説明

紡績糸及びその製造方法

【課題】太陽光による蓄熱・保温効果と、天然繊維又は再生繊維が持つ独特の機能とを同時に織編物に反映しうる、新規な紡績糸、並びにその紡績糸を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】近赤外線吸収剤を備えてなる、繊維長30〜250mmの合成繊維を20〜90質量%含むと共に、天然繊維及び/又は再生繊維を80〜10質量%含んでなり、波長700〜850nmにおける反射率が50%以下である紡績糸。及び近赤外線吸収剤を含有する水分散液を用いて、特定繊維長の合成繊維を特定温度で湿熱処理し、乾燥後、当該合成繊維を20〜90質量%、天然繊維及び/又は再生繊維を80〜10質量%使用して紡績する紡績糸の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績糸及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、蓄熱・保温効果と、天然繊維又は再生繊維が持つ独特の機能とを織編物に反映させることのできる紡績糸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からスポーツ、レジャー用衣料、防寒衣料などに保温性を付与するため、種々の検討がなされてきた。例えば、合成繊維使いの織編物においては、空気の断熱性を利用した中空繊維使いのものや、表地と裏地との間に中綿を挿入し、該中綿の保温効果を利用したものなどが提案されている。しかしながら、このような織編物は一般に厚みがあり、身体の動きに対し追従することが要求されるスポーツ衣料分野には、特に適さないという問題がある。また、アルミニウムやチタンなどの金属を蒸着した織編物を裏地として用いることにより、体からの放熱を減少させるといった技術も提案されているが、耐久性の点で課題を残している。
【0003】
天然繊維、再生繊維使いの織編物においても同様に保温性を付与する試みがある。一例として、繊維表面にカーボンブラックを固着したものが提案されている。しかしながら、カーボンブラックを固着させる際に使用するバインダー層と、繊維表面との接着不足に伴う界面剥離が発生するなど、上記同様耐久性に課題を残している。また、この繊維を使用した織編物は、一般に風合いが硬く、この点も未だ解決されていない。
【0004】
これらの問題に対し、種々の提案がある。例えば、特許文献1では、周期律表第4族に属する遷移金属の炭化物をポリエステル繊維又はポリアミド繊維に含有させて、太陽光を吸収しかつ遠赤外線を放出させる技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、遠赤外線による保温効果に着目し、アルミナ系、ジルコニア系、マグネシア系、チタン系などのセラミックスを練り混んだ繊維状物を使用する技術が提案されている。これらのセラミックスは、遠赤外線を放射する機能を有する。
【0006】
さらに、特許文献3では、吸湿発熱特性を有する天然繊維又は変性天然繊維を芯成分として配した吸湿発熱性複合紡績糸が提案されている。
【特許文献1】特公平03−009202号公報
【特許文献2】特開平01ー306607号公報
【特許文献3】特開2003−293235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にかかる技術において使用する周期律表第4族に属する遷移金属の炭化物は、一般に硬度7〜10と非常に硬く、これが繊維表面に露出していると、各工程において通糸ガイドを傷付ける恐れがある。そのため、かかる炭化物を繊維に練り込むときは、繊維の中心近傍にこれを配置させる必要がある。そうすると、繊度、断面形状などの設定におのずと制限が生じ、織編物に様々な機能性を付与できる中空繊維、極細繊維、異型断面繊維といった繊維が設計し難くなるという問題が残されている。
【0008】
また、特許文献2にかかる技術では、セラミックスが白色系であるために太陽光を十分に吸収しきれず、結果、奏される保温効果は満足できるものでない。
【0009】
さらに、特許文献3にかかる紡績糸は、具体的には、公定水分率15%の天然繊維を使用した吸湿発熱性複合紡績糸であり、天然繊維の機能を発揮するものの、太陽光による蓄熱効果を全く奏さないので、これも保温効果に問題を残している。
【0010】
この様に、優れた蓄熱効果と、天然繊維や再生繊維などに特有の機能とを同時に織編物に反映させることのできる紡績糸は未だ提案されていないのが実情である。
【0011】
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、太陽光による蓄熱・保温効果と、天然繊維又は再生繊維が持つ独特の機能とを同時に織編物に反映しうる、新規な紡績糸、並びにその紡績糸を効率よく製造するための方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)近赤外線吸収剤を備えてなる、繊維長30〜250mmの合成繊維を20〜90質量%含むと共に、天然繊維及び/又は再生繊維を80〜10質量%含んでなり、波長700〜850nmにおける反射率が50%以下であることを特徴とする紡績糸。
(2)前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ポリ乳酸のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の紡績糸。
(3)近赤外線吸収剤を含有する水分散液を用いて、繊維長30〜250mmの合成繊維を100〜135℃で湿熱処理し、乾燥後、当該合成繊維を20〜90質量%、天然繊維及び/又は再生繊維を80〜10質量%使用して紡績することを特徴とする紡績糸の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、太陽光による蓄熱・保温効果と、天然繊維又は再生繊維が持つ独特の機能とを同時に織編物に付与できる紡績糸が提供できる。
【0014】
また、本発明の製造方法によれば、繊維表面に近赤外線吸収剤を付着させる方法を採用しているため、形状を問わずいかなる合成繊維でも実施可能となり、その結果、織編物に対し蓄熱効果以外の任意の特性を付与することが期待される。
【0015】
以上の点から、本発明の紡績糸は、スポーツ、レジャー用衣料、防寒衣料の他、肌着、靴下、セーターなどへ好ましく適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明における近赤外線吸収剤としては、任意のものが使用できるものの、基本的には近赤外線領域(700〜2000nm)の光を吸収できるものが好ましく採用される。具体的には、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物が用いられる。
【0018】
また、本発明における合成繊維としては、織編物としたとき、使用に耐えられるだけの強度を発揮するものであれば、特段限定されるものでない。ただ、用途の観点から、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。中でもポリエステルにあっては、テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸と、エチレングリコールとの重縮合で得られるポリエチレンテレフタレートや、テレフタル酸ジメチルと、ブタンジオールとの重縮合で得られるポリブチレンテレフタレートなどが好ましく、特に、織編物の寸法安定性や製造コストの観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、環境問題を考慮するなら、ポリエステルとしてポリ乳酸を選択することも可能である。ポリ乳酸としては、一般的なポリL乳酸やポリD乳酸の他、両者を混合して得られるステレオコンプレックスなども有効である。
【0019】
一方、ポリアミドとしては、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを用いて得られるナイロン66、又はε‐カプロラクタムを開環重合して得られるナイロン6などが好ましく、特にコストの点でナイロン6が好ましい。
【0020】
本発明における合成繊維は、紡績糸を構成する一単位として使用されるため、特定の繊維長を有する必要がある。すなわち、繊維長として、30〜250mmの範囲を満足する必要があり、合成繊維の繊維長がこの範囲を外れると、均斉度ある紡績糸を得ることができない。
【0021】
また、かかる合成繊維の繊維径、断面形状などについては、特に限定こそされないが、一般に、繊維径としては3〜50μmの範囲が好ましく、断面形状としては丸断面の他、三角、六角、扁平といった異形断面、さらには中空断面などが好ましい。丸断面以外のものを採用すると、その繊維断面に応じた特性を織編物に付与することができる。例えば、中空断面を採用すると、織編物の軽量化が図れる。なお、本発明においては、これらの合成繊維を単独で使用する態様が一般的であるが、必要に応じて複数混合して使用してもよい。
【0022】
本発明の紡績糸は、上記の合成繊維を含むものである。しかしながら、これだけでは、所望の効果を得ることができない。そのため、これに加え天然繊維及び/又は再生繊維を使用する。
【0023】
本発明における天然繊維としては、綿、麻、羊毛、天然竹などがあげられ、再生繊維としては、溶剤紡糸セルロース繊維、ビスコースレーヨン、キュプラなどがあげられる。
【0024】
このように、本発明の紡績糸は、特定の合成繊維と、天然繊維及び/又は再生繊維とから構成されるものであるが、本発明の紡績糸における両繊維の含有比率としては、前者を20〜90質量%含有させると共に後者を80〜10質量%含有させる必要がある。両繊維の含有比率がこの範囲を外れると、蓄熱・保温効果と、天然繊維又は再生繊維が持つ独特の機能とを織編物にバランスよく反映させることができなくなる。
【0025】
本発明の紡績糸は、このように優れた特性を織編物に付与することができるが、この内、蓄熱・保温効果については、単に前記両繊維を所定の比率に配合するだけでは足りず、最終的に得られる紡績糸の、波長700nm〜850nmにおける反射率を50%以下とする必要がある。これは、反射率が50%を超えると、光を熱エネルギーに十分変換できなくなるからである。つまり、織編物に対し蓄熱・保温効果を付与するには、当該紡績糸が、上記両繊維を特定比率で含有していると同時に特定の反射率を具備していることが必要となる。言い換えれば、かかる蓄熱・保温効果は、この2構成が機能的又は作用的に関連して奏されるものであり、いわゆる2構成による相乗効果ともいえる。
【0026】
次に、本発明の保温繊維の製造方法について説明する。
【0027】
まず、バラ毛、トウ又はスライバ状の繊維長30〜250mmの合成繊維を用意し、バラ毛染色機、オーバーマイヤー染色機などでもって、近赤外線吸収剤を含有する水分散液を用いて該合成繊維を湿熱処理する。水分散液中には、近赤外線吸収剤を均一に分散させる観点から、界面活性剤を含ませることが好ましく、かかる界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系のいずれも使用可能である。水分散液を使用して合成繊維を湿熱処理する目的は、近赤外線吸収剤を合成繊維に付着させることにあり、いうまでもなく、繊維表面にだけかかる吸収剤を付着させても勿論所定の蓄熱・保温効果を奏することができる。しかしながら、より高い効果を具現するには、繊維表面と共に繊維内部へ近赤外線吸収剤を吸尽させるのが好ましく、この点から、本発明では、界面活性剤として近赤外線吸収剤の吸尽効果に優れた、ノニオン系及び/又はアニオン系からなるものを採用することが好ましい。
【0028】
水分散液中には、この他にも、合成繊維の耐光性を向上させる観点から紫外線吸収剤や、その他目的に応じた各種機能性付与剤を含有させてもよい。
【0029】
本発明では、かかる湿熱処理を100〜135℃の温度下で行う。湿熱処理の温度が100℃未満になると、近赤外線吸収剤を繊維に固着させ難くなり、その結果、織編物に対し蓄熱・保温効果を付与させ難くなるので好ましくない。一方、135℃を超えると、合成繊維が熱によって脆化しやすくなり、その結果、糸質物性が低下することがあるので好ましくない。また、上記熱処理の時間としては、一般に10〜60分間が好ましい。
【0030】
合成繊維を湿熱処理した後は、繊維を乾燥させ、その後、得られた合成繊維と、予め準備した天然繊維及び/又は再生繊維とを用いて紡績する。紡績する際の両繊維の使用比率としては、合成繊維が20〜90質量%であり、天然繊維及び/又は再生繊維が80〜10質量%である。
【0031】
紡績とは、繊維塊を紡ぎ、糸となすことをいい、具体的には、繊維塊に対しドラフトを繰り返し、繊維を除々に平行に配列させ、撚りを掛けて細く強い糸となす。
【0032】
紡績は一般に複数の工程からなるものであり、用いる繊維の長さによって若干ながら異なった工程を経る。一般に繊維長が30〜50mmのときは綿紡績法を、40〜250mmのときは梳毛紡績法を採用するが、同じ紡績方法でも、目的に応じて工程数が多少異なることがある。しかし、いずれの紡績方法であっても、基本的な工程は共通している。すなわち、開繊する混打綿工程、繊維を除塵・平行化する梳綿工程、太い繊維束を均斉化する練糸工程、ドラフトを掛け繊維束を細くする粗紡工程、及びドラフトを掛けながら撚りを掛ける精紡工程を順次経て紡績する点では共通しており、この基本工程に基づいて採用すべき工程を設計することは、当業者であれば容易である。
【0033】
本発明の紡績糸は、以上のようにして得ることができるが、紡績糸の形態としては、目的に応じて種々の形態をとることが可能であり、具体的には、混紡構造、二層構造、海島構造などがあげられる。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
まず、繊維長が80mmで、繊維径が14μmである、中空率40%の中空断面ポリエステル繊維からなるスライバを準備した。次いで、コイリング運動を利用して、このスライバを下部から重ね合わせ、圧縮してバンプ巻きとした。
【0036】
そして、このバンプ巻きをキャリヤーに装填し、オーバーマイヤー染色機を用いて、下記処方1に示す組成の水分散液でもって、浴比1:10、130℃の温度下で30分間該バンプ巻きを湿熱処理した。
【0037】
〈処方1〉
近赤外線吸収剤(日本化薬(株)製「KP DEEPER NR(商品名)」 6%owf
界面活性剤(日華化学(株)製「ニッカサンソルトRN130E(商品名)」) 0.5g/L
酢酸 0.1cc/L
【0038】
続いて、同オーバーマイヤー染色機を用いてバンプ巻きを洗浄、オイリングし、さらにスライバをマングルにて脱水、開繊し、コンベヤ式乾燥機にて乾燥した。
【0039】
次に、得られたスライバと、羊毛繊維からなるスライバとを順に質量比30:70で混紡し、粗糸を得た。得られた粗糸を、精紡機に対しシングルロービングなる形で供給し、20倍のドラフトを与えながら660回/mで加撚し、紡績単糸を得た。
【0040】
その後、上記紡績単糸を2本用いて690回/mで合撚し、合成繊維を30質量%、天然繊維を70質量%含んでなる、太さ40番手(メートル番手)の本発明の紡績糸を得た。
【0041】
(比較例1)
近赤外線吸収剤を付着させた中空断面ポリエステル繊維に代えて、芯部に炭化ジルコニウムを2質量%含有してなる、芯鞘構造の丸断面中実ポリエステル繊維(繊維長80mm、繊維径14μm)を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて、太さ40番手(メートル番手)の紡績糸を得た。
【0042】
(実施例2)
まず、繊維長が38mmで、繊維径が14μmの丸断面中実ポリエステル繊維をバラ染め用キャリアーに装填し、次いで、オーバーマイヤー染色機を用いて、上記記処方1中の近赤外線吸収剤の濃度を6%owfに代えて4%owfとした組成の水分散液でもって、浴比1:10、135℃の温度下で30分間該繊維を湿熱処理した。
【0043】
続いて、同オーバーマイヤー染色機を用いて繊維を洗浄、オイリングし、さらにマングルにて脱水し、バッチ式乾燥機にて乾燥した。
【0044】
次に、得られたポリエステル繊維と、綿繊維とを順に質量比65:35で混紡し、太さ0.5g/m、撚数0.8回/mの粗糸を得た。得られた粗糸を、精紡機に対しシングルロービングなる形で供給し、35倍のドラフトを与えながら23回/2.54cmで加撚し、合成繊維を65質量%、天然繊維を35質量%含んでなる、太さ40番手(英式綿番手)の本発明の紡績糸を得た。
【0045】
(比較例2)
水分散液を使用した湿熱処理を省略する以外は、実施例2と同様の方法にて、太さ40番手(英式綿番手)の紡績糸を得た。
【0046】
(実施例3)
まず、丸断面中実ポリエステル繊維に代えて、繊維長38mm、繊維径5μmの丸断面中実ナイロン6繊維を用いること、並びに湿熱処理温度を135℃に代えて100℃とする以外は実施例2と同様にして繊維を湿熱処理し、続いて、同じく同様に繊維を洗浄、オイリング、脱水及び乾燥した。
【0047】
次に、得られたナイロン6繊維と、溶剤紡糸セルロース繊維とを順に質量比50:50で混紡し、太さ0.5g/m、撚数0.8回/mの粗糸を得、以降は実施例2と同様の方法で精紡し、合成繊維を50質量%、天然繊維を50質量%含んでなる、太さ40番手(英式綿番手)の本発明の紡績糸を得た。
【0048】
(比較例3)
近赤外線吸収剤を付着させた丸断面中実ナイロン6繊維に代えて、芯部に炭化ジルコニウムを2質量%含有してなる、繊維長38mm、繊維径16μmの芯鞘構造の丸断面中実ナイロン6繊維を用いる以外は、実施例3と同様の方法にて、太さ40番手(メートル番手)の紡績糸を得た。
【0049】
以上で得られた紡績糸につき、下記項目を下記基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0050】
1.反射率
(株)小池機械製作所製筒編機を用いて対象となる紡績糸を筒編地とした後、分光光度計を使用して、編地の、波長700〜850nmの反射率を測定し、これを紡績糸の反射率とした。
【0051】
2.蓄熱・保温効果
厚さ10mmの発砲ポリスチレンボードに100mm四方の窓を設け、その窓を覆うようにして、上記の筒編地を取り付ける。次に、照度100000Lux、気温20℃の屋外において、上記筒編地に対し太陽光が直射するようにボードを傾け、筒編地裏面の温度を、NEC三栄(株)製赤外線熱画像装置「サーモトレーサTH7102(商品名)」で観察し、平衡に達したときの温度を測定する。この温度を蓄熱・保温効果を評価する際の基準とした。
【0052】
3.風合い
上記筒編地を官能検査により、○(優)から×(劣)の3段階で評価した。
【0053】
【表1】

【0054】
表1からわかるように、本発明の紡績糸を用いた筒編地は、蓄熱・保温効果だけでなく天然繊維又は再生繊維が持つ独特の機能、風合いも併せ持つものであった。
【0055】
なお、各合成繊維の湿熱処理については、工程上、特段問題などは発生せず、効率よく実施することができた。
【0056】
また、上記実施例のうち、実施例1では、紡績糸中の合成繊維として中空断面ポリエステル繊維を用いたため、筒編地の軽量化も達成できた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線吸収剤を備えてなる、繊維長30〜250mmの合成繊維を20〜90質量%含むと共に、天然繊維及び/又は再生繊維を80〜10質量%含んでなり、波長700〜850nmにおける反射率が50%以下であることを特徴とする紡績糸。
【請求項2】
前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ポリ乳酸のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の紡績糸。
【請求項3】
近赤外線吸収剤を含有する水分散液を用いて、繊維長30〜250mmの合成繊維を100〜135℃で湿熱処理し、乾燥後、当該合成繊維を20〜90質量%、天然繊維及び/又は再生繊維を80〜10質量%使用して紡績することを特徴とする紡績糸の製造方法。


【公開番号】特開2009−228185(P2009−228185A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78058(P2008−78058)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(599089332)ユニチカテキスタイル株式会社 (53)
【Fターム(参考)】