説明

紡織繊維、例えば綿、合成繊維などのためのフラットカードまたはローラカード上において短繊維を除去する装置

【課題】シリンダ上の繊維層から短繊維を良好に分離および排出する。
【解決手段】フラットカード等における装置であって、被覆部が高速シリンダの針布に対向して位置しており、シリンダの回転方向に見ると、空気の出口部用開口部と空気の入口部用開口部とが順次に存在し、これら開口部を過ぎると繊維の流れと空気の流れとが通過し、シリンダに関し、排出空気用開口部の上流の被覆部の空間と排出空気用開口部の下流の被覆部の空間とが異なる装置において、シリンダ(4)に関し、排出空気用開口部(29)の上流の被覆部(25III)の空間(a)が排出空気用開口部と供給空気用開口部(31)との間の被覆部(27)の空間(b)よりも小さく、繊維の流れ(35)から短繊維を分離する空気流れがシリンダの表面に沿ってシリンダの回転方向に抗して流れ、短繊維と一緒に排出空気用開口部を通って流出する装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡織繊維、例えば綿、合成繊維などのためのフラットカードまたはローラカード上における装置であって、ワークと被覆要素とを含む被覆部が高速シリンダの針布に対向して位置しており、前記シリンダの回転方向に見ると、空気の出口部用開口部(排出空気流れ)と空気の入口部用開口部(供給空気流れ)とが順次に存在しており、これら開口部を過ぎると繊維の流れと空気の流れとが通過するようになっており、前記シリンダに関し、前記排出空気用開口部の上流の被覆部の空間と前記排出空気用開口部の下流の被覆部の空間とが異なっている装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の装置(欧州特許公開第0848091号公報)においては、デフレクタを備えたケーシング部分と、排出空気用開口部(分離ギャップ)と、分離エッジを備えたナイフと、案内表面と、供給空気用開口部(スロットの形態をなした空気用入口部)とがシリンダの回転方向に見てシリンダの針布の反対側に位置している。デフレクタは分離用スロットの上流に配置されており、デフレクタは、シリンダの針布と共に作用スロットを形成しており、このスロットを通じて繊維および空気の流れが通過する。分離用ギャップの下流に配置されたナイフの分離用エッジおよび案内表面は前記シリンダの針布から極めて幅狭のギャップを有している。ナイフによって分離されて廃棄物(屑)と共に分離用ギャップ内に偏倚されると共にワークギャップ(排出空気流れ)から排出される繊維の流れと空気との比率は、近接して設置されたエッジにより決定される。エッジの下流においては、負圧および乱流が発生して、供給空気流れによって平衡にされる。エッジの下流に位置していてエッジのような案内表面はシリンダに近接して設定され、エッジの後の空気流れが概ね広がらないようにできる。これに対し、導入された空気は概ね搬送方向に流れる。加工プロセスに残ると想定されていて良好な繊維であると知られているそのような繊維のかなりの部分が屑と一緒に分離されるのが欠点である。さらに、引き受けることのできない比率の短繊維がシリンダ上の繊維層に残る。このことによって、洗浄結果が満足できないものとなり、それにより、糸の生産に不利な効果を生じさせ糸の品質が損なわれることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、最初に説明した種類の装置を製造するときの技術的問題に基づくものであり、前述した欠点を避け、特に単純な方法でシリンダ上の繊維層から短繊維を良好に分離および排出することのできる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、請求項1の特徴部分の特徴により解決される。
すなわち、1番目の発明においては、紡織繊維、例えば綿、合成繊維などのためのフラットカードまたはローラカード上における装置であって、ワークと被覆要素とを含む被覆部が高速シリンダの針布に対向して位置しており、前記シリンダの回転方向に見ると、空気の出口部用開口部(排出空気流れ)と空気の入口部用開口部(供給空気流れ)とが順次に存在しており、これら開口部を過ぎると繊維の流れと空気の流れとが通過するようになっており、前記シリンダに関し、前記排出空気用開口部の上流の被覆部の空間と前記排出空気用開口部の下流の被覆部の空間とが異なっている装置において、前記シリンダ(4)に関し、前記排出空気用開口部(29)の上流に位置する被覆部(25III、20、32)の空間(a)が前記排出空気用開口部(29)と供給空気用開口部(31)との間の被覆部(27、25III)の空間(b)よりも小さくなっており、前記繊維の流れ(35)から短繊維を分離する空気流れが前記シリンダの表面に沿って前記シリンダの回転方向に抗して流れると共に、前記短繊維と一緒に前記排出空気用開口部(29)を通って流出することを特徴とする装置が提供される。
【0005】
本発明に基づく特徴によって、シリンダ上の繊維層から短繊維を概ね良好に分離して排出することができる。概ね個々の繊維まで開放(open)したシリンダの表面上に繊維が存在する。空気流れはシリンダ上においてシリンダの回転方向に抗して案内されると共に、空気流れがより軽量の短繊維を良好な繊維から分離して、それら短繊維を排出空気用開口部に通して排出するのが有利である。その理由は、シリンダについては、排出空気用開口部と供給空気用開口部との間の被覆部の空間が排出空気用開口部の上流の被覆部の空間よりも大きいこと、そして、一方では、供給空気が排出空気用開口部まで流れる領域においてより大きな流れ断面が存在し、他方では、排出空気用開口部の上流の被覆部とシリンダとの間における幅狭の流れ断面が供給空気に対する障壁を形成することである。その結果、短繊維が大量に分離されると共に廃棄物内の短繊維の比率が高まるので、繊維材料は全体として清浄になる。
【0006】
請求項2乃至請求項55は、本発明の好適な発展例を包含する。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、空気が前記シリンダ(4)の表面を横切って前記シリンダ(4)の回転方向(4b)に抗して排出配列体(24、24、24、24)に吸込まれる。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記空気は前記供給空気用開口部(31)と前記排出空気用開口部(29)との間の流れチャンネル(38)を通って吸引される。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記空気は前記シリンダ(4)の前記針布(4a)を通って吸引される。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の上流の被覆部の空間は、約8/1000”(約0.20mm)から15/1000”(約0.38mm)、好ましくは10/1000”(約0.25mm)から14/1000”(約0.35mm)である。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部と前記供給空気用開口部との間の被覆部の空間は、約60/1000”(約1.52mm)から100/1000”(約2.54mm)、好ましくは70/1000”(約1.77mm)から90/1000”(約2.28mm)である。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の上流の被覆部は押さえ付け要素などである。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の上流の被覆部は分離用ナイフなどである。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の上流の被覆部は少なくとも一つの固定式カーディング要素を具備する。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記固定式カーディング要素のそれぞれは少なくとも一つの針布ストリップを具備する。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、前記少なくとも一つの針布ストリップの針布および前記シリンダの針布はカーディング位置において互いに対面して配置されている。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、少なくとも一つの前記カーディング要素が前記排出空気用開口部の上流に近接して配置されている。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、前記固定式カーディング要素は前記排出空気用開口部の直上流に配置されている。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、前記固定式カーディング要素は前記押さえ付け要素の上流に配置されている。
15番目の発明によれば、1番目から14番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の下流の被覆部は分離用エッジ、例えば分離用ナイフを具備する。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の上流の被覆部は分離用エッジ、例えば分離用ナイフを具備する。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、前記シリンダの表面からの前記押さえ付け要素の空間は調節可能である。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、前記シリンダの表面から前記分離用エッジへの空間は調節可能である。
19番目の発明によれば、1番目から18番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部の上流および下流のそれぞれの被覆部は案内表面を具備する。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、前記シリンダの表面からの前記案内表面の空間は調節可能である。
21番目の発明によれば、1番目から20番目のいずれかの発明において、吸込装置、例えば吸込フードが前記排出空気用開口部に関連付けられている。
22番目の発明によれば、1番目から21番目のいずれかの発明において、吹出配列体、例えば圧縮空気源が前記供給空気用開口部に関連付けられている。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、前記供給空気開口部が大気に連通している。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、前記供給空気用開口部の内部幅および前記吸込装置の前記排出空気流れの強度が互いに連携している。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、前記排出空気用開口部および前記吸込装置の前記排出空気流れの強度が互いに連携している。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、前記供給空気用開口部と前記排出空気用開口部との間の流れチャンネルの内部幅および前記吸込装置の前記排出空気流れの強度が互いに連携している。
27番目の発明によれば、1番目から26番目のいずれかの発明において、前記吸込装置、例えば吸込フードが二つの側部から取付けられた吸込部を有する。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、吸込部側あたり例えば1000Pa以上の高い連結圧力または吸込圧力が存在する。
29番目の発明によれば、1番目から28番目のいずれかの発明において、前記装置は、ドッファとフラット組立体、例えば回転フラットとの間に配置されている。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、前記装置は、テーカインとフラット組立体、例えば回転フラットとの間に配置されている。
31番目の発明によれば、1番目から30番目のいずれかの発明において、一つ以上の装置が前記シリンダに関連づけられている。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、前記ワークおよび/または被覆要素のモジュール配列体の場合には、前記装置は少なくとも一つのモジュールを有する。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、前記ワークおよび/または被覆要素のモジュール配列体の場合には、前記装置は二つのモジュールを有する。
34番目の発明によれば、1番目から33番目のいずれかの発明において、前記シリンダ上における前記繊維層上において前記供給空気流れを鋭角で偏倚させるデフレクタが前記空気を取入れるための入口部の開口部に関連づけられている。
35番目の発明によれば、1番目から34番目のいずれかの発明において、前記供給空気用開口部の下流の前記被覆部は少なくとも一つの固定式カーディング要素を具備する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下において本発明は図面に示された実施例に関して相当に詳細に記述される。
図1は、送給ローラ1と、送給テーブル2と、テーカイン3a、3b、3cと、シリンダ4と、ドッファ5と、ストリッパ・ローラ6と、ニップ・ローラ7、8と、ウェブ用デフレクタ9と、ウェブ用ファンネル10と、引出しローラ11、12と、フラット案内ローラ13a、13bおよびフラットバー14を有するカード回転フラット13と、ケンス(カン)15と、ケンス用巻取器(カンコイラ)16とを有する例えばTruetzschler TC 03などのフラット・カードKを示している。湾曲矢印は各ローラの回転方向を表している。参照符号Mはシリンダ4の中心(軸心)を表している。参照番号4aは針布を表し、且つ、参照番号4bはシリンダ4の回転方向を表している。参照符号Aは動作方向を表している。ローラに示される湾曲矢印はローラの回転方向を表している。シリンダ4は例えば35m/sの表面速度を有する。
【0008】
図2(a)および図2(b)を参照すると、カードのそれぞれの側部において概ね半円型の剛体の側部プレート18が機械フレーム(図示しない)に横方向に固定されている。側方プレート18の外周領域において側方プレート18の外側部には、剛体であって同軸に湾曲した軸受要素19が存在している。軸受要素19は軸受要素19の支持表面としての凸状外面19aと、下側部19bとを有している。本発明に基づく装置は、シリンダ4の幅部分を横切って延びていて例えば押出アルミニウムから形成された中空形状化要素(hollow profiled element)25を有する排出室24(吸込フード)を具備している(図3(b))。排出室24はその内部空間に中空空間26を有しており、中空空間26を通じて空気を流すことができる。例えば押出アルミニウムから形成されていて略U字形状断面のシリンダ用被覆要素30がシリンダの回転方向4bから見て排出室24の下流に位置決めされている。供給空気用開口部31を形成する開放したギャップは排出室24と被覆要素30との間に存在する。固定式カーディング要素20は軸受要素の凸状外面19a(例えば延長屈曲部)に載置される軸受面を固定式カーディング要素20の両端部に有している。固定式カーディング要素20はシリンダ4の回転方向4bから見て排出室24の上流に位置決めされている。針布用ストリップ20a’、20b’(カーディング用針布)を備えたカーディング要素20a、20bは固定式カーディング要素20の下表面に取付けられている。参照番号21は針布20a’、20b’の歯先円21を示している。シリンダ4はシリンダ4の外周部にシリンダ用針布4a、例えば鋸歯状針布を有している。参照番号22はシリンダ用針布4aの歯先円22を示している。歯先円21、22の間の距離は文字aで示されており、その距離aは例えば0.20mmである。凸状外面19aと歯先円22との間の空間は文字bで示される。凸状外面19aの半径は文字r1で表され、歯先円22の半径は文字r2で表される。これら半径r1、r2はシリンダ4の中間点Mで交差する。図2(a)に示されるカーディング要素20は支持部23aと二つのカーディング要素20a、20bとから構成されている。これらカーディング要素20a、20bはシリンダ4の回転方向(矢印4b)に順次に配置されている。これらカーディング要素20a、20bの針布20a’、20b’およびシリンダ4の針布4aは互いに対向している。担持体23はアルミニウム製の中空形状化部材から構成されていて、連続的な中空空間を有している。
【0009】
図3(a)を参照すると、シリンダ用被覆プレート32、固定式カーディング要素20、吸込フード24、供給空気用開口部31、被覆要素30およびシリンダ用被覆プレート33が、シリンダ用針布4aの反対側においてシリンダ4の回転方向4bから見て順次に配置されている。シリンダ4に対面する吸込フード24の開放したエッジの領域においては、ナイフブレード27が例えばネジによって吸込フード24に固定されている。形状化被覆部(profiled cover)28はシリンダ4に対面する他の開放したエッジの領域に取付けられている。ナイフブレード27の分離エッジ27aの反対側には、形状化被覆部28がギャップ、つまり排出空気用開口部29を形成している。短繊維を伴う排出空気流れは、この排出空気用開口部29を通じて吸込フード24の中空空間26に流入して、中空空間26から抽出される(図3(b))。被覆要素30の断面は略三角形であり、被覆要素30の面30’は歯先円22に対する接線と共に鋭角をなしている。供給空気用開口部31に流入して通過する供給空気流れのために、面30’は反対側の垂直面25’と一緒にデフレクタを形成している。このデフレクタは例えばノズルのように収斂する。
【0010】
図3(b)においては、吸込空気の源(図示しない)に通ずる吸込ライン34a、34bが吸込フード24の各端部24a、24bにそれぞれ取付けられている。文字Iは、シリンダ4または機械の幅を横切って延びる要素32、20、24、30、33の長さを示している。シリンダ4は例えば1mの幅を有している。
【0011】
図4を参照すると、黒色矢印は繊維層35の回転方向または運動方向を示している。繊維層35はシリンダ4のシリンダ用針布4aに位置している(図2(a)または図3(a)を参照されたい)。白色矢印は空気流れ36の回転方向または運動方向を示している。空気流れ36はシリンダ4によって被覆部(被覆プレート32、吸込フード24の案内表面25III、25II、被覆プレート33、および当然ながら図3(a)に示される他の要素、例えば固定式カーディング要素20および被覆要素30)とシリンダ4の針布4aとの間に供給される。白色矢印により示される供給空気流れ37は、大気から、吸込フード24と被覆プレート33との間の供給空気用開口部31を通過する。供給空気流れ37は流れチャンネル38を通って流れる。流れチャンネル38は、中空形状化部材25の下方案内表面25IIとシリンダ4の針布4aとの間に形成されている。次いで、供給空気流れ37は、白黒矢印で示されるように、排出空気流れ39の形態をなして、排出空気用開口部29を通って吸込フード24の内部空間26に流入してそこから抽出される。針布4aの歯先円22またはシリンダ4に関し、排出空気用開口部29の上流の被覆部(案内表面25III)の空間aは、排出空気用開口部29と供給空気用開口部31との間の被覆部(案内表面25II)の空間bよりも小さい。このようにして、供給空気流れ37は比較的幅広の流れチャンネル38を通ってシリンダ4周りの空気流れ36に抗して針布4aの繊維層35に抗して流れる。このプロセスにおいて、供給空気流れ37は望ましくない短繊維を搬送し、排出空気流れ39として排出空気用開口部29を通って短繊維と共に流出する。形状化被覆部28および案内チャネル25IIIと針布との間の比較的幅狭のチャンネルは空間は文字aで示される。このチャンネルは、供給空気流れに対する障壁を形成し、それにより、供給空気流れが排出空気用開口部まで流れるのを抑制する。排出ギャップ29は比較的幅広であって、例えば8mmである。
【0012】
図5は追加の構成を示しており、その追加の構成においては、シリンダの回転方向4bから見てナイフ27が排出空気用開口部29の上流に配置されており、形状化被覆部28が排出空気用開口部29の下流に配置されている。排出ギャップは狭く、例えば約1.5mmである。
【0013】
図6においては、三つのモジュールC1、C2、C3がポストカーディング領域Cに存在しており、このポストカーディング領域Cは短繊維を分離する役目を果たす。参照符号により示される位置は要素20、20、20、24、24、24および要素30、30、30により占められる。要素20、24はモジュールの全幅を占め、要素30はモジュールの幅の約半分を占める。モジュールC1、C2、C3はフラットカードの延長屈曲部19上に配置されている。延長屈曲部19は調整用スピンドル40a、40b、40cによって調整可能である。
【0014】
被覆部は供給空気用開口部31のそれぞれの後において少なくとも一つの固定式カーディング要素(図示しない)を含むことが理解される。シリンダ上の繊維層は、供給空気流れ37がシリンダ4によって搬送される空気流れ36’に衝突することによって局所的に上昇しうる。次いで、シリンダ上の繊維層は円滑に下降する。
【0015】
短繊維用分離要素の場合には、吸込作用が適用されると共に表面について特別に調整されたフードが、フードの直上流に位置するカーディング要素および排出空気の取入れ用フードが続いている開口部に関連して、使用される。短繊維は吸込作用によって全繊維流れから抽出される。そのプロセスにおいては、空気はシリンダ表面上においてシリンダの回転方向に抗して吸引されて吸込フードまで導かれる。分離の質に重大な影響を及ぼす、要求流入量および抽出状況、ならびにフードにて存在する流れおよび圧力環境は特に、以下の事項により達成される。
【0016】
シリンダからのフード要素(例えば押し下げ要素およびナイフ)の空間。決定的な要因は、比較的大きな開口部ギャップ(シリンダとフード要素、この場合にはナイフとの間に例えば80/1000”(約2.03mm))が流入流れ領域に存在することである。さらに、繊維流れが最初に到達する他のフード要素は、シリンダから幅狭の空間を有している(この場合には押し下げ要素において、例えば12/1000”(約0.30mm))。
【0017】
次いで、吸引による排出空気の取り入れのためのフードが続く開口部。この開口部は、固定式吸引流れが確保できる場合には例えば40mmまたはそれよりも小さい(形状化被覆部の半型部分の場合)。
【0018】
次いで、フードの上流における取付位置。少なくとも一つのカーディング要素がフードの直上流に適合するのが有利である。この要素は、フードの直上流にある二つの針布ストリップまたは一つのストリップにより構成される。
【0019】
次いで、カーディング要素における一つまたは複数の針布ストリップの位置。カーディング位置においては、針布ストリップは反対側にある表面に向かって対面する必要がある。
【0020】
次いで、フードにおける高連結圧力または排出圧力(例えば排出側部あたり1000Pa以上の両側部における抽出吸込作用)。
【0021】
フードの形状(例えば、ナイフおよび押し下げ要素の形状配置、ならびに二つのフード要素のナイフの開放ギャップおよび押し下げ要素の互いに対する寸法)が分離に影響を及ぼすという事実。しかしながら、分離について同一の質を与える異なる形状を採用してもよい。
【0022】
二つのフードを順次に結合または配置させることによって、分離した短繊維の量が増大するという事実。
【0023】
複数を配置して取付けられるように分離ユニットが形成されているという事実。これにより、例えば三つの分離ユニットをドッファ側に適合させられる。
【0024】
廃棄物内における短繊維の含有量を40%よりも高められると共に、フードにおける廃棄物の量を3%までに高められるという事実(同一のシリンダ位置に取付けられた標準的なMTTフードは約0.2%の廃棄物量を達成する)。
【0025】
廃棄物の量にかかわらず、短繊維含有量は一定のレベルにとどまるという事実(そうでなければ、廃棄物量が増大するときには短繊維含有量は低下する)。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に基づく装置を備えたフラット・カードの略側面図である。
【図2】(a)シリンダの回転方向において見て順番に、カーディング箇所、排出空気用開口部を備えた吸込フード、供給空気用開口部および被覆要素を示す側面図である。(b)カーディング要素を示す側面図である。
【図3】(a)ノズル状供給空気用開口部および供給空気用入口部、流れチャネルおよび繊維層を通る通路、ならびに排出空気用出口部を備えている本発明に基づく装置の側面図である。(b)図3(a)における装置の平面図である。
【図4】シリンダの針布と上流および下流の排出空気用開口部の被覆部との間に隙間を備えていて、供給空気流れ、排出空気流れ、シリンダ周りおよびシリンダ上の繊維層の空気流れの方向を示している本発明に基づく装置の側面図である。
【図5】本発明の追加の実施形態を示す図である。
【図6】ポストカーディング領域において短繊維を分離する三つのモジュールを備えている本発明の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 送給ローラ
2 送給テーブル
3a、3b、3c テーカイン
4 シリンダ
4a シリンダ用針布
4b 回転方向
5 ドッファ
6 ローラ
7、8 ローラ
9 ウェブ用デフレクタ
10 ウェブ用ファンネル
11、12 引出しローラ
13 カード回転フラット
13a、13b フラット案内ローラ
14 フラットバー
18 側方プレート
19 延長屈曲部、軸受要素
19a 凸状外面
19b 下側部
20 固定式カーディング要素
20a’、20b’ 針布
20a’、20b’ 針布用ストリップ
21、22 歯先円
23 担持体
23a 支持部
24 吸込フード
24 排出室
25 中空形状化部材
25’ 垂直面
25II、25III 案内表面
26 内部空間
27 ナイフブレード
27a 分離エッジ
28 形状化被覆部
29 排出空気用開口部
30 シリンダ用被覆要素
31 供給空気用開口部
32、33 被覆プレート
34a、34b 吸込ライン
35 繊維層
38 流れチャンネル
40a、40b、40c 調整用スピンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡織繊維、例えば綿、合成繊維などのためのフラットカードまたはローラカード上における装置であって、ワークと被覆要素とを含む被覆部が高速シリンダの針布に対向して位置しており、前記シリンダの回転方向に見ると、空気の出口部用開口部(排出空気流れ)と空気の入口部用開口部(供給空気流れ)とが順次に存在しており、これら開口部を過ぎると繊維の流れと空気の流れとが通過するようになっており、前記シリンダに関し、前記排出空気用開口部の上流の被覆部の空間と前記排出空気用開口部の下流の被覆部の空間とが異なっている装置において、
前記シリンダ(4)に関し、前記排出空気用開口部(29)の上流に位置する被覆部(25III、20、32)の空間(a)が前記排出空気用開口部(29)と供給空気用開口部(31)との間の被覆部(27、25III)の空間(b)よりも小さくなっており、前記繊維の流れ(35)から短繊維を分離する空気流れが前記シリンダの表面に沿って前記シリンダの回転方向に抗して流れると共に、前記短繊維と一緒に前記排出空気用開口部(29)を通って流出することを特徴とする装置。
【請求項2】
空気が前記シリンダ(4)の表面を横切って前記シリンダ(4)の回転方向(4b)に抗して排出配列体(24、24、24、24)に吸込まれる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記空気は前記供給空気用開口部(31)と前記排出空気用開口部(29)との間の流れチャンネル(38)を通って吸引される請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記空気は前記シリンダ(4)の前記針布(4a)を通って吸引される請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記排出空気用開口部の上流の被覆部の空間は、約8/1000”(約0.20mm)から15/1000”(約0.38mm)、好ましくは10/1000”(約0.25mm)から14/1000”(約0.35mm)である請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記排出空気用開口部と前記供給空気用開口部との間の被覆部の空間は、約60/1000”(約1.52mm)から100/1000”(約2.54mm)、好ましくは70/1000”(約1.77mm)から90/1000”(約2.28mm)である請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記排出空気用開口部の上流の被覆部は押さえ付け要素などである請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記排出空気用開口部の上流の被覆部は分離用ナイフなどである請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記排出空気用開口部の上流の被覆部は少なくとも一つの固定式カーディング要素を具備する請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記固定式カーディング要素のそれぞれは少なくとも一つの針布ストリップを具備する請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの針布ストリップの針布および前記シリンダの針布はカーディング位置において互いに対面して配置されている請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一つの前記カーディング要素が前記排出空気用開口部の上流に近接して配置されている請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記固定式カーディング要素は前記排出空気用開口部の直上流に配置されている請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記固定式カーディング要素は前記押さえ付け要素の上流に配置されている請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記排出空気用開口部の下流の被覆部は分離用エッジ、例えば分離用ナイフを具備する請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記排出空気用開口部の上流の被覆部は分離用エッジ、例えば分離用ナイフを具備する請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記シリンダの表面からの前記押さえ付け要素の空間は調節可能である請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記シリンダの表面から前記分離用エッジへの空間は調節可能である請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記排出空気用開口部の上流および下流のそれぞれの被覆部は案内表面を具備する請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記シリンダの表面からの前記案内表面の空間は調節可能である請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
吸込装置、例えば吸込フードが前記排出空気用開口部に関連付けられている請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
吹出配列体、例えば圧縮空気源が前記供給空気用開口部に関連付けられている請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記供給空気開口部が大気に連通している請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記供給空気用開口部の内部幅および前記吸込装置の前記排出空気流れの強度が互いに連携している請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記排出空気用開口部および前記吸込装置の前記排出空気流れの強度が互いに連携している請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記供給空気用開口部と前記排出空気用開口部との間の流れチャンネルの内部幅および前記吸込装置の前記排出空気流れの強度が互いに連携している請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記吸込装置、例えば吸込フードが二つの側部から取付けられた吸込部を有する請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
吸込部側あたり例えば1000Pa以上の高い連結圧力または吸込圧力が存在する請求項1から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記装置は、ドッファとフラット組立体、例えば回転フラットとの間に配置されている請求項1から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記装置は、テーカインとフラット組立体、例えば回転フラットとの間に配置されている請求項1から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
一つ以上の装置が前記シリンダに関連づけられている請求項1から30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記ワークおよび/または被覆要素のモジュール配列体の場合には、前記装置は少なくとも一つのモジュールを有する請求項1から31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記ワークおよび/または被覆要素のモジュール配列体の場合には、前記装置は二つのモジュールを有する請求項1から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記シリンダ上における前記繊維層上において前記供給空気流れを鋭角で偏倚させるデフレクタが前記空気を取入れるための入口部の開口部に関連づけられている請求項1から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記供給空気用開口部の下流の前記被覆部は少なくとも一つの固定式カーディング要素を具備する請求項1から34のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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