる。しかしながら、形状記憶要素は、複合的な素早く変形する壁の内側の層または外側の層のいずれかである場合もあり、あるいは素早く変形する壁が、形状記憶要素全体を構成する場合もある。
【0045】
容器または採集バッグの実施形態は、長い期間にわたる採集のために使用されることができる。容器の実施形態は、例えば図1Bおよび図2に示される実施形態に限定するものではないが、他の採集デバイスと併せて適度な減圧状態の供給源を提供することができる。採集デバイスの中には、長い期間にわたって特別に小さな圧力差を必要とするものもある。そういうものとして長期間の採集デバイスの種類を、本明細書の例としてこの後提示する。図4、図5および図6に描かれた実施形態は、素早く変形する壁を有する採集バッグを備えている。素早く変形する壁を有する採集バッグは、十分な力がこの素早く変形する壁に対して加えられない開放されたまたは緩んだ状態にあるとき、特定の容積を有する。この開放されたまたは緩んだ位置において、素早く変形する壁を有する採集バッグは、その元の位置にない形状記憶要素を備えることができる。素早く変形する壁によって、形状記憶要素がその元の形状に完全に戻るのを阻止する。しかしながら、この位置における採集バッグは、ピンと張るように延ばされた側壁11を備えており、それ故に、開放されたバッグの容積を、復元可能であり得る特定の容積に限定するように維持している。形状記憶要素および採集バッグの壁の形状を変えることで協同して特定の採集バッグを形成することができ、この採集バッグは、平らにされて容積が縮小され、膨張させて復元可能な容積にすることができる。図2Eに示される採集バッグの実施形態は、ピンと張られた側壁11を有する構造体になるまで膨張可能な矩形の壁と形状記憶要素の組み合わせを備えることで、採集された量をより適切に復元することができる。図4に示される実施形態では、例えば炭またはシリカゲルなどの吸収剤を含んだ採集管32が、採集バッグの入り口24に対して結合される。この実施形態では、採集管32の後に、流れ制御装置27が配管44に設置される。流れ制御装置は、特定の流速の流体だけが、そこを通ることができるように利用することができる。流れ制御装置のタイプは、適切な採集率に合わせることができる。流れ制御装置は、例えば微粒子流れ抵抗器(ガラスまたはセラミック粒子が充填された)、既知の単位面積当りの流速のフィルタまたは膜、あるいは好都合には管27に、あるいは弁22または24に直接設置された制限されたまたは臨界オリフィスを含めた群の1つであってよい。この機構を利用して、1リットルから数リットルまでの採集量を容易に達成することができる。流れ制御装置27を利用することで、1回の作業の勤務時間、1週間またはさらには1ヶ月を超える長期間の採集に対する媒介手段(分から時間)の要望に応えることができる。このことの大きな利点は、ポンプ流速計や他の装備を使用しなくて済むだけでなく、人が採集工程に関わる必要がなくなる点である。そういうものとして、これら実施形態のいくつかを自動採集デバイスとして考えることができる。1人の人間が、複数の異なる場所で同時に長時間の採集を行なうことが可能になる。別の大きな利点は、この装備が、容易に本質的に安全に設計され、たとえ他の装備の利用が疑わしい厳しい環境であっても使用することができる点である。採集デバイスの実施形態は、自動採集デバイスであってよい。自動採集デバイスは、特定の場所に配置し、一定の期間にわたって「自動で膨張する」ことが可能である。採集バッグは、その後収集され、分析するために送ることができる。
【0046】
全ての示される採集設計の大きな利点は、その汎用性である。試料採集は、所定の容積、所定の採集時間、あるいは必要な場合異なる流れ調節装置を利用することで所定の空気流に設定することができる。流速計やポンプは必要ない。
【0047】
本発明の容器の基本設計の利用は、本明細書で説明される採集作業に限定されず、流体の流れに対する原動力として適度な負圧差が必要とされる場合の産業上または医療用途を含めた多くの場合において使用することができる。
【0048】
本発明に対する2つの基本タイプの空気の採集容器の実施形態は、多くの独自の機能を持つことで従来の採集バッグと比べていくつかの利点を有しており、例えばある実施形態は、以下に列記するような機能の一部または全てを有する。
− 容器から流体を追い出す、または容器の中に流体を充填するのにいかなるタイプのポンプも必要ない。
− バッテリのチャージやメンテナンスがない。
− ポンプの較正がない。
− 操作が極めて簡単である。
− 採集作業の費用が安い。
− 採集する際の回収率が高く、一部の用途では、回収率が100%に近いこともある。
− 壁のラインやポンプの内部に吸着する可能性が低い。
− 相互汚染の可能性が低い。
− キャニスタや瓶を使用するより小型の部品と比べて、直接採集した量の全てを利用することができる。
− 容器が軽量であり、エネルギーが独立している。
− 容器が本質的に安全であり、本質的に安全な採集が可能である。
− 常に採集する準備ができている。
− 出先での採集の場合、可搬性が極めて重要であるため、入り口を閉鎖することによって空にした場合、多くの容器を比較的小さな容積に適合することができる。
− 以下のような採集の要望に対して極めて汎用性がある。
− 採集した空気、気体または気体混合物を保存するために、容器を最初の採集容積として使用することができる。
− 容器を、吸着採集管と併せて固定された採集量(10mlから5000mlまで、さらには10000mlの採集量が実現可能である)で最初の原動力の供給源として使用することができる。
− 容器/管のシステムが、固定された採集量に一緒に較正されるとすると、容器を、比色計管と併せて原動力の供給源として使用することができる。任意の制限時間15分のSTEL採集、あるいは30分のSTEL採集。100、200、500から>10000ml/試料までの所定量で、ピーク天井濃度または480分(全ての作業時間の長さ)のTWAまたはTLV採集が実現可能である。
− 本発明による容器を、所定の採集量のために、エアロゾルまたは液体インピンジャのフィルタカセットと併せて較正することができる。
【0049】
記載した方法、および素早く変形する壁を有する採集バッグの実施形態は、特定の実施形態に限定されるべきではなく、方法ステップ、配合などの本明細書に開示される材料、工程ステップは、ある程度変えることができる。さらに本明細書で採用される専門用語は、例示の実施形態を記述する目的に限って使用されており、この専門用語は、本発明の多様な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されるため、限定することは意図されていない。
【0050】
したがって本発明の実施形態が、例示の実施形態を参照して記載される限り、当業者は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内で、変形および修正を実施することができることを理解するであろう。よって本発明の様々な実施形態に範囲は、上記に考察した実施形態に限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲および全ての均等物によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0051】
8 採集バッグ
10 素早く変形する壁
11 側壁
12 継ぎ目
15 形状記憶要素
20 入り口/出口
22、24 弁
27 流れ制御装置
32 採集管
40 採集バッグ
44 配管
50 ポンプ
52 バッテリ
60 外側容器
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、35 U.S.C.第119の下、2010年2月16日に提出された米国仮特許出願第61/304,904号に対する優先権を主張しており、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明の実施形態は、流体のための容器に関し、より詳細には素早く変形する壁を備えた流体容器に関する。この素早く変形する壁は、流体の容器を最初の形状に戻す傾向のある形状記憶を有する構成要素を備えている。例えば、産業衛生用途で周辺環境の試料採集のために、この採集バッグを使用することができる。
【背景技術】
【0003】
従来の流体用の容器は恐らく、剛性の壁または可撓性の壁を有している。剛性の壁を有する容器は、流体を収容するために規定された不変の容積を有しており、可撓性の壁を有する容器は、可変のまたは変更可能な容積を有する。従来の容器には、これに限定するものではないが、瓶、キャニスタおよびバッグが含まれる。このような容器は様々な目的で使用することができ、この目的には、流体試料を手に入れ保持すること、および分析用の装備を較正するのに使用され得る標準的な気体混合物を収容することが含まれる。本明細書で使用されるように、「流体」との用語には、気体および/または液体が含まれる。特定の用途のために開発され特化されてきたこのような容器には多くの構成がある。
【0004】
加圧下にある気体混合物は、標準的な流体混合物を、産業用の量で、好ましくはキャリア流体中の比較的高濃度の1つ(または複数)の成分を使用して準備するのに有効である。高圧下の気体混合物は典型的には、剛性の壁を有する容器の中に保管される。研究所で使用する場合、このような気体混合物は、特定の成分が所望される濃度になるまで他のキャリア流体によって希釈され、標準的な混合物を準備することができる。このような標準的な混合物を搬送、保存および利用することを目的とした従来の容器は、自力では動かない、浸透性の低い材料でできた可撓性の壁を有する容器であってよい。中に含まれる構成要素のために壁に使用される吸着性の低い材料は、この混合物の完全性を高めるのに好ましい。可撓性の壁を有する容器は、採集バッグとも呼ばれ、流体の採集、空気の採集および液体の採集に広く使用されている。カイナー(Kynar)やテドラー(Tedlar)などの材料が、このような容器を作製するのに広く使用されている。
【0005】
代表的な試料を得るため、あるいは正確な標準的な混合物を準備する目的で、容器を充填する前に適切に準備を整える必要がある。典型的にはバッグは、中性ガスで洗われ、強力な真空ポンプを使用して高真空を受けることで、実質的に全ての流体を容器から取り出す。バッグを一掃し、洗い流すことで、いかなる残留物も脱離させるべきであり、その容積は、略ゼロまで縮小すべきである。何らかの吸着した残留物または残留ガスが、任意の準備された流体混合物を、あるいは準備が不十分なバッグの中に置かれた流体試料を汚染する恐れがある。
【0006】
剛性の壁を有する容器と可撓性の壁を有する容器には、それぞれ独自の利点と欠点がある。剛性の壁を有する容器の欠点は、それらが極めて高額であり、メンテナンスに費用がかかること、すなわち、それらが大きくて扱いにくいことから容器を保管、搬送および郵送するコストが高くなるため、ガス蒸気または気体混合物を送り届ける必要がある場合、それらを過剰に加圧し、流体採集に使用する前に完全に真空状態にする必要があることである。
【0007】
剛性の壁を有する容器による採集作業の別の欠点は、容器から試料の一部を取り出した後、キャニスタ内の圧力が大気圧を下回るまで下がる可能性があり、別のキャリアガス(例えば希ガス)を追加して、大気圧に戻るまで圧力を上げることがある点である。この工程は、試料や標準的な混合物を希釈し、分析するには、この追加のキャリアガスを補償する必要がある。
【0008】
剛性の壁を有する容器を充填する1つの方法は、容器の中に真空状態を形成することである。流体を容器の中に押しやる力は、この真空状態によって形成される。小さな採集ポンプでは、容器の中に十分な真空状態を形成することができないため、強力な特化された真空ポンプが必要となる。
【0009】
剛性の壁を有する容器の代替形態は、可撓性の壁を有する容器またはバッグである。可撓性の壁を有する容器の場合、2つの充填方法が知られており、広く利用されている。(OSHA技術マニュアル−指示番号:08−05(TED 01),有効期日6/24/2008)。
【0010】
最初の方法は、流体または流体試料、例えば産業用の周囲空気を、外部ポンプによってバッグの中に送るステップを含む。この方法の概略が、図8に表されている。この採集方法には、バッグ40と、バッテリ52によって動力を与えられるポンプ50と、ポンプ50とバッグ40をつなぐ配管44が含まれる。典型的な個人向けの採集ポンプが、この採集方法に適している。
【0011】
標準的な流体混合物の準備または試料採集をするのに、バッグを利用することができる。標準的な流体混合物を準備する場合、バッグは先ず、適切な測定済みの量のキャリア流体によって満たされる。典型的には図8に示されるように、ポンプまたは注射器によって汚染のないキャリアガスが一定量の流体に添加される。試料採集するために使用される場合、特定の環境の試料が、ポンプおよび配管を介してバッグの中に送られる。バッグはその後密閉され、分析するために研究所に送られる。
【0012】
採集バッグによるこの方法を使用するには利点と欠点がある。欠点には、コスト、不正確性、および外部ポンプを使用して流体混合物を送達し回収することによる汚染の可能性が含まれる。汚染または不正確性は、管の壁、ポンプの内部、フィルタ、配管および接続部にある気体混合物や試料の何らかの化学物質や成分が吸着および脱着することから生じる可能性がある。採集バッグの壁にある化学成分からも同様の問題が起こる。壁を洗浄したとしても、採集バッグをその後取り外し分析してみると、壁の能動的に吸着する箇所により、特定の化学物質の濃度が下がっている場合がある。このような吸着により、特定の化学成分の回収が15%まで低下する場合もある。この方法の回収率は、特に微量成分の試料採集の場合、高額な固定されたポンプと接続管を利用することによって改善させることができる。
【0013】
これらの方法はまた、異なる構成のポンプとこの採集バッグを使用することによって改善させることもできる、図9に示されるこの構成では、可撓性の採集バッグ40は、剛性の壁を有する外側容器60の中に気密式に密閉されている。外側容器からの空気は、ポンプ50によって配管44を介して汲み出される。ポンプには、バッテリ52によって動力を与えることができる。外側容器60の圧力が下がりバッグ40が拡張する際、周辺環境からバッグ40の中に空気が進入する。したがってバッグ40の外側、かつ容器60内の真空状態が、流体を採集するための原動力である。図9に示される実施形態では、採集バッグの入り口は、周囲の流体と直接つながっている。この方法は、図8に示される構成の主だった欠点の1つは受けない。図9の構成において手に入れた試料は、ポンプ50や配管44と接触していないため、配管44の壁、接続部、フィルタまたは採集ポンプ50の部品に吸着しないし、そこからの相互汚染もない。しかしながら、図8の構成の他の欠点は、図9の代替の構成にも依然として残っており、例えばこの構成要素が大きくて扱いにくく、重たいこと、装備が高価であること、ポンプにバッテリが必要であり、頻繁なメンテナンスが必要であること、バッグの壁に対する吸着は、上記に記載されるものと同様であるということである。
【0014】
このような方法の種々の実施形態は、米国特許に記載されている。例えば、特許文献1は、試料と不活性ガスが、気密式に密閉された容器の中の採集バッグに吸い込まれるシステムを記載している。特許文献2は、外側容器の構造の改良を記載している。特許文献3は、外側容器の中にある採集バッグを何度も一掃する方法を記載している。より高度になったデバイスが、特許文献4に開示されている。このデバイスは、極めて低い汚染レベルで試料を入手するために、システムの欠点を克服することに努めている。特許文献5は、この手法の汎用性を証明する液体を収集するための装置を記載している。もっと最近では特許文献6は、さらに外部の真空源に接続された1つのデバイスに組み込まれた装置を使用することを記載している。この方法によって提示される清浄度にも関わらず、この装置もまた重たく、大きくて扱いにくい高価な設備を使用するため、較正と、バッテリのメンテナンスの必要がある。
【0015】
特許文献7に、試料採集工程でポンプを使用することを避ける試みが開示されている。この特許は、大気空気試料を収集してその後で分析するための小さな(10ml)封筒状の袋を開示している。この袋は、ガスを通さない可撓性材料でできた第1および第2の対向するパネルで形成されており、これらのパネルは、周囲を密閉されることで収集チャンバを画定している。この袋は、例えば渦巻きバネまたは発泡樹脂製品などの拡張可能手段を中に収めている。この拡張可能手段が、保護板と大きな隔壁を介して壁に力を伝達する。これらの袋には、いくつかの欠点がある。例えば拡張可能手段は、試料採集された流体と接触することで、内部要素、すなわちばね、または特に任意の発泡樹脂製品による吸着の可能性が増す。さらに、拡張可能手段は、袋の内容物を完全に排出するのを阻止する。このように吸着する表面積が大きいことにより、容認できる回収率と正確性で、高濃度の化学成分のみを試料採集することができる。さらに、袋は再利用することができず、その理由は、袋を清浄するためにその採集容積を数回洗い清める必要があるが、袋の自動密閉式の隔壁によって、このような措置が不可能であるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3,866,474号
【特許文献2】米国特許第3,965,946号
【特許文献3】米国特許第5,437,201号
【特許文献4】米国特許第5,714,696号
【特許文献5】米国特許第6,338,282号
【特許文献6】米国特許第6,993,985号
【特許文献7】米国特許第4,546,659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
外部のエネルギー源、例えば圧力ポンプまたは真空ポンプなどがなくても、また剛性の壁を有する外側容器、管および管接続部がなくても、流体の送達や流体の採集ができる採集バッグに対する要望がある。さらに、試料を収集するのにその独自の原動力を生み出す採集バッグに対する要望がある。また、標準的な混合物または試料の外部汚染を抑える採集バッグに対する要望がある。
【0018】
さらに、別のキャリアガスの添加、および何らかの関連する濃度計算や、剛性の壁を有する容器の利用に関連する容積の補償を必要としない、標準的な混合物のための容器に対する要望がある。
【0019】
さらに、採集された体積の実質的に全てを利用することができる採集バッグに対する要望がある。費用が安く、製造しやすく、多様な用途のために設計されたデバイスを、特別に設計された採集バッグと、従来の採集バッグの両方と一緒に使用することができ、軽量で、扱いやすく、手で使用することが可能なデバイス、あるいは使用中自動的に作動し、搬送しやすくおよび/または本質的に安全であるデバイスに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この容器の実施形態は、可撓性の素早く変形する壁を備えている。この可撓性の採集バッグの壁は、容器を最初の構成に戻す性質を持っている。最初の構成は、略完全に容積が拡張した構成、略空の構成または部分的に容積が満たされた構成であってよい。素早く変形する壁は、採集バッグの外側に一定の力を加える、あるいは採集バッグの内側に一定の力を加えることによって最初の構成から変形させることができる。この力は手またはおもりであってよく、容器の片側または両側を押すことによって、バッグを最初の容積が拡張した構成(部分的に満たされた、あるいは略満たされた構成のいずれか)から、容積が縮小した構成に変形させることができる。力が解除されると、素早く変形する壁によって容器に加えられる付勢力により、容器はその最初の構成に戻る性質がある。大抵の場合、素早く変形する壁は、容器の内部容積が、容器の内側と外側で圧力を均一化することが可能な場合、容器を元の構成に戻す。素早く変形する壁は、採集バッグをその最初の構成に向けて付勢する形状記憶要素を備えた1つまたは複数の構成要素を備えることができる。
【0021】
容器の壁は、複数の層または構成要素を備えることができる。層は、バッグの壁の表面の略全体を覆っている完璧な層、あるいはバッグの一部のみを覆う部分的な層であってよい。該層は、拡張した金属、金属ワイヤ、板ばねまたは適切な形状と形状記憶性を有する他のこのような構造物で作製することができる。素早く変形する壁は、内蔵式の再生可能なエネルギー源を実現する。
【0022】
一実施形態において、容器は、複合的な壁を備える。複合的な壁は、複数の層を備えることができる。層は、内側層と、形状記憶層を含むことができる。内側層は、所望の用途に対して適切ないずれの層でもよく、採集容器の場合、内側層は、可撓性で、ガス抜けが低く、吸着性が極めて低いおよび/または不浸透性であってよい。内側層は、ポリオレフィンポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化プラスチック、PTFE、テフロン(登録商標)および他の同様の材料のうちの少なくとも1つを有することができる。複合的な壁の他の層は、構造体全体にさらなる特性を与える材料を有することができる。例えば第2の層は、内側層と比べて複合体に対する浸透性が小さくてよいことから、複合的な壁の不浸透性を高めることができる。別の層は、形状記憶要素を備えることができる。形状記憶要素は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、金属または金属合金、ならびに形状記憶性を有する他の材料から選択された少なくとも1つの材料を有することができる。いくつかの実施形態において、形状記憶要素を有する層は、複合体の他の層と比べて比較的厚みがあってよい。
【0023】
別の層または内側層は、例えばステンレス鋼、ニッケル、アルミニウムまたは可撓性であり十分に不浸透性である他の金属層など浸透性が極めて低い、あるいはゼロの材料を有する層であってよい。いくつかの実施形態において、特にこの層が内側層である実施形態では、金属層は、化学的に不活性の金属酸化物の薄い表面の下層、またはコーティングを備えることができる。この金属酸化物層はまた、シリコンで覆うこともできる。層は、複合的な壁に適切な機能を与えるためにその用途によって任意の適切な順序であってよい。
【0024】
別の任意選択の層は、例えば静的な放散、異なる材料への良好な密着、低い摩擦力および/または耐摩耗性など特定の性質を持つ材料を有する複合的な壁の外側層を含むことができる。このような外側層は、例えば金属化ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンを含む群から選択された少なくとも1つの材料を有することができる。
【0025】
特定の実施形態において、壁の形状記憶要素は、その最初の構成における容器の主な形状を画定し、柔軟な部分が、容器をうまく適合させて密閉する働きをする。
【0026】
容器の実施形態は、2つの典型的な最初の構成上の形状のうちの1つを有することができるが、他のものも可能である。
− 最初の平坦な構成で形状記憶要素を備える容器は、その最初の構成において壁の間の容積が略ゼロの容器になる。平坦な最初の構成を有する容器は、内部圧力が上がることによって拡張することができる。図1Aを参照。形状記憶要素は、最初の平坦な構成、あるいは弓形の最初の構成であってよい。形状記憶要素が、最初の弓形の構成の場合、この形状記憶要素を、凸面が互いに隣接するように配置することによって、平坦な最初の構成を有する容器を形成することができる。図1Aのa1を参照。その後形状記憶要素の縁部が、容器の他の層によって一緒に固定される。図1Aのa2を参照。流体が容器の内部容積に加えられた場合、形状記憶要素は、図1Aのa3に示されるように変形される。このような一実施形態では、容器は、形状記憶要素の性質により、収縮して最初の平坦な構成に戻ることになる。
− 2つの弓形の形状記憶要素を備えた膨張した最初の構成を有する容器の別の実施形態が、図1Bに示される。この実施形態では、弓形の形状記憶要素は、凹面が互いに面するように配置される。図1Bのb1を参照。図1Bのb2に示されるように、容器の外側に及ぼされる一定の力により、容器を収縮させることができる。容器は拡張する性質を有しているため、流体を容器の内部容積に引き込む。図1Bのb3を参照。
【0027】
最初に平坦な構成を有する壁を備えた容器の実施形態は、変形した後、平坦な構成に戻ろうとして内部容積にある流体に加圧する力を及ぼし、内部容積からゼロ量になるまで流体を追い出すことができる。このような実施形態を利用して、外部の装備に必要とされる流体の流れ、またはこの容積内にある流体の試料を供給することができる。−図1A、a1;a2;a3。
【0028】
容積が略完全に拡張した最初の構成、または一部が完全に拡張した構成の容器の実施形態を、内部容積が略ゼロの平坦な形状にすることができる。形状記憶要素を有する素早く変形する壁はその後、周辺環境と内部空間の間に圧力差を及ぼすことで、流体が容器の永続的に拡張される容積を満たすように何らかの原動力を与える。−図1B,b1;b2;b3。
【0029】
本発明の実施形態は、追加のデバイスがなくとも試料採集を可能にする採集バッグ、および自動的に採集することができる採集バッグの設計を提供する。本明細書で使用されるように、自動的な採集とは、試料を利用する人間が手助けしなくともいったん開始したら持続する採集作業を意味する。
【0030】
素早く変形する壁を備えた採集バッグの実施形態の他の態様および特徴は、本発明の特定の例示の実施形態の以下の記載を、図面と併せて再検討すれば、当業者に明らかになるであろう。特定の実施形態および図面に関連して特徴を考察することができるが、全ての実施形態は、本明細書で考察される特徴の1つまたは複数を含むことができる。1つまたは複数の特定の実施形態が特定の有利な特徴を有するように本明細書で考察される場合もあるが、このような特徴はそれぞれ、(このように統合することが、その他の特徴と適合しない場合は除いて)本発明の種々の他の実施形態に組み込むこともできる。同様にして、例示の実施形態は、以下で考察され得るが、このような例示の実施形態を多様なシステムおよび方法で実施することができることを理解されたい。さらに同一の発明者等の名前で2011年2月16日に提出されたタイトル「DEVICE FOR FLUID SAMPLING」という米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】組み立て前および組み立て後、ならびに素早く変形する壁によって力が及ぼされる前およびその後の、それぞれの記憶された一般的な形状を有する複合的な素早く変形する壁の概略図であり、位置a1; a2; a3;位置a1は組み立て前の壁の位置、位置a2は組み立てた後の壁の位置、位置a3は押し広げられた後の壁の位置の図である。
【図1B】位置b1, b2, b3; b1は組み立て前の壁の位置、b2は組み立て後の壁の位置、b3は素早く変形する壁によって不変の容積に拡張された壁の位置の図である。
【図2A】複合的な壁を有する容器の図であり、複合的な壁を有する容器の、平らになった位置に留まりチャンバ内に過圧状態を形成する不変の性質を示す図である。
【図2B】複合的な壁を有する容器の、膨らまされて輪郭を定める内部空間位置に留まり、チャンバ内に減圧状態を形成する永続的な性質を示す図である。
【図2C】2つの直線側と2つの曲線側を有する形状記憶要素を表す図である。
【図2D】図2Cの形状記憶要素を備える採集バッグの平坦な状態で示された図である。
【図2E】拡張または充填された状態で、形状記憶要素の設計により、採集バッグが「枕」のような形状になり、その側壁がピンと張られ、しわが少ない状態の図2Dに示される採集バッグの斜視図である。
【図3A】形状記憶性を有する材料を含む多層構造の素早く変形する壁の断面図であり、継ぎ目の断面図である。
【図3B】枢動式に接続された素早く変形する壁の図である。
【図3C】可撓性のヒンジとして薄くなった部分を有する素早く変形する壁の図である。
【図3D】縁部が外形を形成するスリーブ内で回転する素早く変形する壁の図である。
【図3E】縁部が輪によって接続された素早く変形する壁の図である。
【図4】採集管と流れ制御装置が一列に接続された容器の図である。
【図5】比色管が一列に接続された容器の図である。
【図6】インピンジャが一列に接続された容器の図である。
【図7】容器が、呼吸区域の個人の試料採集のためにベルトに掛けられ、採集デバイスが折襟のところにある図である。
【図8】ポンプと採集バッグを備えた直接的な採集の概略図である。
【図9】ポンプと採集バッグを備えた間接的な採集の概略図である。
【図10】長針駆動式の注射器式のポンプと、内部の採集バッグを備えた間接的な採集の概略図である。
【図11A】a−0.4Lの真空採集用の堅い壁の容器とキャニスタの図である。
【図11B】b−15.00Lの真空採集用の堅い壁の容器とキャニスタの図である。
【図12】内部が動く採集用のパウチの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
採集バッグの実施形態が、図1Aおよび1Bに示されている。この採集バッグの実施形態は、素早く変形する壁を備えている。この素早く変形する壁は、種々の実施形態における種々の構成に設置されており、それぞれ異なる力を与えることができる。素早く変形する壁は、採集バッグの壁に原動力を与える手段である。一実施形態において、素早く変形する壁は、少なくとも1つの形状記憶要素を備えることができる。形状記憶要素は、その最初の構成に向けて付勢力を与える構成要素、例えばパネルまたは板ばねなどの構成要素であってよい。特定の実施形態において、形状記憶要素は、容器の壁に内蔵される。いくつかの実施形態では、形状記憶要素が、容器の壁に内蔵されることができ、それによって、形状記憶要素が、容器内の流体と接触しなくなる。別の実施形態では、形状記憶要素が容器に内蔵され得ることで、形状記憶要素が、容器を収縮させるのを妨げることがなくなるため、容器の内部容積は、略ゼロになる。本明細書で使用されるように「略ゼロの内部容積」とは、内部容積が、容器の略完全に拡張した容積の全容積の5%未満まで圧縮され得ることを意味している。
【0033】
原動力、すなわち形状記憶要素は、所望される最初の構成、または容器に内蔵される際の形状記憶要素の「本来の」構成によって、壁を互いから離れるように、あるいは互いに向くように付勢することができる。形状記憶要素は、特定の力によって変形させることができる任意の構成要素であってよく、この力が解放されたとき、略その元の形状に戻る。形状記憶要素が略その元の形状に戻り、容器がその最初の構成に戻るとき、形状記憶要素を使用して、バッグ内の容積を拡大させたり縮小させたりすることができる。
【0034】
採集バッグの一実施形態が図1Aに示される。形状記憶要素10は、元々の湾曲した形状を有しており、凸面が互いに隣接するように配置されている。図には示されていないが、形状記憶要素は、矩形、正方形、三角形、円形、楕円形または他の形状を含めたいかなる形状でもよい。さらに、形状記憶要素はボウル型である場合もあり、それによって、ボウルの中心を力ずくで平らにし、この力を解放すると、形状記憶要素は、実質的にその元のボウル形状に戻る。例えば、図2に示される採集バッグ8の実施形態は、2つの概ね矩形の形状記憶要素10を備える。図2の実施形態では、形状記憶要素は、採集バッグ8の壁のほとんどの部分を占めている。あるいは、形状記憶要素は、開口、スラットまたはリブを備えてよい。
【0035】
図1Aに戻ると、形状記憶要素10は、可撓性の壁を有する容器の壁に内蔵されてよく、これにより形状記憶要素は、図1Aのa2に示されるように、互いに接触して平らになるように押しつけられる。容器の構成により、形状記憶要素が互いに対して平らになるように押しつけられたまま維持される。図1Aに示される容器が流体で満たされた場合、形状記憶性を有する素早く変形する複合壁は、図1Aのa1から図1Aのa3と比べてその元の形状とは反対向きに変形される。素早く変形する壁の形状記憶性により、形状記憶要素は、その元の形状に戻り、ノズル20を介して流体を容器から外に押し出す性質を持っている。容器のこのような実施形態は、標準的な気体または気体混合物の供給源が必要な場合に極めて有用であり、他の装置を較正する目的で気体混合物送達デバイスとして使用される場合もある。素早く変形する壁によって加えられる力によって移動する流体の方向は、矢印によって示されている。
【0036】
容器または採集バッグの別の実施形態が、図1Bに示される。この実施形態では、素早く変形する壁にある2つの形状記憶要素が、その凹面が互いに隣接するように配置されている。このような実施形態では、素早く変形する壁は、容器を開放するような傾向の機動力(agile forces)を行使し、それ故に、容器または採集バッグ内に適度な減圧状態を形成する。この適度な減圧状態は、流体が容器または採集バッグを充填する原動力を生み出し、外部エネルギー源を必要とせずに、試料採集を完了させる。素早く変形する壁によって発揮される力によって移動する流体の方向は、矢印によって示される。図1に描かれた実施形態は、容器と採集バッグの汎用性を実証しており、これらは、より複雑な流体移動システムの代わりに、その独自の特性を有する素早く変形する壁を備えるように設計することができる。素早く変形する壁の設計に起因する形状記憶要素の形状および形状記憶要素の動きの制限は、容積が一貫して完全に充填される採集バッグまたは容器を生み出す。
【0037】
図2Aは、図1Bに示されるものと同様の形状記憶要素を備えた採集バッグの一実施形態の斜視図を示している。素早く変形する壁を有するこの実施形態は、平らな位置にあり、これにより一定の力が、素早く変形する壁に作用している。採集バッグの素早く変形する壁10は、形状記憶要素を備える。図2Aの実施形態では、形状記憶要素は、素早く変形する壁の複合材料の内部に設置されており、平らになった壁の全領域を覆ってはいない。この図面では、この部材の2つの側部は、点線によって制限されており、他の2つ側部は、複合壁の他の部材と共通の継ぎ目12を有している。特定の実施形態において、形状記憶要素は、多層構造の素早く変形する壁の他の層の間に挟まれる。
【0038】
さらに図3では、形状記憶要素を含む継ぎ目のタイプ、あるいは形状記憶要素を含まない継ぎ目のタイプがより詳細に説明される。図2に示される実施形態の素早く変形する壁10の形状記憶要素15は、断面図で示されている。この実施形態の形状記憶要素15は、略矩形または同様の形状である。中に部材15を収容する壁10の2つの対向する側部は、継ぎ目12によって蝶番式に留められている、あるいは可動式に密閉されて接続されている。壁10の中に一部が含まれる記憶部材15の端部は、図2Aに点線によって示されている。したがって、デバイスの入り口/出口20が開放されたとき、形状記憶要素が動作することによって流体が進入し、デバイスの減圧された空間を満たすことができる。このような実施形態では、デバイスは、図2Bに示されるように略円筒形状を採る。形状記憶要素15を含まない側壁11が、この略円筒形の採集容積の他の2つの側部を形成する。壁10の機動力が、これら側壁をしっかりと伸ばすのを助け、それによって、デバイスが流体によって満たされる度に、略同一の復元可能容積を画定する。
【0039】
図2Bの素早く変形する壁を有する容器の実施形態は、開放状態で示されており、形状記憶要素は、「緩められた」または元の形状である。試料採集方法の一実施形態では、試料採集方法は、素早く変形する壁に対して力を加えるステップを含む。素早く変形する壁に対して一定の力が加えられると、採集バッグは平らになり、採集バッグの内部の容積は縮小される。十分な力が加えられると、採集バッグの容積は、ほとんどゼロまで縮小されてよく、採集バッグ内の流体は、実質的に外に流れ出る。この力を解放すると、素早く変形する壁はその元の形状に戻る。素早く変形する壁に力を加えたり、解放したりを繰り返すことで、採集バッグを略完全に平らにし、その後拡張させることで、以前からある流体内容物からのいかなる汚染物質も一掃することができる。
【0040】
内容物を繰り返し一掃することにより、内壁における採集された流体混合物の動的な平衡状態を実現し、採集バッグの内壁に吸着したいかなる化合物も排除することができる。このような平衡状態は、従来の採集バッグのためのいかなる従来の採集システムまたは方法でも達成することはできない。従来の採集バッグは、全ての周知なグラブ採集方法によって一度に充填される。
【0041】
図2のデバイスの実施形態は、一般的な入り口/出口20を備えるように示されているが、当業者は、何らかの入り口/出口20の代わりを使用することもできることを理解することができる。容器または採集バッグの実施形態の入り口/出口は、いかなる所望の設計でもよい。容器または採集バッグの実施形態は、多種多様な入り口/出口を有することができる。入り口/出口は、特化された弁22、24であってよく、あるいは例えば図面に示されるように、特定の要望に使用される場合もある。
【0042】
図1A、1B、2Aおよび2Bに示される実施形態などの容器または採集バッグの実施形態は、極めて簡素であり、空気などの流体の直接的なグラブ採集が必要とされる場合に確実である。採集した流体によってデバイスを数回流し洗いできることは、既存の方法およびデバイスと比べて甚大な利点を有する。既知のデバイスで使用される吸着性の低い材料による初期状態の壁は、吸着可能な有効な場所の大きさが狭いが、それらは、標的物質(汚染物質)の濃度が比較的低い場合、例えばパーツパーミリオン(PPM)またはパーツパービリオン(PPB)範囲内である場合に重要である。壁を通り抜けて拡散しないと想定される新たに満たされた採集バッグの場合でも、その回収率は、採集バッグを最初に充填する際に壁に対して吸着するため、恐らく85−90%になる。回収率は、採集環境における実際の化合物の量と比べて、分析によって示される化合物のパーセンテージ量として定義される。したがって本発明に対する設計が使用され、採集された流体による数回の流し洗いを終えたとき、これは、たとえ低濃度であっても、所与の濃度に対する100%に近い高い回収率につながる。図2Eでは、形状記憶要素の一実施形態が描かれている。機動力を表す部材15(図2C)は、2つの平行な対向する側部を有する「枕」に似た形状である。この形状が、バッグ40が完全に膨張したとき、その柔軟な側壁11を、しわをよせずにピンと張らせるのを助け、これにより高度に復元可能な容積を画定する。復元可能な容積を有するバッグは、このバッグが適度な減圧状態を形成するための駆動力として機能することを意図される際に必要となる。このような形状は、有利であり、図4、5、6および7に示される実施形態に採り入れることができる。
【0043】
先に述べたように、デバイスは、簡素な入り口/出口20を備えるように示されており、この入り口/出口20は、図4から7に示されるように、適切な弁22または24ならびに/あるいはコネクタまたは接続ライン44によって置き換えることができる。入り口/出口20を、事前設定された流れ特性を有する、あるいは流れを調整および調節することができる適切な弁22または24(構造上以後考察しない)と置き換えることは、例えば15、30、60分または8時間などの長時間の採集などの重要な機能を与え、弁またはそのキャップの中に直接設置された隔壁によって試料を回収することを可能にする。このような弁は、開/閉機能を有するものとして、および/または流体の流れを調整する手段として想定される。このような弁は、弁と一体化されてよく、または異なる流速について交換可能であってよい。
【0044】
素早く変形する壁10の一部の様々な実施形態が、図3に示される。本発明に対する素早く変形する壁の図3aにおけるその断面は、平坦な形状記憶要素15と、部材15を含む対向する壁10の2つの対向する側部の間にある側部継ぎ目12と、を備える。他の側部も同一タイプの継ぎ目を有することができる、あるいは形状記憶要素15の間に直接の接続部を含むことができる。図3bおよび3cに示される素早く変形する壁の一部の実施形態は、形状記憶要素の間に直接の接続部を有する。このような直接の接続部は、図3cに示される同一の可撓性材料でできた薄くなった部分を備えることができ、図3bに示される形状記憶性を有する材料の縁部の枢動式の接続、別の接続手段、あるいは接続手段の組み合わせなどを提供することができる。これらの実施形態では、形状記憶要素15は、複合的な素早く変形する壁10の他の部材の間に挟まれる。しかしながら、形状記憶要素は、複合的な素早く変形する壁の内側の層または外側の層のいずれかである場合もあり、あるいは素早く変形する壁が、形状記憶要素全体を構成する場合もある。
【0045】
容器または採集バッグの実施形態は、長い期間にわたる採集のために使用されることができる。容器の実施形態は、例えば図1Bおよび図2に示される実施形態に限定するものではないが、他の採集デバイスと併せて適度な減圧状態の供給源を提供することができる。採集デバイスの中には、長い期間にわたって特別に小さな圧力差を必要とするものもある。そういうものとして長期間の採集デバイスの種類を、本明細書の例としてこの後提示する。図4、図5および図6に描かれた実施形態は、素早く変形する壁を有する採集バッグを備えている。素早く変形する壁を有する採集バッグは、十分な力がこの素早く変形する壁に対して加えられない開放されたまたは緩んだ状態にあるとき、特定の容積を有する。この開放されたまたは緩んだ位置において、素早く変形する壁を有する採集バッグは、その元の位置にない形状記憶要素を備えることができる。素早く変形する壁によって、形状記憶要素がその元の形状に完全に戻るのを阻止する。しかしながら、この位置における採集バッグは、ピンと張るように延ばされた側壁11を備えており、それ故に、開放されたバッグの容積を、復元可能であり得る特定の容積に限定するように維持している。形状記憶要素および採集バッグの壁の形状を変えることで協同して特定の採集バッグを形成することができ、この採集バッグは、平らにされて容積が縮小され、膨張させて復元可能な容積にすることができる。図2Eに示される採集バッグの実施形態は、ピンと張られた側壁11を有する構造体になるまで膨張可能な矩形の壁と形状記憶要素の組み合わせを備えることで、採集された量をより適切に復元することができる。図4に示される実施形態では、例えば炭またはシリカゲルなどの吸収剤を含んだ採集管32が、採集バッグの入り口24に対して結合される。この実施形態では、採集管32の後に、流れ制御装置27が配管44に設置される。流れ制御装置は、特定の流速の流体だけが、そこを通ることができるように利用することができる。流れ制御装置のタイプは、適切な採集率に合わせることができる。流れ制御装置は、例えば微粒子流れ抵抗器(ガラスまたはセラミック粒子が充填された)、既知の単位面積当りの流速のフィルタまたは膜、あるいは好都合には管27に、あるいは弁22または24に直接設置された制限されたまたは臨界オリフィスを含めた群の1つであってよい。この機構を利用して、1リットルから数リットルまでの採集量を容易に達成することができる。流れ制御装置27を利用することで、1回の作業の勤務時間、1週間またはさらには1ヶ月を超える長期間の採集に対する媒介手段(分から時間)の要望に応えることができる。このことの大きな利点は、ポンプ流速計や他の装備を使用しなくて済むだけでなく、人が採集工程に関わる必要がなくなる点である。そういうものとして、これら実施形態のいくつかを自動採集デバイスとして考えることができる。1人の人間が、複数の異なる場所で同時に長時間の採集を行なうことが可能になる。別の大きな利点は、この装備が、容易に本質的に安全に設計され、たとえ他の装備の利用が疑わしい厳しい環境であっても使用することができる点である。採集デバイスの実施形態は、自動採集デバイスであってよい。自動採集デバイスは、特定の場所に配置し、一定の期間にわたって「自動で膨張する」ことが可能である。採集バッグは、その後収集され、分析するために送ることができる。
【0046】
全ての示される採集設計の大きな利点は、その汎用性である。試料採集は、所定の容積、所定の採集時間、あるいは必要な場合異なる流れ調節装置を利用することで所定の空気流に設定することができる。流速計やポンプは必要ない。
【0047】
本発明の容器の基本設計の利用は、本明細書で説明される採集作業に限定されず、流体の流れに対する原動力として適度な負圧差が必要とされる場合の産業上または医療用途を含めた多くの場合において使用することができる。
【0048】
本発明に対する2つの基本タイプの空気の採集容器の実施形態は、多くの独自の機能を持つことで従来の採集バッグと比べていくつかの利点を有しており、例えばある実施形態は、以下に列記するような機能の一部または全てを有する。
− 容器から流体を追い出す、または容器の中に流体を充填するのにいかなるタイプのポンプも必要ない。
− バッテリのチャージやメンテナンスがない。
− ポンプの較正がない。
− 操作が極めて簡単である。
− 採集作業の費用が安い。
− 採集する際の回収率が高く、一部の用途では、回収率が100%に近いこともある。
− 壁のラインやポンプの内部に吸着する可能性が低い。
− 相互汚染の可能性が低い。
− キャニスタや瓶を使用するより小型の部品と比べて、直接採集した量の全てを利用することができる。
− 容器が軽量であり、エネルギーが独立している。
− 容器が本質的に安全であり、本質的に安全な採集が可能である。
− 常に採集する準備ができている。
− 出先での採集の場合、可搬性が極めて重要であるため、入り口を閉鎖することによって空にした場合、多くの容器を比較的小さな容積に適合することができる。
− 以下のような採集の要望に対して極めて汎用性がある。
− 採集した空気、気体または気体混合物を保存するために、容器を最初の採集容積として使用することができる。
− 容器を、吸着採集管と併せて固定された採集量(10mlから5000mlまで、さらには10000mlの採集量が実現可能である)で最初の原動力の供給源として使用することができる。
− 容器/管のシステムが、固定された採集量に一緒に較正されるとすると、容器を、比色計管と併せて原動力の供給源として使用することができる。任意の制限時間15分のSTEL採集、あるいは30分のSTEL採集。100、200、500から>10000ml/試料までの所定量で、ピーク天井濃度または480分(全ての作業時間の長さ)のTWAまたはTLV採集が実現可能である。
− 本発明による容器を、所定の採集量のために、エアロゾルまたは液体インピンジャのフィルタカセットと併せて較正することができる。
【0049】
記載した方法、および素早く変形する壁を有する採集バッグの実施形態は、特定の実施形態に限定されるべきではなく、方法ステップ、配合などの本明細書に開示される材料、工程ステップは、ある程度変えることができる。さらに本明細書で採用される専門用語は、例示の実施形態を記述する目的に限って使用されており、この専門用語は、本発明の多様な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ制限されるため、限定することは意図されていない。
【0050】
したがって本発明の実施形態が、例示の実施形態を参照して記載される限り、当業者は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内で、変形および修正を実施することができることを理解するであろう。よって本発明の様々な実施形態に範囲は、上記に考察した実施形態に限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲および全ての均等物によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0051】
8 採集バッグ
10 素早く変形する壁
11 側壁
12 継ぎ目
15 形状記憶要素
20 入り口/出口
22、24 弁
27 流れ制御装置
32 採集管
40 採集バッグ
44 配管
50 ポンプ
52 バッテリ
60 外側容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状記憶部材を備える素早く変形する壁を備えている流体容器。
【請求項2】
前記形状記憶部材が、一定の力を加えることにより最初の形状から変形され、この力を解放した後、略その元の形状に戻ることができる材料を備える、請求項1に記載の流体容器。
【請求項3】
前記形状記憶部材が、金属またはプラスチック材料である、請求項1に記載の流体容器。
【請求項4】
前記形状記憶部材の最初の形状が、U字型、V字型、円形、弓形または放物断面のいずれかである、請求項2に記載の流体容器。
【請求項5】
前記形状記憶要素が、矩形、正方形、三角形、円形、2つの平行な側壁を備える「枕」型、楕円形または他の形状である、請求項4に記載の流体容器。
【請求項6】
前記素早く変形する壁が複合的な構造を有する、請求項1に記載の流体容器。
【請求項7】
前記素早く変形する壁が、少なくとも3つの層を有する、請求項6に記載の流体容器。
【請求項8】
前記素早く変形する壁が、形状記憶部材を有する内側層と、外側層を備える、請求項7に記載の流体容器。
【請求項9】
前記形状記憶部材が、前記採集バッグを膨張した構成に付勢することができる、請求項1に記載の流体容器。
【請求項10】
前記流体容器が流体採集バッグである、請求項9に記載の流体容器。
【請求項11】
前記形状記憶部材が、前記採集バッグを収縮した構成に付勢することができる、請求項1に記載の流体容器。
【請求項12】
前記流体容器が流体送達バッグである、請求項11に記載の流体容器。
【請求項1】
形状記憶部材を備える素早く変形する壁を備えている流体容器。
【請求項2】
前記形状記憶部材が、一定の力を加えることにより最初の形状から変形され、この力を解放した後、略その元の形状に戻ることができる材料を備える、請求項1に記載の流体容器。
【請求項3】
前記形状記憶部材が、金属またはプラスチック材料である、請求項1に記載の流体容器。
【請求項4】
前記形状記憶部材の最初の形状が、U字型、V字型、円形、弓形または放物断面のいずれかである、請求項2に記載の流体容器。
【請求項5】
前記形状記憶要素が、矩形、正方形、三角形、円形、2つの平行な側壁を備える「枕」型、楕円形または他の形状である、請求項4に記載の流体容器。
【請求項6】
前記素早く変形する壁が複合的な構造を有する、請求項1に記載の流体容器。
【請求項7】
前記素早く変形する壁が、少なくとも3つの層を有する、請求項6に記載の流体容器。
【請求項8】
前記素早く変形する壁が、形状記憶部材を有する内側層と、外側層を備える、請求項7に記載の流体容器。
【請求項9】
前記形状記憶部材が、前記採集バッグを膨張した構成に付勢することができる、請求項1に記載の流体容器。
【請求項10】
前記流体容器が流体採集バッグである、請求項9に記載の流体容器。
【請求項11】
前記形状記憶部材が、前記採集バッグを収縮した構成に付勢することができる、請求項1に記載の流体容器。
【請求項12】
前記流体容器が流体送達バッグである、請求項11に記載の流体容器。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【公表番号】特表2013−519901(P2013−519901A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553991(P2012−553991)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/025058
【国際公開番号】WO2011/103170
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(307041919)ネクストテック エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2011/025058
【国際公開番号】WO2011/103170
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(307041919)ネクストテック エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
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