説明

素材記録再生制御装置及び素材記録再生制御方法

【課題】情報再生装置に装填された磁気テープ中の複数素材をビデオサーバに収録する際に、収録操作に要するオペレータの作業負担を軽減し得る素材記録再生制御装置を提供する。
【解決手段】磁気テープ中の放送素材を特定する素材IDと、磁気テープを特定するテープIDと、磁気テープ上の放送素材の先頭位置を表す頭出し位置とを対応付けた素材情報を素材情報記憶部12に記憶し管理しておき、VTR20に装填される磁気テープのテープIDを取得し、ビデオサーバ11から磁気テープ中の素材Aの収録が終了した旨の通知を受けた時に、制御CPU11によりテープIDを利用して素材情報を参照して、磁気テープ中に他の素材Bが存在するか否かを判定し、素材Bが存在する場合に、素材情報を参照して素材Bの素材IDに対応する頭出し位置から素材Bを再生するようにVTR20の頭出し制御を実行するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放送局内において、例えばVTR(Video Tape Recorder)に装填される磁気テープ中の放送素材をビデオサーバに記録するための素材記録再生制御装置及び素材記録再生制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばTV(テレビジョン)放送やラジオ放送の映像/音声等の放送素材を送出する送出システムにあっては、放送素材を記録(以後、収録と称する)し、任意のタイミングで放送素材を再生するビデオサーバが使用されている。
【0003】
ところで、放送局では、VTR(Video Tape Recorder)テープ等の媒体に記録された放送素材を再生してビデオサーバのメモリに書き込みを行っている。ここで、1本のテープに複数素材が記録されている場合に、それぞれの素材の収録操作を操作端末を用いて手動で行なう必要がある。さらに、操作端末のオペレータは、ビデオサーバに収録すべく放送素材が切り替わるごとに、VTRへ足を運んでテープの再装填を行う必要があり、ビデオサーバへの収録までに多くの手間と時間がかかってしまうことになる。
【0004】
なお、従来では、1本のテープに記録された複数素材に関する情報を操作端末で閲覧できるようにして、収録操作の軽減を図るデータ記録管理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−67839号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記データ記録管理装置では、複数素材に関する情報を操作端末に表示するものであり、ビデオサーバに収録すべく放送素材が切り替わる場合に、オペレータがVTRへ足を運んでテープの再装填を行う必要がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、情報再生装置に装填された磁気テープ中の複数素材をビデオサーバに収録する際に、収録操作に要するオペレータの作業負担を軽減し得る素材記録再生制御装置及び素材記録再生制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明に係わる素材記録再生制御装置は、放送素材データが記録された磁気テープが着脱自在に装填される情報再生装置を制御して前記磁気テープから放送素材データを再生させてビデオサーバに記録させる素材記録再生制御装置を対象にしている。
【0008】
そして、放送素材データを特定する素材IDと、磁気テープを特定するテープIDと、磁気テープ上の放送素材データの先頭位置を表す頭出し位置とを対応付けた素材管理テーブルを記憶する記憶手段と、情報再生装置に装填される磁気テープのテープIDを取得する取得手段と、情報再生装置に装填される磁気テープから第1の放送素材データが再生されビデオサーバから第1の放送素材データの記録が終了した旨の通知を受けた時に、取得手段により得られるテープIDに基づいて素材管理テーブルを参照し、この参照結果に基づいて磁気テープ中に第1の放送素材データとは異なる第2の放送素材データが記録されているか否かを判定する判定手段と、この判定手段により磁気テープ中に第2の放送素材データが記録されている旨が判定された場合に、素材管理テーブルを参照して第2の放送素材データの素材IDに対応する頭出し位置から第2の放送素材データを再生するように情報再生装置を制御する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
この構成によれば、放送素材データを特定する素材IDと、磁気テープを特定するテープIDと、磁気テープ上の放送素材データの先頭位置を表す頭出し位置とを対応付けた素材管理テーブルをメモリに記憶し管理しておくと共に、情報再生装置に装填される磁気テープのテープIDを取得し、ビデオサーバから磁気テープ中の第1の放送素材データの記録が終了した旨の通知を受けた時に、テープIDに基づいて素材管理テーブルを参照して、磁気テープ中に第2の放送素材データが記録されているか否かが判定され、第2の放送素材データが記録されている場合に、素材管理テーブルを参照して第2の放送素材データの素材IDに対応する頭出し位置から第2の放送素材データを再生するように情報再生装置が制御されることになる。
【0010】
従って、上記素材管理テーブルを用いることで、情報再生装置に装填される磁気テープに、第2の放送素材データが存在するか否かをチェックでき、存在する場合には磁気テープを取り出さず、そのまま次の第2の放送素材データの開始位置まで頭出しを行うことができ、これにより収録操作の作業効率を上げることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上詳述したようにこの発明によれば、情報再生装置に装填された磁気テープ中の複数素材をビデオサーバに収録する際に、収録操作に要するオペレータの作業負担を軽減し得る素材記録再生制御装置及び素材記録再生制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態とする放送素材送出システムの概略構成を示すブロック図である。
図1のシステムにおいて、情報記録再生制御装置10を中心に、情報再生装置であるVTR20と、ビデオサーバ30と、操作端末40とが、それぞれバス50で接続されている。情報記録再生制御装置10は、バス50を介してVTR20及びビデオサーバ30の記録再生を制御可能とする。
【0013】
上記情報記録再生制御装置10は、制御CPU11と、素材情報記憶部12と、VTR情報記憶部13とを備えている。素材情報記憶部12には、図2に示すように、ビデオサーバ30に収録される放送素材の素材IDと、VTR20に着脱自在に装填される磁気テープのテープIDと、磁気テープ中の放送素材の開始位置を示す頭出し位置と、放送素材の収録長との対応関係を表す素材管理テーブル(以下、素材情報と称する)が記憶される。この素材情報は、オペレータによる操作端末40の操作で素材情報記憶部12に登録される。
【0014】
VTR情報記憶部13には、図3に示すように、VTR20のVTRIDと、テープIDとの対応関係を表すVTRテーブル(以下、VTR情報と称する)が記憶される。
【0015】
一方、制御CPU11は、VTR20及びビデオサーバ30の制御動作に係わる通常の制御機能に加え、テープID取得部111と、素材判定部112と、頭出し制御部113とを備えている。
【0016】
テープID取得部111は、例えばVTR20に磁気テープが装填された場合に、磁気テープに付与されるテープIDを取得し、VTR情報記憶部13のVTR情報の更新を行う。
【0017】
素材判定部112は、ビデオサーバ30から放送素材の収録完了の通知を受信した場合に、素材情報記憶部12の素材情報及びVTR情報記憶部13のVTR情報を参照し、この参照結果に基づいて、VTR20に装填される磁気テープ中に他の素材が存在するか否かの判定を行なう。
【0018】
頭出し制御部113は、上記素材判定部112により磁気テープ中に他の素材が存在する旨が判定された場合に、素材情報を参照して他の素材の素材IDに対応する頭出し位置から該当する素材を再生してビデオサーバ30に収録するようにVTR20を制御する。
【0019】
次に、上記構成によるシステムの動作を説明する。図4は、制御CPU11の制御動作手順とその内容を示すフローチャートである。
【0020】
制御CPU11は、ステップST4aにおいてVTR20(VTR1)への磁気テープの装填状態を監視しており、磁気テープが装填されると、VTR情報記憶部13に記憶されているVTR情報の内容を更新する(ステップST4b)。
【0021】
そして、制御CPU11は、素材情報記憶部12に記憶されている素材情報を参照して、磁気テープ中の素材Aの頭出し位置から素材Aを再生するようにVTR20の頭出し制御を実行する(ステップST4c)。続いて、ビデオサーバ30に対し素材Aの収録を開始させ(ステップST4d)、しかる後に素材Aの収録完了通知をビデオサーバ30から受信すると、ステップST4eからステップST4fに移行してここで素材情報記憶部12に記憶されている素材情報を参照して、磁気テープ中に他の素材が存在するか否かを判定する。
【0022】
そして、磁気テープ中に素材Bが存在する場合に(Yes)、制御CPU11は素材情報を参照して次の素材Bの頭出し位置から素材Bを再生するようにVTR20に対し頭出し制御を実行する(ステップST4g)。
【0023】
以後、磁気テープ中に複数の素材が存在する限り、制御CPU11はステップST4c乃至ステップST4fの処理を繰り返し実行する。
【0024】
そして、上記ステップST4fにおいて、磁気テープ中に他の素材がない場合に(No)、制御CPU11はVTR20に装填中の磁気テープの巻き戻しを実行し(ステップST4h)、巻き戻し終了後に磁気テープの排出処理を実行する(ステップST4i)。
【0025】
なお、制御CPU11は、バス50にVTR20以外の他のVTRが接続される場合においても上記ステップST4a乃至ステップST4iの処理を他のVTRに対し実行することはもちろんのことである。この場合、VTR情報記憶部13に記憶されるVTR情報中に他のVTRのVTRIDも含めておくようにする。
【0026】
以上のように上記実施形態では、磁気テープ中の放送素材を特定する素材IDと、磁気テープを特定するテープIDと、磁気テープ上の放送素材の先頭位置を表す頭出し位置とを対応付けた素材情報を素材情報記憶部12に記憶し管理しておくと共に、VTR20に装填される磁気テープのテープIDを取得し、VTR情報記憶部13中のVTR情報を更新するようにし、ビデオサーバ11から磁気テープ中の素材Aの収録が終了した旨の通知を受けた時に、制御CPU11によりテープIDを利用して素材情報を参照して、磁気テープ中に他の素材Bが存在するか否かを判定し、素材Bが存在する場合に、素材情報を参照して素材Bの素材IDに対応する頭出し位置から素材Bを再生するようにVTR20の頭出し制御を実行するようにしている。
【0027】
従って、上記素材情報を用いることで、VTR20に装填される磁気テープに、他の素材Bが存在するか否かをチェックでき、存在する場合にはVTR20から磁気テープを取り出すことなく、そのまま次の素材Bの開始位置まで頭出しを行うことができ、これによりオペレータに対する収録操作の作業効率を上げることができる。
【0028】
なお、この発明は上記実施形態に限定されることなく、素材送出システムの構成、情報記憶再生制御装置の構成、磁気テープに対する複数素材の頭出し制御手順等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施形態とする放送素材送出システムの概略構成を示すブロック図。
【図2】上記図1に示した素材情報記憶部の記憶内容の一例を示す図。
【図3】上記図1に示したVTR情報記憶部の記憶内容の一例を示す図。
【図4】同実施形態における制御CPUの制御動作手順とその内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0030】
10…情報記録再生制御装置、11…制御CPU、12…素材情報記憶部、13…VTR情報記憶部、20…VTR、30…ビデオサーバ、40…操作端末、50…バス、111…テープID取得部、112…素材判定部、113…頭出し制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送素材データが記録された磁気テープが着脱自在に装填される情報再生装置を制御して前記磁気テープから放送素材データを再生させてビデオサーバに記録させる素材記録再生制御装置において、
前記放送素材データを特定する素材IDと、前記磁気テープを特定するテープIDと、前記磁気テープ上の前記放送素材データの先頭位置を表す頭出し位置とを対応付けた素材管理テーブルを記憶する記憶手段と、
前記情報再生装置に装填される磁気テープのテープIDを取得する取得手段と、
前記情報再生装置に装填される磁気テープから第1の放送素材データが再生され前記ビデオサーバから前記第1の放送素材データの記録が終了した旨の通知を受けた時に、前記取得手段により得られるテープIDに基づいて前記素材管理テーブルを参照し、この参照結果に基づいて前記磁気テープ中に前記第1の放送素材データとは異なる第2の放送素材データが記録されているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により前記磁気テープ中に前記第2の放送素材データが記録されている旨が判定された場合に、前記素材管理テーブルを参照して前記第2の放送素材データの素材IDに対応する頭出し位置から前記第2の放送素材データを再生するように前記情報再生装置を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする素材記録再生制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、判定手段により前記磁気テープ中に前記第2の放送素材データが記録されていない旨が判定された場合に、前記情報再生装置に対し前記磁気テープの排出処理を実行させることを特徴とする請求項1記載の素材記録再生制御装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記情報再生装置を特定する装置IDと、当該情報再生装置に装填される磁気テープのテープIDとを対応付けた装置テーブルを記憶し、
前記取得手段は、前記情報再生装置に前記磁気テープが装填されるごとに、該当する装置IDに対応するテープIDを更新することを特徴とする請求項1記載の素材記録再生制御装置。
【請求項4】
放送素材データが記録された磁気テープが着脱自在に装填される情報再生装置を制御して前記磁気テープから放送素材データを再生させてビデオサーバに記録させる素材記録再生制御方法において、
前記放送素材データを特定する素材IDと、前記磁気テープを特定するテープIDと、前記磁気テープ上の前記放送素材データの先頭位置を表す頭出し位置とを対応付けた素材管理テーブルをメモリに記憶しておき、
前記情報再生装置に装填される磁気テープのテープIDを取得し、
前記情報再生装置に装填される磁気テープから第1の放送素材データが再生され前記ビデオサーバから前記第1の放送素材データの記録が終了した旨の通知を受けた時に、取得されたテープIDに基づいて前記素材管理テーブルを参照し、この参照結果に基づいて前記磁気テープ中に前記第1の放送素材データとは異なる第2の放送素材データが記録されているか否かを判定し、
前記磁気テープ中に前記第2の放送素材データが記録されている旨が判定された場合に、前記素材管理テーブルを参照して前記第2の放送素材データの素材IDに対応する頭出し位置から前記第2の放送素材データを再生するように前記情報再生装置を制御するようにしたことを特徴とする素材記録再生制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−234709(P2008−234709A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69217(P2007−69217)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】