紡績機
【課題】空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、空気紡績装置の稼動台数に応じて添加剤の供給量を調節できる技術を提供する。
【解決手段】空気を用いて繊維束Fを撚る空気紡績装置6を備えた紡績ユニット1が複数台配置された紡績機100であって、空気を圧送する空気圧送装置21と、前記空気圧送装置21が圧送した空気を案内する空気配管22と、前記空気配管22を流れる空気がそれぞれの前記空気紡績装置6に向けて分岐される上流側で該空気配管22に添加剤を供給する添加剤供給装置3と、前記添加剤供給装置3による添加剤の供給量を調節する制御装置Cと、を備える、とした。
【解決手段】空気を用いて繊維束Fを撚る空気紡績装置6を備えた紡績ユニット1が複数台配置された紡績機100であって、空気を圧送する空気圧送装置21と、前記空気圧送装置21が圧送した空気を案内する空気配管22と、前記空気配管22を流れる空気がそれぞれの前記空気紡績装置6に向けて分岐される上流側で該空気配管22に添加剤を供給する添加剤供給装置3と、前記添加剤供給装置3による添加剤の供給量を調節する制御装置Cと、を備える、とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績ユニットが複数台配置された紡績機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気の旋回気流を利用して繊維束を撚ることで紡績糸を製造する空気紡績装置が知られている。空気紡績装置は、紡績室に空気を供給することによって旋回気流を発生させ、繊維束を構成する各繊維を旋回させることで紡績糸を製造する(例えば特許文献1)。
【0003】
空気紡績装置は、例えばポリエステル繊維などの油剤が付与された繊維束から紡績糸を製造する場合、紡績室の壁面に油剤が付着して堆積するという問題点を有している。このため、空気紡績装置に供給される空気に堆積防止剤を加えることで油剤の堆積を防止する技術が提案されていた(例えば特許文献2)。
【0004】
しかし、空気配管を流れる空気に堆積防止剤を加え、それぞれの空気紡績装置に向けて分岐させる構造においては、空気紡績装置の稼動台数に応じて空気配管内における空気の流量が変化するため、空気紡績装置の稼動台数によっては堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりする場合があった。そのため、空気紡績装置の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節できる技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−1935号公報
【特許文献2】特開2008−95208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、紡績ユニットが複数台配置された紡績機において、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、空気紡績装置の稼動台数に応じて添加剤の供給量を調節できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、この課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明は、空気を用いて繊維束を撚る空気紡績装置を備えた紡績ユニットが複数台配置された紡績機に関する。本紡績機には、少なくとも空気圧送装置と、空気配管と、添加剤供給装置と、制御装置と、が備えられる。空気圧送装置は、空気を圧送する。空気配管は、空気圧送装置が圧送した空気を案内する。添加剤供給装置は、空気配管を流れる空気がそれぞれの空気紡績装置に向けて分岐される上流側で空気配管に添加剤を供給する。制御装置は、添加剤供給装置による添加剤の供給量を調節する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係る紡績機に関する。本紡績機の添加剤供給装置には、少なくとも添加剤貯溜槽と、添加剤供給配管と、圧力調節装置と、が備えられる。添加剤貯溜槽は、添加剤を貯溜する。添加剤供給配管は、添加剤貯溜槽から空気配管へ添加剤を導く。圧力調節装置は、添加剤貯溜槽の内部の圧力を調節する。制御装置は、圧力調節装置の運転状態を制御することで添加剤供給配管によって導かれる添加剤の流量を変更して添加剤の供給量を調節する。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る紡績機に関する。制御装置は、空気紡績装置の稼働台数の増加に応じて添加剤の供給量を増量させ、空気紡績装置の稼働台数の減少に応じて添加剤の供給量を減量させる。
【0011】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に係る紡績機に関する。制御装置は、それぞれの紡績ユニットから送信された電気信号を受信することで空気紡績装置の稼働台数を把握する。
【0012】
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明に係る紡績機に関する。本紡績機には、空気流量測定装置が備えられる。空気流量測定装置は、空気配管を流れる空気の流量を測定する。制御装置は、空気流量測定装置の測定結果に基づいて空気紡績装置の稼働台数を把握する。
【0013】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明に係る紡績機に関する。空気配管は、該空気配管の内部に付着した添加剤が所定箇所で溜まるように傾斜して配置される。
【0014】
第7の発明は、第6の発明に係る紡績機に関する。空気配管は、該空気配管の内部に溜まった添加剤を外部に排出する添加剤排出口を備える。
【0015】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明に係る紡績機に関する。添加剤供給装置によって空気配管に供給される添加剤は、繊維束に付与された油剤が付着して堆積することを防ぐ堆積防止剤である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
第1の発明によれば、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0018】
第2の発明によれば、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、簡素な構造でありながら高い精度で添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0019】
第3の発明によれば、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、空気紡績装置の稼働台数に応じて添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0020】
第4の発明によれば、空気紡績装置の稼働台数を正確に把握できるため、適宜に添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0021】
第5の発明によれば、空気紡績装置の稼働台数を正確に把握できるため、適宜に添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0022】
第6の発明によれば、空気配管の内部に付着した添加剤を所定箇所に溜めることができる。これにより、空気配管の内部に付着した添加剤が空気紡績装置に流れ込むことを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0023】
第7の発明によれば、空気配管の内部に溜まった添加剤を排出することができる。これにより、空気配管の内部に溜まった添加剤が空気紡績装置に流れ込むことを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0024】
第8の発明によれば、紡績室に油剤が付着して堆積することを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】紡績機100の全体構成を示す図。
【図2】紡績ユニット1の構成を示す図。
【図3】紡績ユニット1に設けられたドラフト装置5を示す図。
【図4】紡績ユニット1に設けられた空気紡績装置6を示す図。
【図5】紡績ユニット1に設けられた糸欠点検出装置7を示す図。
【図6】紡績ユニット1に設けられた張力安定装置8を示す図。
【図7】空気分配装置2ならびに添加剤供給装置3の構成を示す図。
【図8】堆積防止剤の供給量が過多となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される状態を示す図。
【図9】堆積防止剤の供給量が過少となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される状態を示す図。
【図10】空気紡績装置6の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節する制御態様を示す図。
【図11】空気分配装置2ならびに添加剤供給装置3の構成を示す他の図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を用いて、本発明の実施形態に係る紡績機100について説明する。
【0027】
図1に示すように、紡績機100は、主に複数台の紡績ユニット1によって構成される。紡績機100には、空気分配装置2(図1に図示せず。図7参照。)と、添加剤供給装置3(図1に図示せず。図7参照。)と、が各一台ずつ備えられている。
【0028】
まず、図2を用いて、紡績ユニット1の構成について詳細に説明する。
【0029】
紡績ユニット1は、繊維束(以降「スライバ」という。)Fから紡績糸Yを製造してパッケージPを作成する紡績機械である。紡績ユニット1は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向に沿って以下の順に配置された、スライバ供給ユニット4と、ドラフト装置5と、空気紡績装置6と、糸欠点検出装置7と、張力安定装置8と、巻取装置9と、で構成される。
【0030】
スライバ供給ユニット4は、紡績糸Yの原料となるスライバFをドラフト装置5へ供給する。スライバ供給ユニット4は、主にスライバケース41と、スライバガイド42と(図3参照)、で構成される。スライバケース41に貯溜されたスライバFは、スライバガイド42に案内されてドラフト装置5へ供給される。
【0031】
ドラフト装置5は、スライバFを牽伸することで該スライバFの太さを均一化する。図3に示すように、ドラフト装置5は、スライバFの送り方向に沿って以下の順に配置された、バックローラ対51と、サードローラ対52と、ミドルローラ対53と、フロントローラ対54と、の四組のドラフトローラ対で構成される。なお、図中に示す矢印は、スライバFの送り方向を示している。
【0032】
四組のドラフトローラ対51・52・53・54は、それぞれボトムローラ51A・52A・53A・54Aと、トップローラ51B・52B・53B・54Bと、で構成される。また、ミドルローラ対53を構成するボトムローラ53A及びトップローラ53Bには、皮又は合成ゴム製のエプロンバンド53C・53Cが巻回されている。
【0033】
ボトムローラ51A・52A・53A・54Aは、図示しない駆動装置によって同じ方向に回転される。トップローラ51B・52B・53B・54Bは、ボトムローラ51A・52A・53A・54Aの回転によって従動し、同じ方向に回転される。また、各ドラフトローラ対51・52・53・54は、スライバFの送り方向に沿って順次、回転速度が速くなるように設定されている。
【0034】
このような構成により、ドラフトローラ対51・52・53・54に挟持されたスライバFは、各ドラフトローラ対51・52・53・54を通過する度に送り速度が増していき、隣接するドラフトローラ対との間で牽伸されることとなる。このようにして、ドラフト装置5は、スライバFを牽伸することで該スライバFの太さを均一化することを可能としている。
【0035】
空気紡績装置6は、牽伸されたスライバFを撚ることで紡績糸Yを製造する。図4に示すように、空気紡績装置6は、主にファイバーガイド61と、スピンドル62と、ノズルブロック63と、で構成される。なお、図中に示す黒塗りの矢印は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向を示している。図中に示す白塗りの矢印は、供給された空気の流れ方向を示している。
【0036】
ファイバーガイド61は、紡績室SCの一部を構成する部材である。ファイバーガイド61は、ドラフト装置5によって牽伸されたスライバFを紡績室SCへ導く。具体的に説明すると、ファイバーガイド61は、紡績室SCに連通された繊維導入路61gによって該紡績室SC内へスライバFを導く。また、ファイバーガイド61には、スライバFを沿わせて案内するニードル61nが紡績室SCの内部に突設するように設けられている。
【0037】
スピンドル62は、紡績室SCの一部を構成する部材である。スピンドル62は、紡績室SCで撚られたスライバF、即ち、紡績糸Yを糸欠点検出装置7へ導く。具体的に説明すると、スピンドル62は、紡績室SCに連通された繊維通過路62sによって送り方向下流側に配置された糸欠点検出装置7へ紡績糸Yを導く。
【0038】
ノズルブロック63は、紡績室SCの一部を構成する部材である。ノズルブロック63は、後述する空気圧送装置21が圧送した空気を紡績室SCへ導く。具体的に説明すると、ノズルブロック63は、紡績室SCに連通された空気孔63aによって該紡績室SC内へ空気を導く。なお、ノズルブロック63に設けられた各空気孔63aは、各空気孔63aから噴出した空気が紡績室SCの中心軸を中心として互いに同じ方向に流れるように連通されているため、該紡績室SCの内部で空気の旋回気流を発生させる(図中白矢印参照)。
【0039】
ここで、紡績室SCについて更に詳しく説明する。紡績室SCは、ファイバーガイド61と、スピンドル62と、ノズルブロック63と、で囲まれた空間である。詳細には、紡績室SCは、ノズルブロック63に設けられた略円錐形状の貫通孔63pに対して、一方から挿入された略円錐形状のスピンドル62と、他方に取り付けられたファイバーガイド61と、で囲まれた空間である。
【0040】
紡績室SCは、ファイバーガイド61とスピンドル62の間に構成される空間SC1と、スピンドル62とノズルブロック63の間に構成される空間SC2と、に分けられる。空間SC1において、スライバFを構成する各繊維は、各繊維の後端部が旋回気流によって反転される(図中二点鎖線参照)。また、空間SC2において、反転された各繊維の後端部が旋回気流によって旋回される(図中二点鎖線参照)。
【0041】
このような構成により、ニードル61nに沿って導かれたスライバFは、該スライバFを構成する各繊維の後端部が旋回されて、次々と中心部の繊維に巻き付いていく。このようにして、空気紡績装置6は、空気の旋回気流を利用してスライバFを撚ることができ、紡績糸Yを製造する。なお、空気紡績装置6は、ファイバーガイド61にニードル61nが設けられていない構成であっても良い。この場合ファイバーガイド61は、該ファイバーガイド61の下流端のエッジによってニードル61nの機能を実現する。
【0042】
糸欠点検出装置7は、紡績糸Yに生じた欠点部を検出する。図5に示すように、糸欠点検出装置7は、主に光源部71と、受光部72と、ケーシング73と、で構成される。なお、図中に示す矢印は、光源部71から照射された光の方向を示している。
【0043】
光源部71は、順方向に電圧を印加することによって発光する半導体素子、即ち、発光ダイオードである。光源部71は、該光源部71からの光を紡績糸Yに照射できるように配置されている。
【0044】
受光部72は、光信号によって電流の制御を可能とする半導体素子、即ち、フォトトランジスタである。受光部72は、光源部71によって照射された光を受光できるように配置されている。
【0045】
ケーシング73は、光源部71ならびに受光部72を所定の位置に保持する部材である。ケーシング73には、紡績糸Yが通過する糸通路73aが設けられている。ケーシング73は、紡績糸Yを挟んで対向するように光源部71ならびに受光部72を保持している。
【0046】
このような構成により、受光部72が受光する光量は、光源部71から紡績糸Yへ照射された光のうち紡績糸Yによって遮光された光量を除く値となる。なお、糸欠点検出装置7は、電気回線を介して制御装置Cと接続されている(図7参照)。制御装置Cは、糸欠点検出装置7からの検出信号を受信することによって、紡績糸Yに生じた欠点部を把握する。
【0047】
なお、糸欠点検出装置7が検出できる欠点部には、紡績糸Yの一部が太過ぎたり細過ぎたりする異常の他、紡績糸Yにポリプロピレン等の異物が介在する場合も含まれる。また、糸欠点検出装置7は、上記のような光学式のセンサ以外にも、静電容量式のセンサを採用することも可能である。
【0048】
張力安定装置8は、紡績糸Yに掛かる張力を適度に保ち安定させる。図6に示すように、張力安定装置8は、主にローラ81と、動力部82と、解舒部材83と、で構成される。なお、図中に示す矢印は、紡績糸Yの送り方向を示している。
【0049】
ローラ81は、紡績糸Yを空気紡績装置6から引き出して該紡績糸Yを巻回する略円筒形状の回転体である。ローラ81は、動力部82の回転軸82aに取り付けられて該動力部82によって回転される。そして、空気紡績装置6から引き出された紡績糸Yは、該ローラ81の外周面に巻回される。
【0050】
動力部82は、電力を供給されることによって駆動する電動モータである。動力部82は、ローラ81を回転させるとともに、該ローラ81の回転速度を所定の値で一定に維持する。これにより、ローラ81に巻回される紡績糸Yの巻回速度を一定に保つことができる。
【0051】
解舒部材83は、ローラ81と一体又は独立して回転することで巻回された紡績糸Yの解舒を補助する糸掛け部材である。解舒部材83の一端部は、ローラ81の回転軸84に取り付けられている。解舒部材83の他端部は、ローラ81の外周面に向かって湾曲するように形成されている。そして、解舒部材83は、湾曲した部位に紡績糸Yが掛けられることによって該紡績糸Yをローラ81から解舒することを可能としている。なお、解舒部材83が取り付けられた回転軸84の基部には、解舒部材83の回転に抗するように抵抗力を生じる永久磁石が配置されている。
【0052】
このような構成により、解舒部材83は、紡績糸Yに掛かる張力が低く、上述した抵抗力に打ち負ける場合、ローラ81と一体となって回転する。一方、解舒部材83は、紡績糸Yに掛かる張力が高く、上述した抵抗力に打ち勝つ場合、ローラ81から独立して回転する。このようにして、張力安定装置8は、紡績糸Yに掛かる張力に応じて解舒部材83をローラ81と一体又は独立して回転させることができ、該紡績糸Yの解舒速度を調節することを可能としている。こうして、張力安定装置8は、紡績糸Yに掛かる張力を適度に保ち安定させる。
【0053】
なお、上述したように、張力安定装置8は、空気紡績装置6から紡績糸Yを引き出す役割を有している。しかし、例えば空気紡績装置6の下流側にデリベリローラとニップローラを配置して、該デリベリローラとニップローラによって紡績糸Yを引き出すようにしても良い。更に、デリベリローラとニップローラの下流側に張力安定装置8を配置して紡績糸Yを巻回して貯溜する構成としても良い。或いは、張力安定装置8を省略し、巻取装置9によって紡績糸Yを引き出す構成としても良い。
【0054】
巻取装置9は、紡績糸Yを巻回することで略円筒形状(チーズ形状)のパッケージPを作成する。巻取装置9は、主に駆動ローラ91と、図示しないクレードルと、で構成される。クレードルは、ボビン92を回転自在に保持する。
【0055】
駆動ローラ91は、回転することによってボビン92及びパッケージPを従動回転させる回転体である。駆動ローラ91は、パッケージPの外径の変化に応じて回転速度を調節し、該パッケージPの周速度を一定に維持する。これにより、ボビン92に巻回される紡績糸Yの巻回速度を一定に保つことができる。
【0056】
ボビン92は、回転することによって紡績糸Yを巻回する略円筒形状の回転体である。ボビン92は、該ボビン92或いはパッケージPの外周面に接触した状態で回転する駆動ローラ91によって従動回転される。なお、巻取装置9は、図示しない綾振装置によって紡績糸Yを綾振するため、パッケージPにおける紡績糸Yの偏りを防いでいる。
【0057】
このような構成により、ボビン92に導かれた紡績糸Yは、該ボビン92の外周面に偏ることなく巻回されていく。このようにして、巻取装置9は、略円筒形状(チーズ形状)のパッケージPを作成することを可能としている。なお、巻取装置9は、図2に図示されているような略円筒形状(チーズ形状)のパッケージP以外にも、例えば略円錐形状(コーン形状)のパッケージPを作成することができる。
【0058】
次に、図7を用いて、空気分配装置2ならびに添加剤供給装置3の構成について詳細に説明する。なお、図中に示す矢印は、空気の流れ方向を示している。
【0059】
上述したように、紡績機100には、空気分配装置2が一台備えられている。空気分配装置2は、主に空気圧送装置21と、第一空気配管22と、第一分配管23と、第二空気配管24と、第二分配管25と、で構成される。
【0060】
空気圧送装置21は、空気を加圧して送り出す装置である。空気圧送装置21は、主に電動モータを駆動させることで空気を加圧する電動コンプレッサなどから構成される。なお、空気圧送装置21が圧送した空気の圧力は、圧力調節弁211によって調節される。
【0061】
第一空気配管22は、空気圧送装置21が圧送した空気を案内する通路である。第一空気配管22は、各紡績ユニット1が配置された方向に沿って平行又は略平行に取り付けられている。
【0062】
第一分配管23は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導く通路である。第一分配管23の一端部は、空気紡績装置6に接続されている。第一分配管23の他端部は、第一空気配管22の中途部に接続されている。これにより、第一分配管23は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導くことを可能としている。なお、第一分配管23によって空気紡績装置6へ導かれる空気の流量は、該第一分配管23の中途部に配置された開閉バルブ231によって調節される。
【0063】
第二空気配管24は、空気圧送装置21が圧送した空気を案内する通路である。第二空気配管24は、各紡績ユニット1が配置された方向に沿って平行又は略平行に取り付けられている。
【0064】
第二分配管25は、第二空気配管24に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導く通路である。第二分配管25の一端部は、空気紡績装置6に接続されている。第二分配管25の他端部は、第二空気配管24の中途部に接続されている。これにより、第二分配管25は、第二空気配管24に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導くことを可能としている。なお、第二分配管25によって空気紡績装置6へ導かれる空気の流量は、該第二分配管25の中途部に配置された開閉バルブ251によって調節される。
【0065】
こうして、空気分配装置2は、空気圧送装置21が圧送した空気を第一空気配管22又は第二空気配管24を介して空気紡績装置6へ供給できる。なお、本発明の実施形態としては、第二空気配管24を省略した構成であっても良く、本実施形態に係る紡績機100よりも多くの空気配管を備える構成であっても良い。
【0066】
また、上述したように、紡績機100には、添加剤供給装置3が一台備えられている。添加剤供給装置3は、主に分岐配管31と、圧力調節装置32と、添加剤貯溜槽33と、添加剤供給配管34と、で構成される。
【0067】
分岐配管31は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて添加剤貯溜槽33へ導く通路である。分岐配管31の一端部は、添加剤貯溜槽33に接続されている。分岐配管31の他端部は、第一空気配管22の中途部に接続されている。これにより、分岐配管31は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて添加剤貯溜槽33へ導くことを可能としている。なお、分岐配管31によって添加剤貯溜槽33へ導かれる空気の流量は、該分岐配管31の中途部に配置されたバルブ311によって調節される。
【0068】
圧力調節装置32は、添加剤貯溜槽33に導かれる空気を加圧して該添加剤貯溜槽33の内圧を調節する装置である。圧力調節装置32は、主に摺動ピストンを駆動させることで空気を加圧する増圧弁などから構成される。或いは、電動モータを駆動させることで空気を加圧する電動コンプレッサを用いても良い。なお、圧力調節装置32は、電気回線を介して制御装置Cと接続されている。制御装置Cは、圧力調節装置32へ制御信号を送信することによって、該圧力調節装置32の運転状態を適宜に制御する。
【0069】
添加剤貯溜槽33は、添加剤を貯溜する容器である。添加剤貯溜槽33には、添加剤の貯溜量を検出するレベルセンサ331が備えられている。レベルセンサ331は、電気回線を介して制御装置Cと接続されている。制御装置Cは、レベルセンサ331からの検出信号を受信することによって、添加剤の貯溜量を把握する。
【0070】
添加剤供給配管34は、添加剤貯溜槽33に貯溜された添加剤を第一空気配管22へ導く通路である。添加剤供給配管34の一端部は、添加剤貯溜槽33の底部で開口するように接続されている。添加剤供給配管34の他端部は、第一空気配管22を流れる空気がそれぞれの空気紡績装置6に向けて分岐される上流側に接続されている。
【0071】
こうして、添加剤供給装置3は、添加剤貯溜槽33に貯溜された添加剤を第一空気配管22に供給できる。また、添加剤供給装置3は、添加剤貯溜槽33の内圧を調節することによって添加剤の供給量を調節できる。
【0072】
このような構成により、本紡績機100は、空気紡績装置6に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、簡素な構造でありながら高い精度で添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置6への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態に係る紡績機100は、第一空気配管22の上流部に配置されたバルブ221を開弁し、第二空気配管24の上流部に配置されたバルブ241を閉弁することで、第一空気配管22のみを用いて空気紡績装置6へ空気を供給することができる。これにより、添加剤を含む空気のみを空気紡績装置6に供給することが可能となる。
【0074】
一方、本実施形態に係る紡績機100は、第一空気配管22の上流部に配置されたバルブ221を閉弁し、第二空気配管24の上流部に配置されたバルブ241を開弁することで、第二空気配管24のみを用いて空気紡績装置6へ空気を供給することができる。これにより、添加剤を含まない空気のみを空気紡績装置6に供給することが可能となる。
【0075】
次に、図8を用いて、空気紡績装置6への添加剤の供給量が過多となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される理由について説明する。図中に示す黒塗りの矢印は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向を示している。図中に示す白塗りの矢印は、供給された空気の流れ方向を示している。なお、第一空気配管22に供給される添加剤は、スライバFに付与された油剤の堆積を防ぐ堆積防止剤であるとして説明する。
【0076】
上述したように、ノズルブロック63の空気孔63aを通って紡績室SCに供給された空気は、該紡績室SC内で旋回気流となる(図中白矢印参照)。このとき、空気とともに空気紡績装置6に供給された堆積防止剤は、スピンドル62の周面などに皮膜を形成して油剤の堆積を防止する。しかし、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合、即ち、空気に含まれる堆積防止剤が所定量以上であった場合は、堆積防止剤がスピンドル62の周面などに液滴となって付着する。このため、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となる。その結果、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0077】
具体的に説明すると、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合は、堆積防止剤がスピンドル62の周面などに液滴となって付着するため、該スピンドル62に巻き付くようにして旋回する繊維の抵抗となる(図中二点鎖線参照)。従って、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となるため、中心部の繊維に十分に巻き付くことができなくなる。こうして、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合は、反転された繊維の後端部が中心部の繊維に十分に巻き付く前に繊維通過路62sに導入されるため、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0078】
次に、図9を用いて、空気紡績装置6への添加剤の供給量が過少となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される理由について説明する。図中に示す黒塗りの矢印は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向を示している。図中に示す白塗りの矢印は、供給された空気の流れ方向を示している。なお、第一空気配管22に供給される添加剤は、スライバFに付与された油剤の堆積を防ぐ堆積防止剤であるとして説明する。
【0079】
上述したように、ノズルブロック63の空気孔63aを通って紡績室SCに供給された空気は、該紡績室SC内で旋回気流となる(図中白矢印参照)。このとき、空気とともに空気紡績装置6に供給された堆積防止剤は、スピンドル62の周面などに皮膜を形成して油剤の堆積を防止する。しかし、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過少となった場合、即ち、空気に含まれる堆積防止剤が所定量未満であった場合は、スライバFに付与されていた油剤がスピンドル62の周面などに付着して堆積する。このため、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となる。その結果、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0080】
具体的に説明すると、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過少となった場合は、スライバFに付与されていた油剤がスピンドル62の周面などに付着して堆積するため、該スピンドル62に巻き付くようにして旋回する繊維の抵抗となる(図中二点鎖線参照)。従って、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となるため、中心部の繊維に十分に巻き付くことができなくなる。こうして、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過少となった場合は、反転された繊維の後端部が中心部の繊維に十分に巻き付く前に繊維通過路62sに導入されるため、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0081】
このように、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yの発生を防いで紡績糸Yの品質を向上させるには、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防ぐことが重要となる。更に、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合においては、紡績糸Yに堆積防止剤が染み込んで染色不良が発生することもあるため、堆積防止剤の供給量を適宜に調節する技術が求められていた。しかし、本紡績機100のように、空気配管(本紡績機100では第一空気配管22)を流れる空気に堆積防止剤を加え、それぞれの空気紡績装置6に向けて分岐させる構造においては、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量を最適化することは困難であった。
【0082】
具体的に説明すると、紡績機100を構成する各紡績ユニット1は、各紡績ユニット1毎にパッケージPを巻き始める時期と巻き終える時期とが異なるため、空気紡績装置6の稼動台数は変動することがある。例えば紡績機100のロット変更時には、パッケージPを巻き終えた紡績ユニット1から順に運転を停止していくため、空気紡績装置6の稼動台数は序々に減少する。また、紡績機100のうち少数の紡績ユニット1で紡績を行なってから全ての紡績ユニット1で紡績を開始する場合には、空気紡績装置6の稼動台数は序々に増加する。空気紡績装置6の稼動台数が変動すると、空気の需要量が変化するため、第一空気配管22を流れる空気の流量も変化する。このとき、添加剤供給装置3によって供給される堆積防止剤の供給量が一定であると、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりする原因となる。そこで、本紡績機100においては、空気紡績装置6の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量の調節を行なう。
【0083】
図10を用いて、空気紡績装置6の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節する制御態様について説明する。図10の横軸は、空気紡績装置6の稼動台数を示している。図10の縦軸は、全ての空気紡績装置6が稼動しているときの堆積防止剤の供給量に対する実際の供給量の比を示している。
【0084】
本紡績機100は、空気紡績装置6の稼働台数の増加に応じて堆積防止剤の供給量を増量させる。詳細に説明すると、本紡績機100の制御装置Cは、添加剤供給装置3を構成する圧力調節装置32を制御することによって、空気紡績装置6の稼働台数の増加に応じて堆積防止剤の供給量を増量させる。
【0085】
一方、本紡績機100は、空気紡績装置6の稼働台数の減少に応じて堆積防止剤の供給量を減量させる。詳細に説明すると、本紡績機100の制御装置Cは、添加剤供給装置3を構成する圧力調節装置32を制御することによって、空気紡績装置6の稼働台数の減少に応じて堆積防止剤の供給量を減量させる。
【0086】
なお、図10の実線に示すように、本紡績機100においては、空気紡績装置6の稼働台数に応じて段階的に堆積防止剤の供給量を調節する。これは、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが発生するという問題に対して、堆積防止剤の供給量が敏感に影響を及ぼすものではないために制御態様を簡素化したことに起因する。但し、図10の破線に示すように、連続的に堆積防止剤の供給量を調節することも可能である。なお、制御装置Cは、圧力調節装置32の単位時間あたりの運転時間と停止時間の割合、いわゆるデューティー比を制御することで堆積防止剤の供給量を調節する。堆積防止剤の供給量の調節は、レギュレータによる差圧の調節や添加剤供給装置3による添加剤の供給量を直接制御することによって行なっても良い。
【0087】
このような構成により、本紡績機100は、空気紡績装置6に供給される空気に堆積防止剤を加えることができるとともに、空気紡績装置6の稼働台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸Yの品質を向上させることが可能となる。
【0088】
次に、本紡績機100の制御装置Cが空気紡績装置6の稼働台数を把握する方法について説明する。
【0089】
制御装置Cは、各紡績ユニット1から送信された電気信号を受信することで空気紡績装置6の稼働台数を把握する。具体的に説明すると、制御装置Cは、各紡績ユニット1から稼動状態を示す稼動信号を受信することによって空気紡績装置6の稼動台数を把握する。或いは、制御装置Cは、糸欠点検出装置7から送信された糸走行信号を受信することによって空気紡績装置6の稼動台数を把握する。また、例えばドラフト装置5などにセンサを取り付け、該センサからの糸走行信号などによって空気紡績装置6の稼動台数を把握することも可能である。
【0090】
また、制御装置Cは、第一空気配管22に備えられた空気流量測定装置222の測定結果に基づいて空気紡績装置6の稼働台数を把握することも可能である。これは、上述したように、第一空気配管22を流れる空気の流量と空気紡績装置6の稼働台数とに相関関係があることを利用している。空気流量測定装置222は、例えば熱線式流量計や差圧式流量計などで良く、測定形式は限定しない。
【0091】
このような構成により、本紡績機100は、空気紡績装置6の稼働台数を正確に把握できるため、適宜に堆積防止剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸Yの品質を向上させることが可能となる。
【0092】
次に、図11を用いて、第一空気配管22の内部に付着した堆積防止剤が空気紡績装置6に流れ込むことを防止できる構造について説明する。
【0093】
上述したように、第一空気配管22には、添加剤供給装置3によって堆積防止剤などの添加剤が供給される。従って、第一空気配管22の内部に付着した添加剤が大量に空気紡績装置6に流れ込む可能性がある。そのため、本紡績機100は、第一空気配管22を傾斜して取り付けることによって、該第一空気配管22の内部に付着した添加剤を所定箇所まで導くようにしている。
【0094】
このような構成により、本紡績機100は、第一空気配管22の内部に付着した添加剤を所定箇所に溜めることができる。これにより、第一空気配管22の内部に付着した添加剤が空気紡績装置6に流れ込むことを防止でき、紡績糸Yの品質を向上させることが可能となる。
【0095】
また、第一空気配管22には、該第一空気配管22に溜まった添加剤を外部に排出する添加剤排出口223が備えられている。
【0096】
このような構成により、本紡績機100は、第一空気配管22の内部に溜まった添加剤を排出することができる。これにより、第一空気配管22の内部に溜まった添加剤が空気紡績装置6に流れ込むことを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0097】
図11に図示される実施形態では、第一空気配管22は、添加剤供給装置3から遠くなるに従って下方に傾斜するように配置されている。第一空気配管22は、本実施形態に限定されず、例えば添加剤供給装置3から遠くなるに従って上方に傾斜するように配置されても良い。この場合、添加剤排出口223は、添加剤供給装置3の近傍に配置される。また、第一空気配管22に付着した添加剤が添加剤排出口223から添加剤貯溜槽33に戻るようにしても良い。
【0098】
本実施形態に係る紡績機100は、添加剤供給装置3を一台備える構成である。しかし、複数の紡績ユニット1を複数のグループに分ける場合、グループ毎に添加剤供給装置3と空気圧送装置21とを設けても良い。複数の紡績ユニット1に対して共通の添加剤供給装置3と空気圧送装置21を設けることにより、紡績機100全体の構成を簡素化でき、且つ、紡績機100が大型化することを回避できる。
【0099】
なお、本実施形態に係る紡績機100は、スライバFが上方から下方に向けて送られる。しかし、本発明に係る紡績機100は、このような実施形態に限られない。例えばスライバFが格納されているケンスを機台下部に配置し、巻取装置9を機台上部に配置した構成であっても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 紡績ユニット
2 空気分配装置
21 空気圧送装置
22 第一空気配管
23 第一分配管
24 第二空気配管
25 第二分配管
3 添加剤供給装置
31 分岐配管
32 圧力調節装置
33 添加剤貯溜槽
331 レベルセンサ
34 添加剤供給配管
4 スライバ供給ユニット
5 ドラフト装置
6 空気紡績装置
61 ファイバーガイド
62 スピンドル
63 ノズルブロック
7 糸欠点検出装置
8 張力安定装置
9 巻取装置
100 紡績機
C 制御装置
F 繊維束(スライバ)
SC 紡績室
Y 紡績糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績ユニットが複数台配置された紡績機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気の旋回気流を利用して繊維束を撚ることで紡績糸を製造する空気紡績装置が知られている。空気紡績装置は、紡績室に空気を供給することによって旋回気流を発生させ、繊維束を構成する各繊維を旋回させることで紡績糸を製造する(例えば特許文献1)。
【0003】
空気紡績装置は、例えばポリエステル繊維などの油剤が付与された繊維束から紡績糸を製造する場合、紡績室の壁面に油剤が付着して堆積するという問題点を有している。このため、空気紡績装置に供給される空気に堆積防止剤を加えることで油剤の堆積を防止する技術が提案されていた(例えば特許文献2)。
【0004】
しかし、空気配管を流れる空気に堆積防止剤を加え、それぞれの空気紡績装置に向けて分岐させる構造においては、空気紡績装置の稼動台数に応じて空気配管内における空気の流量が変化するため、空気紡績装置の稼動台数によっては堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりする場合があった。そのため、空気紡績装置の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節できる技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−1935号公報
【特許文献2】特開2008−95208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、紡績ユニットが複数台配置された紡績機において、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、空気紡績装置の稼動台数に応じて添加剤の供給量を調節できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、この課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明は、空気を用いて繊維束を撚る空気紡績装置を備えた紡績ユニットが複数台配置された紡績機に関する。本紡績機には、少なくとも空気圧送装置と、空気配管と、添加剤供給装置と、制御装置と、が備えられる。空気圧送装置は、空気を圧送する。空気配管は、空気圧送装置が圧送した空気を案内する。添加剤供給装置は、空気配管を流れる空気がそれぞれの空気紡績装置に向けて分岐される上流側で空気配管に添加剤を供給する。制御装置は、添加剤供給装置による添加剤の供給量を調節する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係る紡績機に関する。本紡績機の添加剤供給装置には、少なくとも添加剤貯溜槽と、添加剤供給配管と、圧力調節装置と、が備えられる。添加剤貯溜槽は、添加剤を貯溜する。添加剤供給配管は、添加剤貯溜槽から空気配管へ添加剤を導く。圧力調節装置は、添加剤貯溜槽の内部の圧力を調節する。制御装置は、圧力調節装置の運転状態を制御することで添加剤供給配管によって導かれる添加剤の流量を変更して添加剤の供給量を調節する。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る紡績機に関する。制御装置は、空気紡績装置の稼働台数の増加に応じて添加剤の供給量を増量させ、空気紡績装置の稼働台数の減少に応じて添加剤の供給量を減量させる。
【0011】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に係る紡績機に関する。制御装置は、それぞれの紡績ユニットから送信された電気信号を受信することで空気紡績装置の稼働台数を把握する。
【0012】
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明に係る紡績機に関する。本紡績機には、空気流量測定装置が備えられる。空気流量測定装置は、空気配管を流れる空気の流量を測定する。制御装置は、空気流量測定装置の測定結果に基づいて空気紡績装置の稼働台数を把握する。
【0013】
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明に係る紡績機に関する。空気配管は、該空気配管の内部に付着した添加剤が所定箇所で溜まるように傾斜して配置される。
【0014】
第7の発明は、第6の発明に係る紡績機に関する。空気配管は、該空気配管の内部に溜まった添加剤を外部に排出する添加剤排出口を備える。
【0015】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明に係る紡績機に関する。添加剤供給装置によって空気配管に供給される添加剤は、繊維束に付与された油剤が付着して堆積することを防ぐ堆積防止剤である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
第1の発明によれば、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0018】
第2の発明によれば、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、簡素な構造でありながら高い精度で添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0019】
第3の発明によれば、空気紡績装置に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、空気紡績装置の稼働台数に応じて添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0020】
第4の発明によれば、空気紡績装置の稼働台数を正確に把握できるため、適宜に添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0021】
第5の発明によれば、空気紡績装置の稼働台数を正確に把握できるため、適宜に添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0022】
第6の発明によれば、空気配管の内部に付着した添加剤を所定箇所に溜めることができる。これにより、空気配管の内部に付着した添加剤が空気紡績装置に流れ込むことを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0023】
第7の発明によれば、空気配管の内部に溜まった添加剤を排出することができる。これにより、空気配管の内部に溜まった添加剤が空気紡績装置に流れ込むことを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0024】
第8の発明によれば、紡績室に油剤が付着して堆積することを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】紡績機100の全体構成を示す図。
【図2】紡績ユニット1の構成を示す図。
【図3】紡績ユニット1に設けられたドラフト装置5を示す図。
【図4】紡績ユニット1に設けられた空気紡績装置6を示す図。
【図5】紡績ユニット1に設けられた糸欠点検出装置7を示す図。
【図6】紡績ユニット1に設けられた張力安定装置8を示す図。
【図7】空気分配装置2ならびに添加剤供給装置3の構成を示す図。
【図8】堆積防止剤の供給量が過多となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される状態を示す図。
【図9】堆積防止剤の供給量が過少となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される状態を示す図。
【図10】空気紡績装置6の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節する制御態様を示す図。
【図11】空気分配装置2ならびに添加剤供給装置3の構成を示す他の図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を用いて、本発明の実施形態に係る紡績機100について説明する。
【0027】
図1に示すように、紡績機100は、主に複数台の紡績ユニット1によって構成される。紡績機100には、空気分配装置2(図1に図示せず。図7参照。)と、添加剤供給装置3(図1に図示せず。図7参照。)と、が各一台ずつ備えられている。
【0028】
まず、図2を用いて、紡績ユニット1の構成について詳細に説明する。
【0029】
紡績ユニット1は、繊維束(以降「スライバ」という。)Fから紡績糸Yを製造してパッケージPを作成する紡績機械である。紡績ユニット1は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向に沿って以下の順に配置された、スライバ供給ユニット4と、ドラフト装置5と、空気紡績装置6と、糸欠点検出装置7と、張力安定装置8と、巻取装置9と、で構成される。
【0030】
スライバ供給ユニット4は、紡績糸Yの原料となるスライバFをドラフト装置5へ供給する。スライバ供給ユニット4は、主にスライバケース41と、スライバガイド42と(図3参照)、で構成される。スライバケース41に貯溜されたスライバFは、スライバガイド42に案内されてドラフト装置5へ供給される。
【0031】
ドラフト装置5は、スライバFを牽伸することで該スライバFの太さを均一化する。図3に示すように、ドラフト装置5は、スライバFの送り方向に沿って以下の順に配置された、バックローラ対51と、サードローラ対52と、ミドルローラ対53と、フロントローラ対54と、の四組のドラフトローラ対で構成される。なお、図中に示す矢印は、スライバFの送り方向を示している。
【0032】
四組のドラフトローラ対51・52・53・54は、それぞれボトムローラ51A・52A・53A・54Aと、トップローラ51B・52B・53B・54Bと、で構成される。また、ミドルローラ対53を構成するボトムローラ53A及びトップローラ53Bには、皮又は合成ゴム製のエプロンバンド53C・53Cが巻回されている。
【0033】
ボトムローラ51A・52A・53A・54Aは、図示しない駆動装置によって同じ方向に回転される。トップローラ51B・52B・53B・54Bは、ボトムローラ51A・52A・53A・54Aの回転によって従動し、同じ方向に回転される。また、各ドラフトローラ対51・52・53・54は、スライバFの送り方向に沿って順次、回転速度が速くなるように設定されている。
【0034】
このような構成により、ドラフトローラ対51・52・53・54に挟持されたスライバFは、各ドラフトローラ対51・52・53・54を通過する度に送り速度が増していき、隣接するドラフトローラ対との間で牽伸されることとなる。このようにして、ドラフト装置5は、スライバFを牽伸することで該スライバFの太さを均一化することを可能としている。
【0035】
空気紡績装置6は、牽伸されたスライバFを撚ることで紡績糸Yを製造する。図4に示すように、空気紡績装置6は、主にファイバーガイド61と、スピンドル62と、ノズルブロック63と、で構成される。なお、図中に示す黒塗りの矢印は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向を示している。図中に示す白塗りの矢印は、供給された空気の流れ方向を示している。
【0036】
ファイバーガイド61は、紡績室SCの一部を構成する部材である。ファイバーガイド61は、ドラフト装置5によって牽伸されたスライバFを紡績室SCへ導く。具体的に説明すると、ファイバーガイド61は、紡績室SCに連通された繊維導入路61gによって該紡績室SC内へスライバFを導く。また、ファイバーガイド61には、スライバFを沿わせて案内するニードル61nが紡績室SCの内部に突設するように設けられている。
【0037】
スピンドル62は、紡績室SCの一部を構成する部材である。スピンドル62は、紡績室SCで撚られたスライバF、即ち、紡績糸Yを糸欠点検出装置7へ導く。具体的に説明すると、スピンドル62は、紡績室SCに連通された繊維通過路62sによって送り方向下流側に配置された糸欠点検出装置7へ紡績糸Yを導く。
【0038】
ノズルブロック63は、紡績室SCの一部を構成する部材である。ノズルブロック63は、後述する空気圧送装置21が圧送した空気を紡績室SCへ導く。具体的に説明すると、ノズルブロック63は、紡績室SCに連通された空気孔63aによって該紡績室SC内へ空気を導く。なお、ノズルブロック63に設けられた各空気孔63aは、各空気孔63aから噴出した空気が紡績室SCの中心軸を中心として互いに同じ方向に流れるように連通されているため、該紡績室SCの内部で空気の旋回気流を発生させる(図中白矢印参照)。
【0039】
ここで、紡績室SCについて更に詳しく説明する。紡績室SCは、ファイバーガイド61と、スピンドル62と、ノズルブロック63と、で囲まれた空間である。詳細には、紡績室SCは、ノズルブロック63に設けられた略円錐形状の貫通孔63pに対して、一方から挿入された略円錐形状のスピンドル62と、他方に取り付けられたファイバーガイド61と、で囲まれた空間である。
【0040】
紡績室SCは、ファイバーガイド61とスピンドル62の間に構成される空間SC1と、スピンドル62とノズルブロック63の間に構成される空間SC2と、に分けられる。空間SC1において、スライバFを構成する各繊維は、各繊維の後端部が旋回気流によって反転される(図中二点鎖線参照)。また、空間SC2において、反転された各繊維の後端部が旋回気流によって旋回される(図中二点鎖線参照)。
【0041】
このような構成により、ニードル61nに沿って導かれたスライバFは、該スライバFを構成する各繊維の後端部が旋回されて、次々と中心部の繊維に巻き付いていく。このようにして、空気紡績装置6は、空気の旋回気流を利用してスライバFを撚ることができ、紡績糸Yを製造する。なお、空気紡績装置6は、ファイバーガイド61にニードル61nが設けられていない構成であっても良い。この場合ファイバーガイド61は、該ファイバーガイド61の下流端のエッジによってニードル61nの機能を実現する。
【0042】
糸欠点検出装置7は、紡績糸Yに生じた欠点部を検出する。図5に示すように、糸欠点検出装置7は、主に光源部71と、受光部72と、ケーシング73と、で構成される。なお、図中に示す矢印は、光源部71から照射された光の方向を示している。
【0043】
光源部71は、順方向に電圧を印加することによって発光する半導体素子、即ち、発光ダイオードである。光源部71は、該光源部71からの光を紡績糸Yに照射できるように配置されている。
【0044】
受光部72は、光信号によって電流の制御を可能とする半導体素子、即ち、フォトトランジスタである。受光部72は、光源部71によって照射された光を受光できるように配置されている。
【0045】
ケーシング73は、光源部71ならびに受光部72を所定の位置に保持する部材である。ケーシング73には、紡績糸Yが通過する糸通路73aが設けられている。ケーシング73は、紡績糸Yを挟んで対向するように光源部71ならびに受光部72を保持している。
【0046】
このような構成により、受光部72が受光する光量は、光源部71から紡績糸Yへ照射された光のうち紡績糸Yによって遮光された光量を除く値となる。なお、糸欠点検出装置7は、電気回線を介して制御装置Cと接続されている(図7参照)。制御装置Cは、糸欠点検出装置7からの検出信号を受信することによって、紡績糸Yに生じた欠点部を把握する。
【0047】
なお、糸欠点検出装置7が検出できる欠点部には、紡績糸Yの一部が太過ぎたり細過ぎたりする異常の他、紡績糸Yにポリプロピレン等の異物が介在する場合も含まれる。また、糸欠点検出装置7は、上記のような光学式のセンサ以外にも、静電容量式のセンサを採用することも可能である。
【0048】
張力安定装置8は、紡績糸Yに掛かる張力を適度に保ち安定させる。図6に示すように、張力安定装置8は、主にローラ81と、動力部82と、解舒部材83と、で構成される。なお、図中に示す矢印は、紡績糸Yの送り方向を示している。
【0049】
ローラ81は、紡績糸Yを空気紡績装置6から引き出して該紡績糸Yを巻回する略円筒形状の回転体である。ローラ81は、動力部82の回転軸82aに取り付けられて該動力部82によって回転される。そして、空気紡績装置6から引き出された紡績糸Yは、該ローラ81の外周面に巻回される。
【0050】
動力部82は、電力を供給されることによって駆動する電動モータである。動力部82は、ローラ81を回転させるとともに、該ローラ81の回転速度を所定の値で一定に維持する。これにより、ローラ81に巻回される紡績糸Yの巻回速度を一定に保つことができる。
【0051】
解舒部材83は、ローラ81と一体又は独立して回転することで巻回された紡績糸Yの解舒を補助する糸掛け部材である。解舒部材83の一端部は、ローラ81の回転軸84に取り付けられている。解舒部材83の他端部は、ローラ81の外周面に向かって湾曲するように形成されている。そして、解舒部材83は、湾曲した部位に紡績糸Yが掛けられることによって該紡績糸Yをローラ81から解舒することを可能としている。なお、解舒部材83が取り付けられた回転軸84の基部には、解舒部材83の回転に抗するように抵抗力を生じる永久磁石が配置されている。
【0052】
このような構成により、解舒部材83は、紡績糸Yに掛かる張力が低く、上述した抵抗力に打ち負ける場合、ローラ81と一体となって回転する。一方、解舒部材83は、紡績糸Yに掛かる張力が高く、上述した抵抗力に打ち勝つ場合、ローラ81から独立して回転する。このようにして、張力安定装置8は、紡績糸Yに掛かる張力に応じて解舒部材83をローラ81と一体又は独立して回転させることができ、該紡績糸Yの解舒速度を調節することを可能としている。こうして、張力安定装置8は、紡績糸Yに掛かる張力を適度に保ち安定させる。
【0053】
なお、上述したように、張力安定装置8は、空気紡績装置6から紡績糸Yを引き出す役割を有している。しかし、例えば空気紡績装置6の下流側にデリベリローラとニップローラを配置して、該デリベリローラとニップローラによって紡績糸Yを引き出すようにしても良い。更に、デリベリローラとニップローラの下流側に張力安定装置8を配置して紡績糸Yを巻回して貯溜する構成としても良い。或いは、張力安定装置8を省略し、巻取装置9によって紡績糸Yを引き出す構成としても良い。
【0054】
巻取装置9は、紡績糸Yを巻回することで略円筒形状(チーズ形状)のパッケージPを作成する。巻取装置9は、主に駆動ローラ91と、図示しないクレードルと、で構成される。クレードルは、ボビン92を回転自在に保持する。
【0055】
駆動ローラ91は、回転することによってボビン92及びパッケージPを従動回転させる回転体である。駆動ローラ91は、パッケージPの外径の変化に応じて回転速度を調節し、該パッケージPの周速度を一定に維持する。これにより、ボビン92に巻回される紡績糸Yの巻回速度を一定に保つことができる。
【0056】
ボビン92は、回転することによって紡績糸Yを巻回する略円筒形状の回転体である。ボビン92は、該ボビン92或いはパッケージPの外周面に接触した状態で回転する駆動ローラ91によって従動回転される。なお、巻取装置9は、図示しない綾振装置によって紡績糸Yを綾振するため、パッケージPにおける紡績糸Yの偏りを防いでいる。
【0057】
このような構成により、ボビン92に導かれた紡績糸Yは、該ボビン92の外周面に偏ることなく巻回されていく。このようにして、巻取装置9は、略円筒形状(チーズ形状)のパッケージPを作成することを可能としている。なお、巻取装置9は、図2に図示されているような略円筒形状(チーズ形状)のパッケージP以外にも、例えば略円錐形状(コーン形状)のパッケージPを作成することができる。
【0058】
次に、図7を用いて、空気分配装置2ならびに添加剤供給装置3の構成について詳細に説明する。なお、図中に示す矢印は、空気の流れ方向を示している。
【0059】
上述したように、紡績機100には、空気分配装置2が一台備えられている。空気分配装置2は、主に空気圧送装置21と、第一空気配管22と、第一分配管23と、第二空気配管24と、第二分配管25と、で構成される。
【0060】
空気圧送装置21は、空気を加圧して送り出す装置である。空気圧送装置21は、主に電動モータを駆動させることで空気を加圧する電動コンプレッサなどから構成される。なお、空気圧送装置21が圧送した空気の圧力は、圧力調節弁211によって調節される。
【0061】
第一空気配管22は、空気圧送装置21が圧送した空気を案内する通路である。第一空気配管22は、各紡績ユニット1が配置された方向に沿って平行又は略平行に取り付けられている。
【0062】
第一分配管23は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導く通路である。第一分配管23の一端部は、空気紡績装置6に接続されている。第一分配管23の他端部は、第一空気配管22の中途部に接続されている。これにより、第一分配管23は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導くことを可能としている。なお、第一分配管23によって空気紡績装置6へ導かれる空気の流量は、該第一分配管23の中途部に配置された開閉バルブ231によって調節される。
【0063】
第二空気配管24は、空気圧送装置21が圧送した空気を案内する通路である。第二空気配管24は、各紡績ユニット1が配置された方向に沿って平行又は略平行に取り付けられている。
【0064】
第二分配管25は、第二空気配管24に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導く通路である。第二分配管25の一端部は、空気紡績装置6に接続されている。第二分配管25の他端部は、第二空気配管24の中途部に接続されている。これにより、第二分配管25は、第二空気配管24に流れる空気を分岐させて空気紡績装置6へ導くことを可能としている。なお、第二分配管25によって空気紡績装置6へ導かれる空気の流量は、該第二分配管25の中途部に配置された開閉バルブ251によって調節される。
【0065】
こうして、空気分配装置2は、空気圧送装置21が圧送した空気を第一空気配管22又は第二空気配管24を介して空気紡績装置6へ供給できる。なお、本発明の実施形態としては、第二空気配管24を省略した構成であっても良く、本実施形態に係る紡績機100よりも多くの空気配管を備える構成であっても良い。
【0066】
また、上述したように、紡績機100には、添加剤供給装置3が一台備えられている。添加剤供給装置3は、主に分岐配管31と、圧力調節装置32と、添加剤貯溜槽33と、添加剤供給配管34と、で構成される。
【0067】
分岐配管31は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて添加剤貯溜槽33へ導く通路である。分岐配管31の一端部は、添加剤貯溜槽33に接続されている。分岐配管31の他端部は、第一空気配管22の中途部に接続されている。これにより、分岐配管31は、第一空気配管22に流れる空気を分岐させて添加剤貯溜槽33へ導くことを可能としている。なお、分岐配管31によって添加剤貯溜槽33へ導かれる空気の流量は、該分岐配管31の中途部に配置されたバルブ311によって調節される。
【0068】
圧力調節装置32は、添加剤貯溜槽33に導かれる空気を加圧して該添加剤貯溜槽33の内圧を調節する装置である。圧力調節装置32は、主に摺動ピストンを駆動させることで空気を加圧する増圧弁などから構成される。或いは、電動モータを駆動させることで空気を加圧する電動コンプレッサを用いても良い。なお、圧力調節装置32は、電気回線を介して制御装置Cと接続されている。制御装置Cは、圧力調節装置32へ制御信号を送信することによって、該圧力調節装置32の運転状態を適宜に制御する。
【0069】
添加剤貯溜槽33は、添加剤を貯溜する容器である。添加剤貯溜槽33には、添加剤の貯溜量を検出するレベルセンサ331が備えられている。レベルセンサ331は、電気回線を介して制御装置Cと接続されている。制御装置Cは、レベルセンサ331からの検出信号を受信することによって、添加剤の貯溜量を把握する。
【0070】
添加剤供給配管34は、添加剤貯溜槽33に貯溜された添加剤を第一空気配管22へ導く通路である。添加剤供給配管34の一端部は、添加剤貯溜槽33の底部で開口するように接続されている。添加剤供給配管34の他端部は、第一空気配管22を流れる空気がそれぞれの空気紡績装置6に向けて分岐される上流側に接続されている。
【0071】
こうして、添加剤供給装置3は、添加剤貯溜槽33に貯溜された添加剤を第一空気配管22に供給できる。また、添加剤供給装置3は、添加剤貯溜槽33の内圧を調節することによって添加剤の供給量を調節できる。
【0072】
このような構成により、本紡績機100は、空気紡績装置6に供給される空気に添加剤を加えることができるとともに、簡素な構造でありながら高い精度で添加剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置6への添加剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態に係る紡績機100は、第一空気配管22の上流部に配置されたバルブ221を開弁し、第二空気配管24の上流部に配置されたバルブ241を閉弁することで、第一空気配管22のみを用いて空気紡績装置6へ空気を供給することができる。これにより、添加剤を含む空気のみを空気紡績装置6に供給することが可能となる。
【0074】
一方、本実施形態に係る紡績機100は、第一空気配管22の上流部に配置されたバルブ221を閉弁し、第二空気配管24の上流部に配置されたバルブ241を開弁することで、第二空気配管24のみを用いて空気紡績装置6へ空気を供給することができる。これにより、添加剤を含まない空気のみを空気紡績装置6に供給することが可能となる。
【0075】
次に、図8を用いて、空気紡績装置6への添加剤の供給量が過多となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される理由について説明する。図中に示す黒塗りの矢印は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向を示している。図中に示す白塗りの矢印は、供給された空気の流れ方向を示している。なお、第一空気配管22に供給される添加剤は、スライバFに付与された油剤の堆積を防ぐ堆積防止剤であるとして説明する。
【0076】
上述したように、ノズルブロック63の空気孔63aを通って紡績室SCに供給された空気は、該紡績室SC内で旋回気流となる(図中白矢印参照)。このとき、空気とともに空気紡績装置6に供給された堆積防止剤は、スピンドル62の周面などに皮膜を形成して油剤の堆積を防止する。しかし、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合、即ち、空気に含まれる堆積防止剤が所定量以上であった場合は、堆積防止剤がスピンドル62の周面などに液滴となって付着する。このため、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となる。その結果、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0077】
具体的に説明すると、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合は、堆積防止剤がスピンドル62の周面などに液滴となって付着するため、該スピンドル62に巻き付くようにして旋回する繊維の抵抗となる(図中二点鎖線参照)。従って、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となるため、中心部の繊維に十分に巻き付くことができなくなる。こうして、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合は、反転された繊維の後端部が中心部の繊維に十分に巻き付く前に繊維通過路62sに導入されるため、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0078】
次に、図9を用いて、空気紡績装置6への添加剤の供給量が過少となった場合に撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される理由について説明する。図中に示す黒塗りの矢印は、スライバFならびに紡績糸Yの送り方向を示している。図中に示す白塗りの矢印は、供給された空気の流れ方向を示している。なお、第一空気配管22に供給される添加剤は、スライバFに付与された油剤の堆積を防ぐ堆積防止剤であるとして説明する。
【0079】
上述したように、ノズルブロック63の空気孔63aを通って紡績室SCに供給された空気は、該紡績室SC内で旋回気流となる(図中白矢印参照)。このとき、空気とともに空気紡績装置6に供給された堆積防止剤は、スピンドル62の周面などに皮膜を形成して油剤の堆積を防止する。しかし、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過少となった場合、即ち、空気に含まれる堆積防止剤が所定量未満であった場合は、スライバFに付与されていた油剤がスピンドル62の周面などに付着して堆積する。このため、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となる。その結果、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0080】
具体的に説明すると、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過少となった場合は、スライバFに付与されていた油剤がスピンドル62の周面などに付着して堆積するため、該スピンドル62に巻き付くようにして旋回する繊維の抵抗となる(図中二点鎖線参照)。従って、紡績室SC内で反転された繊維の後端部は、旋回気流にのって旋回することが困難となるため、中心部の繊維に十分に巻き付くことができなくなる。こうして、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過少となった場合は、反転された繊維の後端部が中心部の繊維に十分に巻き付く前に繊維通過路62sに導入されるため、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが製造される。
【0081】
このように、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yの発生を防いで紡績糸Yの品質を向上させるには、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防ぐことが重要となる。更に、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となった場合においては、紡績糸Yに堆積防止剤が染み込んで染色不良が発生することもあるため、堆積防止剤の供給量を適宜に調節する技術が求められていた。しかし、本紡績機100のように、空気配管(本紡績機100では第一空気配管22)を流れる空気に堆積防止剤を加え、それぞれの空気紡績装置6に向けて分岐させる構造においては、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量を最適化することは困難であった。
【0082】
具体的に説明すると、紡績機100を構成する各紡績ユニット1は、各紡績ユニット1毎にパッケージPを巻き始める時期と巻き終える時期とが異なるため、空気紡績装置6の稼動台数は変動することがある。例えば紡績機100のロット変更時には、パッケージPを巻き終えた紡績ユニット1から順に運転を停止していくため、空気紡績装置6の稼動台数は序々に減少する。また、紡績機100のうち少数の紡績ユニット1で紡績を行なってから全ての紡績ユニット1で紡績を開始する場合には、空気紡績装置6の稼動台数は序々に増加する。空気紡績装置6の稼動台数が変動すると、空気の需要量が変化するため、第一空気配管22を流れる空気の流量も変化する。このとき、添加剤供給装置3によって供給される堆積防止剤の供給量が一定であると、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりする原因となる。そこで、本紡績機100においては、空気紡績装置6の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量の調節を行なう。
【0083】
図10を用いて、空気紡績装置6の稼動台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節する制御態様について説明する。図10の横軸は、空気紡績装置6の稼動台数を示している。図10の縦軸は、全ての空気紡績装置6が稼動しているときの堆積防止剤の供給量に対する実際の供給量の比を示している。
【0084】
本紡績機100は、空気紡績装置6の稼働台数の増加に応じて堆積防止剤の供給量を増量させる。詳細に説明すると、本紡績機100の制御装置Cは、添加剤供給装置3を構成する圧力調節装置32を制御することによって、空気紡績装置6の稼働台数の増加に応じて堆積防止剤の供給量を増量させる。
【0085】
一方、本紡績機100は、空気紡績装置6の稼働台数の減少に応じて堆積防止剤の供給量を減量させる。詳細に説明すると、本紡績機100の制御装置Cは、添加剤供給装置3を構成する圧力調節装置32を制御することによって、空気紡績装置6の稼働台数の減少に応じて堆積防止剤の供給量を減量させる。
【0086】
なお、図10の実線に示すように、本紡績機100においては、空気紡績装置6の稼働台数に応じて段階的に堆積防止剤の供給量を調節する。これは、撚りの弱い紡績糸(弱撚糸)Yが発生するという問題に対して、堆積防止剤の供給量が敏感に影響を及ぼすものではないために制御態様を簡素化したことに起因する。但し、図10の破線に示すように、連続的に堆積防止剤の供給量を調節することも可能である。なお、制御装置Cは、圧力調節装置32の単位時間あたりの運転時間と停止時間の割合、いわゆるデューティー比を制御することで堆積防止剤の供給量を調節する。堆積防止剤の供給量の調節は、レギュレータによる差圧の調節や添加剤供給装置3による添加剤の供給量を直接制御することによって行なっても良い。
【0087】
このような構成により、本紡績機100は、空気紡績装置6に供給される空気に堆積防止剤を加えることができるとともに、空気紡績装置6の稼働台数に応じて堆積防止剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸Yの品質を向上させることが可能となる。
【0088】
次に、本紡績機100の制御装置Cが空気紡績装置6の稼働台数を把握する方法について説明する。
【0089】
制御装置Cは、各紡績ユニット1から送信された電気信号を受信することで空気紡績装置6の稼働台数を把握する。具体的に説明すると、制御装置Cは、各紡績ユニット1から稼動状態を示す稼動信号を受信することによって空気紡績装置6の稼動台数を把握する。或いは、制御装置Cは、糸欠点検出装置7から送信された糸走行信号を受信することによって空気紡績装置6の稼動台数を把握する。また、例えばドラフト装置5などにセンサを取り付け、該センサからの糸走行信号などによって空気紡績装置6の稼動台数を把握することも可能である。
【0090】
また、制御装置Cは、第一空気配管22に備えられた空気流量測定装置222の測定結果に基づいて空気紡績装置6の稼働台数を把握することも可能である。これは、上述したように、第一空気配管22を流れる空気の流量と空気紡績装置6の稼働台数とに相関関係があることを利用している。空気流量測定装置222は、例えば熱線式流量計や差圧式流量計などで良く、測定形式は限定しない。
【0091】
このような構成により、本紡績機100は、空気紡績装置6の稼働台数を正確に把握できるため、適宜に堆積防止剤の供給量を調節できる。これにより、空気紡績装置6への堆積防止剤の供給量が過多となったり、過少となったりすることを防止でき、紡績糸Yの品質を向上させることが可能となる。
【0092】
次に、図11を用いて、第一空気配管22の内部に付着した堆積防止剤が空気紡績装置6に流れ込むことを防止できる構造について説明する。
【0093】
上述したように、第一空気配管22には、添加剤供給装置3によって堆積防止剤などの添加剤が供給される。従って、第一空気配管22の内部に付着した添加剤が大量に空気紡績装置6に流れ込む可能性がある。そのため、本紡績機100は、第一空気配管22を傾斜して取り付けることによって、該第一空気配管22の内部に付着した添加剤を所定箇所まで導くようにしている。
【0094】
このような構成により、本紡績機100は、第一空気配管22の内部に付着した添加剤を所定箇所に溜めることができる。これにより、第一空気配管22の内部に付着した添加剤が空気紡績装置6に流れ込むことを防止でき、紡績糸Yの品質を向上させることが可能となる。
【0095】
また、第一空気配管22には、該第一空気配管22に溜まった添加剤を外部に排出する添加剤排出口223が備えられている。
【0096】
このような構成により、本紡績機100は、第一空気配管22の内部に溜まった添加剤を排出することができる。これにより、第一空気配管22の内部に溜まった添加剤が空気紡績装置6に流れ込むことを防止でき、紡績糸の品質を向上させることが可能となる。
【0097】
図11に図示される実施形態では、第一空気配管22は、添加剤供給装置3から遠くなるに従って下方に傾斜するように配置されている。第一空気配管22は、本実施形態に限定されず、例えば添加剤供給装置3から遠くなるに従って上方に傾斜するように配置されても良い。この場合、添加剤排出口223は、添加剤供給装置3の近傍に配置される。また、第一空気配管22に付着した添加剤が添加剤排出口223から添加剤貯溜槽33に戻るようにしても良い。
【0098】
本実施形態に係る紡績機100は、添加剤供給装置3を一台備える構成である。しかし、複数の紡績ユニット1を複数のグループに分ける場合、グループ毎に添加剤供給装置3と空気圧送装置21とを設けても良い。複数の紡績ユニット1に対して共通の添加剤供給装置3と空気圧送装置21を設けることにより、紡績機100全体の構成を簡素化でき、且つ、紡績機100が大型化することを回避できる。
【0099】
なお、本実施形態に係る紡績機100は、スライバFが上方から下方に向けて送られる。しかし、本発明に係る紡績機100は、このような実施形態に限られない。例えばスライバFが格納されているケンスを機台下部に配置し、巻取装置9を機台上部に配置した構成であっても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 紡績ユニット
2 空気分配装置
21 空気圧送装置
22 第一空気配管
23 第一分配管
24 第二空気配管
25 第二分配管
3 添加剤供給装置
31 分岐配管
32 圧力調節装置
33 添加剤貯溜槽
331 レベルセンサ
34 添加剤供給配管
4 スライバ供給ユニット
5 ドラフト装置
6 空気紡績装置
61 ファイバーガイド
62 スピンドル
63 ノズルブロック
7 糸欠点検出装置
8 張力安定装置
9 巻取装置
100 紡績機
C 制御装置
F 繊維束(スライバ)
SC 紡績室
Y 紡績糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を用いて繊維束を撚る空気紡績装置を備えた紡績ユニットが複数台配置された紡績機であって、
空気を圧送する空気圧送装置と、
前記空気圧送装置が圧送した空気を案内する空気配管と、
前記空気配管を流れる空気がそれぞれの前記空気紡績装置に向けて分岐される上流側で該空気配管に添加剤を供給する添加剤供給装置と、
前記添加剤供給装置による添加剤の供給量を調節する制御装置と、を備える、ことを特徴とする紡績機。
【請求項2】
前記添加剤供給装置は、添加剤を貯溜する添加剤貯溜槽と、
前記添加剤貯溜槽から前記空気配管へ添加剤を導く添加剤供給配管と、
前記添加剤貯溜槽の内部の圧力を調節する圧力調節装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧力調節装置の運転状態を制御することで前記添加剤供給配管によって導かれる添加剤の流量を変更して添加剤の供給量を調節する、ことを特徴とする請求項1に記載の紡績機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記空気紡績装置の稼働台数の増加に応じて添加剤の供給量を増量させ、前記空気紡績装置の稼働台数の減少に応じて添加剤の供給量を減量させる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紡績機。
【請求項4】
前記制御装置は、それぞれの前記紡績ユニットから送信された電気信号を受信することで前記空気紡績装置の稼働台数を把握する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項5】
前記空気配管を流れる空気の流量を測定する空気流量測定装置を備え、
前記制御装置は、前記空気流量測定装置の測定結果に基づいて前記空気紡績装置の稼働台数を把握する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項6】
前記空気配管は、該空気配管の内部に付着した添加剤が所定箇所で溜まるように傾斜して配置される、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項7】
前記空気配管は、該空気配管の内部に溜まった添加剤を外部に排出する添加剤排出口を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の紡績機。
【請求項8】
前記添加剤供給装置によって前記空気配管に供給される添加剤は、前記繊維束に付与された油剤が付着して堆積することを防ぐ堆積防止剤である、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項1】
空気を用いて繊維束を撚る空気紡績装置を備えた紡績ユニットが複数台配置された紡績機であって、
空気を圧送する空気圧送装置と、
前記空気圧送装置が圧送した空気を案内する空気配管と、
前記空気配管を流れる空気がそれぞれの前記空気紡績装置に向けて分岐される上流側で該空気配管に添加剤を供給する添加剤供給装置と、
前記添加剤供給装置による添加剤の供給量を調節する制御装置と、を備える、ことを特徴とする紡績機。
【請求項2】
前記添加剤供給装置は、添加剤を貯溜する添加剤貯溜槽と、
前記添加剤貯溜槽から前記空気配管へ添加剤を導く添加剤供給配管と、
前記添加剤貯溜槽の内部の圧力を調節する圧力調節装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧力調節装置の運転状態を制御することで前記添加剤供給配管によって導かれる添加剤の流量を変更して添加剤の供給量を調節する、ことを特徴とする請求項1に記載の紡績機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記空気紡績装置の稼働台数の増加に応じて添加剤の供給量を増量させ、前記空気紡績装置の稼働台数の減少に応じて添加剤の供給量を減量させる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紡績機。
【請求項4】
前記制御装置は、それぞれの前記紡績ユニットから送信された電気信号を受信することで前記空気紡績装置の稼働台数を把握する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項5】
前記空気配管を流れる空気の流量を測定する空気流量測定装置を備え、
前記制御装置は、前記空気流量測定装置の測定結果に基づいて前記空気紡績装置の稼働台数を把握する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項6】
前記空気配管は、該空気配管の内部に付着した添加剤が所定箇所で溜まるように傾斜して配置される、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の紡績機。
【請求項7】
前記空気配管は、該空気配管の内部に溜まった添加剤を外部に排出する添加剤排出口を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の紡績機。
【請求項8】
前記添加剤供給装置によって前記空気配管に供給される添加剤は、前記繊維束に付与された油剤が付着して堆積することを防ぐ堆積防止剤である、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の紡績機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−97391(P2012−97391A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248774(P2010−248774)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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